説明

清浄装置のための駆動システム及び清浄装置

タンク(1)を清浄するための清浄装置のための駆動システム(100)は、磁気ヒステリシス結合体の速度を調整するためのブレーキ装置(7、8、13)を有しており、前記ブレーキ装置は、磁気ヒステリシス結合体の第2の結合部分(5)に近接して配置されており、前記ブレーキ装置は、磁気ヒステリシス結合体のこの第2の結合部分の回転を調整するように磁気ヒステリシス結合体の前記第2の結合部分と相互作用するブレーキ部分(7、8、13)を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清浄装置、特に、タンクの内部を清浄するための清浄装置のための駆動装置に関わる。
【背景技術】
【0002】
このような種類の清浄装置は、タンクの内部を清浄するために使用されており、圧力を受けて清浄液が中に供給される液体チャンネル中に取り付けられたタービンを備えたハウジングと、このタービンによって駆動され清浄液の漏れに対する安全手段として前記ハウジング中の清浄液から分離されて取り付けられているギアとを有する、駆動システムを具備している。このギアは、前記タービンによって発生された回転を、前記タンク中の清浄ヘッドの減速された回転へと伝達する。前記タービンによって発生された回転は、複数の結合部分を有する磁気結合体を介して前記ギアに伝達される。一方の結合部分は、前記ハウジング中の前記液体チャンネル中に配置されており、他方の結合部分は、前記ハウジングの外に配置されており、これら結合部分は、互いに平行なディスクである。
【0003】
前記清浄ヘッドは、ハウジングとこれに取り付けられているハブとを有しており、このハブには、複数のノズルが設けられている。清浄液は、動作中に、前記タービンから前記ノズルに搬送され、前記ハウジングは、前記タービンからの液体が前記ハウジングを迂回して前記ノズルへと流れるように、固定した取り付け部分に取り付けられている。前記タービンの回転は、複数の結合部分を有する磁気結合体、例えばヒステリシス結合体によって、前記ギアの入力シャフトに伝達される。前記複数の結合部分のうち駆動結合部分は、前記ギアのハウジングの外に配置されており、前記複数の結合部分のうち駆動される結合部分は、前記ギアのハウジング中に配置される。
【0004】
清浄液の吐出は、ノズルによって噴出される吐出であり、圧力を与えられた液体が、組み合わされた回動及び回転によって有効にタンクを清浄する。
【0005】
タンクの清浄のためのこのような種類の清浄装置の例は、特許文献1によって知られている。この文献は、電磁石によって形成される2つの磁気部分を備えたヒステリシス結合体から成る駆動システムを有するタンク清浄マシンを開示している。これら2つの磁気部分は、液体用空間の内側と外側とにそれぞれ設けられており、前記ハウジングと前記ギアとの間の、完全に液体を通さない分離が、保証され得る。前記ヒステリシス結合体のこれら磁気部分は、一方の部分が他方の部分に対して移動可能に位置付けられており、この結合体は、伝達されたトルク及び/もしくは速度に関して調整され得る。
【0006】
ヒステリシス結合体を有する前述のタンク清浄装置に係る1つの問題は、磁気部分とヒステリシスプレートもしくはディスクとの間の空間を拡大もしくは縮小することによって前記ヒステリシス結合体の速度を調整する場合に、磁石とヒステリシスプレートとの間の空間を拡大した時に、ヒステリシストルクが減少することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO-A1-2007/076859
【発明の概要】
【0008】
本発明の課題は、清浄ヘッドに接続されているシャフトに駆動システムのタービンの回転を伝達するためにヒステリシス結合体を使用する場合に、この駆動システムのタービンから清浄装置の清浄ヘッドに接続されているシャフトへのトルクの伝達に関わる問題を克服した、タンクの内部を清浄するための清浄装置のための駆動システムを提供することである。
【0009】
この課題は、タンクを清浄するための清浄装置のための、以下の特徴を有する駆動システムによって、果たされる。この駆動システムは、ギアボックスに接続されている入力シャフトを回転させるために設けられている駆動装置を有している。前記ギアボックスは、前記駆動装置の回転をタンク中の清浄ヘッドの減速された回転へと伝達し、前記入力シャフトには、一方の端部にディスク形状の第1の結合部分が設けられている。前記駆動システムには、駆動装置の速度を調整するためのブレーキ装置が更に備えられている。このブレーキ装置は、前記第1の結合部分に近接して配置されており、また、前記ブレーキ装置は、複数のブレーキ部分を有しており、これらブレーキ部分は、前記第1の結合部分に対する前記ブレーキ部分の距離を変えることによって前記第1の結合部分の回転を調整するように、前記駆動装置の前記第1の結合部分と相互作用する。
【0010】
請求されている本発明の第1の態様に従えば、前記ブレーキ装置の種々の部分が、ヒステリシス結合体の種々の部分と一体化されており、ヒステリシス結合体のセットアップに適合するように位置されている。前記ブレーキ装置は、駆動装置の第1の結合部分の上方に位置されている少なくとも1つの磁石と、前記少なくとも1つの磁石に近接して配置されているヒステリシス部分とによって形成され得る。前記ブレーキ装置の前記少なくとも1つの磁石は、駆動装置の前記第1の結合部分の周縁にほぼ沿って配置されており、ブレーキ力が、前記ブレーキ装置の前記ヒステリシス部分を、前記少なくとも1つの磁石に対して軸方向もしくは径方向に、もしくは軸方向と径方向との両方に移動させることによって、与えられる。
【0011】
請求されている本発明の第2の態様に従えば、前記ブレーキ装置は、駆動装置の第1の結合部分の周縁部に近接して配置されているブレーキ磁石ホルダに配置されている少なくとも1つの磁石によって形成されており、前記駆動装置の前記第1の結合部分は、前記ブレーキ装置のヒステリシス部分を構成している。前記ブレーキ装置のブレーキ力が、前記ブレーキ磁石ホルダとこれに取り付けられている前記少なくとも1つの磁石とを、ヒステリシス部分を構成しているヒステリシス結合体の第1の結合部分に対して軸方向もしくは径方向に、もしくは軸方向と径方向との両方に移動させることによって、与えられる。
【0012】
磁気部分とヒステリシス部分との相互の位置は、一方の部分が前記ギアボックス中の「乾燥した領域("dry")」もしくは前記ハウジング中を流れる液体中のいずれかに配置され得るように、状況に関係なく自由に選択され得る。
【0013】
請求されている本発明の更なる態様に従えば、前記ブレーキ装置は、液体の流れの外に、及び前記ギアボックス中に配置されている。
【0014】
請求されている本発明の更なる態様に従えば、前記ブレーキ装置のヒステリシス部分、即ちヒステリシス結合体は、強磁性のヒステリシス材料によって形成されている。
【0015】
請求されている本発明の更なる態様に従えば、前記ブレーキ装置の磁気部分、即ちヒステリシス結合体には、必要な磁場の強さ及び極性を発生させるために、複数の永久磁石が設けられている。
【0016】
請求されている本発明の他の態様に従えば、前記磁気部分には、ヒステリシス部分もしくは磁気部分を移動させる代わりに、磁場の強さの可変の調整のために、電磁石が設けられている。
【0017】
駆動システムは、非磁性材料、例えばステンレス鋼から成るハウジング中で動作する。非磁性材料は、このような種類の清浄装置と関係して使用するために好ましい材料である。この駆動システムは、メンテナンスフリーであり、従って、いかなる形態の修理も必要としない。
【0018】
前述の駆動システムは、タンクの内部を清浄するための清浄装置の一体化された部分であり得る。
【0019】
前記ブレーキ部分間の間隙は、変更され得、この間隙中のエネルギー容量とこれによる前記ブレーキ部分間の磁力とを調整することが可能であり、これによって、前記ブレーキ力は、速度に適応され得る。
【0020】
請求されている本発明の更なる態様に従えば、前記駆動システムの駆動装置は、前記ギアボックス中に配置されている電気モータユニットとして形成され得る。この駆動装置は、入力シャフトに接続されているギアボックス中に収容されている第1の磁気結合部分と、ハウジング中に配置されている第2の磁気結合部分とを備えた磁気結合体を有するように形成され得る。前記第2の磁気結合部分は、液体チャンネル中に取り付けられているタービンを有しており、この液体チャンネルには、圧力を受けて清浄液が供給され、清浄液は、前記タービンを回転させる。このタービンの回転は、前記第1の磁気結合部分と前記第2の磁気結合部分とによって形成されている磁気結合体を介して、前記ギアボックスに伝達される。前記ギアボックスは、前記ハウジング中の清浄液から分離されて取り付けられている。前記駆動装置は、前記ギアボックス中に配置されている第1の結合部分と、ハウジング中に取り付けられている第2の結合部分とから成る磁気ヒステリシス結合体を有するように、更に形成され得る。前記第2の結合部分は、液体チャンネル中に取り付けられているタービンを有しており、この液体チャンネルには、圧力を受けて清浄液が供給され、この清浄液は、前記タービンを回転させる。このタービンの回転は、互いに平行なディスクとしての前記第1の結合部分と前記第2の結合部分とによって形成されている磁気ヒステリシス結合体を介して、前記ギアボックスに伝達される。入力シャフトが、前記第1の結合部分に接続されており、前記タービンが、前記第2の結合部分に接続されている。前記ギアボックスは、前記ハウジング中の清浄液から分離されて取り付けられている。
【0021】
本発明の更なる態様は、従属請求項と説明とから明らかである。
更なる課題、特徴、効果は、図面を参照して、本発明のいくつかの実施形態の下記の詳細な説明によって明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明に係るブレーキ装置を有する清浄装置の第1の実施形態の断面図である。
【図2】図2は、本発明に係る他のブレーキ装置を有する清浄装置の第1の実施形態の断面図である。
【図3】図3は、本発明に係る他のブレーキ装置を有する清浄装置の第2の実施形態の断面図である。
【図4】図4は、本発明に係るブレーキ装置を有する清浄装置の第2の実施形態の断面図である。
【図5】図5は、速度を調整するための本発明に係るブレーキ装置の基本的な移動を示す図である。
【図6】図6は、速度を調整するための本発明に係るブレーキ装置の基本的な移動を示す図である。
【図7】図7は、速度を調整するための本発明に係るブレーキ装置の基本的な移動を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1及び図2は、タンク清浄装置のための駆動システム100を示しており、このタンク清浄装置は、清浄されるタンクに取着されている。このタンクは、タンクのデッキ1によって、図1乃至図4に、部分的にのみ示されている。また、タンク清浄装置は、液体出口16に接続されている(図示されていない)パイプと、このパイプに接続されている(図示されていない)清浄ヘッドとを有している。この清浄ヘッドは、前記タンク中の下部に存在している。前記清浄ヘッドは、回転シャフト11によって回転可能であり、また、この清浄ヘッドには、圧力を受けて清浄液を排出するための回転ノズルが、ハブに設けられており、これによって、前記タンクの内面全体を清浄する。
【0024】
前記駆動システム100は、清浄液を前記タンク清浄装置に供給するための液体入口3を備えたハウジング20を有している。清浄液は、圧力を受けて供給され、この清浄液の前記駆動システム100を通る流れの方向が、矢印A、B、C、Dによって示されている。前記液体入口3と前記液体出口16との間には、流れ領域12が形成されており、この流れ領域12中に、タービン2が配置されている。1分間につき数千回転する速度で回転される前記タービン2は、シャフト17に回転可能にヒンジ接続されており、このシャフト17は、タービンカバー10を介して前記ハウジング20に配置されている。前記タービン2は、円筒形状の部分18に接続されており、この円筒形状の部分18は、前記シャフト17を中心として且つこのシャフト17に沿って延びており、前記シャフト17の反対側で、磁気ヒステリシスプレート4に接続されている。前記タービン2の回転は、前記円筒形状の部分18を介して、前記ハウジング20の上側の部分に位置する前記磁気ヒステリシスプレート4に伝達される。
【0025】
前記清浄ヘッドの回転が低速の回転で行われるので、ギアが、前記タービン2と前記回転シャフト11との間に配置されなければならない。
【0026】
前記ギアは、前記ハウジング20の上部に取り付けられているギアボックス6に収容されており、このギアボックス6は、破線によって概略的に示されている。このギアボックス6は、入力シャフト19と出力シャフト11とを有しており、これらシャフト11、19間には、(図示されていない)接続装置が設けられており、この出力シャフト11は、減速して回転する。
【0027】
前述のように、前記ギアボックス6を有する前記ハウジング20は、前記タンクの外側に取り付けられている。
【0028】
前記流れ領域12中に設けられている前記タービン2と駆動される前記磁気ヒステリシスプレート4との間には接続が無く、前記ハウジング20は、漏れに対する安全手段として、前記タービンカバー10のところで完全に閉じられている。
【0029】
前記タービン2は、前述のように、前記シャフト17に回転可能に配置されており、ディスク形状の前記磁気ヒステリシスプレート4に、前記円筒形状の部分18を介して接続されている。前記磁気ヒステリシスプレート4には、複数の永久磁石が設けられている。これら永久磁石が磁場を形成するか、例えばアルニコ磁石タイプ(the AlNiCo magnetic type)の大きな極面を有する少数の磁石、もしくは大きな磁力と小さな表面積とを備えた多数の小さい永久磁石が、選択され得る。
【0030】
永久磁石の代わりに、電磁石が取り付けられ得、電磁石は、電圧を変えることによって磁場の強度を連続的に変更し得るという効果を有する。このような電磁石は、結合体を介して伝達されるトルク及び/もしくは速度の変更可能な調整機能のオプションを提供する。
【0031】
他の磁気ヒステリシス部分5が、前記タービンカバー10の外側に配置されており、この磁気ヒステリシス部分5は、ディスクとして形成されており、この磁気ヒステリシス部分5と前記ディスク形状の磁気ヒステリシスプレート4とが同じ回転軸を中心として回転可能であるように、この磁気ヒステリシスプレート4と平行に延びている。前記磁気ヒステリシス部分5には、前記磁気ヒステリシスプレート4と一緒にヒステリシス結合体を形成しているヒステリシス磁石9が設けられている。このヒステリシス磁石9は、電気的に絶縁されている鉄粉のような金属酸化物を含む磁性材料によって、好ましくは形成されている。この磁性材料は、前記ヒステリシス部分中での過電流の発生を有効に防ぐ高い等方性の電気抵抗を有している。更に、このような磁気特性は、比較的高温でも、良好である。また、誘電性のフィルムによって互いに絶縁されている強磁性のヒステリシス材料の層を有する薄層状の材料を使用することも、可能である。
【0032】
前記ヒステリシス結合体の機能性及び構造は、この結合体が、前記タービン2によって発生されるトルクを前記ギアボックス6の前記入力シャフト19に伝達し、且つ空隙及びカバーによって互いに分離されている部分を有するように、設定されている。
【0033】
前記ヒステリシス結合体とこれによるトルクとは、磁気ディスク5と前記ヒステリシス磁石9とを前記磁気ヒステリシスプレート4に対して軸方向に移動させることによって、調整され得る。
【0034】
最後に、前記駆動システム100は、前記ギアの回転運動を前記清浄ヘッドの前記回転シャフト11に伝達するように、更なる磁気ヒステリシス結合体によって広げられ得る。これによって、前記ハウジング20中の液体と前記ギアボックス6との間の全体の液体分離が果たされ、かくして、前記ハウジング20が完全に閉じられて、例えばシャフトシールの磨耗によって生じる液体の漏れが防がれる。
【0035】
前述では、永久磁石が使用されることを前提としているが、代わりに電磁石を使用することも可能である。
【0036】
更に、前記結合体の速度を調整するために、前記磁気ディスク5には、ブレーキ装置が設けられている。図1では、前記ブレーキ装置は、1つもしくは複数のブレーキ磁石8を保持したブレーキ磁石ホルダ7として、示されている。前記ブレーキ装置は、前記磁気ディスク5の上方に、これから一定の間隔を空けて、前記磁気ディスク5の一方の周縁部に配置されている。前記ブレーキ磁石8を前記磁気ディスク5に対して軸方向に移動させることによって、前記ヒステリシス結合体の速度が、調整され得る。この装置では、前記磁気ディスク5は、軸方向に移動しないように配置されている。また、この速度は、前記ブレーキ磁石8を、前記磁気ディスク5の回転軸の方へ、もしくはこの回転軸から離れるように、径方向に移動させることによって、もしくは、前記磁気ディスク5に対する前記ブレーキ磁石8の径方向と軸方向との組み合わされた移動によって、調整され得る。
【0037】
代わって、1つもしくは複数のブレーキ磁石8が、このようなブレーキ磁石8の上方に一定の間隔を空けて配置されているブレーキヒステリシスプレート13を有するように、前記磁気ディスク5の周縁の領域に沿って配置されている(図2参照)。前記ブレーキヒステリシスプレート13を前記磁気ディスク5上の前記ブレーキ磁石8に対して軸方向に移動させることによって、ヒステリシス結合体の速度が、調整され得る。図1の実施形態と同様に、前記速度は、前記磁気ディスク5上の前記ブレーキ磁石8に対する前記ブレーキヒステリシスプレート13の径方向の移動、もしくは径方向及び軸方向の移動の組み合わせによっても、調整され得る。
【0038】
図3では、ヒステリシス結合体の更なる実施形態が示されており、この実施形態では、ヒステリシス磁石9が、流れ領域12中に、及び磁気ディスク15上に、配置されている。この磁気ディスク15は、図1及び図2のディスク形状の磁気ヒステリシスプレート4に対応しており、円筒形状の部分18を介して接続されているタービン2と一緒に回転する。図3の実施形態のブレーキ装置は、図2の更なるブレーキ装置に対応しており、1つもしくは複数のブレーキ磁石8が、前記ブレーキ磁石8の上方に一定の間隔を空けて配置されているブレーキヒステリシスプレート13を有するように、磁気ディスク5の周縁の領域に沿って配置されている(図2参照)。前記ブレーキヒステリシスプレート13を前記磁気ディスク5上の前記ブレーキ磁石8に対して軸方向に移動させることによって、ヒステリシス結合体の速度が、調整され得る。図2の実施形態と同様に、前記速度は、前記磁気ディスク5上の前記ブレーキ磁石8に対する前記ブレーキヒステリシスプレート13の径方向の移動、もしくは径方向及び軸方向の移動の組み合わせによっても、調整され得る。
【0039】
図4では、ヒステリシス結合体の更なる実施形態が示されており、このヒステリシス結合体のヒステリシス磁石9が流れ領域12中に及び磁気ディスク15上に配置されているという点において、図3と対応する。前記磁気ディスク15は、図1及び図2のディスク形状の磁気ヒステリシスプレート4に対応しており、円筒形状の部分18を介して接続されているタービン2と一緒に回転する。図4の実施形態のブレーキ装置は、磁気ヒステリシス結合体のブレーキディスク14の一方の周縁部に配置されているブレーキ磁石ホルダ7に1つもしくは複数のブレーキ磁石8が設けられており、図1のブレーキ装置に部分的に対応している。前記ブレーキ磁石8を前記ヒステリシス結合体及びブレーキディスク14に対して軸方向に移動させることによって、ヒステリシス結合体の速度が、調整され得る。図1の実施形態と同様に、前記速度は、前記ブレーキ磁石8の、前記ブレーキディスク14に対する径方向の移動、もしくは径方向及び軸方向の移動の組み合わせによっても、調整され得る。
【0040】
図1及び図4のブレーキ装置では、それぞれ1つのみのブレーキ磁石8とブレーキ磁石ホルダ7とが示されているが、複数のブレーキ磁石8とこれに対応する数のブレーキ磁石ホルダ7とが存在することも可能である。上記では、永久磁石が使用されることが前提とされているが、代わりに電磁石を使用することも可能である。
【0041】
下記に、図1に示されている実施形態のブレーキ装置の機能性が、説明される。
【0042】
清浄液が液体入口3から供給されて方向A、B、C、Dに流れる時に、この液体は、流れ領域を通る。この領域には、タービン2が配置されており、この液体の流れが前記タービン2を回転させる。このタービン2の回転は、円筒形状の部分18を介して、ハウジング20の上側の部分に位置しておりヒステリシス結合体の第1の部分を形成している前記磁気ヒステリシスプレート4に伝達される。ヒステリシス結合体の他方の部分を形成しておりタービンカバー10の外側に配置されている磁気ディスク5が、前記ヒステリシス結合体のすべり機能(slip functionality)によって、前記磁気ヒステリシスプレート4より遅い回転速度で回転される。前記磁気ディスク5と磁気ディスク5に接続されているギアボックス6の入力シャフト19との速度を調整するために、前記ブレーキ磁石8は、前記磁気ディスク5の速度を減じるために磁気ディスク5に近づくように軸方向に移動され、磁気ディスク5の速度を高めるために磁気ディスク5から離れるように軸方向に移動される。
【0043】
図2では、ブレーキ磁石が、磁気ディスク5上に配置されており、この磁気ディスク5と磁気ディスク5に接続されているギアボックス6の入力シャフト19との速度の調整が、前記磁気ディスク5の速度を減じるためにブレーキヒステリシスプレート13を磁気ディスク5に近づくように軸方向に移動させることによって、並びに、磁気ディスク5の速度を高めるために前記ブレーキヒステリシスプレート13を磁気ディスク5から離れるように軸方向に移動させることによって、果たされる。
【0044】
図3の実施形態では、磁気ディスク5の速度の調整が、図2の実施形態に関して説明された方法と同じ方法で、果たされる。図4の実施形態では、前記磁気ディスク5の速度の調整が、図1に関して説明された方法と同じ方法で、果たされる。
【0045】
例えば磁石とヒステリシスプレートとの間のヒステリシス結合体の最大トルクは、前記磁石と前記ヒステリシスプレートとの間の空間を調整するのではなく、前記磁石と前記ヒステリシスプレートとの間に最小の間隔を設けることによって、果たされる。これに対して、速度は、前述のように、1つもしくは複数のブレーキ磁石と磁石キャリアとの間の間隙を拡大もしくは縮小することによって、調整されなければならない。この磁石キャリアは、ヒステリシス結合体のヒステリシスプレート、もしくはヒステリシス結合体の磁気ディスクである。
【0046】
前記ブレーキ装置の機能性の前述の説明では、前記ブレーキヒステリシスプレートと前記ブレーキ磁石ホルダとが、それぞれ結合プレートに対して軸方向に移動されることが、説明されている(図5参照、この図では、a)が第1の位置を示しており、b)が第2の位置を示している)。しかし、前記結合プレートに対して前記ブレーキ磁石ホルダと前記ブレーキヒステリシスプレートとのそれぞれの円周の直径を変えることによってブレーキ力を調整することも可能である(図6参照)。また、前記ブレーキ力を調整するために、前記結合プレートに対する前記ブレーキヒステリシスプレートと前記ブレーキ磁石ホルダとの軸方向と径方向との移動の組み合わせを使用することも可能である(図7参照)。
【0047】
ヒステリシス結合体が使用されることが前提とされているが、ヒステリシスブレーキを磁気結合体と組み合わせることも、可能である。磁気結合体は、複数の永久磁石もしくは電磁石が設けられている磁気誘導子を有するヒステリシス結合体に対して、2つの磁石、即ち上側/下側の磁性体、もしくは内側/外側の磁性体を有している。永久磁石もしくは電磁石は、ヒステリシス結合体を形成するように、ヒステリシスプレートと協動する。前記ヒステリシスプレートは、磁気誘導子の磁石によって磁化されている強磁性の材料によって形成されており、磁気ヒステリシス結合体が設けられる。
【0048】
他の更なる駆動装置が、タービン装置とヒステリシス結合体即ち磁気結合体とを、入力シャフト19を回転させる電気モータ(図示されていない)に代えている。この電気モータは、ギアボックス6の内側もしくは外側に配置される。ヒステリシスブレーキ装置が、この電気モータの速度を減じるように機能する。このヒステリシスブレーキ装置は、一定の速度でのみ動作する非常に簡単且つ低コストの電気モータが、可変のモータ速度を使用する先進的で高価な電気モータの代わりに使用され得るので、魅力的である。
【0049】
ヒステリシスブレーキのブレーキ力は、清浄装置を動作位置に設置する時に、タンクの内部の清浄ヘッドの最良の回転を可能にするように、通例設定される。図面に示されているように、ブレーキ力は前記ギアボックスの内部に生じることが前提とされているが、外側からのヒステリシスブレーキのブレーキの調整を可能にすることも、可能である。
【0050】
本発明は、上に説明されている、及び図面に示されている実施形態に限定されず、添付されている請求項によって規定されている本発明の範囲内で、いかなる方法によっても補完及び修正され得る。
【符号の説明】
【0051】
1…デッキ、2…タービン、3…液体入口、4…磁気ヒステリシスプレート、5…磁気ディスク、6…ギアボックス、7…ブレーキ磁石ホルダ、8…ブレーキ磁石、9…ヒステリシス磁石、10…タービンカバー、11…清浄ヘッドのシャフト、12…流れ領域、13…ブレーキヒステリシス、14…ブレーキディスク、15…流れ領域中の磁気ディスク、16…液体出口、17…シャフト、18…円筒形状の部分、19…入力シャフト、20…ハウジング、A…流れ方向、B…流れ方向、C…流れ方向、D…流れ方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンク(1)の清浄のための清浄装置のための駆動システム(100)であって、この駆動システム(100)は、ギアボックス(6)に接続されている入力シャフト(19)を回転させる駆動装置を有し、前記ギアボックス(6)は、前記駆動装置の回転を、前記タンク(1)中の清浄ヘッドの減速された回転へと伝達する、駆動システム(100)において、
前記入力シャフト(19)には、一方の端部にディスク形状の第1の結合部分(5、14)が設けられており、この駆動システム(100)には、前記駆動装置の速度を調整するためのブレーキ装置が更に備えられており、このブレーキ装置は、前記第1の結合部分(5、14)に近接して配置されていることと、
前記ブレーキ装置は、前記第1の結合部分(5、14)に対する前記ブレーキ部分の距離を変えることによって前記第1の結合部分(5、14)の回転を調整するように、前記駆動装置の前記第1の結合部分(5、14)と相互作用するブレーキ部分(7、8、13)を有していることと、
を特徴とする駆動システム(100)。
【請求項2】
前記ブレーキ装置は、前記駆動装置の前記第1の結合部分(5)の上方に位置されている少なくとも1つの磁石(8)と、前記少なくとも1つの磁石(8)に近接して配置されているヒステリシス部分(13)とによって形成されているヒステリシス結合体である、請求項1に記載の駆動システム(100)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの磁石(8)は、前記駆動装置の前記第1の結合部分(5)の周縁にほぼ沿って配置されており、ブレーキ力が、前記ヒステリシス部分(13)を、前記少なくとも1つの磁石(8)に対して軸方向もしくは径方向に、もしくは軸方向と径方向との両方に移動させることによって与えられる、請求項2に記載の駆動システム(100)。
【請求項4】
前記ブレーキ装置は、前記駆動装置の前記第1の結合部分(5)の周縁部に近接して配置されているブレーキ磁石ホルダ(7)に装着されている少なくとも1つの磁石(8)によって形成されており、前記駆動装置の前記第1の結合部分(5)は、前記ブレーキ装置のヒステリシス部分を構成している、請求項1に記載の駆動システム(100)。
【請求項5】
前記ブレーキ装置のブレーキ力は、前記ブレーキ磁石ホルダ(7)とこれに装着されている前記少なくとも1つの磁石(8)とを、ヒステリシス部分を構成している前記駆動装置の前記第1の結合部分(5)に対して軸方向もしくは径方向に、もしくは軸方向と径方向との両方に移動させることによって、与えられる、請求項4に記載の駆動システム(100)。
【請求項6】
前記ブレーキ装置は、前記ギアボックス(6)中に配置されている、請求項1乃至5のいずれか1に記載の駆動システム(100)。
【請求項7】
前記駆動装置は、前記ギアボックス(6)中に配置されている電気モータユニットである、請求項1乃至6のいずれか1に記載の駆動システム(100)。
【請求項8】
前記駆動装置は、前記入力シャフト(19)に接続されている前記ギアボックス(6)中に収容されている第1の磁気結合部分と、ハウジング(20)中に配置されている第2の磁気結合部分とを有する磁気結合体を有しており、
前記第2の磁気結合部分は、液体チャンネル(12)中に装着されているタービン(2)を有しており、この液体チャンネル(12)には、圧力を受けて清浄液が供給され、この清浄液が、前記タービン(2)を回転させ、
前記タービン(2)の回転は、前記第1の磁気結合部分と前記第2の磁気結合部分とによって形成されている磁気結合体を介して、前記ギアボックス(6)に伝達され、
前記ギアボックス(6)は、前記ハウジング(20)中の清浄液から分離されて取り付けられている、
請求項1乃至6のいずれか1に記載の駆動システム(100)。
【請求項9】
前記駆動装置は、前記ギアボックス(6)中に配置されている第1の結合部分(5、9、14)と、ハウジング(20)中に取り付けられている第2の結合部分(4、15)とから成る磁気ヒステリシス結合体を有しており、
前記第2の結合部分(4、15)は、液体チャンネル(12)中に取り付けられているタービン(2)を有しており、この液体チャンネル(12)には、圧力を受けて清浄液が供給され、この清浄液が、前記タービン(2)を回転させ、
前記タービン(2)の回転は、互いに平行なディスクとしての前記第1の結合部分(5、9、14)と前記第2の結合部分(4、15)とによって形成されている磁気ヒステリシス結合体を介して、前記ギアボックス(6)に伝達され、
入力シャフト(19)が、第1の結合部分(5、9、14)に接続されており、前記タービン(2)は、前記第2の結合部分(4、15)に接続されており、
前記ギアボックス(6)は、前記ハウジング(20)中の清浄液から分離されて取り付けられている、
請求項1乃至6のいずれか1に記載の駆動システム(100)。
【請求項10】
前記ブレーキ装置のヒステリシス部分、即ちヒステリシス結合体は、磁気ヒステリシス材料によって形成されている、請求項1乃至9のいずれか1に記載の駆動システム(100)。
【請求項11】
前記ブレーキ装置の磁気部分、即ちヒステリシス結合体には、必要な磁場の強さ及び極性を発生させるために、複数の永久磁石が設けられている、請求項1乃至10のいずれか1に記載の駆動システム(100)。
【請求項12】
前記磁気部分には、前記ヒステリシス部分もしくは前記磁気部分を移動させる代わりに、磁場の強さの可変の調整のために、電磁石が設けられている、請求項1乃至10のいずれか1に記載の駆動システム(100)。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか1に記載の駆動システムを有することを特徴とする、タンク(1)を清浄するための清浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−507250(P2013−507250A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534141(P2012−534141)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【国際出願番号】PCT/SE2010/051035
【国際公開番号】WO2011/053221
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(502305917)アルファ・ラバル・コーポレイト・エービー (21)
【Fターム(参考)】