説明

渦電流式試料測定方法と渦電流センサ

【課題】 試料に印加する交流磁界の発生磁束が磁心全般に広がるため検知される空間分解能(測定分解能)が低下する。
【解決手段】 磁心が磁気特性に加えて誘電特性が顕著となる材料製である渦電流センサを使用し、磁気及び誘電特性の複合作用によって生ずる磁心内部の電磁波が定在波となる周波数(寸法共鳴が生ずる周波数)又はその近傍の周波数で前記渦電流センサを作動させて(磁心を励磁して)定在波の山の部分に磁束を集中させて、その磁界(磁束断面積)を磁心の磁路断面積より小さくし、その磁束を渦電流センサの磁心に与えるようにした。渦電流センサの磁心を、磁気特性に加えて誘電特性が顕著となる材料製として、励磁時の磁気及び誘電特性の複合作用によって生ずる磁心内部の電磁波が定在波となる周波数で作動させると、発生磁束が定在波の山の部分に集中するようにした。磁心材料をMn−Znフェライトとすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、半導体ウェハやガラス基板等の各種基板上に、スパッタリング法、CVD法、PVD法等の各種方法により形成された金属薄膜(導電膜)などの被測定物(試料)の抵抗率、シート抵抗といった電気特性、膜厚、傷といった物理的状況等を、試料に非接触で測定できる渦電流式試料測定方法と、渦電流型センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
渦電流式試料測定方法及びそれに使用される渦電流センサは従来からある。従来の渦電流センサの一例を図24、図25に示す。図24の渦電流センサは片面方式であり、図25の渦電流センサは両面方式である。図24、図25の渦電流センサでは自励発振器Aから発振される交流電流をフェライト製のコアBに巻かれているセンサコイル(励磁コイル)Cに加えると試料Dに渦電流が流れ、渦電流の影響で励磁コイルCに流れる電流が変化することを利用して試料Dの導電膜の物理定数を測定できるものである。この場合、自励発振器Aから発振される交流電流は検波器Eで検波され、検波された電圧と基準電圧発生器Fから発生される基準電圧とが誤差増幅器Gで比較され、誤差増幅器Gの出力で振幅電圧制御器Hが制御されて自励発振器Aから発振される交流電圧が一定にコントロールされる。電流検波器Iでは渦電流の影響による前記電流変化を検出し、検出信号を演算処理して試料Dのシート抵抗、抵抗率、膜厚等を測定することができる。渦電流センサ、渦電流式測定方法はこの他にも各種ある(例えば特許文献1、2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2007−333439
【特許文献2】特開2006−208331
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
渦電流方式の測定原理は前記のとおり、励磁コイルCに供給される高周波電圧を一定に制御し、測定する試料Dの抵抗値により変化する電流を検出することにあるが、従来の測定方法では次のような課題があった。
1.試料に印加する交流磁界の発生磁束が磁心全般に広がるため検知される空間分解能(測定分解能)が磁心の磁路断面積の大きさに制約され、磁心の磁路断面積より小さい分解能を得ることができない。
2.実際の測定ではコアBに巻かれた励磁コイルCと自励発振器Aの間に接続用のリード線が必要であり、リード線の長さは測定する試料の大きさにもよるが長い場合は数10cm以上必要となることがあり、その等価回路は図26のようになる。図26のL1は励磁コイルCのインダクタンス、R1は試料Dの等価抵抗、R2は磁心の鉄損に起因する抵抗、L2、L3はリード線のインダクタンス、R3、R4はリード線の抵抗成分、V2は印加電圧、Iは電流検出器である。実際の測定では図24、図25の自励発振器Aの振幅電圧を一定に制御しているため、励起コイルCと直列に存在するリード線のインダクタンスL2、L3及び抵抗成分R3、R4の影響を受けて、励磁コイルCに供給される高周波電圧を一定に保つことが出来ず測定誤差の要因となっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
渦電流センサの磁心材料に、磁気特性に加えて誘電特性が顕著となるMn−Znフェライトなどを使用した場合、例えば、MHz帯の高周波励磁下において、磁心内部の電磁波が定在波となる現象が知られており、これを寸法共鳴と称している。寸法共鳴は磁心の磁路断面積(磁心寸法)に起因した共鳴であるため、共鳴周波数は励磁周波数を一定にして磁心の寸法を変えても、磁路断面積を一定にして励磁周波数を変えても、寸法共鳴又は定在波の状態を制御できる。
【0006】
本発明の第一の渦電流式試料測定方法は、前記寸法共鳴の原理を応用した測定方法であり、請求項1記載のように、磁心が磁気特性に加えて誘電特性が顕著となる材料製である渦電流センサを使用し、磁気及び誘電特性の複合作用によって生ずる磁心内部の電磁波が定在波となる周波数(寸法共鳴が生ずる周波数)又はその近傍の周波数で前記渦電流センサを作動させて(磁心を励磁して)定在波の山の部分に磁束を集中させて、その磁界発生面積(磁束断面積)を磁心の磁路断面積より小さくし、その磁束を試料に与えるようにした測定方法である。
【0007】
本発明の第二の渦電流式試料測定方法は、請求項2記載のように、請求項1記載の渦電流式試料測定方法において、励磁コイルとは別に一又は二以上の検出コイルが巻かれた渦電流センサを使用し、請求項1記載の渦電流式試料測定方法により試料測定し、その試料測定により渦電流の影響を受けた渦電流センサの前記一又は二以上の検出コイルの誘起電圧を、夫々の検出コイルに接続された高入力インピーダンスの検出器で検出する測定方法である。
【0008】
本発明の第三の渦電流式試料測定方法は、請求項3記載のように、請求項2記載の渦電流式試料測定方法において、励磁コイルとは別に一又は二以上の検出コイルが巻かれた渦電流センサを二セット使用し、一方は測定用、他方は非測定用とし、両渦電流センサの検出コイルをそれらの誘起電圧が逆方向となるように直列接続して両渦電流センサに試料がセットされない場合は直列回路に電圧が発生しないようにし、非測定用渦電流センサには試料をセットせず、測定用渦電流センサには試料をセットして両渦電流センサに励磁電圧を印加し、測定用渦電流センサでは請求項1記載の渦電流式試料測定方法により試料測定し、試料測定により渦電流の影響を受けた前記測定用渦電流センサの検出コイルの誘起電圧と非測定用渦電流センサの検出コイルの誘起電圧との電圧差を前記直列回路において高入力インピーダンスの検出器で検出する測定方法である。
【0009】
本発明の渦電流型センサは、請求項4記載のように、渦電流センサの磁心を、磁気特性に加えて誘電特性が顕著となる材料製として、励磁時の磁気及び誘電特性の複合作用によって生ずる磁心内部の電磁波が定在波となる周波数又はその近傍の周波数で作動させると、発生磁束が定在波の山の部分に集中するようにしたものである。この場合、請求項5記載のように、前記磁心材料をMn−Znフェライトとすることができる。請求項6記載のように、前記渦電流センサにおいて、渦電流センサの磁心に、交流磁界を発生させる励磁コイルとは別に、試料測定により渦電流の影響を受けた渦電流センサの誘起電圧を検出する検出コイルを一又は二以上設けたものとすることもできる。
【発明の効果】
【0010】
本願の請求項1記載の渦電流式測定方法は次のような効果がある。
(1)磁心の磁路断面積より小さい範囲に磁界を集中発生させ、その磁界を試料に与えるので、渦電流センサの磁心の磁路断面積より小さい空間分解能を得ることができ、検出精度が向上する。
(2)従前のNi−Znフェライトコアの巻線への印加電圧と同じ電圧値で、試料の測定導電率の空間分解能を向上させることができる。
【0011】
本願の請求項2記載の渦電流式測定方法は、励磁コイルとは別に一又は二以上の検出コイルが巻かれた渦電流センサを使用し、前記試料測定時に、その試料測定により渦電流の影響を受けた渦電流センサの前記一又は二以上の検出コイルの誘起電圧を、夫々の検出コイルに接続された高入力インピーダンスの検出器で検出するので次のような効果がある。
(1)励磁コイルのリード線のインダクタンス、抵抗等の影響を受けることなく励磁コイルの励起電圧を検出でき、試料の抵抗率、シート抵抗、膜厚などを従来方式に比べて高精度、高感度で測定可能となり、励磁コイルの入力端子で励起電圧を検出していた従来の測定方法では検出困難であった試料の潜在的課題を検出することも可能となる。
(2)請求項2記載の渦電流式測定方法は、高入力インピーダンスの検出器で検出された検出電圧を、励磁コイルに印加する印加電圧の制御に使用するので、印加電圧の安定化を図ることができる。
【0012】
本願の請求項3記載の渦電流式測定方法は、励磁コイルとは別に一又は二以上の検出コ
イルが巻かれた渦電流センサを二セット使用して、一方は測定用、他方は非測定用とし、非測定用渦電流センサの検出コイルの誘起電圧と、試料測定により渦電流の影響を受けた測定用渦電流センサの検出コイルの誘起電圧との電圧差を検出する差動方式であるため、渦電流による影響を受けた励磁コイルの印加電圧のみを高精度、高感度で検出できる。
【0013】
本発明の請求項4から請求項6記載の渦電流センサは、磁心が磁気特性に加えて誘電特性が顕著となる材料製であるため、磁気及び誘電特性の複合作用によって生ずる磁心内部の電磁波が定在波となる周波数で磁心を作動させると、発生磁束が定在波の山の部分に集中し、密度の高い磁界を試料に与えることができるため、その磁心への印加電圧が、従前のNi−Znフェライトコアの巻線への印加電圧と同じ電圧値でも、試料の測定導電率の空間分解能が向上する。
【0014】
本発明の請求項5記載の渦電流センサは、磁心材料がMn−Znフェライトであるため、Ni−Zn系に比較して、磁気特性に加えて誘電特性が顕著となり、検出感度が向上する。
【0015】
本発明の請求項6記載の渦電流センサは、交流磁界を発生させる励磁コイルとは別に試料測定により渦電流の影響を受けた渦電流センサの誘起電圧を検出する検出コイルを磁心に設けたので、次のような効果がある。
(1)検出コイルに高入力インピーダンスの検出器を接続して電圧検出することにより、励磁コイルのリード線のインダクタンス、抵抗等の影響を受けることなく励磁コイルの印加電圧を高精度、高感度で検出可能となる。
(2)前記検出電圧を励磁コイルに印加する高周波電圧の制御に利用できるため、励磁コイルに印加する高周波励磁電圧を安定させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(渦電流式測定方法及び渦電流センサの実施形態1)
本発明の渦電流センサは、図1(d)の形状のコア(磁心)Bを、磁気特性に加えて誘電特性が顕著となる材料製、例えば、Mn−Znフェライト製としてあり、それにセンサコイル(励磁コイル)Cが巻かれ、その励磁コイルCの両端子を交流電圧印加端子としてある。コアBには前記材料以外の材料、例えばNi−Zn系フェライト等を使用することもできる。
【0017】
本発明の渦電流式測定方法は図2に示す試料測定システムで試料測定することができる。図2は図1(a)に示す渦電流センサ2を試料Dの一面側に対向配置して片面センサ式とし、その渦電流センサ2のコアBに巻かれている励磁コイルCに、自励発振器Aから発振される交流電圧(高周波電圧)を加えて磁心に磁界を発生させ、その磁界を試料Dに与えて試料Dに渦電流を発生させる方法である。この渦電流がジュール熱となって失われることから高周波電力の試料D内での吸収がおこり、励磁コイルCに流れる電流が変化する。この吸収と導電率とが正の相関を持つことから、非接触で試料Dの抵抗率測定を行うことができる。即ち、前記渦電流の影響による電流変化を利用して試料Dの導電膜を測定することができる。この場合、自励発振器Aから発振される交流電流は検波器Eで検波され、検波された電圧と基準電圧発生器Fから発生される基準電圧とが誤差増幅器Gで比較され、誤差増幅器Gの出力で振幅電圧制御器Hが制御されて自励発振器Aから発振される交流電圧が一定にコントロールされる。電流検出器Iでは渦電流の影響による前記電流変化を検出し、検出信号を演算処理して試料Dのシート抵抗、抵抗率、膜厚等を測定することができる。
【0018】
本発明の渦電流式測定方法では、前記自励発振器Aから発振される交流電圧(高周波電圧)の周波数を、磁気及び誘電特性の複合作用によって生ずる磁心内部の電磁波が定在波となる周波数にして、磁界をこの定在波の山の部分に集中(収束)させ、この磁界(磁束)の断面積を磁路断面積よりも小さくして試料Dに与える。磁界が定在波の山の部分に集中する周波数では前記電力吸収が増加し、電流損失が急増するので電流損失を確実に検知することができる。この場合、磁束断面積が磁心の磁路断面積よりも小さいので、磁心の磁路断面積よりも小さい空間分解能を得ることができる。
【0019】
励磁コイルに印加する高周波電圧の周波数(励磁周波数)と磁心の磁路断面積と磁束密度の関係は、次の計算データから求めることができ、それを図解すると図4から図15のようになる。図4から図15において、グラフの横軸は図1(d)のコアBの中心部bの円形磁路断面の中心からの距離をその外径で正規化したもので、縦軸はその位置における磁束密度の振幅最大値Bmを示す。図1(d)のcはコアBの輪郭部である。

磁界の強さHの単位は〔A/m〕、磁束密度Bの単位は〔T〕又は〔wb/m2〕、磁束φの単位は〔wb〕である。
【0020】
図4は励磁周波数0.4MHz、図5は励磁周波数0.6MHz、図6は励磁周波数0.8MHz、図7は励磁周波数1MHz、図8は励磁周波数1.2MHz、図9は励磁周波数1.4MHz、図10は励磁周波数1.6MHz、図11は励磁周波数1.8MHz、図12は励磁周波数2MHz、図13は励磁周波数3MHz、図14は励磁周波数5MHz、図15は励磁周波数10MHzの場合である。
【0021】
(計算データ)

【0022】
励磁周波数が100kHz以下では、磁路断面に磁束は均一に分布するが、励磁周波数0.4MHz〜1.4MHz(図4〜図9)では磁路中心部の磁束密度が高く、励磁周波数1.6MHz〜10MHz(図10〜図15)では磁路外周部の磁束密度が高くなっている。このうち、0.4MHz、1MHz、1.2MHz、1.4MHz、2MHz、10MHzの磁束密度分布を円形磁路断面積の直径について表示すると図16のようになる。本発明では磁束密度が集中し易い励磁周波数を選択して、励磁コイルに印加する。
【0023】
(渦電流式測定方法及び渦電流センサの実施形態2)
本発明の渦電流式測定方法は図3に示す試料測定システムで測定することもできる。図3の測定システムは、図1(a)の渦電流センサ2を対向させ、両渦電流センサ2間のギャップに試料Dを入れる(セットできる)ようにした両面センサ方式である。図3の両渦電流センサ2のコアBに巻かれた励磁コイルCの巻き方向は、両渦電流センサ2の磁束φの発生方向(フレミングの右手の法則に基づく磁力発生方向)が互いに加算される方向になるようにする。磁束φの発生方向は励磁コイルCに流れる高周波電流の変化に応じて反転する。
【0024】
図3では、両渦電流センサ2のコアBに巻かれた励磁コイルCに、自励発振器Aから発振される高周波電圧を加えると、ギャップ内にセットした試料Dに渦電流が流れ、渦電流の影響で励磁コイルCに流れる電流が変化する。この場合、自励発振器Aから発振される交流電流は検波器Eで検波され、検波された電圧と基準電圧発生器Fから発生される基準電圧とが誤差増幅器Gで比較され、誤差増幅器Gの出力で振幅電圧制御器Hが制御されて自励発振器Aから発振される交流電圧が一定にコントロールされる。電流検出器Iでは渦電流の影響による前記電流変化を検出し、検出信号を演算処理して試料Dのシート抵抗、抵抗率、膜厚等を測定することができる。前記高周波電圧の周波数は、磁気及び誘電特性の複合作用によって生ずる磁心内部の電磁波が定在波となる周波数である。
【0025】
(渦電流式測定方法及び渦電流センサの実施形態3)
本発明の渦電流式測定方法では、渦電流センサとして図1(b)のように、磁心Bに、励磁コイルCとは別に、検出コイル1をも巻き、その両端子を検出端子としたものを使用することもできる。検出コイル1は励磁コイルCの上に重ねて巻くことも、励磁コイルCとは別の箇所に巻くこともできる。励磁コイルCの巻き数と検出コイル1の巻き数は任意に選択することができる。
【0026】
本発明の渦電流式測定は図17の試料測定システムで行うこともできる。図17の試料測定システムは図1(b)のように、磁心Bに励磁コイルCとは別に検出コイル1を備えた渦電流センサ2を片面センサ式として使用し、検出コイル1の両端(測定端)に高入力インピーダンス検出器Jを接続してある。この高入力インピーダンス検出器Jのインピーダンスは、検出コイル1のリード線のインダクタンス及び抵抗分(インピーダンス)に対して数倍の高インピーダンスである。図17の測定方法でも、渦電流センサ2の励磁コイルCに自励発振器Aから発振される交流電圧(高周波電圧)を加える。この高周波電圧の周波数(励磁周波数)も、磁気及び誘電特性の複合作用によって生ずる磁心内部の電磁波が定在波となる周波数にして、磁界を定在波の山の部分に集中させ、この磁束断面積を磁心の磁路断面積よりも小さくして試料Dに与えることができるようにする。
【0027】
前記磁界が与えられた試料Dには渦電流が流れ、渦電流の影響で励磁コイルCに流れる電流が変化する。この電流変化に伴う電圧変化が検出コイル1の両端(測定端)に接続された高入力インピーダンス検出器Jで検出され、検波器Eで検波される。この検波電圧と、基準電圧発生器Fから発生される基準電圧とが誤差増幅器Gで比較され、誤差増幅器Gからの出力で振幅電圧制御器Hが制御されて自励発振器Aから発振される交流電圧が一定にコントロールされて励磁コイルCに加えられる。このとき、前記渦電流の影響で励磁コイルCに流れる電流変化が電流検出器Iで検出され、その検出値から、試料Dに渦電流が発生することより生じた消費電力、即ち、試料Dの抵抗率やシート抵抗等を知ることができ、その検知に基づいて導電膜の膜厚、傷等を知ることができる。図17の渦電流式試料測定システムの等価回路は図18のようになる。図18のL1は励磁コイルCのインダクタンス、R1は試料Dの等価抵抗、R2は磁心の鉄損に起因する抵抗、L2、L3はリード線のインダクタンス、R3、R4はリード線の抵抗成分、V2は印加電圧、Iは電流検出器、Vは検出コイル1の測定端の電圧計である。
【0028】
(渦電流式測定方法及び渦電流センサの実施形態4)
図19は図1(b)の渦電流センサ2を対向させて両面センサ式とした試料測定システムであり、両渦電流センサ2の検出コイル1の測定端に高入力インピーダンス検出器Jを接続してある。この場合も、図19の両渦電流センサ2のコアBに巻かれた励磁コイルCの巻き方向は、両渦電流センサ2の磁束φの発生方向(フレミングの右手の法則に基づく磁力発生方向)が互いに加算される方向になるようにする。この場合も、磁束φの発生方向は励磁コイルCに流れる高周波電流の変化に応じて反転する。
【0029】
図19の両渦電流センサ2の励磁コイルCに、自励発振器Aから発振される交流電圧(高周波電圧)を加えると、ギャップ内にセットした試料Dに渦電流が流れ、渦電流の影響で励磁コイルCに流れる電流が変化する。この電流変化に伴う電圧変化が検出コイル1の両端(測定端)に接続された高入力インピーダンス検出器Jで検出される。その検出電圧は検波器Eで検波され、その検波電圧と基準電圧発生器Fから発生される基準電圧とが誤差増幅器Gで比較され、誤差増幅器Gからの出力で振幅電圧制御器Hが制御されて自励発振器Aから発振される交流電圧が一定にコントロールされて励磁コイルCに加えられるようにしてある。このときも、前記渦電流の影響で励磁コイルCに流れる電流変化が電流検出器Iで検出され、その検出値から、試料Dに渦電流が発生することより生じた消費電力、即ち、試料Dの抵抗率やシート抵抗等を知ることができ、その検知に基づいて導電膜の膜厚、傷等を知ることができる。この場合の励磁周波数も磁気及び誘電特性の複合作用によって生ずる磁心内部の電磁波が定在波となる周波数にして、磁界を定在波の山の部分に集中させて磁束断面積を磁心の磁路断面積よりも小さくして試料Dに与えることができるようにする。
【0030】
(渦電流式試料測定方法及び渦電流センサの実施形態5)
本発明の渦電流式試料測定方法の他の例を図20に示す。図20は片面式の渦電流センサ2を2セット使用した片面センサ差動方式であり、第一渦電流センサ2はその励磁コイルCに励磁電流を流して試料Dを測定する測定用センサとし、第二渦電流センサ2は試料をセットせずに励磁コイルCに励磁電流を流すだけの非測定用としてあり、両渦電流センサ2の検出コイル1は夫々の誘起電圧が逆方向となるように直列接続して、試料がない場合は励磁コイルCに励磁電圧を印加してもこの直列回路に誘起電圧が発生しないようにしてある。
【0031】
図20において、両渦電流センサ2の励磁コイルCに自励発振器Gから発振される交流電圧を加えると、測定用渦電流センサ(第一渦電流センサ)2のギャップ内にセットした試料Dに渦電流が流れ、渦電流の影響で励磁コイルCに流れる電流が変化するが、非測定用渦電流センサ(第二渦電流センサ)2のギャップ内には試料がセットされていないので渦電流損が発生しない。このとき両渦電流センサ2の検出コイル1に電圧が誘起されるが、前記直列接続された両検出コイル1の両端(測定端)電圧は両誘起電圧の差分電圧となる。この差分電圧が高入力インピーダンス検出器Jで検出される。高入力インピーダンス検出器Jのインピーダンスは両検出コイル1のリード線のインダクタンス及び抵抗分(インピーダンス)に対して数倍の高インピーダンスであるため前記差分電圧は測定用渦電流センサで試料測定されたときの渦電流の影響による電圧のみとなり、両検出コイル1と高入力インピーダンス検出器Jの間のリード線のインピーダンスは無視できる値(相殺された値)となる。
【0032】
図20の渦電流式試料測定方法では、励磁コイルCに印加される交流電圧が変動しても、高入力インピーダンス検出器Jで検出される出力は、前記のように差分電圧、即ち、測定用渦電流センサ2の試料Dに渦電流が発生することより生じた消費電力、即ち、試料Dの抵抗率やシート抵抗等だけとなる。この出力は試料の導電膜の膜厚、傷等の演算処理に使用し、振幅電圧制御器Hの制御には使用しない。図20では、振幅電圧制御器Hの制御には基準電圧発生器Fから発生される基準電圧と、自励発振器Aから検波した検波電圧とを誤差増幅器Gで比較し、誤差増幅器Gからの出力で振幅電圧制御器Hを制御して、自励発振器Aから発振される交流電圧を一定にコントロールして励磁コイルCに加えるようにしてある。この場合の励磁周波数も磁気及び誘電特性の複合作用によって生ずる磁心内部の電磁波が定在波となる周波数にして、磁界を定在波の山の部分に集中させて磁束断面積を磁心の磁路断面積よりも小さくして試料Dに与えることができるようにする。
【0033】
(渦電流式試料測定方法及び渦電流センサの実施形態6)
本発明の渦電流式試料測定方法の他の例を図21に示す。図21に示すものは両面式の渦電流センサ2を2セット使用した両面センサ差動方式である。図21の両渦電流センサ2のコアBに巻かれた励磁コイルCの巻き方向も、両渦電流センサ2の磁束φの発生方向が図6のように互いに加算される方向になるようにしてある。この磁束φも励磁コイルCに流れる高周波電流の変化に対応して発生方向が反転する。
【0034】
図21の2つの渦電流センサ2の検出コイル1は夫々の誘起電圧が逆方向となるように直列接続されており、第一渦電流センサ2は励磁コイルCに励磁電流を流して試料Dを測定する測定用センサ、第二渦電流センサ2は試料をセットせずに励磁コイルCに励磁電流を流すだけの非測定用渦電流センサとしてある。両渦電流センサ2の夫々の励磁コイルCに励磁電流が流れることにより両渦電流センサ2の夫々の検出コイル1には誘起電圧が誘起される。図21では両検出コイル1は誘起電圧が逆方向になるように直列接続されている。
【0035】
図21において、両渦電流センサ2の励磁コイルCに自励発振器Gから発振される交流電圧を加えると、測定用渦電流センサ(第一渦電流センサ)2のギャップ内にセットした試料Dには渦電流が流れ、渦電流の影響で励磁コイルCに流れる電流が変化するが、非測定用渦電流センサ(第二渦電流センサ)2のギャップ内には試料がセットされていないので渦電流損が発生しない。このとき両検出コイル1に誘起電圧が誘起されるが、前記直列接続された両検出コイル1の両端(測定端)の電圧は両誘起電圧の差分電圧となる。この差分電圧が高入力インピーダンス検出器Jで検出される。検出される出力は図5の場合と同様に差分電圧、即ち、測定用渦電流センサ2の試料Dに渦電流が発生することより生じた消費電力、即ち、試料の抵抗率やシート抵抗等だけとなるため、振幅電圧制御器Hの制御には利用せず、試料の導電膜の膜厚、傷等の演算処理に使用する。図6でも基準電圧発生器Fから発生される基準電圧と、自励発振器Aから検波した検波電圧とが誤差増幅器Gで比較され、誤差増幅器Gからの出力で振幅電圧制御器Hが制御されて、自励発振器Aから発振される交流電圧が一定にコントロールされて励磁コイルCに加えられるようにしてある。この場合の励磁周波数も磁気及び誘電特性の複合作用によって生ずる磁心内部の電磁波が定在波となる周波数にして、磁界を定在波の山の部分に集中させて磁束断面積を磁心の磁路断面積よりも小さくして試料Dに与えることができるようにする。
【0036】
(渦電流式試料測定方法及び渦電流センサの実施形態7)
本発明の渦電流式試料測定方法の他の例を図22に示す。図22に示すものは図1(c)のように励磁コイルC、検出コイル1の他に第二検出コイル3を設けた渦電流センサ2を2セット使用した両面センサ差動方式であり、2セットの渦電流センサ2に第二検出コイル3を巻き、2セットの渦電流センサ2の第二検出コイル3を夫々の誘起電圧が同方向となるように直列接続してある。図22の両渦電流センサ2の励磁コイルCの巻き方向も、両渦電流センサ2の磁束φの発生方向が互いに加算される方向になるようにしてある。この磁束φも励磁コイルCに流れる高周波電流の変化に対応して発生方向が反転する。
【0037】
図22でも第一渦電流センサ2は励磁コイルCに励磁電流を流して試料Dを測定する測定用センサとし、第二渦電流センサ2は試料をセットせずに励磁コイルCに励磁電流を流すだけの非測定用渦電流センサとしてある。図22の非測定用渦電流センサ(第二渦電流センサ)2に試料をセットせず、測定用渦電流センサ(第一渦電流センサ)2には試料Dをセットして両渦電流センサ2に励磁電圧を印加すると、非測定用渦電流センサ2の第一検出コイル1の誘起電圧と測定用渦電流センサ2の第一検出コイル1の誘起電圧の差が高入力インピーダンス検出器Jで検出される。このとき、試料測定により渦電流の影響を受けた測定用渦電流センサの第二検出コイル3の誘起電圧が第二の高入力インピーダンス検出器K(図22)で検出され、その検出電圧が検波器Eで検波され、誤差増幅器Gに入力されて、振幅電圧制御器Hの制御に使用できるようにしてある。この場合の励磁周波数も磁気及び誘電特性の複合作用によって生ずる磁心内部の電磁波が定在波となる周波数にして、磁界を定在波の山の部分に集中させて磁束断面積を磁心の磁路断面積よりも小さくして試料Dに与えることができるようにする。
【0038】
(渦電流式試料測定方法及び渦電流センサの実施形態8)
本発明の渦電流式試料測定方法の他の例を図23に示す。これは第二検出コイル3を測定用渦電流センサ2のコアのみに巻いて、非測定用渦電流センサ2のコアには巻かない方式である。この場合も、非測定用渦電流センサ2に試料をセットせず、測定用渦電流センサ2には試料Dをセットして両渦電流センサ2に励磁電圧を印加すると、非測定用渦電流センサ2の第一検出コイル1の誘起電圧と測定用渦電流センサ2の第一検出コイルの誘起電圧の差が高入力インピーダンス検出器Jで検出され、同時に、試料測定により渦電流の影響を受けた測定用渦電流センサ2の第二検出コイル3の誘起電圧が第二の高入力インピーダンス検出器K(図23)で検出される。この検出電圧を検波器Eで検波し、誤差増幅器Gに入力して、振幅電圧制御器Hの制御に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】(a)〜(c)は本発明の検出コイル付き渦電流センサの異なる巻線例を示す概要図、(d)は渦電流センサのコアの斜視図。
【図2】本発明の片面センサ方式の渦電流式試料測定方法の一例の説明図。
【図3】本発明の両面センサ方式の渦電流式試料測定方法の一例の説明図。
【図4】本発明の渦電流式測定方法における励磁周波数0.4MHzのときの磁束密度と磁路断面積の関係を示す説明図。
【図5】本発明の渦電流式測定方法における励磁周波数0.6MHzのときの磁束密度と磁路断面積の関係を示す説明図。
【図6】本発明の渦電流式測定方法における励磁周波数0.8MHzのときの磁束密度と磁路断面積の関係を示す説明図。
【図7】本発明の渦電流式測定方法における励磁周波数1MHzのときの磁束密度と磁路断面積の関係を示す説明図。
【図8】本発明の渦電流式測定方法における励磁周波数1.2MHzのときの磁束密度と磁路断面積の関係を示す説明図。
【図9】本発明の渦電流式測定方法における励磁周波数1.4MHzのときの磁束密度と磁路断面積の関係を示す説明図。
【図10】本発明の渦電流式測定方法における励磁周波数1.6MHzのときの磁束密度と磁路断面積の関係を示す説明図。
【図11】本発明の渦電流式測定方法における励磁周波数1.8MHzのときの磁束密度と磁路断面積の関係を示す説明図。
【図12】本発明の渦電流式測定方法における励磁周波数2MHzのときの磁束密度と磁路断面積の関係を示す説明図。
【図13】本発明の渦電流式測定方法における励磁周波数3MHzのときの磁束密度と磁路断面積の関係を示す説明図。
【図14】本発明の渦電流式測定方法における励磁周波数5MHzのときの磁束密度と磁路断面積の関係を示す説明図。
【図15】本発明の渦電流式測定方法における励磁周波数10MHzのときの磁束密度と磁路断面積の関係を示す説明図。
【図16】本発明の渦電流式測定方法における励磁周波数と磁束密度と磁路断面積(直径)の関係を示す説明図。
【図17】検出コイルを備えた磁心を片面センサ方式にした本発明の渦電流式試料測定方法の一例の説明図。
【図18】図17の渦電流式測定用システムの等価回路図。
【図19】検出コイルを備えた磁心を両面センサ方式にした本発明の渦電流式試料測定方法の一例の説明図。
【図20】検出コイルを備えた磁心を片面センサ差動方式にした本発明の渦電流式試料測定方法の一例の説明図。
【図21】検出コイルを備えた磁心を両面センサ差動方式にした本発明の渦電流式試料測定方法の一例の説明図。
【図22】第一検出コイル、第二検出コイルを備えた磁心を両面センサ差動方式にした本発明の渦電流式試料測定方法の一例の説明図。
【図23】測定用渦電流センサに第一検出コイル、第二検出コイルを備えた渦電流センサを、測定用渦電流センサに第一検出コイルを備えた渦電流センサを使用し、それら渦電流センサを両面センサ差動方式にした本発明の渦電流式測定システムの一例の説明図。
【図24】従来の片面センサ方式の渦電流式試料測定方法の説明図。
【図25】従来の両面センサ方式の渦電流式試料測定方法の説明図。
【図26】従来の片面センサ方式の渦電流式試料測定方法の等価回路図。
【符号の説明】
【0040】
1 検出コイル(第一検出コイル)
2 渦電流センサ
3 第二検出コイル
A 自励発信器
B コア(磁心)
C センサコイル(励磁コイル)
D 試料
E 検波器
F 基準電圧発生器
G 誤差増幅器
H 振幅電圧制御器
I 電流検出器
J 高入力インピーダンス検出器
K 第二の高入力インピーダンス検出器
L1 励磁コイルのインダクタンス
L2、L3 リード線のインダクタンス
R1 試料の等価抵抗
R2 磁心の鉄損に起因する抵抗
R3、R4 リード線の抵抗成分
V2 印加電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料に交流磁界を印加して渦電流を発生させ、その渦電流による電力吸収を検出して試料の抵抗率、シート抵抗、膜厚といった各種測定を行う渦電流式試料測定方法において、その測定に、磁気特性に加えて誘電特性が顕著となる磁心材料製の渦電流センサを使用し、渦電流センサの磁心内部に電磁波の寸法共鳴を発生させること、又は、その渦電流センサを磁気及び誘電特性の複合作用によって生ずる磁心内部の電磁波が定在波となる周波数又はその近傍の周波数で磁心を励磁して、定在波の山の部分に集中した磁束を発生させることによりその磁束断面積を磁心の磁路断面積より小さくし、その磁束を試料に与えて試料に渦電流を生じさせることを特徴とする渦電流式試料測定方法。
【請求項2】
請求項1記載の渦電流式試料測定方法において、励磁コイルとは別に一又は二以上の検出コイルが巻かれた渦電流センサを使用し、請求項1記載の渦電流式試料測定方法により試料測定し、その試料測定により渦電流の影響を受けた渦電流センサの前記一又は二以上の検出コイルの誘起電圧を、夫々の検出コイルに接続された高入力インピーダンスの検出器で検出することを特徴とする渦電流式試料測定方法。
【請求項3】
請求項2記載の渦電流式試料測定方法において、励磁コイルとは別に一又は二以上の検出コイルが巻かれた渦電流センサを二セット使用し、一方は測定用、他方は非測定用とし、両渦電流センサの検出コイルをそれらの誘起電圧が逆方向となるように直列接続して両渦電流センサに試料がセットされない場合は直列回路に電圧が発生しないようにし、非測定用渦電流センサには試料をセットせず、測定用渦電流センサには試料をセットして両渦電流センサに励磁電圧を印加し、測定用渦電流センサでは請求項1記載の渦電流式試料測定方法により試料測定し、試料測定により渦電流の影響を受けた前記測定用渦電流センサの検出コイルの誘起電圧と非測定用渦電流センサの検出コイルの誘起電圧との電圧差を前記直列回路において高入力インピーダンスの検出器で検出することを特徴とする渦電流式試料測定方法。
【請求項4】
試料に交流磁界を印加して渦電流を発生させ、その渦電流による電力吸収を検出して試料の抵抗率、シート抵抗、膜厚といった各種測定に使用される渦電流センサにおいて、渦電流センサは磁気特性に加えて誘電特性が顕著となる磁心材料製であり、磁気及び誘電特性の複合作用によって生ずる磁心内部の電磁波が定在波となる周波数又はその近傍の周波数で励磁コイルを励磁すると、磁心に発生する磁界が定在波の山の部分に集中して、その磁界の磁束断面積が磁心の磁路断面積より小さくなるようにしたことを特徴とする渦電流センサ。
【請求項5】
請求項4記載の渦電流センサにおいて、磁心材料がMn−Znフェライトであることを特徴とする渦電流センサ。
【請求項6】
請求項4又は請求項5記載の渦電流センサにおいて、渦電流センサの磁心に、交流磁界を発生させる励磁コイルとは別に、試料測定により渦電流の影響を受けた渦電流センサの誘起電圧を検出する検出コイルを一又は二以上設けたことを特徴とする渦電流式試料測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2009−204342(P2009−204342A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−44824(P2008−44824)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【出願人】(304021831)国立大学法人 千葉大学 (601)
【出願人】(592177096)ナプソン株式会社 (6)
【Fターム(参考)】