説明

温室用空気調和装置及びその運転方法

【課題】天候に左右されずに安定した空調が可能であると共に、消費電力量を低減できる温室用空調装置を実現する。
【解決手段】温室10と、外気調整室20と、太陽熱集熱装置30と、吸着式冷凍機40とを備える。外気調整室20には外気調整エリア202と再生エリア204とが並設され、外気調整エリア202では、導入した外気aをヒートポンプ装置212の蒸発器214で冷却し、相対湿度を高めた後除湿ロータ218で除湿する。除湿ロータ218の吸着熱で加温された外気aを熱交換器222で冷却し、加湿器224で湿度調整して温室10に供給する。再生エリア204では、導入した外気aをヒートポンプ装置212の凝縮器232で加温し、この加温された外気aで除湿ロータ218を再生する。熱交換器222の温熱源を太陽熱集熱装置30から供給し、冷熱源を吸着式冷凍機40から供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光エネルギーを利用して、消費電力を低減できると共に、天候に左右されず全シーズン安定した空調が可能な温室用空気調和装置及びその運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、温室や植物工場の空気調和手段として、冷房用に蒸気圧縮式冷凍装置を使用したり、暖房用に蒸気圧縮式ヒートポンプ装置や、重油ボイラ又は燃焼式温風発生器等を使用している。また、除湿用に水分吸着剤や吸収液等を使用している。温室の空調では、特に、湿度が高くなると、作業員にとって不快であるばかりでなく、カビや細菌の発生を助長する。また、土に含まれる水分が過剰となって、植物の生育にとって好ましくない影響が生じる。
【0003】
また、温室や植物工場の空調には、冷房装置や暖房装置を長時間使用するため、多大の電力を消費する。そのため、今まで、冷暖房性能を高めたり、除湿効率を向上したり、あるいはできるだけ自然エネルギーを利用してランニングコストを削減することを目的とした空調手段が種々提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、温室に外気を導入する経路中に、除湿器や、冷却用熱交換器及び加湿器を上流側から順に配置した温室用冷房装置が開示されている。前記加湿器では、導入外気を加湿すると共に、付加した湿分が蒸発し導入外気から蒸発潜熱を奪うことで、導入外気をさらに冷却している。
【0005】
特許文献2には、温室を備えた植物工場の空調設備が開示されている。この空調設備は、特に、密閉式人口光利用型植物工場の生育用の電気照明電力及び年間冷房用の空調用電力費を低減することを目的としている。この空調設備は、蓄冷熱槽内の水を夜間電力で冷却して蓄冷し、その冷水を空調機に導入している。該空調機には、冷水と空気とを直接熱交換する充填層が設けられている。
【0006】
特許文献3には、ビニールハウスの暖房性能を向上させて、成績係数(COP)を向上させる暖房方法が開示されている。この暖房方法は、温室内をヒートポンプ式冷暖房機により冷房又は暖房すると共に、該ヒートポンプ式冷暖房機の圧縮機及び室外熱交換器が収納された室外機によって発生する冷気又は暖気をビニールハウスの空調に利用することにより、COPを向上させるようにしている。
【0007】
特許文献4には、多湿となる温室の環境を改善するため、吸収液を利用した吸収式除湿装置を備えて、除湿効率を向上させた温室用空調システムが開示されている。
特許文献5には、太陽光を利用する温室の制御方法であって、太陽光を遮光する遮光カーテン装置と、室内を保温する保温カーテン装置と、空気を排気する天窓装置及び換気装置と、冷房装置及び暖房装置とを少なくとも一つ備えている。これらの装置を自然条件に対応させて互いに補完するように作動させることにより、太陽光エネルギーを最大限に利用して、省エネを図るようにしている。
【0008】
特許文献6には、植物工場の省エネを図るため、植物の近傍のみを空調するようにした局所空調装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実開昭62−68559号明細書及び図面
【特許文献2】特開2000−93010号公報
【特許文献3】特開2008−116178号公報
【特許文献4】特開2005−33435号公報
【特許文献5】特開平8−103173号公報
【特許文献6】特開平5−292845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このように、温室等の植物工場では、植物の生育環境を維持するために、冷房、除湿及び暖房等の空気調和機器が使用されている。空気調和機器は、電力等のエネルギーを大量に消費するため、さらなる省エネが求められている。
また、特許文献5には、太陽光エネルギーを最大限に利用して、省エネを図る空調システムが開示されているが、太陽光エネルギーの利用可否は、天候に左右されてしまう。そのため、不安定な天候に左右されない安定した空調システムが求められている。
【0011】
そこで、本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、太陽光エネルギーを利用して、冷房、除湿及び暖房を行なう植物工場等温室用の空調装置において、天候に左右されずに安定した空調が可能であると共に、消費電力量を低減できるようにした空調装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる目的を達成するため、本発明の温室用空気調和装置は、
太陽熱を温熱源とし、温室内に温度及び湿度を調整した外気を供給して温室の空調を行なう温室の空気調和装置において、
外気調整エリア及び外気調整エリアに並設された再生エリアを有する外気調整室と、吸湿剤を内包する回転板を備え、該回転板が該外気調整エリア及び再生エリアに跨るように配置された除湿ロータと、
蒸発器が外気調整エリアで除湿ロータの上流側又は下流側に配置されると共に、凝縮器が再生エリアで除湿ロータの上流側に配置された蒸気圧縮式ヒートポンプ装置と、
太陽熱集熱装置と、吸着式冷凍機又は吸収式冷凍機と、該吸着式冷凍機又は吸収式冷凍機に冷却水を供給する冷却塔と、外気調整エリアで除湿ロータの下流側又は上流側に配置され、太陽熱集熱装置、吸着式冷凍機、吸収式冷凍機又は冷却塔から選択的に温水又は冷水が供給される熱交換器と、を備え、
外気調整エリアで温度及び湿度を調整した外気を温室に供給するように構成したものである。
【0013】
本発明装置では、温室に供給される外気に対して、除湿が必要な場合は、除湿ロータを稼動させて外気の除湿を行なう。吸湿剤を使用した除湿ロータは、低温でも除湿性能が低下しないので、冬場でも除湿性能を維持できる。除湿ロータの円板に内包される吸湿剤は、高分子吸着剤が使用できるが、その他に、ゼオライト系、シリカゲル系又は活性炭系の吸湿剤も使用可能である。
外気調整エリアでは、除湿ロータの上流側又は下流側には、蒸気圧縮式ヒートポンプ装置の蒸発器又は前記熱交換器が配置される。該蒸発器又は熱交換器は、どちらが除湿ロータの上流側又は下流側に配置されてもよい。
【0014】
冷房運転時には、外気は、除湿ロータで除湿される前に、除湿ロータの上流側に配置された蒸発器又は熱交換器によって予冷される。これによって、外気の冷却除湿が可能になると共に、外気の相対湿度が増大するので、除湿ロータの除湿効果を向上できる。また、この予冷によって、外気温度がある程度変動しても、除湿ロータに供給される外気の温度及び湿度が一定となるので、外気変動の影響を受けにくくすることができる。
除湿ロータによる除湿時に、外気は湿分吸着時に吸湿剤から発生した吸着熱により加温されるので、除湿ロータの下流側に配置された熱交換器又は蒸発器によって冷却する。こうして、外気調整エリアで除湿調温された外気を温室に供給する。
【0015】
除湿ロータに吸着された湿分を、再生エリアに導入され蒸気圧縮式ヒートポンプ装置の凝縮器で加熱された外気で除湿ロータを加熱することにより、除湿ロータから離脱させる。これによって、除湿ロータを再生し、除湿性能を維持する。
暖房運転時には、熱交換器に太陽熱集熱装置で製造した温水を供給し、該熱交換器で外気を加温するようにする。太陽熱集熱装置が稼動しない夜間又は天候不順時には、再生エリアに設けられた凝縮器で外気を加温するようにする。
【0016】
こうして、本発明装置では、温室に供給される外気を選択的に除湿、冷却又は加温できるので、あらゆる季節、天候又は時間帯に適した空調が可能になる。
また、本発明装置では、太陽光エネルギーを利用することで、必要電力量を節減できる。なお、吸着式冷凍機は、製造する冷熱源の温度を下げる場合にはCOPが低下するが、温室の空調用としては、さほど低温の冷熱源を必要としないので、COPは低下しない。
【0017】
本発明装置において、外気調整エリアで除湿ロータの下流側に配置された蒸気圧縮式ヒートポンプ装置の蒸発器又は熱交換器の下流側に加湿器が配置されるようにするとよい。これによって、外気調整エリアの最下流側で、温室に供給される前の外気の湿度を適宜調整できる。
【0018】
前記本発明装置を用いた第1の本発明の運転方法は、
太陽熱集熱装置で製造した温水を吸着式冷凍機又は吸収式冷凍機に供給し、該吸着式冷凍機又は吸収式冷凍機で製造した冷水を前記熱交換器に供給する冷水供給工程と、
前記除湿ロータの上流側に配置された前記蒸気圧縮式ヒートポンプ装置の蒸発器又は該熱交換器で外気を冷却して相対湿度を増大させる第1冷却工程と、
第1冷却工程で冷却された外気を除湿ロータで除湿する除湿工程と、
除湿ロータで除湿された外気を該熱交換器又は蒸気圧縮式ヒートポンプ装置の蒸発器で冷却する第2冷却工程と、
第2冷却工程で温度及び湿度を調整された外気を温室に供給する外気供給工程と、
蒸気圧縮式ヒートポンプ装置の凝縮器で再生エリアの外気を加熱して除湿ロータに吸着された湿分を離脱させる再生工程と、からなる昼間冷房運転を行なうものである。
【0019】
第1の本発明方法は、外気温度が高い夏等の季節で、かつ除湿が必要な昼間に行なう冷房運転に好適な運転方法である。第1の本発明方法では、外気調整エリアに導入された外気を除湿ロータで除湿する前に、除湿ロータの上流側に配置された蒸発器又は熱交換器によって予冷する。これによって、外気の相対湿度が増大するので、除湿ロータの除湿効果を向上できる。除湿ロータを出た後の外気は、除湿ロータでの湿分吸着時に吸湿剤から発生した吸着熱により加温されるので、除湿ロータの下流側に配置された該熱交換器又は蒸発器によって冷却する。こうして、除湿かつ冷却された外気を温室に供給できる。
【0020】
前記本発明装置を用いた第2の本発明の運転方法は、
第1の本発明方法の前記冷水供給工程で、吸着式冷凍機又は吸収式冷凍機で製造した冷水の代わりに、冷却塔で冷却した冷水を熱交換器に供給して夜間冷房運転を行なうものである。その他の工程は第1の本発明方法と同一である。
【0021】
第2の本発明方法は、気温が低下して相対湿度が上昇し、夜露が発生する夜間の冷房運転に好適な運転方法である。夜間は太陽熱集熱装置で温水を製造できないので、代わりに、冷却塔で冷却した冷水を使用する。この冷水を外気調整エリアに設けられた熱交換器に供給することによって、夜間でも第1の本発明方法と同様の除湿及び冷却工程を行なうことができる。
【0022】
本発明装置を用いた第3の本発明の運転方法は、
太陽熱集熱装置で製造した温水を前記熱交換器に供給する温水供給工程と、再生エリアに導入した外気を外気調整エリアに導き、該熱交換器で加温する加温工程と、加温された外気を温室に供給する外気供給工程と、からなる昼間暖房運転を行なうものである。
【0023】
第3の本発明方法は、冬季等寒い季節の昼間に好適な運転方法である。第3の本発明方法は、外気を熱交換器で加温して温室に供給するようにしている。これによって、暖かくかつ加温することによって相対湿度を低減した外気を温室に供給できる。この場合、太陽熱集熱装置のみを稼動させれば済むので、必要電力量をさらに節減できる。
【0024】
本発明装置を用いた第4の本発明の運転方法は、
太陽熱集熱装置で製造した温水を温水タンクに貯留する温水貯留工程と、温水タンクに貯留された温水を前記熱交換器に供給する温水供給工程と、再生エリアに導入した外気を外気調整エリアに導き、該熱交換器で加温する第1加温工程と、加温された外気を温室に供給する外気供給工程と、からなる夜間暖房運転を行なうものである。
【0025】
第4の本発明方法は、冬季等気温が低い季節の夜間に好適な運転方法である。昼間太陽熱集熱器で製造した温水を温水タンクに貯留しておき、これを夜間に熱交換器に供給する。これによって、夜間でも暖かくかつ加温することによって相対湿度を低減した外気を温室に供給できる。この場合も、第3の本発明方法と同様に、蒸気圧縮式ヒートポンプ装置を稼動させないので、必要電力量を節減できる。
【0026】
本発明装置を用いた第5の本発明の運転方法は、
再生エリアに導入した外気を蒸気圧縮式ヒートポンプ装置の凝縮器で加温する第2加温工程と、加温された外気を温室に供給する外気供給工程と、温室から排出された排気を外気調整エリアに導入し、蒸気圧縮式ヒートポンプ装置の蒸発器で冷却する第3冷却工程と、からなる暖房運転を行なうものである。
【0027】
第5の本発明方法は、太陽熱集熱装置で温水を製造できない天候時に好適な暖房運転方法である。この場合、外気を再生エリアに導入し、導入した外気を蒸気圧縮式ヒートポンプ装置の凝縮器で加温する。この加温した外気を温室に供給することで、暖かくかつ加温されて相対湿度が低下した外気を温室に供給できる。
また、稼動している蒸気圧縮式ヒートポンプ装置の蒸発器の蒸発熱源として、温室から排出された比較的高温の排気を用いることで、該蒸気圧縮式ヒートポンプ装置のCOPを向上できる。
【0028】
前記第1〜第5の本発明方法において、外気調整エリアで温度又は湿度を調整された外気を温室に供給する前に、加湿器で湿度調整する加湿工程を付加したするとよい。これによって、温室に供給する外気の湿度調整が容易になり、その日の気温や天候状態を見て、最適な湿度に調整できる。
【発明の効果】
【0029】
本発明装置によれば、太陽熱を温熱源とし、温室内に温度及び湿度を調整した外気を供給して温室の空調を行なう温室の空気調和装置において、外気調整エリア及び外気調整エリアに並設された再生エリアを有する外気調整室と、吸湿剤を内包する回転板を備え、該回転板が該外気調整エリア及び再生エリアに跨るように配置された除湿ロータと、蒸発器が外気調整エリアで除湿ロータの上流側又は下流側に配置されると共に、凝縮器が再生エリアで除湿ロータの上流側に配置された蒸気圧縮式ヒートポンプ装置と、太陽熱集熱装置と、吸着式冷凍機又は吸収式冷凍機と、該吸着式冷凍機又は吸収式冷凍機に冷却水を供給する冷却塔と、外気調整エリアで除湿ロータの下流側又は上流側に配置され、太陽熱集熱装置、吸着式冷凍機、吸収式冷凍機又は冷却塔から選択的に温水又は冷水が供給される熱交換器と、を備え、外気調整エリアで温度及び湿度を調整した外気を温室に供給するように構成し、太陽熱集熱装置で得た温水を温熱源にすると共に、該温水で駆動される吸着式冷凍機から得た冷水を冷熱源として、温室に供給する外気を空調するので、消費電力を低減できると共に、前記各機器を選択的に稼動させることにより、冷房、暖房又は除湿運転が可能になる。従って、あらゆる季節、天候及び時間帯で安定した空調が可能になる。
【0030】
第1の本発明方法によれば、太陽熱集熱装置で製造した温水を吸着式冷凍機又は吸収式冷凍機に供給し、該吸着式冷凍機又は吸収式冷凍機で製造した冷水を前記熱交換器に供給する冷水供給工程と、除湿ロータの上流側に配置された前記蒸気圧縮式ヒートポンプ装置の蒸発器又は該熱交換器で外気を冷却して相対湿度を増大させる第1冷却工程と、第1冷却工程で冷却された外気を除湿ロータで除湿する除湿工程と、除湿ロータで除湿された外気を該熱交換器又は蒸気圧縮式ヒートポンプ装置の蒸発器で冷却する第2冷却工程と、第2冷却工程で温度及び湿度を調整された外気を温室に供給する外気供給工程と、蒸気圧縮式ヒートポンプ装置の凝縮器で再生エリアの外気を加熱して除湿ロータに吸着された湿分を離脱させる再生工程と、からなる昼間冷房運転を行なうので、太陽熱集熱装置で得た温水で吸着式冷凍機を駆動し、該吸着式冷凍機で得た冷水で外気を冷却しているので、消費電力を低減できる。また、外気に含まれる湿分を除湿ロータで除去する際に、除湿ロータの上流側で外気を予冷して相対湿度を増大しているので、除湿効果を向上できる。
【0031】
第2の本発明方法によれば、前記第1の本発明方法の冷水供給工程で、吸着式冷凍機又は吸収式冷凍機で製造した冷水の代わりに、冷却塔で冷却した冷水を熱交換器に供給する夜間冷房運転を行なうようにしたので、太陽熱集熱装置及び吸着式冷凍機が稼動しない夜間でも、外気の冷却を行なうことができると共に、冷却塔で冷却した冷水を用いるので、消費電力を低減できる。
【0032】
第3の本発明方法によれば、太陽熱集熱装置で製造した温水を前記熱交換器に供給する温水供給工程と、再生エリアに導入した外気を外気調整エリアに導き、該熱交換器で加温する加温工程と、加温された外気を温室に供給する外気供給工程と、からなる昼間暖房運転を行なうので、太陽光エネルギーのみを利用し、除湿ロータや蒸気圧縮式ヒートポンプ装置を稼動させる必要がなく、消費電力を大幅に低減できる。
【0033】
第4の本発明方法によれば、太陽熱集熱装置で製造した温水を温水タンクに貯留する温水貯留工程と、温水タンクに貯留された温水を前記熱交換器に供給する温水供給工程と、再生エリアに導入した外気を外気調整エリアに導き、該熱交換器で加温する第1加温工程と、加温された外気を温室に供給する外気供給工程と、からなる夜間暖房運転を行なうので、夜間であっても太陽熱集熱器で製造した温水を用いて、省エネ運転が可能になる。
【0034】
第5の本発明方法によれば、再生エリアに導入した外気を蒸気圧縮式ヒートポンプ装置の凝縮器で加温する第2加温工程と、加温された外気を温室に供給する外気供給工程と、温室から排出された排気を外気調整エリアに導入し、蒸気圧縮式ヒートポンプ装置の蒸発器で冷却する第3冷却工程と、からなる暖房運転を行なうので、太陽熱集熱装置が作動しない天候であっても、暖房運転が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明装置の一実施形態に係る温室用空気調和装置の系統図である。
【図2】第1の本発明方法の一実施形態を示す系統図である。
【図3】第2の本発明方法の一実施形態を示す系統図である。
【図4】第3の本発明方法の一実施形態を示す系統図である。
【図5】第4の本発明方法の一実施形態を示す系統図である。
【図6】第5の本発明方法の一実施形態を示す系統図である。
【図7】図1の温室用空気調和装置を構成する各機器の動力値を示す図表である。
【図8】図1の温室用空気調和装置と市販の冷暖房装置との動力比較表である。
【図9】太陽熱集熱装置による1日当りの集熱量を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
【0037】
(実施形態1)
本発明装置の一実施形態を図1に基づいて説明する。図1において、温室用空気調和装置1は、屋根、隔壁等が透明で太陽光(自然光)を取り入れ可能な栽培ハウス10(以下、「温室10」という。)と、外気aの温度及び湿度を調整して温室10に供給する外気調整室20と、太陽熱集熱装置30と、吸着式冷凍機40とを備えている。温室10の内部には、外気調整室20で温度及び湿度が調整された調整外気bが供給されるダクト102が水平方向に配置されている。ダクト102には中空の植物台104が載置されている。
【0038】
植物台104の内部には、ダクト102に設けられた開口から調整外気bが導入される。植物台104の上面には栽培植物Pが載置されている。植物台104の上面に開けられた開口から調整外気bが排出され、調整外気bが栽培植物Pの周囲を取り囲むようになっている。
【0039】
外気調整室20は、温室10に供給する外気の温度及び湿度を調整する外気調整エリア202と、後述する除湿ロータを再生する再生エリア204とを有する。外気調整エリア202と再生エリア204とは仕切り壁205で仕切られている。外気調整エリア202の隔壁20aの側面に、外気導入口206を有する外気導入管207が貫通配置されている。外気導入管207の管端は、外気調整エリア202に配置された給気ファン206に接続されている。外気導入管204には、温室10の排気cを循環する循環管208が接続されている。これによって、排気bを適宜混合された外気aが外気調整エリア202に導入される。
【0040】
給気ファン206の下流側には、COを冷媒とするヒートポンプ装置212の蒸発器214が配置されている。蒸発器214の下流側に、外気調整エリア202と再生エリア204とに跨って配置された円板形の回転板216を備えた除湿ロータ218が配置されている。回転板216は、高分子吸着剤からなる吸湿剤を内包している。蒸発器214と除湿ロータ218間の外気調整エリア202の隔壁20aに扉220が設けられ、扉220を開けることにより、外気調整エリア202が外部に連通可能になっている。
【0041】
除湿ロータ218の下流側に熱交換器222が配置され、熱交換器222の下流側に加湿器224が配置されている。加湿器224の下流側に位置する外気調整エリア202の隔壁20aには、外気調整エリア202で温度及び湿度が調整された調整外気bを温室10に送る調整外気供給管226が接続されている。調整外気供給管226の他端は、ダクト102に接続されている。
【0042】
外気調整エリア202の下階に設けられた再生エリア204の隔壁20aには、外気導入口228が設けられ、外気導入口228に隣接して再生ファン230が設けられている。
再生ファン230によって外気導入口228から外気aが再生エリア204に導入される。
再生エリア204の外気aの流れは、外気調整エリア202の外気の流れと対向流を形成する。再生ファン230の下流側には、ヒートポンプ装置212を構成するガスクーラ232が配置されている。
【0043】
ヒートポンプ装置212は、CO冷媒の循環路234に、前記蒸発器214のほか、ガスクーラ232、圧縮機236及び膨脹弁238が介設されて、ヒートポンプサイクルを構成している。除湿ロータ218とガスクーラ232間の仕切り壁205に、仕切り壁205を開放して、外気調整エリア202と再生エリア204とを連通可能にする扉240が設けられている。
【0044】
太陽熱集熱装置30は、複数の集熱器302と、集熱器302で製造した温水を貯留する温水タンク304と、集熱器302と温水タンク304とを接続した通水路306a及び306bと、通水路306aに介設された通水ポンプ308とから構成されている。集熱器302で製造した温水は、温水タンク304に貯留され、吸着式冷凍機40又は熱交換器222の温熱源として使用される。
【0045】
吸着式冷凍機40には、温水タンク304から温水路310aを経て温水ポンプ312によって温水が供給される。この温水は、吸着式冷凍機40で吸着剤から冷媒蒸気を離脱させる温熱源として使用される。使用後の温水は、温水路310bを経て温水タンク304に戻される。
【0046】
吸着式冷凍機40は、密閉型冷却塔402と、冷水タンク404とを備えている。吸着式冷凍機40と密閉型冷却塔402とは、冷却水路406a及び406bで接続されている。吸着式冷凍機40に冷却水路406aから冷却水ポンプ408により冷却水が供給される。この冷却水に吸着式冷凍機40で発生した吸着熱を吸収させる。吸着熱を吸収して加温された冷却水は冷却水路406bを通って密閉型冷却塔402に戻され、密閉型冷却塔402で再び冷却される。
【0047】
吸着式冷凍機40で製造された冷水は、冷水路410aを通り冷水ポンプ412により冷水タンク404に貯留される。冷水タンク404に貯留された冷水は、管路416aを通り冷水ポンプ418によって外気調整室20に送られ、冷熱源として使用される。外気調整室20で使用されて加温された冷水は、管路416bを通って冷水タンク404に戻される。冷水タンク404内の冷水は、冷水路410bから吸着式冷凍機40に送られて再び冷却される。温水路310aを流れる温水は、三方弁314で選択的に管路502に供給される。管路502に供給された温水は、三方弁504及び管路506を経て熱交換器222に温熱源として供給される。
【0048】
熱交換器222で温熱源として利用された後の温水は、管路508に排出され、管路508から三方弁510及び管路512に戻される。そして、三方弁514で選択的に、管路516及び310bを経て温水タンク304に戻されるか、あるいは管路518及び冷却水路406bを経て、密閉型冷却塔402に戻される。
【0049】
冷水タンク404に貯留された冷水は、冷水路416aから冷水ポンプ418によって三方弁504に送られる。そして、三方弁504から管路506を経て熱交換器222に冷熱源として供給される。熱交換器222で冷熱源として利用された後の冷水は、管路508、三方弁510及び冷水路416bを経て冷水タンク404に戻される。
【0050】
本実施形態の温室用空気調和装置1はかかる構成を有し、以下、この温室用空気調和装置1を用いて、第1の本発明方法の一実施形態に係る運転方法を行なう場合を図2に基づいて説明する。図2は、夏など気温が高い季節であって、太陽熱集熱装置30を利用可能な晴れた昼間に、温室10を冷房する場合の運転方法である。
【0051】
図2において、太陽熱集熱装置30及び吸着式冷凍機40が稼動している。太陽熱集熱装置30で製造された温水は、温水タンク304に貯留されている。温水タンク304に貯留された温水は、吸着式冷凍機40に温水路310aを通って供給されている。吸着式冷凍機40では、この温水を温熱源として冷水が製造されている。吸着式冷凍機40には、密閉型冷却塔402から冷却水が送られている。冷水タンク404に貯留された冷水は、冷水路416aを通って熱交換器222に送られている。
【0052】
外気調整室20の外気調整エリア202に、給気ファン206によって温室10の排気bを適宜混合した外気aを外気導入管208から導入する。給気ファン206から吐出された外気aは、蒸発器214で冷却されて除湿される。蒸発器214で冷却された外気aは、相対湿度が増大しており、この外気aは、吸湿剤が内包された除湿ロータ218の回転板216を通って除湿される。外気aは、除湿ロータ218を通る際に吸湿剤から発生する吸着熱により加温される。加温された外気aは、熱交換器222を通って冷却される。
【0053】
熱交換器222で冷却された外気aは、加湿器224でその湿度を調整される。こうして、温度及び湿度を調整された調整外気bは、調整外気導入管226から温室10に供給される。なお、図2中に示された温度、湿度及び外気aの供給量は、運転の一例を示す。また、図中、破線で示した管路は、使用されない管路であることを示す。
ダクト102に供給された調整外気bは、植物台104を通って、植物台104の上面に穿設された多数の開口から排出される。こうして、調整外気bが栽培植物Pの周囲を囲むように集中排気される。
【0054】
除湿ロータ218において、吸湿剤に湿分を吸着した回転板216は、回転して再生エリア204に入る。再生エリア204では、再生エリア204に導入された外気aが凝縮器232で加熱される。この加熱された外気aに湿分を吸着した回転板216が曝されることで、吸湿剤から湿分が離脱する。こうして、再生された回転板216は、回転して外気調整エリア202に戻り、再び外気aの湿分を吸着する。再生エリア204で、湿分を回転板216から離脱させた後の外気aは、外気排出口242から排気dとして外部へ排出される。
【0055】
本実施形態によれば、吸着式冷凍機40で用いる温熱源として、太陽熱集熱装置30で製造した温水を用い、外気調整室20で用いる冷熱源として、吸着式冷凍機40で製造した冷水を用いているので、必要電力量を低減でき、省エネを達成できる。
また、外気aを除湿ロータ218で除湿する前に、蒸発器214で予冷して除湿すると共に、蒸発器214で冷却されて相対湿度を増大させた外気aを、さらに除湿ロータ218で除湿するという2段階の除湿工程を設けているので、外気aの除湿効果を向上できる。また、蒸発器214による予冷によって、外気温度がある程度変動しても、除湿ロータ218に供給される外気aの温度及び湿度が一定となるので、外気変動の影響を受けにくくすることができる。
【0056】
さらに、温室10で、栽培植物Pの周囲に集中して調整外気bを供給しているので、調整外気bの供給量を節減できる。また、本実施形態では、吸着式冷凍機40で製造する冷水の温度は、さほど低温とする必要がないので、吸着式冷凍機40のCOPは低下しない。
なお、本実施形態において、蒸発器214と熱交換器222との配置を互いに入れ替えてもよい。
【0057】
(実施形態2)
次に、図1に示す温室用空気調和装置1を用いて、第2の本発明の運転方法を行なった場合の第2実施形態を図3に基づいて説明する。この第2実施形態は、夏など気温が高い季節の夜間で、太陽熱集熱装置30が作動しない場合に、温室10の冷房除湿運転方法を行なう。
図3において、太陽熱集熱装置30は作動しないので、吸着式冷凍機40も作動しない。そのため、密閉型冷却塔402で冷却した冷却水を熱交換器222の冷熱源として使用する。即ち、密閉型冷却塔402の冷却水を、冷却水ポンプ408によって、冷却水路406a、三方弁414、管路520、三方弁504及び管路506を経て、熱交換器222に供給する。
【0058】
外気調整室20では、外気調整室20に導入した外気aを蒸発器214で冷却して除湿する。冷却されて相対湿度が増大した外気aを除湿ロータ218でさらに除湿する。除湿ロータ218を通って吸着熱で加温された外気aを熱交換器222で冷却する。熱交換器222で冷却された外気aを加湿器224で湿度調整をした後、調整外気供給管226から温室10に供給する。なお、図3中に示された温度、湿度及び外気aの供給量は、運転の一例を示す。また、図中、破線で示した管路は、使用されない管路であることを示す。
【0059】
本実施形態によれば、第1実施形態で得られる作用効果に加えて、太陽熱集熱装置30及び吸着式冷凍機40が稼動しない夜間でも、密閉型冷却塔402の冷却水を冷熱源として使用することにより、外気aの冷却が可能になる。
【0060】
(実施形態3)
次に、図1に示す温室用空気調和装置1を用いて、第3の本発明の運転方法を行なった場合の第3実施形態を図4に基づいて説明する。この第3実施形態は、冬等気温が低い季節であって、晴れて太陽熱集熱装置30が稼動する昼間に、温室10の暖房除湿運転方法を行なう場合である。
【0061】
図4において、本実施形態では、外気導入管207への外気aの導入を止め、温室10の排気bをそのまま外部へ排気する。そして、ヒートポンプ装置212を休止させる。また、扉240を開放し、外気導入口228から導入した外気aを扉240の開口241を通して外気調整エリア202に向う外気流Aを形成させるようにする。このとき、外気流Aと除湿ロータ218との間を仕切り板244で遮蔽する。
この状態で、太陽熱集熱装置30を稼動させ、温水を製造する。製造した温水を温水タンク304に貯留する。温水タンク304に貯留した温水を、管路310a、三方弁314、管路502、三方弁504及び管路506を経て熱交換器222に供給する。
【0062】
再生ファン230で再生エリア204に導入された外気aは、開口241から外気流Aとなって、外気調整エリア202に向い、熱交換器222の上流側に到達する。そして、熱交換器222で加温され、その後、加湿器224で湿度調整される。加湿器224を出た調整外気bは、調整外気供給管226から温室10に供給される。
熱交換器222で温熱源として供された温水は、管路508、三方弁510、管路512、三方弁514、及び管路516、310bを通って温水タンク304に戻される。なお、図4中に示された温度、湿度及び外気aの供給量は、運転の一例を示す。また、図中、破線で示した管路は、使用されない管路であることを示す。
【0063】
本実施形態によれば、暖房運転の温熱源を太陽熱集熱装置30で製造した温水から得ることができる。そして、他の機器類を稼動させないので、必要エネルギーの大部分を太陽熱エネルギーで賄うことができる。
【0064】
(実施形態4)
次に、図1に示す温室用空気調和装置1を用いて、第4の本発明の運転方法を行なった場合の第4実施形態を図5に基づいて説明する。この第4実施形態は、冬等気温が低い季節の夜間に、温室10の暖房除湿運転を行なう場合である。
図5において、本実施形態では、夜間運転であるため、太陽熱集熱装置30が稼動しない。そして、温室用空気調和装置1のその他の状態は、第3実施形態と同一の状態となっている。
【0065】
本実施形態では、昼間に太陽熱集熱装置30を稼動させ、温水を温水タンク304に十分貯留させておく。その温水を熱交換器222の温熱源として使用する。そして、第3実施形態と同様に、外気導入口228から再生エリア204に導入した外気aを扉240を開放した開口241から外気調整エリア202に導入し、熱交換器222で加温する。熱交換器222で加温した外気aを加湿器224で湿度調整した後、調整外気bとして温室10に供給する。
【0066】
本実施形態によれば、夜間でも昼間太陽熱集熱装置30で得た温熱源を用いて暖房除湿運転が可能になる。このように、太陽熱エネルギーを用いるため、必要電力量を節減できると共に、他の機器類を稼動させないので、必要エネルギーの大部分を太陽熱エネルギーで賄うことができる。
【0067】
(実施形態5)
次に、図1に示す温室用空気調和装置1を用いて、第5の本発明の運転方法を行なった場合の第5実施形態を図6に基づいて説明する。この第5実施形態は、長期の天候不順等により太陽光エネルギーの利用が全くできない時に、温室10の暖房運転方法を行なう場合である。
【0068】
図6において、本実施形態では、ヒートポンプ装置212を稼動させる。そして、外気導入口228から再生ファン230により再生エリア204に外気aを導入する。再生エリア204に導入した外気aを凝縮器232で加温する。凝縮器232で加温した外気aを扉240を開放した開口241から外気調整エリア202に導入する。外気調整エリア202に導入した外気aを、必要に応じ加湿器224で湿度調整して、温室10に供給する。
【0069】
一方、扉220を開放して、外気調整エリア202を外部に開放すると共に、除湿ロータ218と蒸発器214間を仕切り板246で遮蔽しておく。そして、温室10から排出される排気bの一部を循環管208及び外気導入管207を介して外気調整エリア202に導入する。外気調整エリア202に導入した排気bを蒸発器214に通して蒸発器214のCO冷媒の蒸発熱源とする。蒸発器214で冷却された排気bを開口221から外部へ放出する排気流Bを形成させる。
【0070】
本実施形態によれば、太陽光エネルギーを全く使えないような天候の時でも、ヒートポンプ装置212を稼動することによって、温室10の暖房運転を可能にする。また、ヒートポンプ装置212の蒸発器214の熱源として温室10の暖かい排気bを利用することによって、蒸発器214への供給熱量を確保でき、ヒートポンプ装置212のCOPを向上できる。
【0071】
次に、温室用空気調和装置1の各機器の必要動力値を図7に示す。図8に、夜間暖房時における、温室用空気調和装置1の必要動力と、従来のパッケージエアコン及び温風暖房機の合計動力との比較を示す。また、図9に、集熱面積300mの太陽熱集熱器による1日当りの集熱量(月別)を示す。
図8から、温室用空気調和装置1の必要電力量が、従来のパッケージエアコン及び温風暖房機の合計動力より格段に少ないことがわかる。
【0072】
また、図9から、温室用空気調和装置1は、月平均の太陽熱集熱量でも、暖房必要熱量の53〜78%を太陽熱で賄えることがわかった。月上位5位の集熱量で比較すれば、暖房負荷の略100%を太陽熱のみで賄えることが可能になる。
このように、温室用空気調和装置1によれば、あらゆる季節で、昼夜を問わず、温室10の安定した空調が可能になると共に、必要電力量を大幅に節減できる。
【0073】
前記実施形態では、いずれも吸着式冷凍機40を使用した例であったが、温水タンク304から供給される温水の温度を上げれば、吸着式冷凍機40の代わりに、吸収式冷凍機を使用できる。従って、前記各実施形態で、吸収式冷凍機を使用するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明によれば、温室の空調を全シーズンで安定して行なうことができると共に、太陽光エネルギーを利用して必要電力量を大幅に節減できる。従って、地球温暖化防止に有益である。
【符号の説明】
【0075】
1 温室用空気調和装置
10 温室
102 ダクト
104 植物台
20 外気調整室
20a 隔壁
202 外気調整エリア
204 再生エリア
205 仕切り壁
206,218 外気導入口
207 外気導入管
208 循環管
210 給気ファン
212 ヒートポンプ装置
214 蒸発器
216 回転板
218 除湿ロータ
220,240 扉
221,241 開口
222 熱交換器
224 加湿器
226 調整外気供給管
230 再生ファン
232 凝縮器
234 CO冷媒循環路
236 圧縮機
238 膨脹弁
242 外気排出口
244,246 仕切り板
30 太陽熱集熱装置
302 集熱器
304 温水タンク
308 通水ポンプ
312 温水ポンプ
314、414、504、510、514 三方弁
40 吸着式冷凍機
402 密閉型冷却塔
404 冷水タンク
408 冷却水ポンプ
412,418 冷水ポンプ
A 外気流
B 排気流
a 外気
b 調整外気
c 排気

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽熱を温熱源とし、温室内に温度及び湿度を調整した外気を供給して温室の空調を行なう温室の空気調和装置において、
外気調整エリア及び外気調整エリアに並設された再生エリアを有する外気調整室と、吸湿剤を内包する回転板を備え、該回転板が該外気調整エリア及び再生エリアに跨るように配置された除湿ロータと、
蒸発器が外気調整エリアで除湿ロータの上流側又は下流側に配置されると共に、凝縮器が再生エリアで除湿ロータの上流側に配置された蒸気圧縮式ヒートポンプ装置と、
太陽熱集熱装置と、吸着式冷凍機又は吸収式冷凍機と、該吸着式冷凍機又は吸収式冷凍機に冷却水を供給する冷却塔と、外気調整エリアで除湿ロータの下流側又は上流側に配置され、太陽熱集熱装置、吸着式冷凍機、吸収式冷凍機又は冷却塔から選択的に温水又は冷水が供給される熱交換器と、を備え、
外気調整エリアで温度及び湿度を調整した外気を温室に供給するように構成したことを特徴とする温室用空気調和装置。
【請求項2】
外気調整エリアで除湿ロータの下流側に配置された蒸気圧縮式ヒートポンプ装置の蒸発器又は熱交換器の下流側に加湿器が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の温室用空気調和装置。
【請求項3】
請求項1に記載の温室用空気調和装置を用いた運転方法において、
太陽熱集熱装置で製造した温水を吸着式冷凍機又は吸収式冷凍機に供給し、該吸着式冷凍機又は吸収式冷凍機で製造した冷水を前記熱交換器に供給する冷水供給工程と、
除湿ロータの上流側に配置された蒸気圧縮式ヒートポンプ装置の蒸発器又は該熱交換器で外気を冷却して相対湿度を増大させる第1冷却工程と、
第1冷却工程で冷却された外気を除湿ロータで除湿する除湿工程と、
除湿ロータで除湿された外気を該熱交換器又は蒸気圧縮式ヒートポンプ装置の蒸発器で冷却する第2冷却工程と、
第2冷却工程で温度及び湿度を調整された外気を温室に供給する外気供給工程と、
蒸気圧縮式ヒートポンプ装置の凝縮器で再生エリアの外気を加熱して除湿ロータに吸着された湿分を離脱させる再生工程と、からなる昼間冷房運転を行なうことを特徴とする温室用空気調和装置の運転方法。
【請求項4】
前記冷水供給工程で、吸着式冷凍機又は吸収式冷凍機で製造した冷水の代わりに、冷却塔で冷却した冷水を前記熱交換器に供給して夜間冷房運転を行なうことを特徴とする請求項3に記載の温室用空気調和装置の運転方法。
【請求項5】
請求項1に記載の温室用空気調和装置を用いた運転方法において、
太陽熱集熱装置で製造した温水を前記熱交換器に供給する温水供給工程と、再生エリアに導入した外気を外気調整エリアに導き、該熱交換器で加温する加温工程と、加温された外気を温室に供給する外気供給工程と、からなる昼間暖房運転を行なうことを特徴とする温室用空気調和装置の運転方法。
【請求項6】
請求項1に記載の温室用空気調和装置を用いた運転方法において、
太陽熱集熱装置で製造した温水を温水タンクに貯留する温水貯留工程と、温水タンクに貯留された温水を前記熱交換器に供給する温水供給工程と、再生エリアに導入した外気を外気調整エリアに導き、該熱交換器で加温する第1加温工程と、加温された外気を温室に供給する外気供給工程と、からなる夜間暖房運転を行なうことを特徴とする温室用空気調和装置の運転方法。
【請求項7】
請求項1に記載の温室用空気調和装置を用いた運転方法において、
再生エリアに導入した外気を蒸気圧縮式ヒートポンプ装置の凝縮器で加温する第2加温工程と、加温された外気を温室に供給する外気供給工程と、温室から排出された排気を外気調整エリアに導入し、蒸気圧縮式ヒートポンプ装置の蒸発器で冷却する第3冷却工程と、からなる暖房運転を行なうことを特徴とする温室用空気調和装置の運転方法。
【請求項8】
外気調整エリアで温度又は湿度を調整された外気を温室に供給する前に、加湿器で湿度調整する加湿工程を付加したことを特徴とする請求項3〜7のいずれかの項に記載の温室用空気調和装置の運転方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−92163(P2011−92163A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−252292(P2009−252292)
【出願日】平成21年11月2日(2009.11.2)
【出願人】(000148357)株式会社前川製作所 (267)
【Fターム(参考)】