説明

温度調整部材付き靴

【課題】 温度調整部材付き靴を提供する。
【解決手段】靴本体部と靴底部と中敷き部からなる温度調整部材付き靴であって、前記靴底部の上面側に断面が半円状又は四辺形状の細長い溝を設け、その上に空気が包含された中敷き部を設けて冷却媒体又は加熱媒体を着脱自在に挿入可能な冷却用又は保温用穴を構成し、該冷却用又は保温用穴に冷却媒体又は加熱媒体を着脱自在に挿入したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴本体部と靴底部と中敷き部からなる温度調整部材付き靴に関し、特に前記靴底部の上面側に断面が半円状又は四辺形状の細長い溝を設け、その上に空気が包含された中敷き部を設けて冷却媒体又は加熱媒体を着脱自在に挿入可能な冷却用又は保温用穴を構成し、該冷却用又は保温用穴に冷却媒体又は加熱媒体を着脱自在に挿入したことを特徴とする温度調整部材付き靴に関する。
さらに、前記冷却媒体又は加熱媒体は、プラスチック、ポリエチレン、厚紙等からなる断面が半円状又は四辺形状の細長い容器に液体状、ゲル状、粉状等の冷媒を詰めて蓋をして凍らせたもの又は前記容器に粉状もしくは棒状の熱媒を詰めて蓋をしたものである。
【背景技術】
【0002】
従来、冷却機構付き靴に関する技術として、多層構造を有する靴用冷却パッドであって、該パッドの少なくとも一層に冷媒を循環させる経路を設け、該経路に冷媒を供給する導入口及び該経路を循環した冷媒を排出する排出口を設けたものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この靴用冷却パッドは、製鉄所や熱作業所等の高温下で作業する場合において、作業者が装着し、靴底の温度上昇を緩和させるものである。
【0004】
前述の製鉄所や熱作業所等の高温下で作業する場合に使用する靴を対象とするものであり、日常生活に関するものではない。そして、例えば夏の日常生活において、道路が太陽により加熱されて40℃以上になった場合に、靴底の温度を低下させて暑さを緩和させるような靴は、現時点では存在していない。
また、冬の日常生活において、道路、室内等の温度が10℃以下になった場合に、靴底の温度を上昇させて寒さを緩和させるような靴は、現時点では存在していない。
【0005】
【特許文献1】特開2002―20902号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、例えば、夏の日常生活において、道路が太陽により加熱されて30℃位〜40℃以上になったような場合に、靴底の温度を低下させて暑さを緩和させることが可能な技術を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、冬の日常生活において、道路、室内等の温度が10℃以下になったような場合に、靴底の温度を上昇させて寒さを緩和させることが可能な技術を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、夏期の日常生活において、靴の内部で発生する足のむれ等による悪臭を低減することが可能な技術を提供することにある。
本発明の他の目的は、地球温暖化問題解決の一つの手段とすることが可能な電力の消費を低減する技術を提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0010】
第1の発明は、靴本体部と靴底部と中敷き部からなる温度調整部材付き靴であって、前記靴底部の上面側に断面が半円状又は四辺形状の細長い溝を設け、その上に空気が包含された中敷き部を設けて冷却媒体又は加熱媒体を着脱自在に挿入可能な冷却用又は保温用穴を構成し、該冷却用又は保温用穴に冷却媒体又は加熱媒体を着脱自在に挿入したことを特徴とする。
【0011】
第2の発明は、第1の発明の冷却媒体付き靴において、前記冷却媒体又は加熱媒体は、プラスチック、ポリエチレン、厚紙等からなる断面が半円状又は四辺形状の細長い容器に液体状、ゲル状、粉状等の冷媒を詰めて蓋をして凍らせたもの又は前記容器に粉状もしくは棒状の熱媒を詰めて蓋をしたものであることを特徴とする。
【0012】
前述した手段によれば、例えば、夏の日常生活において、道路が太陽により加熱されて30℃位〜40℃以上になったような場合に、靴底の温度を低下させて暑さを緩和させることができる。
また、例えば、冬の日常生活において、道路や部屋内で温度が10℃以下になったような場合に、靴底の温度を加熱して上昇させ寒さを緩和させることができる。
【0013】
また、地球温暖化の問題解決の一つとして、例えば、夏及び冬の日常生活において、室内や車内のクーラーの温度をできるだけ低い一定温度に設定するために、又は室内や車内のクーラーの使用時間を短縮するために、暑く感じる場所又は寒く感じる場所において冷却媒体又は加熱媒体付き靴を履いて、靴底の温度を低下又は加熱して身体の暑さ又は寒さを緩和させることができる。これにより、電力の消費を低減することができ、地球温暖化問題解決の一つの手段とすることも可能である。
また、夏期の日常生活において、冷却媒体付き靴を履いて、靴底の温度を低下させることにより、靴の内部に発生する足のむれ等による悪臭を低減することができる。
【0014】
以下、本願発明について、図面を参照して実施形態とともに詳細に説明する。
なお、実施形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【0015】
[実施形態1]
図1は、本願発明の実施形態1の冷却媒体付き靴の全体外観の構成図、図2は、図1の後部から見た平面図、図3は、冷却媒体付き靴の靴底部と中敷き部を中敷き部の上面側から見た斜視図、図4は、図3のA−A線で切った断面図、図5は、靴底部の構成を示す図であり、(a)図は上から見た平面図、(b)図は後部から見た側面図である。
【0016】
図6は、冷却媒体の構成を示す斜視図、図7は、図2の冷却媒体を抜き取った後の後部から見た平面図、図8は、冷却媒体を複数個取り付けた構成を示す図である。
【0017】
図1〜図7において、1は布、ビニール、革、ゴム等からなる冷却媒体付き靴の本体、2は革、ゴム、合成樹脂等からなる靴底部、3は空気が包含されたスポンジ状の中敷き部、4は冷却媒体、4Aはプラスチック、ポリエチレン等からなる断面が半円状又は四辺形状の細長い容器、4Bは液体状もしくはゲル状の冷媒、4Cは前記容器4Aの着脱自在の蓋部材、5は前記靴底部2の上面側に断面が半円状又は四辺形状の細長い溝5Aを設け、その上に空気が包含された中敷き部3を設けて冷却媒体4を着脱自在に挿入可能な冷却用穴である。
【0018】
本願発明は、図1〜図7に示すように、靴本体部1と靴底部2と中敷き部3からなる冷却媒体付き靴であって、図5に示すように、前記靴底部2の上面側に断面が半円状又は四辺形状の細長い溝5Aを設け、図3及び図4に示すように、その上に空気が包含された中敷き部3を設けて、図7に示すように、冷却媒体4を着脱自在に挿入可能な冷却用穴5を構成し、該冷却媒体に冷却媒体を着脱自在に挿入したものである。
さらに、前記半円状又は四辺形状の細長い溝5Aの下部に、靴底部2の下部から冷気熱が逃げないように、また、道路等からの熱が伝わらないように断熱材からなる断熱層を挿入することが好ましい。
【0019】
前記冷却媒体4は、図6に示すように、プラスチック、ポリエチレン等からなる断面が半円状又は四辺形状の細長い容器4Aに液体状もしくはゲル状の冷媒4Bを詰めて蓋をして凍らせたものである。
前記凍らせる手段としては、例えば、家庭用の冷蔵庫の冷凍室等を用いる。
【0020】
前記本願発明の冷却媒体付き靴を使用する場合には、まず、例えば、家庭用の冷蔵庫の冷凍室等から前記容器4Aに液体状もしくはゲル状の冷媒4Bを詰めて蓋をして凍らせた冷却媒体4を取り出して、前記冷却用穴5に挿入して使用する。
【0021】
前述した本実施の形態の発明によれば、例えば、夏の日常生活において、道路が太陽により加熱されて30℃位〜40℃以上になった場合に、靴底の温度を低下させて暑さを緩和させることが可能である。
【0022】
また、例えば、夏の日常生活において、室内や車内のクーラーの温度をできるだけ低く設定するため、又は室内や車内のクーラーの使用時間を短縮するために、暑く感じる場所において冷却媒体付き靴を履いて、靴底の温度を低下させて身体の暑さを緩和させることができる。
また、夏期の日常生活において、冷却媒体付き靴を履いて、靴底の温度を低下させることにより、靴の内部で発生する足のむれ等による悪臭を低減することができる。
【0023】
また、さらに暑く感じる場所においては、図8に示すように、前記冷却媒体4を複数個取り付けて、靴底の温度を低下させて身体の暑さを緩和させることもできる。
【0024】
[実施形態2]
本願発明の実施形態2は、前記実施形態1の発明の冷却媒体付き靴において、前記冷却媒体の代わりに加熱媒体を用いたものである.即ち、プラスチック、ポリエチレン、厚紙等からなる断面が半円状又は四辺形状の細長い容器に粉状もしくは棒状の熱媒を詰めて蓋をしたものである。
また、さらに寒く感じる場所においては、図8に示すように、前記加熱媒体を複数個取り付けて、靴底の温度を更に上昇させて身体の寒さを緩和する。
【0025】
前述した実施形態2の手段によれば、例えば、冬の日常生活において、道路や部屋内で温度が10℃以下になった場合に、靴底の温度を加熱して上昇させ寒さを緩和させることができる。
また、地球温暖化の問題解決の一つとして、例えば、冬の日常生活において、室内や車内のクーラーの温度をできるだけ低い一定温度に設定するため、又は室内や車内のクーラーの使用時間を短縮するために、寒く感じる場所において加熱媒体付き靴を履いて、靴底の温度を加熱して身体の寒さを緩和させることができる。これにより、電力の消費を低減することができるので、地球温暖化問題解決の一つの手段とすることが可能である。
また、さらに寒く感じる場所においては、図8に示すように、前記加熱媒体を複数個取り付けて、靴底の温度を更に上昇させて身体の寒さを緩和させることもできる。
【0026】
以上、本願発明を、前記実施の形態に基づき具体的に説明したが、本願発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。例えば、長靴、革靴、スニーカ、サンダル等のすべての履物の底部に本願発明が適応できることは言うまでもない。
【発明の効果】
【0027】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
(1)夏又は冬の日常生活において、靴底の温度を低下又は上昇させることができるので、暑さ又は寒さを緩和させることができる。
(2)夏又は冬の日常生活において、室内や車内のクーラーの温度をできるだけ低い一定の温度に設定でき、又は室内や車内のクーラーの使用時間を短縮することができるので、電力の消費を低減することができる。
(3)夏期の日常生活において、冷却媒体付き靴を履いて、靴底の温度を低下させることにより、靴の内部で発生する足のむれ等による悪臭を低減することができる。
(4)さらに暑く又は寒く感じる場所においては、前記冷却媒体又は加熱媒体を複数個取り付けて、靴底の温度を低下又は上昇させて身体の暑さ寒さを緩和させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本願発明の実施の形態の冷却媒体付き靴の全体外観の構成図
【図2】図1の後部から見た平面図
【図3】冷却媒体付き靴の靴底部と中敷き部を中敷き部の上面側から見た斜視図
【図4】図3のA−A線で切った断面図
【図5】靴底部の構成を示す図、(a)図は上から見た平面図、(b)図は後部から見た側面図
【図6】冷却媒体の構成を示す斜視図
【図7】図2の冷却媒体を抜き取った後の後部から見た平面図
【図8】冷却媒体を複数個取り付けた構成を示す図
【符号の説明】
【0029】
1・・・冷却媒体付き靴の本体
2・・・靴底部
3・・・中敷き部
4・・・冷却媒体
4A・・・細長い容器
4B・・・冷媒
4C・・・蓋部材
5・・・冷却用穴
5A・・・細長い溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴本体部と靴底部と中敷き部からなる温度調整部材付き靴であって、前記靴底部の上面側に断面が半円状又は四辺形状の細長い溝を設け、その上に空気が包含された中敷き部を設けて冷却媒体又は加熱媒体を着脱自在に挿入可能な冷却用又は保温用穴を構成し、該冷却用又は保温用穴に冷却媒体又は加熱媒体を着脱自在に挿入したことを特徴とする温度調整部材付き靴。
【請求項2】
前記冷却媒体又は加熱媒体は、プラスチック、ポリエチレン、厚紙等からなる断面が半円状又は四辺形状の細長い容器に液体状、ゲル状、粉状等の冷媒を詰めて蓋をして凍らせたもの又は前記容器に粉状もしくは棒状の熱媒を詰めて蓋をしたものであることを特徴とする請求項1に記載の温度調整部材付き靴。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−204411(P2006−204411A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−17983(P2005−17983)
【出願日】平成17年1月26日(2005.1.26)
【出願人】(501080561)
【Fターム(参考)】