説明

温水暖房装置

【課題】温水暖房装置本体が大きくなるのを防止できると共に、シスターンタンク内に流入した温水内の空気や蒸気をスムーズに分離できる温水暖房装置を提供する。
【解決手段】循環ポンプ接続管8の一端がシスターンタンク5底部と接続され、貯湯缶体接続管6の一端がシスターンタンク5底部からタンク内に挿入され、そのタンク内に挿入された貯湯缶体接続管6の先端は水平方向に曲げられているもので、それによりシスターンタンク5周りのスペースを最小とすることができ、更にシスターンタンク5内に流入した温水内の空気や蒸気をスムーズに分離できるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水を貯湯式缶体にて貯湯する温水暖房装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種の温水暖房装置に於いては、貯湯式缶体101内に入れられた水は、例えば石油バーナ等のバーナによってオンオフ加熱されることで、設定された温度に保持され、貯湯式缶体101内に貯められた温水は循環ポンプ102によって循環路103を放熱器104に循環されて放熱される。
【0003】
又、貯湯式缶体101と循環ポンプ102との間にはシスターンタンク105が設けられ、該シスターンタンク105は貯湯式缶体101の上部と連通していると共に、循環ポンプ102の吸い込み側に連通しているものである。
【0004】
又、シスターンタンク105の上部には圧力開放用の圧力調整弁106が設けられており、該圧力調整弁106はシスターンタンク105内の圧力が一定以上の高圧になると開弁し、シスターンタンク105内の温水を圧力調整弁106に接続されている膨張タンク107に噴出させて温水を膨張タンク107に導くと共に、蒸気等を膨張タンク107から開放するものである。
【0005】
ここで 貯湯式缶体101とシスターンタンク105及び循環ポンプ102とシスターンタンク105の接続は、貯湯式缶体101からシスターンタンク105の側面に接続されると共に、循環ポンプ102からシスターンタンク105の底部に接続されているものや(例えば特許文献1参照)、貯湯式缶体101及び循環ポンプ102の両方ともシスターンタンク105の底部に接続されるものや、貯湯式缶体101及び循環ポンプ102の両方ともシスターンタンク105の側面に接続されているものがある。
【特許文献1】特開平9−60893号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところでこの温水暖房装置は、貯湯式缶体101とシスターンタンク105及び循環ポンプ102とシスターンタンク105の接続を、シスターンタンク105の側面に接続管で接続する場合、シスターンタンク105の側面からシスターンタンク105内に温水が水平方向に流入するので、シスターンタンク105内に温水が水平方向に流入してシスターンタンク105内の水平方向に渦を発生させ、それによりシスターンタンク105内に流入した温水内の空気や蒸気がスムーズに上方の圧力調整弁106から抜けていく利点があるものの、シスターンタンク105の側面に接続する分だけシスターンタンク105周りにスペースが必要になって温水暖房装置本体の寸法が大きくなってしまうという欠点があった。
【0007】
又、湯式缶体101とシスターンタンク105及び循環ポンプ102とシスターンタンク105の接続をシスターンタンク105の底部に接続管で接続する場合、シスターンタンク105周りには余計なスペースが不要で温水暖房装置本体の寸法が大きくなることがないという利点があるものの、シスターンタンク105の底部からシスターンタンク105内に温水が垂直方向に流入するので、それによりシスターンタンク105内の垂直方向に渦が発生してシスターンタンク105内に流入した温水内の空気や蒸気が、シスターンタンク105の底部に向かって流れ、それによりシスターンタンク105の底部から循環ポンプ102へ吸い込まれてしまうというという欠点があった。
【0008】
又、湯式缶体101とシスターンタンク105の上部側面及び循環ポンプ102とシスターンタンク105の底部を接続する場合、両方シスターンタンク105の底部に接続する場合よりもシスターンタンク105の底部から循環ポンプ102へ吸い込まれてしまうことが少なく、両方シスターンタンク105の側面に接続する場合よりも、スターンタンク105周りに必要な余計なスペースが少なくてよいが、利点及び欠点とも両方シスターンタンク105の底部に接続する場合と両方シスターンタンク105の側面に接続する場合の中間というものであった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明はこの点に着目し上記課題を解決するため、請求項1では特にその構成を、温水を貯湯する貯湯缶体と、燃料を燃焼させるバーナと、該バーナの燃焼ガスと貯湯缶体内の温水とを熱交換させる熱交換器と、貯湯缶体内の温水を貯湯缶体と温水暖房装置に接続されている放熱器との間に循環させる循環ポンプと、貯湯缶体と循環ポンプとの間に設けられ、貯湯缶体とは貯湯缶体接続管により接続され、循環ポンプとは循環ポンプ接続管により接続されたシスターンタンクとを備えた温水暖房装置に於いて、前記循環ポンプ接続管の一端がシスターンタンク底部と接続され、貯湯缶体接続管の一端がシスターンタンク底部からシスターンタンク内に挿入され、そのシスターンタンク内に挿入された貯湯缶体接続管の先端は水平方向に曲げられているものである。
【0010】
又本発明の請求項2に係る温水暖房装置では、特にその構成を、請求項1に於いて、前記シスターンタンク内に挿入された貯湯缶体接続管の先端は、シスターンタンク内の上方に位置すると共に、先端からシスターンタンク内に流入する温水がシスターンタンク内の側面の略接線方向に向いて設けられ、前記シスターンタンク底部と循環ポンプ接続管の接続位置は、シスターンタンクの底部の中心に対して貯湯缶体接続管の先端と略対向する位置に設けられているものである。
前記ことを特徴とする請求項1記載の温水暖房装置。
【発明の効果】
【0011】
この発明の請求項1によれば、循環ポンプ接続管の一端がシスターンタンク底部と接続され、貯湯缶体接続管の一端がシスターンタンク底部からシスターンタンク内に挿入され、そのシスターンタンク内に挿入された貯湯缶体接続管の先端は水平方向に曲げられているもので、それにより開放式のシスターンタンクであっても温水が勢いよく上に噴き出すことがなく、又貯湯缶体からシスターンタンク内に流入した温水に含まれていた空気や蒸気は、シスターンタンク内上方に向かってスムーズに分離されると共に、シスターンタンク周りに貯湯缶体接続管及び循環ポンプ接続管を接続するためのスペースを不要とすることができ、温水暖房装置本体の寸法が大きくなるのを防止できるものである。
【0012】
又本発明の請求項2に記載の温水暖房装置によれば、請求項1に於いて、前記シスターンタンク内に挿入された貯湯缶体接続管の先端は、シスターンタンク内の上方に位置すると共に、先端からシスターンタンク内に流入する温水がシスターンタンク内の側面の略接線方向に向いて設けられ、前記シスターンタンク底部と循環ポンプ接続管の接続位置は、シスターンタンクの底部の中心に対して貯湯缶体接続管の先端と略対向する位置に設けられているもので、それによりシスターンタンク内に流入した貯湯缶体からの温水は、貯湯缶体接続管の先端からシスターンタンク内側面に案内されるように水平方向に流れ、タンク内で水平方向に渦を積極的に発生させてシスターンタンク内に流入した温水に含まれていた空気や蒸気を、シスターンタンク内上方に向かってよりスムーズに分離することがてきると共に、シスターンタンク内に流入した温水が貯湯缶体接続管の先端からすぐに貯湯缶体接続管に流れ込まず、シスターンタンク内に流入した温水に含まれていた空気や蒸気を循環ポンプに吸い込ませず、循環ポンプが空気噛みを起こすのを防止できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、この発明に係る温水暖房装置を図面に示された一実施例で説明する。
図1に示すように、1は温水暖房装置で、燃料を燃焼させるバーナ2と、該バーナ2の燃焼ガスが通過する熱交換器3と、該熱交換器3を内蔵し、その熱交換器3と熱交換することで設定された温度に加熱されたお湯を貯湯する貯湯缶体4とを備えているものである。
【0014】
5はシスターンタンクで、一端が貯湯缶体4の上部と接続され、他端がシスターンタンク5の底部からタンク内部に挿入された貯湯缶体接続管6により貯湯缶体4と連通していると共に、一端がシスターンタンクの底部と接続され、他端が貯湯缶体4内の温水をシスターンタンク5を介して温水暖房装置1と接続されている放熱器(図示せず)に送り出し、放熱器を通過した温水が再び貯湯缶体1に戻るように循環させる循環ポンプ7の吸い込み側に接続された循環ポンプ接続管8により循環ポンプ7と連通しているものである。
【0015】
9は圧力開放用の圧力調整弁で、シスターンタンク5の上部に設けられ、シスターンタンク5内の圧力が一定以上の高圧になると開弁し、シスターンタンク5内の温水を圧力調整弁9と接続されている膨張タンク接続管10を通って膨張タンク11に噴出させて温水を膨張タンク11に導くと共に、蒸気等を膨張タンク11から開放するものである。
【0016】
前記シスターンタンク5内に設けられた貯湯缶体接続管6の一端部分は、シスターンタンク5内の上部に位置すると共にシスターンタンク5の底部の中心から離れた底部の端付近に設けられ、又その先端は水平方向に曲げられており、更にその先端の温水吹き出し口12は、吹き出す温水がシスターンタンク5内の曲面状の側面に沿ってタンク内で水平方向に渦が発生するようにシスターンタンク5内の側面の略接線方向に向いて設けられているものである。
【0017】
又、前記循環ポンプ接続管8のシスターンタンクの底部と接続している部分の位置は、シスターンタンク5の底部の中心に対して貯湯缶体接続管6の温水吹き出し口12と略対向する位置に設けられているものであり、貯湯缶体接続管6及び循環ポンプ接続管8ともシスターンタンク5の底部に接続されているので、シスターンタンク5周りに貯湯缶体接続管6及び循環ポンプ接続管8を接続するためのスペースを不要とすることができ、温水暖房装置本体の寸法が大きくなるのを防止できるものである。
【0018】
次にこの温水暖房装置の動作について説明する。
まずバーナ2が燃焼を開始して、その燃焼ガスと貯湯缶体4内の水が熱交換器3にて熱交換され、貯湯缶体4内の水が設定された温度に加熱されると、循環ポンプ7が動作して、貯湯缶体4内の温水がシスターンタンク5を介して温水暖房装置1と接続されている放熱器に送り出される。
【0019】
循環ポンプ7が動作すると、シスターンタンク5内の温水が循環ポンプ7の吸い込み側に流入し、貯湯缶体4内の温水が貯湯缶体接続管6を通ってシスターンタンク5内に流入する。
【0020】
この時、シスターンタンク5内に流入した貯湯缶体4からの温水は、貯湯缶体接続管6の先端の温水吹き出し口12からシスターンタンク5内の曲面からなるタンク内側面に案内されるように水平方向に流れ、タンク内で水平方向に渦を積極的に発生させる。
【0021】
そしてそれによりシスターンタンク5の上部の圧力調整弁9がなく、開放式の
シスターンタンク5であっても温水が勢いよく上に噴き出すことがなく、又貯湯缶体4からシスターンタンク5内に流入した温水に含まれていた空気や蒸気は、シスターンタンク5内上方に向かってスムーズに分離されるものである。
【0022】
又シスターンタンク5と循環ポンプ接続管8との接続が、シスターンタンク5の底部の中心に対して貯湯缶体接続管6の温水吹き出し口12と略対向する位置に設けられているので、空気や蒸気を含んでいないシスターンタンク5内底部付近の温水を循環ポンプ7の吸い込み側に送り出し、又温水の流量が増加してシスターンタンク5内に流入した温水がすぐ循環ポンプ7の吸い込み側に送り出されるようになっても、シスターンタンク5内に流入した温水が温水吹き出し口12から貯湯缶体接続管6に流れ込むまでの間に、シスターンタンク5内に流入した温水に含まれていた空気や蒸気がシスターンタンク5内上方に向かって分離されるので、循環ポンプが空気噛みを起こすのを防止できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の温水暖房装置の概略図。
【図2】同シスターンタンクの断面図。
【図3】同従来の温水暖房装置の概略図。
【図4】同従来のその他の温水暖房装置の概略図。
【図5】同従来のその他の温水暖房装置の概略図。
【符号の説明】
【0024】
1 温水暖房装置
2 バーナ
3 熱交換器
4 貯湯缶体
5 シスターンタンク
6 貯湯缶体接続管
7 循環ポンプ
8 循環ポンプ接続管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水を貯湯する貯湯缶体と、燃料を燃焼させるバーナと、該バーナの燃焼ガスと貯湯缶体内の温水とを熱交換させる熱交換器と、貯湯缶体内の温水を貯湯缶体と温水暖房装置に接続されている放熱器との間に循環させる循環ポンプと、貯湯缶体と循環ポンプとの間に設けられ、貯湯缶体とは貯湯缶体接続管により接続され、循環ポンプとは循環ポンプ接続管により接続されたシスターンタンクとを備えた温水暖房装置に於いて、前記循環ポンプ接続管の一端がシスターンタンク底部と接続され、貯湯缶体接続管の一端がシスターンタンク底部からシスターンタンク内に挿入され、そのシスターンタンク内に挿入された貯湯缶体接続管の先端は水平方向に曲げられていることを特徴とする温水暖房装置。
【請求項2】
前記シスターンタンク内に挿入された貯湯缶体接続管の先端は、シスターンタンク内の上方に位置すると共に、先端からシスターンタンク内に流入する温水がシスターンタンク内の側面の略接線方向に向いて設けられ、前記シスターンタンク底部と循環ポンプ接続管の接続位置は、シスターンタンクの底部の中心に対して貯湯缶体接続管の先端と略対向する位置に設けられていることを特徴とする請求項1記載の温水暖房装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−46804(P2006−46804A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−228525(P2004−228525)
【出願日】平成16年8月4日(2004.8.4)
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)
【Fターム(参考)】