説明

温水暖房装置

【課題】圧力検出手段を設けることなく、かつ、ヒートポンプの保護も可能な温水暖房装置を提供すること。
【解決手段】本発明の温水暖房装置は、温水を循環させて暖房を行なう暖房端末3と、冷媒と水とを熱交換させ暖房端末へ送る温水を生成する水冷媒熱交換器21と、暖房端末3と水冷媒熱交換器21との間に温水を循環させる循環ポンプ22とを備え、水冷媒熱交換器21は冷媒流路と水流路が積層状に形成されたプレート型熱交換器を用いるとともに、プレート型熱交換器の外側流路を冷媒流路とし、冷媒流路内の冷媒温度を検出できるように温度センサ23を配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱源をヒートポンプとした温水暖房装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のヒートポンプを用いた温水暖房装置では、ヒートポンプの構成部品である圧縮機から出た冷媒は、高温高圧となるので、ヒートポンプの保護のため、圧縮機から出る冷媒の圧力を検出する圧力検出手段を有し、所定の圧力以上を検出すると、圧縮機の運転を停止していた。
【0003】
一方、このような温水暖房装置は、低温の外気下において凍結の恐れがあるため、室内と室外とは冷媒配管で接続し、室内において高温冷媒と温水とを熱交換して、暖められた温水を室内に循環させることによって、暖房機能を実現させていた(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
そのため、冷媒と温水とを熱交換する室内ユニットを室内に置く必要があるため、室内ユニットはできる限り小型化させる必要があるため、比較的小型で高効率な熱交換器として、プレート式熱交換器を用いていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2005/106346号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来からの温水暖房装置においては、ヒートポンプの保護のために、圧縮機から吐出される高温高圧冷媒の圧力を検出するための圧力検出手段を設ける必要があるため、非常にコストが高くなってしまうという課題を有していた。
【0007】
本発明は、前記従来からの課題を解決するもので、圧力検出手段を設けることなく、かつ、ヒートポンプの保護も可能な温水暖房装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記従来の課題を解決するために、本発明の温水暖房装置は、温水を循環させて暖房を行なう暖房端末と、冷媒と水とを熱交換させ暖房端末へ送る温水を生成する水冷媒熱交換器と、暖房端末と水冷媒熱交換器との間に温水を循環させる循環ポンプとを備え、水冷媒熱交換器は冷媒流路と水流路が積層状に形成されたプレート型熱交換器を用いるとともに、プレート型熱交換器の外側流路を冷媒流路とし、冷媒流路内の冷媒温度を検出できるように温度センサを配置したことにより、冷媒の凝縮工程の温度を検知して圧力を推定することができるので、圧力センサを廃止することができ、かつ、確実に圧力を検知することができるのでヒートポンプサイクルの保護を図ることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、圧力検出手段を設けることなく、かつ、ヒートポンプの保護も可能な温水暖房装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1における温水暖房装置の構成図
【図2】(a)同実施の形態1における熱交換ユニットの正面図(b)同熱交換ユニットの正面構成図
【図3】同実施の形態1における水冷媒熱交換器の外観斜視図
【図4】(a)同実施の形態1における水冷媒熱交換器の側面斜視図(b)同実施の形態1における水冷媒熱交換器の変形図
【図5】(a)同実施の形態1におけるA部断面図(b)同実施の形態1におけるA部断面の変形図
【図6】同実施の形態1におけるA部断面図
【図7】同実施の形態1における変形例を示す室外ユニットの構成図
【発明を実施するための形態】
【0011】
第1の発明の温水暖房装置は、温水を循環させて暖房を行なう暖房端末と、冷媒と水とを熱交換させ暖房端末へ送る温水を生成する水冷媒熱交換器と、暖房端末と水冷媒熱交換器との間に温水を循環させる循環ポンプとを備え、水冷媒熱交換器は冷媒流路と水流路が積層状に形成されたプレート型熱交換器を用いるとともに、プレート型熱交換器の外側流路を冷媒流路とし、冷媒流路内の冷媒温度を検出できるように温度センサを配置したことにより、冷媒の凝縮工程の温度を検知して圧力を推定することができるので、圧力センサを廃止することができ、かつ、確実に圧力を検知することができるのでヒートポンプサイクルの保護を図ることができる。
【0012】
第2の発明の温水暖房装置は、特に第1の発明において、プレート型熱交換器の冷媒流路の略中央に温度センサを配置することにより、確実に飽和状態の冷媒の温度を検知することができる。
【0013】
第3の発明の温水暖房装置は、特に第1または第2の発明において、プレート型熱交換器の最も外側を構成する2つの流路のうち、一方を冷媒流路とし、他方を水流路としたことにより、冷媒から放熱される熱量を有効的に水へ与えることができる。
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1における温水暖房装置の構成図である。図1において、本実施の形態の温水暖房装置は、室外ユニット1と熱交換ユニット2と暖房端末3とで構成されている。なお、図1には暖房端末が一つだけ接続されている構成を示しているが、これに限定されることはなく、例えば、暖房端末を二つ設けた場合には、それらを並列に接続、または直列に接続することで、温水暖房装置を構成することができる。また、本実施の形態における暖房端末とは、床暖房パネルやファンコイルユニット等、放熱機能を有する端末であればよく、その形態を限定するものではない。
【0016】
まず、図1を用いて温水暖房装置の構成について説明する。室外ユニット1は室外に設置され、その筐体の内部には、空気と冷媒とが熱交換を行なう室外熱交換器11と、冷媒を圧縮する圧縮機12と、冷媒を減圧する膨張弁13とを少なくとも有する。また、熱交換ユニット2には、冷媒と水とを熱交換する水冷媒熱交換器21と、温水を暖房端末3内に循環させ水冷媒熱交換器21へ送る循環ポンプ22とを少なくとも有する。また、暖房端末3には温水の放熱を行なう放熱部31を少なくとも有する。なお、図1には示していないが、冷媒の温度や温水の温度を検出する温度センサや、冷媒の圧力異常を検出する圧力スイッチ等を適宜設けることは言うまでも無いが、本実施の形態では圧縮機12の吐出圧力を検出する圧力検出手段は設けていない。
【0017】
そして、室外熱交換器11、圧縮機12、水冷媒熱交換器21、膨張弁13を順次環状に冷媒配管で接続することによって、ヒートポンプサイクルを形成している。なお、図1に示す温水暖房装置の構成では四方弁を設けていないが、冷暖房機能を有する空気調和機のように、ヒートポンプサイクルの途中に四方弁を配置し、冷媒流路を順逆入れ替えることで、水冷媒熱交換器21では冷水を作ることができ、暖房端末3で冷房機能も実現することができる。また、本実施の形態では冷媒にR410Aを例にとって説明するが、水冷媒熱交換器21の内部での凝縮変化時に、臨界点以下で凝縮変化をし、かつ、50℃程度の温水が生成できる冷媒であれば、何を用いても構わない。
【0018】
また、放熱部31、循環ポンプ22、水冷媒熱交換器21を順次環状に水配管で接続することによって、水サイクルを形成している。なお、循環ポンプ22はACポンプまたはDCポンプのいずれでもよく、限定されることはない。
【0019】
以上のように構成された温水暖房装置において、以下、その動作・作用を説明する。
【0020】
まず、暖房を行なう際には、ヒートポンプサイクルの運転を開始するとともに、循環ポンプ22を駆動させることで放熱部31内部に温水を循環させて、暖房機能を実現させている。
【0021】
なお、暖房運転時には、温水暖房装置のリモコン(図示せず)で循環する温水の温度を設定するようにして、さらに水冷媒熱交換器の温水出口側に温水温度検出手段を設けておき、ヒートポンプサイクルの能力を一定として、その温水温度検出手段で検出する温度がリモコンで設定した温水の温度となるように、循環ポンプ22の回転数を制御するようにしてもよいし、圧縮機12から吐出される冷媒の温度を検出する吐出冷媒温度検出手段を設けておき、循環ポンプ22の回転数を一定として、ヒートポンプサイクルの能力を変化させる構成にしてもよい。
【0022】
図2(a)は、本実施の形態1における熱交換ユニット2の正面図であり、図2(b)は、同熱交換ユニット2の前面パネルを取り外した状態の正面図である。図2(a)(b)に示すように、本実施の形態では熱交換ユニット2の内部に水冷媒熱交換器21を配置しており、水冷媒熱交換器21には冷媒流路と水流路が積層状に形成されたプレート型熱交換器を用いている。
【0023】
図3は、本実施の形態1における水冷媒熱交換器21の斜視図であり、図4(a)は、本実施の形態1における水冷媒熱交換器21の斜視側面図である。図3および図4(a)に示すように、水冷媒熱交換器21の外側には冷媒の温度を検出する温度センサ23を設けている。
【0024】
図5(a)は、A部における冷媒流路および水流路と同方向の断面図である。図5(a)に示すように、水冷媒熱交換器21の最も外側の2つの流路のさらに外側には、水冷媒熱交換器21の耐久性を向上させるための金属製の補強板25が取り付けられている。
【0025】
そして、2枚の補強板25の間に冷媒流路と水流路とが積層状に形成されており、水と冷媒とが熱交換を行なっている。なお、温水暖房時に水冷媒熱交換器21において冷媒と水とが対向して流れるようにしており、熱交換効率を向上させている。
【0026】
なお、図5(a)に示すように、本実施の形態では、冷媒流路を3流路、水流路を3流路として簡略図として表しているが、実際の冷媒流路および水流路の数はこれに限定されることはなく、水冷媒熱交換器21の大きさや熱交換効率に合わせて変形され、冷媒流路と水流路を合わせて40流路や60流路程度であっても何ら問題はない。
【0027】
そして、両側に存在する補強板25の一方側であって、冷媒流路と隣り合わせの補強板25の一部の切り欠き、温度センサ23を取り付けている。しかしながら、温度センサ23を取り付けるために補強板25の一部を切り欠いた構成となっているため、図6に示すように、さらに外側から発泡断熱材26で覆うようにしている。このようにして一番外側にある冷媒流路からの放熱を出来るだけ抑えるようにして、熱交換効率を向上させている。
【0028】
なお、本実施の形態1では、図5(a)に示すように、2つある外側の流路のうち1つの外側の流路Xを冷媒流路とし、冷媒流路の隣に水流路を配置し、冷媒流路と水流路とが順番となるように構成されており、冷媒流路とは反対側の最も外側の流路Yを水流路としているが、図5(b)に示すように、両外側の流路XおよびYのいずれも冷媒流路としても良い。
【0029】
ただし、冷媒が保有している熱量を水に与えるという観点から、外側の流路Xに冷媒流路を配置した場合は、外側の流路Yに水流路を配置した方が、冷媒からの無駄な放熱を抑制することができる。また、外側の流路Yを冷媒流路としたときは、外側の流路Xを水流路とすることで、同じく冷媒からの無駄な放熱を抑制することができる。
【0030】
また、本実施の形態1では、温度センサ23の取付け位置は、冷媒入口および出口、水入口および出口とは反対側に設けているが、これに限定されることはなく、同じ側に設けてもよい。
【0031】
以上のように水冷媒熱交換器の冷媒流路の温度を検知するように構成することによって、冷媒流路を流れる冷媒の凝縮過程の温度を検出するので、冷媒の温度に対して冷媒の圧力が一意的に決まり、圧力検出手段を廃止しつつも、圧力を検出することができる。
【0032】
また、図4(b)に示すように、水冷媒熱交換器21の略中央付近に温度センサ23を取り付けることによって、確実に凝縮過程の冷媒の温度を検出することができる。このとき、図4(b)には、熱交換流路Lに対して、L/2の位置に温度センサ23を取り付けるように示しているが、略中央付近にあれば問題はないため、必ずL/2の位置に設けなければいけないということではない。
【0033】
すなわち、水冷媒熱交換器21の流路の端側よりも、水冷媒熱交換器21の流路の中央よりに配置するだけで、検出精度の確実性を向上させることができる。
【0034】
また、本実施の形態では、熱交換ユニット2を室外ユニット1とは別体に設け、熱交換ユニット2を室内置きにすることで、室外と室内とを接続する配管が冷媒配管になるため、寒冷地等に設置する場合には凍結の恐れを低下させるが、このような形態に限定するものではなく、例えば、熱交換ユニット2を廃止して、図7に示すように、室外ユニット1の内部に、熱交換ユニット2内に配置していた部品等を室外ユニット1の内部に配置して、室外ユニット1と暖房端末3のみで温水暖房装置を構成することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
以上のように本発明は、圧力検出手段を設けることなく、かつ、ヒートポンプの保護も可能な温水暖房装置を提供することができ、特に、プレート式の熱交換器を用いたヒートポンプ回路に適用することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 室外ユニット
2 熱交換ユニット
3 暖房端末
11 室外熱交換器
12 圧縮機
13 膨張弁
21 水冷媒熱交換器
22 循環ポンプ
23 温度センサ
31 放熱部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水を循環させて暖房を行なう暖房端末と、冷媒と水とを熱交換させ前記暖房端末へ送る温水を生成する水冷媒熱交換器と、前記暖房端末と前記水冷媒熱交換器との間に温水を循環させる循環ポンプとを備え、前記水冷媒熱交換器は冷媒流路と水流路が積層状に形成されたプレート型熱交換器を用いるとともに、前記プレート型熱交換器の外側流路を冷媒流路とし、前記冷媒流路内の冷媒温度を検出できるように温度センサを配置したことを特徴とする温水暖房装置。
【請求項2】
前記プレート型熱交換器の冷媒流路の略中央に前記温度センサを配置することを特徴とする請求項1に記載の温水暖房装置。
【請求項3】
前記プレート型熱交換器の最も外側を構成する2つの流路のうち、一方を冷媒流路とし、他方を水流路としたことを特徴とする請求項1または2に記載の温水暖房装置。

【図1】
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【図5】
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【図6】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−167891(P2012−167891A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30484(P2011−30484)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】