説明

温風暖房機

【課題】 人体の有無を検知して燃焼量を可変し、燃料消費量の低減と快適暖房を実現する温風暖房機に関する。
【解決手段】 運転スイッチ11の信号に基づいてバーナ2の燃焼の開始と停止を行うと共に、燃焼中のバーナ2の燃焼量を可変する燃焼制御手段12と、温風暖房機の付近の人の存在を検知する人体検出手段13と、人体不検知中をカウントする長短二つの計時機能を備えたタイマー手段14と、燃焼制御手段12へ燃焼制御信号を出力する燃焼規制手段15とを設け、燃焼規制手段15は人体不検知中のタイマー手段14の短い所定時間T1のカウントアップ出力でバーナ2の燃焼量を微小燃焼に変更し、長い所定時間T2のカウントアップ出力で燃焼を停止し、燃料消費量の低減を行う。また、微小燃焼中に人体を検知したときは、直接もしくはバーナ2の最大燃焼量を経て、燃焼制御手段12による燃焼制御を再開するので、室温低下による使用者の不快感を低減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は温風暖房機の燃焼制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃焼排気を室内に排出する方式の温風暖房機では、枠体内にバーナを設け、このバーナに燃料を供給するポンプと、燃焼空気を送る燃焼用送風機を設け、ポンプから供給された燃料と、燃焼用送風機からの燃焼空気を、バーナ内で混合、気化、燃焼させることにより、暖房に必要な熱量を発生させている。
【0003】
枠体の前後を貫通する送風経路には、入口側に対流用送風機、出口側に吹出口を設け、前記バーナの上部に設けた燃焼室を送風経路に取付けることにより、送風経路を通過する空気と、バーナから燃焼室内に送り込まれる排気とを混合し、対流用送風機によって吹出口から温風として枠体前面へ吹き出すものである。
【0004】
また、枠体内には前記ポンプと燃焼用送風機とを制御してバーナの燃焼開始、停止、燃焼量の変更を行う燃焼制御手段を設け、枠体上の操作盤に設けられた運転スイッチの入/切信号に基づいて、バーナの燃焼開始、及び停止の制御を行っている。
【0005】
また、枠体には室内の温度を検出する室内温度検出手段、操作盤には使用者が所望の室内温度を設定することができる温度設定手段を設け、前記燃焼制御手段は室内温度検出手段によって検出された室内温度の数値と温度設定手段にて決定された設定温度の数値をもとにして、バーナの燃焼量を変化させ、室内温度を設定温度に近づけるように制御を行うものである。
【0006】
近年では、特許文献1に示すように枠体に暖房機のまわりの人体の有無を検知する人体検出手段を設け、人体検出手段が人の存在を検知しなくなった場合は、温度設定手段にて設定された設定温度の数値を、使用者があらかじめ設定した数値分を強制的に下げることにして、この減少した設定温度と室内温度との比較を燃焼制御手段によって行うことにより、バーナの燃焼量を減少する方向に変化させて、部屋に人がいない間は暖房機の燃料消費量を低減するような構造が知られている。
【特許文献1】特開2003−90624号公報
【特許文献2】特開平3−1011号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の特許文献1のように、人体が不検知の時の設定温度を強制的に下げてバーナの燃焼量を変化させる方法は、例えばバーナの運転開始直後に人がいなくなった時には、この人体の不検出によって低下させた設定温度が現在の室内温度よりも高い場合があり、燃焼制御手段は低い現在室温をこの変更した設定温度に近づけるために低下させた設定温度と現在室温を比較して、バーナの燃焼量として最大燃焼を指示してしまうため、設定温度が減少する前と後で燃焼量が変化せず、バーナの燃焼量減少による燃料消費量低減の効果が得られない場合が発生する。
【0008】
また、部屋の使用状態は、使用者によってまちまちであり、頻繁に部屋に出入りする人や、一度部屋を出たらそのまま戻ってこないような人もおり、使用者の癖によって使い方は様々である。このため、人体検出手段が不検出となってから燃焼量が減少するまでの時間が一定である場合、上記のような状況のすべてにおいて使用者が望む形で燃料消費量の低減を行うのは困難である。
【0009】
また、人体の不検出によって燃焼量が減少している状態で、人体を検知した場合には、燃焼量の減少によって室内温度が下がっていることが予想される。よって、使用者に室内温度が低下していることによる不快感を与えない為に、低下した室内温度をできる限り早く上昇させる必要がある。
【0010】
また、何らかの原因で部屋の中に人がいるにも関わらず、人体検出手段が一定時間継続して人体を検知できなかった場合にも燃焼量が減少し、室内温度が低下する。この低下した室内温度をもとに戻すには、人体検出手段に人体の存在を検知させたり、人為的に人体検出手段の機能を停止させて燃焼量をもとに戻す必要がある。しかし、使用者が人体検出手段の死角にいてほとんど動かないような場合には人体検出手段が人体を検知できないから、人体検出手段に人体の存在を検知させるために使用者は頻繁に移動しなければならず、このような状況は使用者に不快感をあたえる恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は上記課題を解決するもので、枠体1内にバーナ2と、このバーナ2に燃料を供給するポンプ3と、このバーナ2に燃焼空気を送る燃焼用送風機4とを設け、該枠体1の前後を貫通する送風経路5には、入口側に対流用送風機6、出口側に吹出口7を設け、前記バーナ2の上部に設けた燃焼室8は送風経路5内に開口し、この送風経路5を通過する空気を温風にすると共に、室内温度を検出する室内温度検出手段9と、室内温度を設定する温度設定手段10と、運転スイッチ11の信号に基づいて前記ポンプ3と燃焼用送風機4とを制御してバーナ2の燃焼の開始と停止を行う燃焼制御手段12とを備え、該燃焼制御手段12は前記室内温度検出手段9と温度設定手段10からの信号を用いて燃焼中のバーナ2の燃焼量を可変する温風暖房機において、前記温風暖房機は付近の人の存在を検知する人体検出手段13と、所定時間を計時するタイマー手段14と、前記燃焼制御手段12へ制御信号を出力する燃焼規制手段15とを備え、前記タイマー手段14には人体不検知中をカウントする長短二つの計時機能を備え、短い所定時間T1がカウントアップした出力で、前記燃焼規制手段15は燃焼制御手段12の制御信号で燃焼量を強制的に微小燃焼に変更し、長い所定時間T2がカウントアップした出力で、燃焼規制手段15は燃焼制御手段12の制御信号で燃焼を停止するとともに、前記燃焼規制手段15による微小燃焼継続中に人体検出手段13が人体を検知した場合、燃焼制御手段12はバーナ2の燃焼量を室内温度検出手段9と温度設定手段10の信号に基づく燃焼量に、直接もしくはバーナ2の最大燃焼量を経て復帰することを特徴とする。
【0012】
また、前記タイマー手段14にはカウントアップ時間の可変手段16と、微小燃焼の継続時間を計時する微小燃焼計時手段17を備え、前記人体検出手段13が人体を検知した信号で微小燃焼が解除されたときの前記微小燃焼計時手段17の計時が、あらかじめ設定した時間以下のときには、前記可変手段16は燃焼開始時における前記タイマー手段14の人体不検知中をカウントする短い所定時間T1が長くなるように修正する構成としたから、部屋に人がいるときに人体検出手段13が人の存在を検知しなくても、その後は快適な暖房を維持することができた。
【発明の効果】
【0013】
前記人体検出手段13による人体不検出時間が、始めの所定時間T1を継続した場合に、暖房装置はあらかじめ定めた実施可能な微小燃焼に燃焼量を変更する構成であるから、人体不検出となったからといって直ちに燃焼量が減少せず、人が短時間に出入りを繰り返しても、頻繁に燃焼量の変更は行わない。また、所定時間T1を継続して人体不検出となった時は人が不在になっていると判断でき、この時は燃焼量を微小燃焼まで減少し、更に、このような微小燃焼が長い所定時間T2を継続すると、この微小燃焼状態から燃焼を停止してしまうから、不必要な暖房がなくなり燃料消費量が低減して省エネルギーが実現できた。
【0014】
また、人体の不検知状態によってタイマー手段14の短い所定時間T1が過ぎた微小燃焼の継続中において、人体検出手段13が人体を検知すると直ちに燃焼規制手段15による微小燃焼を解除して、室内温度と設定温度に基づいた燃焼量に戻すものであり、この時の燃焼量は室温が低下しているからバーナ2の最大燃焼量となり、その後は以前の燃焼量に復帰するから、人が部屋に戻ってきたときはもちろん、人体検出手段13の死角に位置した人が出てきた時には、微小燃焼を継続していた燃焼量は強燃焼に変り、すぐに室内温度を上昇させて快適な暖房を提供し、室温低下による使用者の不快感を低減することが可能となった。
【0015】
また、上記のように部屋の中に人がいるのに人体検出手段13が人体不検知したときには、人は燃焼量が低下してはじめて人体検出手段13の死角にいることに気付き、移動して人体検出手段13に自分の存在を検知させて燃焼量を元に戻すことになるが、この発明では、タイマー手段14には計時機能のカウントアップ時間を可変する可変手段16と、短い所定時間T1がカウントアップした後で微小燃焼が継続する時間を計時する微小燃焼計時手段17を設け、この微小燃焼計時手段17の計時があらかじめ設定した時間以下の時には、可変手段16が短い所定時間T1を長くなるように修正している。このため、微小燃焼計時手段17の時間が短いときに復帰したときには、暖房中の部屋に人がいたと判断して、次回からは燃焼量が減少する頻度を自動的に少なくし、人体検出手段13が人体を検知できる機会を多くすることが可能となり、頻繁な室温低下による使用者の不快感を低減することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
実施例を示す図によってこの構成を説明すると、1は温風暖房機の枠体、2は枠体1内に配置したバーナ、18は燃焼用空気が送られる風胴、19は風胴18内に設置された有底筒形のポット、19aは風胴18から燃焼用空気が供給できるようにポット19の側壁に設けた多数の小径空気孔であり、前記バーナ2の本体は風胴18とポット19によって構成される。4はポット19に燃焼用空気を供給するための燃焼用送風機であり、燃焼用送風機4によって圧送された燃焼用空気は風胴18に送られ、小径空気孔19aの位置と大きさにより適切に制御されてポット19内に供給される。
【0017】
20はポット19に供給する燃料を貯える油タンク、3は油タンク20の上面に取付けた電磁ポンプで構成するポンプ、21はポット19とポンプ3との間に設けた燃料パイプ、22は燃料パイプ21のポット19内に伸ばした先端で構成する送油ノズルであり、前記風胴18とポット19の側壁とを貫通するようにポット19内部に伸ばした送油ノズル22から燃料がポット19の底面に供給される。
【0018】
23はポット19の側壁からポット19の底面と間隔を介して取付けた予熱兼用の点火ヒータ、24はポット19内に設置された助燃部材、8はポット3上方に配置された燃焼室であり、ポット19内に供給された燃料は、点火ヒータ23や燃焼熱で高温となっているポット19の底面で気化し、初期燃焼を開始しながら小径空気孔19aから供給される燃焼用空気と助燃部材24の働きで混合し、燃焼室8内で完全燃焼するものである。
【0019】
5は枠体1を前後に貫通して燃焼室8を取り囲むように配置された送風経路、6は送風経路5の後方に設置された対流用送風機、7は送風経路5の前方に設置された吹出口であり、前記燃焼室8は送風経路5内に開口し、その燃焼室8で完全燃焼した燃焼ガスは送風経路5に送られ、前記対流用送風機6によって取り込まれた室内空気と燃焼ガスとが送風経路5内で混合され、吹出口7より温風として排出されるものである。
【0020】
また、12は枠体1内に設置されたコンピュータシステムで構成してCPU・ROM・RAM・I/O装置などで動作させる燃焼制御手段、25は枠体1の表面に設置された操作盤、11は操作盤25に設けられた運転スイッチ、26は操作盤25と燃焼制御手段12とをつなぐリード線であり、運転スイッチ11の入/切信号はリード線26を通して燃焼制御手段12に送られ、該燃焼制御手段12は運転スイッチ11の信号に基づいてポンプ3、燃焼用送風機4、点火ヒータ23、対流用送風機6の入/切を指示し、温風暖房機の運転を制御している。
【0021】
また、9は枠体1の後方に設置された温度センサで構成する室内温度検出手段、10は操作盤25上に設けたボタンで操作されて使用者の所望する温度を記憶する温度設定手段であり、温度設定手段10に記憶されている温度数値と、室内温度検出手段9よりもたらされる現在室温の温度数値を前記燃焼制御手段12にて比較し、設定温度のほうが高い場合にはポンプ3の流量、及び燃焼用送風機4の回転数を増加することによってバーナ2の燃焼量を増加させ、室内温度のほうが高い場合にはポンプ3の流量、及び燃焼用送風機4の回転数を減少することによってバーナ2での燃焼量を減少させることにより、室内温度の数値を設定温度の数値に近づけるように制御を行うものである。
【0022】
13は枠体1の前面に設置された人感センサで構成された人体検出手段、15は人体検出手段13からの人体検知・不検出の制御信号を受けて前記燃焼制御手段12へ燃焼規制信号・燃焼停止信号を送り出す燃焼規制手段、14は人体検出手段13が人体不検出の状態を検知した時にカウントを開始すると共に人体検知の状態のときにカウントを停止するタイマー手段であり、前記燃焼規制手段15は人体検出手段13から人の存在を検知できない人体不検出の制御信号を受けると前記タイマー手段14にカウントの開始を指示し、また、人体検出手段13から人体を検知した人体検知の制御信号を受けると前記タイマー手段14にカウントの停止を指示する。
【0023】
一方、カウントを開始したタイマー手段14がカウントを終了すると出力信号を燃焼規制手段15に送り、燃焼規制手段15はこの信号を受けてバーナ2の燃焼量を低下させる出力信号を燃焼制御手段12に送るから、燃焼制御手段12はポンプ3と燃焼用送風機4の燃料と空気の流量を変更して、バーナ2の燃焼量を通常の燃焼量よりも小燃焼に変更している。
【0024】
本件発明のタイマー手段14には、人体不検知中をカウントする短い所定時間T1と長い所定時間T2の長短二つの計時機能を備えている。図2に示す実施例はこのタイマー手段14の構成にかかるものであり、27はタイマーの計時機能の基礎となるクロックカウンタ、14aは前記短い所定時間T1を計時する短時間タイマー、14bは長い所定時間を計時する長時間タイマーであり、この短時間タイマー14aと長時間タイマー14bは前記クロックカウンタ27の信号によって計時カウントを行うと共に、前記燃焼規制手段15からの起動・停止信号は短時間タイマー14aと長時間タイマー14bに出力され、計時カウントの開始と停止を行っている。
【0025】
前記燃焼規制手段15は人体検出手段13の人体不検知の出力信号によって前記タイマー手段14にカウントの開始を指示すると、実施例のタイマー手段14では短い所定時間T1と長い所定時間T2の計時機能が作動する。そして、タイマー手段14の短時間タイマー14aが短い所定時間T1のカウントを終了した時、タイマー手段14は燃焼規制手段15へ人体不検知信号を出力し、この人体不検知信号を受け取った燃焼規制手段15は燃焼制御手段12へ燃焼規制信号を出力する。この燃焼規制信号を入力した燃焼制御手段12は設定温度と現在室温との比較による燃焼制御を中断し、強制的にバーナ2の燃焼量を微小な燃焼量に変更するために、燃焼用送風機4の空気量とポンプ3の燃料流量を減少する。[図3(a)参照]。このため、人体検出手段13が人の存在を検知しなくなった時のバーナ2の燃焼量が微小燃焼よりも大きな燃焼状態にあれば、この燃焼量が微小燃焼量まで減少することとなるため、効果的に燃料消費量の低減ができるようになった。
【0026】
また、タイマー手段14は短い所定時間T1のカウントが終了した後でも計時機能は作動しており、次に長時間タイマー14bが長い所定時間T2のカウントを終了した時に、タイマー手段14は燃焼規制手段15へ第二人体不検知信号を出力し、この第二人体不検知信号を受け取った燃焼規制手段15は燃焼制御手段12へ燃焼停止信号を出力する。このため、燃焼制御手段12は、運転スイッチ11から運転停止信号の出力を受けたときと同様に、この燃焼規制手段15から燃焼停止信号を受けて、ポンプ3の運転を止めてバーナ2への燃料の供給を止め、その後燃焼用送風機4の運転も停止することでバーナ2の燃焼を停止する。[図3(a)参照]。このため、燃焼制御手段12がタイマー手段14の短時間タイマー14aによる人体不検知信号に基づいて、バーナ2の燃焼量を微小燃焼にしている時に、使用者が長期間部屋を離れる場合には、前記タイマー手段14は長時間タイマー14bが長い所定時間T2を計時すると第二人体不検知信号を出力し、この出力信号に基づいて燃焼制御手段12がバーナ2の燃焼を停止させるものであり、暖房中の部屋から人がいなくなった時に、微小燃焼を継続するよりも効果的に燃料消費量の低減を行うことができた。
【0027】
また、燃焼規制手段15が人体検出手段13の人体不検知の出力信号を受け、この燃焼規制手段15がタイマー手段14に計時機能の作動を指示しても、タイマー手段14が短い所定時間T1をカウント中のときには、燃焼制御手段12は温度設定手段10に記憶されている温度数値と現在室温の温度数値とを比較し、最適なポンプ3と燃焼用送風機4における燃料流量と供給空気量を指示して、バーナ2は通常の運転を継続している。この状態のときに人体検出手段13が人の存在を検知したときには、燃焼規制手段15は人体検出手段13の人体検知の出力信号を受けて、タイマー手段14の計時機能を停止するから、たまたま暖房中の部屋に人の不在時間があってもバーナ2は通常の運転を継続するものであり、短時間の人の出入りに反応してバーナ2の燃焼量が変化しなくなった。また、この復帰した状態から人体検出手段13が再び人の不在を検知すれば、タイマー手段14は計時機能が作動して、短い所定時間T1でバーナ2の燃焼量が微小燃焼に移行し、更に、長い所定時間T2が経過すればバーナ2の燃焼が停止する。[図3(b)参照]。
【0028】
また、燃焼制御手段12が燃焼規制手段15の燃焼規制信号によって、バーナ2の燃焼量を微小燃焼に変更して、タイマー手段14が長い所定時間T2をカウント中において、暖房機から離れていた人が戻ってきて人体検出手段13が人の存在を検知すると、燃焼規制手段15は人体検出手段13の人体検知の出力信号を受けて、タイマー手段14の計時機能を停止すると共に、燃焼制御手段12に出力していた燃焼規制信号を停止する。このため、バーナ2の燃焼量を微小燃焼に変更していた燃焼制御手段12は、温度設定手段10に記憶されている温度数値と現在室温の温度数値とを比較し、最適なポンプ3と燃焼用送風機4における燃料流量と供給空気量を指示する本来の燃焼制御運転を再開する。
【0029】
このとき、暖房中の部屋の温度はバーナ2の微小燃焼を受けて室温は設定温度よりも低くなっているから、バーナ2の燃焼は多くの場合最大燃焼に移行し、室温の上昇と共に人の存在を検知しているときの燃焼に復帰する。また、燃焼制御手段12によって温度設定手段10に記憶されている温度数値と現在室温の温度数値に基づく通常の燃焼制御に移行する時に、バーナ2が最大燃焼を行わないときには、強制的にバーナ2が最大燃焼を行ってから、燃焼制御手段12による燃焼制御に移行し、やがて人の存在を検知しているときの燃焼に復帰させても良く、バーナ2の燃焼量は設定温度と室温の比較による本来の燃焼量に戻ることができる。[図3(c)参照]。このため、使用者が人体検出手段13の死角にいた場合などで、室内に人が居るにもかかわらず燃焼量が低下し、室内温度が減少した場合でも、使用者が移動して人の存在を人体検出手段13に検知させれば、バーナ2は大燃焼状態となって室内温度を上昇させるため、室温低下による使用者の不快感を低減することができた。
【0030】
図2に示すタイマー手段14の構成の実施例において、16は操作盤25による入力値などの外部入力の指示に基づいて、タイマー手段14の短時間タイマー14aと長時間タイマー14bのカウントアップ時間を一方もしくは両方共に変更する可変手段であり、人体検出手段13が人の存在を検知しなくなってから微小燃焼に切り換わるまでの短い所定時間T1と、この微小燃焼を継続して燃焼が停止するまでの長い所定時間T2は暖房装置が置かれた部屋の状況によって変化することができる。
【0031】
即ち、温風暖房機が置かれた部屋の状態によって、枠体1に設置した人体検出手段13が家具などによって人体を常に検知し続けることができない状態が発生しても、本願発明の構成であれば、採暖している人は部屋の中を動くことがあるから、人体検出手段13はたびたび人の存在を検知してバーナ2は燃焼を継続できる。しかし、採暖する人の行動によっては短い所定時間T1や長い所定時間T2があってもバーナ2の運転が停止するときがあるが、この実施例の構成であれば、使用者はタイマー手段14の可変手段16を直接操作することで、短い所定時間T1や長い所定時間T2を、使用者の行動パターンにあわせて調整することができるようになり、暖房運転の停止による使用者の不快感を低減することができた。
【0032】
また、図2に示す実施例において、17は短時間タイマー14aがカウントアップした後でカウントを開始し、長時間タイマー14bの計時カウントが停止したときまでの時間を計時する微小燃焼計時手段であり、この微小燃焼計時手段17の計時時間がバーナ2で微小燃焼を継続した時間となっている。28は微小燃焼計時手段17で計時した時間の長さに対応する時間を記憶した記憶手段、29はこの記憶手段28に記憶した時間と微小燃焼計時手段17で計時した時間との比較を行う比較回路であり、この比較回路29の出力は操作盤25からの入力のほかに前記可変手段16の操作入力となっている。
【0033】
先の実施例のように使用者が直接可変手段16を操作するものにかえて、この実施例では、自動的にこの可変手段16が作動する運転モードを提案するものであって、前記燃焼制御手段12が燃焼規制手段15の燃焼規制信号によってバーナ2の燃焼量を微小燃焼に変更し、タイマー手段14が長い所定時間T2を計時しているときにおいて、前記人体検出手段13の人体不検知の出力信号が解除され、人体が存在する人体検知の出力信号が出力されてバーナが大燃焼状態に復帰するときに、前記可変手段16が作動するようになっている。
【0034】
即ち、前記微小燃焼計時手段17は短時間タイマー14aがカウントアップした後でカウントを開始し、長時間タイマー14bの計時カウントが停止したときまでの微小燃焼継続時間T3を計時する働きがある。[図3(c)参照]。そして、前記比較回路29はこの計時した微小燃焼継続時間T3が記憶手段28に記憶している一定時間以下であるかを判定し、もし、一定時間以下である場合には使用者が人体検出手段13の死角にいて検知できなかったもの判断する。この判断結果は比較回路29の出力として可変手段16に入力され、この結果、可変手段16は先の操作盤25からの操作入力と同様に、短時間タイマー14aの短い所定時間T1と長時間タイマー14bの長い所定時間T2を長くして、次回のタイマー手段14のカウントアップ時間を長いものへ変更する。このように、バーナ2が燃焼規制手段15によって微小燃焼となるまでの時間を長くすることで、使用者が人体検出手段13の死角にいて検知が難しいような場合に、燃焼量が減少する頻度を自動的に減らし、頻繁な室温低下による使用者の不快感を低減することが可能となった。
【0035】
また、前記比較回路29の出力を受ける可変手段16の動作モードとして、前記したようにあらかじめ設定した長い時間となるようにタイマー手段14の所定時間T1・T2を変更する動作モードに代る他の動作モードを提案することができる。前記可変手段16にはタイマー手段14の現在の短い所定時間T1と長い所定時間T2を読み取るための入力部を備えており、この入力部から読み取った所定時間T1・T2に、あらかじめ設定してある延長時間を加えたものを、新たな所定時間T1・T2として可変手段16へ入力することもできる。この動作モードであれば、人体検出手段13の人体不検知の出力信号が出てからバーナ2が微小燃焼に変更し、やがて運転を停止するまでの時間は、前回よりもあらかじめ設定した延長時間だけ長くなって行くものであり、バーナ2が微小燃焼状態で運転する頻度が自動的に少なくなり、暖房機を使用する人の行動パターンに自動的に合ってくるようになり、頻繁な室温低下による使用者の不快感を低減することが可能となった。
【0036】
また、この動作モードでは、何回でも自動的に短い所定時間T1と長い所定時間T2が延長するから、暖房機を使用する人の行動パターンによっては、人体検出手段13が全く機能しない状態に移行してしまう。30は可変手段16に付設したカウンターであり、このカウンター30は1回の暖房機の使用中にこの可変手段16が作動する数をカウントしている。そして、カウンター30が可変手段16の例えば5回目の時間延長の指示を受付けたときには、その後の時間延長指示をキャンセルして、本当に部屋に人がいなくなってしまったときだけ、バーナ2の燃焼量を微小燃焼に変更して、その後は暖房機に運転を停止すように変更する機能が追加できた。
【0037】
更に、図2の実施例において、31は短時間タイマー14aもしくは長時間タイマー14bのカウントアップ出力によって作動する警報手段であり、短時間タイマー14aがカウントアップしたときに短時間だけ警報手段31を作動させ、バーナ2の燃焼量が微小燃焼に変ったことを使用者に知らせたり、長時間タイマー14bがカウントアップしたときに所定時間だけ警報手段31を作動させて、使用者にバーナ2が運転停止したことを知らせることができた。
【0038】
また、図4に示す実施例は人体検出手段13の構成を示しており、32は人体検出手段13の検知部を形成する人体センサー、33は操作盤25上に設けられたボタンで構成された人体検出手段13の機能の有効/無効を選択する選択手段、34は人体検出手段13が機能しているときに点灯させるランプ駆動手段、35は表示ランプであり、使用者は選択手段33のボタンを操作することで人体検出手段13を有効にしたり無効にすることができ、人体検出手段13の作動をやめて人がいないときでも暖房機が連続運転できるようにすることができる。また、前記ランプ駆動手段34は人体検出手段13が作動中に表示ランプ35を点灯させており、この表示ランプ35は選択手段33に連動して点灯・消灯することができるようになったので、使用者は暖房機から離れたところから人体検出手段13が作動中かどうかを知ることができるようになる。
【0039】
なお、各種の検出手段や操作部の信号を入力とする、燃焼制御手段12、人体検出手段13、タイマー手段14、燃焼規制手段15などは、全体をコンピュータシステムで構築することができ、ひとつのCPU基板の上に機能別に配置することもでき、また、ワンチップCPUの中にその全体を組み込むこともできる。またこのようにコンピュータシステムとして構成したときには、操作盤25上に配置した各種ボタンの増加を押さえるために、可変手段16への直接操作部や、人体検出手段13の選択手段33などは、スイッチを兼用させて短押しや長押しによって入力内容を認識できるようにすることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】この発明の実施例を示すブロック図である。
【図2】この発明のタイマー手段の内部構成の実施例を示すブロック図である。
【図3】この発明の人体検出手段が作動した時のバーナの燃焼量の変化を示す説明図である。
【図4】この発明の人体検出手段の内部構成の実施例を示すブロック図である。
【図5】この発明の実施例を示す石油燃焼機の断面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 枠体
2 バーナ
3 ポンプ
4 燃焼用送風機
5 送風経路
6 対流用送風機
7 吹出口
8 燃焼室
9 室内温度検出手段
10 温度設定手段
11 運転スイッチ
12 燃焼制御手段
13 人体検出手段
14 タイマー手段
14a 短時間タイマー
14b 長時間タイマー
15 燃焼規制手段
16 可変手段
17 微小燃焼計時手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体1内にバーナ2と、このバーナ2に燃料を供給するポンプ3と、このバーナ2に燃焼空気を送る燃焼用送風機4とを設け、
該枠体1の前後を貫通する送風経路5には、入口側に対流用送風機6、出口側に吹出口7を設け、前記バーナ2の上部に設けた燃焼室8は送風経路5内に開口し、この送風経路5を通過する空気を温風にすると共に、
室内温度を検出する室内温度検出手段9と、室内温度を設定する温度設定手段10と、運転スイッチ11の信号に基づいて前記ポンプ3と燃焼用送風機4とを制御してバーナ2の燃焼の開始と停止を行う燃焼制御手段12とを備え、
該燃焼制御手段12は前記室内温度検出手段9と温度設定手段10からの信号を用いて燃焼中のバーナ2の燃焼量を可変する温風暖房機において、
前記温風暖房機は付近の人の存在を検知する人体検出手段13と、所定時間を計時するタイマー手段14と、前記燃焼制御手段12へ制御信号を出力する燃焼規制手段15とを備え、
前記タイマー手段14には人体不検知中をカウントする長短二つの計時機能を備え、短い所定時間T1がカウントアップした出力で、前記燃焼規制手段15は燃焼制御手段12の制御信号で燃焼量を強制的に微小燃焼に変更し、長い所定時間T2がカウントアップした出力で、燃焼規制手段15は燃焼制御手段12の制御信号で燃焼を停止すると共に、
前記燃焼規制手段15による微小燃焼継続中に人体検出手段13が人体を検知した場合、燃焼制御手段12はバーナ2の燃焼量を室内温度検出手段9と温度設定手段10の信号に基づく燃焼量に、直接もしくはバーナ2の最大燃焼量を経て復帰することを特徴とする温風暖房機。
【請求項2】
前記タイマー手段14にはカウントアップ時間の可変手段16と、微小燃焼の継続時間を計時する微小燃焼計時手段17を備え、
前記人体検出手段13が人体を検知した信号で微小燃焼が解除されたときの前記微小燃焼計時手段17の計時が、あらかじめ設定した時間以下のときには、前記可変手段16は燃焼開始時における前記タイマー手段14の人体不検知中をカウントする短い所定時間T1が長くなるように修正することを特徴とする請求項1に記載の温風暖房機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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