説明

測定器

雌ねじ211を有する筒21と、雌ねじ211に螺合する送りねじ31を有し軸中心の回転にて軸方向進退可能に設けられたスピンドル3とを備え、スピンドル3の回転量に基づくスピンドル3の軸方向変位量から被測定物の寸法等を測定する測定器において、送りねじ31のピッチPは外径Rと谷径rとの差の2倍以上であり、かつ、外径Rと谷径rとの差は外径Rの5分の1以下である。大ピッチの送りねじ31によってスピンドル3を高速に移動させることができ、測定器の操作性が向上される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、スピンドルを螺合回転で進退させることにより被測定物の寸法等を測定する測定器、例えば、マイクロメータやマイクロメータヘッド等に代表される測定器に関する。
【背景技術】
従来、雌ねじが設けられた本体と、雄ねじが設けられたスピンドルとを備え、スピンドルを螺合回転で進退させることにより被測定物の寸法等を測定する測定器、例えば、マイクロメータやマイクロメータヘッド等に代表される測定器が知られている。このような測定器としては、例えば文献1;実開昭49−80260号、文献2;特開昭54−130152号がある。
このような測定器においては、スピンドルに設けられた雄ねじのねじピッチによってスピンドルの一回転あたりの変位量が規定される。
従来のスピンドルに設けられる雄ねじのねじピッチは、0.5mmまたは0.635mmで設けられるのが一般的である。
しかしながら、スピンドルに設けられる雄ねじのねじピッチが0.5mmまたは0.635mmであると、スピンドル一回転あたりの変位量が小さいため、測定対象が変わるたびに何回転もスピンドルを回転させなければならず、操作性に問題がある。
ここで、スピンドルの一回転あたりの変位量を大きくするために、スピンドルの雄ねじを多条ネジにすることが考えられる。例えば、三条ネジを採用することにより、一回転あたりの変位量を三倍にすることができる。しかしながら、多条ネジを精密に加工するためには、複数のつる巻線を正確な位相差で形成する必要がある。例えば、三条ネジであれば三本のネジのつる巻線を120°の位相差で形成する必要があるが、このような位相差を正確に保って多条ねじを加工形成することは困難であり、加工誤差は測定誤差に繋がる。また、多くのつる巻線を精密な単一のピッチで形成することは困難であり、またつる巻線が多い分だけ加工コストも増大するという問題が生じる。
【発明の開示】
本発明の主な目的は、従来の問題点を解消し、高精度な測定精度とスピンドルの高速移動とを兼ね備えた測定器を提供することである。このために、本発明は以下の構成を採用する。
本発明は、雌ねじを有する本体と、前記雌ねじに螺合する送りねじを有し軸中心の回転にて軸方向進退可能に設けられたスピンドルとを備えた測定器において、前記送りねじのピッチは外径と谷径との差の2倍以上であり、かつ、外径と谷径との差は外径の5分の1以下であることを特徴とする。
このような構成によれば、スピンドルを回転させると、本体とスピンドルとの螺合回転によって、スピンドルが軸方向に進退される。このときのスピンドルの回転量を計数すると、スピンドル一回転あたりの移動ピッチから、スピンドルの変位量を知ることができるので、測定値を知ることができる。
送りねじのピッチは外径と谷径との差の2倍以上となる大ピッチであるので、スピンドルの一回転あたりの移動ピッチを大きくすることができる。よって、スピンドルを高速移動させることが可能となり、測定器の操作性を向上させることができる。測定対象が変わるたびに、その測定対象に応じてスピンドルを変位させることが必要であるが、送りねじのピッチが大きければ、スピンドルを少ない回転数で高速に進退させることができ、測定に要する手間および時間を削減することができる。
また、ねじピッチを大きくするために送りねじのねじ溝を深くすると、スピンドルに刻まれる加工代が大きくなってスピンドルの強度が減少される。すると、スピンドルがたわむなどの影響によって測定精度が劣化する危険性も考えられる。しかしながら、送りねじの外径と谷径との差を外径の5分の1以下に抑えることによって、スピンドルの強度を十分に確保でき、その結果、測定精度を高精度に維持できる。
ここで、前記送りねじの隣接するねじ溝条は、ねじ軸線に沿った方向で所定の間隔をもって形成されており、隣接するねじ溝条の間には、ねじ軸線に沿った断面でねじ軸線に沿った直線として現れる溝間部が存することが好ましい。
このように、隣接するねじ溝条の間に所定の間隔を設ければ、この所定間隔だけねじピッチが大きくなる。すると、ねじ溝条を深く刻むことなく、大ピッチの送りねじにすることができる。
また、前記雌ねじは、ねじ山条を前記送りねじのねじ溝条に同一のピッチで有し、雌ねじのねじ軸線に沿った方向では、隣接するねじ山条は所定の間隔をもって形成されており、隣接するねじ山条の間にはねじ軸線に沿った断面でねじ軸線に沿った直線として現れる山間部が存することが好ましい。
このような構成によれば、雌ねじは送りねじのねじ溝条に嵌まり合う部分にのみねじ山条を有し、山間部にはねじ谷が加工されないので、送りねじの大ピッチに螺合する雌ねじであっても加工代が大きくならない。よって、本体を深く削らなくてもよいので、本体の強度を保つことができる。
本発明は、略U字状フレームの一端にアンビルを有するとともに他端に雌ねじを有する本体と、前記雌ねじに螺合する送りねじを有し前記本体の他端に螺合されその螺合回転に伴って前記アンビルに向かって進退するスピンドルと、前記スピンドルの回転量から前記スピンドルの軸方向変位量を検出する検出手段と、前記検出手段からの検出信号に基づく測定量を表示する表示手段とを備えた測定器において、前記送りねじのピッチは外径と谷径との差の2倍以上であり、かつ、外径と谷径との差は外径の5分の1以下である構成としてもよい。
このような構成によれば、アンビルとスピンドルが接した状態から、アンビルとスピンドルとの間に被測定物を挟持する際に、スピンドルがピッチの大きい送りねじを備えているので、請求項1に記載の発明と同様の作用効果を奏することができる。つまり、スピンドルの一回転あたりの移動ピッチが大きくなることにより、スピンドルを高速移動させることができ、測定に要する手間および時間を削減することができる。
本発明において、前記検出手段は、前記本体に設けられたステータと、前記ステータに対向配置されたロータと、前記スピンドルに軸方向に沿って設けられた係合溝と、前記ロータに設けられ前記係合溝に係合する係合ピンと、前記係合ピンを前記係合溝に向けて予圧する予圧力付与手段とを備えていることが望ましい。
このような構成によれば、スピンドルが回転されると、スピンドルの係合溝とロータの係合ピンとの係合により、スピンドルの回転がロータに伝達される。すると、ロータがスピンドルの回転角と同じだけ回転されるとともに、ロータの回転角がステータで読み取られる。よって、スピンドルの回転角を知ることができ、スピンドルの一回転あたりのピッチから、スピンドルの変位量を知ることができる。
予圧力付与手段によって、係合ピンが係合溝に向けて予圧されているので、係合ピンと係合溝とが確実に隙間なくかみ合わされ、スピンドルの回転がロータに正確に伝達される。よって、検出手段によるスピンドル回転角の読取誤差が低減され、測定精度を向上させることができる。
また、ピッチの大きい送りねじを有するスピンドルを用いることによって、スピンドルの一回転あたりの移動ピッチが大きくなると、検出手段の検出精度をその分引き上げる必要がある。すると、係合ピンと係合溝とのわずかな隙間でも測定に与える影響は大きくなる。しかし、予圧力付与手段により、係合ピンと係合溝とを隙間なくかみ合わせるので、係合ピンが係合溝との間の隙間で揺動することはなく、測定が安定される。
本発明において、前記係合ピンは前記スピンドルの軸方向に直交する方向へ摺動自在に設けられ、前記予圧力付与手段は、一端が前記ロータに固定されるとともに他端にて前記係合ピンを前記係合溝に向けて押圧する板ばねを備えていることが望ましい。
このような構成によれば、板ばねによる曲げ弾性によって、係合ピンが係合溝に向けて予圧されるので、係合ピンと係合溝との摺動が確保されつつ、係合ピンと係合溝が隙間なくかみ合わされる。よって、スピンドルの回転が正確にロータに伝達される。その結果、検出手段によるスピンドル回転角の読取誤差が低減され、測定精度を向上させることができる。
本発明において、前記係合溝はV字状に形成され、前記係合ピンの前記係合溝に当接する先端は球状に形成されていることが望ましい。
このような構成によれば、V字状の溝は、上辺が広く、下辺は狭いので、係合ピンの先端が、係合溝のV字の両辺に隙間なく当接される。このとき、係合ピンの先端が球状であるので、係合溝との接触面は点であり、摩擦力は小さい。よって、係合ピンと係合溝との摺動が確保されつつ、係合ピンと係合溝とが隙間なく噛み合わされる。その結果、測定器の測定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明の一実施形態のマイクロメータの外観を示す図である。
図2は前記実施形態のマイクロメータの断面を示す図である。
図3は前記実施形態のスピンドルの送りねじの形状を示す図である。
図4Aは前記実施形態のステータを示す図である。
図4Bは前記実施形態のロータを示す図である。
図5Aは前記実施形態の係合ピン、係合溝および予圧力付与手段の断面を示す図である。
図5Bは前記図5Aの要部を拡大して示す図である。
図5Cは前記図5Aの要部を異なる方向から示す図である。
図6は本発明における送りねじと雌ねじとの嵌め合いの変形例を示す図である。
図7Aは本発明におけるステータの変形例を示す図である。
図7Bは本発明におけるロータの変形例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
図1には、本発明にかかる測定器の第1実施形態として、マイクロメータが示されている。図2には、図1の断面図が示されている。
このマイクロメータ1は、略U字状フレーム222の一端にアンビル223を有する本体2と、本体2の他端に螺合されその螺合回転に伴って軸方向に、かつ、アンビル223に向かって進退するスピンドル3と、スピンドル3の回転量からスピンドル3の軸方向変位量を検出する検出手段4と、検出手段4からの検出信号に基づく測定量を表示する表示手段としてのデジタル表示部5とを備える。
本体2は、一端側から順に、前部筒22と、後部筒21と、スピンドル回動部23とを備えて構成されている。
前部筒22は、一端側開口部に設けられたステム221と、外部に設けられたU字状フレーム222とを備える。U字状フレーム222は、一端側にスピンドル3に対向配置されたアンビル223が設けられ、他端が前部筒22に固定され、表面にはデジタル表示部5が設けられている。
後部筒21は、一端側が前部筒22に連結され、他端側内周にスピンドル3と螺合される雌ねじ211を有するとともに、他端側がすり割加工212され、外側からナット213でナット止めされている。
スピンドル回動部23は、後部筒21に対して順次積層された内ガイド筒231および外ガイド筒232と、この外ガイド筒232に対して回転可能に設けられたアウタースリーブ233と、アウタースリーブ233との間に摩擦ばね234を介して設けられたシンブル235と、アウタースリーブ233およびシンブル235の他端側に設けられたキャップ筒236とを備えて構成されている。キャップ筒236はねじの螺合によってアウタースリーブ233と連結されている。また、キャップ筒236の内側には、軸方向に沿ってガイド溝237が設けられている。
スピンドル3は、ステム221を挿通して本体2の一端側から外部へ突出し、他端側外周に送りねじ31が設けられ、後部筒21の雌ねじ211と螺合されている。スピンドル3の他端側には、キャップ筒236のガイド溝237と係合するガイドピン32が設けられている。スピンドル3には軸方向に沿って係合溝40が設けられている。
送りねじ31は、図3に示されるように、ピッチPが比較的大きい一方、谷の深さdが比較的浅い雄ねじである。
つまり、送りねじ31のピッチPは外径Rと谷径rとの差の2倍以上となる大ピッチであるが、外径Rと谷径rとの差は外径Rの5分の1以下である。ねじ軸線Aに沿って見たとき、隣接するねじ谷条(ねじ溝条)311は所定の間隔をもって形成されており、隣接するねじ谷条311の間には、ねじ軸線Aに沿った断面でねじ軸線Aに沿った直線として現れる谷間部(溝間部)312が存する。
送りねじ31の寸法は、例えば、外径Rが7.25−7.32mm程度、谷径rが6.66−6.74mm程度、ねじピッチPが1−2mm程度、ねじ谷の頂角θが55−65度程度で、リード角が5°程度である。なお、送りねじ31の寸法は特に限定されず、スピンドル3の一回転あたりの進退量であるリードをどの程度にするかによって適宜選択される。例えば、送りねじ31のピッチPは、外径Rと谷径rとの差の3倍、5倍、10倍としてもよく、外径Rと谷径rとの差は外径Rの7分の1、10分の1としてもよい。
雌ねじ211は、ねじ山条214を送りねじ31に同一のピッチで有する。雌ねじ211をねじ軸線Aに沿って見たとき、隣接するねじ山条214は所定の間隔をもって形成されており、隣接するねじ山条214の間にはねじ軸線Aに沿った断面でねじ軸線Aに沿った直線として現れる山間部215が存する。
検出手段4は、本体2に設けられたステータ41と、このステータ41に対向配置されたロータ42と、スピンドル3に軸方向に沿って設けられた係合溝40と、ロータ42に設けられ係合溝40に係合する係合ピン422と、係合ピン422を係合溝40に向けて予圧する予圧力付与手段6とを備えて構成されている。
ステータ41は、前部筒22の内部であって後部筒21の一端側に設けられている。ステータ41と前部筒22とには回り止めピン411が介装され、ステータ41の回転が規制されている。ステータ41と前部筒22との間にはばね412が介装されていて、ステータ41は一端側に向けて付勢されている。
ロータ42は、スピンドル3と独立回転可能に設けられたロータブッシュ421を備え、このロータブッシュ421の他端側でステータ41と対向配置されている。
ロータブッシュ421は、クランプカラー424を介して、ステム221に螺合された調整ねじ425によって他端側に付勢されている。
ステータ41およびロータ42は、電磁誘導式のロータリエンコーダを構成するものである。
ステータ41は、図4Aに示されるように、外周に沿った送信巻線419とその内側に配置された受信巻線418とを備えている。受信巻線418は、それぞれ菱形が連続する3系統の巻線パターン418A,418B,418Cを有し、これらの各パターンは互いに菱形のピッチの1/3づつずらして配置されている。
ロータ42は、図4Bに示されるように、外周から内周におよぶ磁束結合巻線429を備えている。磁束結合巻線429は、ステータ41の送信巻線419からの電磁誘導により誘導電流を発生し、この誘導電流がステータ41の受信巻線418で検出される。受信巻線418ではロータ42とステータ41との相対回転に伴って各巻線パターン418A,418B,418Cで検出される信号出力が変化する。この変化に基づいてロータ42とステータ41との相対回転角を検出することが可能である。
本実施形態においては、スピンドル3の雄ねじが大リードであることに対応して、従来の送信電極414が例えば8枚で構成されていたものを、本実施形態の送信電極414はその3倍の24枚で構成されている。
係合ピン422は、図5Aに示されるように、ロータブッシュ421に対して軸方向摺動自在に設けられ、スピンドル3の係合溝40と係合されている。
図5Bに示されるように、係合ピン422は、その先端が球状に形成されている。係合溝40は、V字状に形成されている。
図5Cに示されるように、予圧力付与手段6は、一端がロータブッシュ421に固定され、他端が係合ピン422を係合溝40に向かって押圧する板ばね61と、この板ばね61の一端をロータブッシュ421に固定する留めビス62とを備えて構成されている。
このような構成からなるマイクロメータ1において、キャップ筒236もしくはシンブル235を回転させると、ガイド溝237とガイドピン32との係合によって、スピンドル3が回転される。すると、スピンドル3と後部筒21との螺合によってスピンドル3が軸方向に進退される。スピンドル3が回転されると、係合溝40と係合ピン422との係合によってロータ42が回転される。ロータ42の回転角がステータ41で読み取られることによって、スピンドル3の回転角が検出される。スピンドル3の回転角と、スピンドル3の一回転あたりの移動ピッチから、スピンドル3の変位量が算出され、デジタル表示部5にスピンドル3の変位量が測定値として表示される。
従って、このような構成からなるマイクロメータ1によれば、スピンドル3の送りねじ31が大ピッチで形成されているので、一回転あたりのスピンドル3の移動量を大きくできる。よって、スピンドル3を高速移動させることができるので、操作性のよいマイクロメータ1とすることができる。
板ばね61が設けられ、係合ピン422がこの板ばね61によって係合溝40に予圧されているので、係合ピン422と係合溝40とを隙間なく当接させることができる。また、係合ピン422の先端が球状に形成され、係合溝40がV字状に形成されているので、V字の両辺に先端球が当接されることにより、係合ピン422と係合溝40との摺動が確保されつつ、係合ピン422と係合溝40とを隙間なく当接させることができる。よって、係合ピン422が係合溝40との隙間で揺動することがなくなるので、マイクロメータ1の測定精度を向上させることができる。
ステータ41の送信電極414が従来の送信電極414の3倍である24枚設けられているので、スピンドル3の回転角を高精度に検出することができる。スピンドル3の送りねじ31が大ピッチであるので、スピンドル3の単位回転角度あたりの移動ピッチは大きくなる。本実施形態では、ロータ42とステータ41の検出精度を向上させているので、スピンドル3の送りねじ31が大ピッチであっても、測定精度が低減されることはない。
なお、本発明の測定器は、上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
雌ねじ211は、隣接するねじ山条の間にはねじ軸線Aに沿った断面でねじ軸線Aに沿った直線として現れる山間部215を有するとして説明したが、例えば、図6に示されるように、大きなねじ山条214で形成されていてもよい。ねじ山条214を大きくすると加工代が大きくなるが、後部筒21の厚みを十分に厚くすれば加工代が大きくなっても強度を保つことができる。そして、大ピッチの雌ねじを加工する場合には、ねじ山条214の高さを大きくすると加工が容易になり加工コストを低減することができる。
予圧力付与手段6は、板ばね61に限らず、油圧など、予圧を加えられるものであればなんでも利用できる。
検出手段として、前記実施形態では電磁誘導式のロータリエンコーダを採用したが、静電容量式のロータリエンコーダ、光電式など種々のセンサが利用できる。
例えば、図7Aに示されるように、ステータ41に受信電極413および送信電極414を設け、図7Bに示されるように、ロータ42に結合電極423を設け、これらの各電極の静電容量変化に基づいて相対回転角を検出することができる。
測定器としては、マイクロメータに限らず、マイクロメータヘッドなど、スピンドルの回転で、スピンドルを進退させる測定器であればよい。
【産業上の利用可能性】
本発明は、スピンドルを螺合回転で進退させることにより被測定物の寸法等を測定する測定器、例えば、マイクロメータやマイクロメータヘッド等として利用できる。
【図1】

【図2】

【図3】



【図6】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
雌ねじを有する本体と、前記雌ねじに螺合する送りねじを有し軸中心の回転にて軸方向進退可能に設けられたスピンドルとを備えた測定器において、
前記送りねじのピッチは外径と谷径との差の2倍以上であり、かつ、外径と谷径との差は外径の5分の1以下である
ことを特徴とする測定器。
【請求項2】
請求項1に記載の測定器において、
前記本体は、略U字状フレームの一端にアンビルを有するとともに他端に雌ねじを有するものであり、
前記スピンドルは、前記雌ねじに螺合する送りねじを有し前記本体の他端に螺合されその螺合回転に伴って前記アンビルに向かって進退するものであり、
前記測定器は、前記本体と、前記スピンドルと、前記スピンドルの回転量から前記スピンドルの軸方向変位量を検出する検出手段と、前記検出手段からの検出信号に基づく測定量を表示する表示手段とを備えている
ことを特徴とする測定器。
【請求項3】
請求項2に記載の測定器において、
前記検出手段は、前記本体に設けられたステータと、前記ステータに対向配置されたロータと、前記スピンドルに軸方向に沿って設けられた係合溝と、前記ロータに設けられ前記係合溝に係合する係合ピンと、前記係合ピンを前記係合溝に向けて予圧する予圧力付与手段とを備えていることを特徴とする測定器。
【請求項4】
請求項3に記載の測定器において、
前記ステータおよびロータは、電磁誘導式の回転検出器を構成することを特徴とする測定器。
【請求項5】
請求項3に記載の測定器において、
前記ステータおよびロータは、静電容量式の回転検出器を構成することを特徴とする測定器。
【請求項6】
請求項3から請求項5の何れかに記載の測定器において、
前記係合ピンは前記スピンドルの軸方向に直交する方向へ摺動自在に設けられ、
前記予圧力付与手段は、一端が前記ロータに固定されるとともに他端にて前記係合ピンを前記係合溝に向けて押圧する板ばねを備えていることを特徴とする測定器。
【請求項7】
請求項3から請求項6の何れかに記載の測定器において、
前記係合溝はV字状に形成され、前記係合ピンの前記係合溝に当接する先端は球状に形成されていることを特徴とする測定器。
【請求項8】
請求項1から請求項7の何れかに記載の測定器において、
前記送りねじの隣接するねじ溝条は、ねじ軸線に沿った方向で所定の間隔をもって形成されており、隣接するねじ溝条の間には、ねじ軸線に沿った断面でねじ軸線に沿った直線として現れる溝間部が存することを特徴とする測定器。
【請求項9】
請求項1から請求項8の何れかに記載の測定器において、
前記雌ねじは、ねじ山条を前記送りねじのねじ溝条に同一のピッチで有し、雌ねじのねじ軸線に沿った方向では、隣接するねじ山条は所定の間隔をもって形成されており、隣接するねじ山条の間にはねじ軸線に沿った断面でねじ軸線に沿った直線として現れる山間部が存することを特徴とする測定器。

【国際公開番号】WO2004/109223
【国際公開日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【発行日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−506862(P2005−506862)
【国際出願番号】PCT/JP2004/008372
【国際出願日】平成16年6月9日(2004.6.9)
【出願人】(000137694)株式会社ミツトヨ (979)
【Fターム(参考)】