説明

湿式画像形成装置のクリーニング装置

【課題】感光体ドラムに当接する弾性ローラに対して、その長手方向に亘って貯留部を形成するため、液体現像剤のキャリア液を弾性ローラに対して、効率的に供給することができ、又、クリーニング装置を小型化ができる湿式画像形成装置のクリーニング装置を提供する。
【解決手段】
湿式画像形成装置のクリーニング装置60は、感光体ドラム51に当接する弾性ローラ62と、弾性ローラ62の下流側に設けられ感光体ドラム51に当接するクリーニングブレード61を備える。液体現像剤のキャリア液Cを貯留し、弾性ローラ62の長手方向に亘ってキャリア液Cが接する貯留空間Sを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ装置、プリンタ等に採用される湿式画像形成装置のクリーニング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
湿式画像形成装置では、感光体ドラム等の潜像担持体上の未使用の液体現像剤(トナー及びキャリア液)を回収するために、潜像担持体の表面に対してクリーニングブレードをカウンタ当接して、前記液体現像剤を掻き取るようにしている。このように、クリーニングブレードで潜像担持体の表面にある未使用の液体現像剤を掻き取る方法は、一般的に行われている。しかし、トナーとキャリア液からなる液体現像剤を用いる現像の場合、現像転写等のプロセスにおいて、液体現像剤のトナー濃度が変化し、トナー濃度が高まって、液体現像剤の粘度が高くなる現象が生ずる。
【0003】
クリーニングブレードで掻き取られた液体現像剤は、粘度が低い場合は掻き取られた後は、排出路をスムースに流れていくが、粘度が高くなるとクリーニングブレードに付着したままとなる。或いは、長期に放置した場合、掻き取られたトナーがクリーニングブレード先端に溜まって付着(固着)したままとなる。このようにクリーニングブレード先端にトナーが溜まると、画像形成に支障が発生し、画像異常を引き起こす問題がある。
【0004】
この問題に対処するために、特許文献1では、感光体ドラムに対してクリーニングブレードをカウンタ当接し、クリーニングブレードの下流側に、感光体ドラムに当接する弾性ローラを配置するようにしている。そして、前記弾性ローラの上方には、液体現像剤のキャリア液を拡散する拡散板を斜状に配置し、拡散板上にキャリア液を供給して、拡散板の下部縁から、前記クリーニングブレードと、感光体との間で形成される領域に、キャリア液を流すようにしている。このようにすると、キャリア液が、クリーニングブレード先端に付着したトナーを希釈して除去する。
【特許文献1】特開平6−23070号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記構成の拡散板は、特許文献1では、詳説はされていないが、剛性を有する板材にて構成されており、拡散板の上部に供給されたキャリア液は、拡散板上を自重で伝って拡がりながら該拡散板の下部縁に至り、該下部縁から、弾性ローラにキャリア液を供給する構成となっている。
【0006】
このような構成の場合、弾性ローラの全長に亘って拡散板を配置することになる。そして、キャリア液を拡散板上で拡散する場合、拡散板上に供給されたキャリア液を、拡散しやすいようにするために、キャリア液が拡散板上に供給された位置から、実際に弾性ローラに供給する位置(拡散板の下部縁)まで、長くするか、或いは、水平線との傾き角度を小さくするとよい。しかし、このようにすると、拡散板を大きく寝かせた状態で配置することとなり、拡散板を取付けするために広い取付けスペースが必要となり、クリーニング装置が大型化してしまう問題がある。
【0007】
本発明の目的は、感光体ドラムに当接する弾性ローラに対して、その長手方向に亘って貯留部を形成するため、液体現像剤のキャリア液を弾性ローラに対して、効率的に供給することができ、又、クリーニング装置を小型化ができる湿式画像形成装置のクリーニング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、感光体ドラムに当接する弾性ローラと、前記弾性ローラの下流側に設けられ前記感光体ドラムに当接するクリーニングブレードを備えた湿式画像形成装置のクリーニング装置において、液体現像剤のキャリア液を貯留し、前記弾性ローラに対して該弾性ローラの長手方向に亘って前記キャリア液を付着可能な貯留部を設けたことを特徴とする湿式画像形成装置のクリーニング装置を要旨とするものである。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1において、前記弾性ローラに圧接するスクレーパを備え、前記スクレーパと前記弾性ローラの圧接部分での回転方向下流側に前記貯留部を設け、前記圧接部分での回転方向上流側で、前記弾性ローラの付着物をクリーニングすることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、感光体ドラムに当接する弾性ローラと、前記弾性ローラの下流側に設けられ前記感光体ドラムに当接するクリーニングブレードを備えた湿式画像形成装置のクリーニング装置において、液体現像剤のキャリア液を貯留する貯留部と、前記貯留部のキャリア液を搬送し、前記弾性ローラに対して該弾性ローラの長手方向に亘って前記キャリア液を付着可能な吸液性の供給部材を設けたことを特徴とする湿式画像形成装置のクリーニング装置を要旨とするものである。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1又は請求項3において、前記貯留部に、キャリア液を供給する手段を備えたことを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項3において、前記貯留部は、前記感光体ドラムから、掻き落とされたキャリア液の排出路を兼用していることを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5のうちいずれか1項において、前記弾性ローラの回転周速は、前記感光体ドラムの回転周速に対して、同速度又は速くしたことを特徴とする。
【0013】
請求項7の発明は、請求項3において、前記供給部材は、シートであることを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項3において、前記供給部材は、回転自在に支持された塗布ローラであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、感光体ドラムに当接する弾性ローラに対して、その長手方向に亘って貯留部を形成するため、液体現像剤のキャリア液を弾性ローラに対して、効率的に供給することができ、又、クリーニング装置を小型化ができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、弾性ローラの付着物をクリーニングするスクレーパと、弾性ローラにて挟まれた空間域を利用して、貯留部を形成することができ、貯留部の形成のために、別部材を必要としない効果がある。
【0016】
請求項3の発明によれば、請求項1と同様の効果を奏する。
請求項4の発明によれば、キャリア液を供給する手段により、前記貯留部のキャリア液を補充することができる。
【0017】
請求項5の発明によれば、排出路と貯留部が兼用できるため、貯留部形成のための別空間が必要でなく、クリーニング装置を大型化する必要がなくなる。
請求項6の発明によれば、弾性ローラと感光体ドラムにニップの上流側での残留現像液溜まりの発生を防止できる効果がある。
【0018】
請求項7の発明によれば、シートは、厚みが大きくないため、例えば、貯留部が排出路と兼用している場合、排出路に設けられたスクリューと、弾性ローラとの間の狭い空間においても、供給部材を配置することができ、配置スペースの自由度がよく、取付スペースが限定されることがない。
【0019】
請求項8の発明によれば、吸液性を備えた塗布ローラによっても、請求項3の効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(第1実施形態)
以下、本発明の湿式画像形成装置のクリーニング装置を具体化した第1実施形態を図1〜4を参照して説明する。図1は、湿式画像形成装置(以下、画像形成装置50という)を示している。同図に示すように、画像形成装置50は、感光体ドラム51、主帯電装置52、LPH(LED PRINT HEAD)53、クリーニング装置60、除電ランプ57、液体現像装置、転写ローラ(共に図示しない)等を備えている。
【0021】
感光体ドラム51はアモルファス・シリコンドラムを用いており、現像位置で、所定の暗電位になるよう前記主帯電装置52により帯電される。この帯電した感光体ドラム51の表面にLPH53が画像情報に応じた光を照射することにより感光体ドラム51の表面に静電潜像が形成される。感光体ドラム51は潜像担持体に相当する。
【0022】
液体現像装置の54の現像ローラ54は、トナーとキャリア液Cからなる液体現像剤を感光体ドラム51の光が照射された部分の静電潜像に適用することにより感光体ドラム51にトナー像を形成する。
【0023】
上記のように形成された静電潜像が現像されたトナー像は、前記転写ローラ(図示しない)とのニップに位置する転写ベルトや、転写紙に転写される。感光体ドラム51上の転写されなかったトナーは次のプロセスのクリーニング装置60により掻き落とされる。感光体ドラム51は表面の残留電位を下げて均一にすべく除電ランプ57により除電されてその後は次の一連のプロセスに備える。
【0024】
ここで、本実施形態の特徴であるクリーニング装置60の構成を詳説する。
クリーニング装置60は、クリーニングブレード61、弾性ローラ62、スクレーパ63、スクリュー64等を備えている。
【0025】
クリーニングブレード61は、合成樹脂、或いはウレタン系ゴム等の弾性を有する板材からなり、全体形状が平面長方形をなす板状に形成されている。クリーニングブレード61は、クリーニング装置60のハウジング70の下部側面に対してブラケット67を介して、取付け固定され、感光体ドラム51に対してカウンタ当接されている(図1、図2参照)。クリーニングブレード61の長さL3は、感光体ドラム51の長さL4よりも短くされている(図4参照)。
【0026】
弾性ローラ62は、ハウジング70内の上部空間において、ハウジング70に対して回動自在に支持されている。弾性ローラ62の材質は、キャリア液Cによる膨潤を防止するために、ウレタンゴムや、ニトリルゴムが好ましい。なお、弾性ローラ62の表面をコーティングすることにより、前記キャリア液Cによる膨潤を防止するようにしてもよい。この場合には、弾性ローラ62をエピクロルヒドリンゴム、又はシリコンゴムにて形成し、その表面をフッ素コーティング、又はウレタンコーティングにて行うことにより、膨潤を防止する。
【0027】
弾性ローラ62の軸62aの一端Iは、図4に示すように、平歯車72が固定されており、感光体ドラム51の軸の一端に固定された平歯車74と噛合されている。両平歯車72,74の歯車比の設定により、弾性ローラ62の回転周速は、感光体ドラム51の回転周速に対して、同速度又は速くなるようにされている。平歯車74は、駆動系の歯車機構に連係されて駆動される。本実施形態では、弾性ローラ62の回転方向は、図1、図2において、時計回り方向とされ、感光体ドラム51は、反時計回り方向とされている。
【0028】
このように、弾性ローラ62の回転周速を感光体ドラム51の回転周速よりも同速度又は、速くすることにより、弾性ローラ62と感光体ドラム51とのニップの上流側において、残留現像液溜まりが生じないようにされている。
【0029】
ハウジング70は、図1に示すように下部部材80、上部部材90及び一対の側板100(図3参照)から構成されている。下部部材80は、長手方向に延びる凹部82を有する底部81と、底部81から上方に延びた背板部83とを有する。上部部材90は、背板部83に重ね合わされた連結板91と、弾性ローラ62を上方から覆う上板92を有する。一対の側板100(図1では、片方のみ図示)は、下部部材80及び上部部材90の両端部に固定されており、弾性ローラ62を回転自在に支持する。
【0030】
上板92には、ブラケット95が固定されており、該ブラケット94の先端は、上板92の連結板91寄りに設けられた開口を介して、ハウジング70内に突出されている。ブラケット94の先端には、スクレーパ63が取付け固定されている。スクレーパ63の先端は、クリーニングブレード61側に向かって斜状に延出されており、図2に示すように弾性ローラ62の背板部83側の下部に対して弾性ローラ62の当接箇所に対して、変形するようにカウンタ当接、すなわち、圧接されている。このカウンタ当接により、弾性ローラ62と、スクレーパ63との間には、貯留部としての貯留空間Sが形成され、貯留空間Sは、弾性ローラ62の長手方向に亘って設けられている。貯留空間Sは、スクレーパ63と弾性ローラ62の圧接部分での回転方向下流側に設けられている。
【0031】
又、スクレーパ63は、前記圧接部分での回転方向上流側において、弾性ローラ62の付着物をクリーニングするようにしている。スクレーパ63の長さL1は、弾性ローラ62の長さL2よりも若干長くなるように形成されている(図4参照)。スクレーパ63の長さL1を弾性ローラ62の長さよりも長くすることにより、弾性ローラ62と、スクレーパ63との間の貯留空間Sを十分に得られるようにしている。
【0032】
弾性ローラ62の上方において、上板92には、所定間隔を置いて複数の供給孔92aが形成されている。各供給孔92aには、キャリア液供給管97が取着されている。キャリア液供給管97は、弾性ローラ62上部の頂点よりも若干、スクレーパ63側に寄るように配置されている。キャリア液供給管97は、図示しないキャリア液Cを貯留する容器(図示しない)からポンプ(図示しない)を介してキャリア液Cが供給され、弾性ローラ62の上部に供給するようにされている。弾性ローラ62の上部に供給されたキャリア液Cは、キャリア液供給管97が、弾性ローラ62の上部頂点よりも若干、スクレーパ63側に寄るように配置されているため、スクレーパ63と、弾性ローラ62間に形成された貯留空間Sに溜まるようにされている。
【0033】
なお、貯留空間Sの両端部(弾性ローラ62とスクレーパ63の両端部にて形成される空間)をそれぞれ閉鎖するものがない。このため、貯留空間Sにキャリア液Cが溜まるようにするため、キャリア液供給管97からのキャリア液Cの供給量を、弾性ローラ62にて、貯留空間Sから感光体ドラム51へ移送される量と、貯留空間Sの両端部から漏れ出る量の合計量よりも多くするように設定されている。
【0034】
ハウジング70の凹部82には、スクリュー64が配置されている。スクリュー64はハウジング70の側板100に回転自在に配置され、図示しない駆動系に作動連結されて回転駆動されるようにされている。そして、スクリュー64の回転により、凹部82内のキャリア液C、トナー成分、紙粉を排出路を介して廃液タンク(ともに図示しない)に移送する。
【0035】
さて、上記のように構成されたクリーニング装置60の作用を説明する。
クリーニング装置60は、画像形成装置50の画像形成時においてクリーニング作動する。この場合、感光体ドラム51が、反時計回り方向に回転され、弾性ローラ62が時計回り方向に回転される。
【0036】
そして、キャリア液供給管97からキャリア液Cが供給される。キャリア液供給管97からのキャリア液Cの供給量は、弾性ローラ62にて、貯留空間Sから感光体ドラム51へ移送される量と、貯留空間Sの両端部から漏れ出る量の合計量よりも多くしているため、貯留空間Sにキャリア液Cが溜まる。そして、貯留空間Sに溜まったキャリア液Cは、回転する弾性ローラ62の周面に付着されて、感光体ドラム51側に移送される(図2参照)。感光体ドラム51側に移送されたキャリア液Cは、図2に示すように、感光体ドラム51に付着して、クリーニングブレード61先端(エッジ部)に供給する。この供給されたキャリア液Cは、クリーニングブレード61先端により掻き落とされるが、掻き落とされたキャリア液Cにより、クリーニングブレード61先端(エッジ部)が洗浄される。又、クリーニングブレード61先端を洗浄したキャリア液Cは、ハウジング70の凹部82に落とされる。
【0037】
一方、弾性ローラ62は、感光体ドラム51周面からトナー成分や、紙粉等の不純物を掻き落とす。このとき、弾性ローラ62に付着したトナー成分や、紙粉等の不純物は、スクレーパ63の弾性ローラ62との接触部分の上流側の領域Rにおいて、掻き落とされる。
【0038】
このように、本実施形態によれば、感光体ドラムに当接する弾性ローラ62に対して、その長手方向に亘って、貯留空間Sが形成されるため、液体現像剤のキャリア液Cを弾性ローラ62に対して効率的に供給することができる。又、従来と異なり、拡散板を設ける必要が無く、このため、拡散板を大きく寝かせる必要がないため、広い取付けスペースも無用となり、クリーニング装置を小型化できる。
【0039】
又、弾性ローラ62に付着した付着物をクリーニングするスクレーパ63と、弾性ローラ62にて挟まれた空間域を利用して、貯留空間Sを形成することができ、貯留空間Sを形成するために、別部材を必要としない効果がある。さらに、貯留空間Sにキャリア液Cを供給する手段としてキャリア液供給管97等を設けたため、貯留部のキャリア液を補充することができる。
【0040】
又、弾性ローラ62の回転周速は、感光体ドラム51の回転周速に対して、同速度又は速くしたため、弾性ローラ62と感光体ドラム51にニップの上流側での残留現像液溜まりの発生を防止できる効果がある。
【0041】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態のクリーニング装置60を図5を参照して説明する。なお、第1実施形態と同一構成又は相当する構成については同一符号を付して説明を省略し、異なる構成について説明する。
【0042】
第2実施形態では、キャリア液供給管97が省略されるとともに、弾性ローラ62の背板部83側の下部にカウンタ当接するスクレーパ63が省略されている。
ハウジング70内において、クリーニングブレード61、下部部材80の底部と背板部83下部、側板100及びクリーニングブレード61にて囲まれる空間が貯留空間Sとなるように各部材が互いに当接する部位は液密構造とされている。そして、貯留空間S内には、弾性ローラ62や、クリーニングブレード61にて回収されたキャリア液Cを含む液体現像剤が貯留可能とされるとともに、スクリュー64が配置されている。このように、第2実施形態では、スクリュー64が配置される凹部82が排出路とされ、該凹部82が貯留空間Sとして兼用されている。
【0043】
第1実施形態のスクレーパ63の代わりに、ブラケット95の先端には、シートとしての塗布シート110が取付けされている。塗布シート110は、略平板状に形成されており、下部は貯留空間S内のキャリア液Cに浸されるように配置されている。
【0044】
塗布シート110は、ポリエステル繊維、アクリル繊維、アクリル系繊維、或いはビニロン繊維からなる吸液性の供給部材として不織布にて形成されている。この供給部材は、取付けの空間に応じられるように可撓性を有することが好ましい。
【0045】
弾性ローラ62の軸62aには、ブラケット99を介して、スクレーパ102が支持されている。スクレーパ102は、図5に示すように感光体ドラム51側の弾性ローラ62の下部周面に対してカウンタ方向で圧接されている。
【0046】
上記のように構成されたクリーニング装置60は、第1実施形態と同様に、画像形成時においてクリーニング作動する。そして、塗布シート110では、不織布を構成する繊維と繊維との隙間に毛管現象が生じて、回収された液体現像剤Eの中からキャリア液Cが、抽出されて上昇され、弾性ローラ62の周面に供給される。弾性ローラ62の周面に供給されて付着されたキャリア液Cは、回転する弾性ローラ62の周面を濡らして、感光体ドラム51側に移送される。感光体ドラム51側に移送されたキャリア液Cは、図5に示すように、感光体ドラム51に付着して、クリーニングブレード61先端(エッジ部)に供給する。この供給されたキャリア液Cは、クリーニングブレード61先端により掻き落とされるが、掻き落とされたキャリア液Cにより、クリーニングブレード61先端(エッジ部)が洗浄される。又、クリーニングブレード61先端を洗浄したキャリア液Cは、貯留空間Sに落とされる。
【0047】
一方、弾性ローラ62は、感光体ドラム51周面からトナー成分や、紙粉等の不純物を掻き落とす。このとき、弾性ローラ62に付着したトナー成分や、紙粉等の不純物は、スクレーパ102の弾性ローラ62との接触部分の上流側の領域Rにおいて、掻き落とされる。
【0048】
このように、第2実施形態では、第1実施形態と異なり、キャリア液Cを供給するキャリア液供給管97等が必要でなく、回収された液体現像剤Eからキャリア液Cのみを抽出できるリサイクルシステムとして構成できる。
【0049】
又、第2実施形態では、回収した液体現像剤から、キャリア液Cのみを抽出可能な塗布シート110を設けた。こうすると、塗布シート110は、厚みが大きくないため、排出路に設けられたスクリュー64と、弾性ローラ62との間の狭い空間においても、塗布シート110を配置することができ、又、塗布シート110は、可撓性を備えているため、狭い空間においても、その空間に応じて配置形状を自由に変形できる。この結果、塗布シート110の配置スペースの自由度がよく、取付スペースが限定されることがない効果がある。又、第2実施形態では、貯留空間Sが排出路と兼用できるため、貯留空間Sを形成するための別空間が必要でなく、クリーニング装置を大型化する必要がなくなる。
【0050】
なお、本発明は、前記第1実施形態及び第2実施形態に限定するものではなく、下記のように変更してもよい。
○ 第2実施形態の構成において、塗布シート110の代わりに、吸液性の供給部材としての塗布ローラ120をハウジング70内に設けてもよい。具体的には、図6に示すように、弾性ローラ62と、貯留空間Sの間に、塗布ローラ120を配置する。そして、塗布ローラ120は、駆動系に連係されて回転駆動されるようになっている。又、塗布ローラ120の材質は、第2実施形態り塗布シート110と同様の材質にて形成されている。そして、図6に示すように、塗布ローラ120は、貯留空間Sに貯留された液体現像剤Eから、キャリア液Cを抽出し、抽出したキャリア液Cを弾性ローラ62に塗布する。弾性ローラ62に塗布されたキャリア液Cは、以後同様に、感光体ドラム51に付着されて、クリーニングブレード61先端まで供給されて同部位を洗浄する。
【0051】
このように構成しても、第2実施形態と同様に、第1実施形態と異なり、キャリア液Cを供給するキャリア液供給管97等が必要でなく、回収された液体現像剤Eからキャリア液Cのみを抽出できるリサイクルシステムとして構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明を具体化した第1実施形態の湿式画像形成装置の概略構成図。
【図2】同じくクリーニング装置の概要の説明図。
【図3】同じく供給孔92aの説明図。
【図4】弾性ローラ62,スクレーパ63の長さの関係と、クリーニングブレード61、感光体ドラム51の長さの関係の説明図。
【図5】第2実施例のクリーニング装置の概要の説明図。
【図6】第3実施形態のクリーニング装置の概要の説明図。
【符号の説明】
【0053】
51…感光体ドラム
61…クリーニングブレード
62…弾性ローラ
63…スクレーパ
82…凹部(排出路)
97…キャリア液供給管(キャリア液Cを供給する手段)
110…塗布シート(シート、吸液性の供給部材)
120…塗布ローラ(吸液性の供給部材)
S…貯留空間(貯留部)
C…キャリア液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体ドラムに当接する弾性ローラと、前記弾性ローラの下流側に設けられ前記感光体ドラムに当接するクリーニングブレードを備えた湿式画像形成装置のクリーニング装置において、
液体現像剤のキャリア液を貯留し、前記弾性ローラに対して該弾性ローラの長手方向に亘って前記キャリア液を付着可能な貯留部を設けたことを特徴とする湿式画像形成装置のクリーニング装置。
【請求項2】
前記弾性ローラに圧接するスクレーパを備え、
前記スクレーパと前記弾性ローラの圧接部分での回転方向下流側に前記貯留部を設け、前記圧接部分での回転方向上流側で、前記弾性ローラの付着物をクリーニングすることを特徴とする請求項1に記載の湿式画像形成装置のクリーニング装置。
【請求項3】
感光体ドラムに当接する弾性ローラと、前記弾性ローラの下流側に設けられ前記感光体ドラムに当接するクリーニングブレードを備えた湿式画像形成装置のクリーニング装置において、
液体現像剤のキャリア液を貯留する貯留部と、
前記貯留部のキャリア液を搬送し、前記弾性ローラに対して該弾性ローラの長手方向に亘って前記キャリア液を付着可能な吸液性の供給部材を設けたことを特徴とする湿式画像形成装置のクリーニング装置。
【請求項4】
前記貯留部に、キャリア液を供給する手段を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項3に記載の湿式画像形成装置のクリーニング装置。
【請求項5】
前記貯留部は、前記感光体ドラムから、掻き落とされたキャリア液の排出路を兼用していることを特徴とする請求項3に記載の湿式画像形成装置のクリーニング装置。
【請求項6】
前記弾性ローラの回転周速は、前記感光体ドラムの回転周速に対して、同速度又は速くしたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のうちいずれか1項に記載の湿式画像形成装置のクリーニング装置。
【請求項7】
前記供給部材は、シートであることを特徴とする請求項3に記載の湿式画像形成装置のクリーニング装置。
【請求項8】
前記供給部材は、回転自在に支持された塗布ローラであることを特徴とする請求項3に記載の湿式画像形成装置のクリーニング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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