説明

滑り止め具

【課題】軽量かつ小型で携帯に便利な使い勝手の良い滑り止め具を提供する。
【解決手段】滑り止め具1は、靴の先端部に掛架される第1の空隙2aをもってなる上掛架部2と、ピン3dが凸設された凹凸面3と、靴の後端部に掛架される第2の空隙4aをもってなる下掛架部4と、が表面に一体形成されている。略楕円形の凹凸面3は、略楕円形の第1凸条3aが周囲に形成され、第1凸条3a内に、複数の第2凸条3bと略円形の第3凸条3cとが形成され、第3凸条3cの穴に円柱状のピン3dが凸設されている。また、第3凸条3cには、ピン3dから放射状に第4凸条3eが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雪道や氷道などの滑り易い地面を歩行する際に、歩行者の靴に装着される滑り止め具に関する。
【背景技術】
【0002】
雪道や氷道などの滑り易い地面を歩行する際には、靴底にスパイクを備えた登山靴や、滑り止めの凹凸面を刻んだゴム製の靴底を有するキャラバンシューズ、長靴、トレッキングシューズが使用されている。
【0003】
一方で、通勤時や通常のレジャーに使用する靴(ヒール、ブーツ、ビジネスシューズ)は、舗装された道を歩くことが大半であるので、その靴底は平坦である。そのため、雪が降ったり、路面が凍結している場合は、平坦な靴底では十分な滑り止め機能を有しないために、転倒事故やスリップ事故が起こり易い。
【0004】
特に、雪が降り積もったり、路面が凍結していることが分かっていても、十分な滑り止め機能を有しない靴を使用することが多い。これは、見た目を気にする若者や都会には長靴等は敬遠されがちで、また、普段履き慣れた靴で歩行する方が履き慣れない長靴等より安全と思われるからである。
【0005】
このため、普段履き慣れた通常の靴に対して簡単に装着することができ、歩行者の転倒を防止して軽快に歩くことができる滑り止め具(図7)が存在する(特許文献1)。図7に示す従来の滑り止め具は、前部ベルト10を靴の先端部に引っ掛け、後部ベルト12を靴の後端部に引っ掛けるものであり、略台形状チェーンや略三角形状チェーンを滑り止め部材11として連結している。
【0006】
【特許文献1】登録実用新案第3029338号公報(図2、明細書0017)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図7に示すような従来の滑り止め具は、環状に連結されたチェーンを滑り止め部材としていることから、持ち運ぶ際に重さを感じ、携帯に不便である。
【0008】
また、靴に装着して歩行する際に、連結されたチェーンで囲まれた領域内に歩行者の体重がかかることになるが、この領域内に歩行者の足裏が食い込むこととなり、歩きにくい、痛い、疲れやすいという問題があり、使い勝手が悪かった。特に、靴底の薄い靴に装着した場合には、交鎖されたチェーンの凹凸を足裏で感じ取ることができ、歩行する度にチェーンを踏みつける感触がして、使い勝手が悪かった。
【0009】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、その目的は、軽量かつ小型で携帯に便利な使い勝手の良い滑り止め具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上のような課題を解決するために、本発明は、靴の先端部に掛架される第1の空隙をもってなる上掛架部と、ピンが凸設された凹凸面と、靴の後端部に掛架される第2の空隙をもってなる下掛架部と、が表面に一体形成されていることを特徴とする。
【0011】
より具体的には、本発明は、以下のものを提供する。
【0012】
(1) 靴に装着され、雪や氷の上を歩行する際の滑り止め具であって、上部は、靴の先端部に掛架される第1の空隙をもってなる上掛架部が、中部は、ピンが凸設された凹凸面が、下部は、靴の後端部に掛架される第2の空隙をもってなる下掛架部が、表面に一体形成されていることを特徴とする滑り止め具。
【0013】
本発明によれば、第1の空隙及び第2の空隙が上部及び下部にそれぞれ離間して形成され、それらの間にピンが凸設された凹凸面が形成されていることから、かかる凹凸面によって滑り止め機能を発揮することができる。特に、凹凸面にピンが凸設されていることから、ピンが雪面や氷面や地面に引っ掛かることにより滑り止め機能をより発揮することができる。
【0014】
また、凹凸面がゴム等の樹脂で形成されていることから、軽量である。
【0015】
(2) 前記第2の空隙は、前記第1の空隙よりも大きいことを特徴とする滑り止め具。
【0016】
本発明によれば、靴の先端部に掛架される第1の空隙と靴の後端部に掛架される第2の空隙との大きさに関して、先端部よりも後端部の方が大きい靴(靴底)の形状に合わせて、第2の空隙が第1の空隙よりも大きいこととしたから、靴に装着された滑り止め具が靴底をはみ出ることがなく、見た目が気にならない滑り止め具を提供することができる。
【0017】
(3) 前記凹凸面の裏面には、凸条が形成されていることを特徴とする滑り止め具。
【0018】
本発明によれば、凹凸面の裏面に凸条が形成されていることから、凹凸面に歩行者の体重がかかる際に、凸条がクッションの機能を発揮して、歩行者の足裏への負担を軽減することができる。また、凸条によって、靴底と滑り止め具の摩擦が増加し、靴底から滑り止め具が外れるのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明は、チェーン等の重量感のある滑り止め部材を用いることなくゴム等の樹脂による軽量かつ小型な、また、歩行者の足裏への負担を軽減した使い勝手の良いものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
[表面形状]
図1は、本発明の実施の形態に係る滑り止め具1の表面(正面)図である。
【0021】
滑り止め具1は、上掛架部2と、凹凸面3と、下掛架部4と、舌片5と、が表面に一体形成されている。表面は、靴に装着された際に地面に接する面である。
【0022】
上掛架部2は、第1の空隙2aをもってなり、靴の先端部(つま先部分)に掛架される孔であり、弓形状(三日月形状)を呈してなる。また、下掛架部4は、第2の空隙4aをもってなり、靴の後端部(かかと部分)に掛架される孔であり、三角形状を呈してなる。第2の空隙4aは、第1の空隙2aよりも大きい面積を有し、第1の空隙2aは靴の先端部に掛架される程度であるが、第2の空隙4aは靴底を覆うことなく靴の後端部に掛架される。
【0023】
凹凸面3は、他の箇所(第1の空隙2及び第2の空隙4周辺)よりも厚手に形成されており、歩行者の足裏への負担を軽減している。具体的には、略楕円形の凹凸面3は、略楕円形の第1凸条3aが周囲に形成され、第1凸条3a内に、複数の第2凸条3b(第2凸条3bは、第1凸条3aと略同一か低い高さ)と略円形の第3凸条3c(第3凸条3cは、第1凸条3aよりも高く、第2凸条3bよりも低い)とが形成され、第3凸条3cの穴に円柱状のピン3dが凸設されている。また、第3凸条3cには、ピン3dから放射状に第4凸条3eが形成されている。このように、複数の複雑な凸条が形成された凹凸面3によって、滑り止め機能を発揮する。なお、ピン3dは、先が尖ったものよりも円柱状のものが安全面から好ましい。
【0024】
舌片5は、滑り止め具1を靴に装着する際に、靴の後端部に掛架するときの取手部分であり、第1の空隙2a及び第2の空隙4aの周辺よりも幅をもたせて、引っ張り強度を高めている。
【0025】
[裏面形状]
図2は、本発明の実施の形態に係る滑り止め具1の裏面(背面)図である。
【0026】
滑り止め具1は、第1の空隙2aと、凸条6と、第2の空隙4aと、舌片5と、が裏面に一体形成されている。裏面は、靴に装着された際に靴底に接する面である。なお、第1の空隙2a及び第2の空隙4aは、表面形状で説明したのと同様である。
【0027】
凸条6は、表面における凹凸面3の裏面に形成された、クッションの機能及び靴底から外れるのを防ぐ機能を持つ突起物である。凸条6は、凹凸面3よりも薄手に形成され、歩行者の足裏への感触がないようにしている。
【0028】
第1の空隙2aの上方、第2の空隙4aの下方、舌片5には、凸条7,8,9がそれぞれ形成され、凸条7は靴の先端部に掛架する際の、凸条8,9は靴の後端部に掛架する際のつまみとして、それぞれ機能する。特に、靴の先端部に掛架した後に後端部に掛架する場合は、舌片5を引っ張って掛架することから、凸条9のつまみのストッパー機能を十分にするためにも、他の凸条7,8より太い凸条を形成してなる。
【0029】
[平面・底面・側面形状]
図3は、本発明の実施の形態に係る滑り止め具1の平面図、図4は、本発明の実施の形態に係る滑り止め具1の底面図、図5は、本発明の実施の形態に係る滑り止め具1の左側面図、図6は、本発明の実施の形態に係る滑り止め具1の右側面図である。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明に係る滑り止め具は、軽量かつ小型で、歩行者の足裏への負担を軽減した使い勝手の良いものとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施の形態に係る滑り止め具の表面(正面)図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る滑り止め具の裏面(背面)図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る滑り止め具の平面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る滑り止め具の底面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る滑り止め具の左側面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る滑り止め具の右側面図である。
【図7】従来の滑り止め具を示す図である。
【符号の説明】
【0032】
1 滑り止め具
2 上掛架部
2a 第1の空隙
3 凹凸面
4 下掛架部
4a 第2の空隙
5 舌片
6,7,8,9 凸条
10 前部ベルト
11 滑り止め部材(チェーン)
12 後部ベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴に装着され、雪や氷の上を歩行する際の滑り止め具であって、
上部は、靴の先端部に掛架される第1の空隙をもってなる上掛架部が、
中部は、ピンが凸設された凹凸面が、
下部は、靴の後端部に掛架される第2の空隙をもってなる下掛架部が、
表面に一体形成されていることを特徴とする滑り止め具。
【請求項2】
前記第2の空隙は、前記第1の空隙よりも大きいことを特徴とする請求項1記載の滑り止め具。
【請求項3】
前記凹凸面の裏面には、凸条が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の滑り止め具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−90032(P2009−90032A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−265913(P2007−265913)
【出願日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(506413694)株式会社クロンティップイノベーション (10)
【Fターム(参考)】