説明

濃度検出装置およびそれを備えた画像形成装置

【課題】液位検出手段を用いることなく液体現像剤のオーバーフローを防止することが可能な濃度検出装置、およびそれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】濃度検出装置30は、固形分を含む液体現像剤LDを貯留する貯留容器31であって、液体現像剤LDを注入するための注入口43,44と、液体現像剤LDを排出するための排出口45,46とを有する貯留容器31と、固形分の濃度を検出する濃度検出手段とを含み、排出口45,46は、注入口43,44よりも上方に設けられており、排出口45,46が液体現像剤LDを排出することが可能な排出流量は、注入口43,44が液体現像剤LDを注入することが可能な注入流量よりも大きく設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体現像剤の固形分の濃度を検出する濃度検出装置、およびそれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置として、キャリア液となる誘電性液体中に固形分としてのトナーを分散させた液体現像剤を用いてトナー像を形成する湿式のものが知られている。湿式画像形成装置は、トナー像が形成される感光体ドラム、液体現像剤を感光体ドラムに供給して該感光体ドラム上にトナー像を形成する現像装置、感光体ドラム上のトナー像を用紙上に転写する転写部、用紙上のトナー像を該用紙上に定着させる定着部等を含む。
【0003】
用紙上に良好なトナー像を形成するためには、現像装置が液体現像剤を感光体ドラムに供給する前に該液体現像剤のトナー濃度を適正に調整する必要がある。そのため、トナー濃度が適正に調整されたか否かを判別する目的で液体現像剤のトナー濃度を検出する装置が用いられている(特許文献1〜4)。
【0004】
特許文献1の濃度検出装置は、液体現像剤の光吸収率を利用するものであって、現像装置の液体現像剤貯留容器内で対向配置された投光素子および受光素子を有し、投光素子から液体現像剤中を通って受光素子に達する透過光に基づいて液体現像剤のトナー濃度を検出する。
【0005】
特許文献2の濃度検出装置は、超音波を利用するものであって、超音波センサと、液体現像剤容器内に配置された超音波反射板とを有する。超音波センサから送信された超音波パルス信号は、液体現像剤中を通って超音波反射板によって反射され、受信超音波パルス信号として超音波センサによって受信される。そして、受信超音波パルス信号に基づいて液体現像剤のトナー濃度が検出される。
【0006】
特許文献3の濃度検出装置は、液体現像剤の導電率を利用するものであって、液体現像剤中に浸された一対の対向電極からなるトナー濃度センサを有し、対向電極間で検出した液体現像剤の抵抗分すなわち導電率に基づいて液体現像剤のトナー濃度を検出する。
【0007】
特許文献4の濃度検出装置は、液体現像剤の比重を利用するものであって、濃度比較用の液体現像剤を封入した比較用容器を、測定する液体現像剤中に浸漬し、比重差により生ずる浮力による比較用容器の位置変化に基づいて液体現像剤のトナー濃度を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−315948号公報
【特許文献2】特開2002−296255号公報
【特許文献3】特開平01−179064号公報
【特許文献4】特開2007−310122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1〜4では、光吸収率、超音波、導電率や比重を利用してトナー濃度を検出しているものの、トナー濃度が測定される液体現像剤を貯留する貯留容器に、液体現像剤の液位を検出するための液位検出手段を設置する必要がある。これは、液体現像剤が貯留容器からオーバーフローすることを防止するためであるが、液位検出手段を用いる分、濃度検出装置のコストが上昇してしまう。
【0010】
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、液位検出手段を用いることなく液体現像剤のオーバーフローを防止することが可能な濃度検出装置、およびそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係る濃度検出装置は、固形分を含む液体現像剤を貯留する貯留容器であって、前記液体現像剤を注入するための注入口と、前記液体現像剤を排出するための排出口とを有する貯留容器と、前記固形分の濃度を検出する濃度検出手段とを含み、前記排出口は、前記注入口よりも上方に設けられており、前記排出口が前記液体現像剤を排出することが可能な排出流量は、前記注入口が前記液体現像剤を注入することが可能な注入流量よりも大きく設定されている。
【0012】
本発明に係る濃度検出装置によれば、排出口は注入口よりも上方に設けられ、かつ排出流量は注入流量よりも大きく設定されているので、貯留容器内における液体現像剤の液位は排出口と同一の高さ位置となる。これにより、液体現像剤がオーバーフローすることを防止できる。その結果、液体現像剤の液位を検出するための液位検出手段を設ける必要がない。
【0013】
本発明の好ましい実施形態では、前記注入口および前記排出口は断面円形の開口部であり、前記排出口の内径は前記注入口の内径よりも大きく設定されている。
【0014】
この構成によれば、排出流量を注入流量よりも大きく設定することが容易である。
【0015】
本発明の他の好ましい実施形態では、前記貯留容器は、前記液体現像剤を前記注入口から前記排出口に向けて時間的に連続して流動させることが可能に構成されている。
【0016】
本発明に係る濃度検出装置では、上述のように液体現像剤の液位は排出口と同一の高さ位置なので、液体現像剤を注入口から排出口に向けて時間的に連続して流動させた場合であっても液体現像剤がオーバーフローしない。これにより、濃度検出手段は、固形分濃度の経時的変化を検出することができる。
【0017】
本発明のさらに他の好ましい実施形態では、前記濃度検出手段は、前記液体現像剤の液面から突出しない程度に前記液体現像剤中に没入させた錘、前記錘に接続された起歪体と、前記起歪体に設置された歪みゲージとを有するロードセル、および前記歪みゲージからの出力に基づき前記固形分の濃度を求める濃度算出部を含み、前記注入口は前記錘よりも低い位置に設けられており、前記排出口は前記錘よりも高い位置に設けられている。
【0018】
この構成によれば、注入口は錘よりも低い位置に設けられていると共に、排出口は錘よりも高い位置に設けられているので、錘を液体現像剤中に確実に水没させることができる。そのため、濃度検出手段は、錘に作用する浮力を正確に得ることができる。したがって、錘によって起歪体に作用する力は、錘に作用する重力から錘に作用する浮力を減算することで求めることができることから、濃度検出手段は固形分濃度を精度良く検出することができる。
【0019】
本発明に係る画像形成装置は、トナー像が形成される像担持体と、固形分としてのトナーを含有する液体現像剤を前記像担持体に供給して前記トナー像を形成する現像装置と、前記トナーの濃度が所定の濃度となるように液体現像剤を調整する現像剤調整部と、前記現像剤調整部が調整した前記液体現像剤の前記トナーの濃度を検出する濃度検出装置と、前記現像装置で用いられる現像剤よりもトナー濃度が高い現像剤を前記現像剤調整部へ供給する第1供給系統と、前記キャリア液を前記現像剤調整部へ供給する第2供給系統と、前記現像剤調整部で調整された前記液体現像剤を前記現像装置へ供給する第3供給系統と、前記現像装置に供給された前記液体現像剤であって、該現像装置において消費されなかった液体現像剤を回収して前記現像剤調整部へ供給する回収系統とを含み、前記濃度検出装置として、上記構成の濃度検出装置が用いられている。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る濃度検出装置およびそれを備えた画像形成装置によれば、液位検出手段を用いることなく液体現像剤のオーバーフローを防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態に係る濃度検出装置の構成を模式的に示す図である。
【図2】濃度検出装置の貯留容器およびロードセルを示す図であり、(a)は貯留容器およびロードセルの上面図であり、(b)は貯留容器の側面図であり、(c)は、(b)とは反対側から見た貯留容器の側面図であり、(d)は貯留容器およびロードセルの縦断面図である。
【図3】液体現像剤のトナー濃度と液体現像剤の比重との関係を示す図である。
【図4】液体現像剤のトナー濃度と増幅電圧値との関係を示すために予め作成された検量線を示す図である。
【図5】貯留容器を上方から見た場合における、第1注入口および第2注入口と第1排出口および第2排出口との間の位置関係を模式的に示す図である。
【図6】貯留容器の縦断面図であり、第1注入口および第2注入口と第1排出口および第2排出口との間の位置関係を示す。
【図7】本発明の実施形態に係るカラープリンタの全体概略断面図である。
【図8】液体現像剤循環装置の部分を除いた、カラープリンタの概略断面図である。
【図9】液体現像剤循環装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る濃度検出装置30の構成を模式的に示す図である。濃度検出装置30は、液体現像剤を用いる湿式の画像形成装置に適用され、キャリア液となる誘電性液体中に固形分としてのトナーを分散させた液体現像剤においてトナーの濃度を検出するための装置である。より具体的には、濃度検出装置30は、後述する現像装置14に供給する液体現像剤LDを調整する現像剤調整部27に適用されるものであって、現像剤調整部27が調整したトナー濃度が所定の濃度値か否かを判別するために用いられる。濃度検出装置30は、貯留容器31、錘32、ロードセル33、および濃度算出部34を含む。
【0023】
図2は、濃度検出装置30の貯留容器31およびロードセル33を示す図であり、(a)は貯留容器31およびロードセル33の上面図であり、(b)は貯留容器31の側面図であり、(c)は、(b)とは反対側から見た貯留容器31の側面図であり、(d)は貯留容器31およびロードセル33の縦断面図である。貯留容器31は、図2に示すように、上方に開口した円筒状の容器であって、液体現像剤LDが貯留される。貯留容器31の開口は蓋部材38によって閉塞される。貯留容器31は、その容量を規定する内側壁面31aを有する。内側壁面31aは、内周面31bと内底面31cとからなる。貯留容器31は、湿式画像形成装置内の適所に設置された保持部材37によって保持されている。
【0024】
また、貯留容器31は、その下部に設けられた断面円形の開口部である2つの第1注入口43および第2注入口44と、第1注入口43および第2注入口44よりも上方に設けられた断面円形の開口部である2つの第1排出口46および第2排出口45とを有する。液体現像剤LDは、第1注入口43および第2注入口44から貯留容器31内に導入され、第1排出口46および第2排出口45から排出される。
【0025】
第1注入口43および第2注入口44のそれぞれには、液体現像剤LDを貯留容器31内に導入するための導入チューブ23(図1)が接続されている。導入チューブ23には、チューブポンプである導入ポンプPAが配設されている。一方、第1排出口46および第2排出口45のそれぞれには、液体現像剤LDを貯留容器31から排出するための排出チューブ24(図1)が接続されている。排出チューブ24には、チューブポンプである排出ポンプPBが配設されている。導入チューブ23および排出チューブ24は現像剤調整部27に接続されている。
【0026】
したがって、導入ポンプPAが駆動されると、現像剤調整部27に貯留されている液体現像剤LDは導入チューブ23を通り、第1注入口43および第2注入口44を介して貯留容器31内に流入する。また、排出ポンプPBが駆動されると、貯留容器31内の液体現像剤LDは、第1排出口46および第2排出口45から排出チューブ24に排出され、現像剤調整部27に戻る。本実施形態では、貯留容器31と現像剤調整部27との間で液体現像剤LDが時間的に連続して流れるように構成されている。なお、第1排出口46および第2排出口45と現像剤調整部27の接続によっては、排出チューブ24と排出ポンプPBを省略してもよい。
【0027】
現像剤調整部27は、攪拌プロペラからなる攪拌器27aを有し、攪拌器27aによって貯留している液体現像剤LDのトナーとキャリア液とを均一に混合する。また、現像剤調整部27は、キャリア液Cを貯留するキャリアタンク29に接続されていると共に、後述する現像装置14で用いられる液体現像剤LDよりもトナー濃度が高い液体現像剤Tを貯留するトナータンク28に接続されている。
【0028】
ロードセル33は、図2に示すように、起歪体35と、起歪体35に設置された歪みゲージ36とを有する。起歪体35は、その形状は特に限定されないが、本実施形態では、細長のブロック状に成形された形状を有し、貯留容器31の上方で延びている。起歪体35は、その基端部において、貯留容器31の上部に固定された支持ブロック39によって支持されている。したがって、起歪体35の先端部は、蓋部材38を介して貯留容器31内の液体現像剤LDの上方に位置している。起歪体35は、例えばアルミ合金からなる。
【0029】
歪みゲージ36は、図2では起歪体35の上面に設置されているが、その設置位置は、図2に示す部位に限定されず、後述する錘32によって起歪体35において歪みが最も大きく発生する部位に設定される。歪みゲージ36は、例えば、伸縮によって抵抗値が変化する抵抗体と、その抵抗値変化を電圧に変換するホイートストンブリッジ回路とを含むものであって、起歪体35の歪みに起因して変動する電気抵抗値を電圧値として出力するものである。
【0030】
錘32は、例えばSUSからなる球形のものである。錘32は、蓋部材38に形成された貫通孔を通る金属ワイヤ47によって起歪体35の先端部に接続され、貯留容器31内に収容されている。錘32の重さは、錘32が貯留容器31内に流入した液体現像剤LDの液面から突出しない程度に没入するように設定されている。また、錘32は、貯留容器31を上方から見た場合に貯留容器31内で略中央位置を占めるように配置されていると共に、貯留容器31の内周面31bおよび内底面31cに接触しないように配置されている。なお、錘32の材料は、錘32が液体現像剤LD中に没入するために十分な程度の密度差を有する材料であればよく、コストを考慮して適宜選択される。また、錘32と起歪体35の先端部とを接続する部材は、必ずしも金属ワイヤ47を用いる必要はなく、液体現像剤LDによって錘32に作用する浮力に影響を与えない部材であればよい。
【0031】
濃度算出部34は、増幅回路53と、安定化電源回路54と、A/Dコンバータ55と、濃度算出回路56とを含む。なお、本実施形態では、濃度算出部34、ロードセル33および錘32が濃度検出手段を構成する。
【0032】
増幅回路53は、ロードセル33の歪みゲージ36に接続され、歪みゲージ36が出力した電圧値を増幅する。電圧値の増幅倍数は適宜設定される。増幅回路53は、起歪体35に作用する風袋重量、つまり貯留容器31内に液体現像剤LDが無い状態で錘32によって起歪体35に作用する力をキャンセルすることができる。なお、増幅回路53は、後述するA/Dコンバータ55および濃度算出回路56とは電気回路的に分離されている。
【0033】
安定化電源回路54は、増幅回路53の出力電圧が常に一定の値になるように制御する直流電源回路である。
【0034】
A/Dコンバータ55は、増幅回路53から増幅出力された電圧値をデジタル信号値に変換する。
【0035】
濃度算出回路56は、デジタル信号値に基づいて液体現像剤LDのトナー濃度を求める。具体的には、濃度算出回路56は、液体現像剤LDの比重が図3に示すように液体現像剤LDのトナー濃度に応じて変動し、液体現像剤LDによって錘32に作用する浮力が液体現像剤LDの比重に応じて変動する特性を利用する。そして、錘32によって起歪体35に作用する力Fは、アルキメデスの原理に基づき、
F=Mg−ρVg
の式によって求めることができる(Mは錘32の質量、gは重力加速度、ρは液体現像剤LDの比重、Vは錘32の体積)。
【0036】
すなわち、錘32によって起歪体35に作用する力Fは、錘32に作用する重力から錘32に作用する浮力を減算することで求められる。そこで、本実施形態では、力F、つまり増幅電圧値に対応するデジタル信号値と、液体現像剤LDのトナー濃度との関係を示す検量線を予め作成し、その検量線をROM等の記憶部57に記憶させ、記憶部57を濃度算出回路56に接続させている。検量線は図4に示すものである。したがって、濃度算出回路56は、実際に得たデジタル信号値(増幅電圧値)を検量線に照合することで、トナー濃度を求めることができる。
【0037】
なお、図4の検量線に示すように、液体現像剤LDによって錘32に作用する浮力が大きくなり、起歪体35に作用する力Fが小さくなると、歪みゲージ36が出力する電圧値は小さくなる。一方、浮力が小さくなり、力Fが大きくなると、電圧値は大きくなる。トナー濃度は、電圧値が小さくなるにつれて高くなる。
【0038】
濃度検出装置30は、貯留容器31中に配置され、液体現像剤LDの温度を検出する温度センサTS(図1)をさらに備えることができる。これは、液体現像剤LDの比重が同一のトナー濃度条件下であっても液体現像剤LDの温度によって変動するためである。液体現像剤LDの比重は、温度が高くなるにつれて大きくなる。そのため、トナー濃度が変動しなくても温度が変動すると、錘32に作用する浮力、ひいては錘32によって起歪体35に作用する力Fも変動する。したがって、液体現像剤LDの温度が変動している場合、ロードセル33が出力する電圧値をそのまま用いたのでは精度良くトナー濃度を検出することができない。
【0039】
そこで、本実施形態では、温度と比重との関係に基づき温度補正値を予め作成し、その温度補正値を含む温度補正テーブルを温度補正部58に記憶させている。濃度算出回路56は、温度センサTSおよび温度補正部58に接続されている。これにより、濃度算出回路56は、温度センサTSが検出した温度に基づく所定の温度補正値で増幅電圧値を補正することにより、トナー濃度を精度良く検出することができる。
【0040】
濃度算出部34が求めたトナー濃度は、現像剤調整部27の図略の制御部に伝送される。前記制御部は、濃度算出部34が求めたトナー濃度が所定の濃度値よりも高いと判定した場合、キャリアタンク29からキャリア液Cが現像剤調整部27に供給されるように制御する。一方、前記制御部は、濃度算出部34が求めたトナー濃度が所定の濃度値よりも低いと判定した場合、トナータンク28からトナー濃度の高い液体現像剤Tが現像剤調整部27に供給されるように制御する。液体現像剤は貯留容器31に常時供給されているので、前記制御部は、経時的に変化し得るトナー濃度の変化を濃度算出部34によって知ることができ、液体現像剤LDのトナー濃度が所定の濃度値に達するまでキャリア液Cまたはトナー濃度の高い液体現像剤Tの供給の制御を行う。
【0041】
以上、本実施形態に係る濃度検出装置の基本的な構成要素について説明したが、貯留容器について、図5および図6を参照しながら以下にさらに詳述する。図5は、貯留容器31を上方から見た場合における、第1注入口43および第2注入口44と第1排出口46および第2排出口45との間の位置関係を模式的に示す図である。図6は、貯留容器31の縦断面図であり、第1注入口43および第2注入口44と第1排出口46および第2排出口45との間の位置関係を示す。
【0042】
図6に示すように、第1注入口43および第2注入口44は、水平面において錘32と同一線上に位置しないように設けられている。この構成によれば、第1注入口43および第2注入口44から貯留容器31内に流入した液体現像剤LDの流れは、矢印Fで示すように、錘32に直接衝突しないので、液体現像剤流れが、錘32に作用する浮力、ひいては錘32によって起歪体35に作用する力に影響を及ぼすことを避けることができる。
【0043】
また、図6に示すように、第1注入口43および第2注入口44は、錘32よりも低い位置に設けられており、一方、第1排出口46および第2排出口45は、錘32よりも高い位置に設けられている。この構成によれば、錘32を液体現像剤LD中に容易に没入させることができる。
【0044】
さらに、図5に示すように、第1注入口43は、第2注入口44とは略90°離間して設けられており、第1排出口46は、第2排出口45とは略90°離間して設けられている。また、図6に示すように、第1注入口43は、鉛直方向で見て第1排出口46と略対向しており、第2注入口44は、鉛直方向で見て第2排出口45と略対向している。このように第1注入口43および第2注入口44と第1排出口46および第2排出口45とを配置することで、液体現像剤LDの一部が貯留容器31内で滞留してしまうことを抑制することができる。
【0045】
さらに、本実施形態では、第1排出口46および第2排出口45が液体現像剤LDを矢印Dで示すように排出することが可能な排出流量は、第1注入口43および第2注入口44が液体現像剤LDを注入することが可能な注入流量よりも大きく設定されている。
【0046】
第1排出口46および第2排出口45の各内径R1を、第1注入口43および第2注入口44の各内径R2よりも大きく設定することで、排出流量を注入流量よりも大きく設定することを容易に行うことができる。また、排出ポンプPBの回転数を導入ポンプPAの回転数よりも大きくすることで、つまり、排出流量を注入流量よりも大きく設定することができる。
【0047】
なお、貯留容器31では、図6に示すように、内側壁面31aにおける内周面31bと内底面31cとの間の部位は、角部ではなく、若干湾曲するように成形されている。これは、内周面31bと内底面31cとの間の部位が角部となっていると、液体現像剤LDがそこで滞留し易くなるからである。しかしながら、湾曲の度合いが大き過ぎると、かえって液体現像剤LDが滞留し易くなってしまうので、湾曲の度合いは適正に設定する必要がある。
【0048】
以上説明した本実施形態に係る濃度検出装置30によれば、貯留容器31では、第1排出口46および第2排出口45が第1注入口43および第2注入口44よりも上方に設けられ、かつ第1排出口46および第2排出口45の排出流量が第1注入口43および第2注入口44の注入流量よりも大きく設定されている。そのため、貯留容器31内における液体現像剤LDの液位LVは第1排出口46および第2排出口45と同一の高さ位置となる。これにより、液体現像剤LDがオーバーフローすることを防止できる。その結果、液体現像剤LDの液位LVを検出するための液位検出手段を設ける必要がない。
【0049】
また、本実施形態に係る濃度検出装置30では、第1排出口46および第2排出口45の各内径R1は第1注入口43および第2注入口44の各内径R2よりも大きく設定されているので、第1排出口46および第2排出口45の排出流量を第1注入口43および第2注入口44の注入流量よりも大きく設定することが容易である。
【0050】
さらに、本実施形態に係る濃度検出装置30では、液体現像剤LDの液位LVは第1排出口46および第2排出口45と同一の高さ位置なので、液体現像剤LDを第1注入口43および第2注入口44から第1排出口46および第2排出口45に向けて時間的に連続して流動させた場合であっても液体現像剤LDがオーバーフローしない。これにより、濃度算出部34は、固形分濃度の経時的変化を検出することができる。
【0051】
さらに、本実施形態に係る濃度検出装置30では、第1注入口43および第2注入口44は錘32よりも低い位置に設けられていると共に、第1排出口46および第2排出口45は錘32よりも高い位置に設けられているので、錘32を液体現像剤LD中に確実に水没させることができる。そのため、濃度算出部34は、錘に作用する浮力を正確に得ることができる。したがって、錘32によって起歪体35に作用する力Fは、錘32に作用する重力から錘32に作用する浮力を減算することで求めることができることから、濃度算出部34はトナー濃度を精度良く検出することができる。
【0052】
以上説明した実施形態では、貯留容器31内の液体現像剤LD中に錘32を没入させ、ロードセル33によってトナー濃度を検出する構成につき説明したが、この構成に代えて、貯留容器31内に投光素子および受光素子を配置し、投光素子から液体現像剤LD中を通って受光素子に達する透過光に基づいてトナー濃度を検出する構成であってもよい。また、貯留容器31内に超音波センサおよび超音波反射板を配置し、超音波反射板によって反射された受信超音波パルス信号に基づいてトナー濃度を検出する構成であってもよい。さらに、貯留容器31内に一対の対向電極からなるトナー濃度センサを配置し、対向電極間で検出した液体現像剤LDの導電率に基づいてトナー濃度を検出する構成であってもよい。このように、貯留容器31は、ロードセル33を用いる構成に限らず、光吸収率、超音波や導電率を用いる構成にも適用可能である。
【0053】
(湿式画像形成装置としての実施形態)
図7は、上述の濃度検出装置30が組み込まれたカラープリンタ1(湿式画像形成装置)の概略構成図であり、図8は、液体現像剤循環装置の部分を除いたカラープリンタ1の概略断面図である。なお、図7および図8に示される画像形成装置はカラープリンタであるが、コピー機、ファクシミリ装置、これらの機能を含む複合機(MFP)や、シート上に画像を形成することができる他の装置とすることもできる。
【0054】
図7に示される如く、カラープリンタ1は、画像形成のための様々なユニットや部品が収納される上側本体部1Aと、この上側本体部1Aの下部に配置され、各色用の液体現像剤循環装置LY、LM、LC、LBが収納される下側本体部1Bとから構成されている。ここでは、上側本体部1Aと下側本体部1Bとを結ぶ配管類は図示を省略している。
【0055】
図8に示すように、上側本体部1Aには、画像データに基づいてトナー画像を形成するタンデム式の画像形成部2と、用紙を収容する用紙収納部3と、画像形成部2で形成されたトナー画像を用紙上に転写する二次転写部4と、転写されたトナー画像を用紙上に定着させる定着部5と、定着の完了した用紙を排紙する排出部6と、用紙収納部3から排出部6まで用紙を搬送する用紙搬送部7とが含まれている。
【0056】
画像形成部2は、中間転写ベルト21と、中間転写ベルト21のクリーニング部22と、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の各色にそれぞれ対応した画像形成ユニットFY、FM、FC、及びFBとを備える。
【0057】
中間転写ベルト21は、導電性を有し、使用可能な用紙搬送方向に直角な方向の長さが最大の用紙より幅広であって、無端状、すなわちループ状のベルト状部材であり、図7、図8において時計回りに循環駆動される。中間転写ベルト21の循環駆動において外側を向く面を以下、表面と称し、他方の面を裏面と称する。
【0058】
画像形成ユニットFY、FM、FC、及びFBは、中間転写ベルト21の近傍に4つ並べて中間転写ベルト21のクリーニング部22と二次転写部4との間に配置される。なお、各画像形成ユニットFY、FM、FC、FBの配置の順番はこの限りではないが、各色の混色による完成画像への影響を配慮すると、この配置が好ましい。
【0059】
画像形成ユニットFY、FM、FC、及びFBは、感光体ドラム10と、帯電器11と、LED露光装置12と、現像装置14と、一次転写ローラ20と、クリーニング装置26と、除電装置13と、キャリア液除去ローラ25とを備える。また、画像形成ユニットのうち、最も二次転写部4に近い位置に位置する画像形成ユニットFBには、キャリア液除去ローラ25が設けられていないが、その他の構成は同一である。
【0060】
各画像形成ユニットFY、FM、FC、FBに対応して、それぞれ液体現像剤循環装置LY、LM、LC、LBが設けられ、各色の液体現像剤の供給、並びに回収が行われるようになっている。液体現像剤循環装置LY、LM、LC、LBについては後に詳述する。
【0061】
感光体ドラム10は、円柱状の部材であって、その表面に帯電(本実施形態ではプラス極性に帯電)したトナーを含むトナー像を担持可能である。感光体ドラム10は、図7、図8において反時計回りに回転可能な部材である。帯電器11は、感光体ドラム10の表面を一様に帯電させることができる機器である。露光装置12は、LED等の光源を有し、外部の機器から入力される画像データに応じて、一様に帯電した感光体ドラム10の表面に光を照射する。これにより、感光体ドラム10の表面には、静電潜像が形成される。
【0062】
現像装置14は、トナー(固形分)及び液体のキャリア液を含む液体現像剤を、感光体ドラム10表面の静電潜像に対向するように保持することで、静電潜像にトナーを付着させる。これにより、静電潜像はトナー像として現像される。
【0063】
現像装置14は、後述する図9に示すように、現像容器140、現像ローラ141、供給ローラ142、支持ローラ143、および現像クリーニングブレード145を含む。
【0064】
現像容器140は液体現像剤の供給を受ける容器である。後述するが、この液体現像剤は、トナーの濃度調整が予め行われた状態で、供給ノズル278から現像容器140内へ供給される。なお、液体現像剤は、供給ローラ142と支持ローラ143とのニップ部へ向けて供給され、その余剰分は支持ローラ143の下方へ落下し、現像容器140の底部において貯留される。貯留された液体現像剤は、パイプ82を通して液体現像剤循環装置で回収される。
【0065】
支持ローラ143は現像容器140の略中央に配置され、下方から支える態様で供給ローラ142に当接されてニップ部を形成する。供給ローラ142は、支持ローラ143の直上ではなく、供給ノズル278から離れる方向の斜め上に配置され、その周面には液体現像剤を保持するための溝が設けられている。図中に矢印で示すように、支持ローラ143は反時計方向に、供給ローラ142は時計方向に回転する。
【0066】
供給ノズル278から供給される液体現像剤は、前記ニップ部の回転方向上流側で一時的に滞留され、両ローラ142、143の回転に伴って、供給ローラ142の前記溝に保持された状態で上方へ運ばれる。供給ローラ142の周面は、図略の供給ローラブレードによって圧接されており、供給ローラ142に保持される液体現像剤の量が所定量になるように規制される。前記供給ローラブレードにより掻き落とされた余剰の液体現像剤は、現像容器140の底部で受け取られる。
【0067】
現像ローラ141は、現像容器140の上部開口部に、供給ローラ142と接するように配置されている。現像ローラ141は供給ローラ142と同方向に回転され(現像ローラ141と供給ローラ142とが当接するニップ部では、現像ローラ141の表面は供給ローラ142の表面と逆方向に移動する)、これにより現像ローラ141の周面には、供給ローラ142の周面に保持された液体現像剤が受け渡される。供給ローラ142の液体現像剤の層厚が所定値に規制されているので、現像ローラ141の表面に形成される液体現像剤層の層厚も所定値に保たれる。
【0068】
現像ローラ141は感光体ドラム10と接している。感光体ドラム10の表面の静電潜像の電位と現像ローラ141に印加される現像バイアスとの電位差によって、形成指示された画像データに応じたトナー像が、感光体ドラム10表面に形成される。
【0069】
現像クリーニングブレード145は、現像ローラ141の感光体ドラム10との接触部の回転方向下流側に接触するように配置され、感光体ドラム10への現像動作を終えた現像ローラ141の表面の液体現像剤を除去する。現像クリーニングブレード145で除去された液体現像剤は、液体現像剤循環装置のパイプ81(回収系統)へ送り出される。
【0070】
一次転写ローラ20は、中間転写ベルト21の裏面に、感光体ドラム10と対向して配置されている。一次転写ローラ20には、図示しない電源からトナー像中のトナーとは逆極性(本実施形態ではマイナス)の電圧を印加される。つまり、一次転写ローラ20は、中間転写ベルト21と接触している位置で、中間転写ベルト21にトナーと逆極性の電圧を印加する。中間転写ベルト21は導電性を有するので、この印加電圧によって、中間転写ベルト21の表面側及びその周辺にトナーが引き付けられる。中間転写ベルト21は、トナー像を担持して、シートまで搬送する像担持体として機能する。
【0071】
クリーニング装置26は、感光体ドラム10から中間転写ベルト21に転写されずに残留した液体現像剤をクリーニングするための装置である。
【0072】
除電装置13は、除電用の光源を有し、次の周回による画像形成に備えて、クリーニング装置26による液体現像剤除去後、感光体ドラム10の表面を光源からの光によって除電する。
【0073】
キャリア液除去ローラ25は、感光体ドラム10の回転軸と平行な回転軸を中心として感光体ドラム10と同方向に回転可能な略円柱状の部材である。キャリア液除去ローラ25は、感光体ドラム10と中間転写ベルト21とが接触する位置よりも二次転写部4が配置されている側に配置されており、中間転写ベルト21の表面からキャリア液を除去する部材である。
【0074】
用紙収納部3は、トナー像を定着させる用紙を収納する部分であって、上側本体部1Aの下部に配置されている。また、用紙収納部3は、用紙を収納している給紙カセットを有している。
【0075】
二次転写部4は、中間転写ベルト21上に形成されたトナー像を用紙に転写する部分であって、中間転写ベルト21を支持する支持ローラ41と、支持ローラに対向して配置された二次転写ローラ42とを有している。
【0076】
定着部5は、用紙にトナー像を定着させる部分であって、二次転写部4の上側に配置されている。また、定着部5は、加熱ローラ51と、加熱ローラ51に対向して配置された加圧ローラ52とを有している。
【0077】
排出部6は、定着部5でトナー像が定着された用紙が排出される部分であって、カラープリンタ1の上部に配置されている。用紙搬送部7は、複数の搬送ローラ対を備え、用紙収納部3から二次転写部4や定着部5、排出部6に用紙を搬送する。
【0078】
図9は、一つの液体現像剤循環装置LYの全体の概略を示すブロック図である。他の液体現像剤循環装置LM、LC、LBも同じ構成である。液体現像剤循環装置LYは、感光体ドラム10へ液体現像剤を供給した後に現像クリーニングブレード145によって現像ローラ141の表面から掻き取られた残留現像剤を循環させ再利用するための装置である。
【0079】
液体現像剤循環装置LYは、残留現像剤タンク271、現像剤収容容器272(現像剤調整部)、固形分濃度検出装置273、キャリアタンク274、トナータンク275、攪拌装置276、現像剤リザーブタンク277、液体現像剤供給装置278、液体現像剤分離装置500、および複数のポンプP1〜P12を備えている。ここで、固形分濃度検出装置として、上記の濃度検出装置30が適用される。
【0080】
残留現像剤タンク271は、現像装置14に第1パイプ81及び第2パイプ82(回収系統)を介して接続され、現像装置14側から回収された液体現像剤を収容可能なタンクである。第1パイプ81及び第2パイプ82の途中には、それぞれ第1ポンプP1及び第5ポンプP5が取り付けられている。
【0081】
感光体ドラム10へトナーを供給した後に、現像クリーニングブレード145によって現像ローラ141の表面から掻き取られた液体現像剤は、第1ポンプP1の駆動により第1パイプ81を通して残留現像剤タンク271に送られる。また、現像容器140内において供給ローラ142から現像ローラ141へ供給されずに現像容器140にて貯留された液体現像剤は、第5ポンプP5の駆動により第2パイプ82を通して残留現像剤タンク271に送られる。
【0082】
現像剤収容容器272は、残留現像剤タンク271と接続されている。現像剤収容容器272は、残留現像剤に現像装置14で用いられる現像剤よりもトナー濃度が高い現像剤、あるいはキャリア液を加えることで、トナー濃度を適正範囲に調整すると共に、残留現像剤のトナー濃度を適正範囲に調整するものである。このトナー濃度が調整された液体現像剤は、現像装置14に補給される。現像剤収容容器272は残留現像剤タンク271と第3パイプ83を介して接続されており、この第3パイプ83には第2ポンプP2が取り付けられている。残留現像剤タンク271内の液体現像剤は、第2ポンプP2の駆動により第3パイプ83を通して現像剤収容容器272に送られる。
【0083】
固形分濃度検出装置273は、現像剤収容容器272内の液体現像剤のトナーの濃度を検出するための装置である。現像剤収容容器272に接続されている環状の第4パイプ84に、固形分濃度検出装置273が接続されている。この環状の第4パイプ84には第4ポンプP4が取り付けられている。現像剤収容容器272内の液体現像剤は、第4ポンプP4の駆動により第4パイプ84の入口端から固形分濃度検出装置273へ導かれ、その後、第4パイプ84の出口端から現像剤収容容器272に戻される。
【0084】
キャリアタンク274は、キャリア液を収納するタンクである。固形分濃度検出装置273により、現像剤収容容器272内のトナーの濃度が適正範囲よりも高いと判定された場合に、キャリアタンク274から現像剤収容容器272内にキャリア液が供給され、容器272内の液体現像剤のトナー濃度が下げられる。キャリアタンク274と現像剤収容容器272とは第5パイプ85(第2供給系統)で接続されており、前記キャリア液の供給は、第5パイプ85の途中に設けられた第3ポンプP3の駆動によって実行される。
【0085】
トナータンク275は、現像装置14で用いられる現像剤よりもトナー濃度が高い液体現像剤を収納するタンクである。固形分濃度検出装置273により、現像剤収容容器272内のトナーの濃度が適正範囲よりも低いと判定された場合に、トナータンク275から現像剤収容容器272内にトナー濃度が高い液体現像剤が供給され、容器272内の液体現像剤のトナー濃度が上げられる。トナータンク275と現像剤収容容器272とは第6パイプ86(第1供給系統)で接続されており、前記液体現像剤の供給は、第6パイプ86の途中に設けられた第8ポンプP8の駆動によって実行される。
【0086】
攪拌装置276は、現像剤収容容器272内の液体現像剤を攪拌するための部材である。この攪拌の目的は、濃度調整のために現像剤収容容器272内へ導入されたトナー又はキャリア液が、現像剤収容容器272内の既存の液体現像剤と均一に混ざるようにするため、また、現像剤収容容器272内に収容されている液体現像剤において凝集することがあるトナーを再分散させることである。攪拌装置276は、回転軸と、この回転軸の先端に取り付けられた攪拌羽根とを含む。前記回転軸には液面検知部材276aが同軸で組み付けられている。この液面検知部材276aは図略のモータで駆動され、液面検知部材276aが、液体現像剤の液面と接触することに伴う前記モータの負荷変化に基づいて、液体現像剤量が検出される。
【0087】
現像剤リザーブタンク277は、現像装置14に補給する液体現像剤を収納するタンクである。現像剤リザーブタンク277は、現像剤収容容器272と第7パイプ871(第3供給系統)で接続されており、第7パイプ871の途中に設けられた第6ポンプP6の駆動によって、現像剤収容容器272から液体現像剤の供給を受ける。さらに現像剤リザーブタンク277は、キャリアタンク274と第1直結管路910で、また、トナータンク275と第2直結管路920でそれぞれ接続されている。第1、第2直結管路910、920には第11ポンプP11、第12ポンプP12がそれぞれ配置され、各タンクからキャリア及びトナーを直接的に現像剤リザーブタンク277へ供給可能とされている。これら第1、第2直結管路910、920からのキャリア及びトナー供給系統は、未だ回収液体現像剤が発生していないカラープリンタ1の使用開始時等に、既知の配合比に従って速やかに液体現像剤を生成する場合に活用される。
【0088】
供給ノズル278は、現像剤リザーブタンク277に貯留された液体現像剤を、現像装置14へ供給するための部材である。供給ノズル278と現像剤リザーブタンク277とは第8パイプ872(第3供給系統)で接続されており、前記液体現像剤の供給は、第8パイプ872に取り付けられた第7ポンプP7の駆動によって実行される。
【0089】
なお、図示は省略しているが、残留現像剤タンク271、キャリアタンク274、トナータンク275及び現像剤リザーブタンク277の適所には、これらタンク内の液面高さを検知するための液面検出装置が備えられている。
【0090】
液体現像剤分離装置500は、クリーニング装置26で回収された残留現像剤からトナーとキャリア液とを分離し、トナーとキャリア液とを別々に抽出する装置である。クリーニング装置26と液体現像剤分離装置500との間は、第9ポンプP9が取り付けられた第9パイプ881で接続されている。第9ポンプP9の駆動により、クリーニング装置26内の残留現像剤は、液体現像剤分離装置500に送られる。また、液体現像剤分離装置500とキャリアタンク274との間には、第10ポンプP10が取り付けられた第10パイプ882が設けられている。液体現像剤分離装置500で抽出されたキャリア液は、第10ポンプP10の駆動によってキャリアタンク274へ送られる。
【0091】
続いて、カラープリンタ1の動作を説明する。カラープリンタ1に接続されたパーソナルコンピュータ(図略)からの画像形成指示を受けたカラープリンタ1は、作成指示を受けた画像データに対応した各色のトナー像を画像形成ユニットFY,FM、FC、FBを用いて形成する。具体的には、感光体ドラム10上に画像データに基づいた静電潜像が形成され、この静電潜像に現像装置14からトナーが供給される。このようにして各画像形成ユニットFY,FM,FC,FBで形成された画像は中間転写ベルト21に転写されて、中間転写ベルト21上で重ね合わされてカラートナー像となる。
【0092】
このカラートナー像の形成と同期して、用紙収納部3に収容されている用紙が図示しない給紙装置で用紙収納部3から一枚ずつ取り出されて、用紙搬送部7に沿って搬送される。そして、用紙は中間転写ベルト21への一次転写とタイミングを合わせて二次転写部4に送り込まれ、二次転写部4で中間転写ベルト21上のカラートナー像が用紙に二次転写される。
【0093】
カラートナー像が転写された用紙はさらに定着部5に搬送されて熱と圧力によりカラートナー像が用紙に定着される。さらに用紙は、排出部6によってカラープリンタ1の外部に排紙される。二次転写後、中間転写ベルト21に残留したトナーは、中間転写ベルト21のクリーニング部22によって中間転写ベルト21から除去される。
【0094】
画像形成動作時に感光体ドラム10に供給されずに現像ローラ141上に残留した液体現像剤は、現像クリーニングブレード145によって掻き取られ、第1パイプ81を介して残留現像剤タンク271に回収される。また、供給ローラ142から現像ローラ141へ供給されずに現像容器140にて回収された液体現像剤も、第2パイプ82を通して残留現像剤タンク271に回収される。さらに、クリーニング装置26で回収された残留現像剤から液体現像剤分離装置500にて抽出されたキャリア液が、キャリアタンク274へ回収される。
【0095】
現像剤収容容器272内の液体現像剤量が無くなると、第2ポンプP2が駆動して、残留現像剤タンク271から現像剤収容容器272に残留現像剤が供給される。現像剤収容容器272が残留現像剤で満たされると、固形分濃度検出装置273により液体現像剤のトナー濃度が検出される。この検出結果に応じて、第3ポンプP3又は第8ポンプP8が駆動されて、必要量のキャリア液又は高濃度液体現像剤が現像剤収容容器272へ供給される。このとき、液体現像剤は、第4ポンプP4の駆動によって時間的に連続して固形分濃度検出装置273に供給される。そして、トナー濃度が適正範囲になったことが固形分濃度検出装置273の検出結果によって判別された場合、必要に応じて液体現像剤は現像剤リザーブタンク277へ供給される。
【符号の説明】
【0096】
1 画像形成装置
27 現像剤調整部
30 濃度検出装置
31 貯留容器
32 錘
33 ロードセル
34 濃度算出部
43 第1注入口
44 第2注入口
45 第2排出口
46 第1排出口
LD 液体現像剤
LV 液体現像剤の液位
R1 第1排出口および第2排出口の内径
R2 第1注入口および第2注入口の内径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形分を含む液体現像剤を貯留する貯留容器であって、前記液体現像剤を注入するための注入口と、前記液体現像剤を排出するための排出口とを有する貯留容器と、
前記固形分の濃度を検出する濃度検出手段と、
を備え、
前記排出口は、前記注入口よりも上方に設けられており、
前記排出口が前記液体現像剤を排出することが可能な排出流量は、前記注入口が前記液体現像剤を注入することが可能な注入流量よりも大きく設定されている濃度検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の濃度検出装置において、
前記注入口および前記排出口は断面円形の開口部であり、
前記排出口の内径は前記注入口の内径よりも大きく設定されている濃度検出装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の濃度検出装置において、
前記貯留容器は、前記液体現像剤を前記注入口から前記排出口に向けて時間的に連続して流動させることが可能に構成されている濃度検出装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の濃度検出装置において、
前記濃度検出手段は、前記液体現像剤の液面から突出しない程度に前記液体現像剤中に没入させた錘、前記錘に接続された起歪体と、前記起歪体に設置された歪みゲージとを有するロードセル、および前記歪みゲージからの出力に基づき前記固形分の濃度を求める濃度算出部を含み、
前記注入口は前記錘よりも低い位置に設けられており、
前記排出口は前記錘よりも高い位置に設けられている濃度検出装置。
【請求項5】
トナー像が形成される像担持体と、
固形分としてのトナーを含有する液体現像剤を前記像担持体に供給して前記トナー像を形成する現像装置と、
前記トナーの濃度が所定の濃度となるように液体現像剤を調整する現像剤調整部と、
前記現像剤調整部が調整した前記液体現像剤の前記トナーの濃度を検出する濃度検出装置と、
前記現像装置で用いられる現像剤よりもトナー濃度が高い現像剤を前記現像剤調整部へ供給する第1供給系統と、
前記キャリア液を前記現像剤調整部へ供給する第2供給系統と、
前記現像剤調整部で調整された前記液体現像剤を前記現像装置へ供給する第3供給系統と、
前記現像装置に供給された前記液体現像剤であって、該現像装置において消費されなかった液体現像剤を回収して前記現像剤調整部へ供給する回収系統と、
を備え、
前記濃度検出装置として、請求項1〜4のいずれか一項に記載の濃度検出装置が用いられている画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−242694(P2011−242694A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116571(P2010−116571)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】