説明

炭素繊維強化炭素複合材料及びその製造方法

【課題】樹脂含浸法によるC/Cコンポジットの製造において、樹脂含浸及び焼成を繰り返す緻密化工程を行わないもしくは回数を減らしても、ブレーキ材料などとして十分な強度を有し、層間の剪断強度も改善されたC/Cコンポジット及びその製造方法を提供する。
【解決手段】炭素繊維に炭素前駆体樹脂を含浸した炭素繊維プリフォームを加熱加圧成形した後、不活性雰囲気中で焼成する樹脂含浸法により炭素繊維強化炭素複合材料を製造する際に、前記炭素繊維前駆体樹脂に炭化ミクロフィブリル化セルロース粉末を含有させることで、樹脂含浸及び焼成を繰り返す緻密化工程を行わないもしくは回数を減らしてもブレーキ材料などとして十分な強度を有するC/Cコンポジットを提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素繊維強化炭素複合材料(以下、「C/Cコンポジット」ともいう。)及びその製造方法に関するものであり、更に詳しくは、緻密化工程を行わないもしくは回数を減らしてもブレーキ材料などとして十分な曲げ強度を有するC/Cコンポジット及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
C/Cコンポジットは、炭素繊維をフィラーとし、マトリクスを炭素とした複合材料であり、一般的には炭素材料に較べて機械的特性が高く、金属材料に較べて軽量であり、従来の材料に比べて多くの利点がある。更に、C/Cコンポジットには、耐熱特性が高く、摩擦・磨耗特性が良いなどの利点もある。このため、C/Cコンポジットは、宇宙往還機用のノズルコーンや、リーディングエッジ、航空機や自動車用のブレーキディスク、人工歯根などに広く利用されている。
【0003】
前記のようにC/Cコンポジットは優れた機械的特性を有するが、その製造には多くの手間と時間がかかるという問題がある。一般的なC/Cコンポジットの製造方法としては、樹脂含浸法と化学気相蒸着法(CVD法)が挙げられる。前記樹脂含浸法は、CVD法に較べて大掛かりな設備を必要とせず、簡便な方法である。この樹脂含浸法は、フラン樹脂やフェノール樹脂など、炭素前駆体としての熱硬化性樹脂を含浸した炭素繊維プリフォームを成形硬化させた後、不活性雰囲気中で炭化してC/Cコンポジットを得る方法である。しかしながら、通常、樹脂の炭素化収率は60%程度であるため、製品の必要とする密度、機械的強度が得られるまで、樹脂を繰り返し含浸、焼成する緻密化の工程を必要としていた(特許文献1、2等参照。)。また、C/Cコンポジットには、層間の剪断強度、特にモードIIの層間靭性値が低いという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−345667号公報
【特許文献2】特開2003−342081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記のような従来のC/Cコンポジットにおける問題に鑑み、樹脂含浸法によるC/Cコンポジットの製造において、樹脂含浸及び焼成を繰り返す緻密化工程を行わないもしくは回数を減らしても、ブレーキ材料などとして十分な強度を有し、層間の剪断強度も改善されたC/Cコンポジット及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、樹脂含浸法によりC/Cコンポジットを製造する際に、フィラーとしての炭素繊維に含浸するマトリクスの前駆体となる樹脂(母材樹脂)に予め炭素を添加することで、製品の機械的特性が向上し、緻密化工程を行わないもしくは回数を減らしても製品に必要な機械的強度を付与し、また層間の剪断強度も改善されたC/Cコンポジットが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
即ち、本発明に係る炭素繊維強化炭素複合材料(C/Cコンポジット)は、炭素前駆体樹脂に炭化ミクロフィブリル化セルロース(以下、「炭化MFC」ともいう。)粉末を含有させてなることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る炭素繊維強化炭素複合材料の製造方法は、炭素繊維に炭素前駆体樹脂を含浸した炭素繊維プリフォームを加熱加圧成形した後、不活性雰囲気中で焼成する樹脂含浸法による炭素繊維強化炭素複合材料の製造方法であって、前記炭素繊維前駆体樹脂に炭化MFC粉末を含有させてなることを特徴とする。なお、本発明で前記「炭素繊維プリフォーム」とは、シート状などの所定に成形した炭素繊維にマトリクスとなる前駆体樹脂(母材樹脂)が含浸されたものをいい、樹脂含浸した炭素繊維をシート状などに成形したもの、シート状などの所定の形状に成形した炭素繊維集合体に樹脂含浸したものの両方を含み、フィラメントワイディング法により成形することもできる。
【0009】
前記炭化MFC粉末は、凍結乾燥したミクロフィブリル化セルロース(以下、「MFC」ともいう。)を不活性雰囲気中で炭化したものが好ましい。また、前記炭素前駆体樹脂(母材樹脂)としてはフェノール樹脂を用いることが好ましい。
【0010】
上記のような本発明に係る炭素繊維強化炭素複合材料(C/Cコンポジット)は、ブレーキ材料として好適に使用できる。
【発明の効果】
【0011】
以上にしてなる本願発明に係るC/Cコンポジットは、前駆体樹脂に予め炭素粉末を添加しておくことで、通常のC/Cコンポジットに較べて曲げ強度及び層間の剪断強度が改善され、緻密化を行わないもしくは回数を減らしてもブレーキ材料などとして十分な曲げ強度を有する。
【0012】
更に、本発明では、前駆体樹脂に添加する前記炭素粉末として、凍結乾燥したMFCを不活性雰囲気中で炭化した炭化MFC粉末を用いる。通常、MFCは、水分を含んだ状態でのみ3次元ネットワーク構造の維持が可能であり、そのまま炭化させると、MFCに含まれる水分が乾燥、蒸発し、自己凝縮とネットワーク構造による絡み合いが発生してしまう。そこで、炭化の前処理として、凍結乾燥により、MFCに吸着した水分を取り除いたうえで炭化することで、MFCに含まれている、樹脂にとって有害な水分が除去されるとともに、ミクロフィブリル化セルロースの3次元微細構造を維持したまま炭化することができ、前駆体樹脂に対する分散性が向上し、樹脂粘度の上昇を抑制することができる。
【0013】
更に、前記前駆体樹脂(母材樹脂)としてフェノール樹脂を用いることで、安価で炭化収率良くC/Cコンポジットを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】凍結乾燥したミクロフィブリル化セルロースを不活性雰囲気中で炭化した炭化ミクロフィブリル化セルロースの顕微鏡写真。
【図2】曲げ強度試験の模式図。
【図3】モードII層間破壊靭性値を測定するENF試験(End Notched Flexure 試験)の模式図。
【図4】ENF試験の試験片寸法を示す説明図。
【図5】曲げ弾性率の測定結果を示すグラフ。
【図6】最大曲げ応力の測定結果を示すグラフ。
【図7】ENF試験より求めたモードII層間破壊靭性値GIICを示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明では、樹脂含浸法によりC/Cコンポジットを製造する際に、炭素繊維に含浸する炭素前駆体樹脂(母材樹脂)に炭化ミクロフィブリル化セルロース粉末を添加することを特徴とするものであり、それ以外は公知の樹脂含浸法によるC/Cコンポジットの製造方法と同様である。
【0016】
例えば、フィラー原料となる炭素繊維としては、ピッチ系、PAN系、レーヨン系などの炭素繊維のいずれを用いてもよい。また、炭素繊維の径や弾性率は、一般に複合材として用いられる範囲でよく、特に限定はない。更に、炭素繊維のプリフォームの形態も特に限定されず、フィラメントワイディング方法により成形した1次元配向プリフォーム、平織り、朱子織り、織布、不織布などの2次元配向プリフォーム、3次元配向プリフォームのいずれでもよい。
【0017】
炭素繊維に含浸する、C/Cコンポジットのマトリックスとなる前駆体樹脂(母材樹脂)についても特に限定はなく、フェノール樹脂、フラン樹脂、更には石油系、石炭系ピッチ等の公知のマトリクス樹脂をいずれも用いることができる。これらの樹脂の中でも、フェノール樹脂が安価で且つ炭化収率が高いことから好ましい。
【0018】
本発明では、樹脂含浸法によりC/Cコンポジットを製造する際に、炭素繊維プリフォームに含浸するマトリクスとしての前駆体樹脂(母材樹脂)に炭素粉末が添加される。この炭素粉末として、本発明では、MFCを不活性雰囲気中で炭化した炭化MFC粉末を使用することで、炭化収率の改善及び炭化MFC粉末の3次元微細構造によりC/Cコンポジットの界面特性の改善が期待され、曲げ強度など、層間の剪断強度などの機械的強度が向上すると考えられる。一方、同じ炭素粉末であっても、例えば黒鉛を前駆体樹脂(母材樹脂)に添加しても、本発明のC/Cコンポジットのような曲げ強度や層間の剪断強度などの向上効果は得られない(後述の実施例、参考例、比較例を参照。)。特に、凍結乾燥したMFCを不活性雰囲気中で炭化することで、MFCの有する3次元構造を維持したままの炭素粉末を得ることができる(図1参照。)。凍結乾燥せずに炭化したものでは、3次元構造が維持されず、目的とする曲げ強度などの改善効果が十分に発揮されない場合がある。
【0019】
MFCの炭化は、水分を含んだMFCを、凍結乾燥機を用いて凍結乾燥し、凍結乾燥後のMFCを、不活性雰囲気中で、高温、例えば800℃で3〜5時間程度焼成することで、炭化MFC粉末が得られる。
【0020】
フィラーとなる炭素繊維への前駆体樹脂の含浸方法、樹脂付着量などは公知のものでよい。また、炭素繊維プリフォームの作製は、予め炭素繊維を含浸したものを1次元配向プリフォーム、平織り、朱子織り、織布、不織布などの2次元配向プリフォーム、3次元配向プリフォームに形成してもよいし、炭素繊維を前記のような所定形状の炭素繊維複合体に形成したうえで樹脂含浸を行ってもよい。
【0021】
前記前駆体樹脂への炭化MFC粉末の添加量には特に限定はないが、添加量が少ないと効果が発揮されない場合があるが、1重量%の添加で、目的とする曲げ強度の改善効果が得られている。
【0022】
前記炭化MFC粉末を添加した前駆体樹脂を炭素繊維に含浸することで、母材となる炭素繊維プリフォームを得る。この炭素繊維プリフォームを、加熱加圧成形した後、不活性雰囲気中で炭化する。母材となる炭素繊維プリフォームを、例えば、150℃、15MPa程度の高温、高圧条件下で成形することで、炭素前駆体樹脂の炭素化収率の向上が期待できる。
【0023】
前記のようにして成形した炭素繊維プリフォームを、不活性雰囲気中で常温から10時間程度で最高温度、例えば1000℃まで昇温し、1時間程度保持することで、前駆体樹脂が炭素化して目的とするC/Cコンポジットが得られる。
【0024】
上記のような本発明に係るC/Cコンポジットは、樹脂含浸と焼成を繰り返す緻密化工程を行わないもしくは回数を減らしても、航空機、自動車などのブレーキ材料、その他の摺動材料など、C/Cコンポジットと同様の用途に好適に用いることができることから、製造の手間やコストも削減することができる。
【実施例】
【0025】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明は、この実施例により何ら限定されるものではない。
【0026】
<材料>
前駆体樹脂(母材):ノボラック型フェノール樹脂(住友ベークライト製:工業用フェノール樹脂 「スミライト」(登録商標)PR−51697)。
フィラー(強化材):一方向炭素繊維(三菱レーヨン製:「パイロフィル」(登録商標)TR30S12LAB)。
炭素粉末:
(a)炭化させたMFC(MFCは、ダイセル化学工業製:「セリッシュ」(登録商標)を使用)。
(b)黒鉛粉末:日本黒鉛製;黒鉛粉末AUP(粒径[6〜9μm])。
【0027】
<実施例1>
(1)炭化MFC粉末の製造
水分を90重量%含んだMFCを、凍結乾燥機(FDU−1100、東京理科機器製)を用いて凍結乾燥し、凍結乾燥後のMFCを、不活性雰囲気中にて800℃にて3時間熱処理を行い、炭化MFC粉末を得た。これを走査型電子顕微鏡 FE−SEM JSEM7001FDを用いて観察し、撮影した写真を図1に示す。
【0028】
(2)C/Cコンポジットの製造
フェノール樹脂に1重量%の炭化MFC粉末を添加し、プロセスホモジナイザーにて1時間処理し、炭化MFC粉末を樹脂中に分散させた。樹脂と炭素繊維との積層にはフィラメントワインディング法を用いた。ワインディングはフープ巻きとし、繊維ピッチ2mmで1辺が250mmの正方形ボビンに3層巻き取った。これをボビンごと電気炉内で65℃、10時間保持し、樹脂中のエタノールを蒸発乾燥させ予備硬化させた。これをホッタプレスにて、圧力15MPa、温度150℃で2時間プレスし、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を得た。得られたCFRPを、ダイヤモンドカッターを用いて適当なサイズに切り分けた後、管状炉にて不活性雰囲中で常温から昇温率3.33℃/minで、最高温度(1000℃)まで昇温して1時間保持し、C/Cコンポジットを得た。
【0029】
<参考例1>
炭化MFC粉末の変わりに、黒鉛粉末1重量%をフェノール樹脂に添加した以外は、実施例1と同様にしてC/Cコンポジットを得た。
【0030】
<比較例1>
フェノール樹脂に炭素粉末(炭化MFC)を添加しない以外は、実施例1と同様にしてC/Cコンポジットを得た。
【0031】
<評価試験方法>
(1)曲げ試験
三点曲げ試験を行い、曲げ弾性率と最大曲げ応力を求めた。試験片寸法及び試験条件は、JISK7074の三点曲げ試験法に従った。三点曲げ試験の模式図を図2に示す。試験測度は1mm/minとし、支点間距離は80mmとした。試験機は島津製作所製万能試験機オートグラフィAG−Aを用いた。曲げ応力と曲げ弾性率を求める式を以下に示す。
【0032】
【数1】

【0033】
また、曲げ試験中の試験片の破壊挙動を観察した。
【0034】
(2)ENF試験
EFN試験(End Notched Flecxure 試験)を行い、モードII破壊靭性値(Interlaminar Fracture Toughess)を測定した。試験機は、島津製作所製万能試験機オートグラフィAG−Aを用いた。試験方法は、JISK7086を参考にした。試験の模式図を図3に示す。試験測度は1mm/minとした。以下に試験片作製手順と、モードII破壊靭性値の導出法を記す。
【0035】
(a)試験片作製
1)母材となるCFRPの積層時に、初期き裂導入のため、銅板(厚さ0.1mm)を積層中央面に挿入する。銅板の辺が繊維方向に対し直角をなすようにした。
2)試験板からダイヤモンドカッターを用いて試験片の長手方向が繊維配列方向に一致するように切り出した。このとき、切断中に水冷して過度の切削熱が生じないようにした。
3)試験片寸法を図4に示す。
【0036】
(b)モードII層間破壊靭性値の導出
き裂展開開始直後のモードII層間破壊靭性値は、下記の式で求められる。
【0037】
【数2】

【0038】
<試験結果>
(1)曲げ試験結果
三点曲げ試験の結果を図5、6に示す。曲げ弾性率については、炭化MFCを添加した実施例1(図5中、「MFC(1.0wt%)」と表示。)について、値にバラツキが多いものの、平均値に向上が見られた。また、最大曲げ応力については、実施例1(図6中、「MFC(1.0wt%)」と表示)は230MPaと、何も添加していない比較例1(図5、6中、「Normal」と表示。)の150MPaと較べて、約53%の向上が見られた。しかし、母材樹脂に黒鉛粉末を添加した参考例1(図5、6中、「Graphite(1.0wt%)」と表示。)では、曲げ弾性率及び最大曲げ応力とも、比較例1と大きな差は見られなかった。
【0039】
更に、三点曲げ試験時の破壊様相の観察では、比較例1(Normal)と参考例1(Graphite)については層間剥離による破壊が起こったのに対し、実施例1(MFC)については、繊維の引張破壊が起こった。このことから、母材樹脂に炭化MFC粉末を添加して製造したC/Cコンポジットは、炭素粉末を添加しない比較例1および炭素粉末として黒鉛を添加した参考例1に較べて層間剥離が起きにくい性質を有することが分かる。
【0040】
以上から、母材樹脂に炭化MFC粉末を添加してC/Cコンポジットを製造すると、曲げ強度が向上することが分かる。
【0041】
(2)EMF試験結果
ENF試験より求めたモードII層間破壊靭性値GIICを図7に示す。図7から明らかなように、母材樹脂に炭化MFCを添加して製造した実施例1のC/Cコンポジット(図7中、「MFC(1wt%)」と表示。)は、何も添加しない比較例1のC/Cコンポジット(図7中、「Normal」と表示。)に較べてGIICが47j/m2から61j/m2と30%向上している。このことから、曲げ試験において最大曲げ強度が向上した原因は、GIICの向上によるものであると推定される。
【0042】
母材樹脂に炭化MFCを添加して製造した実施例1のC/CコンポジットのGIICが向上した原因としては、母材樹脂に炭化MFCを添加することにより、三次元方向にクラックブリッジング機構が得られ、層間破壊靭性値が向上したことが考えられる。クラックブリッジング機構とは、主にアスペクト比(aspect ratio:繊維の長さと直径の比)の高い繊維で強化した複合材料に見られる機構で、マトリクス中をクラックが進展しても繊維は破壊せず、クラックをブリッジ(Bridge)する機構が得られるために、高靭性(toughening)が達成できる。図1から分かるように、炭化MFCは繊維の形態をしており、更に絡み合った繊維により立体的な構造を保っている。このことから、炭化MFCは三次元方向に強化繊維として作用すると考えられる。一方、黒鉛粉末は、それぞれの粒子が細かくアスペクト比は低い。また、黒鉛粉末は炭化MFCとは異なり立体構造も持たないため、ブリッジ効果が得られず、性能が向上しなかったと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明に係るC/Cコンポジットは、緻密化工程を行わないもしくは回数を減らしても、曲げ強度などの高い機械的強度が得られ、航空機や車両などのブレーキ材料、その他、従来公知の用途に、より安価なC/Cコンポジットとして提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素前駆体樹脂に炭化ミクロフィブリル化セルロース粉末を含有させてなることを特徴とする炭素繊維強化炭素複合材料。
【請求項2】
前記炭化ミクロフィブリル化セルロース粉末が、凍結乾燥したミクロフィブリル化セルロースを不活性雰囲気中で炭化したものである請求項1記載の炭素繊維強化炭素複合材料。
【請求項3】
前記炭素前駆体樹脂がフェノール樹脂である請求項1又は2に記載の炭素繊維強化炭素複合材料。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維強化炭素複合材料からなるブレーキ材料。
【請求項5】
炭素繊維に炭素前駆体樹脂を含浸した炭素繊維プリフォームを加熱加圧成形した後、不活性雰囲気中で焼成する樹脂含浸法による炭素繊維強化炭素複合材料の製造方法であって、前記炭素繊維前駆体樹脂に炭化ミクロフィブリル化セルロース粉末を含有させてなることを特徴とする炭素繊維強化炭素複合材料の製造方法。
【請求項6】
前記炭素繊維プリフォームを、フィラメントワイディング法により成形してなる請求項5に記載の炭素繊維強化炭素複合材料の製造方法。
【請求項7】
前記炭化ミクロフィブリル化セルロース粉末が、凍結乾燥したミクロフィブリル化セルロースを不活性雰囲気中で炭化したものである請求項5又は6に記載の炭素繊維強化炭素複合材料の製造方法。
【請求項8】
前記炭素前駆体樹脂がフェノール樹脂である請求項5〜7のいずれかに記載の炭素繊維強化炭素複合材料の製造方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図1】
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【公開番号】特開2011−46543(P2011−46543A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−194259(P2009−194259)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 第10回複合材料研究センター発表会 同志社大学、同志社大学複合材料研究センター 平成21年5月15日
【出願人】(305032254)サンスター技研株式会社 (97)
【出願人】(503027931)学校法人同志社 (346)
【Fターム(参考)】