説明

無線タグ

【課題】 無線タグの表面に、内部に格納されている内容を目視可能に印刷すると、秘密情報なども目視可能に開示されてしまう。
【解決手段】 内部にアンテナ14並びにこのアンテナ14に接続されデータを保持するICチップ13を格納した無線タグ11において、前記無線タグ11表面に不可視媒体で印刷されたバーコード表示15や文字表示16などからなる表示部17を備えた無線タグ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部にICチップ並びにアンテナを格納した無線タグに関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆる無線タグは内部にICチップ並びにこのICチップに接続されたアンテナを有する小型、軽量な素子である。このような無線タグは、ICチップ内に各種データが格納でき、ICチップに接続されたアンテナから受信した電波を電源としてICチップと無線タグの外部との間で通信することを可能とした素子である。
【0003】
無線タグは広範囲の分野において利用されている。代表的な利用形態としては、流通物品に無線タグを貼付し、この無線タグに対象物品に係わる各種データを格納しておくことによって、非接触で必要データを読み込むことが行われている。
【0004】
ただし、無線タグに格納されるデータは、ICチップ内の記憶領域に格納されることから、無線タグの表面を見ただけではどのようなデータが格納されているか分からない。このような状態では対象物品と無線タグが離れてしまうと、個別のICタグのみではどの物品用のものは判断できない。そこで、あらためてリーダライタ装置にて無線タグ内に格納されているデータを読み出したうえで、その内容を判断しなければならない。
【0005】
そこで、無線タグ内部に格納されているデータを、無線タグ表面に番号、文字あるいはバーコードなど目視可能なインクにて印刷など行うことが知られている(例えば特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2000−113077号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
無線タグの表面に内部に格納されているデータの内容を目視可能なインクなどで印刷表示することにより、無線タグが物品から離れてしまったり、無線タグが損傷してしまい、内部のデータが読取れなくなってしまっても、表面の目視可能な表示部によって対象物品が判読あるいは判断することが可能となる。しかしながら、無線タグを取り付ける対象によっては、無線タグ内部に格納されているデータが個人情報であったり、事業経営上秘密情報に属する情報などの場合がある。このような場合に無線タグ内部のデータを、無線タグ表面に目視可能に可視表示を行ってしまうと、秘密情報の開示になってしまう。
【0007】
本発明は上述した従来の課題を解決するためになされたもので、無線タグ内に格納されているデータを目視不可能な状態で表示することを可能とした無線タグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係わる無線タグは、内部にアンテナ並びにこのアンテナに接続されデータを保持するICチップを格納した無線タグにおいて、前記無線タグ表面に不可視インクによって印刷された表示部を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
無線タグ内に格納されているデータを目視不可能な状態で表示することを可能としたことによって、データの秘密は保持されるようになり、更に、無線タグが損傷し内部のデータが読み取れなくなった場合であっても、その無線タグに格納されていたデータが何のデータあるかを把握することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に本発明に係わる実施形態を図1を参照して説明する。図1には長方形の無線タグ11を示してあるが、この無線タグ11は収納部材12の内部にICチップ13とこのICチップ13に接続されているアンテナ14が格納されている。収納部材12としては、ICチップ13、アンテナ14を密封することが可能でかつ電波透過性の材料であればよい。例えば樹脂材料などで作成される。ICチップ13の内部には、無線タグ11を取り付ける対象に係わる各種データが格納されており、このデータの格納は図示しないリーダライタを利用して行う。
【0011】
さて、収納部材12の表面には、図1に示すようにバーコード表示15並びに文字表示16からなる表示部17が印刷されている。この表示部17に印刷されているバーコード表示15、文字表示16は、いずれも印刷した状態では目視不可能な印刷となっている。すなわち、太陽光、あるいは白色光、蛍光灯など日常利用する光源のもとでは不可視となる媒体を利用して印刷したものである。例えば、印刷箇所に紫外線を照射して初めて目視可能となるインクや、赤外線を照射して初めて目視可能となるインクが不可視媒体として利用できる。
【0012】
また、表示部17のバーコード表示15並びに文字表示16はいずれもICチップ13に格納されているデータの全てを不可視表示するのではなく、一部のデータのみを不可視表示するものである。この一部データとは、ICチップ13の格納データの対象となる例えば物品、すなわち無線タグ11が取り付けられる対象となる物品に係わる全ての情報の内、係わっている者であれば判読あるいは解読可能であるが、件外の者では判読不可能な情報を表示データとして切り出したデータである。
【0013】
データの切り出しは、全情報のうち一部データを抽出して取り出すことや、暗号化して取り出すことも含まれる。
【0014】
以上のように、無線タグ11の表面、すなわち収納部材12の表面に不可視表示媒体からなる表示部を形成したことによって、無線タグ11内部に格納されているデータを表面に表示してもそのままでは目視不可能であって秘密保持に有効である。更に、表面の不可視表示の内容を無線タグ11の内部に格納されているデータをそのまま表示するのではなく、一部を切り出して不可視表示したり暗号化して不可視表示することにより、一層の秘密保持に有効となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態を示すシステム構成図。
【符号の説明】
【0016】
11…無線タグ、12…収納部材、13…ICチップ、14…アンテナ、15…バーコード表示、16…文字表示、17…表示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にアンテナ並びにこのアンテナに接続されデータを保持するICチップを格納した無線タグにおいて、前記無線タグ表面に不可視インクによって印刷された表示部を具備したことを特徴とする無線タグ。
【請求項2】
前記表示部は、紫外線照射によって可視状態となるインクを使用して印刷された表示部であることを特徴とする請求項1記載の無線タグ。
【請求項3】
前記表示部は、赤外線照射によって可視状態となるインクを使用して印刷された表示部であることを特徴とする請求項1記載の無線タグ。
【請求項4】
前記表示部に表示される内容は、前記ICチップに保持されるデータの全ての内容ではなく、一部の内容であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の無線タグ。
【請求項5】
前記一部の内容は、前記保持されるデータの一部を切り出して構成したデータであることを特徴とする請求項4記載の無線タグ。
【請求項6】
前記一部の内容は、前記保持されるデータを暗号化して構成したデータであることを特徴とする請求項4記載の無線タグ。

【図1】
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【公開番号】特開2006−268697(P2006−268697A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−88900(P2005−88900)
【出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】