無線通信システム、親機及び子機
【課題】生産ライン等の固定側と移動側との間で双方向無線回線を確立した場合の信号送受信の信頼性と安定性を向上する。
【解決手段】親機10は固定側の生産ライン制御部に配置され、待機状態で下り電波を送信停止し上り電波は連続受信している。子機12は移動側のワークに配置され、待機状態で下り電波を間欠受信し上り電波の送信は停止している。親機10は待機状態で外部から通信開始信号を入力した場合に子機12との間に周波数の異なる下り無線回線と上り無線回線を確立する。また子機12には振動センサ15が設けられ、待機状態で振動が検知されると、下り電波の間欠受信を連続受信に切替えて親機10からの通信開始電文を受信可能とする。親機10は外部からの通信終了信号を入力した場合に子機12に通信終了電文を送信し、下り無線回線と上り無線回線の確立を解除する。
【解決手段】親機10は固定側の生産ライン制御部に配置され、待機状態で下り電波を送信停止し上り電波は連続受信している。子機12は移動側のワークに配置され、待機状態で下り電波を間欠受信し上り電波の送信は停止している。親機10は待機状態で外部から通信開始信号を入力した場合に子機12との間に周波数の異なる下り無線回線と上り無線回線を確立する。また子機12には振動センサ15が設けられ、待機状態で振動が検知されると、下り電波の間欠受信を連続受信に切替えて親機10からの通信開始電文を受信可能とする。親機10は外部からの通信終了信号を入力した場合に子機12に通信終了電文を送信し、下り無線回線と上り無線回線の確立を解除する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定側と移動側との間に双方向無線回線を確立して必要な情報や信号を送受信する無線通信システム、親機及び子機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種機器や装置の生産設備にあっては、複数の工程を作業順に分け、各工程毎に必要な機械装置を設置したステーションを順番に並べ、複数のステーションに対し搬送機構を使用してワークを順番に移動させながら加工、組立などの作業を行うライン生産方式がとられている。
【0003】
このようなライン生産方式にあっては、工程順に並べられた複数のステーションに、適宜の搬送機構を使用してワークを移動する場合、ステーション毎にワークの停止位置を予め定め、移動中のワークが所定の停止位置に到達したこと検知して搬送機構を停止し、ステーションにワークを送り込んで必要な工程作業をしている。
【0004】
ワークの停止位置の検知は、通常、固定設備となるステーション側に適宜のセンサを設置し、ワークの停止位置への移動をセンサにより検知して搬送機構を停止するような制御を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−182388号公報
【特許文献2】特開2004−221277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来の生産設備におけるワークの停止位置検知にあっては、ステーションなどの固定側にセンサを設置し、ワークの特定部位がセンサの検知エリアに入ることで停止位置への到達を検知していたため、ワークの形が変わると停止位置を検知するセンサの配置も変更して再調整しなければならず、生産設備の自由度が低いという問題がある。
【0007】
この問題を解決するためには移動側となるワークにセンサを搭載し、ステーションの停止位置に停止位置を示す部材を設置し、ワークの形が変わってもセンサの位置を予め決めておくことで、ステーション側の固定設備を変更することなく柔軟に対応することを可能とする。
【0008】
しかし、移動側のワークにセンサを設置した場合、センサからの信号を固定側の制御部に送るための信号線として搬送機構によるワークの移動範囲で伸縮するものが必要となり、また信号線は伸縮を繰り返すとストレスが加わるために断線の可能性もある。
【0009】
このため移動側のワークに設けたセンサからの検知信号を無線により固定側となる制御部に伝送するリモートセンシングが考えられる。即ち、固定側となる制御部に無線送受信機能を備えた親機を設置し、移動側となるワークに無線送受信機能を備えた子機を配置し、親機と子機の間で必要な信号を通信する。
【0010】
しかし、生産現場には様々なノイズ源が存在し、子機を配置したワークが移動することから電波環境が変化し、そのときの電波の通信状況によっては無線通信がうまくいかない可能性があり、信頼性の点で課題が残されている。
【0011】
このような問題はワークの停止位置検知に限らず、移動物体の種別や状態を監視して、移動物体の種別や状態に応じて生産ラインのルート変更、移動物体の取り外しやライン停止を行う場合に信号や情報を送受信する場合に同様の問題が考えられる。
【0012】
また、電池駆動している送信機から絶えず無線電波を送信すると電池寿命が短くなり、送信機のメンテナンスを行う頻度が多くなるという問題がある。
【0013】
本発明は、固定側と移動側との間で無線回線を確立した場合の信号送受信の信頼性と安定性を向上する無線通信システム、親機及び子機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(無線通信システム)
本発明は、固定側に配置され無線送受信部を備えた親機と、移動側に配置され電池電源で動作する無線送受信部を備えた子機とを設け、親機と子機との間に下り電波の送受信による下り無線回線と上り電波の送受信による上り無線回線からなる双方向無線回線を確立して移動側の状態を通信する無線通信システムに於いて、
下り電波と上り電波を異なる周波数に設定し、
親機は待機状態で上り電波を連続受信しており、
子機は待機状態で下り電波を間欠受信しており、
親機は待機状態で外部装置から通信開始信号を受けた場合に、下り電波の送信を開始して通信開始電文を下り電波に乗せて子機に送信し、
子機は親機からの通信開始電文を受信した場合に、間欠受信を連続受信に切替えると共に上り電波に移動側の状態を乗せて親機に送信することを特徴とする。
【0015】
本発明の無線通信システムは、更に、移動側の振動を検知して子機に振動検知信号を出力する振動センサを設け、
子機は、待機状態で振動センサからの振動検知信号の入力を検知した場合、間欠受信を連続受信に切替えて通信開始電文の受信を待つ。
【0016】
移動側の状態を検知して子機に状態検知信号を出力する状態センサを設け、子機は、双方向無線回線を確立した状態で、状態センサで検知した状態検知信号を親機に送信して処理させる。
【0017】
本発明の無線通信システムにあっては、更に、
親機は双方向無線回線の確立中に外部から通信終了信号を入力した場合、通信終了電文を下り電波に乗せて子機に送信し、
子機は親機からの通信終了電文を受信した場合、上り電波の送信を停止すると共に連続受信を間欠受信に切替えて待機状態に移行する。
【0018】
子機及び/又は親機は無線回線の確立を表示する表示部を備える。
【0019】
親機は下り電波の送信開始から所定時間を経過しても子機から上り電波を受信しない場合、外部に通信障害信号を出力する。
【0020】
親機は上り無線回線の確立中に所定時間のあいだ上り電波の受信が断たれた場合、待機状態に移行する。
【0021】
子機は、通信開始電文を受信してから所定時間を経過しても通信終了電文を受信しない場合、待機状態に移行する。
【0022】
(親機)
本発明は、固定側に配置され、移動側に配置された電池電源で動作する子機との間で下り電波の送受信による下り無線回線と上り電波の送受信による上り無線回線からなる双方向無線回線を確立して通信する親機に於いて、
下り電波と上り電波を異なる周波数に設定して子機との間で送受信を行う送受信部と、
待機状態で上り電波を連続受信しており、待機状態で外部装置から通信開始信号を受けた場合に、通信開始電文を下り電波に乗せて子機に送信し、子機からの上り電波を受信して上り無線回線を確立し、子機からの移動側の状態を通信する親機制御部と、
を設けたことを特徴とする。
【0023】
ここで親機制御部は、下り電波の送信開始から所定時間を経過しても子機から上り電波を受信しない場合、外部に通信障害信号を出力する。
【0024】
親機制御部は、上り無線回線の確立中に所定時間のあいだ上り電波の受信が断たれた場合、待機状態に移行する。
【0025】
(子機)
本発明は、移動側に配置され、外部装置からの信号を受信して通信を行う固定側に配置された親機との間で下り電波の送受信による下り無線回線と上り電波の送受信による上り無線回線からなる双方向無線回線を確立して、移動側の状態を通信する電池電源で動作する子機に於いて、
下り電波と上り電波を異なる周波数に設定して前記子機との間で送受信を行う送受信部と、
待機状態で下り電波を間欠受信しており、親機からの通信開始電文を受信した場合に、間欠受信を連続受信に切替えて下り無線回線を確立すると共に上り電波の送信を開始して上り無線回線を確立し、移動側の状態を親機に通信する子機制御部と、
を設けたことを特徴とする。
【0026】
本発明の子機は、更に、移動側の振動を検知して子機に振動検知信号を出力する振動センサを移動側に設け、
子機制御部は、待機状態で振動センサからの振動検知信号の入力を検知した場合に、間欠受信を連続受信に切替えて通信開始電文の受信を待つ。
【0027】
子機制御部は、双方向無線回線の確立中に親機からの通信終了電文を受信した場合、上り電波の送信を停止すると共に連続受信を間欠受信に切替えて待機状態に移行する。
【0028】
子機制御部は、通信開始電文を受信してから所定時間を経過しても通信終了電文を受信しない場合、待機状態に移行する。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、生産設備等の制御が開始されると、固定側に設けた親機と移動側に設けた子機との間に、下り無線回線と上り無線回線からなる双方向無線回線が確立され、親機からの指示信号や子機側の状態センサで検知した信号を略リアルタイムで送受信することができる。
【0030】
また親機と子機との間に確立される上り無線回線と下り無線回線の周波数を別々にすることで、上り電文と下り電文を重複して送信しても、混信を起すことなく確実に電文を送受信することができる。
【0031】
また親機と子機の間に確立されている上り無線回線と下り無線回線の状況を常に監視しており、電波受信が所定時間を越えて断たれた場合、通信障害を検知して待機状態に戻ることで、適切に対応できる。
【0032】
また子機は電池電源で動作しており、待機状態では間欠受信とすることで充分な電池寿命を確保することができる。
【0033】
また、子機は親機からの通信開始電文を受信して間欠受信から常時受信に切替えているが、振動センサによる移動側の動きに伴う振動を検知して間欠受信から連続受信に切替えることで、親機からの通信開始電文を受信する前に子機が連続受信に切替わり、親機からの通信開始電文を間欠受信に伴う待ち時間を必要とすることなく迅速に受信して双方向無線回線を確立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明による無線通信システムを設けた生産設備の例を示した説明図
【図2】本発明による親機と子機の機能構成の実施形態を示したブロック図
【図3】本実施形態による無線通信処理を示したタイムチャート
【図4】図3に続く無線通信処理を示したフローチャート
【図5】移動側の動きを振動センサで検知して子機を間欠送信から連続送信に切替える無線通信処理を示したタイムチャート
【図6】回線確立時に通信障害が発生した場合の処理を示したタイムチャート
【図7】回線確立時に他の通信障害が発生した場合の処理を示したタイムチャート
【図8】回線確立後に通信障害が発生した場合の処理を示したタイムチャート
【図9】図2の親機制御処理を例示したフローチャート
【図10】図2の子機制御処理を例示したフローチャート
【図11】本発明による無線通信システムを設けた生産設備の他の例を示した説明図
【図12】本発明による無線通信システムを設けた生産設備の他の例を示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は本発明による無線通信システムを適用した生産設備の一例を示した説明図である。図1において、生産設備は制御部16、駆動部18、搬送機構20及び工程順に従って搬送機構20に対し順番に配置されたステーション22a〜22cで構成されている。
【0036】
制御部16は駆動部18を制御し、駆動部18は搬送機構20の作動により被駆動部となるワーク24をステーション22a側からステーション22b,ステーション22cの順に搬送し、各ステーションで必要な作業を行わせる。
【0037】
制御部16は駆動部18に対し制御開始信号を出力し、搬送機構20によりワーク24をステーション22aの停止位置マーカ26aで定まる所定位置に移動した後、駆動部18に制御終了信号を出力して停止させる。
【0038】
停止位置マーカ26aで定まる位置に停止したワーク24は、ステーション22aにおいて必要な組立作業などが行われる。組立作業が終了すると、制御部16はワーク24を次のステーション22bに設けた停止位置マーカ26bで定まる位置に、駆動部18に対する制御に基づく搬送機構20の作動で移動し、ステーション22bにおいて必要な組立作業などを行う。最終的にワーク24は、ステーション22cの停止位置マーカ26cで定まる位置に移動され、ステーション22cによる組立作業を行って一連の作業工程を終了する。
【0039】
このような生産設備に対し、本発明による無線通信システムとして、固定側となる制御部16側に親機10が設置されて信号線接続され、一方、移動側となるワーク24側に子機12が設置されている。またワーク24には、停止位置マーカ26a〜26cへの到達を検知する状態センサとして機能する停止位置センサ14と、移動側となるワーク24の振動を検知して振動検知信号を出力する振動センサ15が設けられ、子機12に入力接続している。
【0040】
停止位置センサ14としては機械的なセンサスイッチ、光学的な光検出スイッチなど適宜のセンサを用いることができる。振動センサ15としては例えば万歩計(R)などに使用している鋼球の機械的な動きを検知するセンサや加速度を検知するセンサ等を用いる。
【0041】
親機10は無線送受信部を備え、また子機12も同様に無線送受信部を備えている。制御部16は制御を開始する場合、駆動部18に制御信号を出力し、搬送機構20を作動してワーク24の移動を開始させる。この制御開始に伴い制御部16は親機10に通信開始信号を出力する。
【0042】
親機10は、制御部16からの通信開始信号の入力を検知した場合、子機12との間に周波数の異なる下り無線回線と上り無線回線からなる双方向無線回線を確立し、制御中、確立した双方向無線回線を維持する。
【0043】
振動センサ15は、制御部16による制御開始で駆動部18が搬送機構20を作動してワーク24の移動を開始させた場合に発生する振動を検知して子機12に出力し、親機10からの通信開始電文の受信に先立ち、子機12の待機状態における間欠受信を連続受信に切替え、その後に親機10から送られている通信開始電文を迅速に受信可能とする。
【0044】
双方向無線回線の確立中に停止位置センサ14で例えば停止位置マーカ26aを検出すると、子機12から上り無線回線を介して親機10に停止位置検知電文を送信する。停止位置検知電文を受信した親機10は、制御部16に対し停止位置検出信号を出力し、これにより制御部16は駆動部18に制御終了信号を出力し、搬送機構20を停止して、ワーク24を検知した停止位置マーカ26aに対応した位置に停止させる。勿論、双方向無線回線の確立後にあっては、親機10と子機12の間で必要に応じて適宜の信号送受信ができる。
【0045】
ワーク24を移動する制御が終了すると、制御部16は親機10に対し通信終了信号を出力し、これによって制御中に確立されていた双方向無線回線が解除されて待機状態に戻るようになる。
【0046】
図2は図1に示した親機と子機の機能構成の実施形態を示したブロック図である。図2において、親機10はマイクロプロセッサなどを用いた親機制御部28、送信部30、受信部32、アンテナ34、メモリ35、操作部36、表示部38、入出力部40及び外部からの商用電源が常時供給された電源部42で構成されている。
【0047】
一方、子機12はマイクロプロセッサなどを用いた子機制御部44、受信部46、送信部48、アンテナ50、メモリ51、操作部52、表示部54及び電池電源部56で構成され、子機制御部44に対しては停止位置センサ14と振動センサ15が入力接続されている。
【0048】
親機10に設けた送信部30と受信部32、及び子機12に設けた受信部46と送信部48は、日本国内の場合には例えば特定小電力無線局に準拠した構成を備える。
【0049】
本実施形態にあっては、親機10の送信部30は下り周波数f1=315MHzの下り電波を送信し、子機の受信部46は親機10から送信した下り周波数f1=315MHzの下り電波を受信する。これが下り無線回線となる。
【0050】
一方、子機12の送信部48は上り周波数f2=429MHzの電波を送信し、親機10の受信部32は子機12が送信した上り周波数f2=429MHzの電波を受信し、これが上り無線回線となる。
【0051】
このように親機10から子機12に対する下り無線回線の周波数を315MHzとし、子機12から親機10に対する上り無線回線の周波数を429MHzと異なった周波数とすることで、親機10と子機12との間で同時に送受信を行っても混信が起きないようにしている。
【0052】
親機10は、待機状態で送信部30の送信を停止しており、受信部32は連続受信となっている。これに対し子機12は、待機状態で送信部48の送信を停止しており、受信部46は電池電源56による電池消耗を抑制するため間欠受信を行っている。
【0053】
親機制御部28に対しては、入出力部40を介して、図1に示した制御部16との間で信号を入出力できるようにしている。親機10は入出力部40を介して制御部16から通信開始信号を入力すると、まず子機12との間に下り無線回線と上り無線回線からなる双方向無線回線を確立するための動作を開始する。
【0054】
即ち親機制御部28は、通信開始信号の入力を検知すると、送信部30を動作して315MHzの下り電波の送信を開始し、続いて制御部16から入力した通信開始信号に基づく通信開始電文を生成して、315MHzの下り電波に乗せて子機12に送信する。
【0055】
親機10からの通信開始電文は子機12の受信部46の間欠受信動作により受信され、子機制御部44は受信した通信開始電文に基づき受信部46を間欠受信から連続受信に切り替える。これによって親機10の送信部30と子機12の受信部46との間に315MHzの下り電波を送受信する下り無線回線が確立される。
【0056】
続いて子機制御部44は送信部48を動作し、429MHzの上り電波を親機10に送信する。親機10の受信部32は連続受信状態にあり、子機12からの429MHzの上り電波を受信すると、親機制御部28が子機12からの上り無線回線の確立を検知することになる。
【0057】
子機制御部44は受信部46を連続受信に切り替え、且つ送信部48により429MHzの上り電波を送信した場合、表示部54に設けた送信LEDをオンし、親機10との間における双方向無線回線の確立による通信可能状態を表示する。
【0058】
また子機制御部44は、待機状態で429MHzの上り電波の送信は停止し、315MHzの下り電波の受信は間欠受信としているが、待機状態で図1に示したワーク24の移動開始に伴う振動が振動センサ15により検知された場合、待機状態における間欠受信を連続受信に切り替える。
【0059】
この振動センサ15の振動検知に基づく子機12の間欠受信から連続受信への切替えにより、制御開始に伴い親機10が送信してくる通信開始電文をいつでも受信できる状態となり、間欠受信によって親機10からの通信開始電文を受信する場合に比べ、予め連続受信に切り替えておくことで受信動作が迅速に行われ、親機10と子機12との間の双方向無線回線の確立に要する時間を短縮することができる。
【0060】
また親機制御部28は受信部32から子機12が送信した429MHzの上り電波受信を検知した場合、表示部38に設けた受信LEDをオンし、子機12との間における双方向無線回線の確立による通信可能状態を表示する。
【0061】
親機制御部28は、子機12との間の双方向無線回線の確立後にあっては、子機12からの429MHzの上り電波の受信を継続しており、所定時間429MHzの上り電波受信が断たれた場合は通信障害を検知し、入出力部40を介して制御部16に通信障害信号を出力して待機常態に移行し、これを受けて制御部16は制御停止などの必要な通信障害対応制御を行うことになる。
【0062】
親機10と子機12の間の双方向無線回線の確立後、子機制御部44は停止位置センサ14からの検知信号を読み込んでおり、例えば停止位置センサ14から図1に示した停止位置マーカ26aの検知信号が得られると、停止位置検知電文を作成し、送信部48から429MHzの上り電波に乗せて停止位置検知電文を親機10に送信する。
【0063】
子機12からの停止位置検知電文を受信した親機制御部28は、入出力部40を介して制御部16に停止位置検知信号を出力し、これを受けて制御部16は搬送停止などの制御動作を行う。
【0064】
所定の制御動作が終了すると、制御部16から通信終了信号が親機10に出力され、これを受けて親機制御部28は通信終了電文を生成し、送信部30から315MHzの下り電波に乗せて子機12に送信する。親機10からの通信終了電文を受信した子機12の子機制御部44は、受信部46を連続受信から間欠受信に切り替えると共に、送信部48による429MHzの上り電波送信を停止し、待機状態に移行する。
【0065】
親機10の親機制御部28は、子機12からの429MHzの上り電波受信が待機状態への移行により断たれると、通信終了を検知し、送信部30による315MHzの下り電波送信を停止し、待機状態に移行する。
【0066】
親機10に設けた操作部36及び子機12に設けた操作部52は、315MHzの下り無線回線及び429MHzの上り無線回線で使用するチャネル周波数選択を初期設定として行う。
【0067】
また親機10及び子機12のそれぞれには予めアドレスが割り当てられており、例えば操作部36に設けているディップスイッチなどにより、それぞれのアドレスを設定することができる。親機10及び子機12のアドレス設定は操作部36のディップスイッチによらず、メモリ35,51のそれぞれにシリアル番号などをアドレスとして予め記憶しても良い。
【0068】
親機10と子機12の間で送受信される電文には、送信元アドレス、送信先アドレス、データまたはコマンド、チェックコードを含んでいる。このためメモリ35、51は送信先となる親機10又は子機12の送信先アドレスを記憶してあり、送信電文に含ませている。また親機制御部28及び子機制御部44は、受信電文に含まれる送信先アドレスを自己アドレスと比較して一致した場合に、有効な電文受信を検知して、電文データもしくはコマンドに基づく処理を行うことになる。
【0069】
また親機10の送信部30及び子機12の送信部48による電文の送信動作は、所定時間に亘り同じ電文データを複数回繰り返して送信する送信動作を行い、必要に応じて送信先からのACK電文(確認応答電文)を受信し、万一、ACK電文を受信しない場合には再送動作を予め定めたリトライ回数分、繰り返すことになる。
【0070】
更に親機10にあっては、所定周期ごとに子機12に対し定期通報電文を送信している。親機10からの定期通報電文を受信した子機12は、そのときの子機の状態を応答する。即ち子機12は電池電源56の電圧低下によるローバッテリ障害や各部の障害監視をバックグラウンドで実行しており、障害を検知すると障害結果をメモリ51に保持しており、親機10から定期通報電文を受信した際に、障害を検知していれば、応答電文に障害情報を入れて送信する。
【0071】
これを受けて親機10は障害を電文から検知した場合、定期異常通報を認識して入出力部40から制御部16に定期通報異常信号を出力して、必要な対応措置を行わせることになる。特に子機12は電池電源56で動作しており、電池電圧の低下に伴うローバッテリ障害が定期通報異常として検知された場合には、オペレータに対し子機12の電池交換を促すアラーム出力などを行うことになる。
【0072】
図3及び図4は本発明の無線通信システムにおける無線通信処理を示したタイムチャートであり、振動センサ15による振動検知を行わない場合の基本的な処理を示している。
【0073】
図3において、親機10はステップS101で待機状態にあり、315MHzの下り電波の送信を停止すると共に429MHzの上り電波を連続受信している。また子機12はステップS201で待機状態にあり、429MHzの上り電波の送信は停止し、315MHzの下り電波の受信は間欠受信としている。
【0074】
このような親機10及び子機12の待機状態で制御部16がステップS1で制御を開始したとすると、ステップS2で通信開始信号を親機10に対し出力する。親機10は制御部16からの通信開始信号を検知すると、ステップS102で315MHzの下り電波の送信を開始し、続いて通信開始電文を送信し、更にステップS103で回線確立タイマをスタートする。回線確立タイマには双方向無線回線の確立に必要な所定時間がタイムアウト時間として設定されている。この通信開始電文は、制御を開始するという意味や、子機12側の状態を上り電波で返信せよという要求電文も意味する。
【0075】
子機12はステップS202で親機10からの通信開始電文を受信すると、ステップS203で間欠受信を連続受信に切り替え、続いてステップS204で429MHzの上り電波を送信し、ステップS205で送信LEDをオンして回線確立表示を行う。続いてステップS206で送信タイマをスタートする。送信タイマの設定時間は、制御部16による制御開始から制御終了までの時間に所定の余裕時間を加えたタイムアウト時間が設定されている。
【0076】
親機10はステップS104で子機12からの429MHzの上り電波を受信すると、ステップS105で受信LEDをオンし、子機12との間の回線確立表示を行う。
【0077】
このように親機10と子機12の間で下り無線回線と上り無線回線からなる双方向無線回線が確立された状態で例えばワーク24を移動するような制御が行われており、ワーク24が停止位置マーカ26aで決まる所定の停止位置に達すると、停止位置センサ14がステップS301で停止位置を検知して検知信号を子機12に出力し、これを受けて子機12はステップS207で停止位置検知電文を親機10に送信する。
【0078】
親機10はステップS106で子機12からの停止位置検知電文を受信すると、停止位置検知信号を制御部16に出力し、制御部16はステップS3で停止位置検知信号に基づく処理を行い、ワーク24の搬送を停止する。
【0079】
続いて図4に進み、制御部16はステップS4で駆動部18の制御停止を行った後、ステップS5で親機10に対し通信終了信号を出力する。これを受けて親機10はステップS107で通信終了電文を子機12に送信する。子機12はステップS208で通信終了電文を受信すると、ステップS209で429MHzの上り電波の送信を停止し、ステップS210で連続受信を間欠受信に切り替えて待機状態に移行する。
【0080】
親機10はステップS108で子機12からの上り電波の受信停止を検知すると、ステップS109で待機状態に移行する。
【0081】
図5は本発明の無線通信システムにおいて振動センサ15による振動検知を行った場合の無線通信処理を示したタイムチャートである。なお、以下のタイムチャートにおける図3及び図4の基本的な処理と異なるステップのブロックには斜線を施している。
【0082】
図5において、親機10はステップS101で待機状態にあり、315MHzの下り電波の送信を停止すると共に429MHzの上り電波を連続受信している。また子機12はステップS201で待機状態にあり、429MHzの上り電波の送信は停止し、315MHzの下り電波の受信は間欠受信としている。
【0083】
このような待機状態で制御部16がステップS1で制御を開始すると、子機12及び振動センサ15を設けている例えば図1に示したワーク24が駆動部18による搬送機構20の作動で移動を開始する。ワーク24が移動を開始すると振動が発生し、ワーク24の振動が振動センサ15によりステップS300で検知された場合、子機12はステップS200でワーク24の移動開始による制御開始を認識して、待機状態における間欠受信を連続受信に切り替える。
【0084】
この子機12における連続受信への切替えにより、制御開始に伴い親機10がステップS102で送信してくる通信開始電文をいつでも受信できる状態となり、図4に示した間欠受信で親機10からの通信開始電文を受信する場合に比べ、予め連続受信に切り替えておくことで受信動作が迅速に行われ、親機10と子機12との間の双方向無線回線の確立に要する時間を短縮することができる。
【0085】
なお図5における親機10のステップS102以降、及び子機12におけるステップS202以降の処理は、図3と基本的に同じであることから説明は省略する。
【0086】
図6は親機と子機の間の回線確立時に通信障害が発生した場合の処理を示したタイムチャートである。図6において、制御部16がステップS1で制御を開始し、ステップS2で制御開始信号を親機10に出力し、これを受けて親機10がステップS101の待機状態からステップS102に移行し、315MHzの下り電波に乗せて通信開始電文を送信する。
【0087】
しかしながら、子機12との間に通信障害58が発生し、子機12側で親機10から送信した315MHzの下り電波に乗せた通信開始電文が受信できなかったとする。この場合に子機12はステップS201の待機状態を継続しており、429MHzの上り電波の送信は行われない。
【0088】
親機10はステップS102で通信開始電文を送信した後、ステップS103で回線確立タイマをスタートする。この場合、通信障害58により子機12から429MHzの上り電波受信が得られないことから、ステップS110で回線確立タイマがタイムアウトとなり、これによって通信障害が検知される。
【0089】
このため親機10は、ステップS111で通信障害信号を制御部16に出力し、ステップS112で待機状態に移行する。親機10からの通信障害信号を受けた制御部16は、ステップS6でワーク24の移動を緊急停止させるなどの通信障害処理を行うことになる。また通信障害によりワーク移動を停止した後については、所定の待機時間を経過した後に制御を再開して制御開始信号を出力し、親機10と子機12の間の双方向無線回線の確立を経て正常処理を行わせるようになる。
【0090】
図7は回線確立時に他の通信障害が発生した場合の処理を示したタイムチャートである。図7にあっては、制御部16からの制御開始信号に基づく親機10のステップS102における通信開始電文の送信に対し、子機12のステップS202で正常に通信開始電文を受信しており、下り無線回線の確立は成功している。
【0091】
しかしながら、ステップS204で上り電波を送信した場合に通信障害60が発生し、親機10側で上り電波の受信ができなかったとする。この場合、親機10はステップS103で回線確立タイマをスタートしており、子機12からの上り電波が受信されないため、ステップS110で回線確立タイマがタイムアウトとなり、ステップS111で通信障害信号を制御部16に出力し、ステップS112で待機状態に移行する。
【0092】
このように下り無線回線の確立には成功したが上り無線回線の確立に失敗した場合についても、同様に通信障害が検出されて、制御部16で通信障害に対する対応処理が行われることになる。
【0093】
図8は、無線回線の確立に成功したが、無線回線確立後に通信障害が発生した場合の処理を示したタイムチャートである。図8において、親機10のステップS101〜ステップS105及び子機12のステップS201〜S206の処理は、図3に示したと同じであり、両者の間に315MHzの下り無線回線と429MHzの上り無線回線からなる双方向無線回線が確立されており、停止位置センサ14によるワークの停止位置検知を待っている。
【0094】
この状態で停止位置センサ14がステップS301で停止位置検知を行ったとすると、子機12はステップS207で停止位置検知電文を送信するが、この電文送信につき通信障害62が発生したとする。
【0095】
この通信障害62の発生により、親機10は子機12からの429MHzの上り電波受信が断たれることで所定の電波遮断許容時間をタイムアウト時間に設定した受信タイマをスタートし、スタートした受信タイマがステップS113でタイムアウトすると、ステップS114に進み、通信障害信号を制御部16に出力し、ステップS115で315MHzの下り電波の送信を停止する待機状態に移行する。
【0096】
親機10からの通信障害検知信号を受けた制御部16は、ステップS6で必要な通信障害処理を実行する。一方、子機12にあっては、ステップS206でスタートした送信タイマが所定時間を経過しても親機10から通信終了電文が受信できないことで、ステップS213においてタイムアウトとなり、ステップS214に進んで429MHzの上り電波の送信を停止すると共に315MHzの下り電波の連続受信を間欠受信に戻すことで待機状態に移行する。
【0097】
図9は図2の親機10の制御処理を例示したフローチャートである。図9において、親機処理は、電源投入に伴いステップS1001で初期化及び自己診断、更には各種の設定処理を行い、自己診断により異常がなければステップS1002の待機状態に移行し、315MHzの下り電波送信は停止し、429MHzの上り電波の受信は連続受信としている。
【0098】
続いてステップS1003で制御部16からの通信開始信号の入力を検知すると、ステップS1004に進み、315MHzの下り電波の送信を開始し、同時に通信開始電文を下り電波に乗せて送信する。
【0099】
続いてステップS1005で子機12からの429MHzの上り電波受信の有無を検知しており、上り電波受信を検知しない場合には、ステップS1006で下り電波送信開始と同時にスタートした回線確立タイマのタイムアウトの有無を検知している。ステップS1005で上り電波受信が検知されると、ステップS1007に進み、受信LEDをオンして回線確立を表示する。
【0100】
続いてステップS1008で子機12からの停止位置検知電文の受信の有無を検知しており、電文を検知しない場合には、ステップS1009で上り電波の遮断の有無を検知しており、上り電波の遮断を検知した場合は、ステップS1010で受信タイミングのタイムアウトの有無を検知しており、万一、受信タイマがタイムアウトすると、ステップS1015に進み、通信障害信号を制御部16に出力してステップS1002の待機状態に戻る。
【0101】
ステップS1008で正常に停止位置検知電文の受信が検知されると、ステップS1011で停止位置検知信号を制御部16に出力する。続いてステップS1012で制御部16からの通信終了信号の入力の有無を検知しており、通信終了信号の入力を検知するとステップS1013に進み、通信終了電文を子機12に送信する。続いてステップS1014で子機12からの上り電波の受信停止の有無を検知しており、受信停止を検知すると、ステップS1002の待機状態に戻る。
【0102】
図10は図2の子機12の制御処理を例示したフローチャートである。図10において、子機12の電池電源を投入すると、ステップS2001で初期化及び自己診断、更には各種の設定を行い、自己診断の結果、エラーがなければステップS2002の待機状態に進み、待機状態にあっては429MHzの上り電波の送信は停止とし、315MHzの下り電波の受信は間欠受信としている。
【0103】
続いてステップS2003で親機10からの通信開始電文の受信の有無を検知しており、電文受信を検知するとステップS2004に進み、315MHzの下り電波の間欠受信を連続受信に切り替え、続いてステップS2005で429MHzの上り電波を送信した後、ステップS2006で送信LEDをオンして無線回線の確立を表示する。なおステップS2004で上り電波の送信を開始した際に送信タイマをスタートしている。
【0104】
一方、ステップS2003で通信開始電文受信を検知しない場合はステップS2007で振動センサ15による振動検知の有無を判別している。ステップS2007でワーク移動に伴う振動検知が判別されるとステップS2008に進み、315MHzの下り電波の間欠受信を連続受信に切り替え、続いてステップS2009で親機10からの通信開始電文の受信を検知するとステップS2005に進み、429MHzの上り電波を送信した後、ステップS2006で送信LEDをオンして無線回線の確立を表示する。
【0105】
ステップS2010にあっては移動側となるワーク24の停止位置センサ14による停止位置検知の有無を検知しており、停止位置が検知されずにステップS2011で送信タイマがタイムアウトした場合には、ステップS2002の待機状態に戻って送信を停止すると同時に間欠受信に戻す。
【0106】
ステップS2011で送信タイマがタイムアウトする前に停止位置センサ14による停止位置検知が検知されると、ステップS2012に進み、停止位置検知電文を親機10に送信する。続いてステップS2013で親機10からの通信終了電文の受信の有無を検知しており、通信終了電文受信を検知すると、ステップS2014に進んで上り電波の送信を停止し、ステップS2002の待機状態に戻る。
【0107】
図11は本発明による無線通信システムを適用した生産設備の他の例を示した説明図である。図11において、生産設備は監視制御装置100、生産ライン102及び保管部104で構成されている。生産ライン102は所定の生産物106を移動しながらラインに沿って配置された機器及び作業員による作業を通じて完成品となり、保管部104に送り込まれて保管される。
【0108】
このような生産設備にあっては、生産ライン102での作業中及び作業完了して保管部104に送り込まれた時に、生産物106における特定のパラメータ、例えば内部温度上昇などを監視し、異常な内部温度上昇が見られた場合に、不良品としての対応を必要とする場合がある。
【0109】
そこで本発明の無線通信システムにあっては、生産ライン102の監視制御装置100側に親機10を配置し、生産物106に子機12を配置すると共に生産物106の状態を検知する状態センサとして例えば生産物106の内部温度を測定する温度センサ108及び生産物の移動を検出する図2と同様の振動センサ15を設けて子機12に入力接続している。
【0110】
親機10及び子機12の詳細は図2の実施形態と基本的に同じであるが、子機12に状態センサとして生産物の内部温度を検知する温度センサ108を入力接続している点で相違し、これに伴い子機制御部44は親機12との間に双方向無線回線が確立された場合、温度センサ108の温度検知信号に基づく温度検知電文を親機10に送信することになる。また、振動センサ15による生産物106がライン上を移動した場合の子機12の間欠受信から連続受信への切替え制御は図5と同様になる。
【0111】
図11の無線通信システムにおける親機と子機の間の無線通信処理は図3及び図4に示したタイムチャートと基本的に同じになる。即ち、監視制御装置100は、所定周期毎に通信開始信号を親機10に出力し、親機10と子機12の間に双方向無線回線が確立される。
【0112】
このように双方向無線回線が確立されると、子機12は温度センサ108の温度検知信号に基づき温度検知電文を生成して親機10に送信し、親機10から監視制御装置100に温度検知信号を出力する。監視制御装置100は親機10から出力された温度検知信号による検知温度を監視しており、所定の閾値温度を越える温度上昇を判別すると異常警報を出力して内部温度が上昇した生産物の存在を報知し、生産ライン102や保管部104から不良品として除去するといった対応措置を行わせる。
【0113】
生産物106が生産ライン102上で移動しているときは、振動センサ15の移動の検知により、信号の回線を確立して、図1の例の停止位置検知や温度情報などの生産物106の生産ライン上の状態情報を子機12から親機10へ送信することで、生産物106の状態監視を行うことができる。送信した情報に応じて例えば生産ラインの停止や異常警報を行う。
【0114】
なお、子機12側に温度センサ108の閾値温度を備え、検知温度が所定の閾値温度を越えた場合に子機12が間欠受信から連続受信への切替え及び親機10への上り電波の送信を開始するようにしてもよい。
【0115】
このような生産中及び生産完了後に生産物の状態を監視する具体的例としては、例えばリチウム電池の生産ラインがある。リチウム電池の生産ラインでは、電池本体に電解液を投入後、電池本体の温度上昇や電圧の状態を確認する必要があり、各パラメータに異常がある場合は別工程で対応する必要があることから、このようなリチウム電池のパラメータ監視に図11に示したように本発明による無線通信システムが適用できる。
【0116】
そこで電池本体に電解液を投入した後に、状態センサとして温度センサや電圧センサを設けて子機12に入力接続し、親機10との間に双方向無線回線を確立して温度検知電文や電圧検知電文を親機10に送信して監視制御装置200に出力し、正常であれば完成品とし、異常な場合は電解液の交換や電極の入れ替え等といった修復作業を行い、修復できない場合は不良品として取り除く。
【0117】
また生産ラインにおける生産物の状態を監視する他の例としては、電気部品を実装した機器等の生産物をエポキシ樹脂で封印する生産ラインがある。生産物にエポキシ樹脂を充填した場合、エポキシ樹脂の硬化が順調に行なわれていることを監視する必要がある。このようなエポキシ樹脂の硬化の判断は、反応温度や硬度の測定値をパラメータとして扱う。
【0118】
そこでエポキシ樹脂で封印した生産物に、状態センサとして温度センサや硬度センサを設けて子機12に入力接続し、親機10との間に双方向無線回線を確立して温度検知電文や硬度検知電文を親機10に送信し、さらに監視制御装置10に出力してエポキシ樹脂の硬化が順調に行なわれているか否か監視し、異常を判断した場合はライン停止や修復作業を行い、修復できない場合は不良品として取り除く。
【0119】
図12は本発明による無線通信システムを適用した生産設備の他の例を平面的に示した説明図である。図12において、生産設備は監視制御装置200、生産ライン202、分岐部204、分岐生産ライン206,208で構成されている。生産ライン202は所定の生産物210を移動しながらラインに沿って配置された機器及び作業員による作業を通じて組み上げられて例えば半完成品となり、分岐部204に送り込まれ、生産物210の状態に応じて分岐ライン206,208のいずれかに分岐され、分岐ライン206,208に沿って配置された機器及び作業員による作業を通じて完成品となる。
【0120】
監視制御装置200は、生産ライン202による半完成品としての生産物210の状態、例えば内部温度を監視し、内部温度が正常であれば分岐部204を制御して分岐生産ライン206に生産物210を分岐して完成品に至る工程を行い、一方、内部温度に異常であれば、分岐生産ライン208に分岐し、内部温度の異常を解消する工程を経て完成品とし、もし内部温度の異常が解消されなければ不良品として取り除く。
このような生産設備にあっては、生産ライン202において生産物210における特定のパラメータ、例えば内部温度などを監視する必要がある。
【0121】
そこで本発明の無線通信システムにあっては、分岐部204の分岐制御を行う監視制御装置200側に親機10を配置し、生産ライン202を移動する生産物210に子機12を配置すると共に生産物210の状態を検知する状態センサとして例えば生産物210の内部温度を測定する温度センサ212を設けて子機12に入力接続している。
【0122】
親機10及び子機12の詳細は図2の実施形態と基本的に同じであるが、子機12に状態センサとして生産物210の内部温度を検知する温度センサ212を入力接続している点で相違し、これに伴い子機制御部44は親機12との間に双方向無線回線が確立された場合、温度センサ212の温度検知信号に基づく温度検知電文を親機10に送信する。
【0123】
図12の無線通信システムにおける親機と子機の間の無線通信処理も図3及び図4に示したタイムチャートと基本的に同じになる。即ち、監視制御装置200は生産物210が生産ライン202を進んで半完成品となり、分岐部204の手前の所定位置に移動してきたことを認識すると、通信開始信号を親機10に出力し、親機10と子機12の間に双方向無線回線が確立される。
【0124】
このように双方向無線回線が確立されると、子機12は温度センサ212の温度検知信号に基づき温度検知電文を生成して親機10に送信し、親機10から監視制御装置200に温度検知信号を出力する。監視制御装置200は親機10から出力された温度検知信号による検知温度を監視しており、例えば所定の閾値温度以下であれば正常と判断して生産物210を分岐生産ライン206に分岐し、一方、所定の閾値温度を越える温度上昇を判別した場合は温度異常と判断し、生産物210を分岐生産ライン208に分岐する。
【0125】
生産中に監視する他の項目としては生産物210の重量でもよく、重量がその生産工程段階における規定重量範囲にあれば分岐生産ライン206に分岐して完成品に至る工程を行い、一方、重量がその工程段階での規定重量範囲から外れていれば、組み立て異常として、分岐生産ライン208に分岐して不良品として取り除く。
【0126】
このような生産の途中段階で生産物の状態を監視し、生産物の状態に応じてその後の生産工程を変更する生産設備の具体的な例としては、前述したリチウム電池の生産ラインがある。リチウム電池の生産ラインでは、電池本体に電解液を投入後、電池本体の温度上昇や電圧の状態を確認する必要があり、各パラメータに異常がある場合は別工程で対応する必要がある。
【0127】
そこで、生産ライン202で電池本体に電解液を投入した後に、子機12に入力接続した温度センサや電圧センサにより温度や電圧を検知し、親機10に送って監視制御装置200で温度上昇や電圧の状態を監視し、正常であれば分岐生産ライン206に分岐して完成品とし、異常な場合は電界液の交換や電極の入れ替え等といった修復工程をもつ分岐生産ライン208に分岐する。
【0128】
また図12の生産ラインにおける生産物の状態を監視して分岐する他の例としては、前述した電気部品を実装した機器等の生産物をエポキシ樹脂で封印する生産ラインにも適用できる。
【0129】
即ち、生産ライン202において生産物にエポキシ樹脂を充填した場合、キポキシ樹脂の硬化が順調に行なわれていることを監視するため、生産物に温度センサや硬度センサを設けて子機12に入力接続し、分岐部204の手前の所定位置に移動したことを監視制御装置200で認識して親機10と子機12との間に無線通信回線を確立して温度検知電文や硬度検知電文を親機10に送信し、温度検知信号や硬度検知信号を監視制御装置10に出力し、エポキシ樹脂の硬化が順調に行なわれているか否か監視し、正常であれば分岐生産ライン206に分岐して完成品とし、異常であれば分岐生産ライン208に分岐してエポキシ樹脂の再充填等を行って修復し、修復不可の場合は不良品として排除する。
【0130】
また図12に示した生産物の状態を検知して生産ラインを分岐する生産設備としては、同一生産ラインで機種の異なる製品を混在させて生産する生産設備や小規模多品種のフレキシブル生産設備があり、このような生産設備で特定の機種に固有な工程について分岐生産ラインを設けて分岐したりバイパスさせるような場合、制御装置側に親機10を配置し、生産品に機種情報等の状態センサ付きの子機12を設けることで、必要なタイミングで親機10と子機12の間に双方向無線回線を確立して生産物の機種や温度など状態検知電文を送信して生産物の分岐制御等を行う。この通信の確立タイミングは子機12に設けた図2と同様の振動センサ15を設けて、移動を検知した際に機種情報やそのほかの監視情報を親機側に通信して生産ラインの分岐を行うことができる。
【0131】
なお上記の実施形態は、図1に示したように移動側として、駆動部18により搬送機構20を介して移動される生産物としてのワーク24を例に取っているが、ワーク24ではなく、ワーク24を搭載した台車やライン上を動く移動型搬送車などであってもよい。
【0132】
また本発明の無線通信システムの適用は図1の生産設備に限定されず、固定側と移動側の配置又は装置をもつ適宜の対象物に適用することができる。
【0133】
また親機と子機の間で双方向無線回線を確立した状態で送受信される信号は、子機側からのセンサによる検知信号以外に、必要に応じて適宜の信号を送受信することができる。
【0134】
また上記の実施形態にあっては、親機と子機を1台ずつ設けた場合を例にとっているが、複数の生産物の状態を監視する場合には、親機から送信する下り電波と子機から送信する上り電波について複数の周波数チャンネルを準備し、親機と子機のペア毎に割当てる周波数分割多重方式とすれば良い。この場合、親機側については親機制御部を共通とし、送信回路と受信回路を複数の周波数チャンネル分設けるような構成とし、1台の親機に対し複数台の子機を対応させることができる。
【0135】
また本実施形態の無線通信システムにあっては、親機と子機との間に周波数の異なる下り無線回線と上り無線回線からなる双方向無線回線を確立して、子機に入力接続している状態センサの検知信号をリアルタイムで親機に送って制御部側に出力するようにしているが、状態センサで検知してから無線回線を介して子機から親機に送り、更に制御部に出力されるまでには、所定の伝送時間が必要になることから、制御部によるリアルタイム制御にあっては、この伝送時間の遅れを考慮した制御処理を行うことが必要であり、同時に伝送遅れがあっても十分に対応できる制御に本実施形態の無線通信システムを適用することが必要となる。この点は子機側に適宜のセンサを設けて検知信号を親機側に送信する場合についても同様である。
【0136】
また本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0137】
10:親機
12:子機
14:停止位置センサ
15:振動センサ
16:制御部
18:駆動部
20:搬送機構
22a〜22c:ステーション
24:ワーク(移動側)
26a〜26c:停止位置マーカ
28:親機制御部
30,48:送信部
32,46:受信部
34,50:アンテナ
36,52:操作部
38,54:表示部
40:入出力部
42:電源部
44:子機制御部
56:電池電源
202、206、208:生産ライン
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定側と移動側との間に双方向無線回線を確立して必要な情報や信号を送受信する無線通信システム、親機及び子機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種機器や装置の生産設備にあっては、複数の工程を作業順に分け、各工程毎に必要な機械装置を設置したステーションを順番に並べ、複数のステーションに対し搬送機構を使用してワークを順番に移動させながら加工、組立などの作業を行うライン生産方式がとられている。
【0003】
このようなライン生産方式にあっては、工程順に並べられた複数のステーションに、適宜の搬送機構を使用してワークを移動する場合、ステーション毎にワークの停止位置を予め定め、移動中のワークが所定の停止位置に到達したこと検知して搬送機構を停止し、ステーションにワークを送り込んで必要な工程作業をしている。
【0004】
ワークの停止位置の検知は、通常、固定設備となるステーション側に適宜のセンサを設置し、ワークの停止位置への移動をセンサにより検知して搬送機構を停止するような制御を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−182388号公報
【特許文献2】特開2004−221277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来の生産設備におけるワークの停止位置検知にあっては、ステーションなどの固定側にセンサを設置し、ワークの特定部位がセンサの検知エリアに入ることで停止位置への到達を検知していたため、ワークの形が変わると停止位置を検知するセンサの配置も変更して再調整しなければならず、生産設備の自由度が低いという問題がある。
【0007】
この問題を解決するためには移動側となるワークにセンサを搭載し、ステーションの停止位置に停止位置を示す部材を設置し、ワークの形が変わってもセンサの位置を予め決めておくことで、ステーション側の固定設備を変更することなく柔軟に対応することを可能とする。
【0008】
しかし、移動側のワークにセンサを設置した場合、センサからの信号を固定側の制御部に送るための信号線として搬送機構によるワークの移動範囲で伸縮するものが必要となり、また信号線は伸縮を繰り返すとストレスが加わるために断線の可能性もある。
【0009】
このため移動側のワークに設けたセンサからの検知信号を無線により固定側となる制御部に伝送するリモートセンシングが考えられる。即ち、固定側となる制御部に無線送受信機能を備えた親機を設置し、移動側となるワークに無線送受信機能を備えた子機を配置し、親機と子機の間で必要な信号を通信する。
【0010】
しかし、生産現場には様々なノイズ源が存在し、子機を配置したワークが移動することから電波環境が変化し、そのときの電波の通信状況によっては無線通信がうまくいかない可能性があり、信頼性の点で課題が残されている。
【0011】
このような問題はワークの停止位置検知に限らず、移動物体の種別や状態を監視して、移動物体の種別や状態に応じて生産ラインのルート変更、移動物体の取り外しやライン停止を行う場合に信号や情報を送受信する場合に同様の問題が考えられる。
【0012】
また、電池駆動している送信機から絶えず無線電波を送信すると電池寿命が短くなり、送信機のメンテナンスを行う頻度が多くなるという問題がある。
【0013】
本発明は、固定側と移動側との間で無線回線を確立した場合の信号送受信の信頼性と安定性を向上する無線通信システム、親機及び子機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(無線通信システム)
本発明は、固定側に配置され無線送受信部を備えた親機と、移動側に配置され電池電源で動作する無線送受信部を備えた子機とを設け、親機と子機との間に下り電波の送受信による下り無線回線と上り電波の送受信による上り無線回線からなる双方向無線回線を確立して移動側の状態を通信する無線通信システムに於いて、
下り電波と上り電波を異なる周波数に設定し、
親機は待機状態で上り電波を連続受信しており、
子機は待機状態で下り電波を間欠受信しており、
親機は待機状態で外部装置から通信開始信号を受けた場合に、下り電波の送信を開始して通信開始電文を下り電波に乗せて子機に送信し、
子機は親機からの通信開始電文を受信した場合に、間欠受信を連続受信に切替えると共に上り電波に移動側の状態を乗せて親機に送信することを特徴とする。
【0015】
本発明の無線通信システムは、更に、移動側の振動を検知して子機に振動検知信号を出力する振動センサを設け、
子機は、待機状態で振動センサからの振動検知信号の入力を検知した場合、間欠受信を連続受信に切替えて通信開始電文の受信を待つ。
【0016】
移動側の状態を検知して子機に状態検知信号を出力する状態センサを設け、子機は、双方向無線回線を確立した状態で、状態センサで検知した状態検知信号を親機に送信して処理させる。
【0017】
本発明の無線通信システムにあっては、更に、
親機は双方向無線回線の確立中に外部から通信終了信号を入力した場合、通信終了電文を下り電波に乗せて子機に送信し、
子機は親機からの通信終了電文を受信した場合、上り電波の送信を停止すると共に連続受信を間欠受信に切替えて待機状態に移行する。
【0018】
子機及び/又は親機は無線回線の確立を表示する表示部を備える。
【0019】
親機は下り電波の送信開始から所定時間を経過しても子機から上り電波を受信しない場合、外部に通信障害信号を出力する。
【0020】
親機は上り無線回線の確立中に所定時間のあいだ上り電波の受信が断たれた場合、待機状態に移行する。
【0021】
子機は、通信開始電文を受信してから所定時間を経過しても通信終了電文を受信しない場合、待機状態に移行する。
【0022】
(親機)
本発明は、固定側に配置され、移動側に配置された電池電源で動作する子機との間で下り電波の送受信による下り無線回線と上り電波の送受信による上り無線回線からなる双方向無線回線を確立して通信する親機に於いて、
下り電波と上り電波を異なる周波数に設定して子機との間で送受信を行う送受信部と、
待機状態で上り電波を連続受信しており、待機状態で外部装置から通信開始信号を受けた場合に、通信開始電文を下り電波に乗せて子機に送信し、子機からの上り電波を受信して上り無線回線を確立し、子機からの移動側の状態を通信する親機制御部と、
を設けたことを特徴とする。
【0023】
ここで親機制御部は、下り電波の送信開始から所定時間を経過しても子機から上り電波を受信しない場合、外部に通信障害信号を出力する。
【0024】
親機制御部は、上り無線回線の確立中に所定時間のあいだ上り電波の受信が断たれた場合、待機状態に移行する。
【0025】
(子機)
本発明は、移動側に配置され、外部装置からの信号を受信して通信を行う固定側に配置された親機との間で下り電波の送受信による下り無線回線と上り電波の送受信による上り無線回線からなる双方向無線回線を確立して、移動側の状態を通信する電池電源で動作する子機に於いて、
下り電波と上り電波を異なる周波数に設定して前記子機との間で送受信を行う送受信部と、
待機状態で下り電波を間欠受信しており、親機からの通信開始電文を受信した場合に、間欠受信を連続受信に切替えて下り無線回線を確立すると共に上り電波の送信を開始して上り無線回線を確立し、移動側の状態を親機に通信する子機制御部と、
を設けたことを特徴とする。
【0026】
本発明の子機は、更に、移動側の振動を検知して子機に振動検知信号を出力する振動センサを移動側に設け、
子機制御部は、待機状態で振動センサからの振動検知信号の入力を検知した場合に、間欠受信を連続受信に切替えて通信開始電文の受信を待つ。
【0027】
子機制御部は、双方向無線回線の確立中に親機からの通信終了電文を受信した場合、上り電波の送信を停止すると共に連続受信を間欠受信に切替えて待機状態に移行する。
【0028】
子機制御部は、通信開始電文を受信してから所定時間を経過しても通信終了電文を受信しない場合、待機状態に移行する。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、生産設備等の制御が開始されると、固定側に設けた親機と移動側に設けた子機との間に、下り無線回線と上り無線回線からなる双方向無線回線が確立され、親機からの指示信号や子機側の状態センサで検知した信号を略リアルタイムで送受信することができる。
【0030】
また親機と子機との間に確立される上り無線回線と下り無線回線の周波数を別々にすることで、上り電文と下り電文を重複して送信しても、混信を起すことなく確実に電文を送受信することができる。
【0031】
また親機と子機の間に確立されている上り無線回線と下り無線回線の状況を常に監視しており、電波受信が所定時間を越えて断たれた場合、通信障害を検知して待機状態に戻ることで、適切に対応できる。
【0032】
また子機は電池電源で動作しており、待機状態では間欠受信とすることで充分な電池寿命を確保することができる。
【0033】
また、子機は親機からの通信開始電文を受信して間欠受信から常時受信に切替えているが、振動センサによる移動側の動きに伴う振動を検知して間欠受信から連続受信に切替えることで、親機からの通信開始電文を受信する前に子機が連続受信に切替わり、親機からの通信開始電文を間欠受信に伴う待ち時間を必要とすることなく迅速に受信して双方向無線回線を確立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明による無線通信システムを設けた生産設備の例を示した説明図
【図2】本発明による親機と子機の機能構成の実施形態を示したブロック図
【図3】本実施形態による無線通信処理を示したタイムチャート
【図4】図3に続く無線通信処理を示したフローチャート
【図5】移動側の動きを振動センサで検知して子機を間欠送信から連続送信に切替える無線通信処理を示したタイムチャート
【図6】回線確立時に通信障害が発生した場合の処理を示したタイムチャート
【図7】回線確立時に他の通信障害が発生した場合の処理を示したタイムチャート
【図8】回線確立後に通信障害が発生した場合の処理を示したタイムチャート
【図9】図2の親機制御処理を例示したフローチャート
【図10】図2の子機制御処理を例示したフローチャート
【図11】本発明による無線通信システムを設けた生産設備の他の例を示した説明図
【図12】本発明による無線通信システムを設けた生産設備の他の例を示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は本発明による無線通信システムを適用した生産設備の一例を示した説明図である。図1において、生産設備は制御部16、駆動部18、搬送機構20及び工程順に従って搬送機構20に対し順番に配置されたステーション22a〜22cで構成されている。
【0036】
制御部16は駆動部18を制御し、駆動部18は搬送機構20の作動により被駆動部となるワーク24をステーション22a側からステーション22b,ステーション22cの順に搬送し、各ステーションで必要な作業を行わせる。
【0037】
制御部16は駆動部18に対し制御開始信号を出力し、搬送機構20によりワーク24をステーション22aの停止位置マーカ26aで定まる所定位置に移動した後、駆動部18に制御終了信号を出力して停止させる。
【0038】
停止位置マーカ26aで定まる位置に停止したワーク24は、ステーション22aにおいて必要な組立作業などが行われる。組立作業が終了すると、制御部16はワーク24を次のステーション22bに設けた停止位置マーカ26bで定まる位置に、駆動部18に対する制御に基づく搬送機構20の作動で移動し、ステーション22bにおいて必要な組立作業などを行う。最終的にワーク24は、ステーション22cの停止位置マーカ26cで定まる位置に移動され、ステーション22cによる組立作業を行って一連の作業工程を終了する。
【0039】
このような生産設備に対し、本発明による無線通信システムとして、固定側となる制御部16側に親機10が設置されて信号線接続され、一方、移動側となるワーク24側に子機12が設置されている。またワーク24には、停止位置マーカ26a〜26cへの到達を検知する状態センサとして機能する停止位置センサ14と、移動側となるワーク24の振動を検知して振動検知信号を出力する振動センサ15が設けられ、子機12に入力接続している。
【0040】
停止位置センサ14としては機械的なセンサスイッチ、光学的な光検出スイッチなど適宜のセンサを用いることができる。振動センサ15としては例えば万歩計(R)などに使用している鋼球の機械的な動きを検知するセンサや加速度を検知するセンサ等を用いる。
【0041】
親機10は無線送受信部を備え、また子機12も同様に無線送受信部を備えている。制御部16は制御を開始する場合、駆動部18に制御信号を出力し、搬送機構20を作動してワーク24の移動を開始させる。この制御開始に伴い制御部16は親機10に通信開始信号を出力する。
【0042】
親機10は、制御部16からの通信開始信号の入力を検知した場合、子機12との間に周波数の異なる下り無線回線と上り無線回線からなる双方向無線回線を確立し、制御中、確立した双方向無線回線を維持する。
【0043】
振動センサ15は、制御部16による制御開始で駆動部18が搬送機構20を作動してワーク24の移動を開始させた場合に発生する振動を検知して子機12に出力し、親機10からの通信開始電文の受信に先立ち、子機12の待機状態における間欠受信を連続受信に切替え、その後に親機10から送られている通信開始電文を迅速に受信可能とする。
【0044】
双方向無線回線の確立中に停止位置センサ14で例えば停止位置マーカ26aを検出すると、子機12から上り無線回線を介して親機10に停止位置検知電文を送信する。停止位置検知電文を受信した親機10は、制御部16に対し停止位置検出信号を出力し、これにより制御部16は駆動部18に制御終了信号を出力し、搬送機構20を停止して、ワーク24を検知した停止位置マーカ26aに対応した位置に停止させる。勿論、双方向無線回線の確立後にあっては、親機10と子機12の間で必要に応じて適宜の信号送受信ができる。
【0045】
ワーク24を移動する制御が終了すると、制御部16は親機10に対し通信終了信号を出力し、これによって制御中に確立されていた双方向無線回線が解除されて待機状態に戻るようになる。
【0046】
図2は図1に示した親機と子機の機能構成の実施形態を示したブロック図である。図2において、親機10はマイクロプロセッサなどを用いた親機制御部28、送信部30、受信部32、アンテナ34、メモリ35、操作部36、表示部38、入出力部40及び外部からの商用電源が常時供給された電源部42で構成されている。
【0047】
一方、子機12はマイクロプロセッサなどを用いた子機制御部44、受信部46、送信部48、アンテナ50、メモリ51、操作部52、表示部54及び電池電源部56で構成され、子機制御部44に対しては停止位置センサ14と振動センサ15が入力接続されている。
【0048】
親機10に設けた送信部30と受信部32、及び子機12に設けた受信部46と送信部48は、日本国内の場合には例えば特定小電力無線局に準拠した構成を備える。
【0049】
本実施形態にあっては、親機10の送信部30は下り周波数f1=315MHzの下り電波を送信し、子機の受信部46は親機10から送信した下り周波数f1=315MHzの下り電波を受信する。これが下り無線回線となる。
【0050】
一方、子機12の送信部48は上り周波数f2=429MHzの電波を送信し、親機10の受信部32は子機12が送信した上り周波数f2=429MHzの電波を受信し、これが上り無線回線となる。
【0051】
このように親機10から子機12に対する下り無線回線の周波数を315MHzとし、子機12から親機10に対する上り無線回線の周波数を429MHzと異なった周波数とすることで、親機10と子機12との間で同時に送受信を行っても混信が起きないようにしている。
【0052】
親機10は、待機状態で送信部30の送信を停止しており、受信部32は連続受信となっている。これに対し子機12は、待機状態で送信部48の送信を停止しており、受信部46は電池電源56による電池消耗を抑制するため間欠受信を行っている。
【0053】
親機制御部28に対しては、入出力部40を介して、図1に示した制御部16との間で信号を入出力できるようにしている。親機10は入出力部40を介して制御部16から通信開始信号を入力すると、まず子機12との間に下り無線回線と上り無線回線からなる双方向無線回線を確立するための動作を開始する。
【0054】
即ち親機制御部28は、通信開始信号の入力を検知すると、送信部30を動作して315MHzの下り電波の送信を開始し、続いて制御部16から入力した通信開始信号に基づく通信開始電文を生成して、315MHzの下り電波に乗せて子機12に送信する。
【0055】
親機10からの通信開始電文は子機12の受信部46の間欠受信動作により受信され、子機制御部44は受信した通信開始電文に基づき受信部46を間欠受信から連続受信に切り替える。これによって親機10の送信部30と子機12の受信部46との間に315MHzの下り電波を送受信する下り無線回線が確立される。
【0056】
続いて子機制御部44は送信部48を動作し、429MHzの上り電波を親機10に送信する。親機10の受信部32は連続受信状態にあり、子機12からの429MHzの上り電波を受信すると、親機制御部28が子機12からの上り無線回線の確立を検知することになる。
【0057】
子機制御部44は受信部46を連続受信に切り替え、且つ送信部48により429MHzの上り電波を送信した場合、表示部54に設けた送信LEDをオンし、親機10との間における双方向無線回線の確立による通信可能状態を表示する。
【0058】
また子機制御部44は、待機状態で429MHzの上り電波の送信は停止し、315MHzの下り電波の受信は間欠受信としているが、待機状態で図1に示したワーク24の移動開始に伴う振動が振動センサ15により検知された場合、待機状態における間欠受信を連続受信に切り替える。
【0059】
この振動センサ15の振動検知に基づく子機12の間欠受信から連続受信への切替えにより、制御開始に伴い親機10が送信してくる通信開始電文をいつでも受信できる状態となり、間欠受信によって親機10からの通信開始電文を受信する場合に比べ、予め連続受信に切り替えておくことで受信動作が迅速に行われ、親機10と子機12との間の双方向無線回線の確立に要する時間を短縮することができる。
【0060】
また親機制御部28は受信部32から子機12が送信した429MHzの上り電波受信を検知した場合、表示部38に設けた受信LEDをオンし、子機12との間における双方向無線回線の確立による通信可能状態を表示する。
【0061】
親機制御部28は、子機12との間の双方向無線回線の確立後にあっては、子機12からの429MHzの上り電波の受信を継続しており、所定時間429MHzの上り電波受信が断たれた場合は通信障害を検知し、入出力部40を介して制御部16に通信障害信号を出力して待機常態に移行し、これを受けて制御部16は制御停止などの必要な通信障害対応制御を行うことになる。
【0062】
親機10と子機12の間の双方向無線回線の確立後、子機制御部44は停止位置センサ14からの検知信号を読み込んでおり、例えば停止位置センサ14から図1に示した停止位置マーカ26aの検知信号が得られると、停止位置検知電文を作成し、送信部48から429MHzの上り電波に乗せて停止位置検知電文を親機10に送信する。
【0063】
子機12からの停止位置検知電文を受信した親機制御部28は、入出力部40を介して制御部16に停止位置検知信号を出力し、これを受けて制御部16は搬送停止などの制御動作を行う。
【0064】
所定の制御動作が終了すると、制御部16から通信終了信号が親機10に出力され、これを受けて親機制御部28は通信終了電文を生成し、送信部30から315MHzの下り電波に乗せて子機12に送信する。親機10からの通信終了電文を受信した子機12の子機制御部44は、受信部46を連続受信から間欠受信に切り替えると共に、送信部48による429MHzの上り電波送信を停止し、待機状態に移行する。
【0065】
親機10の親機制御部28は、子機12からの429MHzの上り電波受信が待機状態への移行により断たれると、通信終了を検知し、送信部30による315MHzの下り電波送信を停止し、待機状態に移行する。
【0066】
親機10に設けた操作部36及び子機12に設けた操作部52は、315MHzの下り無線回線及び429MHzの上り無線回線で使用するチャネル周波数選択を初期設定として行う。
【0067】
また親機10及び子機12のそれぞれには予めアドレスが割り当てられており、例えば操作部36に設けているディップスイッチなどにより、それぞれのアドレスを設定することができる。親機10及び子機12のアドレス設定は操作部36のディップスイッチによらず、メモリ35,51のそれぞれにシリアル番号などをアドレスとして予め記憶しても良い。
【0068】
親機10と子機12の間で送受信される電文には、送信元アドレス、送信先アドレス、データまたはコマンド、チェックコードを含んでいる。このためメモリ35、51は送信先となる親機10又は子機12の送信先アドレスを記憶してあり、送信電文に含ませている。また親機制御部28及び子機制御部44は、受信電文に含まれる送信先アドレスを自己アドレスと比較して一致した場合に、有効な電文受信を検知して、電文データもしくはコマンドに基づく処理を行うことになる。
【0069】
また親機10の送信部30及び子機12の送信部48による電文の送信動作は、所定時間に亘り同じ電文データを複数回繰り返して送信する送信動作を行い、必要に応じて送信先からのACK電文(確認応答電文)を受信し、万一、ACK電文を受信しない場合には再送動作を予め定めたリトライ回数分、繰り返すことになる。
【0070】
更に親機10にあっては、所定周期ごとに子機12に対し定期通報電文を送信している。親機10からの定期通報電文を受信した子機12は、そのときの子機の状態を応答する。即ち子機12は電池電源56の電圧低下によるローバッテリ障害や各部の障害監視をバックグラウンドで実行しており、障害を検知すると障害結果をメモリ51に保持しており、親機10から定期通報電文を受信した際に、障害を検知していれば、応答電文に障害情報を入れて送信する。
【0071】
これを受けて親機10は障害を電文から検知した場合、定期異常通報を認識して入出力部40から制御部16に定期通報異常信号を出力して、必要な対応措置を行わせることになる。特に子機12は電池電源56で動作しており、電池電圧の低下に伴うローバッテリ障害が定期通報異常として検知された場合には、オペレータに対し子機12の電池交換を促すアラーム出力などを行うことになる。
【0072】
図3及び図4は本発明の無線通信システムにおける無線通信処理を示したタイムチャートであり、振動センサ15による振動検知を行わない場合の基本的な処理を示している。
【0073】
図3において、親機10はステップS101で待機状態にあり、315MHzの下り電波の送信を停止すると共に429MHzの上り電波を連続受信している。また子機12はステップS201で待機状態にあり、429MHzの上り電波の送信は停止し、315MHzの下り電波の受信は間欠受信としている。
【0074】
このような親機10及び子機12の待機状態で制御部16がステップS1で制御を開始したとすると、ステップS2で通信開始信号を親機10に対し出力する。親機10は制御部16からの通信開始信号を検知すると、ステップS102で315MHzの下り電波の送信を開始し、続いて通信開始電文を送信し、更にステップS103で回線確立タイマをスタートする。回線確立タイマには双方向無線回線の確立に必要な所定時間がタイムアウト時間として設定されている。この通信開始電文は、制御を開始するという意味や、子機12側の状態を上り電波で返信せよという要求電文も意味する。
【0075】
子機12はステップS202で親機10からの通信開始電文を受信すると、ステップS203で間欠受信を連続受信に切り替え、続いてステップS204で429MHzの上り電波を送信し、ステップS205で送信LEDをオンして回線確立表示を行う。続いてステップS206で送信タイマをスタートする。送信タイマの設定時間は、制御部16による制御開始から制御終了までの時間に所定の余裕時間を加えたタイムアウト時間が設定されている。
【0076】
親機10はステップS104で子機12からの429MHzの上り電波を受信すると、ステップS105で受信LEDをオンし、子機12との間の回線確立表示を行う。
【0077】
このように親機10と子機12の間で下り無線回線と上り無線回線からなる双方向無線回線が確立された状態で例えばワーク24を移動するような制御が行われており、ワーク24が停止位置マーカ26aで決まる所定の停止位置に達すると、停止位置センサ14がステップS301で停止位置を検知して検知信号を子機12に出力し、これを受けて子機12はステップS207で停止位置検知電文を親機10に送信する。
【0078】
親機10はステップS106で子機12からの停止位置検知電文を受信すると、停止位置検知信号を制御部16に出力し、制御部16はステップS3で停止位置検知信号に基づく処理を行い、ワーク24の搬送を停止する。
【0079】
続いて図4に進み、制御部16はステップS4で駆動部18の制御停止を行った後、ステップS5で親機10に対し通信終了信号を出力する。これを受けて親機10はステップS107で通信終了電文を子機12に送信する。子機12はステップS208で通信終了電文を受信すると、ステップS209で429MHzの上り電波の送信を停止し、ステップS210で連続受信を間欠受信に切り替えて待機状態に移行する。
【0080】
親機10はステップS108で子機12からの上り電波の受信停止を検知すると、ステップS109で待機状態に移行する。
【0081】
図5は本発明の無線通信システムにおいて振動センサ15による振動検知を行った場合の無線通信処理を示したタイムチャートである。なお、以下のタイムチャートにおける図3及び図4の基本的な処理と異なるステップのブロックには斜線を施している。
【0082】
図5において、親機10はステップS101で待機状態にあり、315MHzの下り電波の送信を停止すると共に429MHzの上り電波を連続受信している。また子機12はステップS201で待機状態にあり、429MHzの上り電波の送信は停止し、315MHzの下り電波の受信は間欠受信としている。
【0083】
このような待機状態で制御部16がステップS1で制御を開始すると、子機12及び振動センサ15を設けている例えば図1に示したワーク24が駆動部18による搬送機構20の作動で移動を開始する。ワーク24が移動を開始すると振動が発生し、ワーク24の振動が振動センサ15によりステップS300で検知された場合、子機12はステップS200でワーク24の移動開始による制御開始を認識して、待機状態における間欠受信を連続受信に切り替える。
【0084】
この子機12における連続受信への切替えにより、制御開始に伴い親機10がステップS102で送信してくる通信開始電文をいつでも受信できる状態となり、図4に示した間欠受信で親機10からの通信開始電文を受信する場合に比べ、予め連続受信に切り替えておくことで受信動作が迅速に行われ、親機10と子機12との間の双方向無線回線の確立に要する時間を短縮することができる。
【0085】
なお図5における親機10のステップS102以降、及び子機12におけるステップS202以降の処理は、図3と基本的に同じであることから説明は省略する。
【0086】
図6は親機と子機の間の回線確立時に通信障害が発生した場合の処理を示したタイムチャートである。図6において、制御部16がステップS1で制御を開始し、ステップS2で制御開始信号を親機10に出力し、これを受けて親機10がステップS101の待機状態からステップS102に移行し、315MHzの下り電波に乗せて通信開始電文を送信する。
【0087】
しかしながら、子機12との間に通信障害58が発生し、子機12側で親機10から送信した315MHzの下り電波に乗せた通信開始電文が受信できなかったとする。この場合に子機12はステップS201の待機状態を継続しており、429MHzの上り電波の送信は行われない。
【0088】
親機10はステップS102で通信開始電文を送信した後、ステップS103で回線確立タイマをスタートする。この場合、通信障害58により子機12から429MHzの上り電波受信が得られないことから、ステップS110で回線確立タイマがタイムアウトとなり、これによって通信障害が検知される。
【0089】
このため親機10は、ステップS111で通信障害信号を制御部16に出力し、ステップS112で待機状態に移行する。親機10からの通信障害信号を受けた制御部16は、ステップS6でワーク24の移動を緊急停止させるなどの通信障害処理を行うことになる。また通信障害によりワーク移動を停止した後については、所定の待機時間を経過した後に制御を再開して制御開始信号を出力し、親機10と子機12の間の双方向無線回線の確立を経て正常処理を行わせるようになる。
【0090】
図7は回線確立時に他の通信障害が発生した場合の処理を示したタイムチャートである。図7にあっては、制御部16からの制御開始信号に基づく親機10のステップS102における通信開始電文の送信に対し、子機12のステップS202で正常に通信開始電文を受信しており、下り無線回線の確立は成功している。
【0091】
しかしながら、ステップS204で上り電波を送信した場合に通信障害60が発生し、親機10側で上り電波の受信ができなかったとする。この場合、親機10はステップS103で回線確立タイマをスタートしており、子機12からの上り電波が受信されないため、ステップS110で回線確立タイマがタイムアウトとなり、ステップS111で通信障害信号を制御部16に出力し、ステップS112で待機状態に移行する。
【0092】
このように下り無線回線の確立には成功したが上り無線回線の確立に失敗した場合についても、同様に通信障害が検出されて、制御部16で通信障害に対する対応処理が行われることになる。
【0093】
図8は、無線回線の確立に成功したが、無線回線確立後に通信障害が発生した場合の処理を示したタイムチャートである。図8において、親機10のステップS101〜ステップS105及び子機12のステップS201〜S206の処理は、図3に示したと同じであり、両者の間に315MHzの下り無線回線と429MHzの上り無線回線からなる双方向無線回線が確立されており、停止位置センサ14によるワークの停止位置検知を待っている。
【0094】
この状態で停止位置センサ14がステップS301で停止位置検知を行ったとすると、子機12はステップS207で停止位置検知電文を送信するが、この電文送信につき通信障害62が発生したとする。
【0095】
この通信障害62の発生により、親機10は子機12からの429MHzの上り電波受信が断たれることで所定の電波遮断許容時間をタイムアウト時間に設定した受信タイマをスタートし、スタートした受信タイマがステップS113でタイムアウトすると、ステップS114に進み、通信障害信号を制御部16に出力し、ステップS115で315MHzの下り電波の送信を停止する待機状態に移行する。
【0096】
親機10からの通信障害検知信号を受けた制御部16は、ステップS6で必要な通信障害処理を実行する。一方、子機12にあっては、ステップS206でスタートした送信タイマが所定時間を経過しても親機10から通信終了電文が受信できないことで、ステップS213においてタイムアウトとなり、ステップS214に進んで429MHzの上り電波の送信を停止すると共に315MHzの下り電波の連続受信を間欠受信に戻すことで待機状態に移行する。
【0097】
図9は図2の親機10の制御処理を例示したフローチャートである。図9において、親機処理は、電源投入に伴いステップS1001で初期化及び自己診断、更には各種の設定処理を行い、自己診断により異常がなければステップS1002の待機状態に移行し、315MHzの下り電波送信は停止し、429MHzの上り電波の受信は連続受信としている。
【0098】
続いてステップS1003で制御部16からの通信開始信号の入力を検知すると、ステップS1004に進み、315MHzの下り電波の送信を開始し、同時に通信開始電文を下り電波に乗せて送信する。
【0099】
続いてステップS1005で子機12からの429MHzの上り電波受信の有無を検知しており、上り電波受信を検知しない場合には、ステップS1006で下り電波送信開始と同時にスタートした回線確立タイマのタイムアウトの有無を検知している。ステップS1005で上り電波受信が検知されると、ステップS1007に進み、受信LEDをオンして回線確立を表示する。
【0100】
続いてステップS1008で子機12からの停止位置検知電文の受信の有無を検知しており、電文を検知しない場合には、ステップS1009で上り電波の遮断の有無を検知しており、上り電波の遮断を検知した場合は、ステップS1010で受信タイミングのタイムアウトの有無を検知しており、万一、受信タイマがタイムアウトすると、ステップS1015に進み、通信障害信号を制御部16に出力してステップS1002の待機状態に戻る。
【0101】
ステップS1008で正常に停止位置検知電文の受信が検知されると、ステップS1011で停止位置検知信号を制御部16に出力する。続いてステップS1012で制御部16からの通信終了信号の入力の有無を検知しており、通信終了信号の入力を検知するとステップS1013に進み、通信終了電文を子機12に送信する。続いてステップS1014で子機12からの上り電波の受信停止の有無を検知しており、受信停止を検知すると、ステップS1002の待機状態に戻る。
【0102】
図10は図2の子機12の制御処理を例示したフローチャートである。図10において、子機12の電池電源を投入すると、ステップS2001で初期化及び自己診断、更には各種の設定を行い、自己診断の結果、エラーがなければステップS2002の待機状態に進み、待機状態にあっては429MHzの上り電波の送信は停止とし、315MHzの下り電波の受信は間欠受信としている。
【0103】
続いてステップS2003で親機10からの通信開始電文の受信の有無を検知しており、電文受信を検知するとステップS2004に進み、315MHzの下り電波の間欠受信を連続受信に切り替え、続いてステップS2005で429MHzの上り電波を送信した後、ステップS2006で送信LEDをオンして無線回線の確立を表示する。なおステップS2004で上り電波の送信を開始した際に送信タイマをスタートしている。
【0104】
一方、ステップS2003で通信開始電文受信を検知しない場合はステップS2007で振動センサ15による振動検知の有無を判別している。ステップS2007でワーク移動に伴う振動検知が判別されるとステップS2008に進み、315MHzの下り電波の間欠受信を連続受信に切り替え、続いてステップS2009で親機10からの通信開始電文の受信を検知するとステップS2005に進み、429MHzの上り電波を送信した後、ステップS2006で送信LEDをオンして無線回線の確立を表示する。
【0105】
ステップS2010にあっては移動側となるワーク24の停止位置センサ14による停止位置検知の有無を検知しており、停止位置が検知されずにステップS2011で送信タイマがタイムアウトした場合には、ステップS2002の待機状態に戻って送信を停止すると同時に間欠受信に戻す。
【0106】
ステップS2011で送信タイマがタイムアウトする前に停止位置センサ14による停止位置検知が検知されると、ステップS2012に進み、停止位置検知電文を親機10に送信する。続いてステップS2013で親機10からの通信終了電文の受信の有無を検知しており、通信終了電文受信を検知すると、ステップS2014に進んで上り電波の送信を停止し、ステップS2002の待機状態に戻る。
【0107】
図11は本発明による無線通信システムを適用した生産設備の他の例を示した説明図である。図11において、生産設備は監視制御装置100、生産ライン102及び保管部104で構成されている。生産ライン102は所定の生産物106を移動しながらラインに沿って配置された機器及び作業員による作業を通じて完成品となり、保管部104に送り込まれて保管される。
【0108】
このような生産設備にあっては、生産ライン102での作業中及び作業完了して保管部104に送り込まれた時に、生産物106における特定のパラメータ、例えば内部温度上昇などを監視し、異常な内部温度上昇が見られた場合に、不良品としての対応を必要とする場合がある。
【0109】
そこで本発明の無線通信システムにあっては、生産ライン102の監視制御装置100側に親機10を配置し、生産物106に子機12を配置すると共に生産物106の状態を検知する状態センサとして例えば生産物106の内部温度を測定する温度センサ108及び生産物の移動を検出する図2と同様の振動センサ15を設けて子機12に入力接続している。
【0110】
親機10及び子機12の詳細は図2の実施形態と基本的に同じであるが、子機12に状態センサとして生産物の内部温度を検知する温度センサ108を入力接続している点で相違し、これに伴い子機制御部44は親機12との間に双方向無線回線が確立された場合、温度センサ108の温度検知信号に基づく温度検知電文を親機10に送信することになる。また、振動センサ15による生産物106がライン上を移動した場合の子機12の間欠受信から連続受信への切替え制御は図5と同様になる。
【0111】
図11の無線通信システムにおける親機と子機の間の無線通信処理は図3及び図4に示したタイムチャートと基本的に同じになる。即ち、監視制御装置100は、所定周期毎に通信開始信号を親機10に出力し、親機10と子機12の間に双方向無線回線が確立される。
【0112】
このように双方向無線回線が確立されると、子機12は温度センサ108の温度検知信号に基づき温度検知電文を生成して親機10に送信し、親機10から監視制御装置100に温度検知信号を出力する。監視制御装置100は親機10から出力された温度検知信号による検知温度を監視しており、所定の閾値温度を越える温度上昇を判別すると異常警報を出力して内部温度が上昇した生産物の存在を報知し、生産ライン102や保管部104から不良品として除去するといった対応措置を行わせる。
【0113】
生産物106が生産ライン102上で移動しているときは、振動センサ15の移動の検知により、信号の回線を確立して、図1の例の停止位置検知や温度情報などの生産物106の生産ライン上の状態情報を子機12から親機10へ送信することで、生産物106の状態監視を行うことができる。送信した情報に応じて例えば生産ラインの停止や異常警報を行う。
【0114】
なお、子機12側に温度センサ108の閾値温度を備え、検知温度が所定の閾値温度を越えた場合に子機12が間欠受信から連続受信への切替え及び親機10への上り電波の送信を開始するようにしてもよい。
【0115】
このような生産中及び生産完了後に生産物の状態を監視する具体的例としては、例えばリチウム電池の生産ラインがある。リチウム電池の生産ラインでは、電池本体に電解液を投入後、電池本体の温度上昇や電圧の状態を確認する必要があり、各パラメータに異常がある場合は別工程で対応する必要があることから、このようなリチウム電池のパラメータ監視に図11に示したように本発明による無線通信システムが適用できる。
【0116】
そこで電池本体に電解液を投入した後に、状態センサとして温度センサや電圧センサを設けて子機12に入力接続し、親機10との間に双方向無線回線を確立して温度検知電文や電圧検知電文を親機10に送信して監視制御装置200に出力し、正常であれば完成品とし、異常な場合は電解液の交換や電極の入れ替え等といった修復作業を行い、修復できない場合は不良品として取り除く。
【0117】
また生産ラインにおける生産物の状態を監視する他の例としては、電気部品を実装した機器等の生産物をエポキシ樹脂で封印する生産ラインがある。生産物にエポキシ樹脂を充填した場合、エポキシ樹脂の硬化が順調に行なわれていることを監視する必要がある。このようなエポキシ樹脂の硬化の判断は、反応温度や硬度の測定値をパラメータとして扱う。
【0118】
そこでエポキシ樹脂で封印した生産物に、状態センサとして温度センサや硬度センサを設けて子機12に入力接続し、親機10との間に双方向無線回線を確立して温度検知電文や硬度検知電文を親機10に送信し、さらに監視制御装置10に出力してエポキシ樹脂の硬化が順調に行なわれているか否か監視し、異常を判断した場合はライン停止や修復作業を行い、修復できない場合は不良品として取り除く。
【0119】
図12は本発明による無線通信システムを適用した生産設備の他の例を平面的に示した説明図である。図12において、生産設備は監視制御装置200、生産ライン202、分岐部204、分岐生産ライン206,208で構成されている。生産ライン202は所定の生産物210を移動しながらラインに沿って配置された機器及び作業員による作業を通じて組み上げられて例えば半完成品となり、分岐部204に送り込まれ、生産物210の状態に応じて分岐ライン206,208のいずれかに分岐され、分岐ライン206,208に沿って配置された機器及び作業員による作業を通じて完成品となる。
【0120】
監視制御装置200は、生産ライン202による半完成品としての生産物210の状態、例えば内部温度を監視し、内部温度が正常であれば分岐部204を制御して分岐生産ライン206に生産物210を分岐して完成品に至る工程を行い、一方、内部温度に異常であれば、分岐生産ライン208に分岐し、内部温度の異常を解消する工程を経て完成品とし、もし内部温度の異常が解消されなければ不良品として取り除く。
このような生産設備にあっては、生産ライン202において生産物210における特定のパラメータ、例えば内部温度などを監視する必要がある。
【0121】
そこで本発明の無線通信システムにあっては、分岐部204の分岐制御を行う監視制御装置200側に親機10を配置し、生産ライン202を移動する生産物210に子機12を配置すると共に生産物210の状態を検知する状態センサとして例えば生産物210の内部温度を測定する温度センサ212を設けて子機12に入力接続している。
【0122】
親機10及び子機12の詳細は図2の実施形態と基本的に同じであるが、子機12に状態センサとして生産物210の内部温度を検知する温度センサ212を入力接続している点で相違し、これに伴い子機制御部44は親機12との間に双方向無線回線が確立された場合、温度センサ212の温度検知信号に基づく温度検知電文を親機10に送信する。
【0123】
図12の無線通信システムにおける親機と子機の間の無線通信処理も図3及び図4に示したタイムチャートと基本的に同じになる。即ち、監視制御装置200は生産物210が生産ライン202を進んで半完成品となり、分岐部204の手前の所定位置に移動してきたことを認識すると、通信開始信号を親機10に出力し、親機10と子機12の間に双方向無線回線が確立される。
【0124】
このように双方向無線回線が確立されると、子機12は温度センサ212の温度検知信号に基づき温度検知電文を生成して親機10に送信し、親機10から監視制御装置200に温度検知信号を出力する。監視制御装置200は親機10から出力された温度検知信号による検知温度を監視しており、例えば所定の閾値温度以下であれば正常と判断して生産物210を分岐生産ライン206に分岐し、一方、所定の閾値温度を越える温度上昇を判別した場合は温度異常と判断し、生産物210を分岐生産ライン208に分岐する。
【0125】
生産中に監視する他の項目としては生産物210の重量でもよく、重量がその生産工程段階における規定重量範囲にあれば分岐生産ライン206に分岐して完成品に至る工程を行い、一方、重量がその工程段階での規定重量範囲から外れていれば、組み立て異常として、分岐生産ライン208に分岐して不良品として取り除く。
【0126】
このような生産の途中段階で生産物の状態を監視し、生産物の状態に応じてその後の生産工程を変更する生産設備の具体的な例としては、前述したリチウム電池の生産ラインがある。リチウム電池の生産ラインでは、電池本体に電解液を投入後、電池本体の温度上昇や電圧の状態を確認する必要があり、各パラメータに異常がある場合は別工程で対応する必要がある。
【0127】
そこで、生産ライン202で電池本体に電解液を投入した後に、子機12に入力接続した温度センサや電圧センサにより温度や電圧を検知し、親機10に送って監視制御装置200で温度上昇や電圧の状態を監視し、正常であれば分岐生産ライン206に分岐して完成品とし、異常な場合は電界液の交換や電極の入れ替え等といった修復工程をもつ分岐生産ライン208に分岐する。
【0128】
また図12の生産ラインにおける生産物の状態を監視して分岐する他の例としては、前述した電気部品を実装した機器等の生産物をエポキシ樹脂で封印する生産ラインにも適用できる。
【0129】
即ち、生産ライン202において生産物にエポキシ樹脂を充填した場合、キポキシ樹脂の硬化が順調に行なわれていることを監視するため、生産物に温度センサや硬度センサを設けて子機12に入力接続し、分岐部204の手前の所定位置に移動したことを監視制御装置200で認識して親機10と子機12との間に無線通信回線を確立して温度検知電文や硬度検知電文を親機10に送信し、温度検知信号や硬度検知信号を監視制御装置10に出力し、エポキシ樹脂の硬化が順調に行なわれているか否か監視し、正常であれば分岐生産ライン206に分岐して完成品とし、異常であれば分岐生産ライン208に分岐してエポキシ樹脂の再充填等を行って修復し、修復不可の場合は不良品として排除する。
【0130】
また図12に示した生産物の状態を検知して生産ラインを分岐する生産設備としては、同一生産ラインで機種の異なる製品を混在させて生産する生産設備や小規模多品種のフレキシブル生産設備があり、このような生産設備で特定の機種に固有な工程について分岐生産ラインを設けて分岐したりバイパスさせるような場合、制御装置側に親機10を配置し、生産品に機種情報等の状態センサ付きの子機12を設けることで、必要なタイミングで親機10と子機12の間に双方向無線回線を確立して生産物の機種や温度など状態検知電文を送信して生産物の分岐制御等を行う。この通信の確立タイミングは子機12に設けた図2と同様の振動センサ15を設けて、移動を検知した際に機種情報やそのほかの監視情報を親機側に通信して生産ラインの分岐を行うことができる。
【0131】
なお上記の実施形態は、図1に示したように移動側として、駆動部18により搬送機構20を介して移動される生産物としてのワーク24を例に取っているが、ワーク24ではなく、ワーク24を搭載した台車やライン上を動く移動型搬送車などであってもよい。
【0132】
また本発明の無線通信システムの適用は図1の生産設備に限定されず、固定側と移動側の配置又は装置をもつ適宜の対象物に適用することができる。
【0133】
また親機と子機の間で双方向無線回線を確立した状態で送受信される信号は、子機側からのセンサによる検知信号以外に、必要に応じて適宜の信号を送受信することができる。
【0134】
また上記の実施形態にあっては、親機と子機を1台ずつ設けた場合を例にとっているが、複数の生産物の状態を監視する場合には、親機から送信する下り電波と子機から送信する上り電波について複数の周波数チャンネルを準備し、親機と子機のペア毎に割当てる周波数分割多重方式とすれば良い。この場合、親機側については親機制御部を共通とし、送信回路と受信回路を複数の周波数チャンネル分設けるような構成とし、1台の親機に対し複数台の子機を対応させることができる。
【0135】
また本実施形態の無線通信システムにあっては、親機と子機との間に周波数の異なる下り無線回線と上り無線回線からなる双方向無線回線を確立して、子機に入力接続している状態センサの検知信号をリアルタイムで親機に送って制御部側に出力するようにしているが、状態センサで検知してから無線回線を介して子機から親機に送り、更に制御部に出力されるまでには、所定の伝送時間が必要になることから、制御部によるリアルタイム制御にあっては、この伝送時間の遅れを考慮した制御処理を行うことが必要であり、同時に伝送遅れがあっても十分に対応できる制御に本実施形態の無線通信システムを適用することが必要となる。この点は子機側に適宜のセンサを設けて検知信号を親機側に送信する場合についても同様である。
【0136】
また本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0137】
10:親機
12:子機
14:停止位置センサ
15:振動センサ
16:制御部
18:駆動部
20:搬送機構
22a〜22c:ステーション
24:ワーク(移動側)
26a〜26c:停止位置マーカ
28:親機制御部
30,48:送信部
32,46:受信部
34,50:アンテナ
36,52:操作部
38,54:表示部
40:入出力部
42:電源部
44:子機制御部
56:電池電源
202、206、208:生産ライン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定側に配置されて無線送受信部を備えた親機と、移動側に配置されて電池電源で動作する無線送受信部を備えた子機とを設け、前記親機と子機との間に下り電波の送受信による下り無線回線と上り電波の送受信による上り無線回線からなる双方向無線回線を確立して前記移動側の状態を通信する無線通信システムに於いて、
前記下り電波と上り電波を異なる周波数に設定し、
前記親機は待機状態で前記上り電波を連続受信しており、
前記子機は待機状態で前記下り電波を間欠受信しており、
前記親機は前記待機状態で外部装置から通信開始信号を受けた場合に、前記下り電波の送信を開始して通信開始電文を前記下り電波に乗せて前記子機に送信し、
前記子機は前記親機からの前記通信開始電文を受信した場合に、前記間欠受信を連続受信に切替えると共に前記上り電波に前記移動側の状態を乗せて前記親機に送信することを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
請求項1記載の無線通信システムに於いて、
前記移動側の振動を検知して前記子機に振動検知信号を出力する振動センサを設け、
前記子機は、前記待機状態で前記振動センサからの振動検知信号の入力を検知した場合、前記間欠受信を連続受信に切替えて前記通信開始電文の受信を待つことを特徴とする無線通信システム。
【請求項3】
請求項1記載の無線通信システムに於いて、
前記移動側の状態を検知して前記子機に状態検知信号を出力する状態センサを設け、
前記子機は、前記双方向無線回線を確立した状態で、前記状態センサで検知した状態検知信号を前記親機に送信して処理させることを特徴とする無線通信システム。
【請求項4】
請求項1記載の無線通信システムに於いて、
前記親機は前記双方向無線回線の確立中に外部から通信終了信号を入力した場合、通信終了電文を前記下り電波に乗せて前記子機に送信し、
前記子機は前記親機からの前記通信終了電文を受信した場合、前記上り電波の送信を停止すると共に前記連続受信を間欠受信に切替えて前記待機状態に移行することを特徴とする無線通信システム。
【請求項5】
請求項1記載の無線通信システムに於いて、前記子機及び/又は親機に無線回線の確立を表示する表示部を備えたことを特徴とする無線通信システム。
【請求項6】
請求項1記載の無線通信システムに於いて、前記親機は前記下り電波の送信開始から所定時間を経過しても前記子機から上り電波を受信しない場合、通信障害を出力することを特徴とする無線通信システム。
【請求項7】
請求項1記載の無線通信システムに於いて、前記親機は前記上り無線回線の確立中に所定時間のあいだ前記上り電波の受信が断たれた場合に、待機状態に移行することを特徴とする無線通信システム。
【請求項8】
請求項1記載の無線通信システムに於いて、前記子機は、前記通信開始電文を受信してから所定時間を経過しても前記通信終了電文を受信しない場合、前記待機状態に移行することを特徴とする無線通信システム。
【請求項9】
固定側に配置され、移動側に配置された電池電源で動作する子機との間で下り電波の送受信による下り無線回線と上り電波の送受信による上り無線回線からなる双方向無線回線を確立して前記移動側の状態を通信する親機に於いて、
前記下り電波と上り電波を異なる周波数に設定して前記子機との間で送受信を行う送受信部と、
待機状態で上り電波を連続受信しており、前記待機状態で外部装置から通信開始信号を受けた場合に、通信開始電文を前記下り電波に乗せて前記子機に送信し、前記子機からの前記上り電波を受信して前記上り無線回線を確立し、前記子機からの移動側の状態を通信する親機制御部と、
を設けたことを特徴とする遠隔監視用の親機。
【請求項10】
請求項9記載の親機に於いて、前記親機制御部は前記下り電波の送信開始から所定時間を経過しても前記子機から上り電波を受信しない場合、外部に通信障害信号を出力することを特徴とする親機。
【請求項11】
請求項9記載の親機に於いて、前記親機制御部は前記上り無線回線の確立中に所定時間のあいだ前記上り電波の受信が断たれた場合、前記待機状態に移行することを特徴とする親機。
【請求項12】
移動側に配置され、外部装置からの信号を受信して通信を行う固定側に配置された親機との間で下り電波の送受信による下り無線回線と上り電波の送受信による上り無線回線からなる双方向無線回線を確立して、前記移動側の状態を通信する電池電源で動作する子機に於いて、
前記下り電波と上り電波を異なる周波数に設定して前記子機との間で送受信を行う送受信部と、
待機状態で前記下り電波を間欠受信しており、前記親機からの通信開始電文を受信した場合に、前記間欠受信を連続受信に切替えて前記下り無線回線を確立すると共に前記上り電波の送信を開始して前記上り無線回線を確立し、前記移動側の状態を前記親機に通信する子機制御部と、
を設けたことを特徴とする子機。
【請求項13】
請求項12記載の子機に於いて、
前記移動側の振動を検知して前記子機に振動検知信号を出力する振動センサを移動側に設け、
前記子機制御部は、前記待機状態で前記振動センサからの振動検知信号の入力を検知した場合に、前記間欠受信を連続受信に切替えて前記下り電波を待つことを特徴とする子機。
【請求項14】
請求項12記載の子機に於いて、前記子機制御部は、前記双方向無線回線の確立中に前記親機からの通信終了電文を受信した場合、前記上り電波の送信を停止すると共に前記連続受信を間欠受信に切替えて前記待機状態に移行することを特徴とする子機。
【請求項15】
請求項12記載の子機に於いて、前記子機制御部は、前記通信開始電文を受信してから所定時間を経過しても前記通信終了電文を受信しない場合、前記待機状態に移行することを特徴とする子機。
【請求項1】
固定側に配置されて無線送受信部を備えた親機と、移動側に配置されて電池電源で動作する無線送受信部を備えた子機とを設け、前記親機と子機との間に下り電波の送受信による下り無線回線と上り電波の送受信による上り無線回線からなる双方向無線回線を確立して前記移動側の状態を通信する無線通信システムに於いて、
前記下り電波と上り電波を異なる周波数に設定し、
前記親機は待機状態で前記上り電波を連続受信しており、
前記子機は待機状態で前記下り電波を間欠受信しており、
前記親機は前記待機状態で外部装置から通信開始信号を受けた場合に、前記下り電波の送信を開始して通信開始電文を前記下り電波に乗せて前記子機に送信し、
前記子機は前記親機からの前記通信開始電文を受信した場合に、前記間欠受信を連続受信に切替えると共に前記上り電波に前記移動側の状態を乗せて前記親機に送信することを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
請求項1記載の無線通信システムに於いて、
前記移動側の振動を検知して前記子機に振動検知信号を出力する振動センサを設け、
前記子機は、前記待機状態で前記振動センサからの振動検知信号の入力を検知した場合、前記間欠受信を連続受信に切替えて前記通信開始電文の受信を待つことを特徴とする無線通信システム。
【請求項3】
請求項1記載の無線通信システムに於いて、
前記移動側の状態を検知して前記子機に状態検知信号を出力する状態センサを設け、
前記子機は、前記双方向無線回線を確立した状態で、前記状態センサで検知した状態検知信号を前記親機に送信して処理させることを特徴とする無線通信システム。
【請求項4】
請求項1記載の無線通信システムに於いて、
前記親機は前記双方向無線回線の確立中に外部から通信終了信号を入力した場合、通信終了電文を前記下り電波に乗せて前記子機に送信し、
前記子機は前記親機からの前記通信終了電文を受信した場合、前記上り電波の送信を停止すると共に前記連続受信を間欠受信に切替えて前記待機状態に移行することを特徴とする無線通信システム。
【請求項5】
請求項1記載の無線通信システムに於いて、前記子機及び/又は親機に無線回線の確立を表示する表示部を備えたことを特徴とする無線通信システム。
【請求項6】
請求項1記載の無線通信システムに於いて、前記親機は前記下り電波の送信開始から所定時間を経過しても前記子機から上り電波を受信しない場合、通信障害を出力することを特徴とする無線通信システム。
【請求項7】
請求項1記載の無線通信システムに於いて、前記親機は前記上り無線回線の確立中に所定時間のあいだ前記上り電波の受信が断たれた場合に、待機状態に移行することを特徴とする無線通信システム。
【請求項8】
請求項1記載の無線通信システムに於いて、前記子機は、前記通信開始電文を受信してから所定時間を経過しても前記通信終了電文を受信しない場合、前記待機状態に移行することを特徴とする無線通信システム。
【請求項9】
固定側に配置され、移動側に配置された電池電源で動作する子機との間で下り電波の送受信による下り無線回線と上り電波の送受信による上り無線回線からなる双方向無線回線を確立して前記移動側の状態を通信する親機に於いて、
前記下り電波と上り電波を異なる周波数に設定して前記子機との間で送受信を行う送受信部と、
待機状態で上り電波を連続受信しており、前記待機状態で外部装置から通信開始信号を受けた場合に、通信開始電文を前記下り電波に乗せて前記子機に送信し、前記子機からの前記上り電波を受信して前記上り無線回線を確立し、前記子機からの移動側の状態を通信する親機制御部と、
を設けたことを特徴とする遠隔監視用の親機。
【請求項10】
請求項9記載の親機に於いて、前記親機制御部は前記下り電波の送信開始から所定時間を経過しても前記子機から上り電波を受信しない場合、外部に通信障害信号を出力することを特徴とする親機。
【請求項11】
請求項9記載の親機に於いて、前記親機制御部は前記上り無線回線の確立中に所定時間のあいだ前記上り電波の受信が断たれた場合、前記待機状態に移行することを特徴とする親機。
【請求項12】
移動側に配置され、外部装置からの信号を受信して通信を行う固定側に配置された親機との間で下り電波の送受信による下り無線回線と上り電波の送受信による上り無線回線からなる双方向無線回線を確立して、前記移動側の状態を通信する電池電源で動作する子機に於いて、
前記下り電波と上り電波を異なる周波数に設定して前記子機との間で送受信を行う送受信部と、
待機状態で前記下り電波を間欠受信しており、前記親機からの通信開始電文を受信した場合に、前記間欠受信を連続受信に切替えて前記下り無線回線を確立すると共に前記上り電波の送信を開始して前記上り無線回線を確立し、前記移動側の状態を前記親機に通信する子機制御部と、
を設けたことを特徴とする子機。
【請求項13】
請求項12記載の子機に於いて、
前記移動側の振動を検知して前記子機に振動検知信号を出力する振動センサを移動側に設け、
前記子機制御部は、前記待機状態で前記振動センサからの振動検知信号の入力を検知した場合に、前記間欠受信を連続受信に切替えて前記下り電波を待つことを特徴とする子機。
【請求項14】
請求項12記載の子機に於いて、前記子機制御部は、前記双方向無線回線の確立中に前記親機からの通信終了電文を受信した場合、前記上り電波の送信を停止すると共に前記連続受信を間欠受信に切替えて前記待機状態に移行することを特徴とする子機。
【請求項15】
請求項12記載の子機に於いて、前記子機制御部は、前記通信開始電文を受信してから所定時間を経過しても前記通信終了電文を受信しない場合、前記待機状態に移行することを特徴とする子機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−205054(P2012−205054A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−67427(P2011−67427)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【出願人】(591273269)株式会社サーキットデザイン (29)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【出願人】(591273269)株式会社サーキットデザイン (29)
【Fターム(参考)】
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