無線LAN/OFDM用MC−CDMA符号ダイバーシチ通信方式
【課題】 OFDM/CDMA(MC−CDMA)方式に対して周波数軸上での符号ダイバーシチを適用して干渉抑制効果を向上させることができる無線LAN/OFDM用MC-CDMA符号ダイバーシチ通信方式を提供する。
【解決手段】 送信機10では、複数の符号系列の和によって作り出された拡散系列にディジタル変調されたデータを乗算し、直並列変換器14で信号を周波数軸上に並び替え、逆高速フーリエ変換回路15で信号を時間軸上に並び替え、受信機20では、直並列変換機21で信号を時間軸上に並び替え、高速フーリエ変換回路22で信号を周波数軸上に並び替え、並直列変換を行ってデータを各ブランチに分岐して上記複数の符号系列と乗算して相関をそれぞれ取得し、各ブランチに対して重み係数を乗算器25で乗算し、合成器26でデータを合成して各ブランチの総和を算出してデータの判定を行う。
【解決手段】 送信機10では、複数の符号系列の和によって作り出された拡散系列にディジタル変調されたデータを乗算し、直並列変換器14で信号を周波数軸上に並び替え、逆高速フーリエ変換回路15で信号を時間軸上に並び替え、受信機20では、直並列変換機21で信号を時間軸上に並び替え、高速フーリエ変換回路22で信号を周波数軸上に並び替え、並直列変換を行ってデータを各ブランチに分岐して上記複数の符号系列と乗算して相関をそれぞれ取得し、各ブランチに対して重み係数を乗算器25で乗算し、合成器26でデータを合成して各ブランチの総和を算出してデータの判定を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、OFDM/CDMA(MC−CDMA)方式に対して符号ダイバーシチを適用した符号ダイバーシチ通信方式に係り、特に、誤り特性を改善できる無線LAN/OFDM用MC-CDMA符号ダイバーシチ通信方式に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線通信の高速化が急速に進んでおり、従来の主流である直接スペクトル拡散通信(Direct Sequence/Spread Spectrum: DS/SS)方式に代わる新たな通信方式として、直交波周波数分割多重(Orthogonal Frequency Division Multiplexing: OFDM)方式が注目されている。
【0003】
しかし、OFDM方式をそのまま使う方法では同じ周波数帯において多元接続を行うことが困難なため、このOFDMの中でも多元接続を可能にするOFDM/CDMA(MC[Multi Carrier]−CDMA[Code Division Multiple Access])方式の研究が盛んに行われている(非特許文献1参照)。
【0004】
また、DS/SS方式においては遠近問題下における他局間干渉の抑圧を行う方式として符号ダイバーシチが提案さており、これまでの研究によってDS/SS方式における他局間干渉抑圧の有効性が示されている(非特許文献2,3参照)。
【0005】
尚、関連する先行技術として、OFDM,MC−CDMAとアンテナダイバーシチ、サイトダイバーシチに関するものとして、特開2004−158901号公報(特許文献1)、特開2004−88767号公報(特許文献2)、特開2004−64108号公報(特許文献3)、特開2004−200856号公報(特許文献4)、特開2004−165784号公報(特許文献5)、特開2005−72882号公報(特許文献6)、特開2007−150679号公報(特許文献7)、特開2004−135328号公報(特許文献8)、特開2000−209137号公報(特許文献9)がある。
これらは、従来から用いられている複数アンテナや経路の多重パスを使用した空間ダイバーシチ技術に過ぎない。
【0006】
CDMAと直交符号によるデータ並列多重伝送に関するものとして、特開2006−197519号公報(特許文献10)、特開2004−194727号公報(特許文献11)がある。
【0007】
また、OFDMの周波数ダイバーシチに関するものとして、論文Recursive Receiver for Diversity Channel With Correlated Flat Fading, IEEE J SEl Areas Commun, Vol.21, No.5, pp.754-764 (2003.06)(非特許文献4)があるが、本発明のように他局との相関干渉抑圧と周波数ダイバーシチの双方を組み入れた本提案の符号ダイバーシチとは構成が異なっている。
【0008】
また、誤り訂正技術に関するものとして、上記非特許文献4と、論文Adaptive Modulation and Coding (AMC) for Bit-interleaved Coded OFDM(BIC-OFDM), IEEE Int Conf Commun, Vol.2004 Vol.6, pp 3197-3201 (2004) (非特許文献5)、または、同一著者、同一題目で、出典が、IEEE Trans. On Wireless Commun., Vol.5, No.7, (2006.07)(非特許文献6)があるが、単に誤り訂正符号技術における符号間距離の設計手法を開示するものである。
【0009】
そして、直接拡散スペクトル拡散方式(DS/SS方式)における符号ダイバーシチに関するものとして、特開2006−197073号公報(特許文献12)がある。
この特許文献12には、直接拡散スペクトル拡散方式(DS/SS方式)、すなわち、時間軸上での符号ダイバーシチのみを対象とし、時間軸上の符号を使用する直接拡散スペクトル方式が示されているが、本発明の符号ダイバーシチの対象であるOFDM、MC-CDMAに関しては含まれていない。
【0010】
【特許文献1】特開2004−158901号公報
【特許文献2】特開2004−88767号公報
【特許文献3】特開2004−64108号公報
【特許文献4】特開2004−200856号公報
【特許文献5】特開2004−165784号公報
【特許文献6】特開2005−72882号公報
【特許文献7】特開2007−150679号公報
【特許文献8】特開2004−135328号公報
【特許文献9】特開2000−209137号公報
【特許文献10】特開2006−197519号公報
【特許文献11】特開2004−194727号公報
【特許文献12】特開2006−197073号公報
【非特許文献1】中川正雄、OFDMとCDMAの融合変調技術、電子情報通信学会誌、Vol.84 No.9 Page.643-648 (2001.09)
【非特許文献2】関哲也、浜村昌則,太刀川信一、符号ダイバーシチによるDS/CDMAの他局間干渉抑圧の検討、電子情報通信学会技術報告、Vol.98 No.453(SST98 49-56) Page.37-42 (1998.12.11)
【非特許文献3】長谷部悟史、太刀川信一、定振幅となる合成系列によるDS/SS符号ダイバーシチ受信方式、電子情報通信学会論文誌A、Vol.J90-A No.1 Page.44-53 (2007.01.01)
【非特許文献4】Van Khanh Nguyen, Langford B. White, Emmanuel Jaffrot, Marcella Soamiadana, and Inbar Fijalkow, Recursive Receiver for Diversity Channel With Correlated Flat Fading, IEEE J SEl Areas Commun, Vol.21, No.5, pp.754-764 (2003.06)
【非特許文献5】Kee-Bong Song, Amal Ekbal, Seong Taek Chung, and John M. Cioffi, Adaptive Modulation and Coding (AMC) for Bit-interleaved Coded OFDM(BIC-OFDM), IEEE Int Conf Commun, Vol.2004 Vol.6, pp 3197-3201 (2004)
【非特許文献6】Kee-Bong Song, Amal Ekbal, Seong Taek Chung, and John M. Cioffi, Adaptive Modulation and Coding (AMC) for Bit-interleaved Coded OFDM(BIC-OFDM), IEEE Trans. On Wireless Commun., Vol.5, No.7, (2006.07)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記従来の技術、特に、ダイバーシチ技術に関しては、複数アンテナを使用し装置が大きくなる、あるいはパスダイバーシチでは伝送経路に依存した特性となる等の問題を有する。
本発明は、上述した各問題点を解決し、従来以上に伝送路変動、他局間干渉等に強い符号ダイバーシチ通信方式を提案するものである。
【0012】
尚、上記各先行技術文献のうち本発明の符号ダイバーシチと関連する技術は特許文献12である。ところが、該文献のものは時間軸上での符号ダイバーシチのみを対象とし、時間軸上の符号を使用する直接拡散スペクトル方式であったため、周波数軸での符号ダイバーシチであって、対象をマルチキャリア符号分割多元接続(MC−CDMA)とし、符号の乗算方法も周波数軸方向とした方式について十分検討されていないという問題点がある。
【0013】
したがって、本発明では、OFDM/CDMA(MC−CDMA)方式に対して符号ダイバーシチを適用し、従来方式に対する他局間干渉環境下での有効性についても以下に詳述する。
【0014】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、OFDM/CDMA(MC−CDMA)方式に対して周波数軸上での符号ダイバーシチを適用して干渉抑制効果を向上させることができる無線LAN/OFDM用MC-CDMA符号ダイバーシチ通信方式を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、直交周波数分割多重方式に対して多元接続を可能にするマルチキャリア符号分割多元接続方式に符号ダイバーシチを適用した符号ダイバーシチ通信システムであって、送信機では、入力信号をディジタル変調を行うディジタル変調器と、複数の符号系列の和を算出して、送信時に使用する拡散系列を生成する合成器と、合成器で合成された拡散系列にディジタル変調器でディジタル変調されたデータを乗算する乗算器と、該乗算器からのデータを直並列変換し、信号を周波数軸上に並べ替える直並列変換器と、直並列変換器からのデータを逆高速フーリエ変換し、信号を周波数軸上から時間軸上に並び替える逆高速フーリエ変換回路と、逆高速フーリエ変換回路からのデータを並直列変換し、伝送路に出力する並直列変換器とを有し、受信機では、伝送路から入力された信号を直並列変換し、信号を時間軸上に並び替える直並列変換器と、直並列変換器で直並列変換されたデータを高速フーリエ変換し、信号を時間軸上から周波数軸上に並び替える高速フーリエ変換回路と、高速フーリエ変換回路からのデータを並直列変換する並直列変換器と、並直列変換器で並直列変換されたデータを各ブランチに分岐して送信側で使用した複数の符号系列と乗算して相関をそれぞれ取得する復調器と、各ブランチに対して重み係数を乗算する複数の重み付け乗算器と、各重み付け乗算器からのデータを合成して各ブランチの総和を算出する合成器と、合成器で合成されたデータについて判定するデータ判定器を有することを特徴とする。
【0016】
本発明は、上記符号ダイバーシチ通信システムにおいて、重み付け乗算器が、各ブランチに対して相互相関の小さいブランチに対して、より大きな重み係数を与える反相互相関最大比合成を行うことを特徴とする。
【0017】
本発明は、上記符号ダイバーシチ通信システムにおいて、拡散系列として定振幅合成系列を使用したことを特徴とする。
【0018】
本発明は、直交周波数分割多重方式に対して多元接続を可能にするマルチキャリア符号分割多元接続方式に符号ダイバーシチを適用した符号ダイバーシチ通信方法であって、送信機では、複数の符号系列の和によって作り出された拡散系列にディジタル変調されたデータを乗算し、直並列変換を行って信号を周波数軸上に並び替え、逆高速フーリエ変換により信号を周波数軸上から時間軸上に並び替え、並直変換を行って伝送路に送信し、受信機では、直並列変換を行って信号を時間軸上に並び替え、高速フーリエ変換により信号を時間軸上から周波数軸上に並び替え、並直列変換を行ってデータを各ブランチに分岐して送信側で使用した複数の符号系列と乗算して相関をそれぞれ取得し、各ブランチに対して重み係数を乗算し、データを合成して各ブランチの総和を算出してデータの判定を行うことを特徴とする。
【0019】
本発明は、直交周波数分割多重方式に対して多元接続を可能にするマルチキャリア符号分割多元接続方式に符号ダイバーシチを適用した符号ダイバーシチ通信方法であって、送信機では、複数の周波数毎にデータを乗算し、データが乗算された複数の周波数毎に複数の符号系列の各要素の和を乗算し、乗算されたデータを合成して送信し、受信機では、複数の周波数に分離し、分離した周波数に対して各符号系列の要素を乗算し、系列毎に和を算出し、系列毎の和に対して重み係数を乗算し、乗算されたデータを合成して受信出力とすることを特徴とする。
【0020】
本発明は、上記符号ダイバーシチ通信方法において、重み係数の乗算が、各ブランチに対して相互相関の小さいブランチに対して、より大きな重み係数を与える反相互相関最大比合成を行うことを特徴とする。
【0021】
本発明は、上記符号ダイバーシチ通信方法において、拡散系列として定振幅合成系列を使用したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、直交周波数分割多重方式に対して多元接続を可能にするマルチキャリア符号分割多元接続方式に符号ダイバーシチを適用した符号ダイバーシチ通信システムであって、送信機では、ディジタル変調器が入力信号をディジタル変調を行い、合成器が複数の符号系列の和を算出して、送信時に使用する拡散系列を生成し、乗算器が合成器で合成された拡散系列にディジタル変調器でディジタル変調されたデータを乗算し、直並列変換器が該乗算器からのデータを直並列変換し、信号を周波数軸上に並べ替え、逆高速フーリエ変換回路が直並列変換器からのデータを逆高速フーリエ変換し、信号を周波数軸上から時間軸上に並び替え、並直列変換器が逆高速フーリエ変換回路からのデータを並直列変換し、伝送路に出力し、受信機では、直並列変換器が伝送路から入力された信号を直並列変換し、信号を時間軸上に並び替え、高速フーリエ変換回路が直並列変換器で直並列変換されたデータを高速フーリエ変換し、信号を時間軸上から周波数軸上に並び替え、並直列変換器が高速フーリエ変換回路からのデータを並直列変換し、復調器が並直列変換器で並直列変換されたデータを各ブランチに分岐して送信側で使用した複数の符号系列と乗算して相関をそれぞれ取得し、複数の重み付け乗算器が各ブランチに対して重み係数を乗算し、合成器が各重み付け乗算器からのデータを合成して各ブランチの総和を算出し、データ判定器が合成器で合成されたデータについて判定する符号ダイバーシチ通信システムとしているので、直交周波数分割多重方式のマルチキャリア符号分割多元接続方式に対して周波数軸上での符号ダイバーシチを適用して干渉抑制効果を向上させることができる。
【0023】
本発明によれば、直交周波数分割多重方式に対して多元接続を可能にするマルチキャリア符号分割多元接続方式に符号ダイバーシチを適用した符号ダイバーシチ通信方法であって、送信機では、複数の符号系列の和によって作り出された拡散系列にディジタル変調されたデータを乗算し、直並列変換を行って信号を周波数軸上に並び替え、逆高速フーリエ変換により信号を周波数軸上から時間軸上に並び替え、並直変換を行って伝送路に送信し、受信機では、直並列変換を行って信号を時間軸上に並び替え、高速フーリエ変換により信号を時間軸上から周波数軸上に並び替え、並直列変換を行ってデータを各ブランチに分岐して送信側で使用した複数の符号系列と乗算して相関をそれぞれ取得し、各ブランチに対して重み係数を乗算し、データを合成して各ブランチの総和を算出してデータの判定を行う符号ダイバーシチ通信方法としているので、直交周波数分割多重方式のマルチキャリア符号分割多元接続方式に対して周波数軸上での符号ダイバーシチを適用して干渉抑制効果を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る無線LAN/OFDM用MC-CDMA符号ダイバーシチ通信方式は、送信機側では、系列として複数のPN系列(直交Gold系列等)の和によって生成された拡散系列を使用し、これをPSK(Phase Shift Keying)又はQAM(Quadrature Amplitude Modulation)によりディジタル変調されたデータに対して付加し、その後、通常のMC−CDMAと同様に信号を周波数軸上に並列に並べた後に、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)により信号が時間軸上へと変換され、送信が行われ、受信機側では、受信後にFFT(Fast Fourier Transform)が行われた信号に対し、送信機側で使用した各PN系列(ブランチ)との相関を取り、各ブランチに対して、適切な重み係数を与え、その後、各ブランチの総和を取り、ディジタル復調を行うことによりデータの復調を行うものであり、伝送路変動、他局間干渉等に強い方式となる。
尚、重み係数の決定については、相互相関の小さいブランチに対してより大きな重みを与える反相互相関最大比合成を用いる。
【0025】
[符号ダイバーシチ]
符号ダイバーシチとは、多数の信号系列に同一情報を乗じて送信し、受信側では、それらの系列を個々に相関受信し、その出力に応じた重み係数を乗じて加算し、安定した出力を得るものである。
これまでの符号ダイバーシチは、特許文献12に示したように、直接拡散スペクトル拡散方式(DS/SS)を対象とし、時間軸上の符号を使用するものであった。
これに対して、本発明の実施の形態に係る符号ダイバーシチは、OFDMを用いたマルチキャリア符号分割多元接続(MC−CDMA)を対象としたものであり、周波数方向に多数の符号系列を乗じて、符号ダイバーシチを行うものであり、次世代の高速無線LANに適用可能であり、他局間干渉抑圧効果の他に、周波数ダイバーシチの効果も期待できる。
【0026】
[本システムの全体:図1]
本発明の実施の形態に係る符号ダイバーシチ通信システムについて図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る符号ダイバーシチ通信システムのモデル構成ブロック図である。
本発明の実施の形態に係る符号ダイバーシチ通信システム(本システム)は、図1に示すように、送信機(Transmitter)10と、受信機(Receiver)20とから基本的に構成されている。
尚、送信機10と受信機20との間の伝送路に、図1では加算器が設けられているが、これは、擬似的に発生させた干渉(Interference)と雑音(AWGN[Additive White Gaussian Noise:相加性白色ガウス雑音]が送信信号に混入されることを示している。
また、図示はしていないが、伝送路にインパルス性バースト雑音等が含まれる場合には、一般に、受信機20の前段に、振幅リミタが設けられる。
【0027】
[処理の概要]
本システムの送信機10と受信機20の各部を説明する前に、MC−CDMA符号ダイバーシチにおける送信機及び受信機の処理について説明する。
[送信機の処理]
符号ダイバーシチでは、送信時に使用する拡散系列を複数のPN系列の和によって作り出す。そのために合成された拡散系列は多値となる。
この拡散系列にPSK変調やQAM変調などによってディジタル変調されたデータを付加する。その後は直並列変換を行い、IFFTによって信号を周波数軸上から時間軸上へと並び替え、並直列変換を行うというOFDMと同様の変調過程を経た上で送信される。そして通信路においては白色ガウスノイズ(AWGN)や他の局からの干渉などの様々な雑音が加わる。
【0028】
[受信機の処理]
受信時には、まず通常のOFDM復調と同様の過程にてデータの並びを周波数軸方向へと変換する。そして変換された信号に対して送信側で使用したPN系列(以下ブランチ)との相関をそれぞれ取り、各ブランチに対して適切な重み係数gkを乗じ、各ブランチの総和を取ることによって信号を復元する。
【0029】
[重み係数の導出処理]
符号ダイバーシチ受信を行う際の重み係数gkについては、各ブランチに対して相互相関の小さい(干渉による影響の少ない)ブランチに対してより大きな重みを与える反相互相関最大比合成を用いる。この際の計算式は以下のように決定される。
まず、送受信に使用する中でのあるk番目のブランチに着目する。このブランチの出力について次のように定義する。
【0030】
【数1】
【0031】
ここで、Skはブランチの自局信号成分、Ikは他局による干渉成分、Nkは雑音成分である。このときに、それぞれの成分についての平均をE[Sk]、E[Ik]、E[Nk]とすると、自局、他局のデータがランダムと仮定して、
【0032】
【数2】
【0033】
となることがわかる。
また、Sk、Ik、Nkはそれぞれ独立であるため、それぞれの積の平均については、それぞれ平均の積と考えることができ、
【0034】
【数3】
【0035】
と表すことができる。
よって、式(1)の二乗平均は次のように計算することができる。
【0036】
【数4】
【0037】
ここで、自局成分が既知であると仮定すると、式(4)より干渉成分と雑音成分の分散の和、つまりはブランチに現れる信号以外の成分の分散を次のように求められる。
【0038】
【数5】
【0039】
以上の計算式より、反相互相関最大比合成を考えると、重み係数gkは以下のように表される。
【0040】
【数6】
【0041】
ここで、μは信号成分の積分出力である。
また、16QAMなどの多値に振幅変調を行うディジタル変調に対しては、式(6)をそのまま適用することはできず、以下の式によって係数gkの2乗の平均を1.0に正規化する必要がある。
ここで、Nは総ブランチ数である。
【0042】
【数7】
【0043】
[拡散系列]
今回のシミュレーションでは、2種類の方法により作成された拡散系列についてシミュレーションを行っている。以下、使用した系列について説明する。
【0044】
[直交Gold系列]
周期Nが等しいプリフェードペアと呼ばれる2種類のM系列を1ビットづつシフトしながら合成して作られる系列をGold系列という。2つのM系列から元の系列2個とGold系列N個の合計N+2個の系列を作ることができる。
【0045】
直交Gold系列は、上のように作られた系列の末尾に“1”を付加し、長さNの系列にすることによってつくられる。この系列による相互相関は0となり互いに直交する。いくつかの直交Gold系列を使用して符号ダイバーシチを行うと、その合成系列は多値の系列となる。
【0046】
[定振幅合成系列]
定振幅合成系列とは系列の総和が等しくなる(定振幅になる)ような系列のことであり、M系列を1ビットずつ巡回シフトさせた次のような系列によって作られる。各行ベクトルが個々の系列を表す。
【0047】
【数8】
【0048】
ここで、各チップの値a1,a2…aNについては、元の巡回シフトM系列のチップの値に対して以下の式で表される直交化補数αを加算して直交化されている。式中の±は、+か−のどちらか片方を使用することを示す。
【0049】
【数9】
【0050】
式(8)の各列の和は一定値となる。よって、このようにして作られた定振幅合成系列を利用することにより、送信側ではこれとは別の各局固有のPN系列を乗ずれば、出力は従来の送信信号と等価になる。従って、ダイバーシチのブランチの処理を受信側でのみ行うだけで符号ダイバーシチを実現することが可能となる。
【0051】
[本システムの各部]
図1における本システム中の各機器の機能について具体的に説明する。
[送信機]
送信機10は、図1に示すように、ディジタル変調器11と、合成器12と、乗算器13と、直並列変換器14と、IFFT回路15と、並直列変換器16とを有している。
【0052】
ディジタル変調器11は、PSK変調、QAM変調等のディジタル変調を行う。
合成器12は、複数のPN符号の和を求め、送信時に使用する拡散系列を生成する。
乗算器13は、合成器12で合成された拡散系列にディジタル変調器11からのディジタル変調されたデータを乗算する。
【0053】
直並列変換器14は、乗算器13からのデータを直並列(S/P)変換する。
IFFT回路15は、直並列変換器14からの直並列変換されたデータを逆高速フーリエ変換し、信号を周波数軸上から時間軸上へと並び替える。
並直列変換器16は、IFFT回路15からのデータを並直列(P/S)変換し、伝送路(通信路)に出力する。
【0054】
[受信機]
受信機20は、直並列変換器21と、FFT回路22と、並直列変換器23と、復調器24と、複数の重み付け乗算器25と、合成器26と、データ判定器27とを有している。
【0055】
直並列変換器21は、伝送路から入力されたデータを直並列(S/P)変換する。
FFT回路22は、直並列変換器21からの直並列変換されたデータを高速フーリエ変換する。
並直列変換器23は、FFT回路22からのデータを並直列(P/S)変換する。
【0056】
復調器24は、複数のPN系列を乗算するために複数の乗算器から構成され、並直列変換器23からの並直列変換されたデータが各ブランチに分岐して各乗算器に入力され、PN系列と乗算されて相関をそれぞれ取得する。
【0057】
複数の重み付け乗算器25は、各ブランチに対して適切な重み係数gkを乗算する。
合成器26は、各乗算器25からのデータを合成して各ブランチの総和を求める。
データ判定器27は、合成器26で合成されたデータについて±1の情報を判定する。
【0058】
[送信機の機能:図2]
次に、本システムにおける送信機10の機能について図2を参照しながら説明する。図2は、送信機10の機能説明図である。
送信機10は、図2に示すように、複数の周波数(f1〜fN)毎にデータを乗算する複数の乗算器111と、データが乗算された複数の周波数毎に系列A1(a11〜a1N)、A2(a21〜a2N)、…AM(aM1〜aMN)の和を乗算する乗算器112とを備え、系列A1〜AMが乗算されたデータを合成してアンテナから送信する。
【0059】
図2の送信機は、周波数を基準とした図となっており、図1の送信機においてS/P変換された後のデータが周波数軸上に並べられた状態を想定している。
尚、図1の送信機では、S/P変換前に時間軸でPN系列が掛けられているが、S/P変換して直列を並列に並び替え、IFFT回路15に入力(周波数並び)することは、周波数軸上に系列を掛けることと等価になる。IFFT回路15の出力は、時間関数となり、P/S変換で並列を直列にして時間軸信号として送信される。
【0060】
[受信機の機能:図3]
また、本システムにおける受信機20の機能について図3を参照しながら説明する。図3は、受信機20の機能説明図である。
受信機20は、図3に示すように、高速フーリエ変換(FFT)処理を行って周波数を分離する周波数分離器211と、分離した周波数に対して系列A1(a11〜a1N)、A2(a21〜a2N)、…AM(aM1〜aMN)を乗算する複数の乗算器212と、系列毎に和を求める合成器213と、系列毎の和に対して重み係数gkを乗算する複数の乗算器214と、乗算器214からの出力を合成して受信出力とする合成器215とを備えている。
【0061】
図3の受信機は、図2と同様、周波数を基準とした図となっている。
つまり、図1の受信機におけるS/P変換器21で時間軸信号を並列にして、FFT回路22に入力する。FFT回路22の出力は、周波数軸並びとなるので、それをP/S変換器23で並列を直列にして系列を掛ける。時間軸で系列を掛けているが、等価的に周波数軸の各周波数に系列を掛け、それを直列に出力していることになる。
【0062】
図2の送信機、図3の受信機では、MC−CDMA符号ダイバーシチにおいて、周波数軸上にどのように系列データが加えられているかを分かり易く説明するために、データの起点を各スロットの周波数にしているものである。
【0063】
[シミュレーション]
本システムにおけるMC−CDMA符号ダイバーシチ(本方式)について、従来のMC−CDMAとの比較し、また、ブランチ数や使用した符号ダイバーシチの系列による特性の違いについても説明する。
【0064】
[直交Gold系列を使用したMC−CDMA符号ダイバーシチの特性:図4〜7]
まず、直交Gold系列を用いた場合の特性について示す。ブランチ数は5とする。図4に諸元を示す。図4は、MC−CDMA符号ダイバーシチシミュレーション諸元1を示す図である。
【0065】
また、図5から図7に各ディジタル変調形式における従来法と提案法を比較した結果を示す。図5は、BPSK(Bi-Phase Shift Keying) SIR(Signal to Interference Ratio)=−10[dB]における特性の比較図であり、図6は、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying) SIR=−10[dB]における特性の比較図であり、図7は、16QAM SIR=0[dB]における特性の比較図である。
【0066】
尚、図中のCDは符号ダイバーシチ(Code Diversity)の略であり、ONは使用状態、OFFは不使用状態を示す。AVE、BEST、WORSTは干渉用拡散系列について初期位相を変化させた全パターンについての平均BER(Bit Error Rate)、最も良い位相でのBER、最も悪い位相でのBERを表している。
【0067】
図5の如く、SIR=−10[dB]において、従来法ではEb/No=10[dB]においても平均BERが3.14×10-2との結果に対して、符号ダイバーシチを適用した場合には同程度のBER3.15×10-2をEb/No=5[dB]で実現しており、このBERではEb/Noで5[dB]の改善がなされている。
【0068】
その理由は、図1および図3における重み係数の値が、式(6)によって与えられることにより、干渉の大きな符号ブランチには、小さな重み係数が乗じられ、逆に、干渉の少ない符号ブランチには、大きな重み係数が乗じられ、それらが加算され、その結果、干渉の少ない符号ブランチからの値が支配的となり、全体の信号雑音比を改善しているからである。
尚、BESTのように干渉が少ない場合には、重み計算の誤差が生じることから、幾分劣化する場合もある。しかし、WORSTのように干渉が大きい場合には、本方式で大きな効果があり、各状態の平均(AVE)としては、かなり改善している。
【0069】
図6のQPSKの場合についても、BPSKと同様に符号ダイバーシチを適用した方が良い特性を示した。符号ダイバーシチの合成系列は多値系列となるので、このQPSK変調では、いろいろな位相状態をとるこのような状態でも本発明による効果が明瞭である。
【0070】
図7の16QAMについては、BERが10-2のところで見ると約4[dB]本方式の方が改善しており、多値多相となる振幅変調を行うような方式に対しても符号ダイバーシチが有効に働くことが明らかである。
【0071】
また、これらのBERの改善は主にBER特性の悪い位相における改善によるものが大きいということが考えられる。最良のBERは本方式の方が若干悪くなっているが、それ以上に大きくBERを下げる要因となっているBERの悪い位相においてより符号ダイバーシチが効果的であるため平均のBERが改善している。
【0072】
[ブランチ数の変化によるBER特性:図8〜10]
次に、ブランチ数を変化させたときのBER特性についてシミュレーションを行った。ブランチ系列は従来方式となる。図8にその他諸元を示す。図8は、MC−CDMA符号ダイバーシチシミュレーション諸元2を示す図である。また、図9は、ブランチ数の変化によるBER特性(16QAM、Eb/No=15[dB])を示す図である。
【0073】
ブランチ数によるBER特性の変化について、図9に示すように、若干の変化はあるものの、ブランチ数を増やすほどBER特性は改善しており、これまでのシミュレーションで使用してきたブランチ数5と今回のブランチ数28とで比較するとBERで1桁オーダーで特性が改善されていることがわかる。
【0074】
しかし、ブランチ数を増やすと直交Gold系列の作成方法から分かるとおり、必ず最後のチップは同じ値になってしまうため、その送信用に合成された拡散系列は図10のように1チップだけ大きな値を持つ状態になってしまう。図10は、ブランチでの拡散系列の例を示した図である。
【0075】
これは、ほぼひとつの周期的なスロットのみを使って送信を行うことと同じになってしまい、信号スペクトルに偏りが生じる。そこで、次にこの問題が発生しない定振幅合成系列を使用してのシミュレーションを行う。
【0076】
[定振幅合成系列を使用したMC−CDAM符号ダイバーシチ:図11〜13]
拡散系列として定振幅合成系列を使用した場合のMC−CDMA符号ダイバーシチの特性についてシミュレーションを行った。図11にその諸元を示す。図11は、MC−CDMA符号ダイバーシチシミュレーション諸元3を示す図である。
【0077】
この系列のブランチ数についても、上記と同様に、ブランチ数が多い方が良い特性を得られたという結果より最大のブランチ数31とした。
また、図12は、定振幅合成系列によるMC−CDMA符号ダイバーシチBER特性を示す図であり、図13は、直交Gold系列との比較を示した図である。
【0078】
図12を見ると、定振幅合成系列符号ダイバーシチにおいても通常のMC−CDMAよりBER特性が改善していることがわかる。そのBER改善を直交Gold系列と比較したのが図13である。この図を見ると、使用している系列が違うので一概には言えないが、今回サンプルとした系列では直交Gold系列でブランチ数11のときとほぼ同じ特性が得られることがわかる。
よって、定振幅合成系列を使用した符号ダイバーシチでもBER特性を改善できることがわかった。
【0079】
[実施の形態の効果]
本発明の実施の形態に係るMC−CDMA符号ダイバーシチ方式によれば、その有効性やブランチ数や拡散系列を変えた場合の効果として、本方式のMC−CDMA符号ダイバーシチは従来法に対してより大きな干渉抑圧効果が期待でき、またそのブランチの構成や系列によってはさらにその特性を改善できるものである。
また、本方式によれば、他局間干渉抑圧効果により、誤り特性を改善できる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、OFDM/CDMA(MC−CDMA)方式に対して周波数軸上での符号ダイバーシチを適用して干渉抑制効果を向上させることができる無線LAN/OFDM用MC-CDMA符号ダイバーシチ通信方式に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の実施の形態に係る符号ダイバーシチ通信システムのモデル構成ブロック図である。
【図2】送信機の機能説明図である。
【図3】受信機の機能説明図である。
【図4】MC−CDMA符号ダイバーシチシミュレーション諸元1を示す図である。
【図5】BPSK SIR=−10[dB]における特性の比較図である。
【図6】QPSK SIR=−10[dB]における特性の比較図である。
【図7】16QAM SIR=0[dB]における特性の比較図である。
【図8】MC−CDMA符号ダイバーシチシミュレーション諸元2を示す図である。
【図9】ブランチ数の変化によるBER特性を示す図である。
【図10】ブランチでの拡散系列の例を示した図である。
【図11】MC−CDMA符号ダイバーシチシミュレーション諸元3を示す図である。
【図12】定振幅合成系列によるMC−CDMA符号ダイバーシチBER特性を示す図である。
【図13】直交Gold系列との比較を示した図である。
【符号の説明】
【0082】
10…送信機、 11…ディジタル変調器、 12…合成器、 13…乗算器、 14…直並列変換器、 15…IFFT回路、 16…並直列変換器、 20…受信機、 21…直並列変換器、 22…FFT回路、 23…並直列変換器、 24…復調器、 25…複数の重み付け乗算器、 26…合成器、 27…データ判定器、 111,112…乗算器、 211…周波数分離器、 212,214…乗算器、 213,215…合成器
【技術分野】
【0001】
本発明は、OFDM/CDMA(MC−CDMA)方式に対して符号ダイバーシチを適用した符号ダイバーシチ通信方式に係り、特に、誤り特性を改善できる無線LAN/OFDM用MC-CDMA符号ダイバーシチ通信方式に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線通信の高速化が急速に進んでおり、従来の主流である直接スペクトル拡散通信(Direct Sequence/Spread Spectrum: DS/SS)方式に代わる新たな通信方式として、直交波周波数分割多重(Orthogonal Frequency Division Multiplexing: OFDM)方式が注目されている。
【0003】
しかし、OFDM方式をそのまま使う方法では同じ周波数帯において多元接続を行うことが困難なため、このOFDMの中でも多元接続を可能にするOFDM/CDMA(MC[Multi Carrier]−CDMA[Code Division Multiple Access])方式の研究が盛んに行われている(非特許文献1参照)。
【0004】
また、DS/SS方式においては遠近問題下における他局間干渉の抑圧を行う方式として符号ダイバーシチが提案さており、これまでの研究によってDS/SS方式における他局間干渉抑圧の有効性が示されている(非特許文献2,3参照)。
【0005】
尚、関連する先行技術として、OFDM,MC−CDMAとアンテナダイバーシチ、サイトダイバーシチに関するものとして、特開2004−158901号公報(特許文献1)、特開2004−88767号公報(特許文献2)、特開2004−64108号公報(特許文献3)、特開2004−200856号公報(特許文献4)、特開2004−165784号公報(特許文献5)、特開2005−72882号公報(特許文献6)、特開2007−150679号公報(特許文献7)、特開2004−135328号公報(特許文献8)、特開2000−209137号公報(特許文献9)がある。
これらは、従来から用いられている複数アンテナや経路の多重パスを使用した空間ダイバーシチ技術に過ぎない。
【0006】
CDMAと直交符号によるデータ並列多重伝送に関するものとして、特開2006−197519号公報(特許文献10)、特開2004−194727号公報(特許文献11)がある。
【0007】
また、OFDMの周波数ダイバーシチに関するものとして、論文Recursive Receiver for Diversity Channel With Correlated Flat Fading, IEEE J SEl Areas Commun, Vol.21, No.5, pp.754-764 (2003.06)(非特許文献4)があるが、本発明のように他局との相関干渉抑圧と周波数ダイバーシチの双方を組み入れた本提案の符号ダイバーシチとは構成が異なっている。
【0008】
また、誤り訂正技術に関するものとして、上記非特許文献4と、論文Adaptive Modulation and Coding (AMC) for Bit-interleaved Coded OFDM(BIC-OFDM), IEEE Int Conf Commun, Vol.2004 Vol.6, pp 3197-3201 (2004) (非特許文献5)、または、同一著者、同一題目で、出典が、IEEE Trans. On Wireless Commun., Vol.5, No.7, (2006.07)(非特許文献6)があるが、単に誤り訂正符号技術における符号間距離の設計手法を開示するものである。
【0009】
そして、直接拡散スペクトル拡散方式(DS/SS方式)における符号ダイバーシチに関するものとして、特開2006−197073号公報(特許文献12)がある。
この特許文献12には、直接拡散スペクトル拡散方式(DS/SS方式)、すなわち、時間軸上での符号ダイバーシチのみを対象とし、時間軸上の符号を使用する直接拡散スペクトル方式が示されているが、本発明の符号ダイバーシチの対象であるOFDM、MC-CDMAに関しては含まれていない。
【0010】
【特許文献1】特開2004−158901号公報
【特許文献2】特開2004−88767号公報
【特許文献3】特開2004−64108号公報
【特許文献4】特開2004−200856号公報
【特許文献5】特開2004−165784号公報
【特許文献6】特開2005−72882号公報
【特許文献7】特開2007−150679号公報
【特許文献8】特開2004−135328号公報
【特許文献9】特開2000−209137号公報
【特許文献10】特開2006−197519号公報
【特許文献11】特開2004−194727号公報
【特許文献12】特開2006−197073号公報
【非特許文献1】中川正雄、OFDMとCDMAの融合変調技術、電子情報通信学会誌、Vol.84 No.9 Page.643-648 (2001.09)
【非特許文献2】関哲也、浜村昌則,太刀川信一、符号ダイバーシチによるDS/CDMAの他局間干渉抑圧の検討、電子情報通信学会技術報告、Vol.98 No.453(SST98 49-56) Page.37-42 (1998.12.11)
【非特許文献3】長谷部悟史、太刀川信一、定振幅となる合成系列によるDS/SS符号ダイバーシチ受信方式、電子情報通信学会論文誌A、Vol.J90-A No.1 Page.44-53 (2007.01.01)
【非特許文献4】Van Khanh Nguyen, Langford B. White, Emmanuel Jaffrot, Marcella Soamiadana, and Inbar Fijalkow, Recursive Receiver for Diversity Channel With Correlated Flat Fading, IEEE J SEl Areas Commun, Vol.21, No.5, pp.754-764 (2003.06)
【非特許文献5】Kee-Bong Song, Amal Ekbal, Seong Taek Chung, and John M. Cioffi, Adaptive Modulation and Coding (AMC) for Bit-interleaved Coded OFDM(BIC-OFDM), IEEE Int Conf Commun, Vol.2004 Vol.6, pp 3197-3201 (2004)
【非特許文献6】Kee-Bong Song, Amal Ekbal, Seong Taek Chung, and John M. Cioffi, Adaptive Modulation and Coding (AMC) for Bit-interleaved Coded OFDM(BIC-OFDM), IEEE Trans. On Wireless Commun., Vol.5, No.7, (2006.07)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記従来の技術、特に、ダイバーシチ技術に関しては、複数アンテナを使用し装置が大きくなる、あるいはパスダイバーシチでは伝送経路に依存した特性となる等の問題を有する。
本発明は、上述した各問題点を解決し、従来以上に伝送路変動、他局間干渉等に強い符号ダイバーシチ通信方式を提案するものである。
【0012】
尚、上記各先行技術文献のうち本発明の符号ダイバーシチと関連する技術は特許文献12である。ところが、該文献のものは時間軸上での符号ダイバーシチのみを対象とし、時間軸上の符号を使用する直接拡散スペクトル方式であったため、周波数軸での符号ダイバーシチであって、対象をマルチキャリア符号分割多元接続(MC−CDMA)とし、符号の乗算方法も周波数軸方向とした方式について十分検討されていないという問題点がある。
【0013】
したがって、本発明では、OFDM/CDMA(MC−CDMA)方式に対して符号ダイバーシチを適用し、従来方式に対する他局間干渉環境下での有効性についても以下に詳述する。
【0014】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、OFDM/CDMA(MC−CDMA)方式に対して周波数軸上での符号ダイバーシチを適用して干渉抑制効果を向上させることができる無線LAN/OFDM用MC-CDMA符号ダイバーシチ通信方式を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、直交周波数分割多重方式に対して多元接続を可能にするマルチキャリア符号分割多元接続方式に符号ダイバーシチを適用した符号ダイバーシチ通信システムであって、送信機では、入力信号をディジタル変調を行うディジタル変調器と、複数の符号系列の和を算出して、送信時に使用する拡散系列を生成する合成器と、合成器で合成された拡散系列にディジタル変調器でディジタル変調されたデータを乗算する乗算器と、該乗算器からのデータを直並列変換し、信号を周波数軸上に並べ替える直並列変換器と、直並列変換器からのデータを逆高速フーリエ変換し、信号を周波数軸上から時間軸上に並び替える逆高速フーリエ変換回路と、逆高速フーリエ変換回路からのデータを並直列変換し、伝送路に出力する並直列変換器とを有し、受信機では、伝送路から入力された信号を直並列変換し、信号を時間軸上に並び替える直並列変換器と、直並列変換器で直並列変換されたデータを高速フーリエ変換し、信号を時間軸上から周波数軸上に並び替える高速フーリエ変換回路と、高速フーリエ変換回路からのデータを並直列変換する並直列変換器と、並直列変換器で並直列変換されたデータを各ブランチに分岐して送信側で使用した複数の符号系列と乗算して相関をそれぞれ取得する復調器と、各ブランチに対して重み係数を乗算する複数の重み付け乗算器と、各重み付け乗算器からのデータを合成して各ブランチの総和を算出する合成器と、合成器で合成されたデータについて判定するデータ判定器を有することを特徴とする。
【0016】
本発明は、上記符号ダイバーシチ通信システムにおいて、重み付け乗算器が、各ブランチに対して相互相関の小さいブランチに対して、より大きな重み係数を与える反相互相関最大比合成を行うことを特徴とする。
【0017】
本発明は、上記符号ダイバーシチ通信システムにおいて、拡散系列として定振幅合成系列を使用したことを特徴とする。
【0018】
本発明は、直交周波数分割多重方式に対して多元接続を可能にするマルチキャリア符号分割多元接続方式に符号ダイバーシチを適用した符号ダイバーシチ通信方法であって、送信機では、複数の符号系列の和によって作り出された拡散系列にディジタル変調されたデータを乗算し、直並列変換を行って信号を周波数軸上に並び替え、逆高速フーリエ変換により信号を周波数軸上から時間軸上に並び替え、並直変換を行って伝送路に送信し、受信機では、直並列変換を行って信号を時間軸上に並び替え、高速フーリエ変換により信号を時間軸上から周波数軸上に並び替え、並直列変換を行ってデータを各ブランチに分岐して送信側で使用した複数の符号系列と乗算して相関をそれぞれ取得し、各ブランチに対して重み係数を乗算し、データを合成して各ブランチの総和を算出してデータの判定を行うことを特徴とする。
【0019】
本発明は、直交周波数分割多重方式に対して多元接続を可能にするマルチキャリア符号分割多元接続方式に符号ダイバーシチを適用した符号ダイバーシチ通信方法であって、送信機では、複数の周波数毎にデータを乗算し、データが乗算された複数の周波数毎に複数の符号系列の各要素の和を乗算し、乗算されたデータを合成して送信し、受信機では、複数の周波数に分離し、分離した周波数に対して各符号系列の要素を乗算し、系列毎に和を算出し、系列毎の和に対して重み係数を乗算し、乗算されたデータを合成して受信出力とすることを特徴とする。
【0020】
本発明は、上記符号ダイバーシチ通信方法において、重み係数の乗算が、各ブランチに対して相互相関の小さいブランチに対して、より大きな重み係数を与える反相互相関最大比合成を行うことを特徴とする。
【0021】
本発明は、上記符号ダイバーシチ通信方法において、拡散系列として定振幅合成系列を使用したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、直交周波数分割多重方式に対して多元接続を可能にするマルチキャリア符号分割多元接続方式に符号ダイバーシチを適用した符号ダイバーシチ通信システムであって、送信機では、ディジタル変調器が入力信号をディジタル変調を行い、合成器が複数の符号系列の和を算出して、送信時に使用する拡散系列を生成し、乗算器が合成器で合成された拡散系列にディジタル変調器でディジタル変調されたデータを乗算し、直並列変換器が該乗算器からのデータを直並列変換し、信号を周波数軸上に並べ替え、逆高速フーリエ変換回路が直並列変換器からのデータを逆高速フーリエ変換し、信号を周波数軸上から時間軸上に並び替え、並直列変換器が逆高速フーリエ変換回路からのデータを並直列変換し、伝送路に出力し、受信機では、直並列変換器が伝送路から入力された信号を直並列変換し、信号を時間軸上に並び替え、高速フーリエ変換回路が直並列変換器で直並列変換されたデータを高速フーリエ変換し、信号を時間軸上から周波数軸上に並び替え、並直列変換器が高速フーリエ変換回路からのデータを並直列変換し、復調器が並直列変換器で並直列変換されたデータを各ブランチに分岐して送信側で使用した複数の符号系列と乗算して相関をそれぞれ取得し、複数の重み付け乗算器が各ブランチに対して重み係数を乗算し、合成器が各重み付け乗算器からのデータを合成して各ブランチの総和を算出し、データ判定器が合成器で合成されたデータについて判定する符号ダイバーシチ通信システムとしているので、直交周波数分割多重方式のマルチキャリア符号分割多元接続方式に対して周波数軸上での符号ダイバーシチを適用して干渉抑制効果を向上させることができる。
【0023】
本発明によれば、直交周波数分割多重方式に対して多元接続を可能にするマルチキャリア符号分割多元接続方式に符号ダイバーシチを適用した符号ダイバーシチ通信方法であって、送信機では、複数の符号系列の和によって作り出された拡散系列にディジタル変調されたデータを乗算し、直並列変換を行って信号を周波数軸上に並び替え、逆高速フーリエ変換により信号を周波数軸上から時間軸上に並び替え、並直変換を行って伝送路に送信し、受信機では、直並列変換を行って信号を時間軸上に並び替え、高速フーリエ変換により信号を時間軸上から周波数軸上に並び替え、並直列変換を行ってデータを各ブランチに分岐して送信側で使用した複数の符号系列と乗算して相関をそれぞれ取得し、各ブランチに対して重み係数を乗算し、データを合成して各ブランチの総和を算出してデータの判定を行う符号ダイバーシチ通信方法としているので、直交周波数分割多重方式のマルチキャリア符号分割多元接続方式に対して周波数軸上での符号ダイバーシチを適用して干渉抑制効果を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る無線LAN/OFDM用MC-CDMA符号ダイバーシチ通信方式は、送信機側では、系列として複数のPN系列(直交Gold系列等)の和によって生成された拡散系列を使用し、これをPSK(Phase Shift Keying)又はQAM(Quadrature Amplitude Modulation)によりディジタル変調されたデータに対して付加し、その後、通常のMC−CDMAと同様に信号を周波数軸上に並列に並べた後に、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)により信号が時間軸上へと変換され、送信が行われ、受信機側では、受信後にFFT(Fast Fourier Transform)が行われた信号に対し、送信機側で使用した各PN系列(ブランチ)との相関を取り、各ブランチに対して、適切な重み係数を与え、その後、各ブランチの総和を取り、ディジタル復調を行うことによりデータの復調を行うものであり、伝送路変動、他局間干渉等に強い方式となる。
尚、重み係数の決定については、相互相関の小さいブランチに対してより大きな重みを与える反相互相関最大比合成を用いる。
【0025】
[符号ダイバーシチ]
符号ダイバーシチとは、多数の信号系列に同一情報を乗じて送信し、受信側では、それらの系列を個々に相関受信し、その出力に応じた重み係数を乗じて加算し、安定した出力を得るものである。
これまでの符号ダイバーシチは、特許文献12に示したように、直接拡散スペクトル拡散方式(DS/SS)を対象とし、時間軸上の符号を使用するものであった。
これに対して、本発明の実施の形態に係る符号ダイバーシチは、OFDMを用いたマルチキャリア符号分割多元接続(MC−CDMA)を対象としたものであり、周波数方向に多数の符号系列を乗じて、符号ダイバーシチを行うものであり、次世代の高速無線LANに適用可能であり、他局間干渉抑圧効果の他に、周波数ダイバーシチの効果も期待できる。
【0026】
[本システムの全体:図1]
本発明の実施の形態に係る符号ダイバーシチ通信システムについて図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る符号ダイバーシチ通信システムのモデル構成ブロック図である。
本発明の実施の形態に係る符号ダイバーシチ通信システム(本システム)は、図1に示すように、送信機(Transmitter)10と、受信機(Receiver)20とから基本的に構成されている。
尚、送信機10と受信機20との間の伝送路に、図1では加算器が設けられているが、これは、擬似的に発生させた干渉(Interference)と雑音(AWGN[Additive White Gaussian Noise:相加性白色ガウス雑音]が送信信号に混入されることを示している。
また、図示はしていないが、伝送路にインパルス性バースト雑音等が含まれる場合には、一般に、受信機20の前段に、振幅リミタが設けられる。
【0027】
[処理の概要]
本システムの送信機10と受信機20の各部を説明する前に、MC−CDMA符号ダイバーシチにおける送信機及び受信機の処理について説明する。
[送信機の処理]
符号ダイバーシチでは、送信時に使用する拡散系列を複数のPN系列の和によって作り出す。そのために合成された拡散系列は多値となる。
この拡散系列にPSK変調やQAM変調などによってディジタル変調されたデータを付加する。その後は直並列変換を行い、IFFTによって信号を周波数軸上から時間軸上へと並び替え、並直列変換を行うというOFDMと同様の変調過程を経た上で送信される。そして通信路においては白色ガウスノイズ(AWGN)や他の局からの干渉などの様々な雑音が加わる。
【0028】
[受信機の処理]
受信時には、まず通常のOFDM復調と同様の過程にてデータの並びを周波数軸方向へと変換する。そして変換された信号に対して送信側で使用したPN系列(以下ブランチ)との相関をそれぞれ取り、各ブランチに対して適切な重み係数gkを乗じ、各ブランチの総和を取ることによって信号を復元する。
【0029】
[重み係数の導出処理]
符号ダイバーシチ受信を行う際の重み係数gkについては、各ブランチに対して相互相関の小さい(干渉による影響の少ない)ブランチに対してより大きな重みを与える反相互相関最大比合成を用いる。この際の計算式は以下のように決定される。
まず、送受信に使用する中でのあるk番目のブランチに着目する。このブランチの出力について次のように定義する。
【0030】
【数1】
【0031】
ここで、Skはブランチの自局信号成分、Ikは他局による干渉成分、Nkは雑音成分である。このときに、それぞれの成分についての平均をE[Sk]、E[Ik]、E[Nk]とすると、自局、他局のデータがランダムと仮定して、
【0032】
【数2】
【0033】
となることがわかる。
また、Sk、Ik、Nkはそれぞれ独立であるため、それぞれの積の平均については、それぞれ平均の積と考えることができ、
【0034】
【数3】
【0035】
と表すことができる。
よって、式(1)の二乗平均は次のように計算することができる。
【0036】
【数4】
【0037】
ここで、自局成分が既知であると仮定すると、式(4)より干渉成分と雑音成分の分散の和、つまりはブランチに現れる信号以外の成分の分散を次のように求められる。
【0038】
【数5】
【0039】
以上の計算式より、反相互相関最大比合成を考えると、重み係数gkは以下のように表される。
【0040】
【数6】
【0041】
ここで、μは信号成分の積分出力である。
また、16QAMなどの多値に振幅変調を行うディジタル変調に対しては、式(6)をそのまま適用することはできず、以下の式によって係数gkの2乗の平均を1.0に正規化する必要がある。
ここで、Nは総ブランチ数である。
【0042】
【数7】
【0043】
[拡散系列]
今回のシミュレーションでは、2種類の方法により作成された拡散系列についてシミュレーションを行っている。以下、使用した系列について説明する。
【0044】
[直交Gold系列]
周期Nが等しいプリフェードペアと呼ばれる2種類のM系列を1ビットづつシフトしながら合成して作られる系列をGold系列という。2つのM系列から元の系列2個とGold系列N個の合計N+2個の系列を作ることができる。
【0045】
直交Gold系列は、上のように作られた系列の末尾に“1”を付加し、長さNの系列にすることによってつくられる。この系列による相互相関は0となり互いに直交する。いくつかの直交Gold系列を使用して符号ダイバーシチを行うと、その合成系列は多値の系列となる。
【0046】
[定振幅合成系列]
定振幅合成系列とは系列の総和が等しくなる(定振幅になる)ような系列のことであり、M系列を1ビットずつ巡回シフトさせた次のような系列によって作られる。各行ベクトルが個々の系列を表す。
【0047】
【数8】
【0048】
ここで、各チップの値a1,a2…aNについては、元の巡回シフトM系列のチップの値に対して以下の式で表される直交化補数αを加算して直交化されている。式中の±は、+か−のどちらか片方を使用することを示す。
【0049】
【数9】
【0050】
式(8)の各列の和は一定値となる。よって、このようにして作られた定振幅合成系列を利用することにより、送信側ではこれとは別の各局固有のPN系列を乗ずれば、出力は従来の送信信号と等価になる。従って、ダイバーシチのブランチの処理を受信側でのみ行うだけで符号ダイバーシチを実現することが可能となる。
【0051】
[本システムの各部]
図1における本システム中の各機器の機能について具体的に説明する。
[送信機]
送信機10は、図1に示すように、ディジタル変調器11と、合成器12と、乗算器13と、直並列変換器14と、IFFT回路15と、並直列変換器16とを有している。
【0052】
ディジタル変調器11は、PSK変調、QAM変調等のディジタル変調を行う。
合成器12は、複数のPN符号の和を求め、送信時に使用する拡散系列を生成する。
乗算器13は、合成器12で合成された拡散系列にディジタル変調器11からのディジタル変調されたデータを乗算する。
【0053】
直並列変換器14は、乗算器13からのデータを直並列(S/P)変換する。
IFFT回路15は、直並列変換器14からの直並列変換されたデータを逆高速フーリエ変換し、信号を周波数軸上から時間軸上へと並び替える。
並直列変換器16は、IFFT回路15からのデータを並直列(P/S)変換し、伝送路(通信路)に出力する。
【0054】
[受信機]
受信機20は、直並列変換器21と、FFT回路22と、並直列変換器23と、復調器24と、複数の重み付け乗算器25と、合成器26と、データ判定器27とを有している。
【0055】
直並列変換器21は、伝送路から入力されたデータを直並列(S/P)変換する。
FFT回路22は、直並列変換器21からの直並列変換されたデータを高速フーリエ変換する。
並直列変換器23は、FFT回路22からのデータを並直列(P/S)変換する。
【0056】
復調器24は、複数のPN系列を乗算するために複数の乗算器から構成され、並直列変換器23からの並直列変換されたデータが各ブランチに分岐して各乗算器に入力され、PN系列と乗算されて相関をそれぞれ取得する。
【0057】
複数の重み付け乗算器25は、各ブランチに対して適切な重み係数gkを乗算する。
合成器26は、各乗算器25からのデータを合成して各ブランチの総和を求める。
データ判定器27は、合成器26で合成されたデータについて±1の情報を判定する。
【0058】
[送信機の機能:図2]
次に、本システムにおける送信機10の機能について図2を参照しながら説明する。図2は、送信機10の機能説明図である。
送信機10は、図2に示すように、複数の周波数(f1〜fN)毎にデータを乗算する複数の乗算器111と、データが乗算された複数の周波数毎に系列A1(a11〜a1N)、A2(a21〜a2N)、…AM(aM1〜aMN)の和を乗算する乗算器112とを備え、系列A1〜AMが乗算されたデータを合成してアンテナから送信する。
【0059】
図2の送信機は、周波数を基準とした図となっており、図1の送信機においてS/P変換された後のデータが周波数軸上に並べられた状態を想定している。
尚、図1の送信機では、S/P変換前に時間軸でPN系列が掛けられているが、S/P変換して直列を並列に並び替え、IFFT回路15に入力(周波数並び)することは、周波数軸上に系列を掛けることと等価になる。IFFT回路15の出力は、時間関数となり、P/S変換で並列を直列にして時間軸信号として送信される。
【0060】
[受信機の機能:図3]
また、本システムにおける受信機20の機能について図3を参照しながら説明する。図3は、受信機20の機能説明図である。
受信機20は、図3に示すように、高速フーリエ変換(FFT)処理を行って周波数を分離する周波数分離器211と、分離した周波数に対して系列A1(a11〜a1N)、A2(a21〜a2N)、…AM(aM1〜aMN)を乗算する複数の乗算器212と、系列毎に和を求める合成器213と、系列毎の和に対して重み係数gkを乗算する複数の乗算器214と、乗算器214からの出力を合成して受信出力とする合成器215とを備えている。
【0061】
図3の受信機は、図2と同様、周波数を基準とした図となっている。
つまり、図1の受信機におけるS/P変換器21で時間軸信号を並列にして、FFT回路22に入力する。FFT回路22の出力は、周波数軸並びとなるので、それをP/S変換器23で並列を直列にして系列を掛ける。時間軸で系列を掛けているが、等価的に周波数軸の各周波数に系列を掛け、それを直列に出力していることになる。
【0062】
図2の送信機、図3の受信機では、MC−CDMA符号ダイバーシチにおいて、周波数軸上にどのように系列データが加えられているかを分かり易く説明するために、データの起点を各スロットの周波数にしているものである。
【0063】
[シミュレーション]
本システムにおけるMC−CDMA符号ダイバーシチ(本方式)について、従来のMC−CDMAとの比較し、また、ブランチ数や使用した符号ダイバーシチの系列による特性の違いについても説明する。
【0064】
[直交Gold系列を使用したMC−CDMA符号ダイバーシチの特性:図4〜7]
まず、直交Gold系列を用いた場合の特性について示す。ブランチ数は5とする。図4に諸元を示す。図4は、MC−CDMA符号ダイバーシチシミュレーション諸元1を示す図である。
【0065】
また、図5から図7に各ディジタル変調形式における従来法と提案法を比較した結果を示す。図5は、BPSK(Bi-Phase Shift Keying) SIR(Signal to Interference Ratio)=−10[dB]における特性の比較図であり、図6は、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying) SIR=−10[dB]における特性の比較図であり、図7は、16QAM SIR=0[dB]における特性の比較図である。
【0066】
尚、図中のCDは符号ダイバーシチ(Code Diversity)の略であり、ONは使用状態、OFFは不使用状態を示す。AVE、BEST、WORSTは干渉用拡散系列について初期位相を変化させた全パターンについての平均BER(Bit Error Rate)、最も良い位相でのBER、最も悪い位相でのBERを表している。
【0067】
図5の如く、SIR=−10[dB]において、従来法ではEb/No=10[dB]においても平均BERが3.14×10-2との結果に対して、符号ダイバーシチを適用した場合には同程度のBER3.15×10-2をEb/No=5[dB]で実現しており、このBERではEb/Noで5[dB]の改善がなされている。
【0068】
その理由は、図1および図3における重み係数の値が、式(6)によって与えられることにより、干渉の大きな符号ブランチには、小さな重み係数が乗じられ、逆に、干渉の少ない符号ブランチには、大きな重み係数が乗じられ、それらが加算され、その結果、干渉の少ない符号ブランチからの値が支配的となり、全体の信号雑音比を改善しているからである。
尚、BESTのように干渉が少ない場合には、重み計算の誤差が生じることから、幾分劣化する場合もある。しかし、WORSTのように干渉が大きい場合には、本方式で大きな効果があり、各状態の平均(AVE)としては、かなり改善している。
【0069】
図6のQPSKの場合についても、BPSKと同様に符号ダイバーシチを適用した方が良い特性を示した。符号ダイバーシチの合成系列は多値系列となるので、このQPSK変調では、いろいろな位相状態をとるこのような状態でも本発明による効果が明瞭である。
【0070】
図7の16QAMについては、BERが10-2のところで見ると約4[dB]本方式の方が改善しており、多値多相となる振幅変調を行うような方式に対しても符号ダイバーシチが有効に働くことが明らかである。
【0071】
また、これらのBERの改善は主にBER特性の悪い位相における改善によるものが大きいということが考えられる。最良のBERは本方式の方が若干悪くなっているが、それ以上に大きくBERを下げる要因となっているBERの悪い位相においてより符号ダイバーシチが効果的であるため平均のBERが改善している。
【0072】
[ブランチ数の変化によるBER特性:図8〜10]
次に、ブランチ数を変化させたときのBER特性についてシミュレーションを行った。ブランチ系列は従来方式となる。図8にその他諸元を示す。図8は、MC−CDMA符号ダイバーシチシミュレーション諸元2を示す図である。また、図9は、ブランチ数の変化によるBER特性(16QAM、Eb/No=15[dB])を示す図である。
【0073】
ブランチ数によるBER特性の変化について、図9に示すように、若干の変化はあるものの、ブランチ数を増やすほどBER特性は改善しており、これまでのシミュレーションで使用してきたブランチ数5と今回のブランチ数28とで比較するとBERで1桁オーダーで特性が改善されていることがわかる。
【0074】
しかし、ブランチ数を増やすと直交Gold系列の作成方法から分かるとおり、必ず最後のチップは同じ値になってしまうため、その送信用に合成された拡散系列は図10のように1チップだけ大きな値を持つ状態になってしまう。図10は、ブランチでの拡散系列の例を示した図である。
【0075】
これは、ほぼひとつの周期的なスロットのみを使って送信を行うことと同じになってしまい、信号スペクトルに偏りが生じる。そこで、次にこの問題が発生しない定振幅合成系列を使用してのシミュレーションを行う。
【0076】
[定振幅合成系列を使用したMC−CDAM符号ダイバーシチ:図11〜13]
拡散系列として定振幅合成系列を使用した場合のMC−CDMA符号ダイバーシチの特性についてシミュレーションを行った。図11にその諸元を示す。図11は、MC−CDMA符号ダイバーシチシミュレーション諸元3を示す図である。
【0077】
この系列のブランチ数についても、上記と同様に、ブランチ数が多い方が良い特性を得られたという結果より最大のブランチ数31とした。
また、図12は、定振幅合成系列によるMC−CDMA符号ダイバーシチBER特性を示す図であり、図13は、直交Gold系列との比較を示した図である。
【0078】
図12を見ると、定振幅合成系列符号ダイバーシチにおいても通常のMC−CDMAよりBER特性が改善していることがわかる。そのBER改善を直交Gold系列と比較したのが図13である。この図を見ると、使用している系列が違うので一概には言えないが、今回サンプルとした系列では直交Gold系列でブランチ数11のときとほぼ同じ特性が得られることがわかる。
よって、定振幅合成系列を使用した符号ダイバーシチでもBER特性を改善できることがわかった。
【0079】
[実施の形態の効果]
本発明の実施の形態に係るMC−CDMA符号ダイバーシチ方式によれば、その有効性やブランチ数や拡散系列を変えた場合の効果として、本方式のMC−CDMA符号ダイバーシチは従来法に対してより大きな干渉抑圧効果が期待でき、またそのブランチの構成や系列によってはさらにその特性を改善できるものである。
また、本方式によれば、他局間干渉抑圧効果により、誤り特性を改善できる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、OFDM/CDMA(MC−CDMA)方式に対して周波数軸上での符号ダイバーシチを適用して干渉抑制効果を向上させることができる無線LAN/OFDM用MC-CDMA符号ダイバーシチ通信方式に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の実施の形態に係る符号ダイバーシチ通信システムのモデル構成ブロック図である。
【図2】送信機の機能説明図である。
【図3】受信機の機能説明図である。
【図4】MC−CDMA符号ダイバーシチシミュレーション諸元1を示す図である。
【図5】BPSK SIR=−10[dB]における特性の比較図である。
【図6】QPSK SIR=−10[dB]における特性の比較図である。
【図7】16QAM SIR=0[dB]における特性の比較図である。
【図8】MC−CDMA符号ダイバーシチシミュレーション諸元2を示す図である。
【図9】ブランチ数の変化によるBER特性を示す図である。
【図10】ブランチでの拡散系列の例を示した図である。
【図11】MC−CDMA符号ダイバーシチシミュレーション諸元3を示す図である。
【図12】定振幅合成系列によるMC−CDMA符号ダイバーシチBER特性を示す図である。
【図13】直交Gold系列との比較を示した図である。
【符号の説明】
【0082】
10…送信機、 11…ディジタル変調器、 12…合成器、 13…乗算器、 14…直並列変換器、 15…IFFT回路、 16…並直列変換器、 20…受信機、 21…直並列変換器、 22…FFT回路、 23…並直列変換器、 24…復調器、 25…複数の重み付け乗算器、 26…合成器、 27…データ判定器、 111,112…乗算器、 211…周波数分離器、 212,214…乗算器、 213,215…合成器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直交周波数分割多重方式に対して多元接続を可能にするマルチキャリア符号分割多元接続方式に符号ダイバーシチを適用した符号ダイバーシチ通信システムであって、
送信機では、入力信号をディジタル変調を行うディジタル変調器と、複数の符号系列の和を算出して、送信時に使用する拡散系列を生成する合成器と、前記合成器で合成された拡散系列に前記ディジタル変調器でディジタル変調されたデータを乗算する乗算器と、前記乗算器からのデータを直並列変換し、信号を周波数軸上に並べ替える直並列変換器と、前記直並列変換器からのデータを逆高速フーリエ変換し、信号を周波数軸上から時間軸上に並び替える逆高速フーリエ変換回路と、前記逆高速フーリエ変換回路からのデータを並直列変換し、伝送路に出力する並直列変換器とを有し、
受信機では、前記伝送路から入力された信号を直並列変換し、信号を時間軸上に並び替える直並列変換器と、前記直並列変換器で直並列変換されたデータを高速フーリエ変換し、信号を時間軸上から周波数軸上に並び替える高速フーリエ変換回路と、前記高速フーリエ変換回路からのデータを並直列変換する並直列変換器と、前記並直列変換器で並直列変換されたデータを各ブランチに分岐して送信側で使用した複数の符号系列と乗算して相関をそれぞれ取得する復調器と、各ブランチに対して重み係数を乗算する複数の重み付け乗算器と、前記各重み付け乗算器からのデータを合成して各ブランチの総和を算出する合成器と、前記合成器で合成されたデータについて判定するデータ判定器を有することを特徴とする符号ダイバーシチ通信システム。
【請求項2】
重み付け乗算器が、各ブランチに対して相互相関の小さいブランチに対して、より大きな重み係数を与える反相互相関最大比合成を行うことを特徴とする請求項1記載の符号ダイバーシチ通信システム。
【請求項3】
拡散系列として定振幅合成系列を使用したことを特徴とする請求項1又は2記載の符号ダイバーシチ通信システム。
【請求項4】
直交周波数分割多重方式に対して多元接続を可能にするマルチキャリア符号分割多元接続方式に符号ダイバーシチを適用した符号ダイバーシチ通信方法であって、
送信機では、複数の符号系列の和によって作り出された拡散系列にディジタル変調されたデータを乗算し、直並列変換を行って信号を周波数軸上に並び替え、逆高速フーリエ変換により信号を周波数軸上から時間軸上に並び替え、並直変換を行って伝送路に送信し、
受信機では、直並列変換を行って信号を時間軸上に並び替え、高速フーリエ変換により信号を時間軸上から周波数軸上に並び替え、並直列変換を行ってデータを各ブランチに分岐して送信側で使用した複数の符号系列と乗算して相関をそれぞれ取得し、各ブランチに対して重み係数を乗算し、データを合成して各ブランチの総和を算出してデータの判定を行うことを特徴とする符号ダイバーシチ通信方法。
【請求項5】
直交周波数分割多重方式に対して多元接続を可能にするマルチキャリア符号分割多元接続方式に符号ダイバーシチを適用した符号ダイバーシチ通信方法であって、
送信機では、複数の周波数毎にデータを乗算し、データが乗算された複数の周波数毎に複数の符号系列の各要素の和を乗算し、乗算されたデータを合成して送信し、
受信機では、前記複数の周波数に分離し、分離した周波数に対して各符号系列の要素を乗算し、系列毎に和を算出し、系列毎の和に対して重み係数を乗算し、乗算されたデータを合成して受信出力とすることを特徴とする符号ダイバーシチ通信方法。
【請求項6】
重み係数の乗算が、各ブランチに対して相互相関の小さいブランチに対して、より大きな重み係数を与える反相互相関最大比合成を行うことを特徴とする請求項4又は5記載の符号ダイバーシチ通信方法。
【請求項7】
拡散系列として定振幅合成系列を使用したことを特徴とする請求項4乃至6のいずれか記載の符号ダイバーシチ通信方法。
【請求項1】
直交周波数分割多重方式に対して多元接続を可能にするマルチキャリア符号分割多元接続方式に符号ダイバーシチを適用した符号ダイバーシチ通信システムであって、
送信機では、入力信号をディジタル変調を行うディジタル変調器と、複数の符号系列の和を算出して、送信時に使用する拡散系列を生成する合成器と、前記合成器で合成された拡散系列に前記ディジタル変調器でディジタル変調されたデータを乗算する乗算器と、前記乗算器からのデータを直並列変換し、信号を周波数軸上に並べ替える直並列変換器と、前記直並列変換器からのデータを逆高速フーリエ変換し、信号を周波数軸上から時間軸上に並び替える逆高速フーリエ変換回路と、前記逆高速フーリエ変換回路からのデータを並直列変換し、伝送路に出力する並直列変換器とを有し、
受信機では、前記伝送路から入力された信号を直並列変換し、信号を時間軸上に並び替える直並列変換器と、前記直並列変換器で直並列変換されたデータを高速フーリエ変換し、信号を時間軸上から周波数軸上に並び替える高速フーリエ変換回路と、前記高速フーリエ変換回路からのデータを並直列変換する並直列変換器と、前記並直列変換器で並直列変換されたデータを各ブランチに分岐して送信側で使用した複数の符号系列と乗算して相関をそれぞれ取得する復調器と、各ブランチに対して重み係数を乗算する複数の重み付け乗算器と、前記各重み付け乗算器からのデータを合成して各ブランチの総和を算出する合成器と、前記合成器で合成されたデータについて判定するデータ判定器を有することを特徴とする符号ダイバーシチ通信システム。
【請求項2】
重み付け乗算器が、各ブランチに対して相互相関の小さいブランチに対して、より大きな重み係数を与える反相互相関最大比合成を行うことを特徴とする請求項1記載の符号ダイバーシチ通信システム。
【請求項3】
拡散系列として定振幅合成系列を使用したことを特徴とする請求項1又は2記載の符号ダイバーシチ通信システム。
【請求項4】
直交周波数分割多重方式に対して多元接続を可能にするマルチキャリア符号分割多元接続方式に符号ダイバーシチを適用した符号ダイバーシチ通信方法であって、
送信機では、複数の符号系列の和によって作り出された拡散系列にディジタル変調されたデータを乗算し、直並列変換を行って信号を周波数軸上に並び替え、逆高速フーリエ変換により信号を周波数軸上から時間軸上に並び替え、並直変換を行って伝送路に送信し、
受信機では、直並列変換を行って信号を時間軸上に並び替え、高速フーリエ変換により信号を時間軸上から周波数軸上に並び替え、並直列変換を行ってデータを各ブランチに分岐して送信側で使用した複数の符号系列と乗算して相関をそれぞれ取得し、各ブランチに対して重み係数を乗算し、データを合成して各ブランチの総和を算出してデータの判定を行うことを特徴とする符号ダイバーシチ通信方法。
【請求項5】
直交周波数分割多重方式に対して多元接続を可能にするマルチキャリア符号分割多元接続方式に符号ダイバーシチを適用した符号ダイバーシチ通信方法であって、
送信機では、複数の周波数毎にデータを乗算し、データが乗算された複数の周波数毎に複数の符号系列の各要素の和を乗算し、乗算されたデータを合成して送信し、
受信機では、前記複数の周波数に分離し、分離した周波数に対して各符号系列の要素を乗算し、系列毎に和を算出し、系列毎の和に対して重み係数を乗算し、乗算されたデータを合成して受信出力とすることを特徴とする符号ダイバーシチ通信方法。
【請求項6】
重み係数の乗算が、各ブランチに対して相互相関の小さいブランチに対して、より大きな重み係数を与える反相互相関最大比合成を行うことを特徴とする請求項4又は5記載の符号ダイバーシチ通信方法。
【請求項7】
拡散系列として定振幅合成系列を使用したことを特徴とする請求項4乃至6のいずれか記載の符号ダイバーシチ通信方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−171169(P2009−171169A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−6441(P2008−6441)
【出願日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【出願人】(304021288)国立大学法人長岡技術科学大学 (458)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【出願人】(304021288)国立大学法人長岡技術科学大学 (458)
【Fターム(参考)】
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