説明

無電解ニッケル廃棄物のリサイクル方法

【課題】本発明はナトリウムイオン及び硫酸イオンを実質的に含まない浴をイオン交換リサイクル技術と組み合わせることで、無電解ニッケル廃棄物の問題を実質的に無くすことを目的とする。
【解決手段】還元剤として次亜リン酸イオンを利用し、硫酸及びナトリムイオンを実質的に含まない無電解ニッケルめっき浴が提供される。めっき浴中の使用済みニッケルがイオン交換樹脂を使用して取り除かれ、残留排液は肥料組成物の製造に使用できる。ニッケルは、めっき浴に戻される介在物に処理される。よって、本発明の処理により、有害廃棄物を放出しないで溶液を無期限で使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、還元剤として次亜リン酸イオンを利用する無電解ニッケルめっき溶液、及び有害廃棄物を排出せずに該溶液を永久に使用する再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無電解ニッケルめっきは、ニッケルイオンを含み、且つ溶液中のニッケルイオンを金属ニッケルに還元できる適切な化学還元剤を利用する処理溶液からニッケル合金析出において触媒作用を起こし得る基板上にニッケル合金を析出する。これらの還元剤は、一般的に、ホウ化水素及び次亜リン酸イオンを含む。一般的に、無電解ニッケルめっきは、還元剤として次亜リン酸イオンを利用して行われる。次亜リン酸塩は、触媒性表面でニッケルを還元するので、ある程度のリンがニッケルと一緒に析出され、約6%〜12%のリンを含むニッケル/リン合金を得る。この合金は、耐食性、(熱処理後)硬度、及び耐摩耗性の点で固有の特性を有する。無電解ニッケルめっきの一般的な用途は、エレクトロニクス、コンピュータ、バルブ、航空機部品、コピー機、及びタイプライター部品等を含む。
【0003】
工学の観点から無電解ニッケル析出物には多くの利点があるにも関わらず、無電解ニッケルの析出は、著しく廃棄物を生じる。ニッケル還元に使用される次亜リン酸塩のほとんどが酸化されて亜リン酸塩となり処理溶液に残留し、浴を交換せざるを得なくなるまで濃度が増加する。同様に、ほとんどの商業的方法においてニッケル源は、硫酸ニッケルであるため、硫酸イオンもまた処理溶液に蓄積される。浴の操作中、pHが低くなる傾向があり、アンモニア又は炭酸カリウム溶液を加えることで調整される。ここでもまた、これらのイオン濃度は、浴操作中に増加する。最終的に、浴が飽和して(又は飽和する前に商業的操作にしては金属析出速度が遅すぎる場合)、浴を交換する必要がある。廃棄処分の時点で、廃液は、一般的に、ニッケルイオン、(次亜リン酸ナトリウムからの)ナトリウムイオン、カリウム及び/又はアンモニウムイオン、次亜リン酸イオン、亜リン酸イオン、硫酸イオン、及び様々な有機錯形成剤(complexant)(乳酸又はグリコール酸等)を含む。
【0004】
めっき処理中、ニッケル及び次亜リン酸イオンが、継続的に消費され、浴の化学的バランスを維持するためにニッケル及び次亜リン酸イオンを補充しなければならない。溶液中の亜リン酸塩レベルが増加するにつれて、めっきの質及び効率が低下し、一般的に、補充によって最初のニッケル分が4回交換された後、めっき浴を廃棄することが必要となる。これは、金属の「ターンオーバー」として公知である。
【0005】
無電解ニッケルめっき浴から生成される廃棄物を最小化するために、めっき浴においてニッケルがリサイクル、再利用されるように、無電解ニッケル廃棄溶液からニッケル沈殿させるために様々な方法が開発されてきた。例えば、特許文献1は、廃棄する電解質を高温で分解し、沈殿した金属を分離することを含み、その主題を本明細書中に参照によりその全体を援用する。非特許文献1は、周囲温度で水素化ホウ素ナトリウムを使用してニッケルを沈殿させ、次に、残留ニッケルをジメチルジチオカルバミン酸ナトリウムで沈殿させて取り除くことを示し、その主題を本明細書中に参照によりその全体を援用する。特許文献2は、無電解ニッケル廃棄物からニッケル沈殿させるためのシュウ酸の使用を記載し、その主題を本明細書中に参照によりその全体を援用する。得られる残液が下水管路に放出される。特許文献3は、イオン交換を用いて無電解廃棄物からニッケルを取り除き、次に、酸化マグネシウム及びカルシウムを用いてニッケルを含まない廃棄物の流れ(stream)から亜リン酸イオンを取り除くことを記載し、その主題を本明細書中に参照によりその全体を援用する。ほとんどの場合、ニッケルが分離された後に残るスラッジは、廃棄場に廃棄される。
【0006】
しかしながら、上記の方法はいずれもニッケルが沈殿した後の排液の廃棄問題に関して述べていないと考えられる。化学廃棄物の廃棄場への廃棄は、費用がより高く、より困難になっており、且つ環境を汚染する恐れがある。無電解ニッケル廃棄物に存在する亜リン酸イオン及びアンモニウムイオンは、肥料として利用できる可能性がある。亜リン酸アンモニウム(ammonium phosphite)は、植物の葉から吸収される優れたリン源である。しかしながら、無電解ニッケル廃棄物中にナトリム及び硫酸イオンが存在することで、肥料中間体として大規模な使用が妨げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願第4,956,097号明細書(Courduvelis)
【特許文献2】米国特許出願第4,954,265号明細書(Greenberg等)
【特許文献3】米国特許出願第5,112,392号明細書(Anderson等)
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】米国法定発明登録番号H1,852(Alexander等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の発明者らは、ニッケル源と還元剤との組み合わせとして、次亜リン酸ニッケルに基づく無電解ニッケル溶液を利用して、適切な陽イオン交換樹脂を用いて廃棄物の流れからニッケルイオンを取り除き、(次亜リン酸ニッケルを改質して)次亜リン酸で樹脂を再生し、及び得られる溶液を使用して新しい無電解ニッケル溶液を製造することができることを発見した。ニッケル除去及びリサイクル後の残留排液は、主に亜リン酸アンモニウムからなる。なぜならば、最初の無電解ニッケル浴の操作中にナトリウム又は硫酸イオンが導入されないからである。よって、物質は、肥料用途の使用に適している。ナトリウムイオン及び硫酸イオンを実質的に含まない浴をイオン交換リサイクル技術と組み合わせることで、無電解ニッケル廃棄物の問題が実質的に無くなる。
【0010】
ナトリムイオンは、肥料濃縮物の作製に好ましくないが、カリウムイオンは、必須の鉱物として加えられることが多い。本発明の浴の操作中、酸形態ではなく、イオン交換樹脂のカリウム形態を使用して、(炭酸カリウム又は水酸化カリウムで浴のpHを維持することで)浴の維持中及び/又はニッケル再生工程中にカリウムイオンも含むことができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、改良された無電解ニッケルめっき浴液の提供を目的とする。
【0012】
更に、本発明は、廃棄物処理の問題を実質的に解消する、無電解ニッケル廃棄物の改良されたリサイクル方法を提供することを目的とする。
【0013】
更に、本発明は、永久使用するために再生可能な無電解ニッケルめっき浴溶液を提供することを目的とする。
【0014】
更に、本発明は、永久操作及び再生可能であり、且つ再生工程中に有害廃棄物の生成を防ぐ無電解ニッケルめっき浴液を提供することを目的とする。
【0015】
そのため、本発明は、無電解ニッケルめっき浴が、硫酸及びナトリムイオンを実質的に含まない無電解ニッケルめっき浴の操作及び再生方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の無電解ニッケル再処理方法の一実施形態のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、無電解ニッケルを析出し、使用済み無電解ニッケル溶液を再生する無電解ニッケルめっき浴液の再処理方法に関する。
【0018】
無電解ニッケル廃棄物を完全にリサイクル可能にするために、得られる排液が肥料物質若しくは中間体としての利用を妨げるナトリムイオン、硫酸イオン、若しくは他のイオン、又は可溶性種の相当量を含まないプロセスを操作する必要がある。
【0019】
そのため、本発明は、無電解ニッケルめっき浴の操作及びリサイクル方法に関し、該無電解ニッケルめっき浴が実質的に硫酸及びナトリムイオンを含まず、該方法は、下記工程を含む。
(1)無電解ニッケルめっき浴がニッケルイオン源及び次亜リン酸イオン源を含む無電解ニッケルめっき浴から基板に無電解ニッケルを析出する工程。
(2)めっき浴のニッケルイオン及び次亜リン酸イオンを適切な濃度に維持する工程。
(3)金属ターンオーバーが所望の回数に達するまでめっき浴を操作する工程。
めっき浴が「使用済み」となるため、継続的に操作するために交換する必要がある。一般的に、めっき浴は、少なくとも約4回金属ターンオーバー後に使用済みとなる。
(4)陽イオン交換樹脂により使用済み無電解ニッケルめっき溶液の一部を処理してニッケルを分離する工程。ニッケルが取り除かれた後、亜リン酸塩溶液は、亜リン酸アンモニウム(ammonium phosphite)、次亜リン酸アンモニウム、及び有機酸残留物を含む。得られた材料は、亜リン酸アンモニウム、次亜リン酸アンモニウム、及び少量の有機酸からなり、例えば、肥料成分(カリウムイオンも導入されると、混合物はまた亜リン酸カリウム(potassium phosphite)も含む。)としての用途にリサイクルされてもよいが、これに限定されない。
(5)次亜リン酸で陽イオン交換樹脂を再生して過剰な次亜リン酸で亜リン酸ニッケル希釈液を生成する工程。
(6)炭酸ニッケル、水酸化ニッケル、酸化ニッケル、及びその組み合わせからなる群より選択されるニッケルイオン源を溶液に加え、必要に応じて、更に次亜リン酸を加えることで工程(5)の溶液のニッケル濃度を増加する工程。
(7)工程(6)の濃縮されたニッケル溶液を工程(2)のめっき浴に加えて、めっき浴のニッケルイオン濃度を調整する工程。
【0020】
浴からの排液が液状肥料組成物に使用することができるように、浴のナトリウム及び/又は硫酸イオンの混入を実質的に排除することが非常に望まれている。よって、陽イオン交換樹脂で処理した後の亜リン酸塩溶液のナトリウム含量及び硫酸含量は、概して、約10g/L未満であるのが好ましい。
【0021】
陽イオン交換樹脂による処理によりニッケルが亜リン酸塩溶液から分離した後で、亜リン酸塩溶液中のニッケル濃度は、通常、約5mg/L未満である。必要であれば、ジメチルジチオカルバミン酸又はジエチルジチオカルバミン酸イオンで亜リン酸塩溶液を処理することで、亜リン酸塩溶液から更にニッケルが取り除かれ、亜リン酸塩溶液中のニッケル濃度が約0.1mg/L未満に調整される。
【0022】
一実施形態において、蒸発又は逆浸透技術を使用して亜リン酸塩溶液が濃縮される。亜リン酸塩溶液は、多くても微量のナトリム及び硫酸イオンを含むため、亜リン酸溶液が液状肥料組成物又は肥料組成物を作製するプロセスにおける中間体として使用可能である。
【0023】
好適な実施形態において、無電解ニッケルめっき溶液中のニッケル源は炭酸ニッケルである。ナトリウム及び硫酸イオンの混入が最小化されるならば、他のニッケル源もまた、本発明の実施に際して使用してもよい。めっき浴が、また、任意で、好ましくは、酢酸、乳酸、又はその組み合わせを含む。めっき浴が、また、任意で、好ましくは、鉛イオン源、ヨウ素酸イオン源、又はその組み合わせを含む。
【0024】
概して、無電解ニッケルめっき浴のpHは、好ましくは、約4〜6に維持される。一実施形態において、無電解ニッケル溶液のpHは、アンモニア、炭酸カリウム、水酸化カリウム、及びその組み合わせからなる群より選択されるpH調整剤により調整される。
【0025】
無電解ニッケル溶液の温度は、通常、約85℃〜95℃で維持される。
【0026】
陽イオン樹脂再生工程中、溶液のpHが約4よりも高く維持されるため、ニッケルの交換反応が遅くならない。
【0027】
上記方法を使用することで、廃棄物の流れのニッケルが完全にリサイクル可能となり、得られた排液は肥料物質として有用である。この様に、無電解ニッケル廃棄物の廃棄物処理問題は、実質的に解消される。
【0028】
図1は、本発明の無電解ニッケル再処理方法の一実施形態のフローチャートを示す。図1は、本発明の無電解ニッケルめっき浴を再生するために無電解ニッケルめっき浴がどのように操作されるかを示す。
【実施例】
【0029】
本発明は、更に下記実施例を参照して記載されるが、本発明は、これらに限定されない。
【0030】
実施例1
無電解ニッケル溶液が下記配合によって作製された
ニッケル金属 6g/L(炭酸ニッケルとして添加)
次亜リン酸 27g/L
酢酸 18g/L
乳酸 26g/L
鉛 2ppm
ヨウ素酸アンモニウム 200ppm
アンモニア溶液 pHを4.8に調整するのに十分な量
浴は88℃〜90℃で操作された。ニッケルが浴でめっきされ、次亜リン酸アンモニウム及び次亜リン酸ニッケルを浴に加えることで次亜リン酸塩及びニッケルの濃度が維持された。浴のpHは、アンモニア溶液を加えることで維持された。酢酸鉛として鉛及びヨウ素酸アンモニウムを加えることで、鉛及びヨウ素酸塩の濃度が維持された。
【0031】
浴は、4回金属「ターンオーバー」が達成されるまでこのように操作された。この時点で、浴を分析すると下記組成を含むことを示した。
ニッケル金属 6g/L
次亜リン酸イオン 25g/L
酢酸 20g/L
乳酸 28g/L
亜リン酸アンモニウム(ammonium phosphite)
180g/L
「使用済み」溶液が、陽イオン交換樹脂(レバチット(Lewatit)(登録商標)TP OC1026,ランクセス株式会社製)により循環された。この樹脂は、作業が始まる前に、ナトリウム形態で供給され、次亜リン酸を通すことで酸形態の樹脂が生成され、そして水で十分にすすがれた。
【0032】
溶液は循環するため、溶液中のニッケルイオンが樹脂によって取り除かれることで溶液のpHの低下が観察された。pHが4未満の場合、ニッケル交換反応が遅くなるため、溶液のpHを4よりも高く維持するためにアンモニアが処理中に加えられた。
【0033】
処理の後、溶液のニッケル含量が分析され、5mg/L未満であることが分かった。残留ニッケルは、pH濃度をpH8に上げ、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムを加えることで、残留ニッケルを沈殿させ、濾過で取り除くことが出来た。この処理後、ニッケル含量が0.1mg/L未満であることが分かった。
【0034】
樹脂のニッケル保持能は、樹脂1kgに対してニッケル約40gであることが分かった。
【0035】
上記処理後、亜リン酸塩含有溶液は肥料配合への取り込みに適していた。異なる成分の濃度は以下のように分析された。
次亜リン酸イオン 25g/L
酢酸イオン 20g/L
乳酸イオン 28g/L
亜リン酸アンモニウム(ammonium phosphite)
180g/L
ニッケルイオンを含む陽イオン交換樹脂が、20%次亜リン酸を使用して再生された。再生された排液における過剰な酸性度は、炭酸ニッケルで中和され、得られた次亜リン酸ニッケル濃縮物が、ニッケルの製造に再利用することができた。
【0036】
上記実施例は、無電解ニッケル廃棄物を完全にリサイクルする本発明のプロセスの可能性を明らかに示す。上記実施例にはアルカリ金属の説明文を含まないが、これらの少量が最終製品の品質をそれほど損なわずにプロセスで利用されてもよい。例えば、安定剤に使用されるヨウ素酸塩は、品質を損なわずヨウ素酸ナトリウムとして加えてもよく、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムを使用する最終ニッケル沈殿の間に導入される、ごく微量のナトリウムイオンもまた有害ではない。同様に、少量の硫酸イオンは、プロセスで生成される亜リン酸アンモニウム溶液の品質に大きな影響を与えない。
【0037】
実施例2
実施例1に記載の浴が88℃〜90℃で操作された。浴からニッケルがめっきされ、次亜リン酸塩及びニッケルの濃度が次亜リン酸アンモニウム及び次亜リン酸ニッケルを加えることで維持された。浴のpHが炭酸カリウム溶液を加えることで維持された。
鉛及びヨウ素酸塩の濃度が、酢酸鉛として鉛及びヨウ素酸アンモニウムを加えることで維持された。
【0038】
金属「ターンオーバー」が4回行われるまで、浴がこのように操作された。この時点で、浴を分析すると下記組成物を得た。
ニッケル金属 6g/L
次亜リン酸イオン 25g/L
酢酸 20g/L
乳酸 28g/L
亜リン酸イオン 125g/L
カリウムイオン 120g/L
アンモニウムイオン 25g/L
【0039】
そして、実施例1に記載の方法で浴からニッケルイオンが取り除かれたが、樹脂の酸形態を使用する代わりに、まず始めに水酸化カリウム希釈液で樹脂の酸形態を処理することで樹脂のカリウム形態を生成した。これは、イオン交換処理によって、引き続きカリウムイオンが取り除かれることを防いだ。この場合、溶液のpHがニッケル除去処理の間に大きく変化しなかった。ニッケル除去後、溶液を分析すると以下の通りであった。
次亜リン酸イオン 25g/L
酢酸 20g/L
乳酸 28g/L
亜リン酸イオン 125g/L
カリウムイオン 125g/L
アンモニウムイオン 25g/L
【0040】
この実施例は、この方法で生成できるカリウムイオン含有濃縮物を示す。アンモニアと炭酸カリウムとの併用により浴を維持することで、最終混合物中に窒素、カリウム、及びリン濃度を広範囲で得ることができる。実施例1及び2において、蒸発又は逆浸透を含む更なる濃縮段階を使用して物質を更に濃縮することができることに注目すべきである。4回を超える金属ターンオーバーに対する無電解ニッケル浴の操作もまた、より高濃度の亜リン酸塩を生成する。
【0041】
よって、上記目的は、前述の記載から明らかとなり、効果的に達成され、本発明の範囲及び精神から逸脱しない範囲で上記説明をいくらか変更してもよいため、上記記載又は添付の図面に示す全ての内容は例示として解釈されるべきであり、限定的な意味ではないことを意図する。
また、下記特許請求の範囲は本明細書に記載される本発明の包括的な及び特定の特徴の全てに及ぶことを意図し、言語として本発明の範囲の全記述はそれらに該当することも明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無電解ニッケルめっき浴の操作及び再生方法であって、該無電解ニッケルめっき浴は硫酸及びナトリムイオンを実質的に含まず、前記方法は、
a)ニッケルイオン源及び次亜リン酸イオン源を含む前記無電解ニッケルめっき浴から基板に無電解ニッケルを析出する工程、
b)前記めっき浴のニッケルイオン及び次亜リン酸イオンを適切な濃度に維持する工程、
c)金属ターンオーバーが所望の回数に達するまで前記めっき浴を操作する工程、
d)陽イオン交換樹脂により無電解ニッケルめっき溶液の一部を処理してニッケルを分離する工程、
前記ニッケルが取り除かれた後、亜リン酸塩溶液は、亜リン酸アンモニウム(ammonium phosphite)、次亜リン酸アンモニウム、及び有機酸残留物を含む。
e)次亜リン酸で前記陽イオン交換樹脂を再生して過剰な次亜リン酸で亜リン酸ニッケル希釈液を生成する工程、
f)炭酸ニッケル、水酸化ニッケル、酸化ニッケル、及びその組み合わせからなる群より選択されるニッケルイオン源を前記溶液に加えることで、前記工程e)の亜リン酸ニッケル希釈液のニッケル濃度を増加させて濃縮ニッケル溶液を形成する工程、及び
g)前記工程f)の濃縮ニッケル溶液を前記工程b)のめっき浴に加えて前記めっき浴のニッケルイオン濃度を維持する工程
を含むことを特徴とする無電解ニッケルめっき浴の操作及び再生方法。
【請求項2】
陽イオン交換樹脂による処理後の亜リン酸塩溶液のナトリウム含量は、約10g/L未満である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
陽イオン交換樹脂による処理後の亜リン酸塩溶液の硫酸含量は、約10g/L未満である請求項1に記載の方法。
【請求項4】
陽イオン交換樹脂による処理後の亜リン酸塩溶液のニッケル含量は、約5mg/L未満である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
亜リン酸塩溶液をジメチルジチオカルバミン酸イオン及びジエチルジチオカルバミン酸イオンのいずれかで処理することで、前記亜リン酸塩溶液から更にニッケルイオンを取り除く工程を含み、該工程により前記亜リン酸塩溶液中のニッケル含量が約0.1mg/L未満となる請求項4に記載の方法。
【請求項6】
蒸発又は逆浸透技術を使用する亜リン酸塩溶液の濃縮工程を更に含む請求項4に記載の方法。
【請求項7】
亜リン酸塩溶液が液状肥料組成物として使用できる請求項6に記載の方法。
【請求項8】
無電解ニッケルめっき溶液中のニッケル源が炭酸ニッケルである請求項1に記載の方法。
【請求項9】
めっき浴が、酢酸、乳酸、又はその組み合わせを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
めっき浴が、鉛イオン源、ヨウ素酸イオン源、又はその組み合わせを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
無電解ニッケル溶液のpHが約4.0〜6.0である請求項1に記載の方法。
【請求項12】
無電解ニッケル溶液のpHが、アンモニア、炭酸カリウム、水酸化カリウム、およびその組み合わせからなる群より選択されるpH調整剤を加えることで調整される請求項11に記載の方法。
【請求項13】
無電解ニッケル溶液の温度が約85℃〜95℃である請求項1に記載の方法。
【請求項14】
工程d)の間の溶液のpHが約4よりも高い請求項1に記載の方法。
【請求項15】
工程c)において、少なくとも4回ターンオーバーすることでニッケルめっき浴が処理される請求項1に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2010−522826(P2010−522826A)
【公表日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−500901(P2010−500901)
【出願日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際出願番号】PCT/US2008/000369
【国際公開番号】WO2008/118246
【国際公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(502304286)マクダーミッド アキューメン インコーポレーテッド (9)
【Fターム(参考)】