説明

焼き網の焼き焦げ除去及び洗浄前処理装置およびその方法

【課題】 焼き肉店や焼き鳥店などの焼き網に付着した焼き焦げなどを洗剤を使用することなく前処理して、短時間で効率よく焼き焦げを除去するための前処理装置の提供。
【解決手段】 洗浄水を入れる水槽部2を形成し、該水槽部2の側壁4の際に水槽部2内を照射する紫外線ランプ5を配設し、水槽部2の側壁4の際の紫外線ランプ5の内側領域に焼き網16を配設して前処理するための前処理領域とし、この前処理領域の下部にオゾンを噴出するオゾン噴出器具6を配設し、水槽部2外の側部にオゾン発生装置20を付設し、このオゾン発生装置20からオゾン噴出器具6にオゾン含有の空気を供給する供給管7を配設した焼き網16の焼き焦げ除去及び洗浄前処理装置1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、焼き肉や焼き鳥あるいは焼き魚などを業務用として焼くために使用するステンレス製の焼き網に付着した油や肉などの焼き焦げなどを除去洗浄するための前処理装置およびその前処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
焼き肉店や焼き鳥店あるいはうなぎ屋などの料理店は、営業用に耐銹性に優れたステンレス製の焼き網を使用して焼き肉や焼き鳥あるいは焼き魚などを焼いて提供している。ところで、このような焼き肉や焼き鳥あるいは焼き魚は、肉の部分や脂肪の部分が加熱により焼き網に焼き焦げが炭化してこびりつき、単なる有機物の付着と呼べないような状態となる。そこで衛生上や新鮮な焼き物を焼き上げるために、焼き網を使用した後にこのように焼き網にこびりついた焼き焦げを洗剤で洗浄して落とそうとしようとしても、この焼き焦げは容易に焼き網から落ちない問題がある。
【0003】
ところで、営業用の焼き網は通常は容易にさびがでないように上記のようにステンレス製の網を使用しているが、このようなステンレス製の焼き網にこびりついた焼き焦げは、たとえ洗剤溶液に長時間にわたり浸漬しても容易に落ちず、このために力任せに長時間にわたりブラシでこすり続けて落とす必要があり、その労力は大変なものであった。
【0004】
そこで、これらの焼き肉店の焼き汁などのこびりついた焼き網は回転ドラムに入れ、さらにドラム内にセラミックスや金属のチップを入れた洗浄液中でこの回転ドラムを回転することで、焼き網の焼き焦げをセラミックスや金属のチップの衝突により掻き落とす業務用の焼き網洗浄用の種々のタイプの回転ドラム洗浄機が、多くのメーカーで開発され販売されている。しかし、このようにチップの衝突により掻き落とすものでは、上記したように、容易に焦げつきは落ちにくく、かつ、チップが消耗する問題があった。さらに、上記のチップの掻き落としに加えて長時間にわたり洗剤を入れた洗浄液に浸漬しても、なお焦げつきは落ちにくく、この場合はさらに洗浄後の廃液に洗剤が含まれることとなり、環境汚染を引き起こす問題があった。
【0005】
一方、汚水中に含有される微量有害物質のダイオキシン類に対しては、処理槽内でオゾンと紫外線を併用することによって高活性のヒドロキシラジカルを発生させることで、効果的に酸化除去する方法が開発されており(例えば、特許文献1参照。)、この方法は汚水の浄化に使用されている。しかしながら、このオゾンと紫外線による浄化方法を利用した焼き網の焦げつき除去の方法を実施するための具体的な装置は今だに開発されていないのが現状である。
【0006】
【特許文献1】特開平7−108285号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、焼き肉店や焼き鳥店あるいはうなぎ屋などの料理店における、営業用のステンレス製などの焼き網に強固に付着した焼き焦げなどのこびりつきを洗剤を使用することなく前処理し、従って前処理後の排水を下水などに流しても環境を悪化する負担を及ぼすことがなく、しかも、短時間で効率よくブラッシングにより焼き焦げを除去することができる前処理装置およびその前処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者は鋭意研究により、フッ素に次ぐ強い酸化力をもったオゾンを水中に溶解し、同時に紫外線を照射することで、各種ラジカル類の生成を促進し、その利用を図って、洗剤を用いることなく焼き網の焼き焦げなどの付着物の除去及び洗浄前処理する前処理装置及び方法を開発したものである。特にオゾンより酸化電位の高いヒドロキシラジカルにより、焼き焦げ中の有機物を水中にて酸化分解して焼き焦げの除去及び洗浄前処理するための焼き網の前処理装置及び方法を開発したものである。さらに、この開発した装置及び方法は、純酸素や酸素濃縮機(PSA)を必要とすることなく、オゾンの発生の原料となる気体として室内空気を必要とするのみであり、使用する電力はわずかな電力の低消費量で済むものである。さらにこの装置および方法は洗剤や界面活性剤やあるいは溶剤などを不要とし、水だけで焼き焦げ除去及び洗浄の前処理が可能であり、また、有機物に対する殺菌作用も有し、微生物に対する殺菌効果も高く、被前処理物についた臭いの成分も強力に酸化分解して脱臭できるということである。
【0009】
すなわち、本発明の装置は、水中におけるオゾンと紫外線を用いた有機物分解のための促進酸化方法を利用するものである。この装置で利用する洗浄前処理方法では、焼き網に付着した焼き焦げを効率よく酸化分解可能とするために、被前処理物であるステンレス製の焼き網を水中に配設し、その水中にオゾンを溶解させながら同時に波長が300nm以下の紫外線の照射を行うことにより、ヒドロキシラジカルの生成を促し、このヒドロキシラジカルの作用により被前処理物であるステンレス製の焼き網に付着した焼き焦げからなる汚れを酸化分解するものである。すなわち、これらのオゾンや紫外線は強い酸化力をもつことで広く利用されている。しかしながら、ヒドロキシラジカルは、さらに強力な酸化還元電位を持っている。本発明の装置および方法は、上記のように、このヒドロキシラジカルの生成にオゾン、紫外線、水を使用するものであり、洗剤は全く使用することがない。これらは洗剤などによる二次汚染を発生する心配もなく、環境に対する負担も少ないものである。本発明では、この洗浄前処理におけるオゾンの溶解、オゾンに紫外線を照射し酸化促進するなどのために、図3により後記するように、オゾン発生装置20に5KVの高電圧18の付与、エアーポンプ19によるオゾン含有空気の供給および紫外線ランプ5の照射を行い、これらをオン−オフのパルスのシーケンスにより制御して行うものである。
【0010】
そこで、上記の課題を解決するための本発明の手段は、焼き焦げの除去及び洗浄前処理用の洗浄水3を入れる水槽部2を有する角槽を形成し、該角槽の水槽部2内の側壁4際に水槽部2内を照射する紫外線ランプ5を配設し、水槽部2の側壁4際の紫外線ランプ5の内側領域に焼き網16を配設して洗浄前処理するための前処理領域に設定し、この前処理領域の底部にオゾン含有空気を噴出するオゾン噴出器具6を配設し、角槽の水槽部2外の側部にオゾン発生装置20を付設し、このオゾン発生装置20から発生したオゾン含有空気をオゾン噴出器具6に供給する供給管7を配設したことを特徴とする焼き網16の焼き焦げ除去及び洗浄前処理装置1である。
【0011】
さらに紫外線ランプ5は波長150〜300nmの紫外線を発生し、オゾン発生装置20は高電圧18の出力により400〜600mg/hのオゾンを発生し、オゾン噴出器具6は8〜12リットル/minのオゾン含有空気をエアーポンプ19により噴出することを特徴とする上記手段における焼き網16の焼き焦げ除去及び洗浄前処理装置1である。
【0012】
洗浄前処理する焼き焦げの付いた焼き網16を洗浄水3中にセットした後、3〜7kVの高電圧18の印加によるオゾンの発生とエアーポンプ19の稼動による3〜7リットル/minのオゾン含有空気による気泡の発生と紫外線ランプ5の点灯による波長150〜300nmの紫外線の発生をシーケンサーによりオン−オフ制御しながら、運転初期の480〜600secは高電圧18、エアーポンプ19、紫外線ランプ5のすべてをオンとし、次いで高電圧18およびエアーポンプ19のみを共に110〜130secのオフとし、その後は高電圧18およびエアーポンプ19の170〜180secのオンとこれに続く高電圧18およびエアーポンプ19の110〜130secのオフからなる周期の繰り返しを5〜6回操業した後、高電圧18のみをオフとし、エアーポンプ19はさらに110〜130secのオフののちに後動作の270〜330secのオンとし、紫外線ランプ5はエアーポンプ19の後動作の開始までオンを継続し、上記のエアーポンプ19の後動作の終了で運転を終了し、洗浄前処理した焼き網16を取り出すことを特徴とする焼き網16の焼き焦げ除去及び洗浄前処理方法である。
【0013】
以上の焼き焦げ除去及び洗浄前処理方法における、高電圧18とエアーポンプ19の繰り返しオンーオフ操業は、好ましくは、最初の高電圧18およびエアーポンプ19のみを共に110から130secオフとした後、高電圧18およびエアーポンプ19のオンーオフ操業は、高電圧18を170〜180sec、エアーポンプ19をそれよりも3〜4sec長くオンとし、次いで、高電圧18を120secのオフとし、一方、エアーポンプ19をそれよりも先に長くした分の3〜4secだけ短くし、この周期を5〜6回繰り返した方法からなることを特徴とするものである。これは、高電圧18をオフとすると共にエアーポンプ19を同時にオフにするとき、オゾンがオフ状態のエアーポンプ19を逆流してくる場合が生じることがあるので、この逆流を防止するために、高電圧18をオフにしても3〜4sec遅らせてエアーポンプ19をオフとする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の営業用のステンレス製の焼き網の焼き焦げ除去及び洗浄前処理装置およびその方法では、前処理用の洗浄水を入れた容器内の水中に肉や魚や野菜などの焦げつきやその他のしつこい汚れの付着したステンレス製の焼き網を浸漬し、洗浄水にオゾンを溶解し、紫外線を照射することで、従来のように洗剤を使用することなく、かつ、従来に比して極めて短時間の約40分間で、焦げつきや汚れを分解して前処理でき、しかも殺菌作用および脱臭作用をおよぼし、さらに消費電力が少なくまた使用する水の消費量も少なく、さらに前処理後の排水も洗剤を含有していないので環境を汚す負荷が極めて少ないなど、本発明の前処理装置及びその前処理方法は優れた効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。図1は本発明の焼き網16の焼き焦げ除去及び洗浄前処理装置1の原理を模式的に示す図である。本発明の焼き焦げ除去及び洗浄前処理装置1は、水槽部2を有する角槽からなり、上面は蓋11で閉じられる。この水槽部2の内部の左右の側壁4の際に水槽部2内を照射するための紫外線ランプ5を配設している。この紫外線ランプ5は消費電力6.6W、紫外線照度16.8μW/cm2、放出波長253.7nm、185nmである。このうち波長が250〜260nm付近が最もオゾンに吸収され酸化を促進する効果が強い。このようにオゾンに吸収され酸化を促進する効果は紫外線の照度および照射時間が関係する。従って、本発明に用いる紫外線ランプ5は、波長253.7nmとすると充分である。
【0016】
この水槽部2の紫外線ランプ5の内側の領域に適宜間隔を空けて複数の焼き網16を立てて配設可能としている。これらの焼き網16を洗浄前処理するための前処理領域としている。この前処理浄領域の下部にオゾンをバブリングにより噴出するオゾン噴出器具6を配設している。このオゾン噴出器具6は多孔質のセラミック体からなり、この水槽部2の外に設置した機器箱10中に配設のオゾン発生装置20からオゾン供給管7を配設してオゾン噴出器具6にオゾンを供給し、オゾン噴出器具6の多孔質のセラミック体から微細で均一なオゾンを発生している。オゾン発生装置20は入力AC 100V、高圧出力5kVにより、オゾン発生量500mg/hrでオゾン原料は室内空気である。
【0017】
上記のオゾン噴出器具6は多孔質のセラミック体からなる。これは、一般的にはセラミックエアーストーンとして魚介類の養殖、飼育、輸送等、水中への酸素補給ようとして商品化されているもので、拡散気筒バブリング方式によるものである。オゾンはオゾン発生装置20からダイアフラムで駆動されるエアーポンプ19でオゾン供給管7に送給される。このエアーポンプ19は入力がACで100V、消費電力11W、吐出空気量5〜10リットル/minである。水槽部2で使用した排オゾンのうちの余剰オゾンは焼き焦げ除去及び洗浄前処理装置1の水槽部2の上室8の側壁4から取り出し、別途の適宜に2次利用に供する。2次利用されない場合は、焼き焦げ除去及び洗浄前処理装置1の水槽部2の上室8の側壁4から排オゾン分解装置17に送給して分解した後に大気に放出される。これらの焼き焦げ除去及び洗浄前処理装置1の運転はスイッチを順次手動で入れることで操作できるが、いわゆるプログラマブルコントローラーのシーケンサーで操作を自動化することができる。
【0018】
図2は、本発明の焼き網16の焼き焦げ除去及び洗浄前処理装置1の一部破断して模式的に見せる正面図である。本発明の焼き焦げ除去及び洗浄前処理装置1は、例えば大きさが外寸で400mm×730mm×380mm、槽内の水槽部2の寸法350mm×560mm×300mmで、水深450mm、水量47リットルの洗浄水3を入れる水槽部2を有する角槽からなり、上面は蓋11で閉じられる。水槽部2の下部は前処理する焼き網16を載置する簀14で区画されて下室9を有し、水槽部2の上部の側壁4の際には上室8を有する。下室9には多孔質セラミック体からなるオゾン噴出器具6が配設され、水槽部2の隣室である機器箱10に設置のオゾン発生装置20にオゾン噴出器具6からオゾン供給管7が配管されている。上室8には機器箱10から電気ケーブル12により接続された紫外線ランプ5の取り付けプラグ部が配設され、紫外線ランプ5を水槽部2の側壁4の際に沿って設置している。水槽部2の下室9の下端には排水管15が設けられている。焼き網16の焼き焦げ除去及び洗浄前処理装置1は設置場所に容易に移動できるようにキャスター13が設けられている。
【0019】
以上の本発明の焼き網16の焼き焦げ除去及び洗浄前処理装置1の使用においては、肉や魚や野菜などの焦げつきのついたステンレス製の焼き網16を洗浄水3中に置き、オゾン噴出器具6からオゾン含有の空気を噴出して洗浄水3に溶解させた上で、紫外線を焼き網16に照射する。この場合、オゾンやヒドロキシラジカルは洗浄水3中の被処理物だけでなく金属イオンなど水以外のもので反応消費されるため、少なくとも水道水を含むそれ以上の清浄な水を使用する。
【0020】
このオゾンを洗浄水3中に溶解させた上で紫外線を照射することにより、洗浄水3中にラジカル、特にヒドロキシラジカルが生成される。このヒドロキシラジカルの酸化還元電位は2.85Vで、オゾンの2.07Vあるいは過酸化水素の1.77Vに比して高く、この極めて高い酸化力を持つオゾンやヒドロキシラジカルで洗浄水3中におかれたステンレス製の焼き網16の表面に付着した焦げつきの接着面と、焦げつきに残された有機物を酸化分解して洗浄するとともに、はがれやすくする。さらにステンレス表面は再酸化して皮膜化される。このとき同時に脱臭、殺菌も行われる。この焼き網16の焦げつきの酸化分解時間は高電圧18をトータルで約23分印加して行う。
【0021】
本発明の焼き網16の焼き焦げ除去及び洗浄前処理における具体的方法を、図3を用いて説明する。この図3では、上記のプログラマブルコントローラーのシーケンサーで操作を自動化したもので、上方から出力電圧5kVの高電圧18、5リットル/minのエアーポンプ19、紫外線ランプ5、運転ランプ21の各作動状況を単位secで表示する前処理時間の流れのシーケンスとして表示したものである。上記したように本焼き焦げ除去及び洗浄前処理装置1の洗浄水3中に焦げつきの付着したステンレス製の焼き網16を設置すると、スタートスイッチを入れることで、5kVの高電圧18、5リットル/minのエアーポンプ19、紫外線ランプ5、運転ランプ21のすべてがオンとなり作動が開始される。
【0022】
先ず、480sec間の初期照射期間を経過して高電圧18およびエアーポンプ19は120secの休止期間となる。その後は高電圧18およびエアーポンプ19を共に180secオンし、次いで、高電圧18およびエアーポンプ19を共に120secのオフとし、その後は、この繰り返しとし、この繰り返しの周期を5〜6回行うものとする。一方、好ましくは、上記の繰り返しにおいては、高電圧18を180sec、エアーポンプ19を183secオンとし、次いで、高電圧18を120secのオフとし、一方、エアーポンプ19を先に長くした分の3secだけ短くした117secのオフとし、この周期を5〜6回繰り返しすものとする。このエアーポンプ19を長くオンとすることで、高電圧18のオフによるオゾン発生量の減少によるエアーポンプ19へのオゾンの逆流の恐れを回避するものである。したがって、エアーポンプ18の送気路に逆止弁を設けるときは、この逆流を格別に問題にすることの無いので、上記の様に高電圧18およびエアーポンプ19を共に同時にオンーオフしても良い。一方、エアーポンプ18の送気路に逆止弁を設けない場合は上記の様にエアーポンプ19を長くオンにするものとする。
【0023】
以上の繰り返し動作の後、高電圧18のみをオフとし、エアーポンプ19は117secのオフの後、さらに後動作として300secのオンとすることにより、水槽2からオゾンを排出し去り、焼き網16を取り出す際の安全を図る。この間、紫外線ランプ5はエアーポンプ19の後動作の開始までオンとする。このように高電圧5およびエアーポンプ19がオフの休止中も紫外線ランプ5はオンで作動する。従って、この間は、エアーポンプ19の気泡が無いので、紫外線だけが通りやすい状態となるのでヒドロキシラジカルの発生が最大となり、焼き網16の焦げに強い刺激を与えることができる。運転状況を示す運転ランプ21はエアーポンプ19の後動作の終了まではオンで点灯し、運転中を示している。このエアーポンプ19の後動作の終了で前処理運転は終了する。前処理した焼き網16を焼き焦げ除去及び洗浄前処理装置1から取り出すため、焼き焦げ除去及び洗浄前処理装置1の蓋11を開く。
【0024】
この場合、この実施例の装置では、蓋11を開くと自動的に水槽2中の洗浄水3を排水管15から排水し始め、この排水開始後の約3分間だけエアーポンプ19を作動させオゾン噴出器具6からオゾンを含有しない空気のみを噴出する。この空気のみの噴出により、上記の前処理期間中に焼き網16から偶然落ちて洗浄水3中にただよう焼き焦げを排水につれてオゾン噴出器具6の微細な孔の上に積もることがないようにする。洗浄水3を水槽2から排水し終わると、焼き焦げ除去及び洗浄前処理装置1の水槽2から焼き網16を取り出し、前処理作業を終了する。
【0025】
この焼き焦げ除去及び洗浄前処理装置1では、オゾンの溶解と紫外線照射を停止することで、洗浄水3は速やかに元の単なる水に戻る。この装置による酸化分解では洗剤、界面活性剤、化学薬品などを一切使用しないため環境にも配慮されている。
【0026】
以上の前処理を終えて取り出した焼き焦げが剥離し易く前処理された焼き網16の表面をハンドブラシにより手作業により約1〜2分間こする。この場合、ハンドブラシの素材としては、樹脂、真鍮、鋼、特にステンレス鋼などの線材があるが、この実施の形態では真鍮ブラシを使用した。
【0027】
上記の焼き焦げ除去及び洗浄前処理装置1を使用した焼き焦げのハンドブラシによる除去方法と対比して、前処理を行うことなく、単に1夜だけ水に浸漬した焼き網16をハンドブラシで焼き焦げを擦り落とすブラッシングを行った。この場合、真鍮ブラシを使用し、擦り落とし時間を10分行ったものは、表面の黒い焦げは落ちているものの焦げついた焼き焦げは落ちなかった。さらに、擦り落とし時間を20分として行ったものは、焦げつきは多少落ちてきたが、全体には依然として焦げついたままである。さらに力を加えて擦り続けると、真鍮ブラシの毛足が短くなってきたが、焦げつきはとれなかった。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の焼き焦げ除去及び洗浄前処理装置の原理を模式的に示す図で、背後の焼き網の一部の網目は省略して示す。
【図2】本発明の焼き焦げ除去及び洗浄前処理装置の一部破断して模式的に見せる正面図である。
【図3】本発明の焼き焦げ除去及び洗浄前処理方法の運転状況を示す高電圧、エアーポンプ、紫外線ランプおよび運転スイッチの作動状況のシーケンスを示す図である。
【符号の説明】
【0029】
1 焼き焦げ除去及び洗浄前処理装置
2 水槽部
3 洗浄水
4 側壁
5 紫外線ランプ
6 オゾン噴出器具
7 オゾン供給管
8 上室
9 下室
10 機器箱
11 蓋
12 電気ケーブル
13 キャスター
14 簀
15 排水管
16 焼き網
17 排オゾン分解装置
18 高電圧
19 エアーポンプ
20 オゾン発生装置
21 運転ランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水槽部内の側壁際に紫外線ランプを配設し、紫外線ランプの内側領域を焼き網の焼き焦げ除去及び洗浄前処理領域とし、該前処理領域の底部にオゾン噴出器具を配設し、かつ、水槽部外の側部にオゾン発生装置を配設し、発生したオゾン含有の空気を該オゾン発生装置から該オゾン噴出器具に供給する供給管を配設したことを特徴とする焼き網の焼き焦げ除去及び洗浄前処理装置。
【請求項2】
紫外線ランプは波長150〜300nmの紫外線を発生し、オゾン発生装置は400〜600mg/hのオゾンを発生し、オゾン噴出器具は8〜12リットル/minのオゾン含有空気を噴出することを特徴とする請求項1に記載の焼き網の焼き焦げ除去及び洗浄前処理装置。
【請求項3】
焼き焦げ除去及び洗浄前処理用の焼き網を洗浄水中にセットした後、3〜7kVの高電圧の印加によるオゾンの発生とエアーポンプの稼動による3〜7リットル/minの空気による気泡の発生と紫外線ランプの点灯による波長150〜300nmの紫外線の発生をシーケンサーによりオン−オフ制御しながら、運転初期の480〜600secは高電圧、エアーポンプ、紫外線ランプのすべてをオンとし、次いで高電圧およびエアーポンプのみを共に110〜130secのオフとし、その後は高電圧およびエアーポンプの170〜180secのオンとこれに続く高電圧およびエアーポンプの110〜130secのオフからなる周期の繰り返しを5〜6回操業した後、高電圧のみをオフとし、エアーポンプはさらに110〜130secのオフののちに後動作の270〜330secのオンとし、紫外線ランプはエアーポンプの後動作の開始までオンを継続し、上記のエアーポンプの後動作の終了で運転を終了し、前処理した焼き網を取り出すことを特徴とする焼き網の焼き焦げ除去及び洗浄前処理方法。
【請求項4】
上記の請求項3の方法における高電圧とエアーポンプの繰り返しオンーオフによる操業は、最初の高電圧およびエアーポンプのみを共に110から130secオフとした後、高電圧を170〜180sec、エアーポンプをそれよりも3〜4sec長くオンとし、次いで、高電圧を120secのオフとし、一方、エアーポンプをそれよりも先に長くした分の3〜4secだけ短くし、この周期の繰り返しを5〜6回操業することに置き換えたことを特徴とする請求項3の焼き網の焼き焦げ除去及び洗浄前処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−51089(P2006−51089A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−233453(P2004−233453)
【出願日】平成16年8月10日(2004.8.10)
【出願人】(302009073)三光電業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】