焼却灰を利用した燐肥料製造方法及び同製造装置
【課題】燐成分の含有量の変化を調整して安定した燐肥料を安価に製造する方法及び装置を提供する。
【解決手段】下水汚泥焼却灰10を原料としてマグネシウム、カルシウム等の添加剤12〜14を添加して溶融炉20内で加熱して、溶融金属28と溶融スラグ27とに分離して、溶融スラグ27を出滓させて急冷して燐肥料を製造する装置において、原料焼却灰10の全燐酸濃度を分析して測定データに基づいて変動を求め、現焼却灰10中の全燐酸濃度を把握して高燐含有廃棄物15の添加割合を求める演算手段と、高燐含有廃棄物15を貯蔵した容器18と、前記原料の燐含有率が低い場合には溶融処理前に高燐含有廃棄物15を前記原料中に添加する添加装置21とを具備したことを特徴としている。
【解決手段】下水汚泥焼却灰10を原料としてマグネシウム、カルシウム等の添加剤12〜14を添加して溶融炉20内で加熱して、溶融金属28と溶融スラグ27とに分離して、溶融スラグ27を出滓させて急冷して燐肥料を製造する装置において、原料焼却灰10の全燐酸濃度を分析して測定データに基づいて変動を求め、現焼却灰10中の全燐酸濃度を把握して高燐含有廃棄物15の添加割合を求める演算手段と、高燐含有廃棄物15を貯蔵した容器18と、前記原料の燐含有率が低い場合には溶融処理前に高燐含有廃棄物15を前記原料中に添加する添加装置21とを具備したことを特徴としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、焼却灰を原料として燐肥料を製造する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来から、汚泥焼却灰を利用して燐肥料を製造する方法が提案されている。例えば、特許文献1には、燐成分を多量に含む汚泥焼却灰を原料とし、該原料に酸化マグネシウム、酸化カルシウム、燐酸成分等の添加剤を添加して混合原料を作成し、該混合原料を溶融し、その後に急冷してスラグ化し、その後に粉砕する燐肥料の製造方法が提案されている。また、特許文献2にも汚泥焼却灰から燐肥料を製造する方法が提案されている。該公報による方法は、燐成分の濃度が高い汚泥焼却灰に、コークス、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化カリウムを加えて溶融炉内で加熱し、溶融金属と溶融スラグを溶融炉内で二液分離状態にさせ、溶融スラグを水砕槽へ選択的に出滓させて急冷し、粒状にして燐成分が高く且つ金属成分が取り除かれた粒状スラグを製造する方法が提案されている。
【特許文献1】公開特許公報、特開2001−80979号
【特許文献2】公開特許公報、特開2003−112988号
【0003】
以上に述べた公報の他にも汚泥焼却灰から燐肥料を製造する方法が提案されているが、ほぼ同様である。従来技術による燐肥料製造方法は、燐成分が原料焼却灰に多く含まれていることを予定している。即ち、燐肥料を製造するのに燐成分の含有量が少ない焼却灰を利用するメリットは小さいからである。しかし、汚泥中に含まれる燐成分の含有量(全燐酸濃度)は一定ではなく、年間を通じても変化している。また、他の原因(例えば、降雨、地域性など)によっても変動する。従来の燐肥料の製造方法では燐成分の含有量を一定と見なし、高燐添加剤を添加していた。従って、製品中のク溶性燐酸濃度にばらつきが生じるという課題があった。また、高燐添加剤が高価であることを理由にして燐成分の含有量が少ない焼却灰を捨てて、燐成分の含有量が多い焼却灰のみを利用しようとすれば、それらを区別しなければならないという課題が生じるだけでなく、燐成分の含有量が少ない焼却灰をどのように処理するかという課題も生じる。また、燐成分の含有量が少ない焼却灰に高価なリン鉱石等を添加すると製造された燐肥料のコストが高くなるという課題が生じる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上に説明したように、従来の焼却灰を利用した燐肥料製造方法には幾つかの課題があった。本発明は、これらの課題を解決し、燐成分の含有量の変化を調整して安定した燐肥料を安価に製造する方法及び装置を提供することを課題としている。このために、適宜燐成分の含有量を計測し、燐成分の含有量が少ない焼却灰に対しては安価な高燐含有廃棄物を添加・混合して製品中のク溶性燐酸濃度を高めて略一定濃度にし、且つ安全な燐肥料を製造する方法等を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した課題を解決するために以下の実験並びに検討を行った。
(1)焼却灰中の成分の年間変動調査
下水汚泥焼却灰は、季節や処理場等によって組成が変動することが知られています。そこで、所定の処理場における原料焼却灰の組成、特に五酸化燐(以下、「燐酸」という)濃度の季節的変動について毎月2回の調査を行った結果、図3に示すような変動の傾向が認められた。図3は原料焼却灰の主成分の年間変動を示すグラフである。図3によれば、全燐酸濃度(又は全燐酸含有量、T−P2O5で示す。)は冬場に高くなり、夏場に低くなる傾向が見られる。又、5月、9月には全酸化ケイ素濃度(T−SiO2)が高くなっている。更に、全燐酸濃度と全酸化ケイ素濃度との間には逆相関の関係が見られる。これは、雨の多い5月、9月には、雨水と共に、酸化ケイ素(SiO2)を主成分とする土砂が下水中に流れ込むためと考えられる。また、台風等による大雨の後も全燐酸含有量が低くなると考えられる。なお、図3の他に、東京都下水道局(共同出願者)による調査データにも同様な結果が得られている。
【0006】
(2)燐酸源添加によるク溶性燐酸濃度
図4(A)は焼却灰中の全燐酸濃度の最大、最小、平均の場合について各主成分の全濃度(接頭辞「T−」を付す)を示す。図4(B)は上記焼却灰から肥料を製造した場合の主成分のク溶性濃度(接頭辞「C−」を付す)を示す。図4(A)、(B)から理解できるように、全燐酸濃度が小さい場合にはク溶性の燐酸濃度(C−P2O5)も低くなる。従って、全燐酸濃度が低い場合には燐酸分の多い適切な添加剤を添加する必要がある。図5(A)、(B)は全燐酸濃度最小値であった焼却灰組成に近い主成分の原料焼却灰を用いて、燐酸カルシウムを添加して製品を製造した場合の焼却灰組成(図A)と製品の肥効成分の分析結果(図B)を示す。なお、図4(B)に示すように、全燐酸濃度(T−P2O5)が最大である焼却灰を原料とした場合の製品のク溶性燐酸濃度(C−P2O5)は(19.3)である。この結果から、全燐酸濃度の低い焼却灰を原料として使用する場合でも、高燐酸源の添加剤を添加によって高い全燐酸濃度の焼却灰を原料とした場合と同様なク溶性燐酸濃度を有する製品が製造可能であることが明らかになった。
【0007】
(3)焼却灰と添加する高燐酸源の選択及び添加割合の決定
そこで、添加する高燐酸源の選択並びに添加割合の決定するために、全燐酸濃度含有量の異なる複数の焼却灰(A〜D)に対して高燐酸源として燐酸カルシウム(Ca3(PO4)2)、リン鉱石、肉骨粉焼却灰を添加して製品を製造した場合の分析結果を以下に説明する。図6はサンプルに使用する焼却灰原料(A〜D)の主成分と高燐酸源として使用可能な燐酸カルシウム(Ca3(PO4)2)、リン鉱石、肉骨粉焼却灰の主成分を示す。焼却灰Aは全燐酸濃度が最小であった焼却灰であり(図4(A)参照)、焼却灰B〜Dは、更にそれよりも全燐酸濃度が低い焼却灰である。
【0008】
図7は原料焼却灰(A〜D)に高燐酸源として、燐酸カルシウム、リン鉱石、肉骨粉焼却灰の何れか1つを添加し、更に酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)を添加した混合原料のサンプル1〜6の混合比を示す。図7から、サンプル1〜3は燐酸カルシウムを添加した混合原料であり、サンプル4はリン鉱石を添加した混合原料で、サンプル5,6は肉骨粉焼却灰を添加した混合原料である。サンプル5は肉骨粉焼却灰の添加量を多くした場合で、サンプル6は肉骨粉焼却灰の添加量をやや少なくした場合である。また、何れのサンプルも焼却灰の混合割合は50%を超えている。
【0009】
図8は、上記サンプル1〜6から製品を製造した場合のク溶性燐酸濃度(%)を示す。なお、製品の製造は混合原料を溶融炉内で加熱して、溶融金属と溶融スラグとを分離して、溶融スラグを出滓させ、その後に急冷して燐肥料を製造する従来方法による。図8から明らかなように、肉骨粉焼却灰を添加剤として使用した場合でも、燐酸カルシウム又はリン鉱石を添加剤として使用した場合と同様に高いク溶性燐酸濃度の製品が得られている。又、図8と図4(B)を比較すれば明らかなように、全燐酸濃度が低い原料焼却灰を使用しても、全燐酸濃度が高い原料焼却灰を使用した場合の高いク溶性燐酸濃度をもつ製品が得られることが判明した。また、これらの実験により、添加する高燐酸源として肉骨粉焼却灰が使用できること及び添加割合が明らかになった。
【0010】
(4)安全性の確認
焼却灰中には重金属が含まれていることがある。従って、焼却灰から肥料を製造した場合に製品中に重金属が含まれていないことが必要である。特許文献2にも安全である旨の記載はあるが、量的に安全の確認するために以下の実験を行った。図9(A)は異なる2つの処理場から得られた焼却灰に添加剤として酸化マグネシウム及び酸化カルシウムを添加した混合原料の配合比を示し、図9(B)は還元雰囲気にした焼却炉内で処理した場合の重金属の挙動(処理前と処理後の重金属成分の移行)を示した図である。図9(B)から、理解できるように、肥料成分である燐(P),マグネシウム(Mg),カルシウム(Ca),珪素(Si),カリウム(K)は殆どの部分がスラグ中に移行している。鉄(Fe),ニッケル(Ni)は大半がメタルとして除去されている。アルミニウム(Al),クロム(Cr)は、収支上はスラグ中に残存する率が高いが、クロムは市販品と同等以下の含有量であるうえ、植物への施肥試験においても害は認められず、良好な生育結果が得られている。また、植物体内への吸収・移行も少ない。人体に害を及ぼす重金属である亜鉛(Zn),砒素(As),カドミウム(Cd),水銀(T−Hg),鉛(Pb)は大半が気相中に移行し、製品から除去されている。以上の検討から焼却灰を利用して燐肥料を製造した製品は安全であるといえる。
【0011】
以上に述べた実験並びに検討に基づいて、本発明は上記課題を解決するために以下の手段を採用した。即ち、
請求項1記載の発明は、下水汚泥焼却灰を原料としてマグネシウム、カルシウム等の添加剤を添加して溶融炉内で加熱し、溶融金属と溶融スラグとに分離して、溶融スラグを出滓させ、その後に急冷して燐肥料を製造する方法において、該原料焼却灰の全燐酸濃度を測定し、該全燐酸濃度が予め定めた目標製品の濃度よりも低い場合には溶融処理前に高燐含有廃棄物の添加割合を求めて、原料中に添加し、製品中のク溶性燐酸濃度を所定の値まで高めて、ク溶性燐酸濃度の安定した製品を製造することを特徴としている。
【0012】
請求項2に記載の発明は、下水汚泥焼却灰を原料としてマグネシウム、カルシウム等の添加剤を添加して溶融炉内で加熱して、溶融金属と溶融スラグとに分離して、溶融スラグを出滓させて急冷して燐肥料を製造する装置において、原料焼却灰の全燐酸濃度を把握して目標製品の濃度を設定、入力する手段と、高燐含有廃棄物の添加割合を求める演算手段と、高燐含有廃棄物を貯蔵した容器と、溶融処理前に高燐含有廃棄物を前記原料中に添加する添加装置とを具備し、前記演算装置は該原料の全燐含有率が該入力手段によって入力された目標製品濃度よりも低い場合にはその差分を求め、添加割合を決定することを特徴としている。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記高燐含有廃棄物は骨粉、魚粉、鶏糞、又は骨粉等を含む高燐含有廃棄物であることを特徴としている。
請求項4記載の発明は、前記目標製品の濃度は、年間の季節変動、市場の需要動向等に基づいて目標製品の最少ク溶燐酸濃度を決定し、該目標製品に必要な全燐酸濃度を定めることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、焼却灰中の燐成分の含有量を計測し、目標製品との濃度の差分に基づいて安価な高燐酸原を添加剤として添加しているので、安定した燐肥料を安価に製造することができるという効果が得られる。又、請求項3によれば、高燐含有添加剤として骨粉等の廃棄物を利用しているので、骨粉等の廃棄物の処理量を少なくすることでき、かつ、製造費を安くすることができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は本願発明を実施する実施形態の概略構成を示す図である。図1において、原料焼却灰10は、一部が主成分の含有量(特に、全燐酸含有量(T−P2O5))を測定するためのサンプル11として採取され、大半は添加剤12〜15と共に混合されて、溶融炉20に投入される。添加剤としては酸化マグネシウム(T−MgO)12、酸化カルシウム(T−CaO)13及び肉骨粉焼却灰等の高燐含有廃棄物15並びに溶融炉20内を還元雰囲気にするためのコークス14を添加する。焼却灰中に含まれる酸化マグネシウム、酸化カルシウムは年間を通じて略一定の割合で含まれていることが多く(図3参照)、従って、添加剤としては酸化マグネシウム12、酸化カルシウム13、コークス14は一定の割合で添加される。
【0016】
一方、全燐酸量含有量は季節による含有量変動が大きく、しかも含有量の変化はク溶性燐酸量の変化に直接的に影響を及ぼすので、安定した燐肥料の製品を製造するために燐成分の添加量を制御する必要がある。高燐含有廃棄物15として肉骨粉焼却灰等(以下、「肉骨粉」という)が容器18内に貯蔵されている。高燐含有廃棄物15としては、骨粉、魚粉、鶏糞、又は骨粉等を含む高燐含有廃棄物が利用される。容器18の底部には所定量を放出して添加するための放出機構19が設けられている。又、添加制御装置17はサンプル11を分析したデータから現時点の焼却灰に必要な肉骨粉の添加割合を決定して、放出機構19に制御信号16を出力して所定量の肉骨粉を放出させる。
【0017】
図2は添加制御装置17の構成のブロック図を示す。図2において、添加制御装置17は目標製品濃度入力手段31、サンプル分析手段32、データ記憶装置33、全燐酸含有量決定手段34、添加率決定手段35、制御量出力手段36、中央制御装置37及びバスライン38から構成されている。
【0018】
目標製品濃度入力手段31は年間の季節変動、市場の需要動向や法規制(肥料取締法)等に基づいて目標製品の最少ク溶燐酸濃度(又は目標製品に必要な全燐酸濃度)を定めて、そのデータを入力する。例えば、目標製品の最少ク溶燐酸濃度として、法規制を超える値であって、販売価格と昨年度の全原料の全燐酸濃度、肉骨粉の価格とを考慮して、収益が最大となるように決定するようにしてもよい。サンプル分析手段32はサンプル11の主成分(又は全燐酸濃度のみ)を分析する。データ記憶装置33はク溶燐酸濃度と全燐酸濃度の関係データ、その他の必要なデータを記憶する。
【0019】
全燐酸含有量決定手段34は、データ記憶装置33に記憶された関係データから目標製品の全燐酸含有量を決定し、サンプルの全燐酸濃度と差分を求める。添加率決定手段35は現在の焼却灰に対する肉骨粉の添加割合を求める。制御量出力手段36は求められた割合の制御量を決定し、放出機構19を制御し、所定量の肉骨粉を放出させる。
【0020】
再度図1において、溶融炉20には、原料投入機21、原料投入口22が設けられており、ここから原料が炉内へ投入される。また、炉体23の中央内側は溶融空間を形成するライニング29が貼られており、炉内部が形成される。その上側及び下側に電極24、25が設けられている。投入された原料26が加熱、溶融される。溶融した原料は溶融スラグ27、溶融金属28に分離し、2液分離状態で炉内部に共存する。溶融した金属28は金属排出口29から排出される。一方溶融したスラグはスラグ排出口41から排出され、水流トラフ42によって水砕槽43内に流入される。水砕槽43内には水44が張られており、水中に流入したスラグは粒状45となって水砕槽43の底に溜まる。また、炉体23の頭部に設けられたガス排出口46から焼却灰中に含まれていた鉛、亜鉛、砒素、カドミウムなどの有害物質が気化して図示省略の処理装置に排出される。
【0021】
上記実施形態は以下のように作用する。まず、原料焼却灰10に対して、酸化マグネシウム12、酸化カルシウム13の添加剤とコークス14が一定の割合で添加される。同時に容器18に貯蔵されている肉骨粉等の高燐含有廃棄物18が添加制御装置17で決定された割合で添加される。これらの添加剤12〜15が添加された混合原料は原料投入機21に投入され、投入口22から溶融炉20の炉内部に投入される。炉内部に投入された混合原料は電極24,25によって加熱され、溶融される。溶融されると混合原料は溶融スラグ27、溶融金属28に分離され、同時に溶融過程で図示省略のガスが発生する。溶融炉内には溶融スラグ27、溶融金属28が分離した状態で溜まる。ガスはガス排出口46から図示省略の処理装置に排出される。炉内に溜まった溶融金属28は金属排出口29から排出される。また、溶融スラグ27はスラグ排出口41から排出され、水流トラフ42によって水砕槽43内に流入され、粒状スラグ45となって水砕槽43の底に溜まる。粒状スラグ45を取り出して製品化を行う。
【0022】
以上に説明したように、本実施形態によれば、焼却灰中の全燐酸濃度が少ない場合は高燐含有廃棄物を適量添加して製品を製造するので、年間を通じてク溶性燐濃度が目標製品の濃度以上の値に維持され、安定した製品の製造ができるという効果がある。更に、添加する高燐添加剤として骨粉等の廃棄物を利用しているので製造コストが安価になるという効果もある。
【0023】
以上、この発明の実施形態、実施例を図面により詳述してきたが、具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明を実施した実施形態の構成図を示す。
【図2】実施形態1の添加制御装置17のブロック図を示す。
【図3】焼却灰中の主成分組成の変動状況を示す。
【図4】(A)焼却灰中の主成分の割合を示す。(B)製品中の燐成分の割合を示す。
【図5】(A)焼却灰中の主成分の割合を示す。(B)製品中の燐成分の割合を示す。
【図6】原料サンプル、高燐添加剤中の主成分の割合を示す。
【図7】混合原料の焼却灰と添加剤の割合を示す。
【図8】サンプル製品の分析結果を示す。
【図9】(A)、(B)焼却灰中の含有物質の溶融による移行率を示す。
【符号の説明】
【0025】
10 焼却灰
11 サンプル
12〜14 添加剤
15 高燐添加剤
18 高燐含有物の貯蔵容器
19 放出機構
20 溶融炉
21 原料投入機
26 投入された混合原料
27 溶融スラグ
28 溶融金属
43 水砕槽
45 粒状スラグ
【技術分野】
【0001】
この発明は、焼却灰を原料として燐肥料を製造する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来から、汚泥焼却灰を利用して燐肥料を製造する方法が提案されている。例えば、特許文献1には、燐成分を多量に含む汚泥焼却灰を原料とし、該原料に酸化マグネシウム、酸化カルシウム、燐酸成分等の添加剤を添加して混合原料を作成し、該混合原料を溶融し、その後に急冷してスラグ化し、その後に粉砕する燐肥料の製造方法が提案されている。また、特許文献2にも汚泥焼却灰から燐肥料を製造する方法が提案されている。該公報による方法は、燐成分の濃度が高い汚泥焼却灰に、コークス、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化カリウムを加えて溶融炉内で加熱し、溶融金属と溶融スラグを溶融炉内で二液分離状態にさせ、溶融スラグを水砕槽へ選択的に出滓させて急冷し、粒状にして燐成分が高く且つ金属成分が取り除かれた粒状スラグを製造する方法が提案されている。
【特許文献1】公開特許公報、特開2001−80979号
【特許文献2】公開特許公報、特開2003−112988号
【0003】
以上に述べた公報の他にも汚泥焼却灰から燐肥料を製造する方法が提案されているが、ほぼ同様である。従来技術による燐肥料製造方法は、燐成分が原料焼却灰に多く含まれていることを予定している。即ち、燐肥料を製造するのに燐成分の含有量が少ない焼却灰を利用するメリットは小さいからである。しかし、汚泥中に含まれる燐成分の含有量(全燐酸濃度)は一定ではなく、年間を通じても変化している。また、他の原因(例えば、降雨、地域性など)によっても変動する。従来の燐肥料の製造方法では燐成分の含有量を一定と見なし、高燐添加剤を添加していた。従って、製品中のク溶性燐酸濃度にばらつきが生じるという課題があった。また、高燐添加剤が高価であることを理由にして燐成分の含有量が少ない焼却灰を捨てて、燐成分の含有量が多い焼却灰のみを利用しようとすれば、それらを区別しなければならないという課題が生じるだけでなく、燐成分の含有量が少ない焼却灰をどのように処理するかという課題も生じる。また、燐成分の含有量が少ない焼却灰に高価なリン鉱石等を添加すると製造された燐肥料のコストが高くなるという課題が生じる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上に説明したように、従来の焼却灰を利用した燐肥料製造方法には幾つかの課題があった。本発明は、これらの課題を解決し、燐成分の含有量の変化を調整して安定した燐肥料を安価に製造する方法及び装置を提供することを課題としている。このために、適宜燐成分の含有量を計測し、燐成分の含有量が少ない焼却灰に対しては安価な高燐含有廃棄物を添加・混合して製品中のク溶性燐酸濃度を高めて略一定濃度にし、且つ安全な燐肥料を製造する方法等を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した課題を解決するために以下の実験並びに検討を行った。
(1)焼却灰中の成分の年間変動調査
下水汚泥焼却灰は、季節や処理場等によって組成が変動することが知られています。そこで、所定の処理場における原料焼却灰の組成、特に五酸化燐(以下、「燐酸」という)濃度の季節的変動について毎月2回の調査を行った結果、図3に示すような変動の傾向が認められた。図3は原料焼却灰の主成分の年間変動を示すグラフである。図3によれば、全燐酸濃度(又は全燐酸含有量、T−P2O5で示す。)は冬場に高くなり、夏場に低くなる傾向が見られる。又、5月、9月には全酸化ケイ素濃度(T−SiO2)が高くなっている。更に、全燐酸濃度と全酸化ケイ素濃度との間には逆相関の関係が見られる。これは、雨の多い5月、9月には、雨水と共に、酸化ケイ素(SiO2)を主成分とする土砂が下水中に流れ込むためと考えられる。また、台風等による大雨の後も全燐酸含有量が低くなると考えられる。なお、図3の他に、東京都下水道局(共同出願者)による調査データにも同様な結果が得られている。
【0006】
(2)燐酸源添加によるク溶性燐酸濃度
図4(A)は焼却灰中の全燐酸濃度の最大、最小、平均の場合について各主成分の全濃度(接頭辞「T−」を付す)を示す。図4(B)は上記焼却灰から肥料を製造した場合の主成分のク溶性濃度(接頭辞「C−」を付す)を示す。図4(A)、(B)から理解できるように、全燐酸濃度が小さい場合にはク溶性の燐酸濃度(C−P2O5)も低くなる。従って、全燐酸濃度が低い場合には燐酸分の多い適切な添加剤を添加する必要がある。図5(A)、(B)は全燐酸濃度最小値であった焼却灰組成に近い主成分の原料焼却灰を用いて、燐酸カルシウムを添加して製品を製造した場合の焼却灰組成(図A)と製品の肥効成分の分析結果(図B)を示す。なお、図4(B)に示すように、全燐酸濃度(T−P2O5)が最大である焼却灰を原料とした場合の製品のク溶性燐酸濃度(C−P2O5)は(19.3)である。この結果から、全燐酸濃度の低い焼却灰を原料として使用する場合でも、高燐酸源の添加剤を添加によって高い全燐酸濃度の焼却灰を原料とした場合と同様なク溶性燐酸濃度を有する製品が製造可能であることが明らかになった。
【0007】
(3)焼却灰と添加する高燐酸源の選択及び添加割合の決定
そこで、添加する高燐酸源の選択並びに添加割合の決定するために、全燐酸濃度含有量の異なる複数の焼却灰(A〜D)に対して高燐酸源として燐酸カルシウム(Ca3(PO4)2)、リン鉱石、肉骨粉焼却灰を添加して製品を製造した場合の分析結果を以下に説明する。図6はサンプルに使用する焼却灰原料(A〜D)の主成分と高燐酸源として使用可能な燐酸カルシウム(Ca3(PO4)2)、リン鉱石、肉骨粉焼却灰の主成分を示す。焼却灰Aは全燐酸濃度が最小であった焼却灰であり(図4(A)参照)、焼却灰B〜Dは、更にそれよりも全燐酸濃度が低い焼却灰である。
【0008】
図7は原料焼却灰(A〜D)に高燐酸源として、燐酸カルシウム、リン鉱石、肉骨粉焼却灰の何れか1つを添加し、更に酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)を添加した混合原料のサンプル1〜6の混合比を示す。図7から、サンプル1〜3は燐酸カルシウムを添加した混合原料であり、サンプル4はリン鉱石を添加した混合原料で、サンプル5,6は肉骨粉焼却灰を添加した混合原料である。サンプル5は肉骨粉焼却灰の添加量を多くした場合で、サンプル6は肉骨粉焼却灰の添加量をやや少なくした場合である。また、何れのサンプルも焼却灰の混合割合は50%を超えている。
【0009】
図8は、上記サンプル1〜6から製品を製造した場合のク溶性燐酸濃度(%)を示す。なお、製品の製造は混合原料を溶融炉内で加熱して、溶融金属と溶融スラグとを分離して、溶融スラグを出滓させ、その後に急冷して燐肥料を製造する従来方法による。図8から明らかなように、肉骨粉焼却灰を添加剤として使用した場合でも、燐酸カルシウム又はリン鉱石を添加剤として使用した場合と同様に高いク溶性燐酸濃度の製品が得られている。又、図8と図4(B)を比較すれば明らかなように、全燐酸濃度が低い原料焼却灰を使用しても、全燐酸濃度が高い原料焼却灰を使用した場合の高いク溶性燐酸濃度をもつ製品が得られることが判明した。また、これらの実験により、添加する高燐酸源として肉骨粉焼却灰が使用できること及び添加割合が明らかになった。
【0010】
(4)安全性の確認
焼却灰中には重金属が含まれていることがある。従って、焼却灰から肥料を製造した場合に製品中に重金属が含まれていないことが必要である。特許文献2にも安全である旨の記載はあるが、量的に安全の確認するために以下の実験を行った。図9(A)は異なる2つの処理場から得られた焼却灰に添加剤として酸化マグネシウム及び酸化カルシウムを添加した混合原料の配合比を示し、図9(B)は還元雰囲気にした焼却炉内で処理した場合の重金属の挙動(処理前と処理後の重金属成分の移行)を示した図である。図9(B)から、理解できるように、肥料成分である燐(P),マグネシウム(Mg),カルシウム(Ca),珪素(Si),カリウム(K)は殆どの部分がスラグ中に移行している。鉄(Fe),ニッケル(Ni)は大半がメタルとして除去されている。アルミニウム(Al),クロム(Cr)は、収支上はスラグ中に残存する率が高いが、クロムは市販品と同等以下の含有量であるうえ、植物への施肥試験においても害は認められず、良好な生育結果が得られている。また、植物体内への吸収・移行も少ない。人体に害を及ぼす重金属である亜鉛(Zn),砒素(As),カドミウム(Cd),水銀(T−Hg),鉛(Pb)は大半が気相中に移行し、製品から除去されている。以上の検討から焼却灰を利用して燐肥料を製造した製品は安全であるといえる。
【0011】
以上に述べた実験並びに検討に基づいて、本発明は上記課題を解決するために以下の手段を採用した。即ち、
請求項1記載の発明は、下水汚泥焼却灰を原料としてマグネシウム、カルシウム等の添加剤を添加して溶融炉内で加熱し、溶融金属と溶融スラグとに分離して、溶融スラグを出滓させ、その後に急冷して燐肥料を製造する方法において、該原料焼却灰の全燐酸濃度を測定し、該全燐酸濃度が予め定めた目標製品の濃度よりも低い場合には溶融処理前に高燐含有廃棄物の添加割合を求めて、原料中に添加し、製品中のク溶性燐酸濃度を所定の値まで高めて、ク溶性燐酸濃度の安定した製品を製造することを特徴としている。
【0012】
請求項2に記載の発明は、下水汚泥焼却灰を原料としてマグネシウム、カルシウム等の添加剤を添加して溶融炉内で加熱して、溶融金属と溶融スラグとに分離して、溶融スラグを出滓させて急冷して燐肥料を製造する装置において、原料焼却灰の全燐酸濃度を把握して目標製品の濃度を設定、入力する手段と、高燐含有廃棄物の添加割合を求める演算手段と、高燐含有廃棄物を貯蔵した容器と、溶融処理前に高燐含有廃棄物を前記原料中に添加する添加装置とを具備し、前記演算装置は該原料の全燐含有率が該入力手段によって入力された目標製品濃度よりも低い場合にはその差分を求め、添加割合を決定することを特徴としている。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記高燐含有廃棄物は骨粉、魚粉、鶏糞、又は骨粉等を含む高燐含有廃棄物であることを特徴としている。
請求項4記載の発明は、前記目標製品の濃度は、年間の季節変動、市場の需要動向等に基づいて目標製品の最少ク溶燐酸濃度を決定し、該目標製品に必要な全燐酸濃度を定めることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、焼却灰中の燐成分の含有量を計測し、目標製品との濃度の差分に基づいて安価な高燐酸原を添加剤として添加しているので、安定した燐肥料を安価に製造することができるという効果が得られる。又、請求項3によれば、高燐含有添加剤として骨粉等の廃棄物を利用しているので、骨粉等の廃棄物の処理量を少なくすることでき、かつ、製造費を安くすることができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は本願発明を実施する実施形態の概略構成を示す図である。図1において、原料焼却灰10は、一部が主成分の含有量(特に、全燐酸含有量(T−P2O5))を測定するためのサンプル11として採取され、大半は添加剤12〜15と共に混合されて、溶融炉20に投入される。添加剤としては酸化マグネシウム(T−MgO)12、酸化カルシウム(T−CaO)13及び肉骨粉焼却灰等の高燐含有廃棄物15並びに溶融炉20内を還元雰囲気にするためのコークス14を添加する。焼却灰中に含まれる酸化マグネシウム、酸化カルシウムは年間を通じて略一定の割合で含まれていることが多く(図3参照)、従って、添加剤としては酸化マグネシウム12、酸化カルシウム13、コークス14は一定の割合で添加される。
【0016】
一方、全燐酸量含有量は季節による含有量変動が大きく、しかも含有量の変化はク溶性燐酸量の変化に直接的に影響を及ぼすので、安定した燐肥料の製品を製造するために燐成分の添加量を制御する必要がある。高燐含有廃棄物15として肉骨粉焼却灰等(以下、「肉骨粉」という)が容器18内に貯蔵されている。高燐含有廃棄物15としては、骨粉、魚粉、鶏糞、又は骨粉等を含む高燐含有廃棄物が利用される。容器18の底部には所定量を放出して添加するための放出機構19が設けられている。又、添加制御装置17はサンプル11を分析したデータから現時点の焼却灰に必要な肉骨粉の添加割合を決定して、放出機構19に制御信号16を出力して所定量の肉骨粉を放出させる。
【0017】
図2は添加制御装置17の構成のブロック図を示す。図2において、添加制御装置17は目標製品濃度入力手段31、サンプル分析手段32、データ記憶装置33、全燐酸含有量決定手段34、添加率決定手段35、制御量出力手段36、中央制御装置37及びバスライン38から構成されている。
【0018】
目標製品濃度入力手段31は年間の季節変動、市場の需要動向や法規制(肥料取締法)等に基づいて目標製品の最少ク溶燐酸濃度(又は目標製品に必要な全燐酸濃度)を定めて、そのデータを入力する。例えば、目標製品の最少ク溶燐酸濃度として、法規制を超える値であって、販売価格と昨年度の全原料の全燐酸濃度、肉骨粉の価格とを考慮して、収益が最大となるように決定するようにしてもよい。サンプル分析手段32はサンプル11の主成分(又は全燐酸濃度のみ)を分析する。データ記憶装置33はク溶燐酸濃度と全燐酸濃度の関係データ、その他の必要なデータを記憶する。
【0019】
全燐酸含有量決定手段34は、データ記憶装置33に記憶された関係データから目標製品の全燐酸含有量を決定し、サンプルの全燐酸濃度と差分を求める。添加率決定手段35は現在の焼却灰に対する肉骨粉の添加割合を求める。制御量出力手段36は求められた割合の制御量を決定し、放出機構19を制御し、所定量の肉骨粉を放出させる。
【0020】
再度図1において、溶融炉20には、原料投入機21、原料投入口22が設けられており、ここから原料が炉内へ投入される。また、炉体23の中央内側は溶融空間を形成するライニング29が貼られており、炉内部が形成される。その上側及び下側に電極24、25が設けられている。投入された原料26が加熱、溶融される。溶融した原料は溶融スラグ27、溶融金属28に分離し、2液分離状態で炉内部に共存する。溶融した金属28は金属排出口29から排出される。一方溶融したスラグはスラグ排出口41から排出され、水流トラフ42によって水砕槽43内に流入される。水砕槽43内には水44が張られており、水中に流入したスラグは粒状45となって水砕槽43の底に溜まる。また、炉体23の頭部に設けられたガス排出口46から焼却灰中に含まれていた鉛、亜鉛、砒素、カドミウムなどの有害物質が気化して図示省略の処理装置に排出される。
【0021】
上記実施形態は以下のように作用する。まず、原料焼却灰10に対して、酸化マグネシウム12、酸化カルシウム13の添加剤とコークス14が一定の割合で添加される。同時に容器18に貯蔵されている肉骨粉等の高燐含有廃棄物18が添加制御装置17で決定された割合で添加される。これらの添加剤12〜15が添加された混合原料は原料投入機21に投入され、投入口22から溶融炉20の炉内部に投入される。炉内部に投入された混合原料は電極24,25によって加熱され、溶融される。溶融されると混合原料は溶融スラグ27、溶融金属28に分離され、同時に溶融過程で図示省略のガスが発生する。溶融炉内には溶融スラグ27、溶融金属28が分離した状態で溜まる。ガスはガス排出口46から図示省略の処理装置に排出される。炉内に溜まった溶融金属28は金属排出口29から排出される。また、溶融スラグ27はスラグ排出口41から排出され、水流トラフ42によって水砕槽43内に流入され、粒状スラグ45となって水砕槽43の底に溜まる。粒状スラグ45を取り出して製品化を行う。
【0022】
以上に説明したように、本実施形態によれば、焼却灰中の全燐酸濃度が少ない場合は高燐含有廃棄物を適量添加して製品を製造するので、年間を通じてク溶性燐濃度が目標製品の濃度以上の値に維持され、安定した製品の製造ができるという効果がある。更に、添加する高燐添加剤として骨粉等の廃棄物を利用しているので製造コストが安価になるという効果もある。
【0023】
以上、この発明の実施形態、実施例を図面により詳述してきたが、具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明を実施した実施形態の構成図を示す。
【図2】実施形態1の添加制御装置17のブロック図を示す。
【図3】焼却灰中の主成分組成の変動状況を示す。
【図4】(A)焼却灰中の主成分の割合を示す。(B)製品中の燐成分の割合を示す。
【図5】(A)焼却灰中の主成分の割合を示す。(B)製品中の燐成分の割合を示す。
【図6】原料サンプル、高燐添加剤中の主成分の割合を示す。
【図7】混合原料の焼却灰と添加剤の割合を示す。
【図8】サンプル製品の分析結果を示す。
【図9】(A)、(B)焼却灰中の含有物質の溶融による移行率を示す。
【符号の説明】
【0025】
10 焼却灰
11 サンプル
12〜14 添加剤
15 高燐添加剤
18 高燐含有物の貯蔵容器
19 放出機構
20 溶融炉
21 原料投入機
26 投入された混合原料
27 溶融スラグ
28 溶融金属
43 水砕槽
45 粒状スラグ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下水汚泥焼却灰を原料としてマグネシウム、カルシウム等の添加剤を添加して溶融炉内で加熱し、溶融金属と溶融スラグとに分離して、溶融スラグを出滓させ、その後に急冷して燐肥料を製造する方法において、該原料焼却灰の全燐酸濃度を測定し、該全燐酸濃度が予め定めた目標製品の濃度よりも低い場合には溶融処理前に高燐含有廃棄物の添加割合を求めて、原料中に添加し、製品中のク溶性燐酸濃度を所定の値まで高めて、ク溶性燐酸濃度の安定した製品を製造することを特徴とする燐肥料製造方法。
【請求項2】
下水汚泥焼却灰を原料としてマグネシウム、カルシウム等の添加剤を添加して溶融炉内で加熱して、溶融金属と溶融スラグとに分離して、溶融スラグを出滓させて急冷して燐肥料を製造する装置において、原料焼却灰の全燐酸濃度を把握して目標製品の濃度を設定、入力する手段と、高燐含有廃棄物の添加割合を求める演算手段と、高燐含有廃棄物を貯蔵した容器と、溶融処理前に高燐含有廃棄物を前記原料中に添加する添加装置とを具備し、前記演算装置は該原料の全燐含有率が該入力手段によって入力された目標製品濃度よりも低い場合にはその差分を求め、添加割合を決定することを特徴とする燐肥料製造装置。
【請求項3】
前記高燐含有廃棄物は骨粉、魚粉、鶏糞、又は骨粉等を含む高燐含有廃棄物であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の燐肥料製造方法又は製造装置。
【請求項4】
前記目標製品の濃度は、年間の季節変動、市場の需要動向等に基づいて目標製品の最少ク溶燐酸濃度を決定し、該目標製品に必要な全燐酸濃度を定めたことを特徴とする請求項1〜請求項3に記載の燐肥料製造方法又は製造装置。
【請求項1】
下水汚泥焼却灰を原料としてマグネシウム、カルシウム等の添加剤を添加して溶融炉内で加熱し、溶融金属と溶融スラグとに分離して、溶融スラグを出滓させ、その後に急冷して燐肥料を製造する方法において、該原料焼却灰の全燐酸濃度を測定し、該全燐酸濃度が予め定めた目標製品の濃度よりも低い場合には溶融処理前に高燐含有廃棄物の添加割合を求めて、原料中に添加し、製品中のク溶性燐酸濃度を所定の値まで高めて、ク溶性燐酸濃度の安定した製品を製造することを特徴とする燐肥料製造方法。
【請求項2】
下水汚泥焼却灰を原料としてマグネシウム、カルシウム等の添加剤を添加して溶融炉内で加熱して、溶融金属と溶融スラグとに分離して、溶融スラグを出滓させて急冷して燐肥料を製造する装置において、原料焼却灰の全燐酸濃度を把握して目標製品の濃度を設定、入力する手段と、高燐含有廃棄物の添加割合を求める演算手段と、高燐含有廃棄物を貯蔵した容器と、溶融処理前に高燐含有廃棄物を前記原料中に添加する添加装置とを具備し、前記演算装置は該原料の全燐含有率が該入力手段によって入力された目標製品濃度よりも低い場合にはその差分を求め、添加割合を決定することを特徴とする燐肥料製造装置。
【請求項3】
前記高燐含有廃棄物は骨粉、魚粉、鶏糞、又は骨粉等を含む高燐含有廃棄物であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の燐肥料製造方法又は製造装置。
【請求項4】
前記目標製品の濃度は、年間の季節変動、市場の需要動向等に基づいて目標製品の最少ク溶燐酸濃度を決定し、該目標製品に必要な全燐酸濃度を定めたことを特徴とする請求項1〜請求項3に記載の燐肥料製造方法又は製造装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2006−1819(P2006−1819A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−182793(P2004−182793)
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【出願人】(591043581)東京都 (107)
【出願人】(000001834)三機工業株式会社 (316)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【出願人】(591043581)東京都 (107)
【出願人】(000001834)三機工業株式会社 (316)
【Fターム(参考)】
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