説明

照明器具

【課題】器具本体から透光パネルを外す作業及び器具本体に透光パネルを取り付ける作業を容易に行うことのできる照明器具を提供する。
【解決手段】器具本体1は、天井と対向する主部10と、主部10の左側の長辺から略左下方向に傾斜する第1の傾斜部11と、主部10の右側の長辺から略右下方向に傾斜する第2の傾斜部12と、第1の傾斜部11の下端縁から延設されて主部10と平行な掛止部13とから成り、透光パネル2は、上面を開口した略箱体のパネル本体20と、該開口面の左側の長辺から延設された第1の当接部21と、開口面の右側の長辺から延設された第2の当接部22を備え、第1の当接部21には、内側に向かって突出する一対の係止片23を設け、第2の当接部22には、第2の傾斜部22に沿うように突出する一対の固定片24を設け、第1の傾斜部11には、係止片23が係止する一対の係止孔14を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井等に取り付けられる吊り下げ型の照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から器具本体が天井に取り付けられる蛍光ランプを光源とした照明器具が提供されており、例えば特許文献1に開示されているようなものがある。この照明器具は、一面を開口した箱体に形成されて反射板及び蛍光ランプが収納された器具本体と、器具本体の開口部周縁に合致する枠体及び器具本体の開口部を覆うように枠体に支持された制光体から成る透光パネルと、本体と透光パネルとを連結する4つの連結部とを備え、連結部は、本体又は枠体のうちの一方を構成する垂直部材の側壁に設けられたV字状の捩りコイルばねと、該捩りコイルばねが設けられた側と対向した本体又は枠体の垂直部材の側壁に、捩りコイルばねの基端側に切欠孔が位置するように水平方向に折曲して切り起こし形成されたばね受台と、該ばね受台に側壁の延在方向に沿って直列的に形成されて捩りコイルばねのアーム部を両端縁でそれぞれ弾性係止した一対の摺接孔とから成る。
【0003】
上記従来例では、透光パネルの両側を持って強く押し下げると、各連結部の捩りコイルばねのアーム部がばね受台の摺接孔を弾性力に抗しつつ摺動降下されて透光パネルが降下し、透光パネルと器具本体との間に所定の隙間を生じさせることができる。したがって、該隙間を利用して、例えば蛍光ランプの交換等の作業を行うことができる。
【特許文献1】特開平9−180529号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来例は直付型の照明器具であって器具本体が天井に固定されているため、透光パネルのみを手に持って降下させることで作業を行うことができる。しかしながら、天井に設けられた吊具によって器具本体を吊持する吊り下げ型の照明器具では、器具本体が天井に固定されていないために、器具本体が揺動して位置が不安定となって透光パネルを降下させるのが困難である。このため、器具本体が揺動しないように押さえながら透光パネルを降下させることが望ましいが、従来例では両手で透光パネルを持たなければならず、したがって蛍光ランプ交換時などに器具本体から透光パネルを取り外す作業及び器具本体に透光パネルを取り付ける作業が困難になるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みて為されたもので、器具本体から透光パネルを取り外す作業及び器具本体に透光パネルを取り付ける作業を容易に行うことのできる照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、直管型蛍光ランプが着脱自在に装着される一乃至複数対のソケット及び蛍光ランプを点灯させる安定器が取り付けられて天井に吊持される器具本体と、器具本体に取り付けられて蛍光ランプを覆う透光性材料から成る透光パネルとを備えた照明器具であって、器具本体は、天井と対向する主部と、主部の対向する1組の辺からそれぞれ延設されて互いに離れ且つ天井から離れる方向に傾斜した第1の傾斜部及び第2の傾斜部と、第1の傾斜部の主部と接する1辺と対向する1辺から延設されて主部と平行な掛止部とから成り、透光パネルは、器具本体と対向する一面を開口した箱体であって、該開口部の対向する1組の辺からそれぞれ延設されて各々掛止部と第2の傾斜部と当接する第1の当接部及び第2の当接部を備え、第1の当接部には、内側に向かって突出する一対の係止片が設けられ、第2の当接部には、第2の傾斜部に沿うように突出し且つ第2の傾斜部に固定される一対の固定片が設けられ、第1の傾斜部には、前記係止片が係止する一対の係止孔が設けられたことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、第1の傾斜部には、係止孔の内周縁から突出する突起が形成され、透光パネルの係止片には、突起が嵌合する嵌合孔が設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、器具本体の第1の傾斜部に設けられた係止孔に透光パネルの第1の当接部に設けられた係止片を係止し且つ掛止部と第1の当接部とを当接させることで、透光パネルが器具本体から脱落することがないので、一方の手で器具本体を押さえながら他方の手で透光パネルを扱うことができ、したがって器具本体に透光パネルを取り付ける作業及び器具本体から透光パネルを取り外す作業を容易に行うことができる。
【0009】
請求項2の発明によれば、係止孔に係止片を係止する際に、係止孔の内周縁に設けられた突起を係止片に設けられた嵌合孔に嵌合させることで、透光パネルが器具本体から脱落するのをより確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の照明器具の実施形態について図面を用いて説明する。但し、以下の説明では、図1(a)における上下左右を上下左右方向と定めるものとする。本実施形態は、図2に示すように、2本の直管型の蛍光ランプ3と、各蛍光ランプ3がそれぞれ着脱自在に装着される2対のソケット(図示せず)と、ソケットを介して蛍光ランプ3に点灯するのに必要な電力を供給する安定器(図示せず)と、ソケット及び安定器が取り付けられて天井(図示せず)に設けられた吊具(図示せず)からのワイヤ4によって吊持される器具本体1と、器具本体1に取り付けられて蛍光ランプ3を覆う透光パネル2とから成る。
【0011】
器具本体1は、図3(a)に示すように、天井と対向する略矩形状の主部10と、主部10の左側の長辺から延設されて略左下方向に傾斜する略矩形状の第1の傾斜部11と、主部10の右側の長辺から延設されて略右下方向に傾斜する略矩形状の第2の傾斜部12と、第1の傾斜部11の下端縁から延設されて主部10と平行な略矩形状の掛止部13とから成る。主部10の上面には、その長手方向における両端部にそれぞれ略矩形状の吊具取付孔10aが2つずつ貫設されており、該吊具取付孔10aに吊具のワイヤ4の先端部を通し、図示しない固定手段でワイヤ4の先端部を主部10に固定することで器具本体1がワイヤ4によって天井に吊持される。
【0012】
第1の傾斜部11には、その長手方向における両端部にそれぞれ略矩形状の係止孔14が貫設されている。また、各係止孔14の内周下端縁からは略矩形状の突起14aが突設されている。第2の傾斜部12には、図3(b)に示すように、その長手方向における両端部にそれぞれ略円形状の取付孔15が貫設されている。尚、器具本体1の主部10の下面には、前述の2対のソケット3及び安定器が取り付けられているが、本願発明の特徴的部分ではないので、ここでは図示及び説明を省略する。
【0013】
透光パネル2は、透光性を有する樹脂材料から形成され、図4(a)に示すように、上面を開口した略箱体のパネル本体20と、該開口面の左側の長辺から右側に向かって延設された略矩形状の第1の当接部21と、開口面の右側の長辺から左側に向かって延設された略矩形状の第2の当接部22とから成り、第1の当接部21及び第2の当接部22は、器具本体1の掛止部13と略等しい大きさに形成されている。
【0014】
第一の当接部21の右側の長辺の両端部には、それぞれ略矩形状の金属製の係止片23が右側に向かって突出するように設けられている。また、各係止片23には、前記突起14aが嵌合する略矩形状の嵌合孔23aが貫設されている。第2の当接部22の左側の長辺の両端部には、図4(b)に示すように、それぞれ略矩形状の金属製の固定片24が第2の傾斜部12の傾斜方向に沿って突出するように設けられており、各固定片24の上端部にはそれぞれ略円形状のねじ挿通孔24aが貫設されている。
【0015】
係止片23は、図4(c)に示すように、何れもその下端縁が略矩形状の金属製の第1の取付片23bと一体に形成されており、各第1の取付片23bには、それぞれ長手方向に亘って一定の間隔で3つのねじ穴23cが貫設されている。而して、第1の取付片23bのねじ穴23cと第1の当接部21にそれぞれ設けられたねじ穴(図示せず)とを重ね合わせて固定ねじ6で螺合することにより、第1の取付片23bはそれぞれ第1の当接部21の裏面に取り付けられる。
【0016】
固定片24は、係止片23と同様に、何れもその下端縁が略矩形状の金属製の第2の取付片24bと一体に形成されており、各第2の取付片24bには、それぞれ長手方向に亘って一定の間隔で3つのねじ穴24cが貫設されている(図4(d)参照)。而して、第2の取付片24bのねじ穴24cと第2の当接部22にそれぞれ設けられたねじ穴(図示せず)とを重ね合わせて固定ねじ6で螺合することにより、第2の取付片24bはそれぞれ第2の当接部22の裏面に取り付けられる。
【0017】
尚、第1の取付片23b及び第2の取付片24bは、何れもその長手方向が係止片23及び固定片24の幅よりも長くなるように形成されている。このため、各取付片23b,24bと第1の当接部21及び第2の当接部22との接触面積が大きくなり、各取付片23b,24bが透光パネル2に対して強固に取り付けられるようになっている。また、本実施形態では、1つの第1の取付片23bに対して1つの係止片23がそれぞれ一体に形成されているが、2つの第1の取付片23b同士を連続一体に形成しても構わない。この場合、透光パネル2の長手方向に亘って第1の取付片23bと第1の当接部21とが接触するため、第1の取付片23bを透光パネル2に対して更に強固に取り付けることが可能である。同様に、固定片24が各々一体形成された2つの第2の取付片24b同士を連続一体に形成しても構わない。
【0018】
以下、透光パネル2を器具本体1に取り付ける手順を図面を用いて説明する。まず、図1(a)に示すように、透光パネル2の第1の当接部21に設けられた一対の係止片23をそれぞれ器具本体1の第1の傾斜部11に設けられた一対の係止孔14に挿入して係止するとともに、係止孔14の内周縁に設けられた突起14aを係止片23に設けられた嵌合孔23aに嵌合することで、透光パネル2が器具本体1に対して仮止めされる(図1(b)、(d)参照)。次に、透光パネル2の第1の当接部21と器具本体1の掛止部13とを当接させるとともに、透光パネル2の第2の当接部22の一対の固定片24を器具本体1の第2の傾斜部12の内側に当接させ、固定片24に設けられたねじ挿通孔24aと第2の傾斜部12に設けられた取付孔15とを重ね合わせる。最後に、図1(c)に示すように、取付ねじ5を取付孔15及びねじ挿通孔24aに螺合することで透光パネル2が器具本体1に取り付けられる。透光パネル2を器具本体1から取り外す場合には、取付ねじ5を外すとともに、係止片23を係止孔14から引き抜くことで行う。
【0019】
上述のように、器具本体1の第1の傾斜部11に設けられた係止孔14に透光パネル2の第1の当接部21に設けられた係止片23を挿入し、器具本体1の掛止部13が透光パネル2の第1の当接部21に当接することで、透光パネル2が器具本体1から脱落するのを防止することができる。更には、係止孔14の内周に設けられた突起14aに係止片23に設けられた嵌合孔23aを嵌合することで、脱落防止効果をより高めることができる。このため、器具本体1の係止孔14に透光パネル2の係止片23を係止した後は、器具本体1を一方の手で押さえながら他方の手で透光パネル2を持って上記一連の作業を行うことができるので、器具本体1に透光パネル2を取り付ける作業及び器具本体1から透光パネル2を取り外す作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の照明器具の実施形態を示す図で、(a)は透光パネルを取り付ける前の状態を示す断面図で、(b)は係止孔に係止片を係止させた状態を示す断面図で、(c)は取付ねじを取り付ける前の状態を示す断面図で、(d)は係止片及び係止孔の拡大図で、(e)は固定片の拡大図である。
【図2】同上の全体斜視図である。
【図3】同上の器具本体を示す図で、(a)は第1の傾斜部側から見た斜視図で、(b)は第2の傾斜部側から見た斜視図である。
【図4】同上の透光パネルを示す図で、(a)は第1の当接部側から見た斜視図で、(b)は第2の当接部側から見た斜視図で、(c)は係止片及び第1の取付片の拡大図で、(d)は固定片及び第2の取付片の拡大図である。
【符号の説明】
【0021】
1 器具本体
10 主部
11 第1の傾斜部
12 第2の傾斜部
13 掛止部
14 係止孔
2 透光パネル
21 第1の当接部
22 第2の当接部
23 係止片
24 固定片
3 蛍光ランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直管型蛍光ランプが着脱自在に装着される一乃至複数対のソケット及び蛍光ランプを点灯させる安定器が取り付けられて天井に吊持される器具本体と、器具本体に取り付けられて蛍光ランプを覆う透光性材料から成る透光パネルとを備えた照明器具であって、器具本体は、天井と対向する主部と、主部の対向する1組の辺からそれぞれ延設されて互いに離れ且つ天井から離れる方向に傾斜した第1の傾斜部及び第2の傾斜部と、第1の傾斜部の主部と接する1辺と対向する1辺から延設されて主部と平行な掛止部とから成り、透光パネルは、器具本体と対向する一面を開口した箱体であって、該開口部の対向する1組の辺からそれぞれ延設されて各々掛止部と第2の傾斜部と当接する第1の当接部及び第2の当接部を備え、第1の当接部には、内側に向かって突出する一対の係止片が設けられ、第2の当接部には、第2の傾斜部に沿うように突出し且つ第2の傾斜部に固定される一対の固定片が設けられ、第1の傾斜部には、前記係止片が係止する一対の係止孔が設けられたことを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記第1の傾斜部には、係止孔の内周縁から突出する突起が形成され、透光パネルの係止片には、突起が嵌合する嵌合孔が設けられたことを特徴とする請求項1記載の照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−181809(P2008−181809A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−15449(P2007−15449)
【出願日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】