説明

照明器具

【課題】蛍光ランプを用いた薄型化を図ることができる照明器具を提供する。
【解決手段】蛍光ランプ20を保持するランプ支持バネ18を熱導電性のよい材料(例えば、SK材やSUS等の金属)で形成し、フィラメント25によって加熱される発光管の端部22bを保持するので、発光管22の熱をランプ支持バネ18を通じて器具本体12に逃がすことができ、発光管22の温度上昇を抑えることができる。これに伴い、蛍光ランプ20とパネル13との間隔を小さくすることができ、照明器具10の薄型化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管状の放電路が長手方向中央部を中心として略同一平面に沿って2重渦巻状に旋回された蛍光ランプを有する照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、蛍光ランプの発光管をランプ支持バネにより保持する照明器具が知られている(例えば特許文献1、2参照)。
【0003】
図7に示すように、特許文献1に記載の照明器具100は、器具本体101を有しており、器具本体101に着脱自在に装着する大径の環状蛍光ランプ102および小径の環状蛍光ランプ103を同心状に有している。大径および小径の環状蛍光ランプ102、103には、単一の口金104が取付けられている。また、大径および小径の環状蛍光ランプ102、103の発光管の間にはブリッジ105が設けられている。これらの環状蛍光ランプ102、103は、複数個のランプ支持バネ106によって器具本体101に保持されている。
【0004】
また、図8(A)〜(C)に示すように、特許文献2に記載の蛍光ランプ110は、管状の放電路が長手方向中央部111aを中心として略同一平面に沿って2重渦巻状に旋回された発光管111を有しており、裏面(発光面と反対側)において中央部111aを通って発光管111の両端部111b、111bを連結するブリッジ112が設けられている。ブリッジ112の中央部には、裏側に突出して口金113が設けられており、口金113の中央には、ランプピン114が設けられている。また、ブリッジ112から蛍光ランプ110を貫通して複数の発光管保持部材112a、112aが設けられており、発光管111の途中部分を保持している。さらに、口金113から裏側に突出して一対の保持取っ手113a、113aが設けられている。
【0005】
また、発光管111の両端部111b、111b内部には、電極としてタングステンフィラメントコイル電極115、115が封着されており、電極リード線(図示省略)間に架設されている。電極リード線は、ブリッジ112に沿って口金113まで延設されており、ランプピン114に接続されている。発光管111の両端部111b、111bには、発光管保持部116、116が設けられている。
【特許文献1】特開2000−231823号公報(第1図)
【特許文献2】特開2007−273336号公報(第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述した特許文献1、2に記載の照明器具では、蛍光ランプ102、103、110を点灯するとフィラメントが設けられている発光管端部が高温になるため、蛍光ランプ102、103、110の前面を覆うカバーと蛍光ランプ102、103、110との間には十分な間隔を設ける必要があり、照明器具の薄型化を妨げているという問題があった。
【0007】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、蛍光ランプを用いた薄型化を図ることができる照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の照明器具は、管状の放電路が長手方向中央部を中心として略同一平面に沿って2重渦巻状に旋回された発光管と、前記発光管の両端部にそれぞれ設けられた一対の口金と、前記口金に設けられて前記発光管の軸方向に沿って延びるランプピンと、前記一対の口金間を連結支持するブリッジとを備えた蛍光ランプと、前記ランプピンと電気的に接続されて前記蛍光ランプに電力を供給するランプソケットと、前記蛍光ランプを保持するランプ支持バネと、前記ランプソケットおよび前記ランプ支持バネを介して前記蛍光ランプを内部に保持する器具本体と、前記器具本体に取付けられて前記蛍光ランプの前面を覆うパネルと、を備えた照明器具であって、前記ランプ支持バネが、熱伝導性のよい材料で形成されるとともに、前記発光管の端部においてフィラメントに対応する部分を保持する構成を有している。
【0009】
この構成により、蛍光ランプを保持するランプ支持バネを熱導電性のよい材料(例えば、SK材やSUS等の金属)で形成し、フィラメントによって加熱される発光管の端部を保持するので、発光管の熱をランプ支持バネを通じて器具本体に逃がすことができ、発光管の温度上昇を抑えることができる。これに伴い、蛍光ランプとパネルとの間隔を小さくすることができ、照明器具の薄型化を図ることができる。
【0010】
また、本発明の照明器具は、前記ランプ支持バネにおいて前記発光管に接する面に、弾性を有する難燃性の薄肉層を設けた構成を有している。
【0011】
この構成により、ランプ支持バネの発光管に接する面に、弾性を有する難燃性(例えば、シリコン等)の薄肉層(例えば、0.5mm〜1.0mm厚)を設けたので、蛍光ランプの発光管に密着することができ、効率的に発光管の熱がランプ支持バネに伝熱し、さらに器具本体に伝熱して放熱することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、蛍光ランプを保持するランプ支持バネを熱導電性のよい材料で形成し、フィラメントによって加熱される発光管の端部を保持するので、発光管の熱をランプ支持バネを通じて器具本体に逃がすことができ、発光管の温度上昇を抑えることができる。これに伴い、蛍光ランプとパネルとの間隔を小さくすることができ、照明器具の薄型化を図ることができるという効果を有する照明器具を提供することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態の照明器具について、図面を用いて説明する。
図1は本発明の第1実施形態にかかる照明器具を示す分解斜視図、図2(A)は平面らせん形蛍光灯の平面図、図2(B)は図2(A)中B方向から見た正面図、図3はランプソケットの斜視図、図4(A)はランプ支持バネの正面図、図4(B)は側面図、図5(A)はランプ支持バネの取付位置を示す斜視図、図5(B)は平面らせん形蛍光灯をランプ支持バネで保持した状態を示す斜視図、図6(A)は平面らせん形蛍光灯を反射板に装着した状態を示す平面図、図6(B)は側面図、図6(C)は平面図である。
【0014】
図1に示すように、本発明にかかる照明器具10は、天井や壁等の壁面11に固定して使用するものであり、例えば矩形箱状の器具本体12と、器具本体12の前面開口を覆う透明あるいは半透明の樹脂等からなるパネル13を有している。器具本体12の底板12aには、一方の端部寄りに商用交流電源(図示省略)に接続されている点灯装置14等の電気部品が取付けられており、点灯装置14等を覆うとともにパネル13を取付けるための取付板15が設けられている。パネル13は、ネジ13aを取付板15のネジ穴15aに螺合し、締め付けることにより着脱可能に取付けられる。
【0015】
また、底板12の中央部および他方の端部よりには、蛍光ランプとしての平面らせん形蛍光灯20の照明光をパネル13側に反射して照明効率を向上させる反射板16が設けられており、反射板16の上面に、平面らせん形蛍光灯20を装着するための一対のランプソケット17、17が取付けられている。これらランプソケット17、17は、電源線(図示省略)によって、点灯装置14に接続されている。そして、器具本体12における平面らせん形蛍光灯20に対向する面である反射板16の上面には、平面らせん形蛍光灯20をランプソケット17に装着した際に、平面らせん形蛍光灯20を保持するランプ支持バネ18が設けられている。
【0016】
図2に示すように、平面らせん形蛍光灯20は、管状の放電路が長手方向中央部22aを始点として同一平面に沿って2重渦巻状に旋回された発光管22を有しており、発光管22の中央部22aは、その他の部分に比して太径となっており、最冷点となっている。発光管22の両端部にはそれぞれ口金23、23が取付けられており、両口金23、23は、発光管22の中央部22aに対して、点対称の位置に設けられている。なお、両口金23、23は、照射方向と反対側の裏面に設けられたブリッジ24によって連結されている。また、各口金23、23には、平面らせん形蛍光灯20の平面に直交する方向に一対のランプピン21が一端を発光管22の軸方向に沿って突出して設けられており、他端は発光管22の内側端部に設けられているフィラメント25(図5(A)参照)に接続されている。
【0017】
図3に示すように、ランプソケット17は、例えば円柱状の本体17aを有しており、本体17aにはランプピン21を挿入するためのランプピン挿入溝17bが設けられている。ランプピン挿入溝17bの内部には、一対のランプピン21、21を保持して導通するために一対の導電板17c、17cが設けられている。また、本体17aの外周面に沿ってランプピン挿入溝17bを閉じる開閉蓋17dが設けられている。
【0018】
図4(A)、(B)に示すように、ランプ支持バネ18は、発光管22端部のフィラメント25に対応する部分22bを側面から保持する保持部18aを有しており、保持部18aは支持部18bおよびベース部18cを介して反射板16にネジ等により取付けられる。また、保持部18aの上端部は外側へ折り返した折り返し部18dが設けられており、平面らせん形蛍光灯20をランプ支持バネ18に取付けやすくしている。
【0019】
ランプ支持バネ18は、熱伝導性がよく、放熱性がよい、例えばSK材やSUS等の金属により形成する。ランプ支持バネ18は、平面らせん形蛍光灯20を取付ける前は、平面らせん形蛍光灯20の位置よりも図4(B)中矢印A方向に偏って取付けられており、平面らせん形蛍光灯20を取付けた際に、矢印A方向へ付勢されて確実に保持するようになっている。
【0020】
また、発光管22と接する箇所、すなわち保持部18aおよび折り返し部18dには、少なくとも発光管22側の面(図4(B)においては右面)に、弾性を有する難燃性の材料、例えばシリコン等により形成された薄肉層19(例えば、0.5mm〜1.0mm厚)を設けるのが望ましい。これにより、ランプ支持バネ18は平面らせん形蛍光灯20の発光管22に密着することができ、効率的に発光管22の熱がランプ支持バネ18に伝熱し、さらに器具本体12に伝熱して放熱することができる。なお、図4においては、保持部18aおよび折り返し部18dの両面に薄肉層19を設けた場合が示されている。
【0021】
平面らせん形蛍光灯20を器具本体12に取付ける際には、図5(A)に示すように、平面らせん形蛍光灯20の両端の口金23、23に設けられているランプピン21、21を、ランプソケット17のランプピン挿入溝17aに位置決めする。そして、ランプピン21をランプソケット17の内部に挿入し、発光管22のフィラメント対応部分22bをランプ支持バネ18の保持部18aにより保持する(図5(B)参照)。その後、ランプソケット17の取っ手17eを操作して開閉蓋17dを閉じることにより固定する(図6(A)〜(C)参照)。
【0022】
以上、説明した照明器具10によれば、平面らせん形蛍光灯20を保持するランプ支持バネ18を熱導電性のよい材料で形成し、フィラメント25によって加熱される発光管22の端部を保持するので、発光管22の熱をランプ支持バネ18を通じて器具本体12に逃がすことができ、発光管22の温度上昇を抑えることができる。これに伴い、平面らせん形蛍光灯20とパネル13との間隔を小さくすることができ、照明器具10の薄型化を図ることができる。
【0023】
なお、本発明の照明器具は、前述した実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形,改良等が可能である。
例えば、前述した各実施形態においては、矩形箱状の器具本体12を例示したが、これに限らず、例えば円形箱状等にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる照明器具を示す分解斜視図
【図2】(A)は平面らせん形蛍光灯の平面図、(B)は図2(A)中B方向から見た正面図
【図3】ランプソケットの斜視図
【図4】(A)はランプ支持バネの正面図、(B)は側面図
【図5】(A)はランプ支持バネの取付位置を示す斜視図、(B)は平面らせん形蛍光灯をランプ支持バネで保持した状態を示す斜視図
【図6】(A)は平面らせん形蛍光灯を反射板に装着した状態を示す平面図、(B)は側面図、(C)は平面図
【図7】従来の照明器具を示す斜視図
【図8】(A)は従来の蛍光ランプを示す光照射面側から見た斜視図、(B)は反対側から見た斜視図、(C)は平面図
【符号の説明】
【0025】
10 照明器具
12 器具本体
13 パネル
16 反射板(対向する面)
17 ランプソケット
18 ランプ支持バネ
19 薄肉層
20 平面らせん形蛍光灯(蛍光ランプ)
21 ランプピン
22 発光管
22a 中央部
22b フィラメントに対応する部分
23 口金
24 ブリッジ
25 フィラメント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状の放電路が長手方向中央部を中心として略同一平面に沿って2重渦巻状に旋回された発光管と、前記発光管の両端部にそれぞれ設けられた一対の口金と、前記口金に設けられて前記発光管の軸方向に沿って延びるランプピンと、前記一対の口金間を連結支持するブリッジとを備えた蛍光ランプと、
前記ランプピンと電気的に接続されて前記蛍光ランプに電力を供給するランプソケットと、
前記蛍光ランプを保持するランプ支持バネと、
前記ランプソケットおよび前記ランプ支持バネを介して前記蛍光ランプを内部に保持する器具本体と、
前記器具本体に取付けられて前記蛍光ランプの前面を覆うパネルと、を備えた照明器具であって、
前記ランプ支持バネが、熱伝導性のよい材料で形成されるとともに、前記発光管の端部においてフィラメントに対応する部分を保持することを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記ランプ支持バネにおいて前記発光管に接する面に、弾性を有する難燃性の薄肉層を設けたことを特徴とする請求項1記載の照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−176658(P2009−176658A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−16304(P2008−16304)
【出願日】平成20年1月28日(2008.1.28)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】