照明器具
【課題】直管蛍光ランプを用いた照明器具の代替として用いることが可能で、LEDチップを用いた発光装置の温度上昇を抑制できて光出力の高出力化を図れる照明器具を提供する。
【解決手段】LEDチップ10を用いた複数の発光装置1を厚み方向の一面側に備えた長尺のLEDユニット2と、器具本体100と、器具本体100に保持された金属製の反射板110と、器具本体100に設けられLEDユニット2を点灯させる点灯装置120と、LEDユニット2の厚み方向の他面側に配置されて反射板110に保持されLEDユニット2で発生した熱を放熱する長尺の放熱ブロック150とを備える。反射板110に、LEDユニット2の外周形状に応じた形状に開口されLEDユニット2が埋め込まれる埋込部115が設けられるとともに、放熱ブロック150に面接触する接触片117が設けられている。
【解決手段】LEDチップ10を用いた複数の発光装置1を厚み方向の一面側に備えた長尺のLEDユニット2と、器具本体100と、器具本体100に保持された金属製の反射板110と、器具本体100に設けられLEDユニット2を点灯させる点灯装置120と、LEDユニット2の厚み方向の他面側に配置されて反射板110に保持されLEDユニット2で発生した熱を放熱する長尺の放熱ブロック150とを備える。反射板110に、LEDユニット2の外周形状に応じた形状に開口されLEDユニット2が埋め込まれる埋込部115が設けられるとともに、放熱ブロック150に面接触する接触片117が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDチップを用いた発光装置を複数備えた照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、天井などに施工されている一般照明用の照明器具の直管蛍光ランプに代えて、LEDチップを用いた発光装置を複数備え、当該複数の発光装置を直線状に配列した直線形LEDランプを用いることが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、上記特許文献1に開示されたLEDランプ200”は、図15に示すように、円筒形のパイプ201”内に、LEDチップ10”を用いた発光装置1”が長尺の基板204”の一面側で基板204”の長手方向に配列されている。また、このLEDランプ200”は、LEDユニット202”で発生した熱を放熱させるための放熱部材205”もパイプ201”内に収納されている。
【0004】
上述の基板204”は、ガラスエポキシ樹脂を基材とした両面プリント配線板により構成されており、放熱部材205”は、アルミニウムにより形成されている。また、発光装置1”は、LEDチップ10”が青色光を発光する青色LEDチップであり、樹脂製のパッケージ11”に、LEDチップ10”からの青色光により励起されて黄色光を放射する蛍光体(図示せず)が混入されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−272072号公報(段落〔0012〕−〔0028〕および図1,2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、図15に示した構成のLEDランプ200”では、パイプ201”内に、発光装置1”で発生した熱を放熱させるための放熱部材205”が収納されているが、照明器具に適合したランプ重量により放熱部材205”のサイズが制限される。したがって、十分な放熱特性を得ることができず、高輝度の発光装置1”を用いても発光装置1”の温度が当該発光装置1”の許容温度(例えば、LEDチップ10”の最大ジャンクション温度)を超えないように各LEDチップ10”への入力電力を制限する必要があり、光出力の高出力化が難しかった。また、図15に示した構成のLEDランプ200”は、放熱ブロック205”が必要なので、LEDランプ200”自体が高価となる。
【0007】
また、従来の直管蛍光ランプ用の照明器具の直管蛍光ランプに代えて、LEDランプを取り付ける場合には、直管蛍光ランプを点灯するための安定器をバイパスする工事が必要であり、LEDランプの普及の妨げになっている。また、直管蛍光ランプのランプ配光とLEDランプのランプ配光とが一致しないので、照明器具により照明された照明環境が異なり、直管蛍光ランプを用いた照明器具と同様のあかり空間が得られず、空間の雰囲気が変わってしまう。要するに、LEDランプを点灯させたときに、器具本体の備えている反射板におけるLEDランプの周辺部分が暗く、反射板を利用した照明演出が得られない(直管蛍光ランプに代えてLEDランプを取り付けると、照明器具の配光特性が変化してしまう)。また、発光装置の指向性が強くて下向きの光が強いため、被照射面に、照明器具と被照射面との間に存在する物体の影が出やすくなる。
【0008】
これに対して、直管蛍光灯型LEDランプと称するLEDランプと、当該LEDランプ専用の灯具とを備えた照明器具が提案されている。
【0009】
しかしながら、このような照明器具においても、LEDランプの放熱特性が当該LEDランプのランプ重量により制限され、光出力の高出力化が難しいという問題がある。
【0010】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、直管蛍光ランプを用いた照明器具の代替として用いることが可能で、LEDチップを用いた発光装置の温度上昇を抑制できて光出力の高出力化を図れる照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、LEDチップを用いた複数の発光装置が厚み方向の一面側で長手方向に沿って配列された長尺のLEDユニットと、器具本体と、器具本体に保持されLEDユニットからの光を目標の配光となるように制御する金属製の反射板と、器具本体に設けられLEDユニットを点灯させる点灯装置と、LEDユニットの厚み方向の他面側に配置されて反射板に保持されLEDユニットで発生した熱を放熱する長尺の放熱ブロックとを備え、反射板に、LEDユニットの外周形状に応じた形状に開口されLEDユニットが埋め込まれる埋込部が設けられるとともに、放熱ブロックに面接触する接触片が設けられてなることを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、LEDチップを用いた複数の発光装置が厚み方向の一面側で長手方向に沿って配列された長尺のLEDユニットと、器具本体と、器具本体に保持されLEDユニットからの光を目標の配光となるように制御する金属製の反射板と、器具本体に設けられLEDユニットを点灯させる点灯装置とを備えていることにより、直管蛍光ランプを用いた照明器具の代替として用いることが可能となる。また、LEDユニットの厚み方向の他面側に配置されてLEDユニットで発生した熱を放熱する長尺の放熱ブロックを備え、反射板に、LEDユニットの外周形状に応じた形状に開口されLEDユニットが埋め込まれる埋込部が設けられ、放熱ブロックが反射板に保持されているので、放熱ブロックの重量により制限されることなく放熱ブロックのサイズを設定することができ、発光装置で発生した熱が放熱ブロックを通して効率的に放熱されることとなる。また、反射板に、放熱ブロックに面接触する接触片が設けられているので、発光装置で発生した熱を放熱ブロックだけでなく反射板からも放熱させることができ、放熱ブロックの小型化を図りながらも発光装置の温度上昇を抑制できて光出力の高出力化を図れる。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記反射板は、前記LEDユニットにおいて前記発光装置から光を取り出す面のうちの平面状の部位と前記反射板の反射面における前記埋込部の周部とを略面一とするように前記埋込部の周部から前記放熱ブロック側へ延設された高さ調整片を備え、高さ調整片の先端部から側方へ前記接触片が延設されていることを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、前記LEDユニットにおいて前記発光装置から光を取り出す面のうちの平面状の部位と前記反射板の反射面における前記埋込部の周部とを略面一としてあるので、前記発光装置の周辺部分が暗くなるのを抑制することが可能となる。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明において、前記LEDユニットは、前記各発光装置の接続関係を規定する回路パターンが前記放熱ブロック側とは反対の一表面側に形成されるとともに、前記各発光装置それぞれが挿入される複数の窓孔が厚み方向に貫設された回路基板を備えてなることを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、前記LEDユニットにおいて前記各発光装置の接続関係を規定する回路基板上に前記各発光装置が実装されている場合に比べて、前記各発光装置から前記放熱ブロックまでの熱抵抗を低減でき、放熱性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明では、直管蛍光ランプを用いた照明器具の代替として用いることが可能で、LEDチップを用いた発光装置の温度上昇を抑制できて光出力の高出力化を図れるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態1の照明器具を示し、(a)は概略分解斜視図、(b)は要部概略断面図である。
【図2】同上の照明器具の一部破断した要部概略分解斜視図である。
【図3】同上の照明器具の一部破断した要部概略斜視図である。
【図4】同上の照明器具の一部破断した要部概略斜視図である。
【図5】同上の照明器具における発光装置の概略分解斜視図である。
【図6】同上の照明器具における発光装置を示し、(a)は概略断面図、(b)は他の概略断面図である。
【図7】同上の照明器具における点灯装置を示し、(a)は概略平面図、(b)は概略正面図、(c)は概略側面図である。
【図8】同上の照明器具の他の構成例に関し、(a)は要部概略断面図、(b)は(a)における取付ばねの斜視図である。
【図9】同上の照明器具の他の構成例に関し、(a)は要部概略断面図、(b)は(a)における取付ばねの斜視図である。
【図10】同上の照明器具の他の構成例を示す要部概略断面図である。
【図11】同上の照明器具の他の構成例を示す要部概略断面図である。
【図12】同上の照明器具の比較例を示す要部概略断面図である。
【図13】同上の照明器具の他の構成例を示す要部概略断面図である。
【図14】実施形態2の照明器具を示し、(a)は概略分解斜視図、(b)は要部概略断面図である。
【図15】従来のLEDランプを示し、(a)は要部概略斜視図、(b)は概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施形態1)
以下、本実施形態の照明器具について図1〜図7を参照しながら説明する。
【0020】
本実施形態の照明器具は、天井埋込型の照明器具であって、造営材である天井材300に貫設した長方形状の埋込穴301を通して天井裏に挿入される長尺の器具本体100を備えている。器具本体100は、矩形板状の金属板(例えば、クロムフリーの亜鉛鋼板など)の短手方向の両側を折曲することにより形成されており、長手方向に直交する断面が、下向きに開放されたコ字状となっている。しかして、器具本体100は、細長の矩形板状の主片101と、当該主片101の幅方向の両側縁から下向きに延設された一対の側片102とを有している。なお、器具本体100の材料は、金属であればよく、特に限定するものではない。
【0021】
器具本体100は、主片101に、天井裏に吊り下げられた2つの取付ボルト310それぞれが挿通される2つのボルト挿通孔101aが穿孔されている。しかして、ボルト挿通孔101aに取付ボルト310を挿通して、該取付ボルト310に座金107を通してナット108を締め付けることにより、器具本体100を取付ボルト310に結合できる。また、器具本体100の主片101には、外部電源(例えば、商用電源からなる交流電源、直流電源など)に接続され天井裏に先行配線されている電源線320を引き込むための電源線用穴101bが穿孔されている。
【0022】
また、器具本体100は、主片101と両側片102とに囲まれた空間に、電源線320が接続される電源用の端子台119と、上記外部電源から端子台119を介して電力が供給され後述のLEDユニット2を点灯させる点灯装置120とが収納されている。ここで、点灯装置120は、器具本体100に対して交換可能に取着されている。要するに、点灯装置120は、器具本体100に設けられている。
【0023】
点灯装置120は、図7に示すように、LEDユニット2を点灯させる点灯回路(図示せず)の構成部品(図示せず)が実装されたプリント配線板130と、プリント配線板130が収納されたケース140とを備えている。
【0024】
ケース140は、合成樹脂製であって前面開口したボディ141と、合成樹脂製であってボディ141の前面側に結合される後面開口したカバー142とにより構成されている。ここにおいて、カバー142の短手方向の両側壁の後縁から後方に向かって係合爪142aが突設され、係合爪142aがボディ141の短手方向の両側面に形成してある係合凹部141aに係合することによりボディ141とカバー142とが結合されている。
【0025】
ボディ141の長手方向の両端面の後部には、ケース140を器具本体100に取り付けるための取付片143が長手方向に沿う方向に突設されている。この取付片143には、器具本体100に形成されたねじ孔(図示せず)に先端部が螺合するねじ(図示せず)を挿通させる取付孔143aが穿孔されている。なお、ケース1のボディ141とカバー142とは、合成樹脂により形成したものに限らず、例えば、金属により形成して適宜結合するようにしてもよい。
【0026】
プリント配線板130には、2つの端子装置146,147が、カバー142により覆われていない部分に実装されている。端子装置146,147は、電線挿入孔146a,147aから挿入された電線が各別に接続される端子板(図示せず)と、上記端子板との間に各別に電線を保持する鎖錠ばね(図示せず)とからなる速結端子(図示せず)が内装されている。ここで、各端子装置146,147は、上記端子板から延設された接続片(図示せず)がプリント配線板130に半田により接続されている。また、各端子装置146,147には、上記鎖錠ばねのばね力により電線を保持した状態を解除する際に解除釦(図示せず)を操作するための操作孔146b,147bが形成されている。なお、上記速結端子および上記解除釦の構造は周知の構造を適宜採用すればよい。
【0027】
2つの端子装置146,147のうちの一方の端子装置146は、端子台119からの電線が接続される電源側の端子装置を構成し、他方の端子装置147は、LEDユニット2への給電用の電線330(図4参照)が接続される負荷側の端子装置を構成する。
【0028】
また、本実施形態の照明器具は、LEDチップ10を用いた複数の発光装置1が厚み方向の一面側で長手方向に沿って配列された長尺のLEDユニット2と、器具本体100に取り付けられLEDユニット2からの光を目標の配光となるように制御する金属製の反射板110とを備えている。ここで、LEDユニット2は、複数の発光装置1が一直線上に並んでいる。また、LEDユニット2は、発光装置1を同じ数(図示例では、8つ)ずつ備えるとともに互いに同じ大きさに形成された複数個(図示例では、4個)のLEDモジュール2aにより構成されている。なお、反射板110は、鋼板により形成され、いわゆる高反射白色粉体の塗装を施してあり、塗膜の表面が反射面110aを構成している。反射板110の材料は特に限定するものではなく、例えば、アルミニウムを採用してもよい。
【0029】
反射板110は、器具本体100の両端部に取り付けられた2つの反射板アダプタ160に取り付けられる。
【0030】
反射板アダプタ160は、下向きに開放されたコ字状に形成され、中央片161が、当該中央片161の長手方向が器具本体100の長手方向に直交する形で器具本体100に取り付けられている。ここで、反射板110は、反射板アダプタ160の各中央片161に対して、所謂つまみねじからなる取付ねじ165を用いて取り付けられる。ここにおいて、反射板110には、各取付ねじ165が挿通される挿通孔112が形成されおり、反射板アダプタ160の中央片161には、各取付ねじ165が螺合するねじ孔161aが形成されている。
【0031】
反射板110は、下面側が開放され長手方向の両端部が閉じた樋状に形成され、下端部から外方へ鍔部111が延設されており、天井材300の埋込穴301に挿入され鍔部111が天井材300における埋込穴301の周部下面に当接する。
【0032】
ところで、反射板110は、LEDユニット2の外周形状に応じた形状(細長の長方形状)に開口されLEDユニット2が埋め込まれる埋込部115を有している。本実施形態の照明器具では、LEDユニット2において発光装置1から光を取り出す面のうちの平面状の部位と反射板110の反射面110aにおける埋込部115の周部とを略面一としてあるが、この点については後述する。
【0033】
また、反射板110には、透光性材料(例えば、アクリル樹脂など)により形成されLEDユニット2を覆う樋状の透光性カバー180が着脱自在に取り付けられている。透光性カバー180には、長手方向に沿った両端縁から、先端部に結合爪181a(図2参照)を有する複数(ここでは、4つ)の結合脚181が2つずつ延設され、反射板110には、結合脚181が挿入係止される結合孔113が形成されている。しかして、透光性カバー180の各結合脚181を反射板110の結合孔113に挿入して結合爪181aを結合孔113の周部に係止させることにより、透光性カバー180が反射板110に着脱自在に取り付けられる。透光性カバー180を反射板110から取り外す場合には、透光性カバー180の長手方向の両端部を両手で摘んで結合爪181aの結合孔113への係止状態を解除し、透光性カバー180を下方へ引き下げればよい。
【0034】
また、本実施形態の照明器具は、LEDユニット2の厚み方向の他面側に配置されてLEDユニット2が交換可能に取着されLEDユニット2で発生した熱を放熱する金属(例えば、Al、Cuなどの熱伝導率の高い金属)製の放熱ブロック150を備えている。放熱ブロック150は、長尺の板状に形成されており、LEDユニット2側とは反対側に複数のフィン152(図2参照)を有している。なお、各フィン152は、放熱ブロック150の長手方向に沿って形成されており、放熱ブロック150の短手方向に等ピッチで配列されている。
【0035】
ここにおいて、放熱ブロック150は、図示しない固定ねじにより反射板110に固着されている。要するに、放熱ブロック150は、反射板110に保持されている。
【0036】
発光装置1は、図5および図6に示すように、LEDチップ10と、一表面側にLEDチップ10への給電用の導体パターン23,23を有しLEDチップ10が上記一表面側に実装された矩形板状の実装基板20とを備えている。また、発光装置1は、LEDチップ10から放射された光の配光を制御する光学部材60を備えている。光学部材60は、透光性材料によりドーム状に形成されており、実装基板20との間にLEDチップ10を収納する形で実装基板20の上記一表面側に固着されている。光学部材60と実装基板20とで囲まれた空間には、LEDチップ10および当該LEDチップ10に電気的に接続された複数本(例えば、2本)のボンディングワイヤ14を封止した透光性の封止材料(例えば、封止樹脂など)からなる封止部50が充実されている。ここで、封止部50は、例えば、封止樹脂としてシリコーン樹脂を採用して、ゲル状とすることが好ましい。また、発光装置1は、LEDチップ10から放射され封止部50および光学部材60を透過した光によって励起されてLEDチップ10の発光色とは異なる色の光を放射する蛍光体および透光性材料により形成されたドーム状の色変換部材70を備えている。ここで、色変換部材70は、実装基板20の上記一表面側において実装基板20との間にLEDチップ10などを囲む形で配設される。更に説明すれば、色変換部材70は、実装基板20の上記一表面側において光学部材60の光出射面60bとの間に空気層80が形成されるように配設されている。また、実装基板20は、上記一表面において光学部材60の外側に、光学部材60を実装基板20に固着する際に上記空間から溢れ出た封止樹脂を堰き止める環状の堰部27が突設されている。
【0037】
LEDチップ10は、青色光を放射するGaN系青色LEDチップであり、結晶成長用基板としてサファイア基板に比べて格子定数や結晶構造がGaNに近く且つ導電性を有するn形のSiC基板を用いている。このLEDチップ10は、SiC基板の主表面側にGaN系化合物半導体材料により形成されて例えばダブルへテロ構造を有する積層構造部からなる発光部がエピタキシャル成長法(例えば、MOVPE法など)により成長されている。ここで、LEDチップ10は、一表面側(図6(a)における上面側)にアノード電極(図示せず)が形成され、他表面側(図6(a)における下面側)にカソード電極が形成されている。上記カソード電極および上記アノード電極は、Ni膜とAu膜との積層膜により構成してある。上記カソード電極および上記アノード電極の材料は特に限定するものではなく、良好なオーミック特性が得られる材料であればよく、例えば、Alなどを採用してもよい。LEDチップ10の構造は特に限定するものではなく、例えば、結晶成長用基板の主表面側に発光部などをエピタキシャル成長した後に発光部を支持する支持基板(例えば、Si基板など)を発光部に固着してから、結晶成長用基板などを除去したものでもよい。
【0038】
実装基板20は、熱伝導性材料からなりLEDチップ10がサブマウント部材30を介して実装される伝熱板21と、上述の導体パターン23,23を有し伝熱板21におけるLEDチップ10の実装面側に固着された配線基板22とで構成されている。
【0039】
伝熱板21および配線基板22の外周形状は矩形状であり、配線基板22の中央部には、伝熱板21よりも平面サイズが小さな矩形板状のサブマウント部材30を露出させる矩形状の窓孔24が厚み方向に貫設されている。要するに、LEDチップ10は、配線基板22の窓孔24の内側に配置されたサブマウント部材30を介して伝熱板21に搭載されている。したがって、LEDチップ10で発生した熱が配線基板22を介さずにサブマウント部材30および伝熱板21に伝熱されるようになっている。ここにおいて、伝熱板21の上記一面には、サブマウント部材30の位置決め精度を高めるためのアライメントマーク21cが形成されている。なお、配線基板22と伝熱板21は、例えばポリオレフィン系の固着シート29(図5参照)を介して固着すればよい。
【0040】
本実施形態では、伝熱板21の熱伝導性材料としてCuを採用しているが、Cuに限らず、例えば、Alなどを採用してもよい。要するに、伝熱板21の熱伝導性材料としては、CuやAlなどの熱伝導率の高い金属を採用することが好ましい。また、LEDチップ10は、発光部が結晶成長用基板よりも伝熱板21から離れた側となるように伝熱板21に搭載されているが、発光部が結晶成長用基板よりも伝熱板21に近い側となるように伝熱板21に搭載するようにしてもよい。光取り出し効率を考えた場合には、発光部を伝熱板21から離れた側に配置することが望ましい。しかし、本実施形態では結晶成長用基板と発光部とが同程度の屈折率を有しているので、発光部を伝熱板21に近い側に配置しても光の取り出し損失が大きくなりすぎることはない。
【0041】
上述の配線基板22は、ポリイミドフィルムからなる絶縁性基材22aの一表面側に、LEDチップ10への給電用の一対の導体パターン23,23が設けられている。また、配線基板22は、各導体パターン23,23および絶縁性基材22aにおいて導体パターン23,23が形成されていない部位を覆う白色系のレジスト(樹脂)からなる保護層26が積層されている。したがって、LEDチップ10からの光や色変換部材70の蛍光体からの光が保護層26の表面で反射されるので、LEDチップ10や蛍光体から放射された光が配線基板22に吸収されるのを防止することができ、外部への光取り出し効率の向上による光出力の向上を図れる。なお、各導体パターン23,23は、絶縁性基材22aの外周形状の半分よりもやや小さな外周形状に形成されている。また、絶縁性基材22aの材料としては、FR4、FR5、紙フェノールなどを採用してもよい。
【0042】
保護層26は、配線基板22の窓孔24の近傍において各導体パターン23,23の2箇所が露出し、配線基板22の周部において各導体パターン23,23の1箇所が露出するようにパターニングされており、各導体パターン23,23は、配線基板22の窓孔24近傍において露出した2つの矩形状の部位が、ボンディングワイヤ14が接続される端子部23aを構成し、配線基板22の周部において露出した円形状の部位が外部接続用電極部23bを構成している。なお、配線基板22の導体パターン23,23は、Cu膜とNi膜とAu膜との積層膜により構成されている。また、2つの外部接続用電極部23bのうちLEDチップ10の上記アノード電極が電気的に接続される外部接続用電極部23b(図5における右側の外部接続用電極部23b)には、「+」の表示が形成されている。一方、LEDチップ10の上記カソード電極が電気的に接続される外部接続用電極部23b(図5における左側の外部接続用電極部23b)には、「−」の表示が形成されているので、発光装置1における両外部接続用電極部23b,23bの極性を視認することができ、誤接続を防止することができる。
【0043】
ところで、LEDチップ10は、LEDチップ10と伝熱板21との線膨張率の差に起因してLEDチップ10に働く応力を緩和する上述のサブマウント部材30を介して伝熱板21に搭載されている。ここで、サブマウント部材30は、LEDチップ10のチップサイズよりも大きな平面サイズの矩形板状に形成されている。
【0044】
サブマウント部材30は、上記応力を緩和する機能だけでなく、LEDチップ10で発生した熱を伝熱板21においてLEDチップ10のチップサイズよりも広い範囲に伝熱させる熱伝導機能を有している。したがって、発光装置1は、LEDチップ10で発生した熱をサブマウント部材30および伝熱板21を介して効率良く放熱させることができる。また、発光装置1は、LEDチップ10が配線基板22に搭載される場合に比べてLEDチップ10から放熱ブロック150までの熱抵抗を小さくすることができる。また、発光装置1は、サブマウント部材30を備えていることにより、LEDチップ10と伝熱板21との線膨張率差に起因してLEDチップ10に働く応力を緩和することができる。
【0045】
サブマウント部材30の材料としては、熱伝導率が比較的高く且つ絶縁性を有するAlNを採用している。これに対して、LEDチップ10は、上記カソード電極がサブマウント部材30におけるLEDチップ10側の表面に設けられ上記カソード電極と接続される電極パターン(図示せず)および金属細線(例えば、金細線、アルミニウム細線など)からなるボンディングワイヤ14を介して一方の導体パターン23と電気的に接続され、上記アノード電極がボンディングワイヤ14を介して他方の導体パターン23と電気的に接続されている。なお、LEDチップ10とサブマウント部材30とは、例えば、SnPb、AuSn、SnAgCuなどの半田や、銀ペーストなどを用いて接合すればよいが、AuSn、SnAgCuなどの鉛フリー半田を用いて接合することが好ましい。サブマウント部材30がAlNであって、AuSnを用いて接合する場合には、サブマウント部材30およびLEDチップにおける接合表面にあらかじめAuまたはAgからなる金属層を形成する前処理が必要である。また、サブマウント部材30と伝熱板21とは、例えば、AuSn、SnAgCuなどの鉛フリー半田を用いて接合することが好ましい。ここで、AuSnを用いて接合する場合には、伝熱板21における接合表面にあらかじめAuまたはAgからなる金属層を形成する前処理が必要である。
【0046】
サブマウント部材30の材料はAlNに限らず、線膨張率が結晶成長用基板の材料である6H−SiCに比較的近く且つ熱伝導率が比較的高い材料であればよく、例えば、複合SiC、Si、CuWなどを採用してもよい。なお、サブマウント部材30は、上述の熱伝導機能を有しており、伝熱板21におけるLEDチップ10側の表面の面積はLEDチップ10における伝熱板21側の表面の面積よりも十分に大きいことが望ましい。
【0047】
また、本実施形態における発光装置1では、サブマウント部材30の厚み寸法を、当該サブマウント部材30の表面が配線基板22の保護層26の表面よりも伝熱板21から離れるように設定してある。しかして、LEDチップ10から側方に放射された光が配線基板22の窓孔24の内周面を通して配線基板22に吸収されるのを防止することができる。
【0048】
また、サブマウント部材30においてLEDチップ10が接合される側の表面においてLEDチップ10との接合部位(つまり、LEDチップ10に重なる部位)の周囲には、LEDチップ10から放射された光を反射する反射膜が形成されている。しかして、LEDチップ10の側面から放射された光がサブマウント部材30に吸収されるのを防止することができ、外部への光取出し効率をさらに高めることができる。ここで、サブマウント部材30における反射膜は、例えば、Ni膜とAg膜との積層膜により構成すればよいが、反射膜の材料は特に限定するものではなく、例えば、LEDチップ10の発光波長に応じて適宜選択すればよい。
【0049】
上述の封止部50の封止材料である封止樹脂としては、シリコーン樹脂を用いているが、シリコーン樹脂に限らず、例えばアクリル樹脂などを用いてもよい。また、封止材料としては、ガラスを用いてもよい。
【0050】
光学部材60は、透光性材料(例えば、シリコーン樹脂、ガラスなど)の成形品であってドーム状に形成されている。ここで、本実施形態では、光学部材60をシリコーン樹脂の成形品により構成しているので、光学部材60と封止部50との屈折率差および線膨張率差を小さくすることができる。なお、封止部50の材料がアクリル樹脂の場合には、光学部材60もアクリル樹脂により形成することが好ましい。
【0051】
ところで、光学部材60は、光出射面60bが、光入射面60aから入射した光を光出射面60bと上述の空気層80との境界で全反射させない凸曲面状に形成されており、LEDチップ10と光軸が一致するように配置されている。したがって、LEDチップ10から放射され光学部材60の光入射面60aに入射された光が光出射面60bと空気層80との境界で全反射されることなく色変換部材70まで到達しやすくなり、全光束を高めることができる。また、LEDチップ10の側面から放射された光は封止部50および光学部材60および空気層80を伝搬して色変換部材70まで到達し色変換部材70の蛍光体を励起したり、蛍光体により散乱されたり、蛍光体には衝突せずに色変換部材70を透過したりする。なお、光学部材60は、位置によらず法線方向に沿って肉厚が一様となるように形成されている。
【0052】
色変換部材70は、シリコーン樹脂のような透光性材料とLEDチップ10から放射された青色光によって励起されてブロードな黄色系の光を放射する黄色蛍光体の粒子とを混合した混合物の成形品により構成されている。したがって、発光装置1は、LEDチップ10から放射された青色光と黄色蛍光体から放射された光とが色変換部材70の外面70bを通して放射されることとなり、白色光を得ることができる。なお、色変換部材70の材料として用いる透光性材料は、シリコーン樹脂に限らず、例えば、アクリル樹脂、ガラス、有機成分と無機成分とがnmレベルもしくは分子レベルで混合、結合した有機・無機ハイブリッド材料などを採用してもよい。また、色変換部材70の材料として用いる透光性材料に混合する蛍光体の粒子も黄色蛍光体に限らず、例えば、赤色蛍光体と緑色蛍光体とを混合しても白色光を得ることができ、赤色蛍光体と緑色蛍光体とを混合した場合の方が演色性を高めることができる。
【0053】
ここで、色変換部材70は、内面70aが光学部材60の光出射面60bに沿った形状に形成されている。したがって、光学部材60の光出射面60bの位置によらず法線方向における光出射面60bと色変換部材70の内面70aとの間の距離が略一定値となっている。なお、色変換部材70は、位置によらず法線方向に沿った肉厚が一様となるように成形されている。また、色変換部材70は、実装基板20側の端縁(開口部の周縁)を実装基板20に対して、例えば接着剤(例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂など)を用いて固着すればよい。
【0054】
ところで、上述の発光装置1の製造方法の一例について簡単に説明する。まず、LEDチップ10と各導体パターン23,23とをそれぞれ2本のボンディングワイヤ14を介して電気的に接続する。その後、配線基板22の窓孔24に連続して形成されている樹脂注入孔28(図5参照)からサブマウント部材30と配線基板22との隙間に封止部50の一部となる液状の封止樹脂(例えば、シリコーン樹脂)を注入した後に硬化させる。次に、ドーム状の光学部材60の内側に上述の封止部50の残りの部分となる液状の封止樹脂(例えば、シリコーン樹脂)を注入する。続いて、光学部材60を実装基板20における所定位置に配置して封止樹脂を硬化させることにより封止部50を形成するのと同時に光学部材60を実装基板20に固着し、その後、色変換部材70を実装基板20に固着する。しかしながら、このような製造方法でも、製造過程において封止部50に気泡(ボイド)が発生する恐れがあるので、光学部材60に液状の封止樹脂を多めに注入する必要がある。
【0055】
そこで、発光装置1は、実装基板20の上記一表面において光学部材60の外側に、光学部材60を実装基板20に固着する際に光学部材60と実装基板20とで囲まれた空間から溢れ出た封止樹脂を堰き止める円環状の堰部27を突設してある。なお、実装基板20の上記一表面側において光学部材60と堰部27と保護層26とで囲まれた空間に溜まった封止樹脂は、硬化させることにより図6(a)における樹脂部50bとなる。
【0056】
ここにおいて、堰部27は、白色系のレジストにより形成されている。しかして、LEDチップ10から放射された光や蛍光体から放射された光が堰部27で吸収されるのを防止することができ、光出力の高出力化を図れる。また、堰部27は、当該堰部27の内周面から内方へ延出し当該堰部27の中心と光学部材60の中心軸とをセンタリングする複数(本実施形態では、4つ)のセンタリング用爪部27bが周方向に離間して等間隔で設けられている。要するに、堰部27は、色変換部材70の位置決め部を兼ねている。ここで、上述のセンタリング用爪部27bの数は4つに限定するものではないが、少なくとも3つ設けることが望ましい。また、センタリング用爪部27bの幅寸法は、堰部27と光学部材60との間に溜めることが可能な封止樹脂の許容量を多くするために、小さいほうが望ましい。また、堰部27を設けずに、実装基板20に色変換部材70を位置決めする円環状の凹溝を設けてもよい。
【0057】
また、色変換部材70は、実装基板20側の端縁に、堰部27に係合する切欠部71が全周に亘って形成されている。したがって、本実施形態の発光装置1では、実装基板20に対する色変換部材70の位置決め精度を高めることができ、また、色変換部材70と光学部材60との間隔を短くすることができる。なお、切欠部71は、色変換部材70の端縁側と内面70a側とが開放されている。
【0058】
また、上述の実装基板20における導体パターン23,23は、色変換部材70よりも外側において露出した部位が上述の外部接続用電極部23b,23bを構成している。
【0059】
ところで、上述のLEDユニット2のLEDモジュール2aは、各発光装置1の接続関係を規定する回路パターン3b(図2〜図4参照)が放熱ブロック150側とは反対の一表面側に形成された回路基板3を備えている。回路基板3には、各発光装置1それぞれが挿通される複数の窓孔3cが厚み方向に貫設されている。ここで、LEDモジュール2aは、複数の発光装置1および回路基板3が厚み方向の一面側に配置される短冊状の金属板からなるベース基板4を備えている。各窓孔3cの開口サイズは、発光装置1における実装基板20の平面サイズよりもやや大きく設定されている。なお、ベース基板4の材料としては、Alを採用しているが、これに限らず、例えば、Cuなどを採用してもよい。
【0060】
LEDモジュール2aは、金属製ねじからなる取付ねじ8を用いて放熱ブロック150に着脱自在に取り付けられている。ここで、LEDモジュール2は、回路基板3に、取付ねじ8の頭部8aの外径よりも内径が大きなねじ挿通孔3eが形成されるとともに、ベース基板4に、上記外径よりも内径が小さなねじ挿通孔4eが形成されている。一方、放熱ブロック150には、ねじ挿通孔3e,4eを挿通された取付ねじ8の先端部が螺合するねじ孔15eが形成されている。しかして、取付ねじ8の頭部8aと回路基板3のねじ挿通孔3eの内周面とが離間しており、当該取付ねじ8と回路基板3の回路パターン3bとの間の沿面距離を長くすることができ、しかも、取付ねじ8に起因して発光装置1に生じる応力を低減できる。LEDモジュール2aは、回路基板3が、樹脂製ねじからなる組立ねじ7(図2および図4参照)を用いてベース基板4に取り付けられるとともに、各発光装置1が、シリカやアルミナなどのフィラーからなる充填材を含有し且つ加熱時に低粘度化する樹脂シート(例えば、溶融シリカを高充填したエポキシ樹脂シートのような有機グリーンシート)からなる接着層92により、ベース基板4に接合されて熱結合されている。ここにおいて、有機グリーンシートは、電気絶縁性を有するとともに熱伝導率が高く加熱時の流動性が高く凹凸面への密着性が高いという性質を有している。しかしながら、ベース基板4の熱容量が大きいため、有機グリーンシートの加熱温度を170℃程度まで上げて硬化させると、発光装置1とベース基板4との固着性能が低下し、加熱温度を150℃程度まで下げて硬化させると発光装置1とベース基板4との間の電気絶縁性が低下する。すなわち、固着性能と電気絶縁性とがトレードオフの関係を有している。そこで、本実施形態では、接着層92とは別に、あらかじめベース基板4の上記一面上に170℃で硬化させた有機グリーンシートからなる絶縁層91を設けてある。要するに、発光装置1の伝熱板21とベース基板4との間には、接着層92と絶縁層91とが介在することとなり、接着層92により固着性能および熱伝導性を確保し、絶縁層91により電気絶縁性および熱伝導性を確保している。
【0061】
LEDモジュール2aにおける回路基板3とベース基板4とは、同じ外周形状に形成されている。すなわち、回路基板3およびベース基板4の外周形状は、細長の矩形状となっている。ここで、LEDモジュール2aは、LEDユニット2の長手方向の外形寸法が埋込部15の長手方向の寸法の整数分の1(図示例では、4分の1)の寸法よりもやや小さな寸法に形成されるとともに、短手方向の寸法が埋込部15の短辺方向の寸法よりもやや小さな寸法に形成されている。しかして、長手方向の長さの異なる複数種のLEDユニット2でLEDモジュール2aを共用することが可能となり、低コスト化を図れる。
【0062】
また、上述の回路基板3の上記一表面側には、発光装置1からの光を反射させるミラー3d(図2および図4参照)が形成されている。ここにおいて、回路基板3は、ミラー3dが、白色系のレジスト層により構成されており、回路パターン3dの大部分がミラー3dにより覆われている。また、回路基板3は、有機系絶縁基板の一表面側に上述の回路パターン3bが形成されている。ここにおいて、回路基板3の有機系絶縁基板の材料としては、例えば、FR4のようなガラスエポキシ樹脂を採用すればよいが、ガラスエポキシ樹脂に限らず、例えば、ポリイミド系樹脂、フェノール樹脂などでもよい。
【0063】
また、回路基板3には、発光装置1のLEDチップ10へ過電圧が印加されるのを防止するために、過電圧防止用の表面実装型のツェナダイオード331および表面実装型のセラミックコンデンサ332が各窓孔3cの近傍で実装されている。
【0064】
また、発光装置1は、図3および図4に示すように、各外部接続用電極部23bが端子板6を介して回路基板3の回路パターン3bと電気的に接続されている。なお、端子板6としては、ジャンパピンを用いてもよい。
【0065】
また、LEDユニット2は、全ての発光装置1が直列接続されるように隣り合うLEDモジュール2aの回路基板3同士を接続してある。ここにおいて、各LEDモジュール2aは、回路基板3の長手方向の一端部に雄型コネクタ5a(図2および図4参照)が設けられるとともに、他端部に雌型コネクタ5b(図2参照)が設けられている。これに対し、回路基板3は、雄型コネクタ5aの一方の接触子5a1と雌型コネクタ5bにおいて当該一方の接触子5a1が電気的に接続される一方のコンタクト(図示せず)との間の電路にLEDチップ10が挿入され、雄型コネクタ5aの他方の接触子5a2と雌型コネクタ5bにおいて当該他方の接触子5a2が電気的に接続される他方のコンタクト(図示せず)との間が送り配線用に短絡されるように、回路パターン3bが形成されている。したがって、点灯装置120からの一対の電線330に、回路基板3に設けられた雌型コネクタ5bと同じ構造の雌型コネクタ5c(図4参照)を接続しておき、当該雌型コネクタ5cを図1(a)における左端のLEDモジュール2aの雄型コネクタ5a(図4参照)に接続するとともに、右端のLEDモジュール2aの雌型コネクタ5bのコンタクト間を短絡するコネクタ(図示せず)を設ければ、点灯装置120から、LEDユニット2の全てのLEDチップ10の直列回路へ電力を供給することができる。
【0066】
ところで、本実施形態の照明器具は、図1(b)に示すように、LEDユニット2において発光装置1から光を取り出す面のうちの平面状の部位と反射板110の反射面110aにおける埋込部115の周部とを略面一としてある。ここで、本実施形態では、発光装置1において、当該発光装置1の周囲媒質(空気)に接し光が最終的に出射される面と、当該発光装置1の周囲媒質(空気)に接し光が最終的に反射される面との両方が、発光装置1から光を取り出す面を構成しており、発光装置1の保護層26の表面が、LEDユニット2の上記平面状の部位を構成している。ここにおいて、上記平面状の部位と反射板110の反射面110aにおける埋込部115の周部とを略面一とするために、反射板110は、埋込部115の周部から放熱ブロック150側へ高さ調整片116が延設されており、放熱ブロック150に面接触する接触片117が高さ調整片116の先端部から外方に延設されている。また、本実施形態では、回路基板3のミラー3dの表面が上記平面状の部位と略面一としてある。なお、本実施形態では、図4に示すように、反射板110における高さ調整片116に、上述の一対の電線330を通すための電線導入孔110bが形成されている。ここで、当該電線導入孔110bは、雄型コネクタ330を挿通可能な内径の円形状に開口されている。
【0067】
以上説明した本実施形態の照明器具では、上述のLEDユニット2と、器具本体100と、反射板110と、点灯装置120とを備えていることにより、直管蛍光ランプを用いた照明器具の代替として用いることが可能となる。また、反射板110に、LEDユニット2の外周形状に応じた形状に開口されLEDユニット2が埋め込まれる埋込部115が設けられ、放熱ブロック150が反射板110に保持されているので、放熱ブロック150の重量により制限されることなく放熱ブロック150のサイズを設定することができ、発光装置1で発生した熱が放熱ブロック150を通して効率的に放熱されることとなる。また、反射板110に、放熱ブロック150に面接触する接触片117が設けられているので、発光装置1で発生した熱を放熱ブロック150だけでなく反射板110からも放熱させることができ、放熱ブロック150の小型化を図りながらも発光装置1の温度上昇を抑制できて光出力の高出力化を図れる。要するに、反射板110を放熱部材に兼用するので、放熱ブロック150を小さくすることができ、軽量化および低コスト化を図れる。ここで、反射板110の材料としてAlを採用すれば、鋼板を用いる場合に比べて熱伝導率が高くなり、LEDユニット2で発生した熱をより効率良く放熱させることができる。
【0068】
また、本実施形態の照明器具100では、反射板110に高さ調整片116を備え、上記平面状の部位と反射板110の反射面110aにおける埋込部115の周部とを略面一としてあるので、発光装置1の周辺部分が暗くなるのを抑制することが可能となる。
【0069】
また、LEDユニット2の回路基板3に各発光装置1それぞれが挿入される複数の窓孔3cが設けられているので、LEDユニット2において各発光装置1の接続関係を規定する別途の回路基板上に各発光装置1を実装する場合に比べて、各発光装置1から放熱ブロック150までの熱抵抗を低減でき、放熱性を向上させることができる。
【0070】
また、放熱ブロック150の平面サイズをLEDユニット2の平面サイズよりも大きく設定してあるので、放熱ブロック150に伝熱された熱をより広い範囲に伝熱させることができ、放熱性が向上する。ここにおいて、放熱ブロック150の短手方向の寸法をLEDユニット2の短手方向の寸法よりも長くすることにより、各発光装置1から伝熱された熱をより広い範囲に伝熱させることができる。
【0071】
また、本実施形態の照明器具における発光装置1は、上述のように、ドーム状の色変換部材70と光学部材60との間に空気層80が介在している。しかして、LEDチップ10から放射され封止部50および光学部材60を通して色変換部材70に入射し色変換部材70の蛍光体の粒子で散乱された光のうち光学部材60側へ散乱されて光学部材を透過する光の光量を低減できて発光装置1としての外部への光取り出し効率を向上できる。しかも、蛍光体の粒子で反射板110の反射面110a側へ散乱された光および蛍光体から反射面110a側へ放射された光により反射板110の反射面110aを照らすことができる。
【0072】
また、反射板110が器具本体100に取り付けられた状態において、反射板110を器具本体100から取り外すことなくLEDユニット2を放熱ブロック150に着脱できるから、LEDユニット2の交換作業が容易になる。また、複数の発光装置1のうち寿命前に点灯しなくなったものが発生した場合に、LEDユニット2全部ではなく、LEDモジュール2a単位で交換することができ、交換コストを低減できる。
【0073】
ここにおいて、本実施形態の照明器具は、LEDユニット2と反射板110における埋込部115の周部とを覆う透光性カバー180を備えているが、透光性カバー180は、反射板110に着脱自在に取り付けられている。したがって、透光性カバー180を取り付けることによりLEDユニット2を保護することができ、LEDユニット2もしくはLEDモジュール2aを交換する際には、透光性カバー180を反射板110から取り外せばよい。また、透光性カバー180が、LEDユニット2からの光を拡散させる拡散機能を有するように構成すれば、反射板110の反射面110aをより均一に照らすことができる。なお、透光性カバー180が拡散機能を有するようにするためには、例えば、透光性カバー180の母材に光拡散材を分散させておけばよい。
【0074】
また、本実施形態の照明器具は、器具本体100および反射板アダプタ150として、従来の直管蛍光ランプ用の照明器具と同様の構造のものを用いることができるので、当該従来の照明器具と同様に簡単に施工できる。また、反射板110の外形寸法を既存の照明器具と同じ外形寸法に設定しておけば、既に設置されている従来の照明器具に代えて施工することも可能となり、天井材300の埋込穴301を有効に利用することができ、天井材300の再施工を不要とすること可能となる。
【0075】
上述のLEDユニット2は、必ずしも、複数のLEDモジュール2aにより構成する必要はなく、ベース基板4と回路基板3とを1つずつ備えていないものでもよいことは勿論であり、この場合には、雄型コネクタ5aの接触子5a1,5a2間に全てのLEDチップ10の直列回路が挿入されるように回路パターン3bを形成してもよい。なお、本実施形態では、複数の発光装置1を直列接続しているが、複数の発光装置1の接続関係は特に限定するものではなく、例えば、並列接続するようにしてもよいし、直列接続と並列接続とを組み合わせてもよい。
【0076】
ところで、LEDユニット2を放熱ブロック150に着脱自在に取り付ける手段は、上述のように取付ねじ8(図1(b)参照)を用いた例に限らず、例えば、図8(a)に示すように、短冊状の金属板を折曲して形成した板ばね118を用いてもよい。図8(a)に示した例では、LEDユニット2の短手方向の寸法に関してベース基板4の寸法を回路基板3の寸法よりも長く設定してある。また、LEDユニット2の短手方向において互いに対向する高さ調整片116の放熱ブロック150側の上部同士の距離が下部同士の距離よりも長くなるように、高さ調整片116の上部を断面L字状の形状としてある。つまり、LEDユニット2におけるベース基板4が収納される部位の幅寸法をベース基板4の短手方向の寸法よりも長くし、回路基板3が収納される部位の幅寸法を回路基板3の短手方向の寸法よりも長く且つベース基板4の短手方向の寸法よりも短く設定してある。したがって、LEDユニット2は、放熱ブロック150と反射板110とにより保持される。
【0077】
ここで、図8(a)の例では、一方の高さ調整片116(同図の左側の高さ調整片116)の上部における他方の高さ調整片116(同図の右側の高さ調整片116)の上部との対向面に、上述の板ばね118を構成する金属板の長さ方向の中央部からなる固定片118aをスポット溶接などにより固着してある。板ばね118は、上記長さ方向の両端部に高さ調整片116から離間して配置されベース基板4の短手方向の側面に接触する接触片118bを備えており、固定片118aと接触片118bとの間がV字状の連結片118cにより連結された形状に形成されている。また、LEDユニット2と放熱ブロック150との間の熱抵抗のばらつきを低減するために、例えば、サーコン(登録商標)のようなゴムシート状の放熱シート(熱伝導シート)93をLEDユニット2と放熱ブロック150とで挟持している。しかして、LEDユニット2と放熱ブロック150とは放熱シート93を介して熱結合される。
【0078】
したがって、図8(a)の構成を採用する場合、LEDユニット2(LEDモジュール2a)を放熱ブロック150に取り付けるには、LEDユニット2を水平面から傾けた状態でベース基板4を埋込部115に挿入してベース基板4の側面を一方の高さ調整片116の板ばね118の接触片118bに接触させ、板ばね118のばね力に抗して板ばね118を弾性変形させてからLEDユニット2を放熱ブロック150側へ押し込み、その後、板ばね118の復帰力によりベース板4の他方の側面を他方の高さ調整片116に当接させればよい。逆に、LEDユニット2を取り外す場合には、LEDユニット2を板ばね118側へ押してから、LEDユニット2を傾けて取り外せばよい。なお、取り外し時にマイナスドライバなどの先端部を挿入可能な冶具挿入部(穴や切欠部)を回路基板3およびベース基板4に設けておけば、LEDユニット2を板ばね118側へ容易に押し付けることができ、回路基板3にかかる力を低減できる。
【0079】
また、LEDユニット2を放熱ブロック150に着脱自在に取り付ける手段の他の例としては、図9(a)に示すような一対の板ばね119を用いてもよい。図9(a)に示した例でも、LEDユニット2の短手方向の寸法に関してベース基板4の寸法を回路基板3の寸法よりも長く設定してある。
【0080】
板ばね119は、短冊状の金属板を折曲することにより形成されており、高さ調整片116の上部にスポット溶接などにより固着される固定片119aと、LEDユニット2のベース基板4の周部に弾接するJ字状の接触片119bとを備え、固定片119aと接触片119bとの間が逆V字状の連結片119cにより連結された形状に形成されている。ここにおいて、反射板110の高さ調整片116は、反射板110の反射面110aとLEDユニット2の上記平面状の部位との間に形成される隙間を小さくするために、板ばね119に対応する部位のみ平面視U字状に凹ませてある。図9(a)に示した例においてLEDユニット2を放熱ブロック150に取り付ける際には、LEDユニット2の短手方向に並んでいる板ばね119の接触片119の先端間の間隔が拡がるように指等により板ばね119を弾性変形させた状態で、LEDユニット2を水平面から傾けた状態でベース基板4を埋込部115に挿入してから、LEDユニット2を放熱ブロック150側へ押し込めばよい。なお、取り外し時には、LEDユニット2の短手方向に並んでいる板ばね119の接触片119の先端間の間隔が拡がるように指等により板ばね119を弾性変形させた状態で、LEDユニット2を傾けて取り外せばよい。
【0081】
放熱ブロック150にLEDユニット2を取り付ける手段は、上述の各例に限らない。例えば、図10に示すように、放熱ブロック150に取付ねじ8を挿通させるねじ挿通孔150eを設け、伝熱板21に取付ねじ8の先端部が螺合するねじ孔21eを設けてもよい。また、図10の構成に代えて、図11に示すように、反射板110において放熱ブロック115に接触する接触片117により高さ調整片116同士を連結するように、反射板110における接触片117にLEDユニット2の他面が密着する形でLEDユニット2を放熱ブロック150に取り付けるようにしてもよい。この図11の構成では、接触片117に、取付ねじ118を挿通するねじ挿通孔117eを設ける。
【0082】
図8(a)、図9(a)、図10、図11のいずれの構成においても、図12に示すように、上述の接触片117を備えていない構造に比べて、放熱ブロック150の小型化を図りながらも放熱性を向上させることが可能となる。なお、図12の例では、発光装置1の伝熱板21と放熱ブロック150とを上記有機グリーンシートからなる絶縁層95により接合してあり、伝熱板21と放熱ブロック150とが電気的に絶縁され且つ熱結合している。
【0083】
ところで、上述の発光装置1において、LEDチップ10単体で白色光を放射できる場合や、封止部50に蛍光体を分散させている場合には、上述の色変換部材70を備えていない構造を採用することができる。
【0084】
なお、上述の例では、LEDチップ10として、発光色が青色の青色LEDチップを採用しており、結晶成長用基板としてSiC基板を採用しているが、SiC基板の代わりにGaN基板やサファイア基板を用いてもよく、SiC基板やGaN基板を用いた場合には結晶成長用基板として絶縁体であるサファイア基板を用いている場合に比べて、結晶成長用基板の熱伝導率が高く結晶成長用基板の熱抵抗を小さくできる。また、上述のLEDチップ10は、上記一表面側に上記アノード電極が形成され、上記他表面側にカソード電極が形成されているが、上記一表面側にアノード電極およびカソード電極が形成されていてもよく、この場合には、アノード電極およびカソード電極の両方ともボンディングワイヤ14を介して導体パターン23,23と直接接続することができる。また、LEDチップ10から放射される光は青色光に限らず、例えば、紫色光、紫外光などでもよい。
【0085】
また、LEDチップ10と実装基板20における伝熱板21との線膨張率の差が比較的小さい場合にはサブマウント部材30は必ずしも設ける必要はない。上述の発光装置1では、LEDチップ10としてチップサイズが1mm□のものを用いサブマウント部材30上に1個のLEDチップ10を配置しているが、LEDチップ10のチップサイズや数は特に限定するものではなく、例えば、LEDチップ10としてチップサイズが0.3mm□のものを採用するようにして、1個のサブマウント部材30上に複数個のLEDチップ10を配置し、これら複数個のLEDチップ10をサブマウント部材30の電極パターンおよび図示しないボンディングワイヤを介して直列接続するようにしてもよい。
【0086】
また、LEDユニット2の構成は、上述の各例に限らず、例えば、図13に示すように、金属ベースプリント配線板からなる回路基板3上に複数の発光装置1を表面実装した構成のものでもよい。
【0087】
この図13の例では、取付ねじ8を用いて回路基板3を放熱ブロック150に取り付けてある。ここにおいて、回路基板3には、取付ねじ8が挿通されるねじ挿通孔3fが設けられ、放熱ブロック150には取付ねじ8の先端部が螺合するねじ孔115eが設けられている。また、LEDユニット2と放熱ブロック150との間の熱抵抗のばらつきを低減するために、例えば、サーコン(登録商標)のようなゴムシート状の放熱シート(熱伝導シート)93をLEDユニット2と放熱ブロック150とで挟持している。しかして、LEDユニット2と放熱ブロック150とは放熱シート93を介して熱結合される。
【0088】
図13における発光装置1は、LEDチップ10と、LEDチップ10が実装された実装基板20’と、LEDチップ10に重ねて配置された半球状の光学部材65と、色変換部材70とを備えている。ここにおいて、光学部材65は、シリコーン樹脂により形成されているが、光学部材65の材料はシリコーン樹脂に限らず、例えば、ガラスなどでもよい。なお、光学部材65は、LEDチップ10と当該LEDチップ10の光取り出し面が接する媒質との屈折率差を当該媒質が空気の場合に比べて小さくして、LEDチップ10からの光取り出し効率を向上させるものである。
【0089】
実装基板20’は、LEDチップ10を収納する収納凹所20a’が一表面に設けられ且つLEDチップ10のアノード電極(図示せず)およびカソード電極(図示せず)がバンプを介して電気的に接続される配線(図示せず)が形成されたセラミック基板により構成してある。要するに、LEDチップ10は、実装基板20’にフリップチップ実装されており、結晶成長用基板であるサファイア基板を通して光が取り出される。ここにおいて、実装基板20’における収納凹所20a’は、円形状に開口され且つ内底面から離れるにつれて開口面積が徐々に大きくなっている。また、実装基板20’の収納凹所20a’内には、LEDチップ10を封止した封止材料(例えば、シリコーン樹脂など)からなる封止部55が設けられており、光学部材65は上記封止材料により実装基板20’に接着されている。
【0090】
色変換部材70は、シート状に形成されており、光学部材65を覆うように実装基板20’に気密的に封着されている。この発光装置1は、実装基板20’と色変換部材70とでパッケージを構成しており、色変換部材70の光出射面70bが、LEDユニット2において発光装置1から光を取り出す面のうちの平面状の部位を構成している。
【0091】
(実施形態2)
本実施形態の照明器具は、天井直付けの照明器具であって、図14に示すように、下面側が開放された断面略コ字形に形成され天井材300の下面からなる施工面に取り付けられる器具本体100と、器具本体100の長手方向の両端部に設けられた反射板アダプタ170と、器具本体100を覆うように反射板アダプタ170に取り付けられる断面V字状の反射板110と、反射板110に保持される2つのLEDユニット2とを備えている。ここにおいて、実施形態1にて説明した放熱ブロック150は、LEDユニット2ごとに設けられている。本実施形態の照明器具は、いわゆる富士型の照明器具となっており、実施形態1とは反射板110および反射板アダプタ170の形状が相違している。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0092】
器具本体100の主片101には、実施形態1と同様、2つのボルト挿通孔101aが穿孔されている。しかして、器具本体100を天井に取り付ける際には、ボルト挿通孔101aに施工面から突出している取付ボルト310を挿通して、該取付ボルト310に座金107を通してナット108を締め付けることにより、器具本体100を取付ボルト310に結合できる。
【0093】
また、本実施形態における点灯装置120は、各LEDユニット2を点灯させるように各LEDユニット2それぞれに接続される。要するに、点灯装置120には、実施形態1にて説明した端子装置147(図7参照)が2つ設けられている。
【0094】
また、反射板アダプタ170は、短冊状の金属板を折曲することにより形成されている。この反射板アダプタ170は、器具本体100に取り付けた状態で当該器具本体100の主片101に対向する取付片171に、反射板110の頂部において反射板110に回動自在に取り付けられたラッチ部材114が係止される長孔状の係止孔172が形成されている。ここで、反射板アダプタ170は、取付片171の長手方向が器具本体100の主片101の長手方向に直交するように両端部が器具本体100の側片102に取り付けされるものであり、係止孔172の長手方向を取付片171の長手方向に一致させてある。したがって、ラッチ部材114を適宜回動させることにより、反射板アダプタ170に対して反射板110を着脱することができる。
【0095】
また、2つのLEDユニット2は、反射板110の頂部を挟む形で互いの長手方向が平行になるように配置されている。
【0096】
以上説明した本実施形態の照明器具では、実施形態1と同様、直管蛍光ランプを用いた照明器具の代替として用いることが可能で、LEDチップ10を用いた発光装置1の温度上昇を抑制できて光出力の高出力化を図れる。
【0097】
なお、LEDユニット2の数や反射板110の形状は、上記各実施形態の構造に限定するものではない。
【符号の説明】
【0098】
1 発光装置
2 LEDユニット
2a LEDモジュール
3 回路基板
3b 回路パターン
3c 窓孔
10 LEDチップ
100 器具本体
110 反射板
110a 反射面
115 埋込部
120 点灯装置
150 放熱ブロック
116 高さ調整片
117 接触片
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDチップを用いた発光装置を複数備えた照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、天井などに施工されている一般照明用の照明器具の直管蛍光ランプに代えて、LEDチップを用いた発光装置を複数備え、当該複数の発光装置を直線状に配列した直線形LEDランプを用いることが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、上記特許文献1に開示されたLEDランプ200”は、図15に示すように、円筒形のパイプ201”内に、LEDチップ10”を用いた発光装置1”が長尺の基板204”の一面側で基板204”の長手方向に配列されている。また、このLEDランプ200”は、LEDユニット202”で発生した熱を放熱させるための放熱部材205”もパイプ201”内に収納されている。
【0004】
上述の基板204”は、ガラスエポキシ樹脂を基材とした両面プリント配線板により構成されており、放熱部材205”は、アルミニウムにより形成されている。また、発光装置1”は、LEDチップ10”が青色光を発光する青色LEDチップであり、樹脂製のパッケージ11”に、LEDチップ10”からの青色光により励起されて黄色光を放射する蛍光体(図示せず)が混入されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−272072号公報(段落〔0012〕−〔0028〕および図1,2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、図15に示した構成のLEDランプ200”では、パイプ201”内に、発光装置1”で発生した熱を放熱させるための放熱部材205”が収納されているが、照明器具に適合したランプ重量により放熱部材205”のサイズが制限される。したがって、十分な放熱特性を得ることができず、高輝度の発光装置1”を用いても発光装置1”の温度が当該発光装置1”の許容温度(例えば、LEDチップ10”の最大ジャンクション温度)を超えないように各LEDチップ10”への入力電力を制限する必要があり、光出力の高出力化が難しかった。また、図15に示した構成のLEDランプ200”は、放熱ブロック205”が必要なので、LEDランプ200”自体が高価となる。
【0007】
また、従来の直管蛍光ランプ用の照明器具の直管蛍光ランプに代えて、LEDランプを取り付ける場合には、直管蛍光ランプを点灯するための安定器をバイパスする工事が必要であり、LEDランプの普及の妨げになっている。また、直管蛍光ランプのランプ配光とLEDランプのランプ配光とが一致しないので、照明器具により照明された照明環境が異なり、直管蛍光ランプを用いた照明器具と同様のあかり空間が得られず、空間の雰囲気が変わってしまう。要するに、LEDランプを点灯させたときに、器具本体の備えている反射板におけるLEDランプの周辺部分が暗く、反射板を利用した照明演出が得られない(直管蛍光ランプに代えてLEDランプを取り付けると、照明器具の配光特性が変化してしまう)。また、発光装置の指向性が強くて下向きの光が強いため、被照射面に、照明器具と被照射面との間に存在する物体の影が出やすくなる。
【0008】
これに対して、直管蛍光灯型LEDランプと称するLEDランプと、当該LEDランプ専用の灯具とを備えた照明器具が提案されている。
【0009】
しかしながら、このような照明器具においても、LEDランプの放熱特性が当該LEDランプのランプ重量により制限され、光出力の高出力化が難しいという問題がある。
【0010】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、直管蛍光ランプを用いた照明器具の代替として用いることが可能で、LEDチップを用いた発光装置の温度上昇を抑制できて光出力の高出力化を図れる照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、LEDチップを用いた複数の発光装置が厚み方向の一面側で長手方向に沿って配列された長尺のLEDユニットと、器具本体と、器具本体に保持されLEDユニットからの光を目標の配光となるように制御する金属製の反射板と、器具本体に設けられLEDユニットを点灯させる点灯装置と、LEDユニットの厚み方向の他面側に配置されて反射板に保持されLEDユニットで発生した熱を放熱する長尺の放熱ブロックとを備え、反射板に、LEDユニットの外周形状に応じた形状に開口されLEDユニットが埋め込まれる埋込部が設けられるとともに、放熱ブロックに面接触する接触片が設けられてなることを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、LEDチップを用いた複数の発光装置が厚み方向の一面側で長手方向に沿って配列された長尺のLEDユニットと、器具本体と、器具本体に保持されLEDユニットからの光を目標の配光となるように制御する金属製の反射板と、器具本体に設けられLEDユニットを点灯させる点灯装置とを備えていることにより、直管蛍光ランプを用いた照明器具の代替として用いることが可能となる。また、LEDユニットの厚み方向の他面側に配置されてLEDユニットで発生した熱を放熱する長尺の放熱ブロックを備え、反射板に、LEDユニットの外周形状に応じた形状に開口されLEDユニットが埋め込まれる埋込部が設けられ、放熱ブロックが反射板に保持されているので、放熱ブロックの重量により制限されることなく放熱ブロックのサイズを設定することができ、発光装置で発生した熱が放熱ブロックを通して効率的に放熱されることとなる。また、反射板に、放熱ブロックに面接触する接触片が設けられているので、発光装置で発生した熱を放熱ブロックだけでなく反射板からも放熱させることができ、放熱ブロックの小型化を図りながらも発光装置の温度上昇を抑制できて光出力の高出力化を図れる。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記反射板は、前記LEDユニットにおいて前記発光装置から光を取り出す面のうちの平面状の部位と前記反射板の反射面における前記埋込部の周部とを略面一とするように前記埋込部の周部から前記放熱ブロック側へ延設された高さ調整片を備え、高さ調整片の先端部から側方へ前記接触片が延設されていることを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、前記LEDユニットにおいて前記発光装置から光を取り出す面のうちの平面状の部位と前記反射板の反射面における前記埋込部の周部とを略面一としてあるので、前記発光装置の周辺部分が暗くなるのを抑制することが可能となる。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明において、前記LEDユニットは、前記各発光装置の接続関係を規定する回路パターンが前記放熱ブロック側とは反対の一表面側に形成されるとともに、前記各発光装置それぞれが挿入される複数の窓孔が厚み方向に貫設された回路基板を備えてなることを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、前記LEDユニットにおいて前記各発光装置の接続関係を規定する回路基板上に前記各発光装置が実装されている場合に比べて、前記各発光装置から前記放熱ブロックまでの熱抵抗を低減でき、放熱性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明では、直管蛍光ランプを用いた照明器具の代替として用いることが可能で、LEDチップを用いた発光装置の温度上昇を抑制できて光出力の高出力化を図れるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態1の照明器具を示し、(a)は概略分解斜視図、(b)は要部概略断面図である。
【図2】同上の照明器具の一部破断した要部概略分解斜視図である。
【図3】同上の照明器具の一部破断した要部概略斜視図である。
【図4】同上の照明器具の一部破断した要部概略斜視図である。
【図5】同上の照明器具における発光装置の概略分解斜視図である。
【図6】同上の照明器具における発光装置を示し、(a)は概略断面図、(b)は他の概略断面図である。
【図7】同上の照明器具における点灯装置を示し、(a)は概略平面図、(b)は概略正面図、(c)は概略側面図である。
【図8】同上の照明器具の他の構成例に関し、(a)は要部概略断面図、(b)は(a)における取付ばねの斜視図である。
【図9】同上の照明器具の他の構成例に関し、(a)は要部概略断面図、(b)は(a)における取付ばねの斜視図である。
【図10】同上の照明器具の他の構成例を示す要部概略断面図である。
【図11】同上の照明器具の他の構成例を示す要部概略断面図である。
【図12】同上の照明器具の比較例を示す要部概略断面図である。
【図13】同上の照明器具の他の構成例を示す要部概略断面図である。
【図14】実施形態2の照明器具を示し、(a)は概略分解斜視図、(b)は要部概略断面図である。
【図15】従来のLEDランプを示し、(a)は要部概略斜視図、(b)は概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施形態1)
以下、本実施形態の照明器具について図1〜図7を参照しながら説明する。
【0020】
本実施形態の照明器具は、天井埋込型の照明器具であって、造営材である天井材300に貫設した長方形状の埋込穴301を通して天井裏に挿入される長尺の器具本体100を備えている。器具本体100は、矩形板状の金属板(例えば、クロムフリーの亜鉛鋼板など)の短手方向の両側を折曲することにより形成されており、長手方向に直交する断面が、下向きに開放されたコ字状となっている。しかして、器具本体100は、細長の矩形板状の主片101と、当該主片101の幅方向の両側縁から下向きに延設された一対の側片102とを有している。なお、器具本体100の材料は、金属であればよく、特に限定するものではない。
【0021】
器具本体100は、主片101に、天井裏に吊り下げられた2つの取付ボルト310それぞれが挿通される2つのボルト挿通孔101aが穿孔されている。しかして、ボルト挿通孔101aに取付ボルト310を挿通して、該取付ボルト310に座金107を通してナット108を締め付けることにより、器具本体100を取付ボルト310に結合できる。また、器具本体100の主片101には、外部電源(例えば、商用電源からなる交流電源、直流電源など)に接続され天井裏に先行配線されている電源線320を引き込むための電源線用穴101bが穿孔されている。
【0022】
また、器具本体100は、主片101と両側片102とに囲まれた空間に、電源線320が接続される電源用の端子台119と、上記外部電源から端子台119を介して電力が供給され後述のLEDユニット2を点灯させる点灯装置120とが収納されている。ここで、点灯装置120は、器具本体100に対して交換可能に取着されている。要するに、点灯装置120は、器具本体100に設けられている。
【0023】
点灯装置120は、図7に示すように、LEDユニット2を点灯させる点灯回路(図示せず)の構成部品(図示せず)が実装されたプリント配線板130と、プリント配線板130が収納されたケース140とを備えている。
【0024】
ケース140は、合成樹脂製であって前面開口したボディ141と、合成樹脂製であってボディ141の前面側に結合される後面開口したカバー142とにより構成されている。ここにおいて、カバー142の短手方向の両側壁の後縁から後方に向かって係合爪142aが突設され、係合爪142aがボディ141の短手方向の両側面に形成してある係合凹部141aに係合することによりボディ141とカバー142とが結合されている。
【0025】
ボディ141の長手方向の両端面の後部には、ケース140を器具本体100に取り付けるための取付片143が長手方向に沿う方向に突設されている。この取付片143には、器具本体100に形成されたねじ孔(図示せず)に先端部が螺合するねじ(図示せず)を挿通させる取付孔143aが穿孔されている。なお、ケース1のボディ141とカバー142とは、合成樹脂により形成したものに限らず、例えば、金属により形成して適宜結合するようにしてもよい。
【0026】
プリント配線板130には、2つの端子装置146,147が、カバー142により覆われていない部分に実装されている。端子装置146,147は、電線挿入孔146a,147aから挿入された電線が各別に接続される端子板(図示せず)と、上記端子板との間に各別に電線を保持する鎖錠ばね(図示せず)とからなる速結端子(図示せず)が内装されている。ここで、各端子装置146,147は、上記端子板から延設された接続片(図示せず)がプリント配線板130に半田により接続されている。また、各端子装置146,147には、上記鎖錠ばねのばね力により電線を保持した状態を解除する際に解除釦(図示せず)を操作するための操作孔146b,147bが形成されている。なお、上記速結端子および上記解除釦の構造は周知の構造を適宜採用すればよい。
【0027】
2つの端子装置146,147のうちの一方の端子装置146は、端子台119からの電線が接続される電源側の端子装置を構成し、他方の端子装置147は、LEDユニット2への給電用の電線330(図4参照)が接続される負荷側の端子装置を構成する。
【0028】
また、本実施形態の照明器具は、LEDチップ10を用いた複数の発光装置1が厚み方向の一面側で長手方向に沿って配列された長尺のLEDユニット2と、器具本体100に取り付けられLEDユニット2からの光を目標の配光となるように制御する金属製の反射板110とを備えている。ここで、LEDユニット2は、複数の発光装置1が一直線上に並んでいる。また、LEDユニット2は、発光装置1を同じ数(図示例では、8つ)ずつ備えるとともに互いに同じ大きさに形成された複数個(図示例では、4個)のLEDモジュール2aにより構成されている。なお、反射板110は、鋼板により形成され、いわゆる高反射白色粉体の塗装を施してあり、塗膜の表面が反射面110aを構成している。反射板110の材料は特に限定するものではなく、例えば、アルミニウムを採用してもよい。
【0029】
反射板110は、器具本体100の両端部に取り付けられた2つの反射板アダプタ160に取り付けられる。
【0030】
反射板アダプタ160は、下向きに開放されたコ字状に形成され、中央片161が、当該中央片161の長手方向が器具本体100の長手方向に直交する形で器具本体100に取り付けられている。ここで、反射板110は、反射板アダプタ160の各中央片161に対して、所謂つまみねじからなる取付ねじ165を用いて取り付けられる。ここにおいて、反射板110には、各取付ねじ165が挿通される挿通孔112が形成されおり、反射板アダプタ160の中央片161には、各取付ねじ165が螺合するねじ孔161aが形成されている。
【0031】
反射板110は、下面側が開放され長手方向の両端部が閉じた樋状に形成され、下端部から外方へ鍔部111が延設されており、天井材300の埋込穴301に挿入され鍔部111が天井材300における埋込穴301の周部下面に当接する。
【0032】
ところで、反射板110は、LEDユニット2の外周形状に応じた形状(細長の長方形状)に開口されLEDユニット2が埋め込まれる埋込部115を有している。本実施形態の照明器具では、LEDユニット2において発光装置1から光を取り出す面のうちの平面状の部位と反射板110の反射面110aにおける埋込部115の周部とを略面一としてあるが、この点については後述する。
【0033】
また、反射板110には、透光性材料(例えば、アクリル樹脂など)により形成されLEDユニット2を覆う樋状の透光性カバー180が着脱自在に取り付けられている。透光性カバー180には、長手方向に沿った両端縁から、先端部に結合爪181a(図2参照)を有する複数(ここでは、4つ)の結合脚181が2つずつ延設され、反射板110には、結合脚181が挿入係止される結合孔113が形成されている。しかして、透光性カバー180の各結合脚181を反射板110の結合孔113に挿入して結合爪181aを結合孔113の周部に係止させることにより、透光性カバー180が反射板110に着脱自在に取り付けられる。透光性カバー180を反射板110から取り外す場合には、透光性カバー180の長手方向の両端部を両手で摘んで結合爪181aの結合孔113への係止状態を解除し、透光性カバー180を下方へ引き下げればよい。
【0034】
また、本実施形態の照明器具は、LEDユニット2の厚み方向の他面側に配置されてLEDユニット2が交換可能に取着されLEDユニット2で発生した熱を放熱する金属(例えば、Al、Cuなどの熱伝導率の高い金属)製の放熱ブロック150を備えている。放熱ブロック150は、長尺の板状に形成されており、LEDユニット2側とは反対側に複数のフィン152(図2参照)を有している。なお、各フィン152は、放熱ブロック150の長手方向に沿って形成されており、放熱ブロック150の短手方向に等ピッチで配列されている。
【0035】
ここにおいて、放熱ブロック150は、図示しない固定ねじにより反射板110に固着されている。要するに、放熱ブロック150は、反射板110に保持されている。
【0036】
発光装置1は、図5および図6に示すように、LEDチップ10と、一表面側にLEDチップ10への給電用の導体パターン23,23を有しLEDチップ10が上記一表面側に実装された矩形板状の実装基板20とを備えている。また、発光装置1は、LEDチップ10から放射された光の配光を制御する光学部材60を備えている。光学部材60は、透光性材料によりドーム状に形成されており、実装基板20との間にLEDチップ10を収納する形で実装基板20の上記一表面側に固着されている。光学部材60と実装基板20とで囲まれた空間には、LEDチップ10および当該LEDチップ10に電気的に接続された複数本(例えば、2本)のボンディングワイヤ14を封止した透光性の封止材料(例えば、封止樹脂など)からなる封止部50が充実されている。ここで、封止部50は、例えば、封止樹脂としてシリコーン樹脂を採用して、ゲル状とすることが好ましい。また、発光装置1は、LEDチップ10から放射され封止部50および光学部材60を透過した光によって励起されてLEDチップ10の発光色とは異なる色の光を放射する蛍光体および透光性材料により形成されたドーム状の色変換部材70を備えている。ここで、色変換部材70は、実装基板20の上記一表面側において実装基板20との間にLEDチップ10などを囲む形で配設される。更に説明すれば、色変換部材70は、実装基板20の上記一表面側において光学部材60の光出射面60bとの間に空気層80が形成されるように配設されている。また、実装基板20は、上記一表面において光学部材60の外側に、光学部材60を実装基板20に固着する際に上記空間から溢れ出た封止樹脂を堰き止める環状の堰部27が突設されている。
【0037】
LEDチップ10は、青色光を放射するGaN系青色LEDチップであり、結晶成長用基板としてサファイア基板に比べて格子定数や結晶構造がGaNに近く且つ導電性を有するn形のSiC基板を用いている。このLEDチップ10は、SiC基板の主表面側にGaN系化合物半導体材料により形成されて例えばダブルへテロ構造を有する積層構造部からなる発光部がエピタキシャル成長法(例えば、MOVPE法など)により成長されている。ここで、LEDチップ10は、一表面側(図6(a)における上面側)にアノード電極(図示せず)が形成され、他表面側(図6(a)における下面側)にカソード電極が形成されている。上記カソード電極および上記アノード電極は、Ni膜とAu膜との積層膜により構成してある。上記カソード電極および上記アノード電極の材料は特に限定するものではなく、良好なオーミック特性が得られる材料であればよく、例えば、Alなどを採用してもよい。LEDチップ10の構造は特に限定するものではなく、例えば、結晶成長用基板の主表面側に発光部などをエピタキシャル成長した後に発光部を支持する支持基板(例えば、Si基板など)を発光部に固着してから、結晶成長用基板などを除去したものでもよい。
【0038】
実装基板20は、熱伝導性材料からなりLEDチップ10がサブマウント部材30を介して実装される伝熱板21と、上述の導体パターン23,23を有し伝熱板21におけるLEDチップ10の実装面側に固着された配線基板22とで構成されている。
【0039】
伝熱板21および配線基板22の外周形状は矩形状であり、配線基板22の中央部には、伝熱板21よりも平面サイズが小さな矩形板状のサブマウント部材30を露出させる矩形状の窓孔24が厚み方向に貫設されている。要するに、LEDチップ10は、配線基板22の窓孔24の内側に配置されたサブマウント部材30を介して伝熱板21に搭載されている。したがって、LEDチップ10で発生した熱が配線基板22を介さずにサブマウント部材30および伝熱板21に伝熱されるようになっている。ここにおいて、伝熱板21の上記一面には、サブマウント部材30の位置決め精度を高めるためのアライメントマーク21cが形成されている。なお、配線基板22と伝熱板21は、例えばポリオレフィン系の固着シート29(図5参照)を介して固着すればよい。
【0040】
本実施形態では、伝熱板21の熱伝導性材料としてCuを採用しているが、Cuに限らず、例えば、Alなどを採用してもよい。要するに、伝熱板21の熱伝導性材料としては、CuやAlなどの熱伝導率の高い金属を採用することが好ましい。また、LEDチップ10は、発光部が結晶成長用基板よりも伝熱板21から離れた側となるように伝熱板21に搭載されているが、発光部が結晶成長用基板よりも伝熱板21に近い側となるように伝熱板21に搭載するようにしてもよい。光取り出し効率を考えた場合には、発光部を伝熱板21から離れた側に配置することが望ましい。しかし、本実施形態では結晶成長用基板と発光部とが同程度の屈折率を有しているので、発光部を伝熱板21に近い側に配置しても光の取り出し損失が大きくなりすぎることはない。
【0041】
上述の配線基板22は、ポリイミドフィルムからなる絶縁性基材22aの一表面側に、LEDチップ10への給電用の一対の導体パターン23,23が設けられている。また、配線基板22は、各導体パターン23,23および絶縁性基材22aにおいて導体パターン23,23が形成されていない部位を覆う白色系のレジスト(樹脂)からなる保護層26が積層されている。したがって、LEDチップ10からの光や色変換部材70の蛍光体からの光が保護層26の表面で反射されるので、LEDチップ10や蛍光体から放射された光が配線基板22に吸収されるのを防止することができ、外部への光取り出し効率の向上による光出力の向上を図れる。なお、各導体パターン23,23は、絶縁性基材22aの外周形状の半分よりもやや小さな外周形状に形成されている。また、絶縁性基材22aの材料としては、FR4、FR5、紙フェノールなどを採用してもよい。
【0042】
保護層26は、配線基板22の窓孔24の近傍において各導体パターン23,23の2箇所が露出し、配線基板22の周部において各導体パターン23,23の1箇所が露出するようにパターニングされており、各導体パターン23,23は、配線基板22の窓孔24近傍において露出した2つの矩形状の部位が、ボンディングワイヤ14が接続される端子部23aを構成し、配線基板22の周部において露出した円形状の部位が外部接続用電極部23bを構成している。なお、配線基板22の導体パターン23,23は、Cu膜とNi膜とAu膜との積層膜により構成されている。また、2つの外部接続用電極部23bのうちLEDチップ10の上記アノード電極が電気的に接続される外部接続用電極部23b(図5における右側の外部接続用電極部23b)には、「+」の表示が形成されている。一方、LEDチップ10の上記カソード電極が電気的に接続される外部接続用電極部23b(図5における左側の外部接続用電極部23b)には、「−」の表示が形成されているので、発光装置1における両外部接続用電極部23b,23bの極性を視認することができ、誤接続を防止することができる。
【0043】
ところで、LEDチップ10は、LEDチップ10と伝熱板21との線膨張率の差に起因してLEDチップ10に働く応力を緩和する上述のサブマウント部材30を介して伝熱板21に搭載されている。ここで、サブマウント部材30は、LEDチップ10のチップサイズよりも大きな平面サイズの矩形板状に形成されている。
【0044】
サブマウント部材30は、上記応力を緩和する機能だけでなく、LEDチップ10で発生した熱を伝熱板21においてLEDチップ10のチップサイズよりも広い範囲に伝熱させる熱伝導機能を有している。したがって、発光装置1は、LEDチップ10で発生した熱をサブマウント部材30および伝熱板21を介して効率良く放熱させることができる。また、発光装置1は、LEDチップ10が配線基板22に搭載される場合に比べてLEDチップ10から放熱ブロック150までの熱抵抗を小さくすることができる。また、発光装置1は、サブマウント部材30を備えていることにより、LEDチップ10と伝熱板21との線膨張率差に起因してLEDチップ10に働く応力を緩和することができる。
【0045】
サブマウント部材30の材料としては、熱伝導率が比較的高く且つ絶縁性を有するAlNを採用している。これに対して、LEDチップ10は、上記カソード電極がサブマウント部材30におけるLEDチップ10側の表面に設けられ上記カソード電極と接続される電極パターン(図示せず)および金属細線(例えば、金細線、アルミニウム細線など)からなるボンディングワイヤ14を介して一方の導体パターン23と電気的に接続され、上記アノード電極がボンディングワイヤ14を介して他方の導体パターン23と電気的に接続されている。なお、LEDチップ10とサブマウント部材30とは、例えば、SnPb、AuSn、SnAgCuなどの半田や、銀ペーストなどを用いて接合すればよいが、AuSn、SnAgCuなどの鉛フリー半田を用いて接合することが好ましい。サブマウント部材30がAlNであって、AuSnを用いて接合する場合には、サブマウント部材30およびLEDチップにおける接合表面にあらかじめAuまたはAgからなる金属層を形成する前処理が必要である。また、サブマウント部材30と伝熱板21とは、例えば、AuSn、SnAgCuなどの鉛フリー半田を用いて接合することが好ましい。ここで、AuSnを用いて接合する場合には、伝熱板21における接合表面にあらかじめAuまたはAgからなる金属層を形成する前処理が必要である。
【0046】
サブマウント部材30の材料はAlNに限らず、線膨張率が結晶成長用基板の材料である6H−SiCに比較的近く且つ熱伝導率が比較的高い材料であればよく、例えば、複合SiC、Si、CuWなどを採用してもよい。なお、サブマウント部材30は、上述の熱伝導機能を有しており、伝熱板21におけるLEDチップ10側の表面の面積はLEDチップ10における伝熱板21側の表面の面積よりも十分に大きいことが望ましい。
【0047】
また、本実施形態における発光装置1では、サブマウント部材30の厚み寸法を、当該サブマウント部材30の表面が配線基板22の保護層26の表面よりも伝熱板21から離れるように設定してある。しかして、LEDチップ10から側方に放射された光が配線基板22の窓孔24の内周面を通して配線基板22に吸収されるのを防止することができる。
【0048】
また、サブマウント部材30においてLEDチップ10が接合される側の表面においてLEDチップ10との接合部位(つまり、LEDチップ10に重なる部位)の周囲には、LEDチップ10から放射された光を反射する反射膜が形成されている。しかして、LEDチップ10の側面から放射された光がサブマウント部材30に吸収されるのを防止することができ、外部への光取出し効率をさらに高めることができる。ここで、サブマウント部材30における反射膜は、例えば、Ni膜とAg膜との積層膜により構成すればよいが、反射膜の材料は特に限定するものではなく、例えば、LEDチップ10の発光波長に応じて適宜選択すればよい。
【0049】
上述の封止部50の封止材料である封止樹脂としては、シリコーン樹脂を用いているが、シリコーン樹脂に限らず、例えばアクリル樹脂などを用いてもよい。また、封止材料としては、ガラスを用いてもよい。
【0050】
光学部材60は、透光性材料(例えば、シリコーン樹脂、ガラスなど)の成形品であってドーム状に形成されている。ここで、本実施形態では、光学部材60をシリコーン樹脂の成形品により構成しているので、光学部材60と封止部50との屈折率差および線膨張率差を小さくすることができる。なお、封止部50の材料がアクリル樹脂の場合には、光学部材60もアクリル樹脂により形成することが好ましい。
【0051】
ところで、光学部材60は、光出射面60bが、光入射面60aから入射した光を光出射面60bと上述の空気層80との境界で全反射させない凸曲面状に形成されており、LEDチップ10と光軸が一致するように配置されている。したがって、LEDチップ10から放射され光学部材60の光入射面60aに入射された光が光出射面60bと空気層80との境界で全反射されることなく色変換部材70まで到達しやすくなり、全光束を高めることができる。また、LEDチップ10の側面から放射された光は封止部50および光学部材60および空気層80を伝搬して色変換部材70まで到達し色変換部材70の蛍光体を励起したり、蛍光体により散乱されたり、蛍光体には衝突せずに色変換部材70を透過したりする。なお、光学部材60は、位置によらず法線方向に沿って肉厚が一様となるように形成されている。
【0052】
色変換部材70は、シリコーン樹脂のような透光性材料とLEDチップ10から放射された青色光によって励起されてブロードな黄色系の光を放射する黄色蛍光体の粒子とを混合した混合物の成形品により構成されている。したがって、発光装置1は、LEDチップ10から放射された青色光と黄色蛍光体から放射された光とが色変換部材70の外面70bを通して放射されることとなり、白色光を得ることができる。なお、色変換部材70の材料として用いる透光性材料は、シリコーン樹脂に限らず、例えば、アクリル樹脂、ガラス、有機成分と無機成分とがnmレベルもしくは分子レベルで混合、結合した有機・無機ハイブリッド材料などを採用してもよい。また、色変換部材70の材料として用いる透光性材料に混合する蛍光体の粒子も黄色蛍光体に限らず、例えば、赤色蛍光体と緑色蛍光体とを混合しても白色光を得ることができ、赤色蛍光体と緑色蛍光体とを混合した場合の方が演色性を高めることができる。
【0053】
ここで、色変換部材70は、内面70aが光学部材60の光出射面60bに沿った形状に形成されている。したがって、光学部材60の光出射面60bの位置によらず法線方向における光出射面60bと色変換部材70の内面70aとの間の距離が略一定値となっている。なお、色変換部材70は、位置によらず法線方向に沿った肉厚が一様となるように成形されている。また、色変換部材70は、実装基板20側の端縁(開口部の周縁)を実装基板20に対して、例えば接着剤(例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂など)を用いて固着すればよい。
【0054】
ところで、上述の発光装置1の製造方法の一例について簡単に説明する。まず、LEDチップ10と各導体パターン23,23とをそれぞれ2本のボンディングワイヤ14を介して電気的に接続する。その後、配線基板22の窓孔24に連続して形成されている樹脂注入孔28(図5参照)からサブマウント部材30と配線基板22との隙間に封止部50の一部となる液状の封止樹脂(例えば、シリコーン樹脂)を注入した後に硬化させる。次に、ドーム状の光学部材60の内側に上述の封止部50の残りの部分となる液状の封止樹脂(例えば、シリコーン樹脂)を注入する。続いて、光学部材60を実装基板20における所定位置に配置して封止樹脂を硬化させることにより封止部50を形成するのと同時に光学部材60を実装基板20に固着し、その後、色変換部材70を実装基板20に固着する。しかしながら、このような製造方法でも、製造過程において封止部50に気泡(ボイド)が発生する恐れがあるので、光学部材60に液状の封止樹脂を多めに注入する必要がある。
【0055】
そこで、発光装置1は、実装基板20の上記一表面において光学部材60の外側に、光学部材60を実装基板20に固着する際に光学部材60と実装基板20とで囲まれた空間から溢れ出た封止樹脂を堰き止める円環状の堰部27を突設してある。なお、実装基板20の上記一表面側において光学部材60と堰部27と保護層26とで囲まれた空間に溜まった封止樹脂は、硬化させることにより図6(a)における樹脂部50bとなる。
【0056】
ここにおいて、堰部27は、白色系のレジストにより形成されている。しかして、LEDチップ10から放射された光や蛍光体から放射された光が堰部27で吸収されるのを防止することができ、光出力の高出力化を図れる。また、堰部27は、当該堰部27の内周面から内方へ延出し当該堰部27の中心と光学部材60の中心軸とをセンタリングする複数(本実施形態では、4つ)のセンタリング用爪部27bが周方向に離間して等間隔で設けられている。要するに、堰部27は、色変換部材70の位置決め部を兼ねている。ここで、上述のセンタリング用爪部27bの数は4つに限定するものではないが、少なくとも3つ設けることが望ましい。また、センタリング用爪部27bの幅寸法は、堰部27と光学部材60との間に溜めることが可能な封止樹脂の許容量を多くするために、小さいほうが望ましい。また、堰部27を設けずに、実装基板20に色変換部材70を位置決めする円環状の凹溝を設けてもよい。
【0057】
また、色変換部材70は、実装基板20側の端縁に、堰部27に係合する切欠部71が全周に亘って形成されている。したがって、本実施形態の発光装置1では、実装基板20に対する色変換部材70の位置決め精度を高めることができ、また、色変換部材70と光学部材60との間隔を短くすることができる。なお、切欠部71は、色変換部材70の端縁側と内面70a側とが開放されている。
【0058】
また、上述の実装基板20における導体パターン23,23は、色変換部材70よりも外側において露出した部位が上述の外部接続用電極部23b,23bを構成している。
【0059】
ところで、上述のLEDユニット2のLEDモジュール2aは、各発光装置1の接続関係を規定する回路パターン3b(図2〜図4参照)が放熱ブロック150側とは反対の一表面側に形成された回路基板3を備えている。回路基板3には、各発光装置1それぞれが挿通される複数の窓孔3cが厚み方向に貫設されている。ここで、LEDモジュール2aは、複数の発光装置1および回路基板3が厚み方向の一面側に配置される短冊状の金属板からなるベース基板4を備えている。各窓孔3cの開口サイズは、発光装置1における実装基板20の平面サイズよりもやや大きく設定されている。なお、ベース基板4の材料としては、Alを採用しているが、これに限らず、例えば、Cuなどを採用してもよい。
【0060】
LEDモジュール2aは、金属製ねじからなる取付ねじ8を用いて放熱ブロック150に着脱自在に取り付けられている。ここで、LEDモジュール2は、回路基板3に、取付ねじ8の頭部8aの外径よりも内径が大きなねじ挿通孔3eが形成されるとともに、ベース基板4に、上記外径よりも内径が小さなねじ挿通孔4eが形成されている。一方、放熱ブロック150には、ねじ挿通孔3e,4eを挿通された取付ねじ8の先端部が螺合するねじ孔15eが形成されている。しかして、取付ねじ8の頭部8aと回路基板3のねじ挿通孔3eの内周面とが離間しており、当該取付ねじ8と回路基板3の回路パターン3bとの間の沿面距離を長くすることができ、しかも、取付ねじ8に起因して発光装置1に生じる応力を低減できる。LEDモジュール2aは、回路基板3が、樹脂製ねじからなる組立ねじ7(図2および図4参照)を用いてベース基板4に取り付けられるとともに、各発光装置1が、シリカやアルミナなどのフィラーからなる充填材を含有し且つ加熱時に低粘度化する樹脂シート(例えば、溶融シリカを高充填したエポキシ樹脂シートのような有機グリーンシート)からなる接着層92により、ベース基板4に接合されて熱結合されている。ここにおいて、有機グリーンシートは、電気絶縁性を有するとともに熱伝導率が高く加熱時の流動性が高く凹凸面への密着性が高いという性質を有している。しかしながら、ベース基板4の熱容量が大きいため、有機グリーンシートの加熱温度を170℃程度まで上げて硬化させると、発光装置1とベース基板4との固着性能が低下し、加熱温度を150℃程度まで下げて硬化させると発光装置1とベース基板4との間の電気絶縁性が低下する。すなわち、固着性能と電気絶縁性とがトレードオフの関係を有している。そこで、本実施形態では、接着層92とは別に、あらかじめベース基板4の上記一面上に170℃で硬化させた有機グリーンシートからなる絶縁層91を設けてある。要するに、発光装置1の伝熱板21とベース基板4との間には、接着層92と絶縁層91とが介在することとなり、接着層92により固着性能および熱伝導性を確保し、絶縁層91により電気絶縁性および熱伝導性を確保している。
【0061】
LEDモジュール2aにおける回路基板3とベース基板4とは、同じ外周形状に形成されている。すなわち、回路基板3およびベース基板4の外周形状は、細長の矩形状となっている。ここで、LEDモジュール2aは、LEDユニット2の長手方向の外形寸法が埋込部15の長手方向の寸法の整数分の1(図示例では、4分の1)の寸法よりもやや小さな寸法に形成されるとともに、短手方向の寸法が埋込部15の短辺方向の寸法よりもやや小さな寸法に形成されている。しかして、長手方向の長さの異なる複数種のLEDユニット2でLEDモジュール2aを共用することが可能となり、低コスト化を図れる。
【0062】
また、上述の回路基板3の上記一表面側には、発光装置1からの光を反射させるミラー3d(図2および図4参照)が形成されている。ここにおいて、回路基板3は、ミラー3dが、白色系のレジスト層により構成されており、回路パターン3dの大部分がミラー3dにより覆われている。また、回路基板3は、有機系絶縁基板の一表面側に上述の回路パターン3bが形成されている。ここにおいて、回路基板3の有機系絶縁基板の材料としては、例えば、FR4のようなガラスエポキシ樹脂を採用すればよいが、ガラスエポキシ樹脂に限らず、例えば、ポリイミド系樹脂、フェノール樹脂などでもよい。
【0063】
また、回路基板3には、発光装置1のLEDチップ10へ過電圧が印加されるのを防止するために、過電圧防止用の表面実装型のツェナダイオード331および表面実装型のセラミックコンデンサ332が各窓孔3cの近傍で実装されている。
【0064】
また、発光装置1は、図3および図4に示すように、各外部接続用電極部23bが端子板6を介して回路基板3の回路パターン3bと電気的に接続されている。なお、端子板6としては、ジャンパピンを用いてもよい。
【0065】
また、LEDユニット2は、全ての発光装置1が直列接続されるように隣り合うLEDモジュール2aの回路基板3同士を接続してある。ここにおいて、各LEDモジュール2aは、回路基板3の長手方向の一端部に雄型コネクタ5a(図2および図4参照)が設けられるとともに、他端部に雌型コネクタ5b(図2参照)が設けられている。これに対し、回路基板3は、雄型コネクタ5aの一方の接触子5a1と雌型コネクタ5bにおいて当該一方の接触子5a1が電気的に接続される一方のコンタクト(図示せず)との間の電路にLEDチップ10が挿入され、雄型コネクタ5aの他方の接触子5a2と雌型コネクタ5bにおいて当該他方の接触子5a2が電気的に接続される他方のコンタクト(図示せず)との間が送り配線用に短絡されるように、回路パターン3bが形成されている。したがって、点灯装置120からの一対の電線330に、回路基板3に設けられた雌型コネクタ5bと同じ構造の雌型コネクタ5c(図4参照)を接続しておき、当該雌型コネクタ5cを図1(a)における左端のLEDモジュール2aの雄型コネクタ5a(図4参照)に接続するとともに、右端のLEDモジュール2aの雌型コネクタ5bのコンタクト間を短絡するコネクタ(図示せず)を設ければ、点灯装置120から、LEDユニット2の全てのLEDチップ10の直列回路へ電力を供給することができる。
【0066】
ところで、本実施形態の照明器具は、図1(b)に示すように、LEDユニット2において発光装置1から光を取り出す面のうちの平面状の部位と反射板110の反射面110aにおける埋込部115の周部とを略面一としてある。ここで、本実施形態では、発光装置1において、当該発光装置1の周囲媒質(空気)に接し光が最終的に出射される面と、当該発光装置1の周囲媒質(空気)に接し光が最終的に反射される面との両方が、発光装置1から光を取り出す面を構成しており、発光装置1の保護層26の表面が、LEDユニット2の上記平面状の部位を構成している。ここにおいて、上記平面状の部位と反射板110の反射面110aにおける埋込部115の周部とを略面一とするために、反射板110は、埋込部115の周部から放熱ブロック150側へ高さ調整片116が延設されており、放熱ブロック150に面接触する接触片117が高さ調整片116の先端部から外方に延設されている。また、本実施形態では、回路基板3のミラー3dの表面が上記平面状の部位と略面一としてある。なお、本実施形態では、図4に示すように、反射板110における高さ調整片116に、上述の一対の電線330を通すための電線導入孔110bが形成されている。ここで、当該電線導入孔110bは、雄型コネクタ330を挿通可能な内径の円形状に開口されている。
【0067】
以上説明した本実施形態の照明器具では、上述のLEDユニット2と、器具本体100と、反射板110と、点灯装置120とを備えていることにより、直管蛍光ランプを用いた照明器具の代替として用いることが可能となる。また、反射板110に、LEDユニット2の外周形状に応じた形状に開口されLEDユニット2が埋め込まれる埋込部115が設けられ、放熱ブロック150が反射板110に保持されているので、放熱ブロック150の重量により制限されることなく放熱ブロック150のサイズを設定することができ、発光装置1で発生した熱が放熱ブロック150を通して効率的に放熱されることとなる。また、反射板110に、放熱ブロック150に面接触する接触片117が設けられているので、発光装置1で発生した熱を放熱ブロック150だけでなく反射板110からも放熱させることができ、放熱ブロック150の小型化を図りながらも発光装置1の温度上昇を抑制できて光出力の高出力化を図れる。要するに、反射板110を放熱部材に兼用するので、放熱ブロック150を小さくすることができ、軽量化および低コスト化を図れる。ここで、反射板110の材料としてAlを採用すれば、鋼板を用いる場合に比べて熱伝導率が高くなり、LEDユニット2で発生した熱をより効率良く放熱させることができる。
【0068】
また、本実施形態の照明器具100では、反射板110に高さ調整片116を備え、上記平面状の部位と反射板110の反射面110aにおける埋込部115の周部とを略面一としてあるので、発光装置1の周辺部分が暗くなるのを抑制することが可能となる。
【0069】
また、LEDユニット2の回路基板3に各発光装置1それぞれが挿入される複数の窓孔3cが設けられているので、LEDユニット2において各発光装置1の接続関係を規定する別途の回路基板上に各発光装置1を実装する場合に比べて、各発光装置1から放熱ブロック150までの熱抵抗を低減でき、放熱性を向上させることができる。
【0070】
また、放熱ブロック150の平面サイズをLEDユニット2の平面サイズよりも大きく設定してあるので、放熱ブロック150に伝熱された熱をより広い範囲に伝熱させることができ、放熱性が向上する。ここにおいて、放熱ブロック150の短手方向の寸法をLEDユニット2の短手方向の寸法よりも長くすることにより、各発光装置1から伝熱された熱をより広い範囲に伝熱させることができる。
【0071】
また、本実施形態の照明器具における発光装置1は、上述のように、ドーム状の色変換部材70と光学部材60との間に空気層80が介在している。しかして、LEDチップ10から放射され封止部50および光学部材60を通して色変換部材70に入射し色変換部材70の蛍光体の粒子で散乱された光のうち光学部材60側へ散乱されて光学部材を透過する光の光量を低減できて発光装置1としての外部への光取り出し効率を向上できる。しかも、蛍光体の粒子で反射板110の反射面110a側へ散乱された光および蛍光体から反射面110a側へ放射された光により反射板110の反射面110aを照らすことができる。
【0072】
また、反射板110が器具本体100に取り付けられた状態において、反射板110を器具本体100から取り外すことなくLEDユニット2を放熱ブロック150に着脱できるから、LEDユニット2の交換作業が容易になる。また、複数の発光装置1のうち寿命前に点灯しなくなったものが発生した場合に、LEDユニット2全部ではなく、LEDモジュール2a単位で交換することができ、交換コストを低減できる。
【0073】
ここにおいて、本実施形態の照明器具は、LEDユニット2と反射板110における埋込部115の周部とを覆う透光性カバー180を備えているが、透光性カバー180は、反射板110に着脱自在に取り付けられている。したがって、透光性カバー180を取り付けることによりLEDユニット2を保護することができ、LEDユニット2もしくはLEDモジュール2aを交換する際には、透光性カバー180を反射板110から取り外せばよい。また、透光性カバー180が、LEDユニット2からの光を拡散させる拡散機能を有するように構成すれば、反射板110の反射面110aをより均一に照らすことができる。なお、透光性カバー180が拡散機能を有するようにするためには、例えば、透光性カバー180の母材に光拡散材を分散させておけばよい。
【0074】
また、本実施形態の照明器具は、器具本体100および反射板アダプタ150として、従来の直管蛍光ランプ用の照明器具と同様の構造のものを用いることができるので、当該従来の照明器具と同様に簡単に施工できる。また、反射板110の外形寸法を既存の照明器具と同じ外形寸法に設定しておけば、既に設置されている従来の照明器具に代えて施工することも可能となり、天井材300の埋込穴301を有効に利用することができ、天井材300の再施工を不要とすること可能となる。
【0075】
上述のLEDユニット2は、必ずしも、複数のLEDモジュール2aにより構成する必要はなく、ベース基板4と回路基板3とを1つずつ備えていないものでもよいことは勿論であり、この場合には、雄型コネクタ5aの接触子5a1,5a2間に全てのLEDチップ10の直列回路が挿入されるように回路パターン3bを形成してもよい。なお、本実施形態では、複数の発光装置1を直列接続しているが、複数の発光装置1の接続関係は特に限定するものではなく、例えば、並列接続するようにしてもよいし、直列接続と並列接続とを組み合わせてもよい。
【0076】
ところで、LEDユニット2を放熱ブロック150に着脱自在に取り付ける手段は、上述のように取付ねじ8(図1(b)参照)を用いた例に限らず、例えば、図8(a)に示すように、短冊状の金属板を折曲して形成した板ばね118を用いてもよい。図8(a)に示した例では、LEDユニット2の短手方向の寸法に関してベース基板4の寸法を回路基板3の寸法よりも長く設定してある。また、LEDユニット2の短手方向において互いに対向する高さ調整片116の放熱ブロック150側の上部同士の距離が下部同士の距離よりも長くなるように、高さ調整片116の上部を断面L字状の形状としてある。つまり、LEDユニット2におけるベース基板4が収納される部位の幅寸法をベース基板4の短手方向の寸法よりも長くし、回路基板3が収納される部位の幅寸法を回路基板3の短手方向の寸法よりも長く且つベース基板4の短手方向の寸法よりも短く設定してある。したがって、LEDユニット2は、放熱ブロック150と反射板110とにより保持される。
【0077】
ここで、図8(a)の例では、一方の高さ調整片116(同図の左側の高さ調整片116)の上部における他方の高さ調整片116(同図の右側の高さ調整片116)の上部との対向面に、上述の板ばね118を構成する金属板の長さ方向の中央部からなる固定片118aをスポット溶接などにより固着してある。板ばね118は、上記長さ方向の両端部に高さ調整片116から離間して配置されベース基板4の短手方向の側面に接触する接触片118bを備えており、固定片118aと接触片118bとの間がV字状の連結片118cにより連結された形状に形成されている。また、LEDユニット2と放熱ブロック150との間の熱抵抗のばらつきを低減するために、例えば、サーコン(登録商標)のようなゴムシート状の放熱シート(熱伝導シート)93をLEDユニット2と放熱ブロック150とで挟持している。しかして、LEDユニット2と放熱ブロック150とは放熱シート93を介して熱結合される。
【0078】
したがって、図8(a)の構成を採用する場合、LEDユニット2(LEDモジュール2a)を放熱ブロック150に取り付けるには、LEDユニット2を水平面から傾けた状態でベース基板4を埋込部115に挿入してベース基板4の側面を一方の高さ調整片116の板ばね118の接触片118bに接触させ、板ばね118のばね力に抗して板ばね118を弾性変形させてからLEDユニット2を放熱ブロック150側へ押し込み、その後、板ばね118の復帰力によりベース板4の他方の側面を他方の高さ調整片116に当接させればよい。逆に、LEDユニット2を取り外す場合には、LEDユニット2を板ばね118側へ押してから、LEDユニット2を傾けて取り外せばよい。なお、取り外し時にマイナスドライバなどの先端部を挿入可能な冶具挿入部(穴や切欠部)を回路基板3およびベース基板4に設けておけば、LEDユニット2を板ばね118側へ容易に押し付けることができ、回路基板3にかかる力を低減できる。
【0079】
また、LEDユニット2を放熱ブロック150に着脱自在に取り付ける手段の他の例としては、図9(a)に示すような一対の板ばね119を用いてもよい。図9(a)に示した例でも、LEDユニット2の短手方向の寸法に関してベース基板4の寸法を回路基板3の寸法よりも長く設定してある。
【0080】
板ばね119は、短冊状の金属板を折曲することにより形成されており、高さ調整片116の上部にスポット溶接などにより固着される固定片119aと、LEDユニット2のベース基板4の周部に弾接するJ字状の接触片119bとを備え、固定片119aと接触片119bとの間が逆V字状の連結片119cにより連結された形状に形成されている。ここにおいて、反射板110の高さ調整片116は、反射板110の反射面110aとLEDユニット2の上記平面状の部位との間に形成される隙間を小さくするために、板ばね119に対応する部位のみ平面視U字状に凹ませてある。図9(a)に示した例においてLEDユニット2を放熱ブロック150に取り付ける際には、LEDユニット2の短手方向に並んでいる板ばね119の接触片119の先端間の間隔が拡がるように指等により板ばね119を弾性変形させた状態で、LEDユニット2を水平面から傾けた状態でベース基板4を埋込部115に挿入してから、LEDユニット2を放熱ブロック150側へ押し込めばよい。なお、取り外し時には、LEDユニット2の短手方向に並んでいる板ばね119の接触片119の先端間の間隔が拡がるように指等により板ばね119を弾性変形させた状態で、LEDユニット2を傾けて取り外せばよい。
【0081】
放熱ブロック150にLEDユニット2を取り付ける手段は、上述の各例に限らない。例えば、図10に示すように、放熱ブロック150に取付ねじ8を挿通させるねじ挿通孔150eを設け、伝熱板21に取付ねじ8の先端部が螺合するねじ孔21eを設けてもよい。また、図10の構成に代えて、図11に示すように、反射板110において放熱ブロック115に接触する接触片117により高さ調整片116同士を連結するように、反射板110における接触片117にLEDユニット2の他面が密着する形でLEDユニット2を放熱ブロック150に取り付けるようにしてもよい。この図11の構成では、接触片117に、取付ねじ118を挿通するねじ挿通孔117eを設ける。
【0082】
図8(a)、図9(a)、図10、図11のいずれの構成においても、図12に示すように、上述の接触片117を備えていない構造に比べて、放熱ブロック150の小型化を図りながらも放熱性を向上させることが可能となる。なお、図12の例では、発光装置1の伝熱板21と放熱ブロック150とを上記有機グリーンシートからなる絶縁層95により接合してあり、伝熱板21と放熱ブロック150とが電気的に絶縁され且つ熱結合している。
【0083】
ところで、上述の発光装置1において、LEDチップ10単体で白色光を放射できる場合や、封止部50に蛍光体を分散させている場合には、上述の色変換部材70を備えていない構造を採用することができる。
【0084】
なお、上述の例では、LEDチップ10として、発光色が青色の青色LEDチップを採用しており、結晶成長用基板としてSiC基板を採用しているが、SiC基板の代わりにGaN基板やサファイア基板を用いてもよく、SiC基板やGaN基板を用いた場合には結晶成長用基板として絶縁体であるサファイア基板を用いている場合に比べて、結晶成長用基板の熱伝導率が高く結晶成長用基板の熱抵抗を小さくできる。また、上述のLEDチップ10は、上記一表面側に上記アノード電極が形成され、上記他表面側にカソード電極が形成されているが、上記一表面側にアノード電極およびカソード電極が形成されていてもよく、この場合には、アノード電極およびカソード電極の両方ともボンディングワイヤ14を介して導体パターン23,23と直接接続することができる。また、LEDチップ10から放射される光は青色光に限らず、例えば、紫色光、紫外光などでもよい。
【0085】
また、LEDチップ10と実装基板20における伝熱板21との線膨張率の差が比較的小さい場合にはサブマウント部材30は必ずしも設ける必要はない。上述の発光装置1では、LEDチップ10としてチップサイズが1mm□のものを用いサブマウント部材30上に1個のLEDチップ10を配置しているが、LEDチップ10のチップサイズや数は特に限定するものではなく、例えば、LEDチップ10としてチップサイズが0.3mm□のものを採用するようにして、1個のサブマウント部材30上に複数個のLEDチップ10を配置し、これら複数個のLEDチップ10をサブマウント部材30の電極パターンおよび図示しないボンディングワイヤを介して直列接続するようにしてもよい。
【0086】
また、LEDユニット2の構成は、上述の各例に限らず、例えば、図13に示すように、金属ベースプリント配線板からなる回路基板3上に複数の発光装置1を表面実装した構成のものでもよい。
【0087】
この図13の例では、取付ねじ8を用いて回路基板3を放熱ブロック150に取り付けてある。ここにおいて、回路基板3には、取付ねじ8が挿通されるねじ挿通孔3fが設けられ、放熱ブロック150には取付ねじ8の先端部が螺合するねじ孔115eが設けられている。また、LEDユニット2と放熱ブロック150との間の熱抵抗のばらつきを低減するために、例えば、サーコン(登録商標)のようなゴムシート状の放熱シート(熱伝導シート)93をLEDユニット2と放熱ブロック150とで挟持している。しかして、LEDユニット2と放熱ブロック150とは放熱シート93を介して熱結合される。
【0088】
図13における発光装置1は、LEDチップ10と、LEDチップ10が実装された実装基板20’と、LEDチップ10に重ねて配置された半球状の光学部材65と、色変換部材70とを備えている。ここにおいて、光学部材65は、シリコーン樹脂により形成されているが、光学部材65の材料はシリコーン樹脂に限らず、例えば、ガラスなどでもよい。なお、光学部材65は、LEDチップ10と当該LEDチップ10の光取り出し面が接する媒質との屈折率差を当該媒質が空気の場合に比べて小さくして、LEDチップ10からの光取り出し効率を向上させるものである。
【0089】
実装基板20’は、LEDチップ10を収納する収納凹所20a’が一表面に設けられ且つLEDチップ10のアノード電極(図示せず)およびカソード電極(図示せず)がバンプを介して電気的に接続される配線(図示せず)が形成されたセラミック基板により構成してある。要するに、LEDチップ10は、実装基板20’にフリップチップ実装されており、結晶成長用基板であるサファイア基板を通して光が取り出される。ここにおいて、実装基板20’における収納凹所20a’は、円形状に開口され且つ内底面から離れるにつれて開口面積が徐々に大きくなっている。また、実装基板20’の収納凹所20a’内には、LEDチップ10を封止した封止材料(例えば、シリコーン樹脂など)からなる封止部55が設けられており、光学部材65は上記封止材料により実装基板20’に接着されている。
【0090】
色変換部材70は、シート状に形成されており、光学部材65を覆うように実装基板20’に気密的に封着されている。この発光装置1は、実装基板20’と色変換部材70とでパッケージを構成しており、色変換部材70の光出射面70bが、LEDユニット2において発光装置1から光を取り出す面のうちの平面状の部位を構成している。
【0091】
(実施形態2)
本実施形態の照明器具は、天井直付けの照明器具であって、図14に示すように、下面側が開放された断面略コ字形に形成され天井材300の下面からなる施工面に取り付けられる器具本体100と、器具本体100の長手方向の両端部に設けられた反射板アダプタ170と、器具本体100を覆うように反射板アダプタ170に取り付けられる断面V字状の反射板110と、反射板110に保持される2つのLEDユニット2とを備えている。ここにおいて、実施形態1にて説明した放熱ブロック150は、LEDユニット2ごとに設けられている。本実施形態の照明器具は、いわゆる富士型の照明器具となっており、実施形態1とは反射板110および反射板アダプタ170の形状が相違している。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0092】
器具本体100の主片101には、実施形態1と同様、2つのボルト挿通孔101aが穿孔されている。しかして、器具本体100を天井に取り付ける際には、ボルト挿通孔101aに施工面から突出している取付ボルト310を挿通して、該取付ボルト310に座金107を通してナット108を締め付けることにより、器具本体100を取付ボルト310に結合できる。
【0093】
また、本実施形態における点灯装置120は、各LEDユニット2を点灯させるように各LEDユニット2それぞれに接続される。要するに、点灯装置120には、実施形態1にて説明した端子装置147(図7参照)が2つ設けられている。
【0094】
また、反射板アダプタ170は、短冊状の金属板を折曲することにより形成されている。この反射板アダプタ170は、器具本体100に取り付けた状態で当該器具本体100の主片101に対向する取付片171に、反射板110の頂部において反射板110に回動自在に取り付けられたラッチ部材114が係止される長孔状の係止孔172が形成されている。ここで、反射板アダプタ170は、取付片171の長手方向が器具本体100の主片101の長手方向に直交するように両端部が器具本体100の側片102に取り付けされるものであり、係止孔172の長手方向を取付片171の長手方向に一致させてある。したがって、ラッチ部材114を適宜回動させることにより、反射板アダプタ170に対して反射板110を着脱することができる。
【0095】
また、2つのLEDユニット2は、反射板110の頂部を挟む形で互いの長手方向が平行になるように配置されている。
【0096】
以上説明した本実施形態の照明器具では、実施形態1と同様、直管蛍光ランプを用いた照明器具の代替として用いることが可能で、LEDチップ10を用いた発光装置1の温度上昇を抑制できて光出力の高出力化を図れる。
【0097】
なお、LEDユニット2の数や反射板110の形状は、上記各実施形態の構造に限定するものではない。
【符号の説明】
【0098】
1 発光装置
2 LEDユニット
2a LEDモジュール
3 回路基板
3b 回路パターン
3c 窓孔
10 LEDチップ
100 器具本体
110 反射板
110a 反射面
115 埋込部
120 点灯装置
150 放熱ブロック
116 高さ調整片
117 接触片
【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDチップを用いた複数の発光装置が厚み方向の一面側で長手方向に沿って配列された長尺のLEDユニットと、器具本体と、器具本体に保持されLEDユニットからの光を目標の配光となるように制御する金属製の反射板と、器具本体に設けられLEDユニットを点灯させる点灯装置と、LEDユニットの厚み方向の他面側に配置されて反射板に保持されLEDユニットで発生した熱を放熱する長尺の放熱ブロックとを備え、反射板に、LEDユニットの外周形状に応じた形状に開口されLEDユニットが埋め込まれる埋込部が設けられるとともに、放熱ブロックに面接触する接触片が設けられてなることを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記反射板は、前記LEDユニットにおいて前記発光装置から光を取り出す面のうちの平面状の部位と前記反射板の反射面における前記埋込部の周部とを略面一とするように前記埋込部の周部から前記放熱ブロック側へ延設された高さ調整片を備え、高さ調整片の先端部から側方へ前記接触片が延設されていることを特徴とする請求項1記載の照明器具。
【請求項3】
前記LEDユニットは、前記各発光装置の接続関係を規定する回路パターンが前記放熱ブロック側とは反対の一表面側に形成されるとともに、前記各発光装置それぞれが挿入される複数の窓孔が厚み方向に貫設された回路基板を備えてなることを特徴とする請求項1または請求項2記載の照明器具。
【請求項1】
LEDチップを用いた複数の発光装置が厚み方向の一面側で長手方向に沿って配列された長尺のLEDユニットと、器具本体と、器具本体に保持されLEDユニットからの光を目標の配光となるように制御する金属製の反射板と、器具本体に設けられLEDユニットを点灯させる点灯装置と、LEDユニットの厚み方向の他面側に配置されて反射板に保持されLEDユニットで発生した熱を放熱する長尺の放熱ブロックとを備え、反射板に、LEDユニットの外周形状に応じた形状に開口されLEDユニットが埋め込まれる埋込部が設けられるとともに、放熱ブロックに面接触する接触片が設けられてなることを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記反射板は、前記LEDユニットにおいて前記発光装置から光を取り出す面のうちの平面状の部位と前記反射板の反射面における前記埋込部の周部とを略面一とするように前記埋込部の周部から前記放熱ブロック側へ延設された高さ調整片を備え、高さ調整片の先端部から側方へ前記接触片が延設されていることを特徴とする請求項1記載の照明器具。
【請求項3】
前記LEDユニットは、前記各発光装置の接続関係を規定する回路パターンが前記放熱ブロック側とは反対の一表面側に形成されるとともに、前記各発光装置それぞれが挿入される複数の窓孔が厚み方向に貫設された回路基板を備えてなることを特徴とする請求項1または請求項2記載の照明器具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−150816(P2011−150816A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9404(P2010−9404)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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