説明

照明器具

【課題】パネルの着脱作業の作業性を向上させるとともに組立工数が削減された照明器具を提供する。
【解決手段】照明器具は、枠体2と、透光性のパネル3と、バネ1とを備える。枠体2は、ダボ25を下面に有する上板部21と、下板部22と、側板部23とを備える。パネル3は、下板部22の上面に載せられて光源の下方に配置され、光源からの光はパネル3を透光し、下板部22の矩形状の孔である開口部51から照明する。バネ1は、ダボ25を孔16で遊嵌して上板部21の下面を上方に押す当接片11と、パネル3の上面を下方に押す接触片12、12と端片13、13とを一体に備え、長手方向における中心線に対して左右対称である。ダボ25と孔16によって位置が規制されたバネ1によって、パネル3が枠体2に着脱可能に保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、天井に設置される照明器具として、例えば特許文献1に開示されるものがあった。この照明器具は、天井の上方に配置される天蓋体と、天井の開口部に周辺部を載せた状態で開口部を塞ぐ天井照明カバーとを備える。天井照明カバーは板バネによって開口部の周縁に押し付けられており、天井照明カバーががたつきなく取りつけられている。尚、板バネの他端はリベットにより天蓋体に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−283204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで天井照明カバーは長期間使用されると、汚れや埃などが蓄積する場合があるため、定期的なメンテナンスが必要である。メンテナンスのために天井照明カバーを取り外し又は取り付け作業をする際、上述のようにバネが照明器具に固定されていると、バネを上側にたわめながら作業をする必要があるため、作業がやりにくいという問題があった。また、バネを固定しているため組立工数が増えるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、パネルの着脱作業の作業性を向上させるとともに組立工数が削減された照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の照明器具は、上板部及び下板部を有する枠体と、前記下板部の上面に載せられて光源の下方に配置される透光性のパネルと、前記上板部の下面と前記パネルの上面との間に着脱自在に配置されて前記パネルを下方に押すバネとを備える。そして、前記枠体に対する前記バネの取付位置を規制する規制部を有したことを特徴とする。
【0007】
この照明器具において、前記バネは、前記上板部の下面に当接する当接片と、前記当接片の両端からそれぞれ前記パネル側に突出して前記パネルを下方に押す接触片とを一体に備え、両側の前記接触片は前記当接片を間にして対称な形状に形成されたことが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、パネルの着脱作業の作業性を向上させるとともに組立工数を削減できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(a)は実施形態における照明器具のバネ部の断面図である。(b)は同上の(a)を下から見たバネの下面図である。(c)は同上の(a)を左から見たバネ部の断面図である。
【図2】(a)は同上の照明器具の側面断面図であり、(b)は同上の照明器具の下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では照明器具の実施形態について図1、図2に基づいて説明する。尚、以下の説明では、図2(b)の左右方向をX軸方向、上下方向をY軸方向、図2(a)の上下方向をZ軸方向とする。
【0011】
照明器具Aは、例えば天井に埋設されて下方を照明する器具であり、図1、図2に示すように、本体5と、直管形の蛍光灯41と、ソケット42、42と、点灯制御回路(図示せず)と、枠体2と、パネル3と、バネ1とを備える。尚、照明器具Aは埋設型でなくても、天井直付けであってもよい。
【0012】
本体5は、図2(a)(b)に示すように、下面に開口部51を有する高さの低い箱形状の金属製のケースと、端子台(図示せず)と、開口部51に枠体2を着脱可能に取り付ける受け金具(図示せず)とを備える。本体5は天井に固定され、天井裏に配線された電源ケーブル(図示せず)が本体5の端子台に電気的に接続され、端子台を介して点灯制御回路に電力が供給されている。
【0013】
点灯制御回路は、ソケット42、42に両端の口金が支持された蛍光灯41に点灯電力を供給し、蛍光灯41を点灯させる。尚、光源は1灯でも複数灯でもよい。また、光源の種類も蛍光灯41に限定されるものではなく、LEDでもよい。
【0014】
パネル3は、図2(a)(b)に示すように、例えば透光性のアクリル樹脂から形成された乳白の平板であり、枠体2に保持されて本体5の開口部51を塞ぐ。蛍光灯41からの光は、パネル3を透過して開口部51から下方に照射され、下方の照明空間を照明する。尚、パネル3の形状は平板に限定されるものではなく、枠体2の下板部22に載せられる周縁部が下板部22の上面と面で当接していれば、他の部位に下に凸な曲面を有していても構わない。
【0015】
枠体2は、金属材料からなり、図1(a)(c)と図2(a)に示すように、上板部21と、下板部22と、側板部23と、本体5側の受け金具に対応する引掛金具(図示せず)とを備え、本体5の開口部51に取り付けられている。尚、図1(a)(c)はバネ1とバネ1の周辺部を示した図で、図1(a)は図2(a)のE部の拡大図であり、図1(c)は図2(a)のF部の拡大図である。受け金具及び引掛金具には従来周知のものが使用され、その説明は省略する。受け金具及び引掛金具によって、枠体2は本体5から着脱可能となり、蛍光灯41の交換時やパネル3のメンテナンス時などに枠体2を本体5から外すことができる。
【0016】
上板部21は、図1(c)と図2(a)(b)に示すように、中央に矩形の孔が設けられた矩形状の枠体である。上板部21の外縁のX軸及びY軸方向の寸法は、長方形のパネル3の寸法をそれぞれ上回り、上板部21の外縁と内縁との間の幅は一定でバネ1の短手方向の幅よりも長い。上板部21の下面には、半球状の突起物であるダボ25がバネ1の取付位置に設けられる。本実施形態では、各長辺の3カ所と各短辺の1カ所にバネ1が配置されているが、バネ1の数及び取付位置はパネル3の大きさに応じて変更が可能である。ダボ25は、上板部21の幅方向の略中央部における、バネ1の孔16にダボ25を遊嵌しつつ枠体2にバネ1を差し込んでも側板部23にバネ1が干渉しない位置に設けられる。尚、孔16にダボ25が遊嵌した状態で、ダボ25を中心にXY平面上で回転運動する力がバネ1に働いた時に、側板部23がバネ1の回転運動を阻害できるように、バネ1が側板部23に干渉しない範囲で側板部23からのダボ25の距離を短くした方が好ましい。
【0017】
下板部22は、図1(c)と図2(a)(b)に示すように、上板部21の下側に上板部21と平行に対向し、中央に矩形の開口部51が設けられた矩形状の枠体である。下板部22の外縁のX方向及びY方向の寸法は上板部21の外縁寸法と同じであり、下板部22の内縁のX方向及びY方向の寸法は上板部21の矩形孔の寸法よりも短い。
【0018】
側板部23は、上板部21の外縁と下板部22の外縁との間に、上板部21及び下板部22と一体に設けられ、上板部21に垂直(YZ平面とZX平面)な4つの矩形板からなる。
【0019】
尚、上板部21、下板部22、側板部23は一体品であっても、別々の部品であってもよい。
【0020】
バネ1は、弾性を有する矩形板状の金属板をプレス加工して形成され、図1(a)(b)に示すように、上板部21の下面に当接する当接片11と、接触片12、12とを一体に備え、長手方向における中心線に対して左右対称である。
【0021】
当接片11は、略中央部に上板部21下面に設けられたダボ25を遊嵌する円形状の孔16を有する矩形板である。接触片12、12は、当接片11の両端から互いに離れるようにそれぞれパネル3側へ斜め下向きに突出してパネル3を下方に押す。尚、接触片12、12の先端には上向きに折り返された端片13、13が設けられ、端片13、13が折り返された付近でパネル3と接触する。
【0022】
バネ1は枠体2の所定位置に取り付けられた状態では、バネ1の孔16とダボ25とが互いに係合することで、枠体2に対するバネ1の取付位置が規制され、バネ1の位置ずれがおきにくくなり、バネ1が所定の取付位置に確実に取り付けられる。作業者は、ダボ25を目印にして所定の取付位置に正確かつ容易にバネ1を取り付けることができる。また、作業者が、上板部21下面と当接片11の上面とが密着しているかを確認することで、ダボ25が孔16に確実に遊嵌していることを確認できる。ここにおいて、バネ1の孔16と枠体2のダボ25とで規制部が構成されるのであるが、孔16及びダボ25によってバネ1の位置が規制されるものであれば、それぞれの形状は円や半球に限定されるものではなく、個数も複数であってもよい。また、バネ1の形状は、上板部21を上方に、パネル3を下方に押して、かつ、バネ1の位置が規制される規制部を有していれば、上記の形態に限定されるものではない。例えば、接触片12が曲面で構成されていても、バネ1全体が板バネ以外の弾性体であっても構わない。
【0023】
ここで、パネル3のメンテナンス等で、枠体2からパネル3を着脱する方法を述べる。
【0024】
作業者が枠体2からパネル3を取り外すには、まず、作業者が本体5を枠体2から取り外す。次に、バネ1の当接片11の上面と上板部21の下面との間に隙間が生じるように、作業者がバネ1に弾性変形させる力を加え、ダボ25を孔16の外に出すことで、バネ1の位置の規制を解除する。そして、作業者が、バネ1を側板部23から離れる方向に移動させて枠体2からバネ1を取り外すと、バネ1によるパネル3の押さえがなくなるので、パネル3を枠体2から取り外すことができる。
【0025】
一方、枠体2にパネル3を取り付けるには、枠体2が本体5から取り外された状態で、まず作業者が、枠体2の上方からパネル3を下板部22の上面に載せる。次に、作業者が、バネ1の当接片11を上側に接触片12、12を下側にして、バネ1に弾性変形をする力を加えてバネ1を上板部21とパネル3との間に差し込む。そして、作業者が、上板部21の下面に設けられたダボ25にバネ1の孔16を遊嵌させた後、バネ1を弾性変形させる力を加えることを止める。これにより、ダボ25が孔16によって遊嵌される状態で当接片11が上板部21の下面を上方に押し、接触片12、12がパネル3の上面を下方に押すため、バネ1の位置が規制され、バネ1のバネ力によってパネル3が枠体2に保持される。そして、作業者が枠体2を本体5に取り付ける。
【0026】
上述のように、照明器具Aは、上板部21及び下板部22を有する枠体2と、下板部22の上面に載せられて光源(蛍光灯41)の下方に配置される透光性のパネル3と、上板部21の下面とパネル3の上面との間に着脱自在に配置されてパネル3を下方に押すバネ1とを備える。そして、枠体2に対するバネ1の取付位置を規制する規制部を有する。
【0027】
これにより、着脱可能なバネ1によってパネル3が枠体2に保持されるため、バネ1を外した状態でパネル3の着脱が行えるから、パネル3の着脱作業の作業性が向上するという効果がある。また、バネ1が枠体2に固定されていないため、組立工数が削減され、生産性が向上するという効果もある。さらに、規制部によって、バネ1の位置が枠体2に対して正確に位置決めされることによって、バネ1のズレやはずれが起こりにくくなり、バネ1がパネル3を押す力が安定する。
【0028】
また、この照明器具Aにおいて、バネ1は、上板部21の下面に当接する当接片11と、当接片11の両端からそれぞれパネル3側に突出してパネル3を下方に押す接触片12とを一体に備える。そして、当接片11の両側の接触片12は、当接片11を間にして対称な形状に形成されたことが好ましい。
【0029】
これにより、バネ1は簡素な構造となる。また、バネ1は左右対称構造のため、作業者がバネ1を枠体2に取り付ける際、バネ1の取り付け方向の間違いが少なくなり、作業性が向上するという効果がある。
【符号の説明】
【0030】
1 バネ
11 当接片
12 接触片
13 端片
16 孔(規制部)
2 枠体
21 上板部
22 下板部
23 側板部
25 ダボ(規制部)
3 パネル
41 蛍光灯(光源)
42 ソケット
5 本体
51 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上板部及び下板部を有する枠体と、前記下板部の上面に載せられて光源の下方に配置される透光性のパネルと、前記上板部の下面と前記パネルの上面との間に着脱自在に配置されて前記パネルを下方に押すバネと、前記枠体に対する前記バネの取付位置を規制する規制部とを有したことを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記バネは、前記上板部の下面に当接する当接片と、前記当接片の両端からそれぞれ前記パネル側に突出して前記パネルを下方に押す接触片とを一体に備え、両側の前記接触片は前記当接片を間にして対称な形状に形成されたことを特徴とする請求項1記載の照明器具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2013−16258(P2013−16258A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146122(P2011−146122)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】