説明

照明装置および内視鏡システム

【課題】1つの波長変換部材で複数の波長帯の蛍光を生成することができ、安価で小型な照明装置を提供する。
【解決手段】励起光Eを射出する光源21と、光源21からの励起光Eにより励起されることで、表面の複数の領域から励起光Eとは異なるスペクトルの蛍光Fx,Fyを射出する蛍光体22と、複数の領域から射出された蛍光Fx,Fyを互いに異なるスペクトルの光に変換するフィルタ23,24とを備える照明装置1を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばプロジェクタ等の光源として用いられる照明装置およびこれを備える内視鏡システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体光源から射出される励起光を、蛍光体を有する波長変換部材に照射させることで、励起光とは異なる波長の蛍光を照射する照明装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−311532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の照明装置によれば、1つの波長変換部材で1つの波長帯の蛍光のみしか得ることができない。従って、複数の波長帯の蛍光を得るためには、必要とする波長帯の数だけ波長変換部材が必要となり、コストの増加や装置の大型化を招くという不都合がある。
【0005】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、1つの波長変換部材で複数の波長帯の蛍光を生成することができ、安価で小型な照明装置およびこれを備える内視鏡システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明の第1の態様は、励起光を射出する少なくとも1つの光源と、前記光源からの励起光により励起されることで、表面の複数の領域から前記励起光とは異なるスペクトルの蛍光を射出する波長変換部材と、前記複数の領域から射出された蛍光を互いに異なるスペクトルの光に変換するスペクトル変換手段とを備える照明装置である。
【0007】
本発明の第1の態様によれば、光源から射出された励起光は、波長変換部材に入射することにより波長が変換され、励起光とは異なるスペクトルの蛍光が、波長変換部材表面の複数の領域から射出される。このように複数の領域から射出された蛍光は、スペクトル変換手段により、互いに異なるスペクトルの光に変換される。
【0008】
以上のように、本発明の第1の態様によれば、1つの波長変換部材で複数の波長帯の蛍光を生成することができ、安価で小型な照明装置を実現することが可能となる。また、波長変換部材表面の複数の領域から蛍光を取り出すことで、従来の照明装置であればロスしていた蛍光についても有効活用することができ、励起光の利用効率を向上することができる。
【0009】
上記態様において、前記スペクトル変換手段により変換された互いに異なるスペクトルの光を合成する合成手段を備えることとしてもよい。
このように構成することで、互いに異なるスペクトルの光を合成して、例えば白色光等の用途に応じた色の光とすることができる。
なお、上記態様において、前記スペクトル変換手段が、互いに異なるスペクトルの光を合成する合成手段であることとしてもよい。
【0010】
上記態様において、前記合成手段が、前記スペクトル変換手段により変換された互いに異なるスペクトルの光と前記光源からの励起光とを合成することとしてもよい。
このように構成することで、最終的に射出する合成光の強度を向上させつつ、色選択の自由度を向上することができる。具体的には、例えばスペクトル変換手段により緑色光と赤色光を取り出し、青色光を光源から直接取得して、合成手段により合成して白色光として射出することができる。この場合において、例えば青色LEDは発光強度が高いため、波長変換部材から青色光を取り出すよりも効率がよい。その結果、最終的に得られる白色光の強度を向上することができる。
【0011】
上記態様において、前記波長変換部材と前記スペクトル変換手段との間に配置され、前記波長変換部材からの蛍光を平行光にして射出する射出部材を備えることとしてもよい。
このように構成することで、波長変換部材内において生成された蛍光を、射出部材の内側面により反射して平行化することができる。これにより、蛍光の射出効率を向上することができる。また、スペクトル変換手段として、例えば波長変換フィルタを採用した場合には、該フィルタへの入射角を小さくすることができ、フィルタの斜入射特性の影響を小さくして、最終的に射出する光の強度を向上することができる。
【0012】
上記態様において、前記波長変換部材内で発生した熱を放出する放熱機構を備えることとしてもよい。
このように構成することで、波長変換部材内において波長変換に伴って発生した熱を、波長変換部材の周囲に配置された放熱機構に伝えて、放熱機構により外部に放散することができる。なお、波長変換部材と放熱機構との間に伝熱媒質を備えることとしてもよい。このようにすることで、放熱機構への伝熱効率を向上させ、効率的に波長変換部材の放熱を行うことができる。
【0013】
上記態様において、前記複数の領域から射出された蛍光の光量を調整する光量調整機構を備えることとしてもよい。
このように構成することで、光量調整機構により複数の領域から射出された蛍光の光量を調整することによって、スペクトル変換手段から射出される光の光量を任意に変化させることができる。この場合に、前述の合成手段を併用することで、合成光の色および強度を調整することができ、用途に応じた色および強度の合成光を得ることができる。
【0014】
本発明の第2の態様は、上記の照明装置と、体腔内に挿入され、前記照明装置からの照明光を導光する挿入部と、該挿入部によって照明された観察対象を撮像する撮像部とを備える内視鏡システムである。
このような内視鏡システムによれば、前述の照明装置を備えているため、用途に応じた光を挿入部から射出して撮像部により観察対象を撮像することができ、観察対象の観察精度を向上することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、1つの波長変換部材で複数の波長帯の蛍光を生成することができ、装置のコスト低減化および小型化を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る照明装置の斜視図である。
【図2】図1の照明装置のZ方向から見た場合の平面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る照明装置の平面図である。
【図4】本発明の第3の実施形態に係る照明装置の平面図である。
【図5】本発明の第4の実施形態に係る照明装置の平面図である。
【図6】本発明の第5の実施形態に係る撮像システムの概略構成図である。
【図7】本発明の第6の実施形態に係る照明装置における蛍光体の斜視図である。
【図8】本発明の第7の実施形態に係る照明装置における蛍光体が含有する蛍光物質の波長特性を示すグラフである。
【図9】本発明の第7の実施形態に係る照明装置における蛍光体が含有する蛍光物質の波長特性を示すグラフである。
【図10】本発明の第8の実施形態に係る照明装置の平面図である。
【図11】第1の変形例に係る照明装置の平面図である。
【図12】第2の変形例に係る照明装置の平面図である。
【図13】本発明の第9の実施形態に係る照明装置の平面図である。
【図14】第3の変形例に係る照明装置の平面図である。
【図15】本発明の第10の実施形態に係る照明装置の平面図である。
【図16】第4の変形例に係る照明装置の平面図である。
【図17】図16のフィルタの透過特性を示すグラフである。
【図18】図16のフィルタの透過特性を示すグラフである。
【図19】図16のダイクロイックミラーの透過特性を示すグラフである。
【図20】図15の照明装置によって得られる合成光のスペクトル分布である。
【図21】図16の照明装置によって得られる合成光のスペクトル分布である。
【図22】本発明の第11の実施形態に係る照明装置の平面図である。
【図23】第5の変形例に係る照明装置の平面図である。
【図24】本発明の第12の実施形態に係る照明装置の平面図である。
【図25】本発明の第13の実施形態に係る照明装置の平面図である。
【図26】本発明の第14の実施形態に係る照明装置の平面図である。
【図27】第6の変形例に係る照明装置における要部の平面図である。
【図28】第7の変形例に係る照明装置における要部の平面図である。
【図29】本発明の第15の実施形態に係る照明装置の平面図である。
【図30】第8の変形例に係る照明装置の平面図である。
【図31】本発明の第16の実施形態に係る照明装置の平面図である。
【図32】本発明の第17の実施形態に係る照明装置の平面図である。
【図33】本発明の第17の実施形態に係る照明装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔第1の実施形態〕
以下に、本発明の第1の実施形態に係る照明装置について、図1および図2を参照して説明する。
本実施形態に係る照明装置1は、図1および図2に示すように、励起光Eを射出する光源21と、光源21からの励起光Eの波長を変換して蛍光Fを射出する蛍光体(波長変換部材)22と、蛍光体22から射出された蛍光Fを異なるスペクトルの光に変換するフィルタ(スペクトル変換手段)23,24とを備えている。
【0018】
光源21は、例えばLEDやLD(レーザダイオード)であり、後述するように、蛍光体22に含有された蛍光物質を励起させる励起光Eを射出するようになっている。また、光源21は、その光軸がZ方向、すなわち、蛍光体22の蛍光Fの射出方向(X,Y方向)に直交する方向に配置されている。なお、以降では、X方向に射出された蛍光FをFx、Y方向に射出された蛍光FをFyと表記し、特に射出方向を限定しない場合には単に蛍光Fと表記する。
【0019】
蛍光体22は、例えばガラスやセラミックス等で構成されており、その内部に、光源21からの励起光Eにより励起されて蛍光を発生する蛍光物質が含有されている。本実施形態において、蛍光体22は、立方体形状を有しており、光源21(Z方向)に向けて配置された入射面22zと、X,Y方向に向けて配置された出射面22x,22yとを備えている。
【0020】
入射面22zは、光源21からの励起光Eを入射させる面である。出射面22x,22yは、入射面22zと直交する面であり、蛍光体22内において発生した蛍光Fを射出する面である。また、蛍光体22の入射面22zおよび出射面22x,22y以外の面は、励起光Eおよび蛍光Fを反射する反射面とされている。
【0021】
このような構成を有することで、蛍光体22は、光源21から入射面22zに入射した励起光Eの波長を変換して蛍光を発生させる。そして、蛍光体22内において発生した蛍光Fを、反射面により内面反射させて出射面22x,22yまで導くようになっている。
【0022】
フィルタ23,24は、それぞれ蛍光体22の出射面22x,22yに対向して配置されている。フィルタ23は、波長選択フィルタであり、蛍光体22の出射面22xから射出された蛍光Fxのうち、所定帯域の光のみを透過させるようになっている。フィルタ24は、フィルタ23とは異なる波長透過帯域を有する波長選択フィルタであり、蛍光体22の出射面22yから射出された蛍光Fyのうち、蛍光Fxとは異なる所定帯域の光のみを透過させるようになっている。このような構成を有することで、フィルタ23,24は、蛍光体22の出射面22x,22yから射出された蛍光Fx,Fyを、互いに異なるスペクトルの光に変換するようになっている。
【0023】
上記構成を有する本実施形態に係る照明装置1の作用について以下に説明する。
光源21を駆動させると、光源21から射出された励起光Eは、蛍光体22に入射し、蛍光体22内に含有された蛍光物質を励起(波長変換)して蛍光Fを発生させる。そして、蛍光体22内において発生した蛍光Fは、反射面により内面反射されて出射面22x,22yから射出される。このように蛍光体22の出射面22x,22yから射出された蛍光Fx,Fyは、フィルタ23,24により互いに異なるスペクトルの光に変換される。
【0024】
以上のように、本実施形態に係る照明装置1によれば、1つの蛍光体22で複数の波長帯域の蛍光Fx,Fyを生成することができる。これにより、複数の波長帯域の蛍光を得るためには複数の波長変換部材を必要とする従来の照明装置に比べて、安価で小型な照明装置を実現することが可能となる。また、蛍光体22の複数の領域(出射面22x,22y)から蛍光Fx,Fyを取り出すことで、従来の照明装置であればロスしていた蛍光についても有効活用することができ、励起光Eの利用効率を向上することができる。
【0025】
なお、本実施形態において、蛍光体22の出射面22x,22yの両方にフィルタ23,24を設けることとして説明したが、一方の出射面にのみフィルタを設けることとしてもよい。
また、本実施形態において、蛍光体22の2つの出射面22x,22yから蛍光Fを射出させることとして説明したが、出射面を3つ以上設けることとしてもよい。
【0026】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態に係る照明装置2について、図3を参照して説明する。以降では、各実施形態に係る照明装置について、前述の実施形態に係る照明装置と共通する点については同一の符号を付して説明を省略し、異なる点について主に説明する。
【0027】
本実施形態に係る照明装置2は、図3に示すように、前述の第1の実施形態に係る照明装置1の構成(図1および図2参照)に加えて、蛍光体22とフィルタ23,24との間に射出部材25,26をそれぞれ備えている。
【0028】
射出部材25,26は、蛍光体22の出射面22x,22yにそれぞれ接続されており、蛍光体22の出射面22x,22yよりも大きな面積の射出面を有している。より具体的には、射出部材25,26は、蛍光体22の出射面22x,22yから離れるに従って中心軸線から離間する側面を有している。このような構成を有することで、射出部材25,26は、蛍光体22の出射面22x,22yから入射した蛍光を、側面により反射を繰り返して平行化し、射出面から中心軸線に沿う方向(図3において矢印Fx,Fyに示す方向)に射出するようになっている。
【0029】
ここで、蛍光体22は屈折率が1よりも大きいので、射出部材25,26が無い場合には、全反射のため外部量子効率が低下する。したがって、本実施形態に係る照明装置2のように射出部材25,26によって蛍光Fx,Fyを平行化することで、蛍光Fx,Fyの取り出し効率を向上することができる。なお、射出部材25,26の形状や屈折率は蛍光Fx,Fyを平行化するために最適化されている。
【0030】
また、フィルタ23,24は、射出部材25,26の後段に配置する。波長変換フィルタは斜入射特性があるため、蛍光Fx,Fyを平行化してからフィルタ23,24を通過させるほうが望ましい。したがって、第1の実施形態のように蛍光体22から射出された蛍光Fx,Fyを射出部材25,26を介さずに直接フィルタ23,24に透過させる場合に比べて、蛍光Fx,Fyの取り出し効率を向上することができる。
【0031】
以上のように、本実施形態に係る照明装置2によれば、蛍光体22内において生成された蛍光Fx,Fyを、射出部材25,26の側面により反射して平行化することができる。これにより、蛍光Fx,Fyの取り出し効率を向上することができる。また、蛍光Fx,Fyのフィルタ23,24への入射角を小さくすることができ、フィルタ23,24の斜入射特性の影響を小さくして、最終的に取り出される蛍光の強度を向上することができる。
【0032】
〔第3の実施形態〕
次に、本発明の第3の実施形態に係る照明装置3について、図4を参照して説明する。
本実施形態に係る照明装置3は、図4に示すように、前述の第2の実施形態に係る照明装置2の構成(図3参照)に加えて、蛍光体22内で発生した熱を放散する放熱機構27を備えている。
【0033】
放熱機構27は、例えば金属等の伝熱部材で構成され、複数の放熱フィンを有し、蛍光体22内において波長変換(励起光による蛍光の発生)に伴って発生した熱を放出するようになっている。具体的な放熱機構27の構成として、例えば、ヒートシンクを蛍光体22に直接張り合わせる、あるいは蛍光体22を水冷するといった方式が考えられる。
【0034】
上記構成を有する本実施形態に係る照明装置3によれば、蛍光体22内において波長変換に伴って発生した熱を、蛍光体22に接触させた放熱機構27に伝えて、放熱機構27により外部に放散することができる。これにより、蛍光体22の温度を低く保つことができるため、温度特性の悪い蛍光体を利用することも可能となる。
【0035】
〔第4の実施形態〕
次に、本発明の第4の実施形態に係る照明装置4について、図5を参照して説明する。
本実施形態に係る照明装置4は、図5に示すように、前述の第2の実施形態に係る照明装置2の構成(図3参照)に加えて、フィルタ23,24から射出された蛍光Fx’,Fy’の光量を調整する光量調整機構29,30を備えている。
【0036】
光量調整機構29,30は、例えば、蛍光Fx,Fyの一部を透過させる平板状の光学ディスク(図示略)と、該光学ディスクを法線回りに回転駆動させるモータ(図示略)とから構成されている。そして、上記の光学ディスクは、蛍光Fx,Fyの透過率が異なり、それぞれ半円形状に形成された複数のフィルタ(図示略)が隣接して接合されることで構成されている。
【0037】
上記構成を有することで、光量調整機構29,30は、モータを駆動させて光学ディスクを法線回りに回転駆動させ、所望の透過率を有するフィルタを蛍光Fx,Fyの光軸上に配置することによって、フィルタ23,24から射出された蛍光Fx’,Fy’の光量を調整するようになっている。
【0038】
なお、光量調整機構29,30は、上記構成に限定されるものではなく、例えば透過率の異なるフィルタを、蛍光Fx,Fyの光軸に直交する方向に移動させる機構としてもよい。また、本実施形態において、フィルタ23,24に対応させて2つの光量調整機構を設けた例を説明したが、一方のフィルタの後段にのみ光量調整機構を設けることとしてもよい。
【0039】
上記構成を有する本実施形態に係る照明装置4によれば、光量調整機構29,30により、フィルタ23,24から射出される蛍光Fx’,Fy’の光量を調整することによって、最終的に取り出される蛍光Fx’’,Fy’’の光量を任意に変化させることができる。この場合において、第9の実施形態において後述する合成手段を併用することで、合成光の色および強度を調整することができ、用途に応じた色および強度の合成光を得ることができる。
【0040】
〔第5の実施形態〕
次に、本発明の第5の実施形態として、本発明に係る照明装置を、例えば内視鏡システム等の撮像システムに組み込み、画像の取得を行うための構成について、図6を用いて説明する。
本実施形態に係る撮像システム5は、図6に示すように、本発明に係る照明装置を有する光源ユニット31と、撮像ユニット(撮像部)32と、画像モニター33と、画像処理部34と、照明制御部35と、光源駆動部36とを備えている。
【0041】
撮像ユニット32は、例えばCCD等の撮像素子であり、光源ユニット31により照射された照明光の被写体Sからの反射光を検出するようになっている。すなわち、撮像ユニット32は、被写体Sからの反射光を受光する受光手段として機能する。また、撮像ユニット32は、被写体Sからの反射光を検出することによって被写体Sを撮像し、撮像信号を画像処理部34に出力するようになっている。
【0042】
画像処理部34は、撮像ユニット32から出力された撮像信号を処理して、被写体Sの画像を生成するようになっている。画像処理部34は入力された照明モード指示信号の内容に応じて、各照明モードに最適な画像処理を選択して、画像信号を生成する。また、画像処理部34は、生成した被写体Sの画像を画像表示信号として画像モニター33に出力する。また、画像処理部34は、被写体Sの画像の明るさを画面明るさ信号として照明制御部35に出力するようになっている。
画像モニター33は、画像処理部34から出力された画像表示信号に基づいて、被写体Sの画像を画面に表示するようになっている。
【0043】
照明制御部35には、画像処理部34から出力された画面明るさ信号の他、外部から照明モード指示信号が送られる。ここで、照明モード指示信号とは、光源ユニット31から被写体Sに照射する照明光を、例えば白色光や特殊光等に切り替えることを指示する信号である。
【0044】
照明制御部35は、画像処理部34から出力された画面明るさ信号に基づいて、光源制御信号を生成し、該信号を光源駆動部36に出力する。
光源駆動部36は、照明制御部35から出力された光源制御信号に基づいて、光源ユニット31内の光源を駆動させるようになっている。
【0045】
上記構成を有する撮像システム5の動作について以下に説明する。
まず、照明制御部35からの光源制御信号によって光源駆動部36が制御される。そして光源駆動部36の光源駆動信号と同期して、光源ユニット31の点灯制御が行われ、高効率な照明光が被写体Sに照射される。被写体Sからの反射光は、撮像ユニット32により検出され、そこで得られた撮像信号は、画像処理部34により画像処理が施され、画像モニター33上に映像として表示される。
【0046】
また、上述した光源制御信号は、画面明るさ信号や照明モード指示信号などを元に構成されている。画面明るさ信号は、得られた撮像信号を画像処理部34で処理する際に得られ、例えば、光源の輝度調整値を指示する信号である。照明モード指示信号は、特定の複数の異なるスペクトルを有する照明モードを切り替える信号で、例えば、ある照明モード下では、特定の光源にのみ電力を供給するように制御している。
【0047】
本実施形態に係る撮像システム5によれば、前述の実施形態に係る照明装置を備えているため、用途に応じた光を射出して撮像ユニット32により被写体Sを撮像することができ、被写体Sの観察精度を向上することができる。
【0048】
なお、本実施形態に係る撮像システム5の具体的な適用例として内視鏡システムを採用する場合には、体腔内に挿入され、前述の実施形態に係る照明装置からの照明光を導光する挿入部(図示略)を備え、撮像ユニット32が、挿入部によって照明された被写体Sを撮像する構成とすればよい。
【0049】
〔第6の実施形態〕
次に、本発明の第6の実施形態に係る照明装置について、図7を参照して説明する。
本実施形態に係る照明装置において、図7に示すように、蛍光体22は、前述の実施形態のように立方体に限られず、例えば球形、円筒形、三角錐、直方体、三角柱等の立体であってもよい。
【0050】
上記構成を有する本実施形態に係る照明装置によれば、蛍光体22を上記のような立体形状とすることで、励起光Eの入射領域や蛍光Fの取り出し領域の自由度を向上することができる。なお、特に蛍光体22を三角柱形状とした場合の効果については、第17の実施形態において後述する。
【0051】
〔第7の実施形態〕
次に、本発明の第7の実施形態に係る照明装置について、図8および図9を参照して説明する。
本実施形態に係る照明装置において、蛍光体22は、図8に示すように、単一種類の蛍光物質を含んでいる。この場合において、最終的に得たい蛍光の波長に応じて、蛍光物質を選定する。図8に示す例では、蛍光体22は、ピーク波長が530nmの蛍光Fを発する蛍光物質を含有している。
【0052】
なお、蛍光体22は、単一種類の蛍光物質のみを含有するのではなく、図9に示すように、複数の蛍光物質を含有することとしても良い。図9に示す例において、蛍光体22は、ピーク波長が530nmの蛍光を発する蛍光物質と、ピーク波長が630nmの蛍光を発する蛍光物質とを含有している。
このように複数の蛍光物質を含有する蛍光体22を採用することで、最終的に得られる蛍光の波長帯域を広くすることができ、照明装置の演色性を向上させることができる。
【0053】
〔第8の実施形態〕
次に、本発明の第8の実施形態に係る照明装置8について、図10を参照して説明する。
本実施形態に係る照明装置8は、図10に示すように、前述の第1の実施形態に係る照明装置1の構成(図1参照)において、光源21と蛍光体22との間にレンズ41を備えている。
【0054】
レンズ41は、光源21からの励起光Eを集光して蛍光体22に入射させるようになっている。
上記構成を有する本実施形態に係る照明装置8によれば、蛍光体22における励起光Eの照射面積を小さくすることができ、蛍光体22の小型化、しいては照明装置8の小型化を図ることができる。
【0055】
[第1の変形例]
また、本実施形態に係る照明装置8において、図11に示すように、光源21と蛍光体22との間に光ファイバー(導光ロッド)42を備えることとしてもよい。また、光源21を複数設け、各光源と蛍光体22との間に光ファイバー42をそれぞれ設けることとしてもよい。
光ファイバー42は、光源21からの励起光Eを導光して蛍光体22に入射させるようになっている。
【0056】
上記構成を有する本実施形態に係る照明装置8’によれば、光源21を配置する際の自由度を向上することができ、装置をコンパクトな構成にするとともに、装置の組み立てを容易化することができる。また、蛍光体22の1つの面に複数の光源21からの励起光Eを入射させることができ、射出する蛍光Fの強度を向上することができる。
【0057】
[第2の変形例]
また、本実施形態に係る照明装置8において、図12に示すように、光源21をLDではなく、LEDを採用することとしてもよい。
【0058】
〔第9の実施形態〕
次に、本発明の第9の実施形態に係る照明装置9について、図13を参照して説明する。
本実施形態に係る照明装置9は、図13に示すように、前述の第4の実施形態に係る照明装置4の構成(図5参照)において、蛍光体22の蛍光Fの出射面を3面とし、各出射面からの蛍光Fを合成するダイクロイックミラー(スペクトル変換手段、合成手段)49を備えている。なお、本実施形態においては、前述の第4の実施形態におけるフィルタ(波長変換手段)23,24は備えていない。
【0059】
本実施形態に係る照明装置9において、蛍光体22は、励起光Eの入射面に直交する3面から蛍光F1,F2,F3を射出するようになっている。蛍光F1,F2は、蛍光体22の互いに対向する面から、それぞれ逆方向に射出される。蛍光F3は、蛍光F1,F2と同一平面上において、蛍光F1,F2に直交する方向に射出される。
【0060】
蛍光F1の光路上には、射出部材26、光量調整機構30、およびミラー45,46が配置されている。ミラー45,46は、光量調整機構30を通過してきた蛍光F1をダイクロイックミラー49に導くように配置されている。
【0061】
蛍光F2の光路上には、射出部材26、光量調整機構30、およびミラー47,48が配置されている。ミラー47,48は、光量調整機構30を通過してきた蛍光F2をダイクロイックミラー49に導くように配置されている。
【0062】
蛍光F3の光路上には、射出部材25、光量調整機構29、ダイクロイックミラー49が配置されている。
ダイクロイックミラー49は、蛍光F3の一部を透過させる一方、蛍光F1,F2の一部を蛍光F3の透過方向に反射する特性を有している。このような特性を有することで、ダイクロイックミラー49は、蛍光F1,F2,F3をそれぞれ一部ずつ合成して同一方向に射出するようになっている。
【0063】
具体的には、ダイクロイックミラー49は、蛍光F1のうち青色光(Bバンド)を反射するようになっている。また、ダイクロイックミラー49は、蛍光F2のうち赤色光(Rバンド)を反射するようになっている。また、ダイクロイックミラー49は、蛍光F3のうち緑色光(Gバンド)を透過させるようになっている。
【0064】
これらの蛍光F1,F2,F3を合成することにより、ダイクロイックミラー49は合成光として白色光を射出するようになっている。
この場合において、各蛍光F1,F2,F3の光路上に配置された光量調整機構29,30は、所望の合成光の色および光量に応じて、各蛍光F1,F2,F3の光量を調整するようになっている。
なお、上記構成の場合において、励起光Eは、青色光よりも短波長である必要があるため、例えば紫外線を採用する。
【0065】
上記構成を有する本実施形態に係る照明装置9によれば、光量調整機構29,30により、蛍光F1,F2,F3の光量を調整することによって、最終的に取り出される蛍光F1,F2,F3の光量を任意に変化させることができる。これにより、ダイクロイックミラー49による合成光の色および強度を調整することができ、用途に応じた色および強度の合成光を得ることができる。
【0066】
[第3の変形例]
なお、本実施形態に係る照明装置9において、図14に示すように、蛍光F1,F2,F3の光路上に前述の第4の実施形態におけるフィルタ(波長変換手段)23,24を備えることとしてもよい。
【0067】
蛍光F1の光路上には、射出部材26、フィルタ24、光量調整機構30、およびミラー45,46が配置されている。ミラー45,46は、光量調整機構30を通過してきた蛍光F1をダイクロイックミラー49に導くように配置されている。
【0068】
蛍光F2の光路上には、射出部材26、フィルタ24、光量調整機構30、およびミラー47,48が配置されている。ミラー47,48は、光量調整機構30を通過してきた蛍光F2をダイクロイックミラー49に導くように配置されている。
【0069】
蛍光F3の光路上には、射出部材25、フィルタ23、光量調整機構29、ダイクロイックミラー49が配置されている。
ダイクロイックミラー49は、蛍光F3を透過させる一方、蛍光F1,F2を蛍光F3の透過方向に反射する特性を有している。このような特性を有することで、ダイクロイックミラー49は、蛍光F1,F2,F3を合成するようになっている。
【0070】
蛍光F1の光路上に配置されたフィルタ24は、蛍光F1のうち青色光(Bバンド)を透過させるようになっている。
蛍光F2の光路上に配置されたフィルタ24は、蛍光F2のうち赤色光(Rバンド)を透過させるようになっている。
蛍光F3の光路上に配置されたフィルタ23は、蛍光F3のうち緑色光(Gバンド)を透過させるようになっている。
【0071】
これらの蛍光F1,F2,F3を合成することにより、ダイクロイックミラー49は合成光として白色光を射出するようになっている。
この場合において、各蛍光F1,F2,F3の光路上に配置された光量調整機構29,30は、所望の合成光の色および光量に応じて、各蛍光F1,F2,F3の光量を調整するようになっている。
なお、上記構成の場合において、励起光Eは、青色光よりも短波長である必要があるため、例えば紫外線を採用する。
【0072】
上記構成を有する本変形例に係る照明装置9’によれば、光量調整機構29,30により、フィルタ23,24から射出される蛍光F1,F2,F3の光量を調整することによって、最終的に取り出される蛍光F1,F2,F3の光量を任意に変化させることができる。これにより、ダイクロイックミラー49による合成光の色および強度を調整することができ、用途に応じた色および強度の合成光を得ることができる。この場合において、フィルタ23,24により蛍光F1,F2,F3のうち所定帯域の波長の光を取り出すことで、合成に用いる蛍光F1,F2,F3を狭帯域化することができ、例えば狭帯域バンドの光を得やすい等、合成光から得られるスペクトルの自由度を向上することができる。
【0073】
〔第10の実施形態〕
次に、本発明の第10の実施形態に係る照明装置10について、図15を参照して説明する。
本実施形態に係る照明装置10は、図15に示すように、前述の第9の実施形態に係る照明装置9の構成(図13参照)において、蛍光F1を蛍光体22から取り出すのではなく、別途設けた光源51から直接得ることとしている。
【0074】
蛍光F2および蛍光F3の光路上にはダイクロイックミラー(スペクトル変換手段、合成手段)52が配置されている。
ダイクロイックミラー52は、蛍光F2の一部を透過させる一方、蛍光F3の一部を蛍光F2の透過方向に反射する特性を有している。このような特性を有することで、ダイクロイックミラー52は、蛍光F2,F3をそれぞれ一部ずつ合成して同一方向に射出するようになっている。
【0075】
ダイクロイックミラー52からの合成光F4の光路上には、ダイクロイックミラー(合成手段)53が配置されている。
光源51は、蛍光F1を射出する例えばLED等の光源であり、ダイクロイックミラー53に光軸を向けて配置されている。
【0076】
ダイクロイックミラー53は、合成光F4の一部を透過させる一方、光源51からの蛍光F1を合成光F4の透過方向に反射する特性を有している。このような特性を有することで、ダイクロイックミラー53は、合成光F4(蛍光F2,F3)の一部と蛍光F1とを合成するようになっている。
【0077】
具体的には、ダイクロイックミラー52は、蛍光F2から赤色光を取り出し、蛍光F3から緑色光を取り出す。また、蛍光F1として青色光を光源51から取得する。これらの蛍光F1,F2,F3をダイクロイックミラー53で合成し、白色光を生成する。
【0078】
ここで、青色LED(光源51)は発光強度が高いため、蛍光体22から青色光を取り出すよりも効率がよい。その結果、最終的に得られる白色光を高強度にすることができる。
また、本実施形態において、励起光は緑色光よりも短波長である必要があるため、例えば光源21としては青色光源が考えられる。紫外線よりも青色光のほうが、蛍光体劣化が小さいので、装置の長寿命化を図ることが可能である。
【0079】
以上のように、本実施形態に係る照明装置10によれば、最終的に射出する合成光の強度を向上させつつ、色選択の自由度を向上することができる。具体的には、ダイクロイックミラー52により緑色光と赤色光を取り出し、青色光を光源51から直接取得して、これらの光をダイクロイックミラー53により合成して白色光として射出することができる。この場合において、例えば青色LEDは発光強度が高いため、蛍光体22から青色光を取り出すよりも効率がよい。その結果、最終的に得られる白色光を高強度にすることができる。
【0080】
[第4の変形例]
なお、本実施形態に係る照明装置10において、図16に示すように、蛍光F2,F3の光路上に前述の第4の実施形態におけるフィルタ(波長変換手段)23,24を備えることとしてもよい。
【0081】
蛍光F2の光路上に配置されたフィルタ24は、図17に示すように、蛍光F2のうち赤色光(Rバンド)を透過させるようになっている。
蛍光F3の光路上に配置されたフィルタ23は、図18に示すように、蛍光F3のうち緑色光(Gバンド)を透過させるようになっている。
【0082】
蛍光F2および蛍光F3の光路上にはダイクロイックミラー(合成手段)52が配置されている。
ダイクロイックミラー52は、図19に示すように、赤色光(Rバンド)を透過させる一方、緑色光(Gバンド)を反射する特性を有している。このような特性を有することで、ダイクロイックミラー52は、フィルタ24を透過してきた蛍光F2(Rバンド)とフィルタ23を透過してきた蛍光F3(Gバンド)を合成するようになっている。
【0083】
ダイクロイックミラー52からの合成光F4の光路上には、ダイクロイックミラー(合成手段)53が配置されている。
光源51は、蛍光F1を射出する例えばLED等の光源であり、ダイクロイックミラー53に光軸を向けて配置されている。
【0084】
ダイクロイックミラー53は、合成光F4を透過させる一方、光源51からの蛍光F1を合成光F4の透過方向に反射する特性を有している。このような特性を有することで、ダイクロイックミラー53は、合成光F4(蛍光F2,F3)と蛍光F1とを合成するようになっている。
【0085】
具体的には、蛍光体22から、蛍光F2として赤色光を取り出し、蛍光F3として緑色光を取り出す。また、蛍光F1として青色光を光源51から取得する。これらの蛍光F1,F2,F3をダイクロイックミラー52,53で合成し、白色光を生成する。
【0086】
ここで、青色LED(光源51)は発光強度が高いため、蛍光体22から青色光を取り出すよりも効率がよい。その結果、最終的に得られる白色光を高強度にすることができる。
また、本実施形態において、励起光は緑色光よりも短波長である必要があるため、例えば光源21としては青色光源が考えられる。紫外線よりも青色光のほうが、蛍光体劣化が小さいので、装置の長寿命化を図ることが可能である。
【0087】
以上のように、本変形例に係る照明装置10’によれば、最終的に射出する合成光の強度を向上させつつ、色選択の自由度を向上することができる。具体的には、例えばフィルタ23,24により緑色光と赤色光を取り出し、青色光を光源51から直接取得して、ダイクロイックミラー52,53により合成して白色光として射出することができる。この場合において、例えば青色LEDは発光強度が高いため、蛍光体22から青色光を取り出すよりも効率がよい。その結果、最終的に得られる白色光を高強度にすることができる。
【0088】
また、フィルタ23,24により蛍光F2,F3のうち所定帯域の波長の光を取り出すことで、合成に用いる蛍光F2,F3を狭帯域化することができ、所望の色の合成光を得ることができる。具体的には、前述の第10の実施形態に係る照明装置10(フィルタ23,24がない構成)によれば、合成光は、図20に示すような一部の波長帯域が重複したスペクトル分布になる。これに対して、本変形例に係る照明装置10’(フィルタ23,24を備えた構成)によれば、合成光を、図21に示すような狭帯域化されたスペクトル分布にすることができ、例えば狭帯域バンドの光を得やすい等、合成光から得られるスペクトルの自由度を向上することができる。
【0089】
〔第11の実施形態〕
次に、本発明の第11の実施形態に係る照明装置11について、図22を参照して説明する。
本実施形態に係る照明装置11は、図22に示すように、前述の第10の実施形態に係る照明装置10の構成(図15参照)において、赤色光(蛍光F5)についても蛍光体22から取り出すのではなく、別途設けた光源55から直接得ることとしている。
【0090】
光源55は、蛍光F5を射出する例えばLED等の光源であり、ダイクロイックミラー(スペクトル変換手段、合成手段)56に光軸を向けて配置されている。
ダイクロイックミラー56は、蛍光F5を透過させる一方、蛍光体22からの蛍光F2の一部を蛍光F5の透過方向に反射する特性を有している。このような特性を有することで、ダイクロイックミラー56は、蛍光F2の一部と蛍光F5とを合成するようになっている。
【0091】
なお、本実施形態においては、蛍光F2の光路上に配置されたダイクロイックミラー56は、蛍光F2のうち黄色光(Yバンド)を反射するようになっている。
そして、前述の第10の実施形態と同様に、ダイクロイックミラー52は、ダイクロイックミラー56により反射された蛍光F2と、光源55からの蛍光F5と、蛍光体22からの蛍光F3の一部とを合成するようになっている。また、ダイクロイックミラー53は、合成光F4(蛍光F2,F3,F5)と蛍光F1とを合成するようになっている。
【0092】
具体的には、ダイクロイックミラー56は蛍光F2から黄色光を取り出し、ダイクロイックミラー52は蛍光F3から緑色光を取り出す。また、蛍光F5として赤色光を光源55から取得するとともに、蛍光F1として青色光を光源51から取得する。これらの蛍光F1,F2,F3,F5をダイクロイックミラー53で合成して白色光を生成する。
【0093】
ここで、緑色LEDと黄色LEDに比べて、青色LED(光源51)と赤色LED(光源55)の発光強度は大きい。したがって、本実施形態に係る照明装置11のように、LED発光強度が弱い緑色光、黄色光をダイクロイックミラー56により蛍光体22から取り出すことで、より高強度な白色光を得ることができる。
【0094】
[第5の変形例]
なお、本実施形態に係る照明装置11において、図23に示すように、蛍光F2,F3の光路上に前述の第4の実施形態におけるフィルタ(波長変換手段)23,24を備えることとしてもよい。
【0095】
光源55は、蛍光F5を射出する例えばLED等の光源であり、ダイクロイックミラー(合成手段)56に光軸を向けて配置されている。
ダイクロイックミラー56は、蛍光F5を透過させる一方、フィルタ24を透過してきた蛍光F2を蛍光F5の透過方向に反射する特性を有している。このような特性を有することで、ダイクロイックミラー56は、蛍光F2と蛍光F5とを合成するようになっている。
【0096】
なお、本実施形態においては、蛍光F2の光路上に配置されたフィルタ24は、蛍光F2のうち黄色光(Yバンド)を透過させるようになっている。
そして、前述の第10の実施形態と同様に、ダイクロイックミラー52は、蛍光体22からの蛍光F2と、光源55からの蛍光F5と、蛍光体22からの蛍光F3とを合成するようになっている。また、ダイクロイックミラー53は、合成光F4(蛍光F2,F3,F5)と蛍光F1とを合成するようになっている。
【0097】
具体的には、蛍光体22から、フィルタ24により蛍光F2として黄色光を取り出し、フィルタ23により蛍光F3として緑色光を取り出す。また、蛍光F5として赤色光を光源55から取得するとともに、蛍光F1として青色光を光源51から取得する。これらの蛍光F1,F2,F3,F5をダイクロイックミラー52,53で合成して白色光を生成する。
【0098】
ここで、緑色LEDと黄色LEDに比べて、青色LED(光源51)と赤色LED(光源55)の発光強度は大きい。したがって、本変形例に係る照明装置11’のように、LED発光強度が弱い緑色光、黄色光を蛍光体22から取り出すことで、より高強度な白色光を得ることができる。
【0099】
また、フィルタ23,24により蛍光F2,F3のうち所定帯域の波長の光を取り出すことで、合成に用いる蛍光F2,F3を狭帯域化することができ、所望の色の合成光を得ることができる。これにより、例えば狭帯域バンドの光を得やすい等、合成光から得られるスペクトルの自由度を向上することができる。
【0100】
〔第12の実施形態〕
次に、本発明の第12の実施形態に係る照明装置12について、図24を参照して説明する。
本実施形態に係る照明装置12は、図24に示すように、前述の第2の実施形態に係る照明装置2の構成(図3参照)において、射出部材25,26とフィルタ23,24との間に、蛍光Fx,Fyを平行化するレンズ61,62がそれぞれ備えられている。
【0101】
上記構成を有する本実施形態に係る照明装置12によれば、蛍光体22内において生成された蛍光Fx,Fyを、射出部材25,26だけでなく、レンズ61,62により平行化することができる。これにより、蛍光Fx,Fyの取り出し効率を向上することができる。また、蛍光Fx,Fyのフィルタ23,24への入射角を小さくすることができ、フィルタ23,24の斜入射特性の影響を小さくして、最終的に取り出される蛍光の強度を向上することができる。
【0102】
〔第13の実施形態〕
次に、本発明の第13の実施形態に係る照明装置13について、図25を参照して説明する。
本実施形態に係る照明装置13は、図25に示すように、前述の第2の実施形態に係る照明装置2の構成(図3参照)において、射出部材25,26の射出面にフィルタ23,24を蒸着している。
【0103】
上記構成を有する本実施形態に係る照明装置13によれば、射出部材25,26の射出面にフィルタ23,24が蒸着されているため、フィルタ23,24およびそのホルダー(図示略)を別途設ける必要がなく、部品点数を減らして装置の小型化を図ることができる。
【0104】
〔第14の実施形態〕
次に、本発明の第14の実施形態に係る照明装置14について、図26を参照して説明する。
本実施形態に係る照明装置14は、図26に示すように、前述の第3の実施形態に係る照明装置3の構成(図4参照)において、蛍光体22の周囲に複数の放熱機構27が備えられている。
【0105】
上記構成を有する本実施形態に係る照明装置14によれば、蛍光体22の周囲に複数の放熱機構27を備えることで、放熱効果を向上することができ、蛍光体22を効率的に冷却することができる。
【0106】
なお、図18において、作図の都合上、蛍光体22のXY方向の2面に放熱機構27をそれぞれ設けているが、蛍光体22のZ方向の面にも放熱部材27を配置しても良い。これにより、さらに放熱効果を向上することができ、蛍光体22を効率的に冷却することができる。
【0107】
[第6の変形例]
また、本実施形態に係る照明装置14において、図27に示すように、蛍光体22と放熱部材27との間に、蛍光体22に入射させた励起光Eおよび蛍光体22内において発生した蛍光を反射する反射部材64を備えることとしてもよい。
【0108】
ここで、仮に、蛍光体22と放熱部材27との間に反射部材ではなく吸収体を設けた場合、蛍光体22内において発生した蛍光のうちマイナスX方向に射出された蛍光は取り出すことができない。蛍光は球面波状に発生するため、大きなロスとなる。したがって、取り出し面とは逆方向に射出された蛍光を、反射部材64によって取り出し面へ導光させることで、射出効率を倍近く高めることが可能となる。
【0109】
なお、この反射部材64は伝熱性の高い部材とすることが好ましい。このようにすることで、放熱部材27への伝熱効率を向上させ、効率的に蛍光体22の放熱を行うことができる。
【0110】
[第7の変形例]
また、本実施形態に係る照明装置14において、図28に示すように、蛍光体22と放熱部材27との間に、上記の反射部材64と、低屈折率媒体65とを備えることとしてもよい。
【0111】
このような構成を有することで、低屈折率媒体65がある場合、X軸に対して角度のついた蛍光は低屈折率媒体65と蛍光体22の界面で全反射される。また全反射されなかった蛍光は、反射部材64で反射される。反射部材64では1割程度ロスがあるため、低屈折率媒体65を挿入して発生した蛍光の一部を全反射させることで、蛍光の取り出し効率を向上することができる。
【0112】
〔第15の実施形態〕
次に、本発明の第15の実施形態に係る照明装置15について、図29を参照して説明する。
本実施形態に係る照明装置15は、図29に示すように、前述の第4の実施形態に係る照明装置4の構成(図5参照)において、光量調整機構29が、透過領域(透過板)69aと光遮断領域(遮断板)69bとを有する回転フィルタ69として構成されている。
【0113】
回転フィルタ69は、透過領域(透過板)69aと光遮断領域(遮断板)69bとを有する円板状のフィルタと、該フィルタを法線回りに回転させるモータ69cとで構成されている。
【0114】
本実施形態に係る照明装置15において、蛍光体22から射出されてフィルタ23を透過した蛍光Fx’が回転フィルタ69を通過する際、蛍光Fx’が、透過領域(透過板)69aと光遮断領域(遮断板)69bとを通過する割合によって、最終的に得られる蛍光Fx'’の強度は変化する。例えば、蛍光Fx’が、光遮断領域(遮断板)69bのみを通過する場合、得られる蛍光Fx’’の強度はゼロであり、透過領域(透過板)69aと光遮断領域(遮断板)69bとが1対1の割合であれば、得られる蛍光Fx’’の強度は半分になる。
【0115】
ここで、透過領域(透過板)69aと光遮断領域(遮断板)69bとを通過する割合は、モータ69cによってフィルタを回転させることで、自由に変更可能である。また、本実施形態において、蛍光Fyの調光は、光源21の励起光Eの強度を変更することで対応する。なお、蛍光Fyについても、回転フィルタ69と同様の構成によって調光することとしもよい。
【0116】
上記構成を有する本実施形態に係る照明装置15によれば、回転フィルタ69により、フィルタ23から射出される蛍光Fx’の光量を調整することによって、最終的に取り出される蛍光Fx’’の光量を任意に変化させることができる。この場合において、第9の実施形態におけるダイクロイックミラー(合成手段)を設けることで、合成光の色および強度を調整することができ、用途に応じた色および強度の合成光を得ることができる。
【0117】
[第8の変形例]
また、本実施形態に係る照明装置15において、図30に示すように、回転フィルタ69に代えて、蛍光Fx’を遮断する遮断板70aと、該遮断板70aを蛍光Fx’の光路上に挿脱する往復機構70bとを備える光量調整装置70を設けることとしてもよい。なお、往復機構70bの具体的構成としては、ボイスコイルモータやクランク機構等が挙げられる。
【0118】
〔第16の実施形態〕
次に、本発明の第16の実施形態に係る照明装置16について、図31を参照して説明する。
本実施形態に係る照明装置16は、図31に示すように、前述の第12の実施形態に係る照明装置12の構成(図24参照)において、蛍光体22の励起光Eの入射面と蛍光Fyの出射面とが同一面とされている。
【0119】
本実施形態に係る照明装置16において、光源21は蛍光体22のY方向に配置されている。蛍光体22(レンズ62)と光源21との間には、ダイクロイックミラー72が配置されている。
【0120】
ダイクロイックミラー72は、光源21からの励起光Eを透過させる一方、蛍光体22内において発生した蛍光Fyを反射する特性を有している。具体的には、ダイクロイックミラー72は、例えばBバンドの光を透過する一方、GバンドおよびRバンドの光を反射する特性を有している。これにより、光源21からの励起光Eのうち青色光のみを透過させて蛍光体22に入射させ、蛍光体22において発生した蛍光Fyのうち緑色光および赤色光を取り出すことができる。
【0121】
上記構成を有する本実施形態に係る照明装置16によれば、蛍光体22の励起光Eの入射面と蛍光の出射面とを同一面とすることで、光源21を配置する際の自由度を向上することができ、装置をコンパクトな構成にすることができる。
【0122】
〔第17の実施形態〕
次に、本発明の第17の実施形態に係る照明装置17について、図32および図33を参照して説明する。
本実施形態に係る照明装置17は、図32および図33に示すように、前述の第4の実施形態に係る照明装置4の構成(図5参照)において、蛍光体22が三角柱形状に構成されている。
【0123】
上記構成を有する本実施形態に係る照明装置17において、図32に示すように、光源21からの励起光EはZ軸方向から蛍光体22に入射し、蛍光体22からX方向に射出された蛍光Fxは、射出部材25によってフィルタ23に導光される。フィルタ23を通過した蛍光Fx’は、光量調整機構29を通過する。
【0124】
一方、フィルタ23で反射された蛍光Fx’’’は、蛍光体22の三角柱斜面において反射された後、フィルタ24に導光される。蛍光Fx’’’のうち、一部もしくは全てがフィルタ24を透過し、光量調整機構30を通過する。このように蛍光体22の形状を三角柱形状にすることで、本来ならロスするはずであった蛍光Fx’’’を有効利用でき、最終的に得られる蛍光Fx’’の強度を向上することができる。
【0125】
蛍光体22からY方向に射出された蛍光Fyについても、図33に示すように、蛍光Fxと同様のことが言え、フィルタ24で反射された蛍光Fy’’’を有効利用でき、最終的に得られる蛍光Fy’’の強度を向上することができる。
【0126】
以上、本発明の各実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、本発明を上記の各実施形態および各変形例を適宜組み合わせた実施形態に適用してもよい。
【符号の説明】
【0127】
1,2,3,4,8,8’,9,9’,10,10’,11,11’,12,13,14,15,16,17 照明装置
5 撮像システム
21 光源
22 蛍光体(波長変換部材)
23,24 フィルタ(スペクトル変換手段)
25,26 射出部材
27 放熱機構
29,30 光量調整機構
31 光源ユニット
32 撮像ユニット(撮像部)
33 画像モニター
34 画像処理部
35 照明制御部
36 光源駆動部
49 ダイクロイックミラー(合成手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
励起光を射出する少なくとも1つの光源と、
前記光源からの励起光により励起されることで、表面の複数の領域から前記励起光とは異なるスペクトルの蛍光を射出する波長変換部材と、
前記複数の領域から射出された蛍光を互いに異なるスペクトルの光に変換するスペクトル変換手段とを備える照明装置。
【請求項2】
前記スペクトル変換手段により変換された互いに異なるスペクトルの光を合成する合成手段を備える請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記スペクトル変換手段が、互いに異なるスペクトルの光を合成する合成手段である請求項1に記載の照明装置。
【請求項4】
前記合成手段が、前記スペクトル変換手段により変換された互いに異なるスペクトルの光と前記光源からの励起光とを合成する請求項2または3に記載の照明装置。
【請求項5】
前記波長変換部材と前記スペクトル変換手段との間に配置され、前記波長変換部材からの蛍光を平行光にして射出する射出部材を備える請求項1から請求項4のいずれかに記載の照明装置。
【請求項6】
前記波長変換部材内で発生した熱を放出する放熱機構を備える請求項1から請求項5のいずれかに記載の照明装置。
【請求項7】
前記複数の領域から射出された蛍光の光量を調整する光量調整機構を備える請求項1から請求項6のいずれかに記載の照明装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の照明装置と、
体腔内に挿入され、前記照明装置からの照明光を導光する挿入部と、
該挿入部によって照明された観察対象を撮像する撮像部とを備える内視鏡システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2013−111372(P2013−111372A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262255(P2011−262255)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】