説明

照明装置及び照明装置用送風ユニット

【課題】吸気口と排気口とより離して配置して吸排気を分け、常に冷たい空気を吸気して冷却に使用することができ、ファンの放熱効果を高めることができる照明装置及び照明装置用送風ユニットを提供すること。
【解決手段】ヒートシンク130は、ヒートシンク130の中心からずらした位置(偏心位置)に送風装置140を配置し、送風装置140へ空気を吸気する吸気口131と、ヒートシンク130に当たった風を排出する排気口132とを同一平面上に備え、吸気口131と排気口132の開口面積を排気口のほうを広く設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風装置を備える照明装置及び照明装置用送風ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、白熱電球に代わる照明装置としてLED(Light Emitting Diode)電球が種々開発されている。これらのLED電球には、複数のLEDが使用されるため、発熱量が多い。そのため、LEDによる発熱を効率よく放熱することが強く求められている。
【0003】
特許文献1には、LED電球の内部に冷却ファンを取り付けて強制的に放熱することにより、放熱効率を向上するLED電球が記載されている。
【0004】
しかし、上記特許文献1記載のLED電球では、内部に空冷ファンを実装する際、点灯回路、ファン用のモータ及びこのモータの駆動回路のそれぞれを収納するための空間が必要となるため、小型化に適さない。
【0005】
特許文献2には、発光体としてLEDを用い冷却効率を確保しつつ小型化に対応することができる電球形ランプが記載されている。特許文献2記載の電球形ランプは、一主面に発光素子を備えた基板と、一端側が基板の他主面に密着され、内部に収納部を備えた放熱体と、この放熱体の収納部に収納された空冷手段と、基板を覆って放熱体の一端側に取り付けられたグローブと、放熱体の他端側に設けられた口金と、放熱体と口金との間に収納され、発光素子を点灯させる点灯回路と、基板に設けられ、空冷手段を駆動させる駆動回路とを備える。
【0006】
図19は、特許文献2記載の電球形ランプの外観図である。
【0007】
図19に示すように、電球形ランプ10は、略球状に形成された光拡散性を有するガラスからなるグローブ11と、本体ケース12と、口金13とを備える。
【0008】
本体ケース12は、全周に形成された吸気口14と、吸気口14より上方で全周に形成された排気口15と、を有する。本体ケース12内部には、LED基板部を放熱する放熱体、放熱体をファンにより冷却する空冷手段(いずれも図示略す)が収納されている。
【0009】
吸気口14は、空冷手段(図示略す)によって本体ケース12内へと外気を取り込む。吸気口14は、本体ケース12の軸方向に沿う長孔状で、かつ、本体ケース12の周方向に略等間隔に離間されて形成されている。
【0010】
排気口15は、本体ケース12内へと取り込まれた空気を外部に排気する。排気口15は、本体ケース12の周方向に略等間隔に離間されて形成されている。
【0011】
図19に示すように、電球形ランプ10は、吸気口14と排気口15とが、本体ケース12の周りに、上下に並んで環状に設けられている。
【0012】
以上の構成により、電球形ランプ10は、本体ケース12下方の吸気口14から略水平方向に外気を取り込み、本体ケース12内部で上方に風向きを変えた後、本体ケース12上方の排気口15から略水平方向に排気する。このため、電球形ランプ10は、高さ方向で吸排気の位置は異なるものの、吸気口14と排気口15とは近接している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2007−265892号公報
【特許文献2】特開2010−108774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、特許文献2記載の電球形ランプは、吸気口14と排気口15とが近接して上下の位置に配置されているために排気口15から排気された温かい空気が吸気口14から吸気されてしまうという欠点がある。このため、ファンの放熱効果が低下してしまう課題がある。
【0015】
また、吸気口14と排気口15とが近接して上下の位置に配置されているために吸気口14と排気口15の開口面積を変えたい場合、例えば排気口15の開口面積を大きくしたい場合には開口を上下方向に広げることとなり、照明装置が大きくなってしまうという課題がある。
【0016】
本発明の目的は、吸気口と排気口とより離して配置して吸排気を分け、また排気口の面積を吸気口の面積より大きくすることで、常に冷たい空気を吸気して冷却に使用し、スムーズに冷却に使用した空気を排気して、ファンの放熱効果を高めることができ、装置のコンパクトさを維持できる照明装置及び照明装置用送風ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の照明装置は、略円形状の開口部を有するケースと、実装基板上に設置されたLEDと、実装基板裏面に取り付けられLED及び実装基板の熱を放熱するヒートシンクと、開口部の外周側に形成された吸気口と、開口部の中心を点対称として、吸気口と反対側の開口部の外周側に形成され、ヒートシンクに当たった空気を排気する排気口と、ケース内部に収容され、ヒートシンクに対向する排気面と反対側の面に設けられた吸気面とを有し、吸気口を介して吸気した空気を、排気面からヒートシンクに向かって送風する送風装置と、吸気口と吸気面を含む第1の空間と排気面とヒートシンクと排気口を含む第2の空間とを仕切る仕切板とを備え、排気口の開口面積が、吸気口の開口面積よりも大きくした構成を採る。
【0018】
本発明の照明装置用送風ユニットは、LED及熱を放熱する略円形状のヒートシンクと、ヒートシンクの外周側に形成された吸気口と、ヒートシンク上に設けられ、ヒートシンクに対向する排気面と反対側の面に設けられた吸気面とを有し、吸気口を介して吸気した空気を、排気面からヒートシンクに向かって送風する送風装置と、ヒートシンクの中心を点対称として、吸気口と反対側のヒートシンクの外周側に形成され、ヒートシンクに当たった空気を排気する排気口と、吸気口と吸気面を含む第1の空間と排気面とヒートシンクと排気口とを含む第2の空間とを仕切る仕切板とを備え、排気口の開口面積が、吸気口の開口面積よりも大きくした構成を採る。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、左右方向において吸排気を分けることにより、常に冷たい空気を吸気して冷却に使用することができ、ファンの放熱効果を高めることができる。また、ファン内部に滞留する暖かい空気を効果的に排気することができ、装置のコンパクトさを損ねないでファンの放熱効果をさらに高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態1に係る照明装置の外観図
【図2】本発明の実施の形態1に係る照明装置の斜視図
【図3】本発明の実施の形態1に係る照明装置の分解斜視図
【図4】本発明の実施の形態1に係る照明装置の分解斜視図
【図5】本発明の実施の形態1に係る照明装置のヒートシンクの詳細な構成を示す上面図
【図6】本発明の実施の形態1に係る照明装置のヒートシンクの詳細な構成を示す斜視図
【図7】本発明の実施の形態1に係る照明装置のヒートシンクの詳細な構成を示す斜視図
【図8】本発明の実施の形態1に係る照明装置のヒートシンクの詳細な構成を示す底面図
【図9】本発明の実施の形態1に係る照明装置のヒートシンクの詳細な構成を示す底面図
【図10】本発明の実施の形態1に係る照明装置の送風装置が載置されたヒートシンクの断面図
【図11】本発明の実施の形態1に係る照明装置の風の流れを説明する断面図
【図12】本発明の実施の形態1に係る照明装置の風の流れを説明する斜視図
【図13】本発明の実施の形態1に係る照明装置の送風装置の他の仕切タイプの構成を示す上面図
【図14】本発明の実施の形態1に係る照明装置の送風装置の他の仕切タイプの構成を示す斜視図
【図15】本発明の実施の形態2に係る照明装置の断面図
【図16】本発明の実施の形態2に係る照明装置の詳細な構成を示す断面図
【図17】本発明の実施の形態2に係る照明装置の詳細な構成を示す斜視図
【図18】本発明の実施の形態2に係る照明装置の風の流れを説明する断面図
【図19】従来の電球形ランプの外観図
【発明を実施するための形態】
【0021】
請求項1に記載の発明は、略円形状の開口部を有するケースと、実装基板上に設置されたLEDと、実装基板裏面に取り付けられLED及び実装基板の熱を放熱するヒートシンクと、開口部の外周側に形成された吸気口と、開口部の中心を点対称として、吸気口と反対側の開口部の外周側に形成され、ヒートシンクに当たった空気を排気する排気口と、ケース内部に収容され、ヒートシンクに対向する排気面と反対側の面に設けられた吸気面とを有し、吸気口を介して吸気した空気を、排気面からヒートシンクに向かって送風する送風装置と、吸気口と吸気面を含む第1の空間と排気面とヒートシンクと排気口を含む第2の空間とを仕切る仕切板とを備え、排気口の開口面積が、吸気口の開口面積よりも大きいことを特徴とする照明装置であって、左右方向において吸排気を分けることにより、常に冷たい空気を吸気して冷却に使用することができるとともに、排気口の開口面積が多いので送風装置の空気抵抗が小さくでき、冷却空気がスムーズに流れ送風装置の放熱効果を高めることができる。
【0022】
請求項2に記載の発明は、第1の空間内を分割して、ヒートシンクに当たった空気を排気する第3の空間を設けることを特徴とする請求項1に記載の照明装置であって、吸気口側の一部に排気口を設けることで、第2の空間の第1の空間側に滞留している暖かくなった冷却空気をスムーズに排気でき、送風装置の放熱効果を高めることができる。
【0023】
請求項3に記載の発明は、排気口の開口面積が、吸気口の開口面積と排気口の開口面積とを合わせた面積の50〜70%であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の照明装置であって、排気口の開口面積が多いので送風装置の空気抵抗が小さくでき、冷却空気がスムーズに流れ送風装置の放熱効果を高めることができる。また、排気口の開口面積の上限を限定することですなわち吸気口の開口面積を最低限確保し、外気から吸気される冷却空気の量を確保することができ、送風装置の放熱効果が低減することを防止することができる。
【0024】
請求項4に記載の発明は、LED及熱を放熱する略円形状のヒートシンクと、ヒートシンクの外周側に形成された吸気口と、ヒートシンク上に設けられ、ヒートシンクに対向する排気面と反対側の面に設けられた吸気面とを有し、吸気口を介して吸気した空気を、排気面からヒートシンクに向かって送風する送風装置と、ヒートシンクの中心を点対称として、吸気口と反対側のヒートシンクの外周側に形成され、ヒートシンクに当たった空気を排気する排気口と、吸気口と吸気面を含む第1の空間と排気面とヒートシンクと排気口とを含む第2の空間とを仕切る仕切板とを備え、排気口の開口面積が、吸気口の開口面積よりも大きいことを特徴とする照明装置用送風ユニットであって、左右方向において吸排気を分けることにより、常に冷たい空気を吸気して冷却に使用することができるとともに、排気口の開口面積が多いので送風装置の空気抵抗が小さくでき、冷却空気がスムーズに流れ送風装置の放熱効果を高めることができる。
【実施例】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に述べる実施例は、本発明の好適な具体例であり、技術的に良好な条件の限定が記載されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する記載がない限り、これらの条件に限られるものではない。
【0026】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1に係る照明装置の外観図、図2は本発明の実施の形態1に係る照明装置の斜視図、図3は本発明の実施の形態1に係る照明装置の分解斜視図で上方から見たもの、図4は本発明の実施の形態1に係る照明装置の分解斜視図で下方から見たものである。
【0027】
本実施の形態は、吸排気の方向が下面側にある下面吸排気のLEDランプに適用した例である。
【0028】
図1乃至図4に示すように、LEDランプ100は、ベース110a及び開口部110bを有するケース110と、LED121を実装したLED基板120と、LED121の発熱を冷却するヒートシンク130と、ヒートシンク130に向かって送風する送風装置140とを備える。
【0029】
また、LEDランプ100は、LED基板120及び送風装置140に電源を供給する電源基板150と、電源基板150の電源をLED基板120のコネクタプラグ122に接続するコネクタ123と、ヒートシンク130の下方に取り付けられ、LED121からの光を拡散するレンズ161を有する照射部160とを備える。
【0030】
上記LED基板120、ヒートシンク130、送風装置140、電源基板150、及び照射部160は、照射部160に形成されたねじ穴160aを介して、ケース110内壁のねじ止め110cにねじ(図示略す)により共締めされる。
【0031】
ケース110は、放熱性が良好な部材、例えばアルミ合金等からなる。ケース110は、一端側である直方体のベース110aから、他端側である開口部110bへと、徐々に拡径する椀状に形成されている。
【0032】
LED基板120は、LED121を実装し、ヒートシンク130に接して設けられる。LED基板120は、例えば放熱性が良好なアルミニウムなどの金属材料と絶縁材料などにより形成されたメタルベース基板である。LED基板120は、ヒートシンク130に接触して放熱されている。
【0033】
ヒートシンク130は、ケース110の開口部110bに外周部130aが同径で取り付けられ、LED基板120に接触してLED121を冷却する。ヒートシンク130は、LED基板120に接触してLED121の発熱を冷却する基本機能に加え、ヒートシンク130の中心からずらした位置(偏心位置)に送風装置140を配置し、送風装置140へ空気を吸気する吸気口131と送風装置140と排気口132とは、ヒートシンク130に沿った略同一平面で配置される。ヒートシンク130の詳細については、図5乃至図8により後述する。
【0034】
送風装置140は、ヒートシンク130を経由する空気の流れを起こすことで、ヒートシンク130を冷却する。送風装置140は、ケース110内で、かつヒートシンク130上に載置され、ヒートシンク130に向かって送風する。より詳細には、送風装置140は、ヒートシンク130に対向する排気面と反対側の面に設けられた吸気面とを有し、吸気口131を介して吸気した空気を、排気面からヒートシンク130に向かって送風する。送風装置140の詳細については後述する。
【0035】
電源基板150は、LED基板120及び送風装置140にコネクタ123を介して直流電源を供給する。
【0036】
照射部160は、ヒートシンク130の下方に、ヒートシンク130の外周部130aと略同径で取り付けられる。照射部160は、光拡散性を有するガラスあるいは合成樹脂などにより扁平な球面状のレンズ161を有する。レンズ161は、LED121の発光面を覆ってLED121からの光を拡散する。
【0037】
図5乃至図9は、ヒートシンク130の詳細な構成を示す図である。図5は本発明の実施の形態1に係る照明装置のヒートシンクの詳細な構成を示す上面図、図6は本発明の実施の形態1に係る照明装置のヒートシンクの詳細な構成を示す斜視図、図7は本発明の実施の形態1に係る照明装置のヒートシンクの詳細な構成を示す斜視図で図6から板金カバーを取り外したもの、図8は本発明の実施の形態1に係る照明装置のヒートシンクの詳細な構成を示す底面図で吸気口と排気口の位置を示したもの、図9は本発明の実施の形態1に係る照明装置のヒートシンクの詳細な構成を示す底面図である。
【0038】
なお、図5乃至図8において送風装置140のファンブレード143の形状は遠心タイプで図示されているが、軸流ファン(プロペラファン)であってもよく、どちらのタイプでも良い。
【0039】
図5乃至図7に示すように、ヒートシンク130は、ケース110の開口部110b(図4参照)と同径の外周部130aと、外周部130aから外方に突出するフランジ部130bと、円形のLED基板120を収容する円筒部130c(図4参照)とを有する。
【0040】
ヒートシンク130は、このヒートシンク130の中心からずらした位置(偏心位置、図5では左側)に送風装置140を配置し、送風装置140へ空気を吸気する吸気口131と、ヒートシンク130に当たった風を排出する排気口132とを同一平面上に備える。吸気口131及び排気口132はヒートシンク130下面に形成され、吸気と排気は下方より行なわれる。
【0041】
ヒートシンク130及び送風装置140は、上面から見て共に円形形状であり、ヒートシンク130の方が、送風装置140に比べ径が大きい。ヒートシンク130の円形内に送風装置140が載置されるので、送風装置140の外側のヒートシンク130内には空間が形成されることになる。この空間の一部に吸気口131を形成し、他方に排気口132を形成する。
【0042】
さらに、ヒートシンク130の吸気口131のある部分を分割し、その分割した吸気口131の間に排気口132を設けている。こうすることにより、ヒートシンク130上に吹き付けられた空気で排気口132から離れており排気しにくい吸気口131側に澱む暖かくなった空気をすばやく排出することができ、ヒートシンク130の冷却効果を高めることができる(詳細は後述する)。
【0043】
われわれが試験検討した結果ヒートシンク130の温度上昇を使用範囲内に収めるには有効に作動する吸気口131と排気口132の総開口面積に対する排気口132の開口面積の割合は50〜70%であった。好ましくは55〜65%であった。すなわち、ヒートシンク130下面に形成された吸気口131の開口面積と排気口132の開口面積の比率はおよそ40:60になっている。
【0044】
ここで、開口面積とはヒートシンク130に貫通されて設けられた吸気口131あるいは排気口132の貫通口の面積のことをいう。
【0045】
また、吸気口131あるいは排気口132の一部には板金カバー147の取り付けなどのために、吸気あるいは排気の機能として主に機能しない吸気口131あるいは排気口132が存在することがある。この場合には、これらの口の開口面積は上述した開口面積の比率を計算する面積には含めないことにする。
【0046】
また、吸気口131と排気口132はヒートシンク130上に載置された送風装置140の両側、すなわちヒートシンク130の両半円側に形成されるので、両者は同一平面上に並ぶことになる。
【0047】
さらに、本実施の形態では、送風装置140は、ヒートシンク130の中心からずらした位置(偏心位置)に配置し、空間の広い側(図5において右側)を吸気口131とし、空間の狭い側(図5において左側)を排気口132とする。こうすることで、空間の広い側(図5において右側)を送風装置140からの配線のコネクタ123(図4参照)を通すために開口された穴136を設けることができる。
【0048】
また、吸気口131側のヒートシンク130には、大きい(ここでは背の高い)放熱フィン133を形成し、排気口132側のヒートシンク130には、小さい(ここでは背の低い)放熱フィン134を形成する。
【0049】
図6、図7に示すように、ヒートシンク130は吸気口131と送風装置140間に、吸気した空気の流れを変えて、送風装置140に流入させる仕切板135を有する。仕切板135は、送風装置140の吸気口131側を、送風装置140の形状に沿って略半円状に覆う衝立である。仕切板135は、吸気口131と送風装置140の吸気面を含む第1空間と、排気口132と送風装置140の排気面とヒートシンク130を含む第2空間とを仕切る。送風装置140により吸気された空気は、仕切板135に当たって流れ方向が変えられ、送風装置140上部の板金カバー147内側の吸気口に流入する。
【0050】
仕切板135の上部には、送風装置140上部外周を覆って送風効率を高める板金カバー147が取り付けられている。板金カバー147は、送風装置140への吸気口であると共に、空気の流れを整える。
【0051】
次に、ヒートシンク130に設けられた吸気口131と排気口132について図8を用いて詳細に説明する。
【0052】
図8において、クロスハッチングされている部分は、本実施の形態ではヒートシンク130と板金カバー147を接続するためにほとんど吸排気しない領域であり、ハッチングされている部分は吸気を受け持つ領域(第1の空間)であり、他のハッチングされていない部分は排気を受け持つ領域(第2の空間、第3の空間)である。なお、吸排気を行なう開口部は吸排気を受け持つ領域のなかの一部に形成されている。
【0053】
また、クロスハッチングされている部分のように、吸排気に積極的に関与していない開口部は前述した開口面積の比率の計算には入れない。
【0054】
以後説明を判りやすくするために本実施の形態では、吸排気口はヒートシンク130の外周上均等に分割され、軸方向の開口部の長さも同じにしている。すなわち、吸排気口のひとつずつの開口面積は等しくしているので、吸排気口の開口数をもってそれぞれの開口面積に代用する。ただし、上述した場合だけでなく、ヒートシンク130が均等に分割されていなくとも、また軸方向の開口部の長さが異なっていても、最終的には吸排気口の開口面積の総和をもって比率を計算すればよい。
【0055】
図8の下図では、吸気口131と排気口132は前述したようにヒートシンク130外周上で左右に分かれてそれぞれ複数個の開口として配置されている。ヒートシンク130外周上で吸気口の数は10個で排気口の数は10個で、ヒートシンク130外周上で排気口の占める比率は50%となる。この時のヒートシンク130に取り付けられたLED121(図4参照)近傍の温度上昇は38.9℃であった。
【0056】
すなわち、吸気口131と排気口132をヒートシンク130外周上で左右に分かれて、吸気口131と排気口132との開口面積の比率が50%の場合でも、左右方向において吸排気を分けることにより、排気された暖かい空気を再吸気することなく常に冷たい空気を吸気して冷却に使用することができ、ヒートシンク130に取り付けられたLED121近傍の温度上昇を防ぐことができた。
【0057】
そして、ヒートシンク130に取り付けられたLED121近傍の温度上昇をさらに下げるためにわれわれが鋭意試験検討した結果ヒートシンク130外周上での吸気口131と排気口132の開口面積の占める適切な比率を見出した。
【0058】
図8の中図では、吸気口131側に排気口132(第3の空間に相当)を1個設けた場合でありヒートシンク130外周上で吸気口131は9個で排気口132は11個で、ヒートシンク130外周上で排気口132の占める比率はおよそ55%となる。この時のヒートシンク130に取り付けられたLED121近傍の温度上昇は36.1℃であった。
【0059】
すなわち、吸気口131と排気口132をヒートシンク130外周上で左右に分かれて、吸気口131と排気口132との開口面積の比率を増加させることで、吸気口131から吸気された外気がスムーズに抵抗少なく排気口132から冷却に使用された空気を排気できるので、ヒートシンク130に取り付けられたLED121近傍の温度上昇を防ぐことができた。
【0060】
ただし、開口面積の比が70%以上になると、吸気口131から十分な外気を吸気できなくなるために、ヒートシンク130を十分に冷却することができなくなってしまう。
【0061】
なお、図8の中図では、追加した排気口132は図面下方にあるが、この位置に限るわけではなく吸気領域の図面上方でも同じ効果を持つ。
【0062】
次に図8の上図では、吸気口131側に排気口132(第3の空間に相当)を複数設けた場合でありヒートシンク130外周上で吸気口131は7個で排気口132は13個で、ヒートシンク130外周上で排気口132の占める割合はおよそ65%となる。この時のヒートシンク130に取り付けられたLED121(図4参照)近傍の温度上昇は37.5℃であった。
【0063】
すなわち、吸気口131がある吸気領域内を分割して排気口132を設けることで、送風装置140内部に滞留する暖かい空気を効果的に排気することができ、冷却に使用する外気を吸気する吸気領域が少なくなってもヒートシンク130に取り付けられたLED121(図4参照)近傍の温度上昇を抑えることができる。
【0064】
このように、排気口132を吸気口131に比べ多くすることで、検討結果によると開口面積の比を55〜70%にすることでヒートシンク130に取り付けられたLED121近傍の温度上昇を抑えることができた。
【0065】
また、追加した排気口132を吸気口131の領域に水平方向に分割して設けることにより、送風装置140内部に滞留する暖かい空気を効果的に排気することができ、送風装置140の放熱効果をさらに高めることができる。
【0066】
図9に示すように、ヒートシンク130は、吸気口131側の下面に、コネクタ123(図4参照)を通すための穴136が開口されている。また、ヒートシンク130は、下面にねじ穴137と、送風装置140取付け後に送風装置140の調整を行う穴138とが開口されている。
【0067】
図10は本発明の実施の形態1に係る照明装置の送風装置が載置されたヒートシンクの断面図であり、図6のA−A矢視方向の断面図である。
【0068】
図10に示すように、送風装置140は、軸(シャフト)141と、軸受142と、軸141端部に取り付けたファンブレード143と、ステータ144と、ファンブレード143内側に取り付けた環状のマグネット145とがユニット化されて構成されている。
【0069】
上記軸141、軸受142、ステータ144、及び環状のマグネット145は、全体としてモータ146を構成している。また、送風装置140の上部には、板金カバー147が取り付けられている。
【0070】
軸141は、軸受142に回転可能に支えられ、ファンブレード143を回転させる。ファンブレード143の回転は、ステータ144と環状のマグネット145とによって駆動される。
【0071】
ステータ144は、磁性材料からなる金属板を回転軸の軸方向に積層して形成されたものである。ステータ144の各ティース部には、電着塗装などによって絶縁層が形成され、この絶縁層を介してコイルが巻装されている。このコイルに電流を流すことによって磁界が発生し、マグネット145と吸引、反発してステータ144が駆動される。
【0072】
なお、モータ146の構造は、上記の構造に限定されず、送風装置140を駆動できる構造であれば、どのような構造でもよい。
【0073】
また、ファンブレード143は遠心ファンやプロペラファンが用いられるが、装置の小型化などでファンを設置する箇所の風路抵抗が大きい場合には遠心ファンを採用したほうが風を吐き出す力を大きくすることができる。
【0074】
以下、上述のように構成された照明装置の動作について説明する。
【0075】
図11及び図12は、本発明の実施の形態における照明装置の風の流れを説明する図である。図11は本発明の実施の形態1に係る照明装置の風の流れを説明する断面図、図12は本発明の実施の形態1に係る照明装置の風の流れを説明する斜視図である。説明の便宜上、モータ146部分は省略している。図11及び図12中、実線矢印は、風の流れを示す。
【0076】
図11及び図12に示すように、ヒートシンク130は、ヒートシンク130の中心からずらした位置(偏心位置)に送風装置140を配置し、吸気口131と排気口132とを同一平面上に備える。空間の広い半円側を吸気口131とし、空間の狭い半円側を排気口132とする。
【0077】
ヒートシンク130の外周部130aを、ケース110の開口部110bに取り付けた状態では、略円形状のケース110の一方の半円側に吸気口131、他方の半円側に排気口132が配置される。すなわち、吸気口131と排気口132の大部分は、ケース110の、同一平面上で、かつ異なる側面に配置される。
【0078】
また、ケース110内に、吸気口131側と排気口132側とを仕切る仕切板135を配置する。本実施の形態では、ヒートシンク130上の吸気口131と送風装置140間に、仕切板135を形成する。仕切板135で仕切られた2つの領域のうち、ファンブレード143を外方に配置した側が排気口132側となる。吸排気の方向としては、下面吸排気と側面吸排気があり、本実施の形態は、下面吸排気の例である。
【0079】
ここで、送風装置140の送風効率を向上させるためには、風の方向を規制するため、ファンブレード143の周囲を囲む必要がある。仕切板135と板金カバー147を設置することによって、送風効率を高めている。
【0080】
図11及び図12に示すように、送風装置140が動作すると、風はヒートシンク130下面の吸気口131から吸気され、仕切板135にあたり、仕切板135の側面に沿って送風装置140の上部に達する。そして、板金カバー147を超えて上部から送風装置140内部に引き込まれ、ヒートシンク130下面の排気口132から排出される。
【0081】
このように、本実施の形態では、左右方向(上下方向でない)において吸排気を分けるので、常に冷たい空気を吸気して冷却に使用することができる。すなわち従来例では、上下方向で吸排気を分けていたので、吸気口と排気口とが近接してしまい、ファンの放熱効果が低下してしまう欠点があった。これに対し、本実施の形態では、図11及び図12に示すように、ケース110の開口部110bの左右両端位置下面という、構造上最も離れた位置に吸気口131と排気口132の大部分が配置されることで、常に冷たい空気を吸気して冷却に使用でき、ファンの放熱効果を格段に高めることができる。
【0082】
また、本実施の形態と従来例では、吸排気口のそれぞれが形成されている領域の形についても以下の差異がある。
【0083】
従来例では、ファンの軸方向において幅が小さく、吸排気口の形状は円環状(平面的に見ると横に長細い形)であり、吸排気口を通過する風の抵抗は大きい。これに対して、本実施の形態では、吸気口131と排気口132は、半円状であり、平面的に見ると、従来例よりも正方形に近づいた形である。このため、通過する風の抵抗が小さくなり、送風効率を向上させることができる。
【0084】
また、従来例において吸気口と排気口との距離を離そうとすると、吸気口と排気口の開口を小さく形成して相対的に離れさせる必要があった。本実施の形態では、そのような構造上の制約はなく、吸気口131と排気口132の開口を大きく形成することができ、より一層送風効率を向上させることができる。
【0085】
さらに、図11及び図12に示すように、ケース110内における風は、基本的には左右方向に流れ、無理な方向転換はない。風の方向転換の具合が緩やかなため、風への抵抗が小さく、送風効率を高めることができる。
【0086】
以上の特徴に加えて、本実施の形態は、さらに以下の特徴を有する。
【0087】
ヒートシンク130の上面に送風装置140を配置し、ヒートシンク130の下面のLED基板120を放熱する構造では、LED基板120と電源基板150とを接続するコネクタ123及び配線を配置する領域が必要である。
【0088】
本実施の形態では、送風装置140をヒートシンク130中心からずらして配置することで、吸気口131側が排気口132側より広く形成する。この広く形成された吸気口131側に、コネクタ123及び配線を配置する領域を確保する。具体的には、吸気口131側の仕切板135下方の下面に、コネクタ123を通すための穴136を開口する。排気口132側は、吸気口131側より風速が速いので、排気口132側に、穴136を形成すると風が漏れやすい。本実施の形態では、吸気口131側を排気口132側より広く形成し、穴136を開口することで、風の漏れを防止するとともに、風速の緩い吸気口131側にコネクタ123及び配線を配置することで、風の流れをなるべく妨げないようにする。
【0089】
また、本実施の形態では、排気口132とファンブレード143をオーバーラップさせているので、推進された風が直線的に排気口132から排気され、吸排気効率を向上させることができる。
【0090】
また、本実施の形態では、ヒートシンク130に仕切板135を形成している。仕切板135は、ヒートシンク130の一部であるため、熱伝導が良く、放熱効果を向上させることができる。
【0091】
また、本実施の形態では、吸気口131側に仕切板135を形成している。排気口132付近において、風の流れを遮るものがないので、吸排気の効率を向上させることができる。また、送風装置140の配置の自由度が高い。
【0092】
また、本実施の形態では、吸気口131側のフィン133を、排気口132側のフィン134よりも大きく(背を高く)形成している。以下の理由による。吸気口131側よりも排気口132側の方が風速は速いので、排気口132側はフィンが邪魔をして風速が落ちやすい。これに対して、吸気口131側は、吸気口131全体で均一に空気を吸気するのでフィンが風の抵抗になりにくく、フィンを大きく形成することができる。なお、フィンを大きく又は多く形成すると、ヒートシンク130の放熱効果を高めることができる。
【0093】
仕切板135は、排気側から吸気側へ、風が逆流するのを防ぐために、送風装置140の上端部よりも上まで延ばすことが好ましい。排気口132と吸気口131の大きさは、同程度でよい。なお、排気口132と吸気口131の大きさは、大きければ大きい方が良い。
【0094】
なお、送風装置140を吸気口131側に配置することも不可能ではないが、送風装置140を吸気口131側に配置することで吸気口131の空間が狭くなり、前述したように吸気口131側の風速は遅いのでますます外気を吸気しにくくなるというデメリットがある。
【0095】
送風装置140を通過した直後の風は、速度が速いため、慣性が強く、直進したがる。そのため、そのまま直進して排気したい要請がある。吸気口131側に送風装置140を配置すると、風は、一度ケース110にぶつかってから、排気口132側に方向転換しなくてはならない。風にとって大きな抵抗となる。
【0096】
仕切のタイプにはヒートシンク一体型とボックスファンタイプとがある。ヒートシンク130に仕切板135を形成するヒートシンク一体型については既に説明したのでボックスファンタイプについて説明する。
【0097】
図13及び図14は、送風装置140の他の仕切のタイプであるボックスファンタイプの構成を示す図である。図13は本発明の実施の形態1に係る照明装置の送風装置の他の仕切タイプの構成を示す上面図、図14は本発明の実施の形態1に係る照明装置の送風装置の他の仕切タイプの構成を示す斜視図である。
【0098】
図13及び図14に示すように、ボックスファンタイプは、仕切板135に代えて、送風装置140の外周を囲う環状の仕切板148を設ける。ボックスファンタイプは、送風装置140の外周を環状の仕切板148が一周囲んでいるので、整流効果が高く、ファンの送風効率が高いという特徴を持っている。
【0099】
以上詳細に説明したように、本実施の形態のLEDランプ100は、略円形状の開口部110bを有するケース110と、LED121を実装したLED基板120と、LED121の発熱を冷却するヒートシンク130と、ヒートシンク130に向かって送風する送風装置140と、を備える。ヒートシンク130は、ヒートシンク130の中心からずらした位置(偏心位置)に送風装置140を配置し、送風装置140へ空気を吸気する吸気口131と、ヒートシンク130に当たった風を排出する排気口132とを同一平面上に備える。すなわち、略円形状のケース110の一方の半円側に吸気口131、他方の半円側に排気口132を配置することで、吸気口131と排気口132とは、ケース110の、同一平面上で、かつ異なる側面に配置される。
【0100】
上述した構成により、風はヒートシンク130下面の吸気口131から吸気され、仕切板148に当たり、仕切板148の側面に沿って送風装置140の上部に達する。そして、上部から送風装置140内部に引き込まれ、ヒートシンク130下面の排気口132から排出される。
【0101】
このように、送風装置140のファンブレード143の回転軸に対して左右に(上下でない)それぞれ吸排気を分けるので、常に冷たい空気を吸気して冷却に使用することができ、ファンの放熱効果を格段に高めることができる。
【0102】
また、排気口132を吸気口131に比べ多くすることで、検討結果によると55〜70%にすることでヒートシンク130に取り付けられたLED121の温度上昇を抑えることができた。
【0103】
(実施の形態2)
図15は、本発明の実施の形態2に係る照明装置の断面図である。図2と同一構成部分には、同一番号を付して重複箇所の説明を省略する。説明の便宜上、LED基板120、電源基板150、コネクタ123、及び照射部160は、省略している。また、送風装置140は、簡略化して示している。
【0104】
本実施の形態は、吸排気の方向が側面側にある側面吸排気のLEDランプに適用した例であり、構成の他のところは実施の形態1と同じ構成を採っている。
【0105】
図15に示すように、LEDランプ200は、ベース210a及び開口部210bを有するケース210と、LEDの発熱を冷却するヒートシンク230と、ヒートシンク230に向かって送風する送風装置140とを備える。
【0106】
ケース210は、一端側である直方体のベース210aから、他端側である開口部210bへと、徐々に拡径する椀状に形成されている。
【0107】
ケース210は、送風装置140へ空気を吸気する吸気口231と、ヒートシンク230に当たった風を排出する排気口232とを同一平面上に備える。吸気口231及び排気口232は、ケース210の左右両側面に形成されている。排気口232の少なくとも一部は、板金カバー247が取り付けられた送風装置140の上端よりも下側に位置するように形成される。
【0108】
ヒートシンク230は、ケース210の開口部210bと同径の外周部230aと、外周部230aから外方に突出するフランジ部230bと、円形のLED基板120(図示略)を収容する円筒部230cとを有する。
【0109】
ヒートシンク230は、ケース210の開口部210bに外周部230aが同径で取り付けられる。ヒートシンク230は、ヒートシンク230の中心からずらした位置(偏心位置)に送風装置140を配置する。
【0110】
ヒートシンク230及び送風装置140は、上面から見て共に円形形状であり、ヒートシンク230の方が、径が大きい。ヒートシンク230の外径内に、送風装置140が載置されるので、送風装置140の外周に円形の空間が形成されることになる。この半円側の一方のケース210内に吸気口231を形成し、他方のケース210内に排気口232を形成する。吸気口231と排気口232とは、ヒートシンク230上に載置された送風装置140の両側、すなわちヒートシンク230の両半円側に形成されるので、両者は同一平面上に並ぶことになる。
【0111】
図16及び図17は、LEDランプ200の詳細な構成を示す図である。図16は本発明の実施の形態2に係る照明装置の詳細な構成を示す断面図で、図17は本発明の実施の形態2に係る照明装置の詳細な構成を示す斜視図である。
【0112】
図16及び図17に示すように、送風装置140は、ヒートシンク230の中心からずらした位置(偏心位置)に配置し、空間の広い半円側のケース210内を吸気口231とし、空間の狭い半円側のケース210内を排気口232とする。
【0113】
ヒートシンク230は、吸気口231と送風装置140間に、吸気した空気の流れを変えて、送風装置140に流入させる仕切板235を有する。仕切板235は、送風装置140の吸気口231側を、送風装置140の形状に沿って略半円状に覆う衝立である。送風装置140により吸気された空気は、仕切板235に当たって流れが変えられ、送風装置140上部の板金カバー247内側に流入する。
【0114】
仕切板235の上部には、送風装置140上部外周を覆って送風効率を高める板金カバー247が取り付けられている。板金カバー247は、送風装置140への吸気口であると共に、空気の流れを整える。
【0115】
本実施例のヒートシンク230の構成は、本発明の実施の形態1で詳細に説明した構成と同じ構成を採る。
【0116】
すなわち、ヒートシンク230は前述した図8で説明した構成を採用するが、吸気口231と排気口232をケース210の側面へ変更したことである。そして、排気口232を吸気口231に比べ開口面積を多くすることで、ヒートシンク230に取り付けられたLEDの温度上昇を抑えることができる。
【0117】
また、追加した排気口232を吸気口231の領域を水平方向に分割して設けることにより、送風装置140内部に滞留する暖かい空気を効果的に排気することができ、送風装置140の放熱効果をさらに高めることができる。
【0118】
また、追加した排気口132を吸気口131の領域を水平方向に分割して設けることにより、送風装置140内部に滞留する暖かい空気を効果的に排気することができ、送風装置140の放熱効果をさらに高めることができる。
【0119】
以下、上述のように構成された照明装置の動作について説明する。
【0120】
図18は本発明の実施の形態2に係る照明装置の風の流れを説明する断面図である。図18中の実線矢印は、風の流れを示す。
【0121】
図18に示すように、送風装置140が動作すると、風はケース210の一方の側面に形成された吸気口231から吸気され、仕切板235にあたり、送風装置140の上部に達する。そして、板金カバー247から送風装置140内部に引き込まれ、ケース210の一方の側面に形成された排気口232から排出される。
【0122】
このように、本実施の形態では、左右方向(上下方向でない)において吸排気を分けるので、常に冷たい空気を吸気して冷却に使用できる。すなわち、ケース210の左右両端側面位置という、構造上最も離れた位置に吸気口231と排気口232とが配置されることで、常に冷たい空気を吸気して冷却に使用でき、ファンの放熱効果を格段に高めることができる。
【0123】
また、追加した排気口232を吸気口231の領域を水平方向に分割して設けることにより、送風装置140内部に滞留する暖かい空気を効果的に排気することができ、送風装置140の放熱効果をさらに高めることができる。
【0124】
また、吸気口231と排気口232の開口を大きく形成することができ、より一層送風効率を向上させることができる。
【0125】
さらに、ケース210内における風は、基本的には左右方向に流れ、無理な方向転換はない。風の方向転換の具合が緩やかなため、風への抵抗が小さく、送風効率を高めることができる。
【0126】
また、本実施の形態では、ヒートシンク230に仕切板235を形成している。仕切板235は、ヒートシンク230の一部であるため、熱伝導が良く、放熱効果を向上させることができる。
【0127】
また、本実施の形態では、吸気口231側に仕切板235を形成している。排気口232付近において、風の流れを遮るものがないので、吸排気の効率を向上させることができる。また、送風装置140の配置の自由度が高い。
【0128】
また、本実施の形態では、吸気口231側のフィンを、排気口232側のフィンよりも大きく(背を高く)形成している。以下の理由による。吸気口231側よりも排気口232側の方が風速は速いので、排気口132側はフィンが邪魔をして風速が落ちやすい。これに対して、吸気口231側は、吸気口231全体で均一に空気を吸気するのでフィンが風の抵抗になりにくく、フィンを大きく形成することができる。なお、フィンを大きく又は多く形成すると、ヒートシンク230の放熱効果を高めることができる。
【0129】
本実施の形態では、図16の破線に示すように、少なくとも、排気口232は、送風装置140と同じ高さかそれよりも下に形成する。吸気口231は、送風装置140よりも上に形成すると好適であるが、そうでなくても良い。
【0130】
仕切板235は、排気側から吸気側へ、風が逆流するのを防ぐため、送風装置140の上端部よりも上まで延ばすことが好ましい。排気口232と吸気口231の大きさは、同程度でよい。なお、排気口232と吸気口231の大きさは、大きければ大きい方が良い。
【0131】
なお、送風装置140を吸気口231側に配置することも不可能ではないが、送風装置140を吸気口231側に配置することで吸気口231の空間が狭くなり、前述したように吸気口231側の風速は遅いのでますます外気を吸気しにくくなるというデメリットがある。
【0132】
風は遠心力が強いので、フィンの横から空気を吸い込むことは困難である。したがって、本実施の形態のように、一度仕切に風を当てて方向転換し、送風装置140の上から空気を吸い込んで排気側に推進するようにしている。
【0133】
本実施の形態にあっても、実施の形態1と同様に、送風装置140を、ボックスファンタイプにより構成してもよい。ボックスファンタイプは、送風装置140の外周を環状の仕切板が一周囲んでいるので、整流効果が高く、ファンの送風効率が高い効果がある。
【0134】
以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されることはない。
【0135】
上記各実施の形態では、送風装置及び照明装置という名称を用いたが、これは説明の便宜上であり、送風装置等であってもよい。
【0136】
さらに、上記送風装置及び照明装置を構成する各構成部、例えばケースの種類、基板などは前述した実施の形態に限られない。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本発明の照明装置及び照明装置用送風ユニットは、LED実装基板を冷却する送風装置を備える電球形LEDランプに用いて好適である。
【符号の説明】
【0138】
100,200 LEDランプ
110,210 ケース
110b,210b 開口部
120 LED基板
121 LED
123 コネクタ
130,230 ヒートシンク
131,231 吸気口
132,232 排気口
135,148,235 仕切板
140 送風装置
147,247 板金カバー
150 電源基板
160 照射部
161 レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円形状の開口部を有するケースと、
実装基板上に設置されたLEDと、
前記実装基板裏面に取り付けられ前記LED及び前記実装基板の熱を放熱するヒートシンクと、
前記開口部の外周側に形成された吸気口と、
前記開口部の中心を点対称として、前記吸気口と反対側の前記開口部の外周側に形成され、前記ヒートシンクに当たった空気を排気する排気口と、
前記ケース内部に収容され、前記ヒートシンクに対向する排気面と反対側の面に設けられた吸気面とを有し、前記吸気口を介して吸気した空気を、前記排気面から前記ヒートシンクに向かって送風する送風装置と、
前記吸気口と前記吸気面を含む第1の空間と前記排気面と前記ヒートシンクと前記排気口を含む第2の空間とを仕切る仕切板と、を備え、
前記排気口の開口面積が、前記吸気口の開口面積よりも大きいことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記第1の空間内を分割して、前記ヒートシンクに当たった空気を排気する第3の空間を設けることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記排気口の開口面積が、前記吸気口の開口面積と前記排気口の開口面積とを合わせた面積の50〜70%であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
LED及熱を放熱する略円形状のヒートシンクと、
前記ヒートシンクの外周側に形成された吸気口と、
前記ヒートシンク上に設けられ、前記ヒートシンクに対向する排気面と反対側の面に設けられた吸気面とを有し、前記吸気口を介して吸気した空気を、前記排気面から前記ヒートシンクに向かって送風する送風装置と、
前記ヒートシンクの中心を点対称として、前記吸気口と反対側の前記ヒートシンクの外周側に形成され、前記ヒートシンクに当たった空気を排気する排気口と、
前記吸気口と前記吸気面を含む第1の空間と前記排気面と前記ヒートシンクと前記排気口とを含む第2の空間とを仕切る仕切板と、を備え、
前記排気口の開口面積が、前記吸気口の開口面積よりも大きいことを特徴とする照明装置用送風ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−20780(P2013−20780A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152523(P2011−152523)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【特許番号】特許第4844698号(P4844698)
【特許公報発行日】平成23年12月28日(2011.12.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】