説明

照明装置及び間接照明システム

【課題】光源からの照射光による輝度ムラを抑制し、かつ照射面を広範囲に亘って均一に照らす間接照明システム、及び該システムに使用する照明装置を提供すること。
【解決手段】本発明の照明装置は、光源A12及び光源B13と、光源A12及び光源B13の出光方向に設けられ、光源A12及び光源B13からの光を入光する入光面および/または光源からの光を出光する出光面に凹凸部が形成された光透過性パネル14と、を備え、光源A12及び光源B13は、1/2ビーム角が0.1度〜30度であり、光透過性パネル14は、光源A12及び光源B13のうちの1つの光源の直上領域の拡散角度が、光源A12及び光源B13のうちの他の1つの光源A12及び光源B13の直上領域の拡散角度と異なり、かつ光源A12及び光源B13の直上領域の拡散角度の最大値が10度〜120度の範囲内にあることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置及び間接照明システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
住宅や店舗などにおける照明システムとして間接照明が昨今広く使用されるようになってきている。これは、空間の大部分のエリアにおいて光源を直接的に見ることがなく、直接光を目に入りにくくし、空間内の所定の面を照らすことにより、そこからのソフトな反射光で空間を明るくする照明システムである。例えば壁面を照明することは奥行き感を持たせて空間を広く見せる効果があると言われている。
【0003】
一方、照明器具を天井や壁面に組み込み、建築構造と一体化させた建築化照明により壁面を照明する照明システムが広がりを見せ始めている。建築化照明に用いられる間接照明においては、天井を照らすコーブ照明、壁面を照らすコーニス照明、その他バランス照明、床面においては足元間接照明などの照明システムがあり、壁面照明用途としてはコーニス照明やバランス照明などが使われる。
【0004】
この中でコーニス照明としては、例えば、部屋の壁の周囲を部分的に囲むように配置された構造をしているものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。これらコーニス照明においては、壁面を広い範囲でできるだけ均一に照らすことが好ましい。コーニス照明の多くは光源として蛍光灯が用いられており、例えばニッポ電機社製シームレスライン照明器具などが挙げられる。しかしながら、蛍光灯光源は照射光が拡散性を有するため、光源近くの壁面輝度は高くなるが、例えば光源から500mm程度離れると大幅に壁面輝度が低下してしまう。すなわち、照射光を床方向へ伸ばす効果が小さい。
【0005】
蛍光灯光源と照射方向を規制するためのルーバーを組み合わせた照明器具が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、ルーバーを設置するため照明器具そのものが大きくなってしまうため、コーニス照明として用いるためには埋め込み部分を大きくしなければならないという問題がある。
【0006】
ところで、近年においては、地球温暖化防止の観点から二酸化炭素の排出量削減が求められていること、及び長寿命で廃棄物の削減が可能であるとともに、有害物質を含まず環境保全に貢献できることから、白熱灯や蛍光灯にかわってLED光源を具備する照明器具が多く使用されるようになってきている。
【0007】
特に、LED光源は、発光効率が著しく向上しているため、LED光源を使用した照明器具は急速に普及が進んでおり、例えば、LED光源を複数個使用したライン照明器具も提案されている。しかしながら、指向性が強い点光源であるLED光源を使用したこれらライン照明器具であっても、1/2ビーム角が40度以上であるものが多く、例えばコーニス照明として用いた場合、照射光を床方向へ伸ばす効果は小さく、壁面を照らす範囲は非常に限定されている。
【0008】
また、1/2ビーム角が30度以下のダウンライトについての提案もなされているが、これをコー二ス照明に使用すると、光源から離れた壁面、例えば光源からの距離1000mm程度まで明るく照らすことは可能であるが、逆に光源近くの輝度が低下してしまうため、照射光の均一性に欠けてしまう。すなわち、光源近傍の壁面から、光源から離れた壁面まで、輝度ムラを抑制しながら、同時に照射光を床方向へ伸ばすことは困難である。
【0009】
さらに、複数のLED光源と反射板を組み合わせて配光を制御し、広域を照射する照明装置についての提案もなされている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、照明装置により配光が決まってしまうため、照明器具の設置位置や、照射したい範囲の自由度が低いという問題がある。すなわち、設置したい位置に合わせて個々に配光制御した反射板を作製することが必要になり、実用性に劣るという問題を有している。
【0010】
さらにまた、点状光源を凹面反射鏡の底部に配置し、その出光面側の一部分に発散レンズを配置することによって、壁面に広く帯状の光を照射する壁面照明装置が提案されている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、凹面反射鏡を有するため、設置スペースが必然的に大きくなってしまう問題がある。さらには、上記壁面照明装置においては、帯状の狭い領域しか照射できず、この照射領域を拡大するためには壁面照明装置をライン状に配列させる必要がある。しかしながら、その際に壁面において、各帯状の光によって照射されない領域が存在し、輝度ムラとなって現れてしまうという問題もある。
【0011】
以上、本発明に関する従来の技術について説明してきたが、これまで、光源からの照射光の輝度ムラを抑え、所定の面を広い範囲で均一に照らす実用的な間接照明システムの提供ができていないのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特表2004−507196号公報
【特許文献2】特開平9−27206号公報
【特許文献3】特開2008−98088号公報
【特許文献4】特開平6−68701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、光源からの照射光による輝度ムラを抑制し、かつ照射面を広範囲に亘って均一に照らす間接照明システム、及び該間接照明システムに使用する照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定の1/2ビーム角を有する複数の光源の照射側に、特定の拡散角度を有する光透過性パネルを用いた照明装置を使用した間接照明システムにより上記の課題を解決できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させるに至った。
【0015】
本発明の照明装置は、複数の光源と、前記複数の光源の出光方向に設けられ、前記複数の光源からの光を入光する入光面および/または前記光源からの光を出光する出光面に凹凸部が形成された光透過性パネルと、を備え、前記光源は、1/2ビーム角が0.1度〜30度であり、前記光透過性パネルは、前記複数の光源のうちの1つの光源の直上領域の拡散角度が、前記複数の点光源のうちの少なくとも他の1つの光源の直上領域の拡散角度と異なり、かつ前記複数の光源の直上領域の拡散角度の最大値が10度〜120度の範囲内にあることを特徴とする。
【0016】
本発明の照明装置においては、前記光透過性パネルは等方拡散性を有し、前記光透過性パネルにおいて前記複数の光源の直上領域の拡散角度の最大値と最小値との差が少なくとも20度であることが好ましい。
【0017】
本発明の照明装置においては、前記光透過性パネルは異方拡散性を有し、前記光透過性パネルにおいて前記複数の光源の各直上領域での拡散角度が最大値を示す方向と最小値を示す方向とを有し、前記最大値を示す方向における前記複数の光源の直上領域の拡散角度の最大値と最小値の差が少なくとも20度であることが好ましい。
【0018】
本発明の照明装置においては、前記光透過性パネルは異方拡散性を有し、前記光透過性パネルにおいて前記複数の光源の各直上領域での拡散角度が最大値を示す方向と最小値を示す方向とを有し、前記複数の光源の直上領域の異方度の差が1以上であることが好ましい。
【0019】
本発明の照明装置においては、前記光透過性パネルは、前記複数の光源のうちの少なくとも1つの光源の直上領域において等方拡散性を有し、前記複数の光源のうちの少なくとも他の1つの光源の直上領域において異方拡散性を有することが好ましい。
【0020】
本発明の照明装置においては、前記光透過性パネルの前記拡散角度が、前記光源の直上領域からの距離に応じて異なることが好ましい。
【0021】
本発明の照明装置においては、前記光透過性パネルの前記拡散角度が、前記光源の直上領域からの距離に応じて、周期的に変化することが好ましい。
【0022】
本発明の照明装置においては、前記光透過性パネルの前記拡散角度が、前記光源の直上領域からの距離に応じて、連続的に変化することが好ましい。
【0023】
本発明の照明装置においては、前記光透過性パネルの前記拡散角度が、前記光源の直上領域からの距離に応じて、不連続的に変化することが好ましい。
【0024】
本発明の照明装置においては、前記光透過性パネルが、拡散角度が0度である領域を前記複数の光源の光源間の直上に対応する領域に有することが好ましい。
【0025】
本発明の照明装置においては、前記光透過性パネルが、光透過性を有する複数の単位パネルにより構成され、前記単位パネルが、各光源の直上を含む領域に配置されていることが好ましい。
【0026】
本発明の間接照明システムは、上記照明装置が、所定の照射面上または、前記照射面に対し垂直な方向に、一定の距離だけ離れた地点に配置され、かつ、前記照明装置から出光される光の最大光度を示す軸方向と前記照射面に対する平行線とがなす角度(θ)が0度〜30度であることを特徴とする。
【0027】
本発明の間接照明システムにおいては、前記照明装置を構成する光透過性パネルが異方拡散性を示す領域を有し、かつ当該領域において前記照射面に対して平行方向の拡散角度が、前記照射面に対して直交方向の拡散角度よりも高いことが好ましい。
【0028】
本発明の間接照明システムにおいては、前記照明装置を構成する光透過性パネルが異方拡散性を示す領域を有し、かつ当該領域において前記照射面に対して平行方向の拡散角度が、前記照射面に対して直交方向の拡散角度よりも低いことが好ましい。
【0029】
本発明の間接照明システムにおいては、前記光源と前記照射面との間の距離が50mm〜200mmであることが好ましい。
【0030】
本発明の間接照明システムにおいては、前記光源と前記照射面との間の距離250mmにおける前記照射面輝度をAとし、前記光源と前記照射面との間の距離500mmにおける前記照射面輝度をBとし、前記光源と前記所定の面との間の距離1000mmにおける前記照射面輝度をCとした場合、A/B及びB/Cが0.6〜3.0であることが好ましい。
【0031】
本発明の間接照明システムにおいては、前記照射面が天井或いは壁面であることが好ましい。
【0032】
本発明の間接照明システムにおいては、前記光源がLEDであることが好ましい。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、光源からの照射光による輝度ムラを抑制し、かつ照射面を広範囲に亘って均一に照らす間接照明システム、及び該システムに使用する照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施の形態に係る照明装置に用いられる光透過性パネルにおける透過光強度と拡散角度との関係を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る照明装置に用いられる光透過性パネルにおける拡散角度の定義の説明図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る照明装置の一例を示す模式図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る照明装置の他の例を示す模式図である。
【図5】(a)、(b)は、本発明の実施の形態に係る間接照明システムの一例を示す側面断面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る間接照明システムの側面断面図である。
【図7】実施例1の壁面照明の様子を示す写真である。
【図8】実施例2の壁面照明の様子を示す写真である。
【図9】比較例1の壁面照明の様子を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の実施の形態について、以下に具体的に説明する。
本発明に係る照明装置は、複数の光源と、光源からの出光方向に設けられた光透過性パネルとを具備しており、光透過性パネルは、光源からの光が入光する入光面及び光源からの光が出光する出光面を有する。このような照明装置を所定の面、または所定の面に垂直な面に設置することで、所定の面の広い範囲を均一に照らす機能を発現する間接照明システムを構築できる。
【0036】
本発明に用いることのできる光源としては、蛍光灯、白熱電球、ミニクリプトン球、キセノンランプ、LED光源等の光源や、各種点光源などが挙げられる。LED光源は、指向性が強く、レンズや反射板と組み合わせることによって配光特性を制御したり、1/2ビーム角を狭くしたりすることが容易であるため、本発明に用いる光源として好適である。ここでいう1/2ビーム角(以下ビーム角)とは、照明装置あるいは光源から出光する光が最大光度を示す方向と、該最大光度の1/2の光度を示す方向とのなす角度の2倍の角度をいう。
【0037】
本発明においては、1/2ビーム角が0.1度〜30度である光源を用いる。1/2ビーム角が30度より小さいと光透過性パネルを用いた配光制御が容易となり、所定の面を均一に広く照らすことができるため、好ましい。一方、1/2ビーム角が0.1度より大きいものを用いることにより、1/2ビーム角の制御が容易となるため、好ましい。なお、1/2ビーム角が0.1°より小さいものを用いることもできる。光源の1/2ビーム角としては、好ましくは1度〜30度であり、より好ましくは1度〜20度である。
【0038】
本発明に用いることができる光源としては、例えば、ダウンライト(パナソニック電工社製、NNF21610C)が挙げられる。このダウンライトは、LEDと集光レンズとを組み合わせることで1/2ビーム角が15度以下と狭く、且つLED光源を4灯有している。また、1/2ビーム角が30度を大幅に超える光源に対して、集光レンズや遮光板などを用いて1/2ビーム角を0.1度〜30度に制御して用いることもできる。また、LEDチップを直線的に実装し、集光レンズや遮光板などを組み合わせて1/2ビーム角を0.1度〜30度の光源としても構わない。
【0039】
これら1/2ビーム角が0.1度〜30度の光源、例えばダウンライト(パナソニック電工社製、NNF21610C)を天井に設置してそのまま壁面照明として用いた場合、つまり本発明に係る光透過性パネルを配置しない場合、光源から1000mm以上離れた壁面付近を明るく照らすことは可能だが、光源から250mm程度の壁面輝度が低く、壁面の輝度ムラが大きくなってしまう。
【0040】
次に、本発明に用いられる所定の拡散角度を有する光透過性パネルについて説明する。本発明に係る照明装置においては、光源の照射側(出光方向)に凹凸形状(凹凸部)を有する光透過性パネルが光源に対向するように配置する(以下、凹凸形状が形成された面を凹凸形状面ともいう)。凹凸形状は、光源からの光を入光する入光面、光源からの光を出光する出光面のいずれか一方の主面、または両方の主面に設けられている。特に、光源からの光を効率よく拡散させるために、入光面に凹凸形状を有することが好ましい。
【0041】
光源からの光を所定の面に広い範囲で均一に照らすためには特定の配光制御機能が必要である。従来においては、内部に拡散剤を含有する拡散板を用い、配光制御を行っていたが、この方法によると、広範囲を照らすことが困難であり、また光の透過率低下に伴い、光の利用効率が低くなるという問題がある。凹凸形状を有する光透過性パネルによる配光制御を行うことにより、光の利用効率を高くすると同時に、広範囲の配光制御が可能となる。
【0042】
なお、本発明に係る光透過性パネルの凹凸形状とは、例えば、表面に多数の突起部が設けられた形状である。突起部の形状は、略円錐状、略球状、略楕円体状、略レンチキュラーレンズ状、略放物面状のいずれでもよく、各突起部は、規則的に配列していても、不規則に配列していてもよい。また、突起部間は連続的な曲面でつながっていてもよい。また、不規則な凹凸が連続的な曲面でつながっている擬似ランダム構造も、好ましく用いることができる。この擬似ランダム構造としては、干渉露光によるスペックルパターンを用いて形成された、微細な3次元構造であることが好ましい。
【0043】
次に、図1及び図2を参照して光透過性パネルの拡散角度について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る光透過性パネルにおける透過光強度と拡散角度との関係を示す図であり、図2は、本発明の実施の形態に係る照明装置に用いられる光透過性パネルにおける拡散角度の定義の説明図である。図1及び図2に示すように、光透過性パネルの入光領域に入射した入射光は、光透過性パネルの凹凸部によって拡散され、出光面側から透過光として出光する。このため、光透過性パネルから出光する透過光は、光透過性パネルの出光面に対する角度に応じて透過光強度が減衰される。
【0044】
本発明において、「拡散角度」とは、透過光強度(図1中の縦軸は相対値)がピーク強度の半分に減衰する角(半値角)の2倍の角度(FWHM:FULL Width Half Maximum)をいう。この拡散角度は、例えば変角光度計(日本電色工業社製、GC5000L)で、光透過性パネルの凹凸形状面を入光面とし、凹凸形状面の法線方向に入射した光に対する透過光強度の角度分布を測定することによって求められる。ここで、光透過性パネルの法線方向とは、図2に示すように、光透過性パネルの凹凸形状面に対する垂直方向を指す。図1中、透過光強度が最も高くなる基準角度(0度)が、入射光の法線方向と光透過性パネルとの交点に相当する。なお、光透過性パネルの拡散角度が少なくとも2種以上の水準を有することにより、均一で広い範囲を照射することが可能になる。
【0045】
本発明に用いられる光透過性パネルは、複数の光源のうちの1つの光源の直上領域の拡散角度が複数の光源のうちの少なくとも他の1つの光源の直上領域の拡散角度と異なり、各光源の直上に位置する光透過性パネルの拡散角度のうち最大の拡散角度が10度〜120度の範囲内にある。照射面の輝度を均一化するため、最大の拡散角度は15度から100度の範囲内にあることが好ましく、さらに好ましくは20度から90度の範囲内であり、25度から80度の範囲内にあることが最も好ましい。
【0046】
本発明に係る照明装置において、光源の直上領域とは、光源の出光方向における光透過性パネルとの交点を含む領域である。ここで、本発明の実施の形態に係る照明装置における光源の直上領域について説明する。図3は、本発明の実施の形態に係る照明装置の一例を示す模式図である。この照明装置1は、基板11と、基板11上において離間して配置された2つの光源A12及び光源B13と、基板11に対して平行に配置された光透過性パネル14とを備える。
【0047】
図3に示す照明装置1において、光源A12及び光源B13の出光方向D1は、基板11面に対する垂直方向となる。このため、光源A12の直上領域は、光源A12上の基板11面に対する垂直方向における仮想直線(図3の破線L1参照)と光透過性パネル14との交点P1を含む領域となる。また、光源B13の直上領域は、光源B13上の基板11面に対する垂直方向における仮想直線(図3の破線L2参照)と光透過性パネル14との交点P2を含む領域となる。なお、基板11と光透過性パネル14とを平行に配置した場合、光源A12と光透過性パネル14の交点P1との間の距離が最短距離となり、光源B13と光透過性パネル14の交点P2との間の距離が最短距離となる。
【0048】
また、レンズ或いはリフレクターと光源とを組み合せて照明装置を構成してもよい。図4は、本発明の実施の形態に係る照明装置の他の例を示す模式図である。この照明装置2は、光透過性パネル21と、光透過性パネル21の一方の主面側において対向配置された凹状のリフレクター22及びレンズ23と、を備える。リフレクター22の底部には光源C24が配置され、レンズ23の底部には光源D25が配置されている。
【0049】
図4に示す照明装置2において、光源C24の出光方向D2は、光源C24からリフレクター22の開口縁部の中心点C1に向けた方向となる。このため、光源C24の直上領域は、光源C24と開口縁部の中心点C1とを含む仮想直線(図4の破線L3参照)と光透過性パネル21との交点P3を含む領域となる。また、光源D25の出光方向D3は、光源D25からレンズ23の中心点C2に向けた方向となる。このため、光源D25の直上領域は、光源C25とレンズ23の中心点C2とを含む仮想直線(図4の破線L4参照)と光透過性パネル21との交点P4を含む領域となる。なお、図4に示す照明装置2においては、交点P3において、出光方向D3と光透過性パネル21の主面とが直交するため、光源C24と光透過性パネル21との間の距離が最短距離となる。また、交点P4において、出光方向D4と光透過性パネル21の主面とが直交するため、光源D25と光透過性パネル21との間の距離が最短距離となる。
【0050】
本発明に用いられる光透過性パネルは等方拡散性を有し、光透過性パネルにおいて複数の光源の直上領域の拡散角度の最大値と最小値との差が20度以上であることが好ましい。等方拡散性とは、シート面内の各点において、どの方向においても拡散角度が等しいことを意味する。等方拡散性を有し、拡散角度の最大値と最小値との差が20度以上であることにより、光源のビーム角を広い範囲で制御し、光源の近くから光源の遠くまでの、より広い範囲を照射することができるようになる。また、拡散角度の最大値と最小値との差が80度以下であることにより、照射物を広い範囲で連続的に照射することが可能となる。
【0051】
また、ここでいう拡散角度の最小値とは、光透過性パネルを外観目視した場合の透明性により判別可能である。具体的には、外観目視により透明性の高い部分任意5点について拡散角度を測定してその平均値を拡散角度の最小値とし、該透明性の高い部分よりも透明性の低い部分の拡散角度を同様にして測定してその平均値を拡散角度の最大値とした。このようにして測定した最大値と最小値との差を比較することにより、拡散角度の最大値と最小値との差が20度以上であることを判別可能である。例えば、拡散パネルのある位置における拡散角度の最小値が30度の場合、外観目視で透明度の低い部分の拡散角度が50度である場合、50度と80度である場合が該当するものとして例示される。
【0052】
本発明に用いる光透過性パネルは、透過光(透過拡散光)が異方拡散性を有していてもよい。ここで、異方拡散性とは、光透過性パネルの凹凸形状面に垂直に平行光線を入射した場合の透過光が楕円形状になることを言う。具体的には、凹凸形状面に垂直に平行光線を入射した場合の透過拡散光の拡散角度が最大値を示す方向での拡散角度Eと、最小値を示す方向での拡散角度Fの拡散角度比E/F(以下、異方度とする)が1.5〜200の範囲が好ましい。
【0053】
本発明に用いられる光透過性パネルは異方拡散性を有し、光透過性パネルにおいて複数の光源の各直上領域での、拡散角度Eの最大値と最小値との差が20度以上であるか、異方度E/Fの差が1以上であることが好ましい。拡散角度Eの最大値と最小値との差が20度以上であることにより、光源のビーム角を広い範囲で制御し、光源の近くから光源の遠くまでの、より広い範囲を照射することができるようになる。また、拡散角度Eの最大値と最小値との差は、80度以下であることにより、照射物を広い範囲で連続的に照射することが可能となる。
【0054】
さらに、異方度E/Fの差が1以上であることにより、光源からの光の出光方向による強弱を制御し、意図する照射状態を達成できる効果が高くなる。また、拡散角度Eの最大値と最小値との差が20度以上であり、かつ、異方度E/Fの差が1以上であるような構成も、好ましく用いられる。
【0055】
照射面輝度を均一にしたり、広い範囲を照射したりするために、異方度を適宜調整することが好ましい。例えば、光源の配置間隔を均一にできない場合、異方度を配置間隔に応じて高くまたは低くすることにより、照射面輝度を均一にできる。また、異方拡散性を利用し、照明装置の光源ごと(領域ごと)に出光範囲を制御することもできる。
【0056】
本発明に用いられる光透過性パネルは、等方拡散性を有する部分と、異方拡散性を有する部分の組合せによって構成されていることも好ましい。本発明の照明装置により、主となる照射面以外も同時に照明したいような場合、等方拡散性と異方拡散性を有する部分を組合せ、出光を制御しても良い。また、等方拡散性を示す部分と異方拡散性を示す部分を光源毎に交互に配置するような形態としても良い。
【0057】
本発明に用いる光透過性パネルにおいては、拡散角度が、光源の直上領域からの距離に応じて異なっていてもよく、周期的に変化してもよい。また、拡散角度は、光源の直上領域からの距離に応じて、連続的に変化しても、不連続的に変化してもよい。
【0058】
また、本発明に用いる光透過性パネルは、複数の光源全体を覆うような一枚のパネルとなっていてもよく、また、一つまたは複数の光源の一部を覆う単位パネルを複数配列させたものであってもよい。すなわち、光透過性パネルが、光透過性を有する複数の単位パネルにより構成され、単位パネルが、各光源上に配置された構成も好ましく用いることができる。単位パネルは、各光源と一対一に対応していてもよく、複数の光源毎に一つの単位パネルを用いてもよい。光源と単位パネルを一つのユニットとして用いることで、所定の面に設置するときの自由度が増すため好ましい。さらに、光透過性パネルが一枚のパネルとなっている場合、部分的、例えば光源間の直上近傍を凹凸形状のない略平滑面とする構成、光源間の直上近傍に穴(開口部)を設ける構成とすることにより、部分的に拡散角度を0度にすることができ、照度向上の観点から好ましい。なお上述した単位パネルを複数配列させる構成も同様に、部分的に拡散角度を0度とすることが容易に実現できる点で好ましい。
【0059】
次に、本発明に用いられる光透過性パネルの製造方法について説明する。
本発明に用いられる光透過性パネルに凹凸形状を賦形する方法としては、凹凸形状を有する金型を用いた射出成形法、凹凸形状を有する転写ロール(マスタ型)とベースフィルムとUV硬化性樹脂などを用いてロールtoロールにより連続でフィルム上に凹凸形状を形成する転写法などが挙げられる。
【0060】
凹凸形状を有する金型や転写ロールを製作する方法として、干渉露光による方法が好ましい。干渉露光による凹凸形状の形成とは、ディフューザーに光を当てた面の各点で拡散されたコヒーレント光が不規則な位相関係で干渉しあうことによって生じる不規則な輝度斑(スペックル)を感光性材料に露光、現像することによって凹凸形状を形成させる方法である。
【0061】
干渉露光によって得られる凹凸形状は微細な3次元構造を持っており、スペックルパターンを制御することで凹凸形状を形成することができる。なお、この微細な3次元構造は、複数の凹凸構造で構成されている。凹凸形状の高さ及びピッチは不規則であり、擬似ランダム形状である。この凹凸形状のピッチ及び高さは人間の目の分解能以下、すなわち20μm以下とすることによって目立ちにくくなるために好ましい。また、製造時や取扱の容易さを考え、1μm以上とすることが好ましい。
【0062】
具体的には、次のようにして形成することができる。まず、予め干渉露光によりスペックルパターンを形成したサブマスタ型を作製し、このサブマスタ型に電鋳などの方法で金属を被着してこの金属にスペックルパターンを転写してマスタ型を作製する。光透過性樹脂層に、上記マスタ型を用いて紫外線による腑形を行って光透過性樹脂層の表面にスペックルパターンを転写する。このサブマスタ型の詳細な製造方法については、特許第3413519号公報に開示されている。この内容はすべてここに含めておく。
【0063】
スペックルパターンの寸法、形状及び方向を調節することにより、拡散角度や拡散角度比E/Fを制御することができ、所望する指向角度や拡散角度に応じてスペックルパターンを決定することができる。このスペックルパターンの詳細な製法については、特許第3390954号公報に開示されている。この内容はすべてここに含めておく。拡散角度は凹凸構造のピッチ、高さ、アスペクト比を変えて制御しても構わないし、紫外線硬化される光透過性樹脂層の屈折率を変えて制御しても構わない。
【0064】
本発明に用いられる光透過性パネルは、凹凸形状面から入射したときのJIS K7361−1に定める全光線透過率が70%以上であることが好ましく、更に好ましくは80%以上、最も好ましくは90%以上である。光透過性パネルの全光線透過率を70%以上とすることで、光源から照射された光を有効に活用でき、省電力化の観点から好ましいものとなる。光透過性パネルの厚みは、取扱性、コストの観点から0.1mm〜5mmであることが好ましい。
【0065】
本発明に用いられる光透過性パネルは、凹凸形状を有するフィルムを作製後、ポリメチルメタクリレートやポリカーボネート、ガラスなどの光透過性材料からなる支持体に粘着材や熱転写などによって貼り合わせても構わない。支持体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ガラスなど、JIS K7361−1に定める全光線透過率が70%以上の透光性材料であれば構わない。
【0066】
本発明に用いられる光透過性パネルは、凹凸形状が表裏両面に形成されていても構わない。また、本発明に用いられる光透過性パネルは、凹凸形状を有する面を光源からの入光面として配設することが好ましい。
【0067】
本発明に用いられる光透過性パネルは、凹凸形状を有する面の反対面に変角用プリズム形状を有することも好ましい。変角用プリズム形状を有することで照射された光の進行方向を変えることができ、照明装置の設置方向を変えなくても後述する最大光度軸角度(θ)を変更できるものである。
【0068】
本発明に用いられる光透過性パネルは、表面に反射防止膜をコーティングすることも好ましい。反射防止膜をコーティングすることによって全光線透過率を向上させることができるため、照射光の有効活用に繋がり、省エネの観点から好ましいものとなる。
【0069】
次に、上記実施の形態に係る照明装置を用いた間接照明システムについて説明する。本発明に係る間接照明システムにおいて、照明装置は、所定の照射面上、または、所定の照射面に対し略垂直な方向に一定の距離だけ離れた地点に配置される。また、該照明装置を所定の照射面に略平行にライン状に配列することができる。このようにして、所定の照射面、例えば、壁面や天井面、床面、を広く均一に照らすことができる。照明装置は、照らしたい所定の面に応じて、ライン状に増やすことでその照射幅を広げることが可能である。その場合、ライン状に設置する照明装置間の間隔は、1000mm以下の範囲で調整することができる。
【0070】
図5(a)は、本発明に係る光透過性パネルを配設した間接照明システムの一例を示す模式図である。図5(a)に示す間接照明システム30は、基板31上に2つの照明装置32a、32bを離間して配置した例を示している。各照明装置32a、32bは、それぞれ点光源としてのLEDチップ33a、33bと、LEDチップ33a、33bからの光の1/2ビーム角を制御する集光レンズ34a、34bと、集光レンズ34a、34bからの光を拡散する光透過性パネル35a、35bと、を備える。
【0071】
LEDチップ33a、33bは、隣接する照明装置32a、32bのLEDチップ33a、33b同士が所定の間隔をとって基板31の一方の主面上に複数実装される。集光レンズ34a、34bは、各LEDチップ33a、33bを覆うように基板31上に配置される。光透過性パネル35a、35bは、その一対の主面の一方の主面に凹凸形状が形成され、この凹凸形状を有する面がLEDチップ33a、33b及び集光レンズ34a、34bと対向するようにLEDチップ33a、33bとの間に所定の間隔をとって配置される。そして、この光透過性パネル35a、35bの主面が所定の照射面に対して略垂直になるように、光透過性パネル35a、35bを所定の照射面または他の面に取り付ける。これにより、所定の照射面に対して略垂直な方向に所定の照射面に沿ってライン状(直線状)にLEDチップ33a、33bが並設される。なお、図5(a)に示す間接照明システムにおいては、LEDチップ33aに対して光透過性パネル35aを配置し、LEDチップ33bに対して光透過性パネル35bを配置する構成としたが、図5(b)に示すように、2つのLEDチップ33a、33bに対して1つの光透過性パネル36を配置する構成としてもよい。
【0072】
本発明に係る間接照明システムにおいては、最大光度軸角度(θ)が0度〜30度となるよう光源と光透過性パネルとを備える照明装置を所定の照射面などに設置する。ここでいう最大光度軸角度(θ)とは、照明装置から照射される光の最大光度を示す軸方向と所定の照射面に対する平行線とがなす角度のことをいう。最大光度軸角度(θ)が30度以下であれば、照明装置から離れた照射面、例えば光源から1000mm程度離れた照射面の輝度が高くなる。つまり、最大光度軸角度(θ)を0度〜30度となるよう設置することで、光透過性パネルによって照射範囲を制御し、輝度ムラを低減する効果が高くなるため、所定の照射面において、照明装置に近い位置から遠い位置まで照射光を伸ばし、輝度ムラを解消して均一に照射することが可能となるものである。
【0073】
本発明に係る間接照明システムを構成する光透過性パネルは、異方拡散性を示す領域を有し、かつ当該領域において所定の照射面に対して平行方向の拡散角度の方が、直交方向の拡散角度よりも高いことが好ましい。
【0074】
本発明に係る間接照明システムにおいて、照明装置の光源の配置間隔が広い、あるいは1/2ビーム角が小さい場合、各光源によって照射される領域が帯状になり、照射面に輝度ムラが生じてしまう恐れがある。ここで、照射面と平行方向へより光を広げることにより、輝度ムラを解消することができる。
【0075】
また、目的に応じ、本発明の間接照明システムを構成する光透過性パネルは、異方拡散性を示す領域を有し、かつ所定の照射面に対して平行方向の拡散角度の方が、直交方向の拡散角度よりも低いことが好ましい。
【0076】
本発明に係る間接照明システムにおいて、照明装置を所定の最大光度軸角度で設置した場合、照射面の、照明装置近傍における照射状態は設置角度に大きく依存する。ここで、照射面と直交方向へより光を広げることにより、照明装置の設置状態を変えることなく、照明装置近傍の領域を明るく照射することができ、特に光源の配列間隔が狭い場合に好ましく用いられる。
【0077】
本発明に係る間接照明システムにおいては、光源の中心部から所定の照射面までの距離(L)が50mm〜200mmであることが好ましい。距離(L)が50mmより大きくなることにより、照射光を照射面の遠くまで伸ばすことができる。一方、距離(L)が200mmよりも小さくなることにより、照明装置全体のサイズを所定の寸法内に収めることができる。また、コーニス照明システムとして用いる場合においては、天井に埋め込むスペースを削減することができ、外観上好ましい。
【0078】
次に、本発明に係る間接照明システムを用いた場合の所定の照射面の輝度について図6を用いて説明する。不図示の光源と光透過性パネルとを備えた照明装置41を所定の照射面42から距離Lに設置し、所定の照射面42における照明装置41からの所定の照射面42に対する平行方向の距離をHとし、それぞれ光源からの距離(H)250mmにおける所定の照射面輝度をAとし、それぞれ光源からの距離(H)500mmにおける所定の照射面輝度をBとし、それぞれ光源からの距離(H)1000mmにおける所定の照射面輝度をCとした場合、A/B及びB/Cを0.6〜3.0に調整することが好ましい。照射面の輝度が均一であるように、A/B及びB/Cは、0.8〜2.0の範囲に調整することがより好ましい。すなわち、光源に近い位置から遠い位置まで輝度ムラを抑え、均一に照射することが可能となる。
【0079】
次に、本発明の光透過性パネルの拡散角度の選択方法について図6を用いて説明する。まず、本発明の照明装置の設置条件(光源の中心から所定の照射面までの距離L、最大光度軸角度θ)を決め、所定の照射面輝度を見ながら光透過性パネルの拡散角度を決定する。次に、まず、複数の光源が配列される方向(光源配列と平行方向)に輝度ムラが発生しないように拡散角度を決定する。具体的には光源が配列される方向に輝度ムラが発生した場合は一部または全部の単位パネルを拡散角度がより大きい単位パネルと交換する。
【0080】
次に、複数の光源が配列される方向と垂直な方向に輝度ムラが発生しないように拡散角度を調整する。具体的には、所定の照射面輝度A、B、Cの値により拡散角度を変更することになるが、例えばAが暗い場合、拡散角度がより大きい単位パネルを増やすことでAの輝度を高めることができる。また、Cが暗い場合、拡散角度がより小さい単位パネルを増やすことでCの輝度を高めることができる。即ち、A/B及びB/Cが0.6〜3.0となるように光透過性パネルの拡散角度の構成を変更する。
【0081】
なお、光透過性パネルの拡散角度は、上述の例とは順序を変え、複数の光源が配列される方向と垂直な方向に輝度ムラが発生しないように拡散角度を調整した後、引き続き、複数の光源が配列される方向に輝度ムラが発生しないように調整しても良い。
【0082】
本発明に係る間接照明システムは、照明装置を天井と壁面の境界に設置するコーニス照明として好ましく用いることができる。LED光源と光透過性パネルからなる照明装置はコンパクトにできるため、小さなスペースに埋め込むことが容易である。
【0083】
本発明に係る間接照明システムにおいて、例えば上記コーニス照明とした場合、光源に近い位置の壁面、例えば250mm程度離れた壁面から、点光源から遠い位置の壁面、例えば1000mm程度離れた壁面まで、輝度ムラを抑えつつ照射光を床方向に伸ばすことができ、奥行き感を持たせ空間を広く見せる効果が得られる。
【0084】
本発明に係る間接照明システムにおいて、点光源の色温度としては2500K〜4000Kのものが好ましく用いられ、特に2800K〜3500Kのものがより好ましく用いられる。色温度をこの範囲にすることにより、人がリラックスできる環境を提供することができる。
【実施例】
【0085】
次に、本発明の効果を明確にするために行った実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本実施例は、本発明に係る間接照明システムを壁面照明に適用した例である。
【0086】
[ライン状LED照明装置]
アルミダイキャスト製の基板上に、集光レンズ付きLED光源(1/2ビーム角=11度)を60mmピッチで直線状に16個設置した。
【0087】
[光透過性パネル]
スペックルパターンを制御して各種拡散角度に対応する凹凸形状を有するマスタ型を作製した。次いで、ポリエチレンテレフタレート基材(厚み188μm)とUV硬化性樹脂を用いた転写法にて各種拡散角度に対応する凹凸形状を有する光透過性パネルを作製した。
【0088】
作製した光透過性パネルの凹凸形状を有する面から、平行光線を入射させ、変角光度計(日本電色工業社製、GC−5000L)で拡散角度を測定した。これらの結果を下記表1に要約した。光透過性パネルのサンプル名称は下記表1に準じて表現した。
【0089】
[光透過性パネルのセッティング]
LED光源の照射側、集光レンズに接するように、光透過性パネルの凹凸形状を有する面を光源からの入光面側となるように配置した。
【0090】
[LED光源と光透過性パネルを備えた照明装置のセッティング]
照明装置は、直線状に配列された16個のLED光源が白色の壁紙(反射率65%)が貼られた壁面に対して平行になるように設置した。また、照明装置は、図6において、壁面距離L=150mm、最大光度軸角度=8度となるように照明装置を設置した。
【0091】
[壁面輝度(照射面輝度)の測定]
実施例においては、複数の光源が配列される方向(光源配列と平行方向)に輝度ムラが発生しないように、かつ、壁面輝度A、B、Cの輝度比を測定し(図6参照)、A/B及びB/Cが0.6〜3.0となるよう光透過性パネルの拡散角度の構成を調整した。壁面輝度は、輝度計(コニカミノルタセンシング社製、LS−110)を使用して測定した。なお、壁面輝度A、B、Cは、LED光源の配列方向の中央に位置する2つの光源について、それぞれの中心から出光方向に輝度を測定した値の平均をとった。
【0092】
[実施例1]
光透過性パネルは、LED光源毎に、拡散角度5度の単位パネルと拡散角度30度の単位パネルとを交互に配設した。輝度の測定結果を下記表1に、照射された壁面の写真を図7に示した。光源配列と平行方向における輝度ムラはなく、壁面輝度の輝度比は、A/B=0.7、B/C=1.4で輝度斑が少なく、照射光が照明装置近くの壁面からから床方向まで均一に伸びており、きれいな壁面照明であった。
【0093】
[実施例2]
実施例1と同様の配置で、光透過性パネルは、LED光源毎に、拡散角度5度の単位パネルと拡散角度30度の単位パネルと拡散角度60度の単位パネルを繰り返す順序で配設した。輝度の測定結果を下記表1に、照射された壁面の様子を図8に示した。光源配列と平行方向における輝度ムラはなく、壁面輝度の輝度比は、A/B=1.4、B/C=2.0で輝度ムラが少なく、照明装置近くの壁面から床方向まで均一に照射光が伸びており、きれいな壁面照明であった。
【0094】
[実施例3]
実施例1と同様の配置で、光透過性パネルは、LED光源毎に、拡散角度20度の単位パネルと拡散角度が60度x20度の単位パネルを交互に配設した。ここで、拡散角度が異方性を有する単位パネルは全て、壁面と平行方向の拡散角度が60度となるように配置した。輝度の測定結果を下記表1に示した。光源配列と平行方向における輝度ムラはなく、壁面輝度の輝度比は、A/B=0.8、B/C=2.0で、照明装置近くの壁面から床方向まで均一に照射光が伸びており、輝度ムラが少なくきれいな壁面照明であった。なお、拡散角度が60度x20度とは、拡散角度が最大値を示す方向の拡散角度が60度であり、拡散角度が最小を示す方向の拡散角度が20度であることを示し、以下も同様である。
【0095】
[実施例4]
実施例1と同様の配置で、光透過性パネルは、LED光源毎に、拡散角度60度x1度の単位パネルと拡散角度60度x20度の単位パネルを交互に配設した。ここで、単位パネルは全て、壁面と平行方向の拡散角度が60度となるように配置した。輝度の測定結果を下記表1に示した。光源配列と平行方向における輝度ムラはなく、壁面輝度の輝度比は、A/B=1.0、B/C=1.2で、照明装置近くの壁面から床方向まで均一に照射光が伸びており、輝度ムラが少なくきれいな壁面照明であった。
【0096】
[比較例1]
光透過性パネルは配設しなかった。LED光源のみを実施例1と同様に設置した。そのときの輝度の測定結果を下記表1に、照射された壁面の様子を図9に示した。照射光は床方向へ伸びているが、壁面輝度の輝度比は、A/B=0.9、B/C=0.5で、照明装置近くの壁面から床方向までの光の伸びが不均一であり、また、光源配列と平行方向における輝度ムラが大きく、きれいな壁面照明ではなかった。
【0097】
[比較例2]
実施例1と同様の配置で、光透過性パネルは全て、拡散角度5度のものを配設した。輝度の測定結果を下記表1に示した。照射光は床方向へ伸びており、壁面輝度の輝度比は、A/B=1.0、B/C=0.6であったが、光源配列と平行方向における輝度ムラが大きく、きれいな壁面照明ではなかった。
【0098】
[比較例3]
実施例1と同様の配置で、光透過性パネルは全て、拡散角度60度のものを配設した。輝度の測定結果を下記表1に示した。光源配列と平行方向における輝度ムラはなく、照射光は床方向へ伸びているが、壁面輝度の輝度比は、A/B=1.4、B/C=4.5で、照明装置近くの壁面から床方向までの光の伸びが不均一となり、きれいな壁面照明ではなかった。
【0099】
【表1】

【0100】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0101】
例えば、上記実施の形態に係る照明装置1においては、基板11と光透過性パネル14とが平行に配置された構成について説明したが、基板11と光透過性パネル14とは必ずしも完全に平行に配置する必要はない。また、基板11と光透過性パネル14とを非平行に配置する場合においては、光透過性パネル14の凹凸形状面を調整することにより配向制御を行うことができる。
【0102】
また、上記実施の形態に係る照明装置2においては、光透過性パネル21の主面に対し、光源C24の出光方向D2及び光源C25の出光方向D3がそれぞれ直交する構成について説明したが、光源C24の出光方向D2及び光源C25の出光方向D3は、必ずしも光透過性パネル21に対して直交して配置する必要はない。この場合においては、光源C24の直上領域の光透過性パネル21の凹凸形状及び光源C25の直上領域の光透過性パネル21の凹凸形状を調整することにより配向制御を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明の照明装置及び間接照明システムは、光源からの照射光を例えば天井面から壁面に照射した場合、輝度斑を抑えつつ床方向へ伸ばすことができるので、住宅や店舗の間接照明としての利用が期待できる。
【符号の説明】
【0104】
1、2、32a、32b、41 照明装置
11、31 基板
12 光源A
13 光源B
14、21、35a、35b、36 光透過性パネル
22 リフレクター
23 レンズ、
24 光源C
25 光源D
30…間接照明システム装置
33a、33b LEDチップ
34a、34b 集光レンズ
42 照射面、


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源と、前記複数の光源の出光方向に設けられ、前記複数の光源からの光を入光する入光面および/または前記光源からの光を出光する出光面に凹凸部が形成された光透過性パネルと、を備え、前記光源は、1/2ビーム角が0.1度〜30度であり、前記光透過性パネルは、前記複数の光源のうちの1つの光源の直上領域の拡散角度が、前記複数の光源のうちの少なくとも他の1つの光源の直上領域の拡散角度と異なり、かつ前記複数の光源の直上領域の拡散角度の最大値が10度〜120度の範囲内にあることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記光透過性パネルは等方拡散性を有し、前記光透過性パネルにおいて前記複数の光源の直上領域の拡散角度の最大値と最小値との差が少なくとも20度であることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記光透過性パネルは異方拡散性を有し、前記光透過性パネルにおいて前記複数の光源の各直上領域での拡散角度が最大値を示す方向と最小値を示す方向とを有し、前記最大値を示す方向における前記複数の光源の直上領域の拡散角度の最大値と最小値の差が少なくとも20度であることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項4】
前記光透過性パネルは異方拡散性を有し、前記光透過性パネルにおいて前記複数の光源の各直上領域での拡散角度が最大値を示す方向と最小値を示す方向とを有し、前記複数の光源の直上領域の異方度の差が1以上であることを特徴とする請求項1または請求項3に記載の照明装置。
【請求項5】
前記光透過性パネルは、前記複数の光源のうちの少なくとも1つの光源の直上領域において等方拡散性を有し、前記複数の光源のうちの少なくとも他の1つの光源の直上領域において異方拡散性を有することを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項6】
前記光透過性パネルの前記拡散角度が、前記光源の直上領域からの距離に応じて異なることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項7】
前記光透過性パネルの前記拡散角度が、前記光源の直上領域からの距離に応じて、周期的に変化することを特徴とする請求項6に記載の照明装置。
【請求項8】
前記光透過性パネルの前記拡散角度が、前記光源の直上領域からの距離に応じて、連続的に変化することを特徴とする請求項6または請求項7に記載の照明装置。
【請求項9】
前記光透過性パネルの前記拡散角度が、前記光源の直上領域からの距離に応じて、不連続的に変化することを特徴とする請求項6または請求項7に記載の照明装置。
【請求項10】
前記光透過性パネルが、拡散角度が0度である領域を前記複数の光源の光源間の直上に対応する領域に有することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項11】
前記光透過性パネルが、光透過性を有する複数の単位パネルにより構成され、前記単位パネルが、各光源の直上を含む領域に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の照明装置が、所定の照射面上または、前記照射面に対し垂直な方向に、一定の距離だけ離れた地点に配置され、かつ、前記照明装置から出光される光の最大光度を示す軸方向と前記照射面に対する平行線とがなす角度(θ)が0度〜30度であることを特徴とする間接照明システム。
【請求項13】
前記照明装置を構成する光透過性パネルが異方拡散性を示す領域を有し、かつ当該領域において前記照射面に対して平行方向の拡散角度が、前記照射面に対して直交方向の拡散角度よりも高いことを特徴とする請求項12に記載の間接照明システム。
【請求項14】
前記照明装置を構成する光透過性パネルが異方拡散性を示す領域を有し、かつ当該領域において前記照射面に対して平行方向の拡散角度の方が、前記照射面に対して直交方向の拡散角度よりも低いことを特徴とする請求項12に記載の間接照明システム。
【請求項15】
前記光源と前記照射面との間の距離が50mm〜200mmであることを特徴とする請求項12から請求項14のいずれか1項に記載の間接照明システム。
【請求項16】
前記光源と前記照射面との間の距離250mmにおける前記照射面輝度をAとし、前記光源と前記照射面との間の距離500mmにおける前記照射面輝度をBとし、前記光源と前記所定の面との間の距離1000mmにおける前記照射面輝度をCとした場合、A/B及びB/Cが0.6〜3.0であることを特徴とする請求項12から請求項15のいずれか1項に記載の間接照明システム。
【請求項17】
前記照射面が天井或いは壁面であることを特徴とする請求項12から請求項16のいずれか1項に記載の間接照明システム。
【請求項18】
前記光源がLEDであることを特徴とする請求項12から請求項17のいずれか1項に記載の間接照明システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−14533(P2011−14533A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124863(P2010−124863)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000000033)旭化成株式会社 (901)
【Fターム(参考)】