説明

照明装置

【課題】所定位置に固定された状態に使用する場合においても、照射領域を、拡張、縮小、変更する等の調整を容易に行うことができる照明装置を提供する。
【解決手段】下面に複数のLED21,21,21,…が実装された基板22,22が回動軸23に回動可能に保持されている発光部2を備え、基板22,22に連設され、基板22,22を操作するためのレバー24及びツマミ25を口金12Bに設け、ツマミ25(レバー24)により基板22,22を操作し、照明装置の照射領域を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード(以下、LEDと言う)、EL(electroluminescence)等の光源を備えた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に照明装置の光源としては、白熱電球、蛍光ランプ等が広く知られている。一方、小型、省電力というLEDの特徴を生かし、照明の光源としてのLEDの使用が急増している。
【0003】
LEDの照明への適用の一例としては、LEDを従来の白熱電球のいわゆるグローブ内又は蛍光ランプの管内に備えることによって、既存の白熱電球又は蛍光ランプの外見を維持させつつ、既存の電球灯具又は蛍光灯具の活用を可能としたいわゆる電球形LEDランプ又は直管型LEDランプが挙げられる。
【0004】
例えば、特許文献1では、一面に複数の白色LEDが配列された支持板を透明な円筒パイプの中に設け、前記支持板の他面に前記白色LEDを点灯させるためのAC/DC変換器、電圧制御部等の電源回路を設けた蛍光灯型LED照明装置が開示されている。
【特許文献1】特開2001−351402号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載されているような従来のLED照明装置は、一旦、壁、天井等の所定位置に固定して使用されると、照射領域を、拡張、縮小、変更する等の調整を行うことが出来ないといった問題があった。
【0006】
特に、LEDといった指向性の強い光源を採用した照明装置においては、光源の指向性により照射範囲が狭く、照明装置の使用形態又は設置場所によっては、照射領域を拡張、縮小、変更する等の調整を行わなければ十分な照度が得られないという問題があった。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、照射領域を拡張、縮小、変更する等の調整を容易に行うことができる照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る照明装置は、LED、EL等を光源とする照明装置において、該光源の照射領域を拡張、縮小、変更する等の調整を適宜行い得る調整部を備えてなることを特徴とする。
【0009】
本発明にあっては、調整部を操作することにより、照明装置の照射領域を拡張、縮小、変更する等の調整ができ、照明装置が固定されて使用される場合であっても、照射領域の調整を行える。
【0010】
本発明に係る照明装置は、指向性のある光源を有する照明装置において、該光源の指向を制御して照射領域の調整を適宜行い得る調整部を備えてなることを特徴とする。
【0011】
本発明にあっては、指向性のある光源を有する照明装置であって、照射範囲が狭い場合であっても、調整部を操作することにより、光源の指向を制御して照射領域の調整を適宜行い得ることができる。
【0012】
本発明に係る照明装置は、前記光源は、前記光源が実装された一又は複数の基板を備え、各基板は可動に設けられていることを特徴とする。
【0013】
本発明にあっては、一又は複数の基板に前記光源を実装し、前記基板を可動に設けているので、前記基板を操作した場合、前記基板の前記光源による照射領域が変わることになる。
【0014】
本発明に係る照明装置は、対向配置された2つの口金と、該口金に両端が固定された一又は複数の軸とを備え、前記基板は前記軸に平行であって回動可能に保持されていることを特徴とする。
【0015】
本発明にあっては、前記光源が実装された基板を、前記軸と平行をなす状態に、前記軸に回動可能に保持し、前記基板を操作して回動させた場合は、前記基板の前記光源による照射領域が変わることになる。
【0016】
本発明に係る照明装置は、前記基板は、長方形をなし、一方の長辺側の縁部が前記軸に保持されていることを特徴とする。
【0017】
本発明にあっては、長方形の前記基板の両長辺側の内、何れか一方の縁部が、前記軸に回動可能に保持され、前記基板が回動される場合は、前記基板の前記光源による照射領域が変わることになる。
【0018】
本発明に係る照明装置は、前記基板を操作する操作部材を、前記口金に設けていることを特徴とする。
【0019】
本発明にあっては、前記基板を操作する操作部材を、照射が行われる部分でない口金に設け、照明装置の使用の際において、前記操作部材自体による照射妨害を防止すると共に、前記操作部材を操作することによる照射妨害を防止する。
【0020】
本発明に係る照明装置は、前記基板は柔軟性を有することを特徴とする。
【0021】
本発明にあっては、前記基板を、柔軟性を有する材料からなるように構成し、前記基板の前記光源による照射領域の変更に、一層自由度をもたらす。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、調整部の操作により、光源の照射領域が調整出来るように構成しているので、たとえ、照明装置を所定位置に固定して使用する場合においても、照射領域を、拡張、縮小、変更する等の調整を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、実施の形態において、光源としてLEDを採用したLED照明装置を例示して説明する。
【0024】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1は、いわゆる直管形LEDランプであり、直管形LEDランプが天井Fに設置された場合を、図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る照明装置を天井Fに固定した場合の一部縦断面図であり、図2は、図1のII−II線による断面図、図3は、図1のIII−III線による断面図である。
【0025】
実施の形態1に係る照明装置は、光源である複数の白色LED21,21,21,…を備える発光部2を有するランプ1と、白色LED21,21,21,…を駆動する駆動部31を備える筐体3と、ランプ1の両端を支持し、ランプ1に電源を供給するためのソケット部4A,4Bとを備えている。
【0026】
ランプ1は、複数の白色LED21,21,21,…が実装された2枚の基板22,22を備える発光部2と、内部に発光部2を収容する保護筒11と、保護筒11の両端に設けられた口金12A,12Bと、口金12A,12Bの中央に両端が固定され、基板22,22が回動可能に保持する回動軸23とを備えている。例えば、保護筒11は乳白色のアクリル製であり、口金12A,12Bはアルミニウム製である。(図2においては、理解を助けるために、基板22,22の一部を取り除いた状態を示している。)
【0027】
基板22,22は、口金12A,12Bの対向方向を長さ方向とする矩形をなしており、保護筒11の内径より小さい幅を有している。両基板22,22は、長辺部が回動軸23により回動可能に貫通されており、2枚の基板22,22は櫛歯状をなしている。基板22,22の下面には、複数の白色LED21,21,21,…が実装されている。基板22,22の口金12B側の各端部には、基板22,22を回動操作するためのレバー24,24を備えている。レバー24,24は、基板22,22の短辺と平行な方向に延設され、口金12Bを介して外側に突出している。レバー24,24の先端にはツマミ25,25が設けられている。ツマミ25,25は、保護筒11と平行配置された直方体形状を有し、口金12Bと対向する裏面の両端部に2つの凹部25A,25Aを夫々備えている。凹部25A,25Aには、レバー24,24に連結されている基板22,22を所定位置まで回動し、所定位置に静止させるための静止ボール25B,25Bが収容されており、凹部25A,25A及び静止ボール25B,25Bの間にはコイル状のバネ25C,25Cが介在されている。静止ボール25B,25Bは、口金12Bの外周面上を円周方向に摺動するように構成されており、後述の静止凹部122B,122B,122B,…にて静止される。レバー24、ツマミ25及び静止凹部122Bにより、光源の指向を制御し、照射領域の変更等の調整を行う調整部を構成する。
【0028】
口金12A,12Bは保護筒11の端部に倣う円筒状をなしており、一端側に底を有して保護筒11の端部を夫々覆っている。口金12A,12Bは、発光部2に電源を供給するめの2つの端子ピン対5,5を夫々備えている。端子ピン対5,5は保護筒11の内側から外側に向けて口金12A,12Bの底を貫通しており、端子ピン対5,5はソケット部4A,4Bと電気的に接続されている。
【0029】
口金12Bの外周面には、周方向に沿って長方形の切欠部121B,121Bが設けられており、切欠部121B,121Bを介してレバー24,24が外側へ突出している。レバー24,24は、切欠部121B,121Bに案内され、円周方向に回動する。切欠部121B,121Bの長さはレバー24,24の回動角度を180度以下に制限する適宜長さを有している。口金12Bの外周面であって、切欠部121B,121Bの両長辺側の縁部には半円状の静止凹部122B,122B,122B,…を等間隔に設けている。
【0030】
図4は、図3の一部を拡大した概略的拡大図である。口金12Bの外周面上を摺動する静止ボール25B,25Bを備える各ツマミ25(又はレバー24)は、上述したように、口金12Bの外周面上を周方向に回動するように構成されている。一方、静止ボール25B,25Bと、凹部25A,25Aとの間にはバネ25C,25Cが介在されているので、静止ボール25B,25Bはバネ25C,25Cによって常に口金12Bの外周面に向けて付勢されている。なお、口金12Bの外周面上には、静止凹部122B,122B,122B,…が、静止ボール25B,25Bの摺動経路上に、等間隔に設けられている。従って、静止ボール25B,25Bが口金12Bの外周面上を摺動する際、静止凹部122B,122B,122B,…に嵌って静止されることとなる。つまり、使用者はツマミ25,25(レバー24,24)を操作することによって、回動軸23を中心に基板22,22を回動させ、本発明の実施の形態1に係る照明装置の照射領域(ΔW)を調整し、必要とされる所定領域にて基板22,22を静止することが可能となる。再び、前記照明装置の照射領域(ΔW)を調整する場合は、静止ボール25B,25Bを付勢するバネ25C,25Cの付勢力以上の力をツマミ25,25に加え、静止ボール25B,25Bを静止凹部122B,122B,122B,…から引き出し、摺動させれば良い。なお、ツマミ25,25(レバー24,24)の操作が口金12B側にて行われるので、たとえ照明装置の使用中における照射領域の操作であっても、前記照明装置の照射が邪魔されることがない。
【0031】
以下、本発明の実施の形態1に係る照明装置の照射領域(ΔW)の調整例について説明する。図5は、本発明の実施の形態1に係る照明装置の設置例を示す例示図であり、図6は、照射領域(ΔW)の調整前における、基板22,22の状態を示す縦断面図、図7は、照射領域(ΔW)の調整後における、基板22,22の状態を示す縦断面図である。
【0032】
部屋Rは、一つのドアDと、窓とを備えており、ドアDの上方の天井Cであって、ドアDが設けられた側壁W付近には前記照明装置が設置されている。
【0033】
照射領域(ΔW)の調整前においては、図6に示すように、2つの基板22,22の面方向が天井Cと平行に平角をなしており、基板22,22の下面に実装された白色LED21,21,21,…が発する光の内、相当の割合が側壁Wに向かって照射されている。つまり、光の相当の割合が照射を必要としない側壁Wを照らしており、側壁Wから遠いところまで届く光の割合が少なくなり、側壁W付近に光が集中される結果となる。従って、部屋R全体においては明るさの偏中が生じることとなる。
【0034】
一方、照射領域(ΔW)を調整した後においては、図7に示すように、ツマミ25,25(レバー24,24)を操作することによって、2つの基板22,22が鈍角をなし、基板22,22の下面が部屋Rの中央を向かうように回動操作されている。従って、白色LED21,21,21,…が発する光の内、側壁Wを照らす割合を大きく低減させると共に、側壁Wから遠いところまで届く光の割合を大きく増加させている。つまり、照明装置の設置場所に起因する部屋R全体における明るさの偏中を緩和することが出来る。
【0035】
本実施の形態の照明装置のように、LEDといった指向性の強い光源を用いた場合に、本発明は特に好適である。光源の指向性が強い場合には、照射領域は狭く限定されるが、調整部により、照射領域を拡張、縮小、変更する等の調整を容易に行うことができる。
【0036】
上述の実施の形態1においては、駆動部31を発光部2から分離して筐体3内に設けた場合について説明した例について説明したが、これに限るものでなく、基板22,22の上面、つまり白色LED21,21,21,…が実装されていない面に設けるように構成しても良い。
【0037】
上述の実施の形態1においては、回動軸23に回動可能に保持された基板22,22を操作することにより、本発明に係る照明装置の照射領域を調整する場合を例として説明したが、これに限るものでない。例えば、基板22,22を夫々2つの回転軸に固定し、該回転軸を回動させることにより基板22,22を操作し、照射領域の調整を行うように構成しても良い。
【0038】
(実施の形態2)
図8は、本発明の実施の形態2に係る照明装置のランプ1の構成を示す縦断面図であり、図9は、本発明の実施の形態2に係る照明装置の照射領域(ΔW)の調整例を示す例示図である。なお、実施の形態1と同一の部分については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0039】
本発明の実施の形態2に係る照明装置の基板22,22は柔軟性を有するシート状であり、口金12A,12Bの対向方向を長さ方向とする矩形をなしている。また、基板22,22は保護筒11の長さより少し長い長さ及び保護筒2の内径より小さい幅を有している。両基板22,22の何れか一方の長辺部は、口金12A,12Bの底の下側縁部に両端が固定された回動軸23により回動可能に貫通されており、2枚の基板22,22は櫛歯状をなしている。一方、両基板22,22の他方の長辺部は、支持棒26,26により夫々貫通されている。支持棒26,26は基板22,22より長い長さを有し、両端は夫々レバー24,24に回動可能に保持されている。つまり、基板22,22は柔軟性を有するので、回動軸23及び支持棒26,26に夫々両長辺部が貫通され、少し撓んだ状態に保持されている。基板22,22の下面には、複数の白色LED21,21,21,…が実装されている。
【0040】
実施の形態2に係る照明装置は、実施の形態1に係る照明装置と異なり、両口金12A,12Bに夫々2つのツマミ25,25を備えている。詳しくは、各基板22,22の他方の長辺部は、2つの支持棒26,26により夫々貫通されており、各支持棒26,26の両端は、夫々2つのレバー24,24に回動可能に保持されている。つまり、1つの支持棒26当たり2つのレバー24,24が設けられ、該レバー24,24は、両口金12A,12Bに設けられた2つのツマミ25,25に夫々連結されている。従って、2つのツマミ25,25の操作により、一枚の基板22を回動させることが出来る。よって、レバー24、ツマミ25により、光源の指向を制御し、照射領域の変更等の調整を行う調整部を構成する。
【0041】
実施の形態2に係る照明装置においては、照射領域(ΔW)の調整の際、図9に示すように、各基板22,22の撓み状態が変化する。従って、基板22,22に実装されている複数の白色LED21,21,21,…の照射方向も個別的に変更されることとなり、照射領域(ΔW)内の照射における細かい調整が行われることとなる。
【0042】
上述の実施の形態1及び実施の形態2においては、本発明に係る照明装置の照射領域(ΔW)の調整を手動にて行う場合を例として説明したが、これに限るものでなく、遠隔操作装置を備え、該遠隔操作装置からの信号に応じてツマミ25,25(レバー24,24)の操作が行われるように構成してもよい。
【0043】
以上、実施の形態は、LEDを光源とする直管形LEDランプを例示して説明したが、光源はLEDに限定されずに、EL等の他の光源を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施の形態1に係る照明装置を天井に固定した場合の一部縦断面図である。
【図2】図1のII−II線による断面図である。
【図3】図1のIII−III線による断面図である。
【図4】図3の一部を拡大した概略的拡大図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る照明装置の設置例を示す例示図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る照明装置の照射領域(ΔW)の調整前における、基板の状態を示す縦断面図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る照明装置の照射領域(ΔW)の調整後における、基板の状態を示す縦断面図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係る照明装置のランプの構成を示す縦断面図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係る照明装置の照射領域(ΔW)の調整例を示す例示図である。
【符号の説明】
【0045】
1 ランプ
2 発光部
12A,12B 口金
21 白色LED
22 基板
23 回動軸
24 レバー
25 ツマミ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LED、EL等を光源とする照明装置において、
該光源の照射領域を拡張、縮小、変更する等の調整を適宜行い得る調整部を備えてなることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
指向性のある光源を有する照明装置において、
該光源の指向を制御して照射領域の調整を適宜行い得る調整部を備えてなることを特徴とする照明装置。
【請求項3】
前記光源は、前記光源が実装された一又は複数の基板を備え、
各基板は可動に設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
対向配置された2つの口金と、
該口金に両端が固定された一又は複数の軸とを備え、
前記基板は前記軸に平行であって回動可能に保持されていることを特徴とする請求項3に記載の照明装置。
【請求項5】
前記基板は、長方形をなし、
一方の長辺側の縁部が前記軸に保持されていることを特徴とする請求項4に記載の照明装置。
【請求項6】
前記基板を操作する操作部材を、前記口金に設けていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の照明装置。
【請求項7】
前記基板は柔軟性を有することを特徴とする請求項3から請求項6の何れか1項に記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−32511(P2009−32511A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−194930(P2007−194930)
【出願日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】