説明

照明装置

【課題】直下位置に偏ることなく広い範囲に、光をムラを抑えて照射できると共に、天井側等の照明装置の取り付け面側への配光(広配光)も可能な環管形の照明装置を提供する。
【解決手段】環状に並設された複数のLED2と、該複数のLED2からの出射光を透過するケース部材1とを備えた環管形ランプ100であり、複数のLED2は、光軸Sが、床等の被照射面の法線方向に対して、複数のLED2がなす環の径方向外側を向いて傾斜して配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体発光素子を光源とした照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境意識の向上に伴い、白熱電球や蛍光灯に替わる新しい光源として、半導体レーザや発光ダイオード等の固体発光素子が注目されている。特に、発光ダイオード(以下、LEDと記載)は、長寿命で、光変換効率も高く、LEDを光源として使用した照明装置が注目されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、LEDを光源とする環管形の照明装置が開示されている。この照明装置は、複数のLEDが搭載された環状の基板が、上筐体と下筐体とに分離形成された環管状の筐体内に収容されている。ここで、複数のLEDは、筐体における管の軸を含む面と平行に取り付けられている。
【0004】
また、特許文献2には、複数のLEDが搭載された環状の基板の一方を、拡散部材にて覆い、他方に放熱部材を設けた環管形の照明装置が開示されている。これにおいても、複数のLEDは、拡散部材と放熱部材とで構成される環管状の部材における管の軸を含む面と平行に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−135271号公報(2010年6月17日公開)
【特許文献2】特開2010−15713号公報(2010年1月21日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1、2の照明装置では、照明装置の直下位置が極端に明るく、直下位置以外の周囲において暗いといった照度ムラの問題と、天井側へ光が照射されないといった、配光の狭さの問題がある。
【0007】
これは、取り付けられたLEDの光軸の向きに起因する。LEDの光軸とは、LEDの光出射面の法線方向(光出射面に対して垂直な方向)の軸である。LEDからの照射光か、光出射方向が光軸方向である場合に最も輝度が高く、光出射方向が光軸方向から傾くに従い輝度は低下する。
【0008】
上述したように、特許文献1、2の照明装置では、LEDは、環管状の筐体等における管の軸を含む面と平行に取り付けられている。LEDの光出射面がLEDの取り付け面に平行な通常のLEDの場合、LEDの光軸は、床等の主たる被照射面の法線方向と平行となる。そのため、LEDから光軸方向に出射される輝度の最も高い光は、照明装置の直下を照らすこととなり、直下位置の照度が必然的に高くなる。加えて、環管形であるため、光が環の中央部分に集中し、直下位置はこの光によっても照らされるため、さらに照度が高くなる。なお、環の中央部分に集中する光は、LEDより斜めに(光軸方向に対して傾きを持って)出射された輝度の低い光ではあるが、環状に配置された複数のLEDからの光が集中して重なり合うので、極めて明るくなる。これに対し、直下位置の周囲へは、斜めに出射された輝度の低い光がさらに広がって照射されるため、必然的に暗くなってしまう。
【0009】
また、LEDの光軸が主たる被照射面の法線方向を平行をなすように取り付けられた照明装置では、該照明装置が取り付けられている天井等の取り付け面側には光が照射されず、配光が狭くなる。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みなされてものであり、その目的は、直下位置に偏ることなく広い範囲に、光をムラを抑えて照射できると共に、天井側等の照明装置の取り付け面側への配光(広配光)も可能な照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の照明装置は、上記課題を解決するために、環状に並設された複数の固体発光素子と、該複数の固体発光素子からの出射光を透過するケース部材と、を備える照明装置であって、前記複数の固体発光素子は、光軸が被照射面の法線方向に対して該複数の固体発光素子がなす環の径方向外側を向いて傾斜すべく配置されてあることを特徴としている。
【0012】
各固体発光素子から出射される光の輝度は、光出射方向が、固体発光素子の光出射面の法線方向の軸である光軸の方向(光軸方向)ある場合に、輝度が最も高く、光出射方向が、光軸から傾くに従い、徐々に輝度が低下する。上記構成では、複数の固体発光素子は、光軸が被照射面に対して該複数の固体発光素子がなす環の径方向外側を向いて傾斜して配置されているので、各固体発光素子から出射される最も輝度の高い光(光軸方向に出射される光)は、床面等の主たる被照射面の法線方向である照明装置の直下方向に対して、前記環の径方向外側に傾斜して照射される。そのため、光軸方向に出射された最も輝度の高い光を、直下位置の周囲に照射することができる。そして、直下位置においては、各固体発光素子から斜めに(光軸に対して傾きを持って)出射された輝度の低い光が照射されることとなるが、複数の固体発光素子から出射された光が重なり合うので、最も輝度の高い光が照射された周囲の位置に劣らない照度を得ることができる。さらに、各固体発光素子から斜めに(光軸に対して傾きを持って)出射された光は、天井等の照明装置の取り付け面側にも照射されるので、広い配光を実現することができる。
【0013】
これにより、照明装置の直下位置に光を集中させることなく、固体発光素子から出射された光を直下位置の周囲にも効果的に振り分けて、床等の主たる被照射面を広い範囲でムラを抑えて照らすことができると共に、主たる被照射面に対する照度を確保しながら、天井側等の照明装置の取り付け面側への配光(広配光)が可能になる。
【0014】
本発明の照明装置は、さらに、前記複数の固体発光素子は、前記ケース部材を少なくとも一部として構成された環管状体の内部に収容され、照明装置が取り付けられた状態で、前記複数の固体発光素子は、前記環管状体の管の軸を含む面に対して、前記環管状体の環の径方向外側を照明装置の取り付け面側に持ち上げる方向に傾斜させてある構成とすることができる。
【0015】
この場合、複数の固体発光素子は、例えば、前記環管状体の管の軸を含む面に対して、30〜60度の傾きを有している構成とすることができる。
【0016】
上記構成により、光軸が被照射面に対して複数の固体発光素子がなす環の径方向外側を向いて傾斜すべく配置されてなる、上記した本発明の照明装置を容易に実現することができる。
【0017】
この場合、前記環管状体は、環管状の前記ケース部材と、前記複数の固体発光素子からの熱を放熱する環状の放熱部材より構成され、前記放熱部材は、前記ケース部材における当該ケース部材の環の内側部分であって、該環の径方向外側より径方向内側へと曲率を持って傾斜している部分に形成された、当該ケース部材の環に沿った環状の切り欠き部に設けられており、前記環状の放熱部材における外側の面に前記複数の固体発光素子が配置されている構成とすることもできる。
【0018】
これによれば、環管状のケース部材に形成した切り欠き部に、複数の固体発光素子を取り付けた状態の環状の放熱部材を組み付けるだけで構成することができる。したがって、製造が容易であるといった効果を加えて奏する。しかも、放熱部材が照明装置の外面に露出しているので、放熱性が高められ、放熱部材の軽量化が図れ、ひいては照明装置の軽量化が図れる。
【0019】
また、この場合、前記環状の放熱部材の外側の面には、当該放熱部材の環の周方向に連なると共に該環の径方向外側より径方向内側へと傾斜した複数の平坦面が形成されており、該平坦面に前記固体発光素子が配置されている構成とすることが好ましい。
【0020】
環状の放熱部材に複数の固体発光素子を取り付ける場合、環の外側の面に周方向に並べて配置することとなるが、環の周であるため曲率を有しており、固体発光素子を密着させることができない恐れがある。密着させられない場合に、固体発光素子からの熱が放熱部材に効率よく伝えられず、放熱性が低下する。そのため、このような場合は、固体発光素子を放熱部材に密着させるための別部材等、何がしかの工夫が必要となる。
【0021】
これに対し、上記構成によれば、管の外面を環の周方向に連なる複数の平坦面とし、平坦面に固体発光素子が取り付けられているので、固体発光素子を放熱部材に密着させるための別部材等を設けることなく、簡単に密着して配置することが可能となり、放熱性を高めることができる。
【0022】
さらに、この場合、前記複数の固体発光素子は、第1の角度で斜めに配置された組と、第2の角度で斜めに配置された組とを含んでいる構成とすることもできる。
【0023】
これによれば、第1の角度で斜め配置された固体発光素子の組と、第2の角度で斜めに配置された固体発光素子の組とで、最も輝度の高い光が照射される領域、および斜めに出射された輝度の低い光が照射される領域が異なる。したがって、照度のムラをより一層抑えて均一に照らすことができると共に、広配光が可能になる。
【0024】
本発明の照明装置は、上記課題を解決するために、固体発光素子がそれぞれ複数並設して収容され、該固体発光素子からの光を透過するケース部材を少なくとも一部として構成された第1および第2の管状体を備える照明装置であって、前記複数の固体発光素子は、照明装置が取り付けられた状態で前記第1の管状体に収容された固体発光素子の光軸と前記第2の管状体に収容された固体発光素子の光軸とが互いに外側を向いて被照射面の法線方向に対して傾斜すべく配置されていることを特徴としている。
【0025】
これによれば、ケース部材の内部に複数の固体発光素子が並設けられている第1および第2の管状体が、照明装置が取り付けられた状態で、複数の固体発光素子の光軸が互いに外側を向いて被照射面の法線方向に対して傾斜して配置されているので、第1および第2の管状体内部の各固体発光素子から出射される最も輝度の高い光(光軸方向に出射される光)は、床面等の主たる被照射面の法線方向に対して、互いに外側向いて照射される。そのため、光軸方向に出射された最も輝度の高い光を、第1および第2の管状体を有する照明装置の直下位置の両側に照射することができる。そして、照明装置の直下位置においては、第1および第2の管状体内部の各固体発光素子から、互いに内側に向かって斜めに(光軸に対して傾きを持って)出射された輝度の低い光が照射されることとなるが、第1および第2の管状体内部の各固体発光素子から出射された光が重なり合うので、最も輝度の高い光が照射された直下位置の両側に劣らない照度を得ることができる。さらに、第1および第2の管状体内部の各固体発光素子から斜めに(光軸に対して傾きを持って)出射された光は、天井等の照明装置の取り付け面側にも照射されるので、広い配光を実現することができる。
【0026】
これにより、照明装置の直下位置に光を集中させることなく、固体発光素子から出射された光を直下位置の周囲にも効果的に振り分けて、床等の主たる被照射面を広い範囲でムラを抑えて照らすことができると共に、主たる被照射面に対する照度を確保しながら、天井側等の照明装置の取り付け面側への配光(広配光)が可能になる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、照明装置の直下位置に光を集中させることなく、固体発光素子から出射された光を直下位置の周囲にも効果的に振り分けて、床等の主たる被照射面を広い範囲でムラを抑えて照らすことができると共に、主たる被照射面に対する照度を確保しながら、天井側等の照明装置の取り付け面側への配光(広配光)が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1(a)は、本発明の実施の一形態である環管形ランプの平面図であり、図1(b)は、上記環管形ランプの底面図、図1(c)は、上記環管形ランプの側面図である。
【図2】図1(a)のA−A線矢視断面図である。
【図3】図1(b)のB−B線矢視断面図である。
【図4】上記環管形ランプの分解斜視図である。
【図5】上記環管形ランプからの光の配光を模式的に示す説明図であり、環管形ランプにおける、環の中心を挟んで右側と左側に位置する2つのLEDに着目してそれらの配光を示している。
【図6】上記環管形ランプにおいて、直下位置と周囲位置との照度を同等とすることができた一実施例を模式的に示す説明図である。
【図7】図7(a)および図7(b)はそれぞれ、本実施形態の変形例の環管形ランプの構成を示す断面図である。
【図8】本発明の実施の他の形態の照明装置の構成を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0030】
図1〜図4は、本発明に係る本実施形態の照明装置である環管形ランプ100を示している。このうち、図1(a)は、環管形ランプ100の平面図であり、図1(b)は、環管形ランプ100の底面図、図1(c)は、環管形ランプ100の側面図である。当該環管形ランプ100が図示しない照明器具等に取り付けられた状態では、底面図にて示した側が、床等の主たる被照射面を向き、平面図にて示した面が、天井等の当該環管形ランプ100の取り付け面を向く。また、図2は、図1(a)のA−A線矢視断面図であり、図3は、図1(b)のB−B線矢視断面図である。そして、図4は、環管形ランプ100の分解斜視図である。
【0031】
本実施形態の環管形ランプ100は、図1〜図4の何れかに示すように、環管状体14と、環管状体14内部に収容された複数のLED(固体発光素子)2と、複数のLEDを搭載したLED基板3と、LED2の熱を放熱するヒートシンク(放熱部材)6と、口金12とを備えている。
【0032】
環管状体14は、少なくとも一部がケース部材1よりなる環管状の部材であり、内部に複数のLED2を収容するものである。本実施形態では、環管状体14は、ケース部材1とヒートシンク6の一部よりなる。環管状体14の大部分を構成する環管状のケース部材1は、ポリカーボネート等の透光性を有する合成樹脂から形成されており、LED2から出射された光を、拡散しつつ透過させるものである。環管状体14においては、このケース部材1よりなる部分が、LED2からの光を拡散しつつ透過する発光面となる。
【0033】
ケース部材1には、図4に示すように、口金16を取り付ける部分に、口金16を取り付けるための開口11aと、電源基板15を挿入するための開口11bとが形成されている。口金12は電源基板15と配線により接続されており、商用電源を電源基板15へ給電するものである。電源基板15は給電された商用電源を、発光部のLED2が必要とする直流電流/直流電圧へ変換し、LED2へ給電するものである。ケース部材1には口金16の形状に合わせた形で開口11aが設けられており、組立時、当該開口11aに口金16は挿入される。また、ケース部材1には、ケース部材1の環に沿った環状の切り欠き部11cが形成されており、この切り欠き部11cに、複数のLED2が搭載された環状のヒートシンク6が取り付けられている。ケース部材1に設けられた開口11bより挿入された電源基板15は、ケース上蓋12で開口11bを覆うことにより、ケース部材1内に封入される。
【0034】
なお、図2では、環管状体14の管の伸びる方向と直交する方向の断面形状が円形状をなす例を示しているが、断面形状は楕円形状であってもよい。また、環管状体14は、全てがケース部材1より構成されていてもよい。但し、その場合には、複数のLED2が搭載された環状のヒートシンク6を、ケース部材1内部に収容するために、ケース部材を当該ケース部材の管の軸を含む面と平行に上下に分離して形成する必要がある。
【0035】
ヒートシンク6は、LED2で発生した熱を逃がすための部材であり、材質としては、熱伝導性に優れかつ軽量でもある、アルミニウムが専ら利用されている。本実施形態では、上述したように、ヒートシンク6は、ケース部材1に形成された切り欠き部11cに取り付けられることで、環管状体14の一部を構成する。このようなヒートシンク6は、環管状体14(ケース部材1)における管の伸びる方向のほぼ全域に配置されるため、放熱部材としての機能に加えて、環管状体14(ケース部材1)の形状を保持する、環管形ランプ100の構造体としても機能するものである。
【0036】
複数のLED2は、このようなヒートシンク6に搭載された環管形ランプ100の光源である。複数のLED2は、ヒートシンク6上に所定間隔で並ぶように環状に配置されている。そして、複数のLED2は、図2に示すように、LED2の光軸Sが、床等の被照射面の法線方向に対して、複数のLED2がなす環(ヒートシンク6の環)の径方向外側を向くように傾斜して配置されている。複数のLED2を、このように配置することで、床等の主たる被照射面を広い範囲で照度のムラを抑えて照らすことができると共に、主たる被照射面に対する照度を確保しながら、天井側等の環管形ランプ100の取り付け面側への配光(広配光)が可能になる。これについては後述する。
【0037】
また、LED2は、LED基板3を介してヒートシンク6上に配置されている。LED基板3は、たとえばガラスエポキシ樹脂製であり、表面には図示しない配線が形成されている。複数のLED2は、該配線によって、電源基板15と接続されている。LED2としては、たとえば表面実装用のパッケージ型に構成された白色LEDが好適に用いられる。なお、図中、参照符号9にて示すものは、各LED2の保持体である。
【0038】
口金12は、電源基板15と、当該環管形ランプ100が取り付けられる図示しない照明器具側から伸びる配線とを電気的に接続するものである。本実施形態の環管形ランプ100では、電源基板15を備えた構成としているが、電源基板15に替えて、従来からある環管形の蛍光照明器具からの給電にて、複数のLED2が点等するような部材を具備させることで、従来からある環管形の蛍光照明器具に、環管形蛍光ランプに替えて使用できる構成とすることもできる。
【0039】
次に、図2、図4を用いて、ケース部材1に形成された切り欠き部11c、該切り欠き部11cに取り付けられるヒートシンク6、およびこれらの組み付け方について説明する。
【0040】
切り欠き部11cは、ケース部材1における当該ケース部材1の環の内側部分であって、該環の径方向外側より径方向内側へと曲率を持って傾斜している部分に形成されている。換言すると、切り欠き部11cは、ケース部材1における、当該ケース部材1を当該ケース部材1の管の軸を含む面に沿って2分したうちの当該環管形ランプ100の取り付け面(天井)側かつ当該ケース部材1の環の内周側に形成されている。そして、上述したように、切り欠き部11cは、当該ケース部材1の環に沿った環状に形成されている。
【0041】
このような切り欠き部11cに取り付けられるヒートシンク6も、切り欠き部11cに取り付けられることで、環管状体14の一部となるような環状に形成されている。そして、ヒートシンク6は、図2に示されるように、環管状体14の一部となるような曲面よりなる露出面6aを有しており、この露出面6aが、外気に直接接触することでLED2の熱を外気へ逃がす熱交換部として機能する。ヒートシンク6における露出面6a側とは逆側の面は、LED2の配置面6bとなっている。この配置面6bは、環管状体14の管の軸Xを含む面Y(図中一点鎖線)に対して、環管状体14の環の径方向外側を当該環管形ランプ100の取り付け面(天井側)側に持ち上げる方向に傾斜している。
【0042】
上記ヒートシンク6は、中空の円錐を円の径方向に沿って輪切りにした形状を有しているとも表現できる。輪切りにした環状体の外側のテーパー面が配置面6bであり、複数のLED2がLED基板3を介して配置面6bに取り付けられている構成である。
【0043】
電気基板15および口金16は、複数のLED2が搭載されたLED基板3に電気的かつ機械的に接続されており、LED基板3がヒートシンク6に固定されることで、ヒートシンク6と一体ものとして扱うことができる。
【0044】
このような構成では、環管状のケース部材1に形成した切り欠き部11cに、電気基板15および口金16並びに複数のLED2が取り付けられた状態の環状のヒートシンク6を組み付け、その後、ケース上蓋12を嵌め込むことで、環管形ランプ100を製造することができる。したがって、環管状のケース部材1内部に環管のヒートシンク6が収容された構成であっても、製造し易いといったメリットがある。しかも、ヒートシンク6の露出面6aが環管形ランプ100の外面に露出しているので、放熱性が高められ、放熱部材の軽量化が図れ、ひいては照明装置の軽量化が図れる。
【0045】
ところで、放熱性を確保するためには、LED2をLED基板3を介してヒートシンク6に密着させる必要がある。しかしながら、環状のヒートシンク6において、配置面6bは、環の周であるため曲率を有しており、環の径が小さい場合、LED2を密着させることができない恐れがあり、LED2をヒートシンク6に密着させるための別部材等、何がしかの工夫が必要となる。
【0046】
そこで、本実施形態では、図3に示すように、ヒートシンク6におけるLED2の配置面6bは、環の周方向に連なる、環の径方向外側より径方向内側へと傾斜した複数の平坦面6cに加工されており、該平坦面にLED2を配置している。これにより、LED2をヒートシンク6に密着させるための別部材等を設けることなく、簡単に密着して配置することが可能となり、放熱性を高めることができる。
【0047】
但し、配置面6bの曲率が、問題にならない程に、ヒートシンク6の環のサイズが大きい場合には、このような平坦面6cに加工する必要はない。
【0048】
次に、ヒートシンク6に取り付けられている複数のLED2の向きについて説明する。
【0049】
上述したように、ヒートシンク6におけるLED2の配置面6bは、環管状体14の管の軸Xを含む面Y(図中一点鎖線)に対して、環管状体14の環の径方向外側を当該環管形ランプ100の取り付け面(天井側)側に持ち上げる方向に傾斜している(図2参照)。
【0050】
そのため、配置面6bに取り付けられたLED2の光軸(光出射面の法線方向の軸)Sも、被照射面の法線方向である環管形ランプ100の直下方向ではなく、直下方向よりも環管状体14の環の径方向外側に傾斜した方向を向いて配置される。なお、環管形ランプ100が、床面等に平行な天井面に取り付けられた状態では、環管形ランプ100の直下方向は、環管状体14の軸Xを含む面Yの法線方向となる。
【0051】
LED2を、その光軸Sが、直下方向ではなく、直下方向に対して環管状体14の環の径方向外側に傾斜した方向を向くように配置することで、環管形ランプ100の直下位置に光を集中させることなく、LED2から出射された光を直下位置の周囲にも効果的に振り分けることができる。その結果、床等の主たる被照射面を広い範囲で照度のムラを抑えて照らすことができると共に、主たる被照射面に対する照度を確保しながら、天井側等の環管形ランプ100の取り付け面側への配光(広配光)が可能になる。
【0052】
図5に、環管形ランプ100からの光の配光を示す。なお、図5では、環管形ランプ100における、環の中心を挟んで右側と左側に位置する2つのLED2R・2Lに着目して示している。
【0053】
LED2から出射される光は、光軸方向に出射される光、つまり、LED2の光出射面の法線方向に出射される光が、最も輝度が高い。そして、光の出射される角度が光軸より傾くに従い、つまり、前記法線方向に対して成す角度が大きくなるに従い、徐々に輝度が低下する。
【0054】
LED2R・2Lの場合、上述ように斜め向きに取り付けられているので、各LED2R・2Lから光軸方向に出射された最も輝度の高い光L1は、床面等の主たる被照射面に対して、環管状体14の管の軸Xを含む面Y(一点鎖線)の法線方向Z(二点鎖線)、つまり、環管形ランプ100の直下方向よりも、環管状体14の環の径方向外側に傾斜して出射される。つまり、LED2Rから出射された最も輝度の高い光L1は、直下位置P1よりも右側にずれた周囲位置P3に照射され、LED2Lから出射された最も輝度の高い光L1は、直下位置P1よりも左側にずれた周囲位置P2に照射される。この直下位置P1から左右へのずれ量は、配置面6bにおける、前記面Y(一点鎖線)に対してなす角度θ(傾斜角)が大きくなるほど大きくなり、直下位置P1周囲のより広い範囲に照射することができる。
【0055】
このように、上記のようにLED2を斜めに取り付けることで、最も輝度の高い光L1を、直下位置P1の周囲に対して照射することができ、より直下位置P1から離れた範囲に光を出射することができるので、最も輝度の高い光L1が直下位置P1に照射されていた構成に比して、照射範囲を広げることができる。
【0056】
一方、直下位置P1には、LED2R・2Lから斜めに出射された輝度が光軸方向に比較して低い光が照射されることとなるが、LED2R・2Lから出射された光が直下位置P1で重なり合うので、最も輝度の高い光L1が照射された周囲位置P2・P3に劣らない照度を得ることができる。
【0057】
加えて、LED2R・2Lから光軸方向に対して斜めに出射された光は、天井等の環管形ランプ100の取り付け面側にも照射されるので、天井側も照らすことができ、広配光を実現することができる。
【0058】
なお、図示してはいないが、直下位置P1と周囲位置P2、P3の間には、輝度が最も高い光と最も低い間に含まれる光が照射される。また、上記した光L1、L2、L3は、何れも、ケース部材1にてその一部は拡散され、拡散された光は種々の方向へ照射される。
【0059】
図6に、環管形ランプ100において、直下位置P1と周囲位置P2、P3の間の照度を同等とすることができた一例を示す。図6の例では、環管状体14における管の軸Xの床面からの高さ2200mm、LED2の傾斜角θを45度、環管状体14における軸間距離(軸Xと軸Xとの間の距離)を373mmとしている。なお、主たる被照射面の照度は、LED2の配置、LED2をなすLEDデバイスの配光特性、環管状体14をなすケース部材1のカバーの透過率/分散度(拡散度)、ケース部材1の管の内径、環管状体14の床面からの距離、環管状体14の径等により、制御することができる。
【0060】
図7(a)、図7(b)に、本実施形態の変形例の環管形ランプ100A・100Bを示す。図7(a)、図7(b)は、環管状体14の管の軸Xに垂直な方向の断面形状を示している。
【0061】
環管形ランプ100Aは、先の環管形ランプ100よりも幅広のヒートシンク6Aを備えており、配置面6bに、LED2が複数列(図では2列)で搭載されている。LED2を複数列配置とすることで、一列配置よりも多数のLED2を搭載することができるので照度を上げることができる。また、LED2を、白色と昼白色との2色を組み合わせて用いたりすることもできる。なお、一列配置において、2色の組合せももちろん可能である。
【0062】
環管形ランプ100Bは、先の環管形ランプ100よりも幅広で、かつ、LED2の配置面6bとして、前記した角度θ(環管状体14の管の軸Xを含む面Yに対してなす角度θ)が異なる複数の面(図では2面)有した、ヒートシンク6Bを備えている。配置面6b−1と配置面6b−2とは、例えば120度の角度をなし、軸Xにその中心を合わせて、軸Xを含む面Yに対して中心が45度の位置になるように設けられている。この場合、配置面6b−1は前記角度θであるθ1(第1の角度)が15度に、配置面6b−2は、前記角度θであるθ2(第2の角度)が75度に設定されている。
【0063】
これらの場合も、上記したLED2の配置は、LED2をなすLEDデバイスの配光特性、ケース部材1の透過率/分散度(拡散度)、ケース部材1の内径等により最適配置が決まる。
【0064】
特に、環管形ランプ100Bによれば、第1の角度で斜め配置されたLED2の組と、第2の角度で斜めに配置された固体発光素子の組との2組とで、光軸方向に出射された最も輝度の高い光が照射される領域、および光軸から傾いて斜めに出射された輝度の低い光が照射される領域が異なるので、より一層照度のムラを抑えて均一に照らすことができると共に、広配光が可能になる。
【0065】
最後、図8を用いて、環管形の照明装置に限らず、ケース部材61を介して光が照射されるLED2を複数備えた照明装置であれば、複数のLED2を斜めに取り付けると共に、その角度を、ケース部材1を介して主たる被照射面に照射された場合の照度を基に、光軸方向に出射される光と比較して輝度の低い光同士が重なり合うことで、被照射面における輝度の最も高い光が照射される領域と同等の照度となるように設定することで、光を有効に照射して、照度ムラを抑えながら広配光の照明装置を実現することができる点について説明する。
【0066】
図8は、例えば、内部に複数のLED2が並設された2本の直管形の直管形ランプ101・102を備えた照明装置であり、2本の直管形の直管形ランプ101・102の内部に配置されたLED2が、直下位置よりも互いに外側を向くように斜めに、保持部材70に取り付けられた構成を示している。
【0067】
直管形ランプ101・102は、取り付けられた状態で、直管形ランプ101のケース部材61内部に収容されたLED2の光軸と、直管形ランプ102のケース部材61内部に収容されたLED2の光軸を、直下方向ではなく、互いに外側を向いて被照射面に対して傾斜するよう配置されている。
【0068】
このような構成とすることで、直管形ランプ101・102の各LED2から光軸方向に出射される最も輝度の高い光L1は、床面等の主たる被照射面に対して、互いに外側向いて照射される。そのため、最も輝度の高い光L1を、直管形ランプ101・102を備えた照明装置の直下位置の両側に照射することができる。そして、直管形ランプ101・102を備えた照明装置の直下位置においては、直管形ランプ101・102の各LED2から、斜めに(光軸に対して傾きを持って)出射された輝度の低い光が照射されることとなるが、これらが重なり合うので、最も輝度の高い光が照射された直下位置の両側に劣らない照度を得ることができる。さらに、直管形ランプ101・102の各LED2から、斜めに出射された光は、天井等の照明装置の取り付け面側にも照射されるので、広い配光を実現することができる。
【0069】
これにより、照明装置の直下位置に光を集中させることなく、LED2から出射された光を直下位置の周囲にも効果的に振り分けて、床等の主たる被照射面を広い範囲でムラを抑えて照らすことができると共に、主たる被照射面に対する照度を確保しながら、天井側等の照明装置の取り付け面側への配光(広配光)が可能になる。
【0070】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0071】
1 ケース部材
2 LED
2R・2L LED
3 LED基板
6 ヒートシンク
6A ヒートシンク
6B ヒートシンク
6a 露出面
6b 配置面
6b−1 配置面
6b−2 配置面
6c 平坦面
11c 切り欠き部
12 ケース上蓋
14 環管状体
15 電源基板
16 口金
61 ケース部材
70 保持部材
100A・100B 環管形ランプ
101・102 直管形ランプ
P1 直下位置
P2・P3 周囲位置
Z 法線方向
θ 傾斜角
S 光軸
L1 光軸方向に出射された光
L2 光軸に対して傾きをもって出射された光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状に並設された複数の固体発光素子と、
該複数の固体発光素子からの出射光を透過するケース部材と、を備える照明装置であって、
前記複数の固体発光素子は、光軸が被照射面の法線方向に対して、該複数の固体発光素子がなす環の径方向外側を向いて傾斜すべく配置されてあることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記複数の固体発光素子は、前記ケース部材を少なくとも一部として構成された環管状体の内部に収容され、
照明装置が取り付けられた状態で、前記複数の固体発光素子は、前記環管状体の管の軸を含む面に対して、前記環管状体の環の径方向外側を照明装置の取り付け面側に持ち上げる方向に傾斜させてあることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記環管状体は、環管状の前記ケース部材と、前記複数の固体発光素子からの熱を放熱する環状の放熱部材より構成され、前記放熱部材は、前記ケース部材における当該ケース部材の環の内側部分であって、該環の径方向外側より径方向内側へと曲率を持って傾斜している部分に形成された、当該ケース部材の環に沿った環状の切り欠き部に設けられており、前記環状の放熱部材における外側の面に前記複数の固体発光素子が配置されていることを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記環状の放熱部材の外側の面には、当該放熱部材の環の周方向に連なると共に該環の径方向外側より径方向内側へと傾斜した複数の平坦面が形成されており、該平坦面に前記固体発光素子が配置されていることを特徴とする請求項3に記載の照明装置。
【請求項5】
前記固体発光素子は、前記環管状体の管の軸を含む面に対して、30〜60度の傾きを有していることを特徴とする請求項2から4の何れか1項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記複数の固体発光素子は、第1の角度で斜めに配置された組と、第2の角度で斜めに配置された組とを含んでいることを特徴とする請求項2〜5の何れか1項に記載の照明装置。
【請求項7】
固体発光素子がそれぞれ複数並設して収容され、該固体発光素子からの光を透過するケース部材を少なくとも一部として構成された第1および第2の管状体を備える照明装置であって、
前記複数の固体発光素子は、照明装置が取り付けられた状態で前記第1の管状体に収容された固体発光素子の光軸と前記第2の管状体に収容された固体発光素子の光軸とが互いに外側を向いて被照射面の法線方向に対して傾斜すべく配置されていることを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−4213(P2013−4213A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131590(P2011−131590)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】