説明

照明装置

【課題】 広範囲を照らすことが可能な照明装置であって、各半導体発光素子の消費電力を抑えることで、製品寿命を長くすることが可能な照明装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 照明装置1であって、開口部Hを有するフレーム2と、フレーム2内に設けられた、第1半導体発光素子3が設けられる第1実装面R1および第2半導体発光素子4が設けられる第2実装面R2を有し、第1実装面R1および第2実装面R2が開口部Hに向かって配置され、且つ断面視して第1実装面R1と第2実装面R2とが交差するとともに、当該交差個所に凹部Cが形成された屈曲基板5と、開口部Hの縁に沿って設けられた、屈曲基板5を覆う透光性カバー6と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光素子を含む照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)等の半導体発光素子を光源とする照明装置の開発が進められている。そして、複数の半導体発光素子を設けることで、広範囲を照らし出すことが可能な照明装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。ところが、一つの基板に複数の半導体発光素子を実装した場合は、半導体発光素子が発光時に発生する熱が、隣接する半導体発光素子に伝えわることで、熱が伝わった半導体発光素子の輝度が変化し、ひいては発光効率が低下するとともに消費電力が大きくなり、製品寿命が短くなる虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−200102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、広範囲を照らすことが可能な照明装置であって、各半導体発光素子の消費電力を抑えることで、製品寿命を長くすることが可能な照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態に係る照明装置は、開口部を有するフレームと、前記フレーム内に設けられた、第1半導体発光素子が設けられる第1実装面および第2半導体発光素子が設けられる第2実装面を有し、前記第1実装面および前記第2実装面が前記開口部に向かって配置され、且つ断面視して前記第1実装面と前記第2実装面とが交差するとともに、当該交差個所に凹部が形成された屈曲基板と、前記開口部の縁に沿って設けられた、前記屈曲基板を覆う透光性カバーと、を備えている。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、広範囲を照らすとともに、各半導体発光素子の消費電力を抑えることで、製品寿命を長くすることが可能な照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態に係る照明装置の平面図である。
【図2】図1に示す照明装置のX−X’に沿った断面図である。
【図3】図2に示した照明装置のフレームを示す断面図である。
【図4】図2に示す照明装置の一部Aを拡大した断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る照明装置の屈曲基板を示した概観斜視図である。
【図6】図5に示す屈曲基板のY−Y’に沿った断面図である。
【図7】照明装置を構成する半導体発光素子の内部を示した概観斜視図である。
【図8】図7に示す半導体発光素子のZ−Z’に沿った断面図である。
【図9】一変形例に係る照明装置の断面図であって、図2の断面に相当する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる照明装置の実施形態を説明する。なお、本
発明は以下の実施形態に限定されないものである。
【0009】
図1は、照明装置の平面視した平面図であって、一対のライン上のそれぞれに、複数の半導体発光素子の光源が並んでいる。図2は、照明装置の内部を示した断面図である。図3は、照明装置の内部の構成を取り外したフレームを示している。図4は、照明装置の一部を拡大した断面図であって、フレームに屈曲基板を取り付けた個所を示している。図5は、屈曲基板のみを示した概観斜視図である。図6は、屈曲基板の断面図であって、半導体発光素子と屈曲基板との配置関係を示している。図7は、半導体発光素子の内部を示した概観斜視図である。図8は、半導体発光素子の内部を示した断面図である。
【0010】
<照明装置の構成>
照明装置1は、天井または壁等の室内に直接取り付けるか、あるいは、屋外にて使用するものである。そして、照明装置1から発せられる光は、室内または屋外を照らすことができる。
【0011】
照明装置1は、開口部Hを有するフレーム2と、フレーム2内に設けられた、第1半導体発光素子3が設けられる第1実装面R1および第2半導体発光素子4が設けられる第2実装面R2を有し、第1実装面R1および第2実装面R2が開口部Hに向かって配置され、且つ断面視して第1実装面R1と第2実装面R2とが交差するとともに、当該交差個所に凹部Cが形成された屈曲基板5と、開口部Hの縁に沿って設けられた、屈曲基板5を覆う透光性カバー6と、を備えている。
【0012】
フレーム2は、各部材を保持する機能と、各半導体発光素子の発する熱を外部に放散させる機能を有している。フレーム2は、例えば、アルミニウム、銅またはステンレス等の金属、プラスチップまたは樹脂等から構成され、平面視して直方体形状であって、開口部Hを有している。そして、開口部H内に、屈曲基板5、リフレクター7が設けられており、開口部Hの縁に透光性カバー6が設けられている。
【0013】
また、フレーム2の外形は、略円筒状の筒体の一部を当該筒の長手方向に沿って開口したものである。フレーム2は、平面視したときに一辺の長さが、例えば200mm以上2000mm以下に設定されている。フレーム2は、図2に示すように、上下方向の長さが、例えば20mm以上50mm以下に設定されている。
【0014】
フレーム2は、半導体発光素子の発する熱を効率よく外部に放散することによって、フレーム2内の温度が高温になるのを抑制することができ、フレーム2内に設置されるリフレクター7の反射率や透光性カバー6の透過率が熱によって低下するのを抑えることができる。フレーム2の熱伝導率は、例えば、10W/m・K以上500W/m・K以下で設定されている。
【0015】
フレーム2の開口部Hの縁に、透光性カバー6を保持する保持部21が設けられている。また、フレーム2の内壁面には、内方に向かって突出する凸部22が設けられている。凸部22は、リフレクター7を引掛けるものである。また、フレーム2の内壁面に屈曲基板5が一体化して固定されている。
【0016】
保持部21は、開口部Hの縁に設けられた、透光性カバー6の厚み分の大きさに切り欠いた溝であって、透光性カバー6を平面方向にスライドさせて嵌め合わせることができる。そして、保持部21は、透光性カバー6を嵌め合わせた状態で、透光性カバー6が落下しないように支持することができる。
【0017】
透光性カバー6は、フレーム2の開口縁に設けられる。フレーム2の屈曲基板5に半導
体発光素子を設けた状態で、透光性カバー6をフレーム2に嵌め合わせることで、フレーム2内の各半導体発光素子を外部から保護することができる。なお、透光性カバー6は、半導体発光装置3から発せられる光が透過する材料からなり、例えば樹脂またはガラス等の光透光性の材料から構成される板体である。
【0018】
凸部22は、下方から上方に向かってリフレクター7を嵌め合わせて、リフレクター7の端部を引掛けることができる。凸部22は、リフレクター7を嵌め合わせた状態で、リフレクター7が落下しないように引っ掛けることができる。
【0019】
リフレクター7は、屈曲基板5と透光性カバー6の間に設けられている。そして、リフレクター7は、フレーム2の内壁面に設けられた凸部22に引掛けて設けられ、各半導体発光素子のそれぞれと対応する個所に導光孔7hが設けられている。
【0020】
リフレクター7は、各半導体発光素子の側面を取り囲むように設けられている。リフレクター7は、各半導体発光素子から出射された光を反射させるものであり、例えば、アルミ二ウム、銅またはステンレス等の熱伝導性の優れた良導体から構成されている。また、リフレクター7は、金型によって成型されたポリカーボネート樹脂から成るリフレクター7の内壁面に、アルミニウムを蒸着することによって構成されてもよい。なお、リフレクター7の熱伝導率は、例えば、10W/m・K以上500W/m・K以下で設定されている。
【0021】
リフレクター7の導光孔7hは、各半導体発光素子からリフレクター7の出射口に向かうにつれて広がって形成されている。リフレクター7は、いわゆるパラボラ形状の円筒体である。リフレクター7で囲まれる領域が、リフレクター7の出射口に向かうにつれて大きくなることで、リフレクター7によって各半導体発光素子から水平方向に発する光を透光性カバー6の方向に反射させることができるとともに、各半導体発光素子から透光性カバー6の方向に発する光を遮りにくくすることができ、各半導体発光素子の発する光の照射面を明るくすることができるとともに広くすることができる。
【0022】
リフレクター7は、導光孔7hが外方に向かって広がるように形成されており、リフレクター7の端部は、屈曲基板5に向かって折れ曲った引掛部71が設けられている。その引掛部71が、フレーム2の凸部22に引っ掛けられる。
【0023】
屈曲基板5は、フレーム2の内壁面に固定されている。屈曲基板5は、複数の半導体発光素子を設けることができる。屈曲基板5は、矩形状の板体を長手方向に沿って折れ曲げて形成したものである。折れ曲げる前の矩形状の板体は、一辺の長さが、例えば20mm以上2000mm以下であって、その厚みは、例えば0.5mm以上2mm以下に設定されている。
【0024】
屈曲基板5は、図2に示すように、下方に向かって第1実装面R1および第2実装面R2が開口部Hに向かって配置されている。凹部Cは、屈曲基板5の第1実装面R1および第2実装面R2が設けられる側とは反対の裏面側に位置している。そして、凹部Cは、屈曲基板5の長手方向に沿って溝となるように形成されている。
【0025】
凹部Cは、図2に示すように、上下方向の深さが、例えば0.2mm以上1.5mm以下に設定されている。また、凹部Cは、図2に示すように、平面方向の大きさが、例えば0.2mm以上1.5mm以下に設定されている。また、凹部Cは、平面視したときの長さが、例えば100mm以上2000mm以下に設定されている。
【0026】
屈曲基板5の第1実装面R1および第2実装面R2には、第1半導体発光素子3を実装
する実装基板8が設けられている。実装基板8は、直方体形状であって、その長手方向寸法がフレーム2の開口部Hと略同じ長さを有した長尺の板体である。実装基板8は、例えば、樹脂からなるプリント配線基板等の樹脂基板、あるいは開口部H側の一面に配線パターンが形成されたガラス基板、あるいはアルミ基板等の金属板が用いられる。そして、実装基板8に複数の半導体発光素子を実装することができる。
【0027】
実装基板8および屈曲基板5のそれぞれには、両者を貫通する螺子孔が設けられており、螺子9を介して実装基板8と屈曲基板5とを固定することができる。実装基板8には、複数の半導体発光素子が等間隔に実装されている。
【0028】
屈曲基板5の裏面には、実装基板8を介して各半導体発光素子を駆動する駆動部10が設けられている。駆動部10は、屈曲基板5の一部に孔を空けて当該孔から配線を引き回して、実装基板8と電気的に接続されている。
【0029】
駆動部10は、各半導体発光素子と電気的に接続されている。駆動部10は、外部電源と電気的に接続されており、外部電源から電気が供給される。なお、駆動部10の設けられる箇所は、半導体発光装置3の発光素子33と電気的に接続されるのであれば、例えば第1実装面R1または第2実装面R2側に設けられてもよい。
【0030】
<半導体発光素子の構成>
半導体発光素子は、基板31と、基板31上に設けられる発光チップ32と、発光チップ32を取り囲む枠体33と、枠体33で囲まれる領域に設けられる封止樹脂34と、枠体33によって支持され、接着樹脂35を介して枠体33に接続される波長変換部材36を備えている。
【0031】
発光チップ32は、例えば、発光ダイオードであって、発光チップ32内のpn接合中の電子と正孔が再結合することによって、発光チップ32から外部に向かって光として放出される。なお、発光チップ32は、指向性が優れている。
【0032】
基板31は、実装基板8上に設けられる。実装基板8と基板31とは、半田または導電性接着剤を介して電気的に導通されるように接合される。基板31は、例えば、アルミナ、ムライトまたはガラスセラミックス等のセラミック材料、あるいはこれらの材料のうち複数の材料を混合した複合系材料から構成することができる。また、基板31は、金属酸化物微粒子を分散させた高分子樹脂を用いることができる。
【0033】
基板31の表面が拡散面である場合、発光チップ32から発せられる光が、基板31の表面にて照射されて拡散反射する。そして、発光チップ32が発する光を拡散反射によって多方向に放射し、発光チップ32から発せられる光が特定箇所に集中するのを抑制することができる。
【0034】
ここで、基板31には、配線導体が設けられており、配線導体を介して実装基板8と電気的に接続されている。配線導体は、例えば、タングステン、モリブデン、マンガンまたは銅等の導電材料からなる。配線導体は、例えば、タングステン等の粉末に有機溶剤を添加して得た金属ペーストを、基板31に所定パターンで印刷することにより得られる。
【0035】
発光チップ32は、基板31上であって実装領域Rに実装される。具体的には、発光チップ32は、基板31上に形成される配線導体上に、例えば、半田または導電性接着剤等の接着材料、あるいはボンディングワイヤ等を介して電気的に接続される。
【0036】
発光チップ32は、サファイア、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、シリコ
ンカーバイド、シリコンまたは二ホウ化ジルコニウム等の基体に有機金属気相成長法または分子線エピタキシャル成長法等の化学気相成長法を用いて、半導体層を成長させることによって作製される。なお、発光チップ32の厚みは、例えば30μm以上1000μm以下である。
【0037】
発光チップ32は、第1半導体層と、第1半導体層上に形成される発光層と、発光層上に形成される第2半導体層と、から構成されている。第1半導体層、発光層および第2半導体層は、例えば、III族窒化物半導体、ガリウム燐またはガリウムヒ素等のIII−V族半導体、あるいは、窒化ガリウム、窒化アルミニウムまたは窒化インジウム等のIII族窒化
物半導体などを用いることができる。なお、第1半導体層の厚みは、例えば、1μm以上5μm以下である。発光層の厚みは、例えば、25nm以上150nm以下である。第2半導体層の厚みは、例えば、50nm以上600nm以下である。また、このように構成された発光チップ32では、例えば、370nm以上420nm以下の波長範囲の励起光を発することができる。
【0038】
基板31上には、発光チップ32を取り囲むように枠状の枠体33が設けられている。枠体33は、基板31上に例えば半田または接着剤を介して接続される。枠体33は、セラミック材料であって、例えば酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウムまたは酸化イットリウム等の多孔質材料からなる。枠体33は、多孔質材料からなり、枠体33の表面は微細な孔が多数形成される。
【0039】
枠体33は、発光チップ32と間を空けて、発光チップ32の周りを取り囲むように形成されている。また、枠体33は、傾斜する内壁面が下端から上端に従い外方に向かって広がるように形成されている。そして、枠体33の内壁面が、発光チップ32から発せられる励起光の反射面として機能する。また、枠体33の内壁面が拡散面である場合には、発光チップ32から発せられる光が、枠体33の内壁面にて拡散反射する。そして、発光チップ32から発せられる光が特定箇所に集中するのを抑制することができる。
【0040】
また、枠体33の傾斜する内壁面は、例えば、タングステン、モリブデン、銅または銀等から成る金属層と、金属層を被覆するニッケルまたは金等から成る鍍金金属層を形成してもよい。この鍍金金属層は、発光チップ32の発する光を反射させる機能を有する。なお、枠体33の内壁面の傾斜角度は、基板31の上面に対して例えば55度以上70度以下の角度に設定されている。
【0041】
枠体33で囲まれる領域には、封止樹脂34が充填されている。封止樹脂34は、発光チップ32を封止するとともに、発光チップ32から発せられる光が透過する機能を備えている。封止樹脂34は、枠体33の内方に発光チップ32を収容した状態で、枠体33で囲まれる領域であって、例えば、シリコーン樹脂、アクリル樹脂またはエポキシ樹脂等の透光性の絶縁樹脂が用いられる。
【0042】
波長変換部材36は、枠体33に支持されるとともに、発光チップ32と間を空けて対向するように設けられる。つまり、波長変換部材36は、発光チップ32を封止する封止樹脂34と空隙を介して枠体33に設けられる。
【0043】
波長変換部材36は、接着樹脂35を介して枠体33に接合されている。接着樹脂35は、波長変換部材36の下面の端部から波長変換部材36の側面、さらに波長変換部材36の上面の端部にかけて被着している。
【0044】
接着樹脂35は、例えば、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シアネート樹脂、シリコーン樹脂またはビスマレイミドトリアジン樹脂等の熱硬化性
樹脂を使用することができる。また、接着樹脂35は、例えば、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂またはポリフェニレンエーテル樹脂等の熱可塑性樹脂を使用することができる。
【0045】
接着樹脂35の材料は、枠体33の熱膨張率と波長変換部材36の熱膨張率との間の大きさの熱膨張率の材料を選択される。接着樹脂35の材料として、このような材料を選択することで、枠体33と波長変換部材36とが熱膨張するときに、両者の熱膨張率の差に起因して、両者が剥離しようとするのを抑制することができ、両者を良好に繋ぎ止めることができる。
【0046】
接着樹脂35が、波長変換部材36の下面の端部にまで被着することで、接着樹脂35が被着する面積を大きくし、枠体33と波長変換部材36とを強固に接続することができる。その結果、枠体33と波長変換部材36の接続強度を向上させることができ、波長変換部材36の撓みが抑制される。そして、発光チップ32と波長変換部材36との間の光学距離が変動するのを効果的に抑制することができる。
【0047】
波長変換部材36は、発光チップ32から発せられる励起光が内部に入射して、内部に含有される蛍光体が励起されて、光を発するものである。ここで、波長変換部材36には、例えば、シリコーン樹脂、アクリル樹脂またはエポキシ樹脂等から成り、その樹脂中に、例えば430nm以上490nm以下の蛍光を発する青色蛍光体、例えば500nm以上560nm以下の蛍光を発する緑色蛍光体、例えば540nm以上600nm以下の蛍光を発する黄色蛍光体、例えば590nm以上700nm以下の蛍光を発する赤色蛍光体が含有されている。なお、蛍光体は、波長変換部材36中に均一に分散するように含有されている。なお、波長変換部材36の厚みは、例えば0.5以上3mm以下に設定されている。
【0048】
また、波長変換部材36の端部の厚みは一定に設定されている。波長変換部材36の厚みは、例えば0.3mm以上3mm以下に設定されている。ここで、厚みが一定とは、厚みの誤差が0.1mm以下のものを含む。波長変換部材36の厚みを一定にすることにより、波長変換部材36にて励起される光の量を一様になるように調整することができ、波長変換部材36における輝度むらを抑制することができる。
【0049】
本実施形態に係る照明装置1は、屈曲基板5のそれぞれの実装面に半導体発光素子を設け、相互の熱の伝達経路となる個所に凹部Cを設けている。また、屈曲基板5が折れ曲がっていることで、第1実装面R1と第2実装面R2が異なる仮想面と対向させることができ、第1半導体発光素子3と第2半導体発光素子4の照らし出す領域を異ならせている。
【0050】
各半導体発光素子は、発光時に熱が発生する。半導体発光素子は、熱が必要以上に加わることで発光効率が低下し、半導体発光素子から発せられる光出力が低下するとともに、半導体発光素子に入力される電気エネルギーから変換される熱量が増加する。そして、半導体発光素子は、さらに温度が上昇することで、発光効率もさらに低下するために光出力がさらに低下し、製品寿命が短くなる傾向にある。複数の半導体発光素子を実装した照明装置の場合は、第1半導体発光素子3から第2半導体発光素子4に熱が伝わると、第2半導体発光素子4の温度が高くなり、所望している発光効率より低下することにより、第2半導体発光素子4からの光出力が低下するとともに、第2半導体発光素子4の温度がさらに上昇する。その結果、複数の半導体発光素子の中で光出力が低下し、輝度が異なるものが存在し、照明装置として輝度むらが発生してしまう。
【0051】
一方、本実施形態に係る照明装置1は、屈曲基板5に凹部Cを設け、第1半導体発光素子3から第2半導体発光素子4に熱が伝わるのを抑制するとともに、同時に第2半導体発
光素子4から第1半導体発光素子3に熱が伝わるのを抑制することができる。そして、各半導体発光素子の温度が必要以上に高温になるのを抑えることができ、輝度むらを抑えることが可能な照明装置を提供することができる。さらに、第1半導体発光素子3と第2半導体発光素子4からの熱は、第1実装面R1および第2実装面R2を介して一様に屈曲基板5に伝達される。結果、屈曲基板5は、局所的に温度が上昇することが抑制され、第1半導体発光素子3と第2半導体発光素子4から放射される光出力のバラツキが有効に抑制される。
【0052】
また、凹部Cは、屈曲基板5の第1実装面R1および第2実装面R2が設けられない裏面に設けることで、フレーム2の開口部H側から塵や埃、水滴等が侵入したとしても、第1実装面R1および第2実装面R2の交差部に集積されることはなく、第1実装面R1および第2実装面R2に実装される実装基板8との間の電気的な短絡や、実装基板8上面への付着が抑制され、照明装置の信頼性を維持することができるという作用効果を奏する。
【0053】
また、凹部Cは、屈曲基板5に溝として形成されることで、溝を中心線として両側に配置される各半導体発光素子同士の間で熱が伝わるのを効果的に抑制することができる。同じライン上に配置された半導体発光素子は実装基板8を共通にして、一つの実装基板8に対して複数の半導体発光素子を設けることで、同じライン上の半導体発光素子同士は、上昇する温度を同程度にすることができ、同じライン上の半導体発光素子同士の輝度むらを発生しにくくすることができる。そして、仮に、溝を中心線とすることで、両側に発光色の異なる半導体発光素子を設けた場合は、ライン状に発光する色が明瞭に異ならせることができ、第1ライン上に配置された半導体発光素子の熱を第2ライン上に配置された半導体発光素子に伝わるのを抑制することができ、ライン毎に輝度むらが発生するのを抑えることができる。
【0054】
また、リフレクター7を屈曲基板5と透光性カバー6の間に配置し、第1半導体発光素子3と第2半導体発光素子4のそれぞれに対して対応する導光孔7hを設ける。その結果、第1半導体発光素子3の発する光と第2半導体発光素子4の発する光をそれぞれ別々の方向に導光することができ、半導体発光素子の発する光が他の半導体発光素子の発する光に混じるのを抑えることができる。ひいては、輝度むらが発生しにくい照明装置1を提供することができる。
【0055】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。例えば、図9に示すように、屈曲基板5に設けられる凹部Cの位置を、屈曲基板5の裏面でなく、第1実装面R1および第2実装面R2と同じ側の主面に設けてもよい。凹部Cを屈曲基板5の主面に設けることで、各半導体発光素子に近い第1実装面R1および第2実装面R2の主面を介して各半導体発光素子に伝達される熱量が小さくなり、各半導体発光素子の熱による干渉を抑制することができ、所望の光を各半導体発光素子から放射することができるという作用効果を奏する。また、上述した実施形態では、実装基板8を屈曲基板5に対して螺子9を介して固定し、リフレクター7をフレーム2に対して嵌合して固定したが、それぞれの固定方法はこれに限られない。例えば、実装基板8を屈曲基板5に対して接着部材を介して固定し、リフレクター7をフレーム2に対して螺子止めして固定してもよい。
【0056】
また、照明装置1は、フレーム2の両端を塞ぐカバー体が、カバー体に設けられた螺子孔を介してフレーム2に螺子止め固定される場合、カバー体は螺子が凹部Cに挿入固定されるようにフレーム2に固定されてもよい。凹部Cの一部が螺子によって塞がれることにより、フレーム2は、長手方向に水平な辺に作用する力に対する剛性が向上し、長手方向に水平な辺に作用する力によるフレーム2の変形や折れ曲がりを抑制することができる。なお、凹部Cに挿入される螺子は、長さが第1実装面R1および第2実装面R2に実装さ
れる第1半導体発光素子3と第2半導体発光素子4と重ならないように挿入固定されてもよい。結果、第1半導体発光素子3および第2半導体発光素子4からの熱は、屈曲基板5から螺子を介して対向する第1実装面R1および第2実装面R2への伝達を抑制することができる。
【0057】
<照明装置の製造方法>
ここで、図1に示す照明装置の製造方法を説明する。まず、半導体発光素子を準備する。基板31および枠体33が、例えば酸化アルミニウム質焼結体から成る場合、酸化アルミニウムの原料粉末に、有機バインダー、可塑剤または溶剤等を添加混合して混合物を得る。
【0058】
基板31は、混合物がシート状のセラミックグリーンシートに成形され、枠体33は、型枠内に混合物が充填されて乾燥され、焼結前の基板31および枠体33が取り出される。
【0059】
また、タングステンまたはモリブデン等の高融点金属粉末を準備し、この粉末に有機バインダー、可塑剤または溶剤等を添加混合して金属ペーストを得る。そして、取り出した基板31となるセラミックグリーンシートに所定パターンで印刷し、複数のセラミックグリーンシートを積層するとともに焼成され、所定の形状に切断される。また、枠体33は、所望の温度で焼結されることにより形成される。
【0060】
次に、基板31上の配線パターンに発光チップ32を半田を介して電気的に実装した後、発光チップ32を取囲むように枠体33を基板上にアクリル樹脂等の接着剤を介して接着する。そして、枠体33で囲まれた領域に、例えばシリコーン樹脂を充填して、シリコーン樹脂を硬化させることで、封止樹脂34を形成する。
【0061】
次に、波長変換部材36を準備する。波長変換部材36は、未硬化の樹脂に蛍光体を混合して、例えば、ドクターブレード法、ダイコーター法、押し出し法、スピンコート法またはディップ法等のシート成形技術を用いて、作製することができる。例えば、波長変換部材36は、未硬化の波長変換部材36を型枠に充填し、硬化して取り出すことによって、得ることが出来る。
【0062】
そして、準備した波長変換部材36を枠体33上に、例えば樹脂からなる接着樹脂35を介して接着することで、半導体発光素子を作製することができる。
【0063】
次に、フレーム2を準備する。フレーム2は、例えば、押出成形法により一体に成形されている。しかしながら必ずしも一体成形で形成する必要はなく、各部材を別個に製造して、これらをネジ等の締結手段で締結してもよく、また、各部材を接着剤で接着して一体化させてもよい。
【0064】
さらに、実装基板8を準備する。実装基板8は、例えばプリント配線基板を用いることができる。そして、実装基板8に半導体発光素子を半田を介して電気的に実装する。さらに、フレーム2に対して、実装基板8を螺子9を介して固定し、フレーム2の屈曲基板5の裏面に駆動部10を実装する。次に、フレーム2に透光性カバー6をスライドさせて取り付けることで、照明装置1を作製することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 照明装置
2 フレーム
21 保持部
22 凸部
3 第1半導体発光素子
31 基板
32 発光チップ
33 枠体
34 封止樹脂
35 接着樹脂
36 波長変換部材
4 第2半導体発光素子
5 屈曲基板
6 透光性カバー
7 リフレクター
71 引掛け部
7h 導光孔
8 実装基板
9 螺子
10 駆動部
H 開口部
R1 第1実装面
R2 第2実装面
C 凹部
S 螺子孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有するフレームと、
前記フレーム内に設けられた、第1半導体発光素子が設けられる第1実装面および第2半導体発光素子が設けられる第2実装面を有し、前記第1実装面および前記第2実装面が前記開口部に向かって配置され、且つ断面視して前記第1実装面と前記第2実装面とが交差するとともに、当該交差個所に凹部が形成された屈曲基板と、
前記開口部の縁に沿って設けられた、前記屈曲基板を覆う透光性カバーと、を備えた照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の照明装置であって、
前記凹部は、前記屈曲基板の前記第1実装面および前記第2実装面が設けられている側とは反対の裏面側に位置していることを特徴とする照明装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の照明装置であって、
前記屈曲基板は、矩形状の板体を長手方向に沿って折り曲げて形成したものであって、前記凹部は、前記屈曲基板の長手方向に沿った溝となるように形成されていることを特徴とする照明装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の照明装置であって、
前記屈曲基板と前記透光性カバーとの間には、前記フレーム内の内壁面に引っ掛けて設けられた、前記第1半導体発光素子および前記第2半導体発光素子のそれぞれと対応する個所に導光孔を有するリフレクターをさらに備えたことを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−89545(P2013−89545A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231365(P2011−231365)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】