説明

熱交換器およびその製造方法

【課題】コア部補強用の支持枠部材に、車両側への組付けに用いる取付け用ブラケットが効率的かつ確実に固定した熱交換器を提供する。
【解決手段】コア部の周縁に配置される補強用の支持枠部材(10)と、この支持枠部材に一部が固定され、車両側への取付け部材となる取付け用ブラケット(20)とを備えた熱交換器(1)であって、支持枠部材(10)は横断面形状が略コ字状で溝部(11)が延在する長尺部材であり、ブラケット(20)の一端側にはブラケット本体(21)から溝部内で長手方向(LD)に沿うようにフランジ(22)が設けてあり、支持枠部材(10)の溝部(11)を形成している左右側壁(10a)に、長手方向(LD)に沿って複数の矩形状の長孔(13)が一直線上に形成してあり、この長孔より端部(12)側の帯状部分(14)を溝部側に円弧状に塑性変形した湾曲部(15)で、フランジ(22)を溝部(11)内に固定してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用空調装置に用いる熱交換器およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用空調装置の冷媒回路に接続される熱交換器としては例えばコンデンサやエバポレータなどが知られている。このような熱交換器は、移動体である車両に搭載されるものであるので、車両側の構造体に確実に固定しておく必要がある。そのため車両側に取付けるための取付け用ブラケットなどの部材を用いて、ネジやリベットなどの留め具を用いて固定される場合が多かった。しかし、このようにネジやリベットを用いる固定構造では、ネジやリベット用の孔を熱交換器に設ける予備加工が必要となるだけでなく、当然のことながらネジ、リベットを別途、準備しなければならない。そのため製造工程が煩雑となり製造コストが嵩むことになるので、これに対処した技術が従来から種々提案されている。
【0003】
例えば、熱交換器の本体部となるコア部の周縁部に配置される補強用の支持枠部材(長尺のフレーム部材)を活用した改善提案がされている。この支持枠部材を、例えば横断面が略コ字状のチャンネル型とし、その溝部内に取付け用ブラケットの一端部を配置させた状態で、前記支持枠部材の縁部をかしめて、支持枠部材を塑性変形させた箇所で取付け用ブラケットを固定するようにした技術が開示されている(例えば特許文献1、参照)。
また、熱交換器の構造に関して、支持枠部材の溝部を成す側壁に2条のスリット状切り込み(矩形孔)を設けておき、その矩形孔間に残った帯状部分を内側に塑性変形させた爪部(湾曲部)で取付け用ブラケットを固定する構造についても開示がある(特許文献2の図6、参照)。
この種の技術では、固定される部材、それ自身をかしめ処理することにより固定構造が実現されるので、熱交換器の取付け部分の構造簡素化、そして組付け工程も簡易化して、コスト低減を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−202198号公報
【特許文献2】特開2000−258089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1で開示するように固定に係る一方の部材(すなわち、支持枠部材)、それ自身で相手側の部材を挟持するようにかしめる(塑性変形させる)だけの簡易な固定構造であるので、そのかしめ状態が不十分であると、固定された側の取付け用ブラケットが外れたり、位置ずれが生じたりすることが懸念される。
また、特許文献2で開示している構造の場合には爪部が抜け防止として機能するので容易に外れることはないものの、支持枠部材の側壁に2つのスリットを設けることやその間の帯状部分を湾曲状に変形させるための加工技術が要求されるので、製造技術や加工コストの面での不都合が懸念される。
本発明の目的は、上述した従来の課題を鑑みてなされたもので、熱交換器のコア部に配置した補強用の支持枠部材に、車両側への組付けに用いる取付け用ブラケットを効率的かつ確実に固定した熱交換器を提供すること、またその製造方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、冷媒流路を形成する複数のチューブが配置されて冷媒とチューブ間を流通する空気と熱交換を行うコア部と、前記コア部の周縁に配置された補強用の支持枠部材と、前記支持枠部材に一部が固定され、車両側への取付け部材となる取付け用ブラケットとを、備えた熱交換器であって、前記支持枠部材は横断面形状が略コ字状で溝部が延在する長尺部材であり、前記取付け用ブラケットはブラケット本体とフランジとを含み、前記ブラケット本体の一端側から前記溝部内で長手方向に沿うよう前記フランジが設けてあり、前記支持枠部材の前記溝部を形成している左右側壁に、前記長手方向に沿って複数の矩形状の長孔が一直線上に形成してあり、該長孔より端部側の帯状部分を前記溝部側に円弧状に塑性変形した湾曲部で、前記フランジを前記溝部内に固定してあることを特徴とする(請求項1)。
【0007】
そして、前記支持枠部材は塑性変形可能な金属材料により形成され、前記取付け用ブラケットは樹脂材料により形成されているのが好ましい(請求項2)。
また、前記矩形状の長孔は、前記長手方向で中央部の上側に略三角状の切欠が付加された形状に形成してあるのが好ましい(請求項3)。
【0008】
また、前記ブラケット本体は概略が板状であり、前記フランジは当該ブラケット本体の一端から該ブラケット本体に対し垂直に前記長手方向に沿うように前後に延在しており、前記フランジは前記溝部内に嵌合する幅寸法に形成してあるフランジ本体部より左右両側を同様に幅狭くした狭幅部を形成して受け部となる凹部を備えており、前記湾曲部は前記凹部に係合している構造とするのが好ましい(請求項4)。この場合、更に前記湾曲部を前記凹部の周壁に当接させた構造とするのがより好ましい。
【0009】
そして、上記目的は、上記に記載の熱交換器の製造方法であって、基材の表面に、一定幅をもって円弧状に突出している突部が間隔をとって直線状に複数配置してある治具を用いて、前記突部を前記支持枠部材の前記帯状部分に押し当てることにより塑性変形させて前記湾曲部を形成させる、かしめ加工工程を含む、ことを特徴とするものによっても達成できる(請求項5)。
そして、前記突部の頂上位置に小突起が更に形成してあるものを用いるのが望ましい(請求項6)。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、熱交換器のコア部に配置した補強用の支持枠部材の左右側壁に、長手方向に沿って複数の矩形状の長孔を一直線上に形成し、その長孔より端部側の帯状部分を塑性変形させた湾曲部で取付け用ブラケットのフランジを固定する構成であるので、従来よりも簡易な加工で、取付け用ブラケットを効率的かつ確実に固定してある熱交換器を提供できる(請求項1)。
【0011】
また、本発明によれば、金属材と樹脂材との組み合わせで、確実なグリップ構造を実現して取付け用ブラケットを支持枠部材に確実に固定できる(請求項2)。
【0012】
また、本発明によれば、矩形状の長孔の中央部上側に略三角状の切欠が付加されているので、この切欠を起点にこの切欠の傾斜した下端縁でフランジを押し下げながら塑性変形を進行させて前記湾曲部を確実に形成して溝部内にフランジを固定できる(請求項3)。
【0013】
また、本発明によれば、フランジ側に設けた凹部に、支持枠部材を塑性変形させた湾曲部を当接させ係合させて確実に固定した構造を実現できる(請求項4)。
【0014】
また、製造方法に係る本発明によれば、前述した湾曲部を効率的かつ確実に加工して、取付け用ブラケットを固定した熱交換器を製造できる(請求項5、請求項6)。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る熱交換器としてのコンデンサの外観を示した斜視図である。
【図2】図1のコンデンサに用いる支持枠部材に固定される取付け用ブラケットについて示した図で、(a)は正面図、(b)は斜視図である。
【図3】治具によるかしめ工程前後の様子を示しており、(a)は治具によりかしめ加工を施す前、(b)は加工後の様子を示した図である。
【図4】(a)は支持枠部材の側壁の一部を拡大して示した図、(b)は図3(b)の固定部分の横断面を拡大して示した図である。
【図5】治具について好適な形態をまとめて示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係る熱交換器について図面を参照して説明する。なお、ここでは、熱交換器を車両用空調装置のコンデンサとした場合を一例として説明する。
図1は、熱交換器としてコンデンサ1の外観を示した斜視図を示している。例えば、コンデンサ1は図示しない車両用空調装置の冷凍サイクルを構成する冷媒回路に組み込まれ、当該空調装置の運転時に冷媒を冷却する放熱器として機能する。
本発明は、車両にコンデンサ1を組付ける際に用いる取付け用ブラケットのコンデンサ1への取付け構造を改善した点に特徴がある。熱交換器が備えるべき基本構成は従来において一般的なものでよい。よって、以下では、コンデンサ1の構成を簡単に説明して、このコンデンサ1が備える新規な取付け構造につき詳細に説明する。
【0017】
図1で示すように、コンデンサ1は、冷媒(つまり媒体)を流通するチューブ110とコルゲート型などのフィン120とを交互に積層してなるコア部100が中央に広く形成されている。このようなコア部100は複数のチューブ110が配置されているので冷媒とチューブ間を流通する空気を利用して熱交換が行われる。各チューブ110の端部は第1のタンク131、第2のタンク132、及び第3のタンク133に接続されており、第1のタンク131には冷媒の入口部134、第3のタンク133には冷媒の出口部135が設けられている。各タンク131〜133は、その上下端部が閉鎖された中空の管状体である。なお、符号137はサブクールタンクである。
そして、図から明らかなようにコア部100は概略の外形が板状の矩形形状で、その上下の端(周縁)には補強部材となる支持枠部材10が配置してある。支持枠部材10は支持枠部材10の両側端で各タンク131〜133に支持されている。
【0018】
このコンデンサ1は、コア部100の上下端に配置した支持枠部材10に係る取付け構造について、新規な構成が採用されている。以下、この取付け構造について詳細に説明する。なお、図1で示したコンデンサ1は上下端(周縁)のそれぞれに支持枠部材10が配置され、この支持枠部材10に車両側への取付け部材となる取付けブラケットが固定され、コンデンサ1の車両側への組付けに活用される。取付け用ブラケットの支持枠部材10における取付け構造は、上下いずれも同様であるので、ここでは上側の支持枠部材10について説明する。
【0019】
図1で示すように、支持枠部材10は横断面形状が略コ字状で溝部が延在している長尺部材で、上方側が解放された姿勢で設置してある。より具体的には、支持枠部材10は受け型の溝部11が上向きの姿勢で配置されているチャンネル型の部材で、背面(下面)がコア部100の上端(周縁の一部)側に固定されて支持フレーム構造として機能している。
【0020】
そして、図2は、支持枠部材10に固定される取付け用ブラケット20について示した図であり、(a)は正面図、(b)は斜視図である。この取付け用ブラケット20は、(b)で示すようにそのブラケット本体21が板状の部材を若干、湾曲させた形状をなしている。この取付け用ブラケットの一端側(図2で下側)は支持枠部材10に取付けられる取付け端25側である。他端側(図2で上側)は車両側への組付け端側であり、こちらにはネジ孔21hが形成してある。
そして、この取付け用ブラケットの取付け端25側には、フランジ22が設けてある。このフランジ22は、支持枠部材10の溝部11内にセットされたときに、この溝部11の長手方向LD(図1参照)に沿うようにブラケット本体21からに対し垂直に延在している。
【0021】
より詳しくは、図2(a)で示すように、ブラケット本体21は概略が板状であり、フランジ22は上記のようにブラケット本体21の一端からブラケット本体21に対し垂直に(支持枠部材10の長手方向LDに沿うように)前後に延在されており、これにより取付け用ブラケット20はコア部の正面視で逆T字形状を成すような形状となる。
そして、図2で例示しているフランジ22は、その基本形状が横断面矩形状の角状部材であり、長手方向の途中位置に凹部(窪み部)23が左右両側(幅方向両側)に同様に形成されている。この凹部23は、後述する、支持枠部材10側に形成される湾曲部の受け部として機能する構造となる。
凹部23は、支持枠部材10の溝部11内にちょうど嵌合する幅寸法(長手方向LDに垂直な幅方向WDでの寸法)に形成してあるフランジ本体部24−1に対し、上側の左右両側を同様に幅狭く形成した狭幅部24−2を設けることによりに形成されている。よって、図2(a)におけるx−x線に沿う横断面形状は凸形状となる。
【0022】
なお、図1では、支持枠部材10の溝部11内にフランジ22がセットされて固定され、取付けが完了した状態を示している。また、図2でフランジ22の下面には突起22Pが設けてある。この突起22Pに対応する凹部または開口(図示せず)が溝部11には形成してある。これにより溝部11内の所定位置に、取付け用ブラケット20を位置決めしてから取付け用ブラケットを支持枠部材に取付ける工程を開始できる。
以下さらに、図3及び図4を参照して、取付け用ブラケット20のフランジ22を支持枠部材10の溝部11内に取付ける様子を説明することにより、本発明に係るコンデンサ1が備える新規な構造を明らかにする。
【0023】
図3は、溝部11内の所定位置にフランジ22をセットして、冶具200を用いて支持枠部材10に取付け用ブラケット20を取付ける様子を示した図であり、(a)は治具200によりかしめ加工を施す前、(b)は加工後の様子を示している。
【0024】
例示の治具200は、支持枠部材10に予め形成してある矩形状の長孔13より端部12側の帯状部分14を押圧して、溝部11側に円弧状に塑性変形させ、湾曲部15を形成するものである。なお、支持枠部材10の溝部11を形成している左右側壁には長手方向LDに沿って複数の矩形状の長孔13が一直線上に形成してある。この長孔13は、高さ方向で中間の位置にあり、長孔13より端部側が帯状部分14となる。
上記冶具200は左右一対の200a、200bから成っている。各治具200a、200bには上記湾曲部を形成するため一定幅をもって円弧状に突出して突部210が基材の表面に直線状に複数形成してある。これら突部210は、支持枠部材10の帯状部分14に対応する間隔をとって各治具200a、200bの側面に、支持枠部材10の側壁10aと対向するように配列されている。
【0025】
ここに、図4(a)は支持枠部材10の側壁10aの一部を拡大して示した図で、側壁10aに形成されている長孔13について、より詳細な様子を示している。前述したように、長孔13の基本形状は矩形形状であるが、ここで具体的に示すように長手方向LDでの中央部に、上側に略三角状の切欠13dが付加された形状に形成するのが好ましい。その理由については、後述する。なお、この図4(a)で斜線を付した領域が、長孔13より端部12側の帯状部分14となる。この帯状部分14に、治具200a、200bの突部210が当接されて、かしめ加工される。
【0026】
再度、図3(b)を参照すると、冶具200によるかしめ加工の工程が完了し、上記帯状部分14が円弧状に塑性変形されて湾曲部15となった様子が示されている。塑性変形した湾曲部15は、前述したフランジ22に設けた凹部23内に進入し、凹部23の周壁に当接して凹部23に係合した状態となっている。これにより、フランジ22が支持枠部材10の溝部11内の所定位置に位置決めされて、固定された構造が実現される。その際、湾曲部15がいずれの方向においても、がたつき無く当接することで、フランジ22を溝部11内に確実に位置決め固定できる。
【0027】
ここで、図4(a)で示すように長孔13に切欠13dを設けたことの技術的な意義を更に図4(b)を参照しながら説明する。図4(b)は、図3(b)の固定部分の横断面を拡大して、支持枠部材10の湾曲部15で凹部23を介してフランジ22を溝部11内に固定している状態を詳細に示した図である。
図4(a)及び(b)を参照して、湾曲部15が形成されるときの状況を説明すると、帯状部分14に治具200a(200b)の突部210が当接して、押圧(かしめ)の動作が開始される。これにより帯状部分14が溝部11側に徐々に湾曲変形する。このように変形するとき、長孔13の中央部に切欠13dがあると、この部分は他に比べて変形し易い。よって、切欠13dを起点にして下端縁14bのうち切欠13dの傾斜した部分でフランジ本体部24−1を押し下げながら変形を進行させることができる。そして、帯状部分14は一定幅をもって円弧状に突出している前述した突部210により押圧されるので、切欠13dを中心に(先頭に)して湾曲変形を徐々に進めることができる。
【0028】
ちなみに、このように帯状部分14の変形が進行しているとき、その下端縁14b(図4(a)、(b)参照)がフランジ22の凹部23におけるフランジ本体部24−1の上面24tの上をスライドするように、フランジ本体部24−1部分の高さ寸法やその上の狭幅部24−2の寸法、また支持枠部材10の側壁10aに設ける長孔13の設定位置とその孔幅などが設定されている。これにより、帯状部分14の変形が完了して、湾曲部15となったときには、横断面形状が凸形状であるフランジ22部分のフランジ本体部24−1の上面24t、狭幅部24−2の側面24sとに湾曲部15が当接する。すなわち、帯状部分14を塑性変形させて形成した湾曲部15が、フランジ22に設けた凹部23内に、遊びやガタつきなどが無いように当接して強固な固定構造を実現できる(図2参照)。
【0029】
ところで、上記支持枠部材10は塑性可能な金属材料で形成し、取付け用ブラケット20は樹脂材料により形成して、かしめ加工により塑性変形した金属材料で樹脂材料を挟み込んでいる形態とするのが望ましい。このようにすれば、金属材料と樹脂材料との組み合わせで、内部側となる樹脂製の取付け用ブラケットのフランジ22を確実にグリップした状態にして固定できる。
【0030】
更に、図5は前述した治具200について好適な形態をまとめて示した図であり、支持枠部材10にフランジをセットし、かしめ加工待ちの取付け用ブラケット20を間にして冶具200a、200bが両側にある状態を平面視で示している。
図5(a)は帯状部分14をかしめる突部210を円弧形状に形成した場合である。これは前述した実施例で用いた治具200と同じである。一方、図5(b)の場合は、突部210の基本形状が円弧形状で同様であるが、その頂上位置には例えば横断面三角状の小突起tRを追加した形状となっている。このように、円弧状の突部210の頂上に突出する小突起tRを設けておけば、前述した帯状部分14を塑性変形させて湾曲部15を形成するかしめ加工で、中央部に相対的に強い力を作用させることができ、かしめ加工工程で効率的かつ確実に湾曲部15を形成できる。
【0031】
以上のように、本発明によれば、熱交換器は、当該熱交換器のコア部に配置した補強用の支持枠部材の左右側壁に、長手方向に沿って複数の矩形状の長孔を一直線上に形成し、その長孔より端部側の帯状部分を塑性変形させた湾曲部で取付け用ブラケットのフランジを固定する構成であるので、従来よりも簡易な加工で、取付け用ブラケットを効率的かつ確実に固定してある熱交換器を提供できる。特に、上記矩形状の長孔の中央部上側に略三角状の切欠を付加した場合、この切欠を起点にこの切欠の傾斜した下端縁でフランジを押し下げながら塑性変形を進行させて前記湾曲部をより確実に形成して溝部内にフランジを固定できる。
【0032】
本発明は、上述の実施形態に制約されるものではなく種々の変形が可能である。
前述した実施例では左右両サイドにタンク(タンク131〜133)のあるタイプのコンデンサの場合を例示し、コア部の上端に配置された支持枠部材に、取付け用ブラケットを取付け固定する場合について説明した。タンクの配置形態はこれに限らず、タンクが上下に配置され、支持枠部材が左右にあるタイプのコンデンサにも本発明を同様に適用できる。また、本発明はコンデンサに限らず車両用空調装置のエバポレータにも適用できる。
【符号の説明】
【0033】
1 コンデンサ(熱交換器)
10 支持枠部材
11 溝部
12 端部
13 長孔
13d 切欠(略三角形状の切欠)
14 帯状部分
15 湾曲部
20 取付け用ブラケット
21 ブラケット本体
22 フランジ
23 凹部
24−1 フランジ本体部
24−2 狭幅部
100 コア部
200 冶具
210 突部
LD 長手方向
WD 幅方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒流路を形成する複数のチューブが配置されて冷媒とチューブ間を流通する空気と熱交換を行うコア部と、
前記コア部の周縁に配置された補強用の支持枠部材と、
前記支持枠部材に一部が固定され、車両側への取付け部材となる取付け用ブラケットとを、備えた熱交換器であって、
前記支持枠部材は横断面形状が略コ字状で溝部が延在する長尺部材であり、
前記取付け用ブラケットはブラケット本体とフランジとを含み、前記ブラケット本体の一端側から前記溝部内で長手方向に沿うよう前記フランジが設けてあり、
前記支持枠部材の前記溝部を形成している左右側壁に、前記長手方向に沿って複数の矩形状の長孔が一直線上に形成してあり、該長孔より端部側の帯状部分を前記溝部側に円弧状に塑性変形した湾曲部で、前記フランジを前記溝部内に固定してある、ことを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記支持枠部材は塑性変形可能な金属材料により形成され、前記取付け用ブラケットは樹脂材料により形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記矩形状の長孔は、前記長手方向で中央部の上側に略三角状の切欠が付加された形状に形成してある、こと特徴とする請求項1または2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記ブラケット本体は概略が板状であり、前記フランジは当該ブラケット本体の一端から該ブラケット本体に対し垂直に前記長手方向に沿うように前後に延在しており、
前記フランジは前記溝部内に嵌合する幅寸法に形成してあるフランジ本体部より左右両側を同様に幅狭くした狭幅部を形成して受け部となる凹部を備えており、前記湾曲部は前記凹部に係合している、ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の熱交換器。
【請求項5】
請求項1〜4に記載の熱交換器の製造方法であって、
基材の表面に、一定幅をもって円弧状に突出している突部が間隔をとって直線状に複数配置してある治具を用いて、前記突部を前記支持枠部材の前記帯状部分に押し当てることにより塑性変形させて前記湾曲部を形成させる、かしめ加工工程を含む、ことを特徴とする熱交換器の製造方法。
【請求項6】
前記突部の頂上位置に小突起が更に形成してあるものを用いる、ことを特徴とする請求項5に記載の熱交換器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−44448(P2013−44448A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180500(P2011−180500)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【Fターム(参考)】