説明

熱伝導型フレキシブル配線板の構造

【課題】熱伝導型フレキシブル配線板の構造を提供する。
【解決手段】離型フィルム、熱伝導性接着フィルムと、導電フィルムと、を備える。離型フィルムは、離型機能を有する接着フィルムである。熱伝導性接着フィルムは、離型フィルムの一表面に設けられ、エポキシ樹脂、有機溶剤と熱伝導粒子を有し、混合、すりつぶし、焼付け及び半硬化によって、接着フィルムを形成する。導電フィルムは、熱伝導性接着フィルムの一表面に設けられ、導電フィルムは、エッチング加工によってパターン領域を形成する。これにより、熱伝導性接着フィルム及び導電フィルムを一体成形にすれば、伝熱と導電効果を同時に持つことで、折り曲げ性と可とう性を有し、後工程の加工に便利を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプリント配線板の分野に関し、特に良好な熱伝導及び導電効果を有し、かつ可とう性を有し、後工程の加工が便利な熱伝導型フレキシブル配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
経済の高速発展に従い、エネルギー消費と二酸化炭素の放出がますます増加し、自然環境の気候変異を引き起して、ついにヒトの生活環境に悪影響を及ぼしている。よって、私どもは力を合わせて、このような進展を食い止めなければ、その効果を収めることはできない。現在は、太陽光発電、風力発電、潮力発電、地熱発電など、すでに各種の新しいエネルギーの研究がなされているほか、各種のカーボン排出を低減する設備も大量に使用し始めている。
そのうち、LED(発光ダイオード)は、極めて良い照明効率を有し、かつその生産プロセスは、毒性物質を排出されない。加えて、使用寿命が長いなど数々の長所から、照明装置の分野に幅広く使用されている。しかし、LEDは、電気消費と発熱が使用時間につれて高くなる。熱エネルギーをすばやく排出しなければ、LEDの輝度が低下し、かつ素子の劣化が加速される。このため、LEDの熱管理は非常に重要なことから、生産コストが高止まりの主な要因となっていて、かつ信頼性にも影響する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現時点のLEDパッケージの放熱基板は、プリント配線板(PCB)、メタルコア配線板(Metal Core PCB, MCPCB)、セラミック基板(Ceramic Substrate)及び直接結合銅基板(Direct Bond Cu, DBC)、合計4種類を有する。図1の一般の金属ベースプリント配線板を使用するときの構造態様図を参照する。図に示すように、MCPCB板材1を基板に使用し、LEDチップまたはLED光源2を直接その上に備えるパターン領域11に取り付けられている。
金属自体が極めて良い熱伝導性を有しているため、多くの人は、放熱問題のベストチョイスという錯覚がある。しかし、その有効性は疑問視されており、誘電体層部材の組成と厚みがMCPCB板材1の剥離強度、降伏電圧、熱伝導係数、稼動電圧及び層分離しにくいなどによって、特性が決められる。従って、層分離と降伏電圧などの問題を克服するため、粘度を向上した接着剤を使用されるが、かえて熱抵抗が高くなり、熱伝導性が阻害される。さらに、MCPCB板材1は、剛性性質を帯びるため、後工程の加工または取り付けるとき、折り曲げを必要な場面には、適していない。
【0004】
そして、後工程の加工の便利を図るため、図2、一般のフレキシブル配線板の構造態様図を参照する。図示のようにフレキシブル配線板(Flexible PCB, FPCB)3は、薄型または弾性を有する基材(例えば、絶縁性接着フィルム)が使用され、その上面は、電子素子4を取り付けるためのパターン領域31が設けられている。フレキシブル配線板3は、柔らかく、厚みが薄いなどの特性を有するため、優れた可とう性を有し、各種の後工程の加工が便利である。しかし、装置を使用している間、熱が大幅に発生して、電気回路の稼動が熱損失(heat loss)を形成していた不安定状態こそがフレキシブル配線板3使用するときの最大な阻害である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一つの目的は、熱伝導型フレキシブル配線板の構造を提供する。熱伝導性エポキシ樹脂材料から熱伝導性接着フィルムを形成し、その上に回路設計に対応されたパターン領域を覆う導電フィルムを有し、電子素子同士の連結及び熱伝導機能を提供することができる。その可とう性は、後工程の加工貼り付け作業に便利を提供し、かつ良好な熱伝導効果を有し、電子素子を使用するときに発生する熱エネルギーを高速に外部に伝導させ、電子素子は、より安定な稼動ができる。
【0006】
本発明の次の目的は、熱伝導性接着フィルムの片側に設ける離型フィルムを利用し、電子素子をパッケージ加工するときの支持力量を向上できる、熱伝導型フレキシブル配線板の構造を提供する。
【0007】
本発明のもう一つの目的は、製造コストが低く、製造しやすい、構造が簡単、かつ信頼性が高い特性を有する、熱伝導型フレキシブル配線板の構造を提供する。
【0008】
前述した目的を達成するため、本発明の熱伝導型フレキシブル配線板の構造は、離型フィルムと、離型フィルムの一表面に設けられ、エポキシ樹脂、有機溶剤と熱伝導粒子を有し、混合、すりつぶし、焼付け及び半硬化してなる熱伝導性接着フィルムと、熱伝導性接着フィルムの一表面に設けられ、エッチング加工によってパターン領域を形成する導電フィルムと、を備える。
【0009】
本発明では離型フィルムが提供する支持力量を利用し、プリント配線板の回路製作を完成する。最後のコンポーネントを取り付けた後に、離型接着フィルムを剥がして、熱伝導性接着フィルム及びその上面に形成される回路パターンを放熱モジュール上に貼り付ける。このほか、熱伝導性接着フィルム自体は熱伝導粒子を有し、電子素子を使用するときの熱エネルギーを伝送し、電気回路使用の安定性を維持することができる。そのうち、導電フィルムは、銅箔またはアルミ箔である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】一般の金属ベース基板を使用するときの構造態様図である。
【図2】一般のフレキシブル配線板の構造態様図である。
【図3】本発明の好ましい実施例の構造態様図である。
【図4】本発明の好ましい実施例の使用態様概略図(その1)である。
【図5】本発明の好ましい実施例の使用態様概略図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の内容のさらなる理解を図るため、下記の説明に図式を組み合わせ、参考にしていただきたい。
【実施例】
【0012】
図3ないし5の、本発明の好ましい実施例の構造態様図と各種の使用態様図を参照する。図示のように、本発明の熱伝導型フレキシブル配線板の構造5は主に、離型フィルム51、熱伝導性接着フィルム52と導電フィルム53と、を備える。
【0013】
そのうち、離型フィルム51は、両面離型の塗装層を有する接着フィルムであり、主な機能は、熱伝導性接着フィルム52の底面を受け持ち、適切な可とう性並び強度を有するため、熱伝導性接着フィルム52に必要な支持力量を提供することができる。特に説明すべきことは、離型フィルム51の接着フィルムの化学組成は、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene Terephthalate, PET)が好ましく、離型の塗装層は、UV硬化シリコン剥離塗料(UV−cured silicone release coating)が好ましい。
【0014】
熱伝導性接着フィルム52は、離型フィルム51の上面に設けられ、熱伝導性接着フィルム52は、エポキシ樹脂、有機溶剤(図示しない)及び熱伝導粒子522を有し、混合、すりつぶし、焼付け及び半硬化して形成する。特に注意すべきことは、エポキシ樹脂521と有機溶剤を溶解し混合させた後、混合物は、塗布方式によって離型フィルム51に設ける。焼付けによって、有機溶剤を揮発させ、混合物を半硬化し、業者でいうB−stage状態にした後、熱伝導性接着フィルム52を形成する。
【0015】
導電フィルム53は、銅箔を使用し、熱伝導性接着フィルム52の上面に設けられ、導電フィルム53は、エッチング加工によってパターン領域531を形成していて、少なくとも一つの電子素子6の設置に提供する。
【0016】
これにより、取り付け使用するときは、離型フィルム51を剥がした後、熱伝導性接着フィルム2の可とう性を利用し、各種のカーブ面に従って折り曲げて取り付けることができる。さらに、熱伝導性接着フィルム52に備える熱伝導粒子522によって、電子素子6を使用するときの熱エネルギーを伝導させ、電気回路稼動の安定性を維持する。
【0017】
以上に説明されたとおり、熱伝導性接着フィルム52の柔軟な材質及び可とう性と、その上面に設けられる導電フィルム53を利用し、電子素子6のパッケージ加工に提供されているため、極めて良い熱伝導効果を有し、電子素子6を使用するときに発生する熱エネルギーをすばやく外部に伝導することができる。離型フィルム51はさらに、熱伝導性接着フィルム52に支持力量を提供し、回路製作工程において、基板全体の完全性を維持することができる。
【0018】
以上に説明したものは、本発明の好ましい実施例であり、本発明の実施範囲に制限を加わるものではない。よって、当該技術に一般知識を有する者、または本発明の技術に熟知する者であれば、本発明の精神と範囲を逸脱されない、いかなる等効果変化と修飾とも、本考案の特許請求範囲に含める。
【符号の説明】
【0019】
<公知技術>
1 MCPCB板材
11 パターン領域
2 LEDチップまたはLED光源
3 フレキシブルプリント配線板
31 パターン領域
4 電子素子
<本発明>
5 熱伝導型フレキシブル配線板の構造
51 離型フィルム
52 熱伝導性接着フィルム
521 エポキシ樹脂
522 熱伝導粒子
53 熱伝導フィルム
531 パターン領域
6 電子素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝導性フレキシブル配線板の構造であって、
離型フィルムと、
前記離型フィルムの一表面に設けられ、エポキシ樹脂、有機溶剤と熱伝導粒子を有し、混合、すりつぶし、焼付け及び半硬化してなる熱伝導性接着フィルムと、
前記熱伝導性接着フィルムの一表面に設けていて、パターン領域がエッチングされた熱伝導フィルムと、を備えることを特徴とする、
熱伝導型フレキシブル配線板の構造。
【請求項2】
前記熱伝導接着フィルムは、銅箔またはアルミ箔であることを特徴とする、請求項1記載の熱伝導型フレキシブル配線板の構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−89686(P2013−89686A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227063(P2011−227063)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(502137260)冠品化學股▲ふん▼有限公司 (3)
【氏名又は名称原語表記】Teamchem Company
【住所又は居所原語表記】No.14, Lane 276, Yong−feng Rd., Bar−der City, Taoyuan County, Taiwan, R.O.C.
【Fターム(参考)】