説明

熱電併給システム

【課題】 省エネルギ性等を追求しつつ、運転時間帯に対するユーザ要望を取り入れた運転計画が可能な熱電併給システムを提供する。
【解決手段】 運転制御装置7が、運転希望時間帯T1を設定する運転時間帯入力部40、電力及び熱需要の実績データに基づいて、電力需要予測データD1及び熱需要予測データD2を生成する需要予測部41、及び、熱需要予測データD2に基づく予測熱需要の内、運転希望時間帯T1の開始から所定時間経過後に発生する第1予測熱需要Q1を充足するために要する熱電併給装置の運転時間以上の時間長となり、且つ、運転希望時間帯T1と所定の最小重複時間t0以上重複する運転実行時間帯T5を算出する運転計画部42を備え、当該運転実行時間帯T5に基づいて、熱電併給装置の運転を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱電併給システムに関し、特に、熱需要に対応した運転計画技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CO排出量の削減や省エネルギを志向したガスエンジン型或いは燃料電池型の熱電併給システムの開発が活発であり実用化も進んでいる。
【0003】
当該熱電併給システムは、ガスエンジン型或いは燃料電池型の熱電併給装置を備え、熱電併給装置の発電電力を電気機器等の電力負荷に供給するとともに、熱電併給装置の発電時に発生する排熱を例えば温水熱に変換して回収し、貯湯タンクに蓄熱し、給湯部や暖房機器等の熱負荷に供給するように構成される。従って、当該熱電併給システムは、電力のみならず、回収された排熱を有効利用できるため、全体的なエネルギ効率の高さで注目を集めている。更に、当該熱電併給システムを商用電力と系統連系して使用することで、商用電力の受電量を削減でき、エネルギ消費量、CO排出量及びエネルギコストを削減でき好適である。
【0004】
ところで、一般家庭やオフィス等では、通常、電力需要と熱需要は別個に、しかも日々変化して発生するため、熱電併給装置では、運転制御手段を備え、例えば24時間分の電力需要及び熱需要の変化を10分〜1時間程度の比較的短い時間間隔で予測し、当該予測した電力需要及び熱需要に基づいて、最適な運転計画を予め設定して、当該運転計画に基づいて運転制御手段が熱電併給装置の運転を制御することが行われている。電力需要及び熱需要の予測には、日々の運転時に電力需要及び熱需要の実績データを取得して蓄積し、当該蓄積された実績データに基づいて、種々の予測手法を用いて当該予測処理が行われる。また、最適な運転計画の設定には、仮の運転パターンに基づいて熱電併給装置を運転させた場合に必要なエネルギ消費量と、熱電併給装置を運転させない場合に必要なエネルギ消費量を夫々算出して、両エネルギ消費量の差からエネルギ削減量を求め、エネルギ削減量が最も大きくなる運転パターンを運転計画として設定することが行われている(例えば、下記の特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−127867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の如く、一般的な熱電併給装置では、運転制御手段による運転制御が自動的に行われるため、ユーザが特定に時間帯に熱電併給装置を強制運転させることが困難であり、仮に強制運転させた場合に、必ずしも電力需要や熱需要に適合していない可能性があり、省エネルギ、省CO排出量、省コストの観点から好ましくない場合もあり得る。
【0007】
ところで、電力需要や熱需要の予測は、あくまでも過去の実績データに基づく予測であるため、突発的な需要の発生や消滅は予測しきれないため、当該事情を把握したユーザが、特定の時間帯に熱電併給装置を強制運転できるようにすることが好ましい場合もある。更に、例えば、電気自動車の充電等のために、通常の電力需要や熱需要とは別の要請から特定の時間帯に熱電併給装置を強制運転させたい場合もある。しかし、ユーザが設定した時間帯に熱電併給装置を強制運転したとして、仮に特定の電力需要に対して十分に電力供給できたとしても、熱需要に対する熱供給や通常の電力需要に対する電力供給が不十分となる可能性もあり、熱電併給装置の運転時間を更に延長した方が、省エネルギ、省CO排出量、省コストの観点から更に好ましい場合もある。
【0008】
本発明は、熱電併給システムの運転計画における上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、省エネルギ性等を追求しつつ、運転時間帯に対するユーザ要望を取り入れた運転計画が可能な熱電併給システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、電力と熱を併せて発生する熱電併給装置と、前記熱電併給装置で発生した熱を回収し、回収した熱を温水に変換して蓄熱して熱負荷に供給する熱供給装置と、前記熱電併給装置の運転を制御する運転制御装置と、を備えた熱電併給システムであって、
前記運転制御装置が、前記熱電併給装置の運転希望時間帯を外部から受け付ける運転時間帯入力部と、熱需要の実績データを蓄積し、蓄積された熱需要実績データに基づいて、運転計画対象時間範囲を含む予測時間範囲における熱需要の所定の時間間隔における時間変化を予測し、熱需要予測データとして記憶する需要予測部と、前記需要予測部が記憶した前記熱需要予測データに基づく予測熱需要の内、前記運転希望時間帯の開始から所定時間経過後に発生する第1予測熱需要を充足するために要する前記熱電併給装置の運転時間以上の時間長となり、且つ、前記運転希望時間帯と所定の最小重複時間以上重複する運転実行時間帯を算出する運転計画部と、を備え、少なくとも前記運転実行時間帯に、前記熱電併給装置を運転状態とする制御を行うことを第1の特徴とする熱電併給システムを提供する。
【0010】
更に、上記第1の特徴の熱電併給システムは、
前記運転計画部が、前記第1予測熱需要を充足するために要する前記熱電併給装置の運転時間として定義される第1運転時間が前記運転希望時間帯の時間長以上の場合は、前記運転実行時間帯を、前記運転希望時間帯を全て内包し、その時間長が前記第1運転時間となるように設定し、前記第1運転時間が前記運転希望時間帯の時間長未満、前記最小重複時間以上の場合は、前記運転実行時間帯を、前記運転希望時間帯内において前記運転希望時間帯の中央部分または終了時刻近傍を含み、その時間長が前記第1運転時間となるように設定し、前記第1運転時間が前記最小重複時間未満の場合は、前記運転実行時間帯を、前記運転希望時間帯内において前記運転希望時間帯の中央部分または終了時刻近傍を含み、その時間長が前記最小重複時間となるように設定することが好ましい。
【0011】
更に、上記第1の特徴の熱電併給システムにおいて、前記第1予測熱需要は、前記熱需要予測データに基づく予測熱需要の内、前記運転希望時間帯の終了から所定時間内に発生する予測熱需要であっても良い。
【0012】
更に、上記第1の特徴の熱電併給システムは、
前記需要予測部が、電力需要の実績データを蓄積し、蓄積された電力需要実績データに基づいて、運転計画対象時間範囲を含む予測時間範囲における電力需要の所定の時間間隔における時間変化を予測し、電力需要予測データとして記憶し、
前記運転計画部が、前記運転希望時間帯と前記最小重複時間重複し、前記運転希望時間帯の中央部分または終了時刻近傍を含む暫定運転時間帯を設定し、前記暫定運転時間帯において前記熱電併給装置が、前記電力需要予測データで規定される前記暫定運転時間帯の電力負荷に追従して発電する負荷追従運転をした場合において前記第1予測熱需要に対して前記熱供給装置が供給できる第1供給熱量を算出し、前記第1供給熱量が前記第1予測熱需要以上の場合は、前記暫定運転時間帯を前記運転実行時間帯に設定し、前記第1供給熱量が前記第1予測熱需要未満の場合は、前記暫定運転時間帯を仮に前後少なくとも何れか一方に延長して再設定し、前記第1供給熱量の再算出を行い、再算出した前記第1供給熱量が前記第1予測熱需要以上の場合は、再設定後の前記暫定運転時間帯を前記運転実行時間帯に設定し、再算出した前記第1供給熱量が前記第1予測熱需要未満の場合は、再設定後の前記暫定運転時間帯を更に延長して再設定し、前記第1供給熱量の再算出を行う処理を、前記第1供給熱量が前記第1予測熱需要以上となるまで繰り返し、
前記運転制御装置が、少なくとも前記運転実行時間帯に、前記熱電併給装置を電力負荷に追従して発電するよう制御することを第2の特徴とする。
【0013】
更に、上記第2の特徴の熱電併給システムは、
前記運転計画部が、初回に算出された前記第1供給熱量が前記第1予測熱需要の所定倍より大きい場合は、前記暫定運転時間帯を前記運転実行時間帯に設定せず、前記暫定運転時間帯を仮に前後少なくとも何れか一方に短縮して再設定し、前記第1供給熱量の再算出を行い、再算出した前記第1供給熱量が前記第1予測熱需要以上、前記第1予測熱需要の所定倍以下の場合は、再設定後の前記暫定運転時間帯を前記運転実行時間帯に設定し、再算出した前記第1供給熱量が前記第1予測熱需要の所定倍より大きい場合は、再設定後の前記暫定運転時間帯を更に短縮して再設定し、前記第1供給熱量の再算出を行う処理を、前記第1供給熱量が前記第1予測熱需要以上、前記第1予測熱需要の所定倍以下となるまで繰り返すことが好ましい。
【0014】
更に、上記第1の特徴の熱電併給システムは、
前記運転計画部が、第1予測熱需要を充足するために前記熱電併給装置が定格出力運転を行うことを想定して前記第1予測熱需要を充足するために要する前記熱電併給装置の運転時間を第1運転時間として算出して、前記運転実行時間帯を算出し、
前記運転制御装置が、少なくとも前記運転実行時間帯に、前記熱電併給装置を定格出力運転するよう制御することを第3の特徴とする。
【0015】
更に、上記第3の特徴の熱電併給システムは、
前記運転計画部が、前記第1運転時間が前記最小重複時間未満の場合に、前記運転実行時間帯を、前記運転希望時間帯内において前記運転希望時間帯の中央部分または終了時刻近傍を含み、その時間長が前記最小重複時間となるように設定する場合において、前記熱電併給装置が前記運転実行時間帯に定格出力運転した場合に、前記第1予測熱需要に対して前記熱供給装置が供給できる第2供給熱量を算出し、前記第2供給熱量が前記第1予測熱需要の所定倍より大きい場合は、前記第1予測熱需要の所定倍以下となるように、前記運転実行時間帯の時間長を前記最小重複時間より短く設定することが好ましい。
【0016】
更に、上記第1乃至第3の特徴の熱電併給システムは、
前記運転計画部が、前記予測熱需要の内の前記第1予測熱需要に先行する第2予測熱需要に基づいて、前記第1予測熱需要の発生開始時点における前記熱供給装置の予測蓄熱量を算出し、前記第1予測熱需要から前記予測蓄熱量を差し引いた不足熱需要を前記第1予測熱需要として、前記運転実行時間帯の算出を行うことが好ましい。
【0017】
更に、上記第1乃至第3の特徴の熱電併給システムは、商用電力と系統連系接続して発電電力を前記商用電力側に逆潮流可能に構成された太陽光発電装置を備え、前記熱電併給装置が、前記商用電力と系統連系接続し、発電電力を前記商用電力側に逆潮流しないよう構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
上記特徴の熱電併給システムによれば、運転実行時間帯が、運転希望時間帯と所定の最小重複時間以上重複するように、且つ、当該運転実行時間帯に熱電併給装置が稼働することで運転希望時間帯の開始から所定時間経過後に発生する第1予測熱需要が充足されるように設定されるため、熱電併給装置の運転時間帯に関する外部から入力されたユーザ要望等を反映しつつ、省エネルギ性の高い熱電併給装置の運転を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る熱電併給システムの一実施形態における概略構成を示す図
【図2】本発明に係る熱電併給システムの運転制御装置のブロック構成の一例を示すブロック図
【図3】本発明に係る熱電併給システムの需要予測部が予測した電力需要と熱需要の時間変化の一例を示すグラフ
【図4】本発明に係る熱電併給システムの運転制御装置による運転計画の作成処理過程の一例を示すフローチャート
【図5】本発明に係る熱電併給システムの運転制御装置による運転計画の作成処理過程の他の一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る熱電併給システムの一実施形態につき、図面に基づいて説明する。
【0021】
〈第1実施形態〉
図1に、本熱電併給システム1の全体の概略構成を示す。本熱電併給システム1は、外部から燃料供給を受けて発電する発電ユニット2と、発電ユニット2の運転時に発生する排熱を回収して所定の熱負荷に供給する熱供給ユニット3を備えて構成される。
【0022】
図1に示すように、発電ユニット2は、一例として、電力と熱を併せて発生する熱電併給装置4、熱電併給装置4から生成される直流電力を交流電力に変換するインバータ装置5、冷却液循環経路6、及び、発電ユニット2の運転を制御する第1運転制御装置7を備える。尚、冷却液循環経路6には、冷却液を循環させる電動の循環ポンプ8と冷却液を加熱する電気ヒータ9が設けられている。また、本実施形態では、熱電併給装置4が燃料電池システム4aとして構成される場合を想定する。燃料電池システム4aは、メタンを主成分とする都市ガス13Aを燃料として水素を生成する改質器等から成る水素製造装置と、固体高分子形等の燃料電池と、燃料電池システム4aの運転に必要な補機類等を備えて構成される。尚、燃料電池システム4a及び各構成要素の詳細は周知の内容であるので説明は省略する。冷却液循環経路6は、燃料電池システム4aを冷却してオーバヒートを防止するとともに、燃料電池システム4aで発生した排熱を回収するために設けられている。
【0023】
図1に示すように、発電ユニット2のインバータ装置5は、商用電源10と系統連系接続し、燃料電池システム4aの発電電力を、商用電源10から受電する受電電力と同じ周波数及び電圧の交流電力に変換して、発電電力供給ライン11を介して電力負荷12に供給するように構成されている。商用電源10は、例えば、単相3線式100V/200Vであり、受電電力供給ライン13を介して、受電電力が電力負荷12に供給される。受電電力供給ライン13には、発電電力供給ライン11との合流点より上流側に電力計14が設けられている。
【0024】
第1運転制御装置7は、マイクロコンピュータ等を用いて構成され、後述する燃料電池システム4a(熱電併給装置4)の運転計画を作成し、当該運転計画と電力計14が検出した検出電力値に基づいて、インバータ装置5から出力される電力が商用電源10側に逆潮流しないように、電力負荷12に対して電力負荷追従する運転制御を行う。第1運転制御装置7は、燃料電池システム4aの運転時に排熱回収が行われるように、循環ポンプ8の運転を制御するとともに、燃料電池システム4aの発電電力に余剰が生じた場合には、逆潮流が生じないように、電気ヒータ9の運転を制御して、余剰電力を熱に変換して、熱供給ユニット3側に供給するように構成されている。尚、電力計14が検出した検出電力値は、後述する電力需要を予測するために使用される。電力負荷12は、本熱電併給システム1が家庭用の場合には、テレビ、冷蔵庫、照明等の家庭用の電気機器が想定される。また、商用電源10からの受電電力及び燃料電池システム4aの発電電力は、燃料電池システム4a内の補機類でも消費される。
【0025】
尚、本熱電併給システム1と合わせて太陽光発電システム15も備える場合は、図1において破線の枠内に表示するように、太陽光発電システム15に内蔵されているインバータ装置(不図示)は、発電電力供給ライン11の電力計14より上流側で商用電源10と系統連系接続し、燃料電池システム4aの発電電力を、商用電源10から受電する受電電力と同じ周波数及び電圧の交流電力に変換して、発電電力供給ライン11を介して電力負荷12に供給するように構成される。太陽光発電システム15は、発電電力に余剰が生じる場合は、商用電源10側に逆潮流させて余剰電力を売電する。
【0026】
図1に示すように、熱供給ユニット3は、一例として、貯湯タンク16、補助熱源機17、湯水循環経路18、熱源用循環経路19、熱媒循環経路20、電動の循環ポンプ21〜23、熱交換器24〜26、三方弁27,28、二方弁(断続弁)29、逆止弁30、給水路31、ラジエータ32、給湯熱負荷計測手段33、循環熱負荷計測手段34、及び、熱供給ユニット3の運転を制御する第2運転制御装置35を備えて、給湯負荷36に対して温水を供給し、循環温水負荷37に対して、温水熱を供給するように構成されている。本熱電併給システム1が家庭用の場合には、給湯負荷36として、例えば、台所、洗面所、浴室等に設けられた混合栓、温水シャワー、及び、風呂の湯はり時の給湯口等が想定され、また、循環温水負荷37として、例えば、温水床暖房等の温水暖房端末や、風呂の追い焚き時の浴槽等が想定される。
【0027】
貯湯タンク16は、例えば、200L(リットル)の貯湯容量のものを使用し、発電ユニット2の燃料電池が固体高分子形の場合には、約60℃の温水を貯湯する。貯湯タンク16には、貯湯量(高温水の量)を検出するために、一例として、タンク内の上部から下部にかけて4箇所にタンク内の温水温度を検出するサーミスタからなる水温計(不図示)が設置されている。また、貯湯タンク16の下部と上部に夫々入出水口38,39設けられ、下部の入出水口38は給水路31を介して上水道等の給水源と連絡している。
【0028】
湯水循環経路18は、貯湯タンク16の下部の入出水口38と上部の入出水口39を連絡する管路で構成され、途中に、三方弁27と循環ポンプ21と熱交換器24を備える。また、本実施形態では、湯水循環経路18は、入出水口38と三方弁27の間で二股に分岐し、一方の分岐路にラジエータ32が介装されており、入出水口38から取り出された湯水は、三方弁27を制御することで、2つの分岐路の何れか一方を通過するように制御される。
【0029】
補助熱源機17は、例えば、内部に送風機、ガスバーナ、熱交換器を備え、都市ガス13Aを燃料とするガス給湯器として構成される。補助熱源機17は、貯湯タンク16の上部の入出水口39からの温水または湯水循環経路18の熱交換器24を通過した温水を加熱して、給湯負荷36に供給する場合、或いは、熱源用循環経路19を循環する湯水を加熱して、熱交換器26及び熱媒循環経路20を経由して循環温水負荷37に対して、温水熱を供給する場合の熱源として使用される。
【0030】
冷却液循環経路6は、燃料電池システム4aからの往路上に設けられた三方弁28で二股に分岐し、一方の分岐路に湯水循環経路18との間で熱交換を行う熱交換器24が設けられ、他方の分岐路に熱源用循環経路19との間で熱交換を行う熱交換器25が設けられ、2つの分岐路は夫々熱交換器24,25の下流側で合流して燃料電池システム4aに向かう復路となり、循環ポンプ8に連絡する。
【0031】
熱源用循環経路19は、補助熱源機17の熱交換器の出水口から、熱交換器26、二方弁(断続弁)29、循環ポンプ22、熱交換器25を順番に通過して、補助熱源機17の熱交換器の入水口に戻る管路で構成される。
【0032】
湯水循環経路18の循環ポンプ21の下流側と熱源用循環経路19の熱交換器25と補助熱源機17の中間点が、逆止弁30を介して連通しており、貯湯タンク16の上部の入出水口39からの温水または湯水循環経路18の熱交換器24を通過した温水が、必要に応じて補助熱源機17で加熱されて、給湯負荷36に供給される構成となっている。
【0033】
熱媒循環経路20は、循環温水負荷37から循環ポンプ23と熱交換器26を経由して循環温水負荷37に戻る管路で構成される。
【0034】
給湯熱負荷計測手段33と循環熱負荷計測手段34は、後述する給湯熱需要及び循環熱需要を予測するために給湯熱需要及び循環熱需要の各実績値を蓄積するための手段で、夫々サーミスタ等の水温計と流量計で構成される。給湯熱負荷計測手段33は、熱源用循環経路19より給湯負荷36側の給湯経路上に設けられ、循環熱負荷計測手段34は、熱媒循環経路20上または循環温水負荷37内に設けられている。
【0035】
また、図1に示す熱供給ユニット3の各配管には、各種弁、水温計、流量計等が介装されているが、上記以外にも、排水口、逃し弁、逆止弁、減圧弁、圧力スイッチ、圧力センサ、バキュームブレーカー等が必要に応じて設置されている。
【0036】
第2運転制御装置35は、マイクロコンピュータ等を用いて構成され、燃料電池システム4aの運転状態及び熱供給ユニット3の運転モードに応じて、熱供給ユニット3内の水温計や流量計等の検出値に基づいて、循環ポンプ21〜23の運転、補助熱源機17の動作、三方弁27,28の通流方向、二方弁(断続弁)29の開閉、ラジエータ32の運転等を制御する。また、第2運転制御装置35は、上記制御を、必要に応じて第1運転制御装置7と連携して行う。循環ポンプ21は、排熱回収により貯湯タンク16を貯湯する場合に作動し、循環ポンプ22,23は、循環温水負荷37の運転時に作動するように制御される。
【0037】
燃料電池システム4aが運転状態の場合は、排熱を回収するために発電ユニット2側の循環ポンプ8が作動する。貯湯タンク16の貯湯量が満状態でない場合は、循環ポンプ21を作動させ、湯水循環経路18の分岐路がラジエータ32を通過しない側となるように三方弁27を制御し、冷却液循環経路6の分岐路が熱交換器24側を通過するように三方弁28を制御することにより、熱交換器24において冷却液循環経路6で回収された排熱により湯水循環経路18内を循環する湯水が加熱され、貯湯タンク16に貯湯される。循環温水負荷37での熱消費がなく、貯湯タンク16の貯湯量が満状態の場合には、湯水循環経路18の分岐路がラジエータ32を通過する側となるように三方弁27を制御する。一方、循環温水負荷37で熱消費できる場合は、冷却液循環経路6の分岐路が熱交換器24側を通過するように三方弁28を制御し、更に、循環ポンプ22,23を作動させることにより、熱交換器25,26を順次経由して、冷却液循環経路6で回収された排熱を循環温水負荷37側に回収することができる。
【0038】
第2運転制御装置35は、上記排熱回収の制御以外にも、給湯時、及び、循環温水負荷37への熱供給時の制御を行うが、その詳細な制御内容は、本発明の本旨ではないので、説明は省略する。
【0039】
尚、第1運転制御装置7と第2運転制御装置35は、夫々独立して設けても良いが、両運転制御装置7,35を統合して1つの運転制御装置として構成しても良い。
【0040】
次に、第1運転制御装置7による、燃料電池システム4aの運転計画を作成処理について、図2乃至図4を参照して説明する。
【0041】
図2に示すように、第1運転制御装置7の運転計画作成処理に係る部分は、運転時間帯入力部40、需要予測部41、及び、運転計画部42を備えて構成され、当該各部40〜42は、後述する処理を、マイクロコンピュータを構成する演算処理手段及び記憶手段を用いて、予めマイクロコンピュータ内にプログラムされた手順で実行するように構成されている。
【0042】
運転時間帯入力部40は、例えばリモコン端末等の操作端末43からの使用者の入力操作により入力された熱電併給装置の運転希望時間帯を、運転希望時間帯T1として設定し、上記記憶手段の所定の記憶領域に記憶する。当該運転希望時間帯T1は、運転計画部42が運転計画作成処理の実行を開始する前に既に設定されている場合を想定する。運転希望時間帯T1は、例えば、開始時刻T1aと終了時刻T1bで構成され、各時刻は、例えば30分或いは1時間刻みで指定可能とする。従って、運転希望時間帯T1は、(T1a,T1b)=(13:00,15:00)等と設定される。本実施形態では、一旦設定された運転希望時間帯T1は、取消或いは変更がなされない限り、設定後の各運転計画作成日に対して共通して使用されるものとする。
【0043】
需要予測部41は、電力負荷12における電力需要と、給湯負荷36と循環温水負荷37における給湯熱需要と循環熱需要の各実績データを蓄積し、蓄積された電力需要実績データと給湯熱需要実績データと循環熱需要実績データに基づいて、運転計画対象時間範囲T2を含む予測時間範囲T3における電力需要と給湯熱需要と循環熱需要の所定の時間間隔における時間変化を予測し、電力需要予測データD1及び給湯熱需要予測データD2及び循環熱需要予測データD3として、上記記憶手段の所定の記憶領域に記憶する。
【0044】
電力需要の実績データは、電力計14が検出した検出電力値と燃料電池システム4aの出力電力値を、例えば、30分或いは1時間等の所定の単位時間毎に集計したデータを、上記記憶手段の所定の記憶領域に記憶して使用する。また、給湯熱需要と循環熱需要の各実績データは、給湯熱負荷計測手段33と循環熱負荷計測手段34が検出した検出熱量を、例えば、30分或いは1時間等の所定の単位時間毎に集計したデータを、上記記憶手段の所定の記憶領域に記憶して使用する。
【0045】
また、本実施形態では、一例として、運転計画対象時間範囲T2と予測時間範囲T3は、夫々、運転計画作成日当日の午前3時(3:00)から翌日の午前3時(27:00)の24時間とする。電力需要予測データD1及び給湯熱需要予測データD2及び循環熱需要予測データD3の時間間隔は、電力需要実績データと熱需要実績データの時間間隔と同様に、例えば、30分或いは1時間間隔とする。電力需要予測データD1及び給湯熱需要予測データD2及び循環熱需要予測データD3の予測手法としては、例えば、運転計画作成日と同じ曜日の特異日(祝日等)を除く過去4週間分の実績データを各時間間隔別に平均したものを用いる等の既存の予測手法を用いる。当該予測手法としては種々のものが利用できる。図3に、或る予測時間範囲T3における電力需要予測データD1及び給湯熱需要予測データD2の一例をグラフ化したものを例示する。尚、図3では、時間間隔を1時間とし、電力需要予測データD1を折れ線グラフで、給湯熱需要予測データD2を棒グラフで表示している。また、図3では、夏期において、循環熱需要予測データD3が無い場合の例である。
【0046】
運転計画部42は、図4のフローチャートに示すように、運転計画作成日当日の運転計画対象時間範囲T2の開始時刻(午前3時)またはそれより前(例えば、午前2時59分)に、以下のステップ#1〜ステップ#8の処理を実行することにより、基本的に、運転希望時間帯T1と所定の最小重複時間t0以上重複し、燃料電池システム4aが稼働することで運転希望時間帯T1の開始から所定時間経過後に発生する第1予測給湯熱需要Q1を充足する運転実行時間帯T5を算出する運転計画処理を実行する。尚、一定の省エネルギ性を確保するために、例外的に、運転希望時間帯T1と所定の最小重複時間t0以上重複しない場合がある。
【0047】
先ず、運転希望時間帯T1と、最小重複時間t0の間重複し、運転希望時間帯T1の中央部分または終了時刻近傍を含む暫定運転時間帯T4を設定する(ステップ#1)。暫定運転時間帯T4を運転希望時間帯T1の終了時刻近傍に設定する場合は、暫定運転時間帯T4の終了時刻を運転希望時間帯T1の終了時刻に合わせ、暫定運転時間帯T4の開始時刻を当該終了時刻の最小重複時間t0前に設定する。或いは、暫定運転時間帯T4を運転希望時間帯T1の中央部分に設定する場合は、暫定運転時間帯T4の中央時刻(開始時刻と終了時刻の平均時刻)を運転希望時間帯T1の中央時刻に合わせ、暫定運転時間帯T4の開始時刻と終了時刻を当該中央時刻より最小重複時間t0の半分前と半分後に設定する。但し、運転希望時間帯T1の時間長t1が最小重複時間t0より短い場合は、運転希望時間帯T1を暫定運転時間帯T4として設定する。最小重複時間t0は、例えば、1時間等の固定時間長であっても良く、または、運転希望時間帯T1の時間長t1の25%以上で、例えば30分或いは1時間刻みの時間長の最小値等と、運転希望時間帯T1に対して相対的に設定しても良い。
【0048】
次に、給湯熱需要予測データD2で規定される予測時間範囲T3における予測給湯熱需要Q0の内の運転希望時間帯T1の開始から所定時間経過後に発生する第1予測給湯熱需要Q1を算出する(ステップ#2)。図1に示される熱供給ユニット3の構成の場合は、貯湯タンク16に蓄熱された熱量(温水熱)は、循環温水負荷37に供給されないので、ステップ#2では、給湯熱需要のみを対象としているが、貯湯タンク16に蓄熱された熱量(温水熱)が、循環温水負荷37に供給可能な構成の場合は、循環熱需要も対象とする。当該所定時間は、例えば、運転希望時間帯T1の開始から暫定運転時間帯T4の終了時刻までの時間とする。つまり、第1予測給湯熱需要Q1はステップ#1で最初に設定された運転希望時間帯T1の終了時刻以降に発生する給湯熱需要として算出される。尚、当該所定時間を運転希望時間帯T1の時間長t1として、第1予測給湯熱需要Q1を運転希望時間帯T1の終了時刻以降に発生する給湯熱需要として算出しても良い。更に、第1予測給湯熱需要Q1を運転希望時間帯T1の終了時刻から第2の所定時間(前出の所定時間とは別)内に発生する給湯熱需要として算出しても良い。当該第2の所定時間を特に設定しない場合は、当該第2の所定時間内の終了時刻は、運転計画対象時間範囲T2の終了時刻(運転計画作成日の翌日の午前3時)となる。
【0049】
本実施形態では、ステップ#2において、第1予測給湯熱需要Q1の発生時点における貯湯タンク16の予測蓄熱量を、当該発生時点まで燃料電池システム4aが運転されず排熱回収による蓄熱が無いと想定して、予測給湯熱需要Q0の内の第1予測給湯熱需要Q1に先行する第2予測給湯熱需要Q2に基づいて算出する。具体的には、貯湯タンク16の初期蓄熱量から第2予測給湯熱需要Q2と貯湯タンク16において放熱される貯湯放熱量を差し引いて予測蓄熱量を算出する。そして、第1予測給湯熱需要Q1から当該予測蓄熱量を差し引いた不足給湯熱需要を、以下のステップ#3以降の演算処理で使用する第1予測給湯熱需要Q1とする。
【0050】
次に、暫定運転時間帯T4において、電力需要予測データD1で規定される予測電力負荷を最大限燃料電池システム4aの発電電力で賄うように、燃料電池システム4aに対して電力負荷追従運転を行った場合に、発生する排熱を回収して貯湯タンク16に蓄熱される熱量を算出し、第1供給熱量Q3として設定する(ステップ#3)。以下、第1供給熱量Q3の算出手順を具体的に説明する。
【0051】
先ず、電力需要予測データD1の時間間隔毎に、発電出力(発電電力量)Pi(iは時間間隔の順番を示す)を、当該時間間隔における予測電力負荷に追従させて求める。補機類の運転に必要な電力量は発電出力Piに追加される。ここで、予測電力負荷が燃料電池システム4aの最小出力以下である場合は、発電出力Piは当該最小出力に設定され、その差分を余剰電力量PXiとして算出する。一方、予測電力負荷が燃料電池システム4aの最大出力以上である場合は、発電出力Piは当該最大出力に設定され、その差分を不足電力量PYiとして算出する。不足電力量PYiは商用電源からの受電電力で賄われる。
【0052】
各時間間隔において、発電出力Piとそれに対応する発電効率Eeiから、燃料電池システム4aの一次エネルギ消費量である燃料消費量Fiを算出し、更に、その燃料消費量Fiと燃料電池システム4aの発熱効率Ehから燃料電池システム4aの発生熱量Qhiを算出する。
【0053】
更に、各時間間隔において、貯湯タンク16の最大貯湯容量以下の範囲内で、発生熱量Qhiから排熱ロスLiを差し引いたものを積算し、それに余剰電力量PXiから求めた電気ヒータ9の発生熱量を加えたものから、貯湯タンク16において放熱される貯湯放熱量Lriと、予測給湯熱負荷Q1として利用された予測利用熱量Quiとを差し引いた分を、貯湯タンク16に蓄熱できる貯湯熱量Q3iとして算出する。更に、各時間間隔において、循環熱需要予測データD3で規定される予測循環熱需要が発生すると予測されている場合は、当該予測循環熱需要に対する熱供給は上記発生熱量で賄うことを想定して、上記算出された貯湯熱量Q3iから予測循環熱需要分の上記発生熱量で賄う分を差し引いて、貯湯熱量Q3iとする。尚、貯湯タンク16の最大貯湯容量を超える分の熱量はラジエータ32で放熱される。上記要領で算出された各時間間隔の貯湯熱量Q3iを合計して、第1供給熱量Q3を算出する。
【0054】
次に、ステップ#3で算出された第1供給熱量Q3が、第1予測給湯熱需要Q1の所定倍数kを乗じた上限値(k×Q1)を超過しているか否かを判定する(ステップ#4)。ここで、所定倍数kは、例えば、1.2〜2.0の範囲内の値に設定される。
【0055】
第1供給熱量Q3が上限値(k×Q1)を超過している場合は(ステップ#4でYES)、つまり、第1供給熱量Q3が第1予測給湯熱需要Q1を大幅に超過して過度に燃料電池システム4aが稼働する場合は、省エネルギ性の低下を抑制するために、暫定運転時間帯T4を、例えば、開始時刻を現在の設定より、所定時間(例えば15分)遅くして、時間長を短縮して再設定する(ステップ#5)。そして、ステップ#3〜ステップ#5を、第1供給熱量Q3が上限値(k×Q1)以下となるまで、繰り返し実行する。
【0056】
第1供給熱量Q3が上限値(k×Q1)以下の場合は(ステップ#4でNO)、ステップ#3で算出された第1供給熱量Q3が、第1予測給湯熱需要Q1以上か否かを判定する(ステップ#6)。
【0057】
第1供給熱量Q3が第1予測給湯熱需要Q1未満の場合は(ステップ#6でNO)、暫定運転時間帯T4を、例えば、開始時刻を当初設定より、所定時間(例えば15分)早くして、時間長を延長して再設定する(ステップ#7)。そして、ステップ#3からステップ#6を、第1供給熱量Q3が第1予測給湯熱需要Q1以上となるまで、繰り返し実行する。
【0058】
第1供給熱量Q3が第1予測給湯熱需要Q1以上の場合は(ステップ#6でYES)、暫定運転時間帯T4を運転実行時間帯T5として設定する(ステップ#8)。
【0059】
運転計画部42は、運転計画作成日当日の運転計画対象時間範囲T2が開始する前に、上記要領で運転計画処理を実行して、運転実行時間帯T5を設定すると、当該運転実行時間帯T5に基づいて、燃料電池システム4aの起動及び停止を行い、実際に発生する電力負荷に対して電力負荷追従運転を行う。
【0060】
上記ステップ#1〜ステップ#8で示される運転計画処理において、ステップ#4の判定処理とステップ#6の判定処理の順番を入れ替えても良い。また、ステップ#1の暫定運転時間帯T4の設定で使用する最小重複時間t0を、運転希望時間帯T1で定まる第1予測給湯熱需要Q1の過去の実績データから想定される変動範囲に対して、第1供給熱量Q3が上限値(k×Q1)を超過しないように予め設定されている場合は、ステップ#4の判定処理、及び、それに付随するステップ#5の処理を省略しても良い。更に、ステップ#4の判定処理、及び、それに付随するステップ#5の処理を前提として、ステップ#1の暫定運転時間帯T4の設定で使用する最小重複時間t0として、運転希望時間帯T1の時間長t1を使用して、運転希望時間帯T1を暫定運転時間帯T4として設定しても良い。
【0061】
〈第2実施形態〉
上記第1実施形態では、熱電併給装置4が燃料電池システム4aとして構成され、燃料電池システム4aが電力負荷追従運転する場合を想定したが、第2実施形態では、熱電併給装置4は、燃料電池システム4aに代えて、ガスエンジン型発電システム4bを使用し、更に、熱電併給装置4を電力負荷追従運転ではなく、定格出力運転させる場合を想定して説明する。
【0062】
第2実施形態では、図1に示す本熱電併給システム1の全体の概略構成、発電ユニット2の構成、熱供給ユニット3の構成は、熱電併給装置4がガスエンジン型発電システム4bである点以外は、第1実施形態と同じであるので、重複する説明は割愛する。
【0063】
次に、第1運転制御装置7による、ガスエンジン型発電システム4bの運転計画を作成処理について、図5を参照して説明する。尚、図2に示す第1運転制御装置7の構成、運転時間帯入力部40及び需要予測部41の処理内容は、第1実施形態と同じであるので、重複する説明は割愛する。
【0064】
運転計画部42は、図5のフローチャートに示すように、運転計画作成日当日の運転計画対象時間範囲T2の開始時刻(午前3時)またはそれより前(例えば、午前2時59分)に、以下のステップ#11〜ステップ#20の処理を実行することにより、基本的に、運転希望時間帯T1と所定の最小重複時間t0以上重複し、ガスエンジン型発電システム4bが定格出力運転することで運転希望時間帯T1の開始から所定時間経過後に発生する第1予測給湯熱需要Q1を充足する運転実行時間帯T5を算出する運転計画処理を実行する。尚、一定の省エネルギ性を確保するために、例外的に、運転希望時間帯T1と所定の最小重複時間t0以上重複しない場合がある。
【0065】
先ず、給湯熱需要予測データD2で規定される予測時間範囲T3における予測給湯熱需要Q0の内の運転希望時間帯T1の開始から所定時間経過後(便宜的に時刻txとする)に発生する第1予測給湯熱需要Q1を算出する(ステップ#11)。図1に示される熱供給ユニット3の構成の場合は、貯湯タンク16に蓄熱された熱量(温水熱)は、循環温水負荷37に供給されないので、ステップ#11では、給湯熱需要のみを対象としているが、貯湯タンク16に蓄熱された熱量(温水熱)が、循環温水負荷37に供給可能な構成の場合は、循環熱需要も対象とする。当該所定時間は、例えば、運転希望時間帯T1の50%〜100%とする。
【0066】
第2実施形態では、ステップ#11において、第1実施形態のステップ#2と同様に、第1予測給湯熱需要Q1の発生時点における貯湯タンク16の予測蓄熱量を、当該発生時点までガスエンジン型発電システム4bが運転されず排熱回収による蓄熱が無いと想定して、予測給湯熱需要Q0の内の第1予測給湯熱需要Q1に先行する第2予測給湯熱需要Q2に基づいて算出する。具体的には、貯湯タンク16の初期蓄熱量から第2予測給湯熱需要Q2と貯湯タンク16において放熱される貯湯放熱量を差し引いて予測蓄熱量を算出する。そして、第1予測給湯熱需要Q1から当該予測蓄熱量を差し引いた不足給湯熱需要を、以下のステップ#12以降の演算処理で使用する第1予測給湯熱需要Q1とする。
【0067】
次に、第1予測給湯熱需要Q1を充足するために要するガスエンジン型発電システム4bの運転時間となる第1運転時間t2を算出する(ステップ#12)。具体的には、単位時間当たりの定格出力Pとそれに対応する発電効率Eeから、ガスエンジン型発電システム4bの一次エネルギ消費量である燃料消費量Fを算出し、更に、その燃料消費量Fとガスエンジン型発電システム4bの発熱効率Egからガスエンジン型発電システム4bの発生熱量Qgを算出し、排熱ロスLiを差し引いて、単位時間当たりの蓄熱量Qsを算出する。そして、第1予測給湯熱需要Q1を単位時間当たりの蓄熱量Quで除して、暫定第1運転時間t3を算出する。暫定第1運転時間t3が運転希望時間帯T1の時間長t1以上の場合は、暫定第1運転時間t3の時間長で、終了時刻が運転希望時間帯T1の終了時刻と同じとなる暫定運転時間帯T6を設定し、暫定第1運転時間t3が運転希望時間帯T1の時間長t1未満の場合は、開始時刻が運転希望時間帯T1の開始時刻以降で、終了時刻が運転希望時間帯T1の終了時刻以前で、ステップ#11で求めた時刻txを内包する暫定運転時間帯T6を設定する。暫定運転時間帯T6における電力需要予測データD1で規定される予測電力負荷をガスエンジン型発電システム4bの定格出力で賄う場合に生じる余剰電力から求めた電気ヒータ9の単位時間当たりの発生熱量Qeを時間間隔毎に算出し、暫定運転時間帯T6の終了時刻から前に向かって各時間間隔の蓄熱量Qsと発生熱量Qeの和を、第1予測給湯熱需要Q1を超えるまで積算して、第1予測給湯熱需要Q1を超えたときの時間間隔の合計を第1運転時間t2として算出する。
【0068】
次に、第1運転時間t2が、運転希望時間帯の時間長t1以上(条件1)、運転希望時間帯の時間長t1未満且つ最小重複時間t0以上(条件2)、或いは、最小重複時間t0未満(条件3)の内の何れの条件に合致するかを判定する(ステップ#13)。
【0069】
ステップ#13の判定で、第1運転時間t2が上記条件1に該当する場合は、運転実行時間帯T5を、運転希望時間帯T1を全て内包し、運転実行時間帯T5の時間長t4が第1運転時間t2と等しくなるように設定する(ステップ#14)。具体的には、運転実行時間帯T5と運転希望時間帯T1の各終了時刻を同じにして、運転実行時間帯T5の開始時刻を時間長t4が第1運転時間t2と等しくなるように設定する。
【0070】
また、ステップ#13の判定で、第1運転時間t2が上記条件2に該当する場合は、運転実行時間帯T5を、運転希望時間帯T1内において運転希望時間帯T1の中央部分または終了時刻近傍を含み、運転実行時間帯T5の時間長t4が第1運転時間t2と等しくなるように設定する(ステップ#15)。具体的には、運転実行時間帯T5の開始時刻を運転希望時間帯T1の開始時刻より時間長t1と時間長t2の差(Δt12)の2分の1(Δt12/2)だけ遅らせ、運転実行時間帯T5の終了時刻を前記運転希望時間帯T1の終了時刻より前記差(Δt12)の2分の1(Δt12/2)だけ早める設定を行うか、或いは、運転実行時間帯T5と運転希望時間帯T1の各終了時刻を同じにして、運転実行時間帯T5の開始時刻を時間長t4が第1運転時間t2と等しくなるように設定する。
【0071】
更に、ステップ#13の判定で、第1運転時間t2が上記条件3に該当する場合は、仮の運転実行時間帯T6を、運転希望時間帯T1内において運転希望時間帯T1の中央部分または終了時刻近傍を含み、仮の運転実行時間帯T6の時間長t5が最小重複時間t0と等しくなるように設定し(ステップ#16)、当該仮の運転実行時間帯T6において、ガスエンジン型発電システム4bを定格出力運転させた場合に、第1予測給湯熱需要Q1に対して、ガスエンジン型発電システム4bの排熱回収及び余剰電力が発生した場合の電気ヒータ9による加熱により供給できる第2供給熱量Q4を算出する(ステップ#17)。仮の運転実行時間帯T6は、上記ステップ#14における運転実行時間帯T5の設定と同じ要領で行う。また、第2供給熱量Q4の算出では、ステップ#12で算出した単位時間当たりの蓄熱量Qsを用い、更に、ステップ#12と同じ要領で電気ヒータ9の単位時間当たりの発生熱量Qeを時間間隔毎に算出し、各時間間隔の蓄熱量Qsと発生熱量Qeの和を仮の運転実行時間帯T6の全期間に亘って積算して、第2供給熱量Q4を算出する。
【0072】
引き続き、ステップ#17で算出された第2供給熱量Q4が、第1予測給湯熱需要Q1の所定倍数kを乗じた上限値(k×Q1)を超過しているか否かを判定する(ステップ#18)。ここで、所定倍数kは、例えば、1.2〜2.0の範囲内の値に設定される。
【0073】
第2供給熱量Q3が上限値(k×Q1)を超過している場合は(ステップ#18でYES)、つまり、第2供給熱量Q4が第1予測給湯熱需要Q1を大幅に超過して過度にガスエンジン型発電システム4bが稼働する場合は、省エネルギ性の低下を抑制するために、仮の運転実行時間帯T6の時間長t5を、現在の設定より所定時間(例えば15分)短縮して再設定する(ステップ#19)。そして、ステップ#17〜ステップ#19を、第2供給熱量Q4が上限値(k×Q1)以下となるまで、繰り返し実行する。
【0074】
第2供給熱量Q4が上限値(k×Q1)以下の場合は(ステップ#18でYES)、ステップ#19で再設定された仮の運転実行時間帯T6を、運転実行時間帯T5として設定する(ステップ#20)。
【0075】
運転計画部42は、運転計画作成日当日の運転計画対象時間範囲T2が開始する前に、上記要領で運転計画処理を実行して、運転実行時間帯T5を設定すると、当該運転実行時間帯T5に基づいて、ガスエンジン型発電システム4bの起動及び停止を行い、実際に発生する電力負荷に対して定格出力運転を行う。
【0076】
上記ステップ#11〜ステップ#20で示される運転計画処理において、ステップ#13の判定処理で使用する最小重複時間t0を、運転希望時間帯T1で定まる第1予測給湯熱需要Q1の過去の実績データから想定される変動範囲に対して、第2供給熱量Q4が上限値(k×Q1)を超過しないように予め設定されている場合は、ステップ#18の判定処理、及び、それに付随するステップ#17及びステップ#19の処理を省略し、ステップ#16とステップ#20を1つの処理として統合しても良い。更に、ステップ#18の判定処理、及び、それに付随するステップ#17及びステップ#19の処理を前提として、最小重複時間t0として、運転希望時間帯T1の時間長t1を使用して、ステップ#13の判定処理において、条件2の判定及びステップ#15の処理を省略しても良い。
【0077】
次に、上述した第1及び第2実施形態の2つの運転計画処理の対比を行う。第2実施形態の運転計画処理では、ステップ#12で第1予測給湯熱需要Q1を充足するために要する熱電併給装置4の運転時間となる第1運転時間t2を算出し、ステップ#13で当該第1運転時間t2が、上記条件1〜3の何れに該当するかに応じて、運転実行時間帯T5の設定を行う処理手順となっている。一方、第1実施形態の運転計画処理の処理手順では、第1運転時間t2を直接算出することは行っていないが、ステップ#1において、暫定運転時間帯T4は、運転希望時間帯T1の中央部分または終了時刻近傍を含むように設定され、ステップ#6の判定処理で、第1供給熱量Q3が第1予測給湯熱需要Q1以上と判定された場合の暫定運転時間帯T4の時間長は、第1運転時間t2となっている。従って、ステップ#6の判定処理で、第1供給熱量Q3が第1予測給湯熱需要Q1以上と判定されるまでに、ステップ#7の暫定運転時間帯T4の再設定を何度か実行している場合は、当該暫定運転時間帯T4の時間長(第1運転時間t2)は、ステップ#13における条件1または条件2に該当して、ステップ#14またはステップ#15に相当する運転実行時間帯T5の設定が行われていることになる。また、ステップ#6の最初の判定処理で、第1供給熱量Q3が第1予測給湯熱需要Q1以上と判定された場合で、第1供給熱量Q3が第1予測給湯熱需要Q1より大きい場合は、第1運転時間t2は最小重複時間t0より短いことを意味しており、ステップ#13における条件3に該当してステップ#16〜ステップ#20による運転実行時間帯T5の設定が行われていることになる。更に、第1実施形態の運転計画処理のステップ#4及びステップ#5の処理と、第2実施形態の運転計画処理のステップ#18及びステップ#19の処理は、実質的に同じこと行っている。
【0078】
以下に、別の実施形態につき説明する。
【0079】
〈1〉上記第1及び第2実施形態では、運転計画部42による運転計画処理のステップ#2及びステップ#11での第1予測給湯熱需要Q1の算出において、貯湯タンク16の初期蓄熱量から第2予測給湯熱需要Q2と貯湯タンク16において放熱される貯湯放熱量を差し引いて予測蓄熱量を算出し、貯湯タンク16の予測蓄熱量を考慮せずに前以て算出した第1予測給湯熱需要Q1から当該予測蓄熱量を差し引いた不足給湯熱需要を、以降の演算処理で使用する第1予測給湯熱需要Q1とするようにした。しかし、上記ステップ#2及びステップ#11において、貯湯タンク16の予測蓄熱量を考慮せずに第1予測給湯熱需要Q1を算出しても構わない。例えば、上記運転計画により設定された運転実行時間帯T5のみで熱電併給装置4の起動及び停止を行い、実際に発生する電力負荷に対して電力負荷追従運転または定格出力運転を行う場合、実際に発生する熱需要において、運転実行時間帯T5より前に発生する熱需要に対しては、前日の余剰蓄熱量と補助熱源機17で発生する熱で賄うことになるため、第1予測給湯熱需要Q1の開始時点において、貯湯タンク16に多くの蓄熱量が残存している可能性は低いと考えられ、貯湯タンク16の予測蓄熱量を考慮しなくても良い根拠となる。
【0080】
〈2〉上記第1及び第2実施形態では、上記運転計画の作成処理において、操作端末43からの使用者の入力操作により入力された熱電併給装置の運転希望時間帯を、運転希望時間帯T1として設定する場合を説明したが、運転希望時間帯T1は、使用者の入力操作により入力するのではなく、本熱電併給システム1の設置時等において、初期設定値の1つとして設定され、固定値として使用される構成であっても良い。但し、運転希望時間帯T1が固定値と使用される場合には、上述の運転計画の修正処理が発生することはない。
【0081】
〈3〉上記第1及び第2実施形態において、第1運転制御装置7による燃料電池システム4aの運転計画の作成処理の説明で例示した、運転希望時間帯T1、運転計画対象時間範囲T2、予測時間範囲T3、電力需要予測データD1、給湯熱需要予測データD2、循環熱需要予測データD3は、一例であって上記説明の内容に限定されるものではない。更に、第1供給熱量Q3、第1運転時間t2、及び、第2供給熱量Q4の算出のアルゴリズムも、本熱電併給システム1の具体的な構成に応じて適宜変更しても良い。
【0082】
〈4〉上記第1実施形態では、本熱電併給システム1の発電ユニット2は、燃料電池システム4aを備える場合を説明したが、燃料電池システム4aの燃料電池は固体高分子形に限定されるものではなく、他の形式の燃料電池であっても良い。
【0083】
〈5〉更に、上記第1及び第2実施形態では、熱電併給装置4及び補助熱源機17に供給される燃料またはエネルギ源として都市ガスを想定したが、夫々に供給する燃料またはエネルギ源は必ずしも都市ガスに限定されるものではなく、熱電併給装置4と補助熱源機17間で同じでなくても良い。
【0084】
更に、上記第1及び第2実施形態で説明した熱供給ユニット3の構成は、一例であり、図1で例示した構成に限定されるものではない。
【0085】
〈6〉上記第1及び第2実施形態では、本熱電併給システム1の周辺部の構成として、太陽光発電システム15が商用電源10と系統連系接続する場合を、オプション構成として破線枠で囲って表示したが、太陽光発電システム15は、必ずしも本熱電併給システム1と併設される必要はない。但し、太陽光発電システム15を併設する当該オプション構成においては、運転計画作成処理で設定された運転実行時間帯T5に、従来の運転計画作成処理に比べて、運転希望時間帯T1が含まれる可能性が高いため、運転希望時間帯T1として、太陽光発電システム15の発電電力が多くなる日照時間帯(例えば、12時〜14時等)が設定される場合は、本熱電併給システム1の稼働時間帯と上記日照時間帯が重複する可能性が高くなり、当該重複期間においては、太陽光発電システム15の発電電力のほぼ全量は、商用電源10側に逆潮流することになり、その結果として、太陽光発電システム15の発電電力は殆どが余剰電力として商用電源10側に売電される。また、当該売電量の増加を目的とする場合には、運転希望時間帯T1(運転希望時間帯)の入力を、操作端末43から使用者が行うのではなく、太陽光発電システム15の制御装置が、発電電力が多くなる時間帯を算定して、第1運転制御装置7の運転時間帯入力部40に入力する構成としても良い。
【0086】
〈7〉上記第1及び第2実施形態では、本熱電併給システム1として一般家庭用を想定して説明したが、本熱電併給システム1は、例えば、オフィスや店舗用、或いは、宿泊施設や病院向けの一般家庭用より大規模な構成であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明に係る熱電併給システムは、運転時間帯に対するユーザ要望を取り入れることができ、しかも、省エネルギ性に優れた運転計画が可能な熱電併給システムに利用できる。
【符号の説明】
【0088】
1: 熱電併給システム
2: 発電ユニット
3: 熱供給ユニット
4: 熱電併給装置
4a: 燃料電池システム
4b: ガスエンジン型発電システム
5: インバータ装置
6: 冷却液循環経路
7: 第1運転制御装置
8,21〜23: 循環ポンプ
9: 電気ヒータ
10: 商用電源
11: 発電電力供給ライン
12: 電力負荷
13: 受電電力供給ライン
14: 電力計
15: 太陽光発電システム
16: 貯湯タンク
17: 補助熱源機(ガス給湯器)
18: 湯水循環経路
19: 熱源用循環経路
20: 熱媒循環経路
24〜26: 熱交換器
27,28: 三方弁
29: 二方弁(断続弁)
30: 逆止弁
31: 給水路
32: ラジエータ
33: 給湯熱負荷計測手段
34: 循環熱負荷計測手段
35: 第2運転制御装置
36: 給湯負荷
37: 循環温水負荷
38: 下部入出水口
39: 上部入出水口
40: 運転時間帯入力部
41: 需要予測部
42: 運転計画部
43: 操作端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力と熱を併せて発生する熱電併給装置と、前記熱電併給装置で発生した熱を回収し、回収した熱を温水に変換して蓄熱して熱負荷に供給する熱供給装置と、前記熱電併給装置の運転を制御する運転制御装置と、を備えた熱電併給システムであって、
前記運転制御装置が、
前記熱電併給装置の運転希望時間帯を外部から受け付ける運転時間帯入力部と、
熱需要の実績データを蓄積し、蓄積された熱需要実績データに基づいて、運転計画対象時間範囲を含む予測時間範囲における熱需要の所定の時間間隔における時間変化を予測し、熱需要予測データとして記憶する需要予測部と、
前記需要予測部が記憶した前記熱需要予測データに基づく予測熱需要の内、前記運転希望時間帯の開始から所定時間経過後に発生する第1予測熱需要を充足するために要する前記熱電併給装置の運転時間以上の時間長となり、且つ、前記運転希望時間帯と所定の最小重複時間以上重複する運転実行時間帯を算出する運転計画部と、を備え、
少なくとも前記運転実行時間帯に、前記熱電併給装置を運転状態とする制御を行うことを特徴とする熱電併給システム。
【請求項2】
前記第1予測熱需要は、前記熱需要予測データに基づく予測熱需要の内、前記運転希望時間帯の終了から所定時間内に発生する予測熱需要であることを特徴とする請求項1に記載の熱電併給システム。
【請求項3】
前記運転計画部は、
前記第1予測熱需要を充足するために要する前記熱電併給装置の運転時間として定義される第1運転時間が前記運転希望時間帯の時間長以上の場合は、前記運転実行時間帯を、前記運転希望時間帯を全て内包し、その時間長が前記第1運転時間となるように設定し、
前記第1運転時間が前記運転希望時間帯の時間長未満、前記最小重複時間以上の場合は、前記運転実行時間帯を、前記運転希望時間帯内において前記運転希望時間帯の中央部分または終了時刻近傍を含み、その時間長が前記第1運転時間となるように設定し、
前記第1運転時間が前記最小重複時間未満の場合は、前記運転実行時間帯を、前記運転希望時間帯内において前記運転希望時間帯の中央部分または終了時刻近傍を含み、その時間長が前記最小重複時間となるように設定することを特徴とする請求項1または2に記載の熱電併給システム。
【請求項4】
前記需要予測部が、電力需要の実績データを蓄積し、蓄積された電力需要実績データに基づいて、運転計画対象時間範囲を含む予測時間範囲における電力需要の所定の時間間隔における時間変化を予測し、電力需要予測データとして記憶し、
前記運転計画部が、
前記運転希望時間帯と前記最小重複時間重複し、前記運転希望時間帯の中央部分または終了時刻近傍を含む暫定運転時間帯を設定し、前記暫定運転時間帯において前記熱電併給装置が、前記電力需要予測データで規定される前記暫定運転時間帯の電力負荷に追従して発電する負荷追従運転をした場合において前記第1予測熱需要に対して前記熱供給装置が供給できる第1供給熱量を算出し、
前記第1供給熱量が前記第1予測熱需要以上の場合は、前記暫定運転時間帯を前記運転実行時間帯に設定し、
前記第1供給熱量が前記第1予測熱需要未満の場合は、前記暫定運転時間帯を仮に前後少なくとも何れか一方に延長して再設定し、前記第1供給熱量の再算出を行い、
再算出した前記第1供給熱量が前記第1予測熱需要以上の場合は、再設定後の前記暫定運転時間帯を前記運転実行時間帯に設定し、
再算出した前記第1供給熱量が前記第1予測熱需要未満の場合は、再設定後の前記暫定運転時間帯を更に延長して再設定し、前記第1供給熱量の再算出を行う処理を、前記第1供給熱量が前記第1予測熱需要以上となるまで繰り返し、
前記運転制御装置が、少なくとも前記運転実行時間帯に、前記熱電併給装置を電力負荷に追従して発電するよう制御することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の熱電併給システム。
【請求項5】
前記運転計画部が、
初回に算出された前記第1供給熱量が前記第1予測熱需要の所定倍より大きい場合は、前記暫定運転時間帯を前記運転実行時間帯に設定せず、前記暫定運転時間帯を仮に前後少なくとも何れか一方に短縮して再設定し、前記第1供給熱量の再算出を行い、
再算出した前記第1供給熱量が前記第1予測熱需要以上、前記第1予測熱需要の所定倍以下の場合は、再設定後の前記暫定運転時間帯を前記運転実行時間帯に設定し、
再算出した前記第1供給熱量が前記第1予測熱需要の所定倍より大きい場合は、再設定後の前記暫定運転時間帯を更に短縮して再設定し、前記第1供給熱量の再算出を行う処理を、前記第1供給熱量が前記第1予測熱需要以上、前記第1予測熱需要の所定倍以下となるまで繰り返すことを特徴とする請求項4に記載の熱電併給システム。
【請求項6】
前記運転計画部が、第1予測熱需要を充足するために前記熱電併給装置が定格出力運転を行うことを想定して前記第1予測熱需要を充足するために要する前記熱電併給装置の運転時間を第1運転時間として算出して、前記運転実行時間帯を算出し、
前記運転制御装置が、少なくとも前記運転実行時間帯に、前記熱電併給装置を定格出力運転するよう制御することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の熱電併給システム。
【請求項7】
前記運転計画部が、
前記第1運転時間が前記最小重複時間未満の場合に、前記運転実行時間帯を、前記運転希望時間帯内において前記運転希望時間帯の中央部分または終了時刻近傍を含み、その時間長が前記最小重複時間となるように設定する場合において、
前記熱電併給装置が前記運転実行時間帯に定格出力運転した場合に、前記第1予測熱需要に対して前記熱供給装置が供給できる第2供給熱量を算出し、
前記第2供給熱量が前記第1予測熱需要の所定倍より大きい場合は、前記第1予測熱需要の所定倍以下となるように、前記運転実行時間帯の時間長を前記最小重複時間より短く設定することを特徴とする請求項6に記載の熱電併給システム。
【請求項8】
前記運転計画部は、前記予測熱需要の内の前記第1予測熱需要に先行する第2予測熱需要に基づいて、前記第1予測熱需要の発生開始時点における前記熱供給装置の予測蓄熱量を算出し、前記第1予測熱需要から前記予測蓄熱量を差し引いた不足熱需要を前記第1予測熱需要として、前記運転実行時間帯の算出を行うことを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の熱電併給システム。
【請求項9】
商用電力と系統連系接続して発電電力を前記商用電力側に逆潮流可能に構成された太陽光発電装置を備え、
前記熱電併給装置が、前記商用電力と系統連系接続し、発電電力を前記商用電力側に逆潮流しないよう構成されていることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の熱電併給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−207864(P2012−207864A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−74258(P2011−74258)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】