熱電変換装置
【課題】熱電変換装置が加熱され熱変形しても、熱電半導体チップの接合部や熱電半導体チップ自身が損傷しにくい、信頼性に優れた熱電変換装置とその製造方法とを提供することを課題とする。
【解決手段】本発明の熱電変換装置1は、低温側板12と、この低温側板12に対向する高温側板17と、低温側板および高温側板の各対向面に接触するように配置される複数の低温側電極部材13および高温側電極部材16と、これらの低温側電極部材と高温側電極部材との間に設けられ一端側を低温側電極部材に接触するとともに他端側を高温側電極部材に接触して電気的に直列配列される複数の熱電半導体チップ14、15と、低温側板と高温側板の相対位置を保持する結合部材18とを備え、低温側板と高温側板との間には熱電半導体チップの軸方向に圧縮圧力が加えられており、この圧縮圧力が結合部材18によって保持されていることを特徴とする。
【解決手段】本発明の熱電変換装置1は、低温側板12と、この低温側板12に対向する高温側板17と、低温側板および高温側板の各対向面に接触するように配置される複数の低温側電極部材13および高温側電極部材16と、これらの低温側電極部材と高温側電極部材との間に設けられ一端側を低温側電極部材に接触するとともに他端側を高温側電極部材に接触して電気的に直列配列される複数の熱電半導体チップ14、15と、低温側板と高温側板の相対位置を保持する結合部材18とを備え、低温側板と高温側板との間には熱電半導体チップの軸方向に圧縮圧力が加えられており、この圧縮圧力が結合部材18によって保持されていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の熱電半導体チップの吸熱面に吸熱側電極を取り付けるとともに、各熱電半導体チップの放熱面に放熱側電極を取り付け、全ての熱電半導体チップと電気的に直列に、熱的に並列接続してなる熱電変換装置に係わり、特に、製造性がよく、優れた信頼性を有する熱電変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
熱電変換装置は、トムソン効果、ペルチェ効果、ゼーベック効果などの熱電変換効果を利用した熱電半導体チップを組み合わせて構成され、電気を熱に変換する温度調整ユニットとしては、すでに量産化されている。また、発電ユニットとしても研究開発が進められている。
【0003】
発電ユニットとしての熱電変換装置は、複数の熱電半導体チップが電極を有する絶縁基板に挟まれて配列され、電気的に直列に、熱的に並列に接続されている。
【0004】
熱電変換装置の発電効率を熱電半導体チップ自体の発電効率に近づけるためには、熱電半導体チップの一端部への熱供給と熱電半導体チップの他端部からの放熱がスムースに行われる必要がある。そのため、熱電変換装置を構成する基板には、熱伝導に優れたセラミックス基板が使用されている。さらに、熱電半導体チップの端部に配置される電極は、電気抵抗の低い材料によって構成されている。
【0005】
このような熱電変換装置においては、各熱電半導体チップの両端の温度差を直接電気エネルギに変換するため、高温側と低温側との熱膨張差により熱変形が生じる。このため、各構成部材の接合部や熱電半導体チップが破損したり、接合部分に隙間ができて熱伝導効率が低下し、熱電変換性能が低下するなどという問題があった。また、高温環境下で各電極や熱電半導体チップなどが酸化して信頼性が低下するという問題も生じていた。
【0006】
これらの問題を解決するために、従来から多くの提案がなされている。例えば、配線基板に形成された複数の電極に熱電半導体チップの一端面を固着し、その熱電半導体チップの他端面には接触するように複数の電極を配置し、熱電半導体チップの一端面から他端面方向に圧力を加えて構成した熱電変換装置が開示されている(特許文献1参照)。そして、この構造により、熱電変換装置が加熱されて熱変形しても、各熱電半導体チップと接触配置された電極面ですべりが生じるので、熱電半導体チップの接合部や熱電半導体自身が損傷しにくく、信頼性の高い熱電変換装置であるとしている。
【0007】
しかし、上記の従来技術になる熱電変換装置では、熱電半導体チップの高さのバラツキを吸収するために熱電半導体チップの一端面はハンダで固着された構造である。このため、固着されている接合部には熱電半導体チップと電極(固着部材)の熱変形量の違いによって応力が発生したり、あるいは、熱電半導体チップ自身に内部応力が発生したりする。これらの発生応力は接合部や熱電半導体チップ自身の損傷に繋がるため、信頼性面でなお課題がある。
【0008】
また、熱電半導体チップと電極が接合材料を用いて接合された構造で、密閉容器を具備し、密閉容器内の湿度を極小に保持して熱電変換装置の劣化による発電効率の低下の少ない熱電変換装置が知られている(特許文献2参照)。
【0009】
しかし、この熱電変換装置においても、熱電半導体チップと電極とが接合材料を用いて接合された構造であり、熱電半導体チップと電極とが固着されている。それゆえ特許文献1に記載の熱電変換装置と同様に信頼性面で課題がある。
【特許文献1】特開2005−64457号公報
【特許文献2】特開2004−172481号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記の課題を解決し、熱電変換装置が加熱され熱変形しても、熱電半導体チップの接合部や熱電半導体チップ自身が損傷しにくい、信頼性に優れた熱電変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の熱電変換装置は、低温側板と、この低温側板に対向する高温側板と、低温側板および高温側板の各対向面に接触するように配置される複数の低温側電極部材および高温側電極部材と、これらの低温側電極部材と高温側電極部材との間に設けられ一端側を低温側電極部材に接触するとともに他端側を高温側電極部材に接触して電気的に直列配列される複数の熱電半導体チップと、低温側板と高温側板の相対位置を保持する結合部材とを備え、低温側板と高温側板との間には熱電半導体チップの軸方向に圧縮圧力が加えられており、この圧縮圧力が結合部材によって保持されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の熱電変換装置において、低温側板および高温側板の少なくとも一方は、低温側電極部材および高温側電極部材の位置を規制する位置規制部位を有することが望ましい。
【0013】
また、本発明の熱電変換装置において、低温側板および高温側板の少なくとも一方は、低温側電極部材および高温側電極部材の位置と熱電半導体チップの位置とを規制する位置規制部位を有することが望ましい。
【0014】
本発明の熱電変換装置において、低温側電極部材及び高温側電極部材の少なくとも一方は、熱電半導体チップの位置を規制する位置規制部位を有することが望ましい。
【0015】
本発明の熱電変換装置において、熱電半導体チップと低温側電極部材との間および熱電半導体チップと高温側電極部材との間の少なくとも一方に、導電性の変形可能な弾性構造部材を有することができる。
【0016】
また、本発明の熱電変換装置において、低温側板と低温側電極部材との間および高温側板と高温側電極部材との間の少なくとも一方に、熱伝導性のよい変形可能な弾性構造部材を有することが好ましい。
【0017】
さらに、本発明の熱電変換装置において、低温側電極部材および高温側電極部材の少なくとも一方は、導電性の変形可能な弾性構造部材であってもよい。
【0018】
本発明の熱電変換装置において、結合部材と低温側板および高温側板とは溶接またはろう材によって結合されて、熱電半導体チップおよび電極部材を収容する密閉容器を形成することが望ましい。そして、このような密閉容器内の雰囲気は減圧雰囲気、窒素雰囲気および不活性ガス雰囲気の少なくとも1つから選ばれることが好ましい。
【0019】
また、熱電変換装置の低温側板または高温側板のいずれかを変形可能な部材として、外部からの圧縮圧力を利用して熱電半導体チップと電極部材との密着を確保するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の熱電変換装置は、熱電半導体チップの端面と各電極面とは自由度の高い接触構造となっており、固着された剛体構造ではない。従って、各部材の線膨張係数の違いによって異なる熱変形量が生じても、低温側、高温側ともに各熱電半導体チップと各電極面で滑りが生じるので、接触部や熱電半導体チップ自身が損傷しにくい。従って、信頼性の高い熱電変換装置を提供することができる。
【0021】
また、接合用のハンダを用いていないため、熱電変換装置の耐熱性がハンダの溶融温度によって左右されない。従って、耐熱性に優れた熱電変換装置を提供することができる。
【0022】
さらに、複数の電極部材も他部材に固定しない独立させた構造であるため、従来ハンダ材を用いて吸収していた50μm程度の熱電半導体チップの高さバラツキがあっても、個々の電極部材が変形することでこの程度の高さバラツキを吸収することができる。
【0023】
本発明の熱電変換装置は、低温側板や高温側板などに低温側電極や熱電半導体チップの位置を規制する部位を有している。このため、熱電変換装置に過度の衝撃が加わった場合にも、各部材の相対位置を保持して各部材間の絶縁性を確保することができる。また、製造時には従来必須であった各部材を整列させる組み付け治具を必要とせず、直接各部材を組み付けることができるので簡単に熱電変換装置を製造することができる。
【0024】
また、本発明の熱電変換装置は、熱電半導体チップと各電極との間に弾性構造部材を備えている。このため、吸収できる熱電半導体チップの高さバラツキの大きさが弾性構造部材の弾性量分向上し、より一層信頼性を高めることができる。
【0025】
さらに、本発明の熱電変換装置は、熱電半導体チップが減圧雰囲気又は不活性ガス雰囲気内に密閉して配置される。このため、熱電変換装置が高温に加熱されても、酸化や腐食による熱電半導体チップなどの劣化を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の熱電変換装置について実施例によって図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0027】
図1は、実施例1の熱電変換装置1の構成を示す断面概要図である。
【0028】
熱電変換装置1は、低温側板12と、この低温側板12に接触するように配置される複数の低温側電極部材13と、複数の高温側電極部材16と、この高温側電極部材16と接触するように配置される高温側板17と、一端面で低温側電極部材13に接触し、他端面で高温側電極部材16と接触するとともに電気的に直列配列される複数の熱電半導体チップ14、15と、低温側板12と高温側板17との相対位置を保持する結合部材18とを備えている。そして、低温側板12と高温側板17との間には熱電半導体チップ14、15の軸方向に圧縮するように圧力が加えられており、この圧縮圧力が結合部材18によって保持されている。
【0029】
ここで、低温側板12は絶縁性のアルミナセラミックスであり低温側板12と低温側電極部材13とを絶縁している。また、低温側板12には、位置規制部位である凹部12aと凸部12bとが形成されており、凹部12aに所定の低温側電極部材13を嵌着することで複数の各低温側電極部材13の位置を規制すると同時に、凸部12bで複数の低温側電極部材13同士を絶縁している。また、高温側板17は絶縁性のアルミナセラミックスであり高温側板17と高温側電極部材16とを絶縁している。この高温側板17には凹部17aと凸部17bとが形成されており、凹部17aに所定の高温側電極部材16を嵌着することで複数の各高温側電極部材16の位置を規制すると同時に、凸部17bで複数の高温側電極部材16同士を絶縁している。ここで、本明細書において「嵌着」とは、一方の部材が他方の部材に対してある程度の相対的変位が可能なように保持される形態を意味する。また、「嵌入」も同様に互いの部材が相対変位可能に保持される形態を意味する。
【0030】
低温側電極部材13は、低温側板12とともに熱電半導体チップ14、15の位置を規制する凹部(位置規制部位)13aを有しており、所定の熱電半導体チップを嵌挿することで、複数の熱電半導体チップの各々の相対位置を規制することができる。また、高温側電極部材16は高温側板17の凹部17aに嵌入するバスタブ形状であり、バスタブの側壁に沿って熱電半導体チップ14、15を配置することでそれらの相対位置を規制することができる。電極部材は、良好な導電性を有するとともに、圧縮圧力で熱電半導体チップと密着接触できる変形可能な材料であることが望ましく、銅やアルミニウムあるいは銀などを好適に用いることができる。
【0031】
以上のように熱電変換装置1は、各部材(絶縁板、電極部材、熱電半導体チップ)が相互に所定の位置規制部位により位置決めされており、また各部材はそれぞれ固着されていないので、圧縮圧力により密着接触できるように変形に対する自由度を持った接触構造となっている。
【0032】
熱電半導体チップは複数のP型熱電半導体チップ14とN型熱電半導体チップ15とからなり、各々は一端面で低温側電極部材13に接触し、他端面で高温側電極部材16と接触して交互に配置されており、各電極部材を介して電気的に直列配列されている。
【0033】
低温側板12の周縁部と高温側板17の側面部と、これらに対向する枠18の対向面にはメタライズ21が施され、低温側板12と高温側板17とはろう材22で枠18に接合されている。
【0034】
枠18はステンレス鋼や鉄・ニッケル・コバルト合金(例えば、商品名:コバール)などの金属材料からなり、低温側板12と高温側板17とともに、熱電半導体チップ14、15や低温側電極部材13、高温側電極部材16などを収容して周囲環境から密閉封止する密封構造を形成する。この密封構造の内部は酸化や腐食防止のために減圧雰囲気となっており、所望によりヘリウムやアルゴンなどの不活性ガスや窒素ガスなどが充填される。
【0035】
次に、熱電変換装置1の作用を説明する。熱電変換装置1には、図1に示すように複数の熱電半導体チップ14、15が電気的に直列配置されている。熱電変換装置1の高温側板17に熱源などからの高温、例えば、400℃〜800℃の放射熱が吸熱される。この放射熱は高温側板17および高温側電極部材16などを経て熱電半導体チップ14、15に熱伝導され、熱電半導体チップ14、15を高温側から低温側に熱流となって流れ、その間にゼーベック効果により起電力が生じる。発生した電力は電気的に直列配列された各熱電半導体チップ14、15からリード線19を介して外部へ取り出される。
【0036】
各熱電半導体チップ14、15により熱エネルギが電気エネルギに変換されることにより温度降下した熱流は、低温側電極部材13から低温側板12を経て熱伝導され外部へ放熱される。
【0037】
本実施例では、低温側電極部材13と熱電半導体チップ14、15および高温側電極部材16と熱電半導体チップ14、15とはハンダなどの接合によって固定される剛体構造ではなく、熱膨張に対する自由度の高い接触構造となっている。このため、線膨張係数の違いによって各部材に異なる熱変形量が生じても、低温側、高温側ともに各熱電半導体チップ14、15と各電極面13、16との間で滑りを生じて熱変形量の差を吸収することができる。従って、電極部材と熱電半導体チップとの接触部や熱電半導体チップ14、15自身が損傷しにくく、信頼性の高い熱電変換装置1を提供することができる。
【0038】
本実施形態の熱電変換装置1は例えば、以下のような工程により製造する。
【0039】
まず第1工程では、図2に示すように低温側板12と枠18とのメタライズ21が施されている接合部を、ろう材22を用いて接合する。ここで、低温側板12は絶縁性を有しかつ熱伝導が良好な例えば、窒化珪素セラミックス、窒化アルミセラミックス、高純度のアルミナセラミックスであることが望ましい。また、低温側板12は2層からなる多層構造とし、熱電変換された電力を外部に取り出すための内部配線19を備え、この内部配線19と外部配線20とをろう材22によって接合する。なお、上記のように枠18と低温側板12とをろう付けする構造ではなく、低温側板12をバスタブ状の箱形の構造体として枠18を用いない構造としてもよい。
【0040】
第2工程では、低温側板12の凹部12aに所定の低温側電極部材13を嵌着する。低温側電極部材13及び高温側電極部材16とP型熱電半導体チップ14およびN型熱電半導体チップ15は、加圧されて接触される構造である。従って、加圧力を保持するために枠18はP型熱電半導体チップ14やN型熱電半導体チップ15よりも線膨張係数が小さくかつ熱伝導性の低い材質であることが好ましく、例えば、ステンレス鋼や鉄・ニッケル・コバルト合金(例えば、商品名:コバール)などの金属材料、あるいはジルコニア、アルミナ、ムライトなどのセラミックスが望ましい。
【0041】
次に、第3工程では、図3に示すように低温側板12と低温側電極部材13によって形成される凹部13aにP型熱電半導体チップ14とN型熱電半導体チップ15とを嵌挿する。P型熱電半導体チップ14とN型熱電半導体チップ15とは低温側電極部材13上に交互に配置されるので、第4工程では、図4のようにバスタブ形状の箱形の高温側電極部材16を隣り合う一対のP型熱電半導体チップ14とN型熱電半導体チップ15の高温側端面の上に跨設する。この時、高温側電極部材16をすでに配置されている低温側電極部材13と交互にジグザグ状に配置して、全ての熱電半導体チップ14、15が電気的に直列に、また、熱的には並列に配置されるようにする。
【0042】
第5工程では、図5に示すように高温側電極部材16を位置決めする凹部17aを備えた高温側板17を高温側電極部材16上に嵌合載置して、複数の高温側電極部材16同士を絶縁するとともに、各々の相対位置を維持するようにする。
【0043】
続いて、第6工程では、図6に示すように減圧雰囲気23中で低温側板12と高温側板17に上下に圧力を加えながら、高温側板17と枠18とをろう材22を用いて密閉接合する。なお、高温側板17の側面と対向する枠18の接合部には、ろう付けを容易にするために上記のように銅薄膜などのメタライズ21を施しておく。
【0044】
上記の熱電変換装置1では、低温側、高温側ともに熱電半導体チップと電極部材とが加圧接触するように配置された構造であり、各熱電半導体チップと各電極部材との間ですべりを生じることで各部材の熱膨張量の差を吸収することができる。このため、接触部や熱電半導体チップ自身が損傷しにくく、熱電変換装置の信頼性が大幅に向上するという優れた効果がある。また、複数の電極部材が他の部材に固着されることなく容易に変形可能な独立した構造であるため、熱電半導体チップの高さにバラツキがあっても独立した複数の電極部材が個々に変形して、その高さバラツキを吸収することができる。また、接合用のハンダや変形可能な導電性部材を必要としないので、従来技術による熱電変換装置に比べて、部品点数と工数の低減が可能となる。さらに、従来技術では、製造時に熱電半導体チップや電極部材を整列させるための治具が必要であるのに対して、本実施例ではこのような整列用の治具を使用することなく、電極部材や熱電半導体チップなどを予め形成されている所定の位置へ嵌着することができ、簡単に熱電変換装置を製造することができる。
【実施例2】
【0045】
実施例2の熱電変換装置2は図7の断面概要図に示すように、実施例1のアルミナセラミックからなる高温側板17を絶縁材25をコーティングした導電性板24とし、アルミナセラミックの枠18を導電性板24と溶接しやすい同種の金属材料の枠18’とした以外は、実施例1と同様の部材を用いて同様のの構成としたものである。なお、図7で実施例1と同様の箇所については同一の符号を付して説明を省略する。
【0046】
熱電変換装置2では、導電性板24と枠18’には金属材料である鉄・ニッケル・コバルト合金(コバール)を用い、また、絶縁材25としてはアルミナセラミックスを用いた。枠18’と導電性板24とは同種の金属材料であるのでレーザ溶接により容易に接合することができ、実施例1と同様に減圧雰囲気中で圧縮圧力を加えながら密閉接合する。
【0047】
このようにして形成された熱電変換装置2は、高温側板24に実施例1で用いたセラミックスよりも耐衝撃性が高い金属を用いているので、高温側板24の耐衝撃性が向上し、熱電変換装置2の耐衝撃性を向上することができる。このような熱電変換装置2は、設備の駆動部分など耐衝撃性や耐振動性を必要とする部位に装着する熱電変換装置として好適である。
【実施例3】
【0048】
図8に実施例3の熱電変換装置3の断面構造を示す。熱電変換装置3は実施例1の熱電変換装置1の高温側電極部材16とP型熱電半導体チップ14およびN型熱電半導体チップ15との間に弾性構造体27を介挿し、その他の構成は実施例1と同様としたものである。図8で実施例1と同様の箇所については同一の符号を付して説明を省略する。
【0049】
弾性構造体27はP型熱電半導体チップ14とN型熱電半導体チップ15とを電気的に接続するために導電性の材質からなる構造体が必要である。ここでは厚さ方向に弾性変形する銅細線からなる金属細線網を用いた。なお、この他に銅、アルミニウム、あるいは銀などからなる金属製の板ばねを用いてもよい。
【0050】
このような熱電変換装置3は、弾性構造体27を使用する構造であるため、熱電半導体チップの高さバラツキをこの弾性構造体27によっても吸収することができ、さらに安定した導通を得ることが可能になる。つまり、熱電半導体チップの高さバラツキの大きさが弾性構造体27の弾性変形量分向上するという優れた効果がある。
【実施例4】
【0051】
実施例4の熱電変換装置4は、図9に断面構造を示すように実施例1の高温側電極部材16と高温側板17との間に弾性構造体27を介挿し、その他の構成は実施例1と同様としたものである。なお、図9で実施例1と同様の箇所については同一の符号を付して説明を省略する。
【0052】
ここで、弾性構造体27は熱抵抗を少なくするために高熱伝導性材料からなる構造体が望ましい。ここでは、上記の実施例3と同様の金属細線網を用いた。この他にシリコン系などの熱伝導性シートを用いてもよい。また、介挿する弾性構造体27が銅や銀などのように高い導電性を有する材料であれば、電気抵抗を低減することもできるのでさらに好適である。
【0053】
このような熱電変換装置4は、上記の実施例3と同様に弾性構造体27を使用する構造であるため、吸収できる熱電半導体チップの高さバラツキの大きさが弾性構造体の弾性変形量分向上するという優れた効果がある。
【実施例5】
【0054】
実施例5の熱電変換装置5は、低温側板12と高温側板17との相対位置を保持する結合部材に、実施例1の枠18に代えてボルト28とナット30とを用いたものである。図10に熱電変換装置5の断面構造を示す。
【0055】
熱電変換装置5においては、ボルト28とナット30との締結によって低温側板12’と高温側板17’とに加圧力を負荷すると同時に、加圧力を保持する。なお、本実施例ではボルト28は一本であるが複数本用いてもよい。
【0056】
熱電変換装置5では、ボルト締結により各部材の相対的位置を保持している。従って、低温側板12’と高温側板17’とは、例えば、鋼、モリブデン、タングステン、あるいはタングステンカーバイドなどの剛性の高い、かつ相対的に板厚の厚い材料で構成されている。それゆえ、低温側板12と低温側電極部材13及び高温側板17と高温側電極部材16との間に窒化珪素セラミックの絶縁部材31を介装することで、各部材間の絶縁を図った。
【0057】
このような熱電変換装置5は、ナットの回転量で締結力を調整することができるので、加圧力が所望の圧縮力となるように容易に管理することができる。
【0058】
なお、本発明の熱電変換装置は上記の実施例1〜5に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更することができる。
【0059】
例えば、上記の実施例では、熱電変換装置の組み立て時に熱電半導体チップの軸方向に圧縮圧力を加えて枠などの結合部材でこの圧縮圧力を保持するようにしたが、熱電変換装置を所定の位置へ取り付ける時の締結力などの外部からの圧力を必要な圧縮圧力として利用してもよい。
【0060】
図11は熱電変換装置6の断面構造を示すもので、高温側板17を周縁部にV字溝32を形成した変形可能な高温側部材33としている。なお、図示はしないが、高温側部材33と高温側電極部材16及び低温側板12と低温側電極部材13及び複数の電極部材13,16同士は適宜の方法で絶縁されている。また、外部からの圧力を利用して加圧を行うために熱電半導体チップ14、15には圧力は負荷されておらず、空隙dがある状態で低温側板12と高温側部材33とを接合している。しかし、あえて空隙dを設けて熱電半導体チップに圧力を加えない構造とする必要はなく、熱電半導体チップの両端面を各電極部材に接触させて仮圧力をかける構造としてもよい。
【0061】
図12は熱電変換装置6を高温廃熱管などの所定の部位に装着した状態を示す。熱電変換装置6は、低温側取付部材34と高温側取付部材35とに挟持され、ボルトB、Bの締結の圧力を利用することで、熱電変換装置6に必要な圧縮圧力が負荷されている。なお、この時に高温側部材33が変形して各部材の接触を可能にしている。このような熱電変換装置6は、高温側部材33を変形させる構造であるので、高温側部材33を薄くして熱抵抗を減少することで発電効率を向上させることができる。
【0062】
また、実施例3では図8において高温側電極部材16とP型熱電半導体チップ14およびN型熱電半導体チップ15との間に弾性構造体27を介挿したが、弾性構造体27は導電性材料からなっているので高温側電極部材16を設けることなく弾性構造体27で高温側電極部材16に代替してもよい。高温側電極部材16を弾性構造体27で代替することで部品点数を削減しながら実施例3と同様の効果を得ることができる。
【0063】
なお、本実施形態においては、熱電変換装置として、低温側板と高温側板との間の熱量の差に基づいて起電力を生じるゼーベック素子について説明したが、熱電半導体チップに電流を通電して高温側板と低温側板との間に温度差を生じさせるペルチェ素子にも本発明を採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明の熱電変換装置は、従来の熱電変換装置のように各部材をハンダなどで接合する剛体構造ではなく、加圧力により各部材の相対位置を保持すると同時に電気の導通を確保する自由度の高い接触構造になっている。従って、熱膨張に対する自由度が大きく、熱膨張量差による熱電半導体の変形を吸収することができる。例えば、高温側は600℃で、低温側が100℃といった温度差の大きな熱電変換装置であっても熱電半導体やその電極部材との接触部が損傷しにくく、長期間にわたって高い信頼性を維持することができる。
【0065】
このような特性を有する本発明の熱電変換装置は、工場などの廃熱回収装置として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】実施例1の熱電変換装置1の主要構成を示す断面概要図である。
【図2】熱電変換装置1を製造する第1工程を説明する断面概要図である。
【図3】熱電変換装置1を製造する第2工程を説明する断面概要図である。
【図4】熱電変換装置1を製造する第3工程を説明する断面概要図である。
【図5】熱電変換装置1を製造する第4工程を説明する断面概要図である。
【図6】熱電変換装置1を製造する第5工程を説明する断面概要図である。
【図7】実施例2の熱電変換装置2の主要構成を示す断面概要図である。
【図8】実施例3の熱電変換装置3の主要構成を示す断面概要図である。
【図9】実施例4の熱電変換装置4の主要構成を示す断面概要図である。
【図10】実施例5の熱電変換装置5の主要構成を示す断面概要図である。
【図11】その他の例の熱電変換装置6の主要構成を示す断面概要図である。
【図12】熱電変換装置6を高温廃熱管の所定の部位に介装した状態を示す断面概要図である。
【符号の説明】
【0067】
1:熱電変換装置 12:低温側板 13:低温側電極部材 14:P型熱電半導体チップ 15:N型熱電半導体チップ 16:高温側電極部材 17:高温側板 18:枠(結合部材)24:導電性板 25:絶縁材 27:弾性構造体31:絶縁部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の熱電半導体チップの吸熱面に吸熱側電極を取り付けるとともに、各熱電半導体チップの放熱面に放熱側電極を取り付け、全ての熱電半導体チップと電気的に直列に、熱的に並列接続してなる熱電変換装置に係わり、特に、製造性がよく、優れた信頼性を有する熱電変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
熱電変換装置は、トムソン効果、ペルチェ効果、ゼーベック効果などの熱電変換効果を利用した熱電半導体チップを組み合わせて構成され、電気を熱に変換する温度調整ユニットとしては、すでに量産化されている。また、発電ユニットとしても研究開発が進められている。
【0003】
発電ユニットとしての熱電変換装置は、複数の熱電半導体チップが電極を有する絶縁基板に挟まれて配列され、電気的に直列に、熱的に並列に接続されている。
【0004】
熱電変換装置の発電効率を熱電半導体チップ自体の発電効率に近づけるためには、熱電半導体チップの一端部への熱供給と熱電半導体チップの他端部からの放熱がスムースに行われる必要がある。そのため、熱電変換装置を構成する基板には、熱伝導に優れたセラミックス基板が使用されている。さらに、熱電半導体チップの端部に配置される電極は、電気抵抗の低い材料によって構成されている。
【0005】
このような熱電変換装置においては、各熱電半導体チップの両端の温度差を直接電気エネルギに変換するため、高温側と低温側との熱膨張差により熱変形が生じる。このため、各構成部材の接合部や熱電半導体チップが破損したり、接合部分に隙間ができて熱伝導効率が低下し、熱電変換性能が低下するなどという問題があった。また、高温環境下で各電極や熱電半導体チップなどが酸化して信頼性が低下するという問題も生じていた。
【0006】
これらの問題を解決するために、従来から多くの提案がなされている。例えば、配線基板に形成された複数の電極に熱電半導体チップの一端面を固着し、その熱電半導体チップの他端面には接触するように複数の電極を配置し、熱電半導体チップの一端面から他端面方向に圧力を加えて構成した熱電変換装置が開示されている(特許文献1参照)。そして、この構造により、熱電変換装置が加熱されて熱変形しても、各熱電半導体チップと接触配置された電極面ですべりが生じるので、熱電半導体チップの接合部や熱電半導体自身が損傷しにくく、信頼性の高い熱電変換装置であるとしている。
【0007】
しかし、上記の従来技術になる熱電変換装置では、熱電半導体チップの高さのバラツキを吸収するために熱電半導体チップの一端面はハンダで固着された構造である。このため、固着されている接合部には熱電半導体チップと電極(固着部材)の熱変形量の違いによって応力が発生したり、あるいは、熱電半導体チップ自身に内部応力が発生したりする。これらの発生応力は接合部や熱電半導体チップ自身の損傷に繋がるため、信頼性面でなお課題がある。
【0008】
また、熱電半導体チップと電極が接合材料を用いて接合された構造で、密閉容器を具備し、密閉容器内の湿度を極小に保持して熱電変換装置の劣化による発電効率の低下の少ない熱電変換装置が知られている(特許文献2参照)。
【0009】
しかし、この熱電変換装置においても、熱電半導体チップと電極とが接合材料を用いて接合された構造であり、熱電半導体チップと電極とが固着されている。それゆえ特許文献1に記載の熱電変換装置と同様に信頼性面で課題がある。
【特許文献1】特開2005−64457号公報
【特許文献2】特開2004−172481号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記の課題を解決し、熱電変換装置が加熱され熱変形しても、熱電半導体チップの接合部や熱電半導体チップ自身が損傷しにくい、信頼性に優れた熱電変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の熱電変換装置は、低温側板と、この低温側板に対向する高温側板と、低温側板および高温側板の各対向面に接触するように配置される複数の低温側電極部材および高温側電極部材と、これらの低温側電極部材と高温側電極部材との間に設けられ一端側を低温側電極部材に接触するとともに他端側を高温側電極部材に接触して電気的に直列配列される複数の熱電半導体チップと、低温側板と高温側板の相対位置を保持する結合部材とを備え、低温側板と高温側板との間には熱電半導体チップの軸方向に圧縮圧力が加えられており、この圧縮圧力が結合部材によって保持されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の熱電変換装置において、低温側板および高温側板の少なくとも一方は、低温側電極部材および高温側電極部材の位置を規制する位置規制部位を有することが望ましい。
【0013】
また、本発明の熱電変換装置において、低温側板および高温側板の少なくとも一方は、低温側電極部材および高温側電極部材の位置と熱電半導体チップの位置とを規制する位置規制部位を有することが望ましい。
【0014】
本発明の熱電変換装置において、低温側電極部材及び高温側電極部材の少なくとも一方は、熱電半導体チップの位置を規制する位置規制部位を有することが望ましい。
【0015】
本発明の熱電変換装置において、熱電半導体チップと低温側電極部材との間および熱電半導体チップと高温側電極部材との間の少なくとも一方に、導電性の変形可能な弾性構造部材を有することができる。
【0016】
また、本発明の熱電変換装置において、低温側板と低温側電極部材との間および高温側板と高温側電極部材との間の少なくとも一方に、熱伝導性のよい変形可能な弾性構造部材を有することが好ましい。
【0017】
さらに、本発明の熱電変換装置において、低温側電極部材および高温側電極部材の少なくとも一方は、導電性の変形可能な弾性構造部材であってもよい。
【0018】
本発明の熱電変換装置において、結合部材と低温側板および高温側板とは溶接またはろう材によって結合されて、熱電半導体チップおよび電極部材を収容する密閉容器を形成することが望ましい。そして、このような密閉容器内の雰囲気は減圧雰囲気、窒素雰囲気および不活性ガス雰囲気の少なくとも1つから選ばれることが好ましい。
【0019】
また、熱電変換装置の低温側板または高温側板のいずれかを変形可能な部材として、外部からの圧縮圧力を利用して熱電半導体チップと電極部材との密着を確保するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の熱電変換装置は、熱電半導体チップの端面と各電極面とは自由度の高い接触構造となっており、固着された剛体構造ではない。従って、各部材の線膨張係数の違いによって異なる熱変形量が生じても、低温側、高温側ともに各熱電半導体チップと各電極面で滑りが生じるので、接触部や熱電半導体チップ自身が損傷しにくい。従って、信頼性の高い熱電変換装置を提供することができる。
【0021】
また、接合用のハンダを用いていないため、熱電変換装置の耐熱性がハンダの溶融温度によって左右されない。従って、耐熱性に優れた熱電変換装置を提供することができる。
【0022】
さらに、複数の電極部材も他部材に固定しない独立させた構造であるため、従来ハンダ材を用いて吸収していた50μm程度の熱電半導体チップの高さバラツキがあっても、個々の電極部材が変形することでこの程度の高さバラツキを吸収することができる。
【0023】
本発明の熱電変換装置は、低温側板や高温側板などに低温側電極や熱電半導体チップの位置を規制する部位を有している。このため、熱電変換装置に過度の衝撃が加わった場合にも、各部材の相対位置を保持して各部材間の絶縁性を確保することができる。また、製造時には従来必須であった各部材を整列させる組み付け治具を必要とせず、直接各部材を組み付けることができるので簡単に熱電変換装置を製造することができる。
【0024】
また、本発明の熱電変換装置は、熱電半導体チップと各電極との間に弾性構造部材を備えている。このため、吸収できる熱電半導体チップの高さバラツキの大きさが弾性構造部材の弾性量分向上し、より一層信頼性を高めることができる。
【0025】
さらに、本発明の熱電変換装置は、熱電半導体チップが減圧雰囲気又は不活性ガス雰囲気内に密閉して配置される。このため、熱電変換装置が高温に加熱されても、酸化や腐食による熱電半導体チップなどの劣化を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の熱電変換装置について実施例によって図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0027】
図1は、実施例1の熱電変換装置1の構成を示す断面概要図である。
【0028】
熱電変換装置1は、低温側板12と、この低温側板12に接触するように配置される複数の低温側電極部材13と、複数の高温側電極部材16と、この高温側電極部材16と接触するように配置される高温側板17と、一端面で低温側電極部材13に接触し、他端面で高温側電極部材16と接触するとともに電気的に直列配列される複数の熱電半導体チップ14、15と、低温側板12と高温側板17との相対位置を保持する結合部材18とを備えている。そして、低温側板12と高温側板17との間には熱電半導体チップ14、15の軸方向に圧縮するように圧力が加えられており、この圧縮圧力が結合部材18によって保持されている。
【0029】
ここで、低温側板12は絶縁性のアルミナセラミックスであり低温側板12と低温側電極部材13とを絶縁している。また、低温側板12には、位置規制部位である凹部12aと凸部12bとが形成されており、凹部12aに所定の低温側電極部材13を嵌着することで複数の各低温側電極部材13の位置を規制すると同時に、凸部12bで複数の低温側電極部材13同士を絶縁している。また、高温側板17は絶縁性のアルミナセラミックスであり高温側板17と高温側電極部材16とを絶縁している。この高温側板17には凹部17aと凸部17bとが形成されており、凹部17aに所定の高温側電極部材16を嵌着することで複数の各高温側電極部材16の位置を規制すると同時に、凸部17bで複数の高温側電極部材16同士を絶縁している。ここで、本明細書において「嵌着」とは、一方の部材が他方の部材に対してある程度の相対的変位が可能なように保持される形態を意味する。また、「嵌入」も同様に互いの部材が相対変位可能に保持される形態を意味する。
【0030】
低温側電極部材13は、低温側板12とともに熱電半導体チップ14、15の位置を規制する凹部(位置規制部位)13aを有しており、所定の熱電半導体チップを嵌挿することで、複数の熱電半導体チップの各々の相対位置を規制することができる。また、高温側電極部材16は高温側板17の凹部17aに嵌入するバスタブ形状であり、バスタブの側壁に沿って熱電半導体チップ14、15を配置することでそれらの相対位置を規制することができる。電極部材は、良好な導電性を有するとともに、圧縮圧力で熱電半導体チップと密着接触できる変形可能な材料であることが望ましく、銅やアルミニウムあるいは銀などを好適に用いることができる。
【0031】
以上のように熱電変換装置1は、各部材(絶縁板、電極部材、熱電半導体チップ)が相互に所定の位置規制部位により位置決めされており、また各部材はそれぞれ固着されていないので、圧縮圧力により密着接触できるように変形に対する自由度を持った接触構造となっている。
【0032】
熱電半導体チップは複数のP型熱電半導体チップ14とN型熱電半導体チップ15とからなり、各々は一端面で低温側電極部材13に接触し、他端面で高温側電極部材16と接触して交互に配置されており、各電極部材を介して電気的に直列配列されている。
【0033】
低温側板12の周縁部と高温側板17の側面部と、これらに対向する枠18の対向面にはメタライズ21が施され、低温側板12と高温側板17とはろう材22で枠18に接合されている。
【0034】
枠18はステンレス鋼や鉄・ニッケル・コバルト合金(例えば、商品名:コバール)などの金属材料からなり、低温側板12と高温側板17とともに、熱電半導体チップ14、15や低温側電極部材13、高温側電極部材16などを収容して周囲環境から密閉封止する密封構造を形成する。この密封構造の内部は酸化や腐食防止のために減圧雰囲気となっており、所望によりヘリウムやアルゴンなどの不活性ガスや窒素ガスなどが充填される。
【0035】
次に、熱電変換装置1の作用を説明する。熱電変換装置1には、図1に示すように複数の熱電半導体チップ14、15が電気的に直列配置されている。熱電変換装置1の高温側板17に熱源などからの高温、例えば、400℃〜800℃の放射熱が吸熱される。この放射熱は高温側板17および高温側電極部材16などを経て熱電半導体チップ14、15に熱伝導され、熱電半導体チップ14、15を高温側から低温側に熱流となって流れ、その間にゼーベック効果により起電力が生じる。発生した電力は電気的に直列配列された各熱電半導体チップ14、15からリード線19を介して外部へ取り出される。
【0036】
各熱電半導体チップ14、15により熱エネルギが電気エネルギに変換されることにより温度降下した熱流は、低温側電極部材13から低温側板12を経て熱伝導され外部へ放熱される。
【0037】
本実施例では、低温側電極部材13と熱電半導体チップ14、15および高温側電極部材16と熱電半導体チップ14、15とはハンダなどの接合によって固定される剛体構造ではなく、熱膨張に対する自由度の高い接触構造となっている。このため、線膨張係数の違いによって各部材に異なる熱変形量が生じても、低温側、高温側ともに各熱電半導体チップ14、15と各電極面13、16との間で滑りを生じて熱変形量の差を吸収することができる。従って、電極部材と熱電半導体チップとの接触部や熱電半導体チップ14、15自身が損傷しにくく、信頼性の高い熱電変換装置1を提供することができる。
【0038】
本実施形態の熱電変換装置1は例えば、以下のような工程により製造する。
【0039】
まず第1工程では、図2に示すように低温側板12と枠18とのメタライズ21が施されている接合部を、ろう材22を用いて接合する。ここで、低温側板12は絶縁性を有しかつ熱伝導が良好な例えば、窒化珪素セラミックス、窒化アルミセラミックス、高純度のアルミナセラミックスであることが望ましい。また、低温側板12は2層からなる多層構造とし、熱電変換された電力を外部に取り出すための内部配線19を備え、この内部配線19と外部配線20とをろう材22によって接合する。なお、上記のように枠18と低温側板12とをろう付けする構造ではなく、低温側板12をバスタブ状の箱形の構造体として枠18を用いない構造としてもよい。
【0040】
第2工程では、低温側板12の凹部12aに所定の低温側電極部材13を嵌着する。低温側電極部材13及び高温側電極部材16とP型熱電半導体チップ14およびN型熱電半導体チップ15は、加圧されて接触される構造である。従って、加圧力を保持するために枠18はP型熱電半導体チップ14やN型熱電半導体チップ15よりも線膨張係数が小さくかつ熱伝導性の低い材質であることが好ましく、例えば、ステンレス鋼や鉄・ニッケル・コバルト合金(例えば、商品名:コバール)などの金属材料、あるいはジルコニア、アルミナ、ムライトなどのセラミックスが望ましい。
【0041】
次に、第3工程では、図3に示すように低温側板12と低温側電極部材13によって形成される凹部13aにP型熱電半導体チップ14とN型熱電半導体チップ15とを嵌挿する。P型熱電半導体チップ14とN型熱電半導体チップ15とは低温側電極部材13上に交互に配置されるので、第4工程では、図4のようにバスタブ形状の箱形の高温側電極部材16を隣り合う一対のP型熱電半導体チップ14とN型熱電半導体チップ15の高温側端面の上に跨設する。この時、高温側電極部材16をすでに配置されている低温側電極部材13と交互にジグザグ状に配置して、全ての熱電半導体チップ14、15が電気的に直列に、また、熱的には並列に配置されるようにする。
【0042】
第5工程では、図5に示すように高温側電極部材16を位置決めする凹部17aを備えた高温側板17を高温側電極部材16上に嵌合載置して、複数の高温側電極部材16同士を絶縁するとともに、各々の相対位置を維持するようにする。
【0043】
続いて、第6工程では、図6に示すように減圧雰囲気23中で低温側板12と高温側板17に上下に圧力を加えながら、高温側板17と枠18とをろう材22を用いて密閉接合する。なお、高温側板17の側面と対向する枠18の接合部には、ろう付けを容易にするために上記のように銅薄膜などのメタライズ21を施しておく。
【0044】
上記の熱電変換装置1では、低温側、高温側ともに熱電半導体チップと電極部材とが加圧接触するように配置された構造であり、各熱電半導体チップと各電極部材との間ですべりを生じることで各部材の熱膨張量の差を吸収することができる。このため、接触部や熱電半導体チップ自身が損傷しにくく、熱電変換装置の信頼性が大幅に向上するという優れた効果がある。また、複数の電極部材が他の部材に固着されることなく容易に変形可能な独立した構造であるため、熱電半導体チップの高さにバラツキがあっても独立した複数の電極部材が個々に変形して、その高さバラツキを吸収することができる。また、接合用のハンダや変形可能な導電性部材を必要としないので、従来技術による熱電変換装置に比べて、部品点数と工数の低減が可能となる。さらに、従来技術では、製造時に熱電半導体チップや電極部材を整列させるための治具が必要であるのに対して、本実施例ではこのような整列用の治具を使用することなく、電極部材や熱電半導体チップなどを予め形成されている所定の位置へ嵌着することができ、簡単に熱電変換装置を製造することができる。
【実施例2】
【0045】
実施例2の熱電変換装置2は図7の断面概要図に示すように、実施例1のアルミナセラミックからなる高温側板17を絶縁材25をコーティングした導電性板24とし、アルミナセラミックの枠18を導電性板24と溶接しやすい同種の金属材料の枠18’とした以外は、実施例1と同様の部材を用いて同様のの構成としたものである。なお、図7で実施例1と同様の箇所については同一の符号を付して説明を省略する。
【0046】
熱電変換装置2では、導電性板24と枠18’には金属材料である鉄・ニッケル・コバルト合金(コバール)を用い、また、絶縁材25としてはアルミナセラミックスを用いた。枠18’と導電性板24とは同種の金属材料であるのでレーザ溶接により容易に接合することができ、実施例1と同様に減圧雰囲気中で圧縮圧力を加えながら密閉接合する。
【0047】
このようにして形成された熱電変換装置2は、高温側板24に実施例1で用いたセラミックスよりも耐衝撃性が高い金属を用いているので、高温側板24の耐衝撃性が向上し、熱電変換装置2の耐衝撃性を向上することができる。このような熱電変換装置2は、設備の駆動部分など耐衝撃性や耐振動性を必要とする部位に装着する熱電変換装置として好適である。
【実施例3】
【0048】
図8に実施例3の熱電変換装置3の断面構造を示す。熱電変換装置3は実施例1の熱電変換装置1の高温側電極部材16とP型熱電半導体チップ14およびN型熱電半導体チップ15との間に弾性構造体27を介挿し、その他の構成は実施例1と同様としたものである。図8で実施例1と同様の箇所については同一の符号を付して説明を省略する。
【0049】
弾性構造体27はP型熱電半導体チップ14とN型熱電半導体チップ15とを電気的に接続するために導電性の材質からなる構造体が必要である。ここでは厚さ方向に弾性変形する銅細線からなる金属細線網を用いた。なお、この他に銅、アルミニウム、あるいは銀などからなる金属製の板ばねを用いてもよい。
【0050】
このような熱電変換装置3は、弾性構造体27を使用する構造であるため、熱電半導体チップの高さバラツキをこの弾性構造体27によっても吸収することができ、さらに安定した導通を得ることが可能になる。つまり、熱電半導体チップの高さバラツキの大きさが弾性構造体27の弾性変形量分向上するという優れた効果がある。
【実施例4】
【0051】
実施例4の熱電変換装置4は、図9に断面構造を示すように実施例1の高温側電極部材16と高温側板17との間に弾性構造体27を介挿し、その他の構成は実施例1と同様としたものである。なお、図9で実施例1と同様の箇所については同一の符号を付して説明を省略する。
【0052】
ここで、弾性構造体27は熱抵抗を少なくするために高熱伝導性材料からなる構造体が望ましい。ここでは、上記の実施例3と同様の金属細線網を用いた。この他にシリコン系などの熱伝導性シートを用いてもよい。また、介挿する弾性構造体27が銅や銀などのように高い導電性を有する材料であれば、電気抵抗を低減することもできるのでさらに好適である。
【0053】
このような熱電変換装置4は、上記の実施例3と同様に弾性構造体27を使用する構造であるため、吸収できる熱電半導体チップの高さバラツキの大きさが弾性構造体の弾性変形量分向上するという優れた効果がある。
【実施例5】
【0054】
実施例5の熱電変換装置5は、低温側板12と高温側板17との相対位置を保持する結合部材に、実施例1の枠18に代えてボルト28とナット30とを用いたものである。図10に熱電変換装置5の断面構造を示す。
【0055】
熱電変換装置5においては、ボルト28とナット30との締結によって低温側板12’と高温側板17’とに加圧力を負荷すると同時に、加圧力を保持する。なお、本実施例ではボルト28は一本であるが複数本用いてもよい。
【0056】
熱電変換装置5では、ボルト締結により各部材の相対的位置を保持している。従って、低温側板12’と高温側板17’とは、例えば、鋼、モリブデン、タングステン、あるいはタングステンカーバイドなどの剛性の高い、かつ相対的に板厚の厚い材料で構成されている。それゆえ、低温側板12と低温側電極部材13及び高温側板17と高温側電極部材16との間に窒化珪素セラミックの絶縁部材31を介装することで、各部材間の絶縁を図った。
【0057】
このような熱電変換装置5は、ナットの回転量で締結力を調整することができるので、加圧力が所望の圧縮力となるように容易に管理することができる。
【0058】
なお、本発明の熱電変換装置は上記の実施例1〜5に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更することができる。
【0059】
例えば、上記の実施例では、熱電変換装置の組み立て時に熱電半導体チップの軸方向に圧縮圧力を加えて枠などの結合部材でこの圧縮圧力を保持するようにしたが、熱電変換装置を所定の位置へ取り付ける時の締結力などの外部からの圧力を必要な圧縮圧力として利用してもよい。
【0060】
図11は熱電変換装置6の断面構造を示すもので、高温側板17を周縁部にV字溝32を形成した変形可能な高温側部材33としている。なお、図示はしないが、高温側部材33と高温側電極部材16及び低温側板12と低温側電極部材13及び複数の電極部材13,16同士は適宜の方法で絶縁されている。また、外部からの圧力を利用して加圧を行うために熱電半導体チップ14、15には圧力は負荷されておらず、空隙dがある状態で低温側板12と高温側部材33とを接合している。しかし、あえて空隙dを設けて熱電半導体チップに圧力を加えない構造とする必要はなく、熱電半導体チップの両端面を各電極部材に接触させて仮圧力をかける構造としてもよい。
【0061】
図12は熱電変換装置6を高温廃熱管などの所定の部位に装着した状態を示す。熱電変換装置6は、低温側取付部材34と高温側取付部材35とに挟持され、ボルトB、Bの締結の圧力を利用することで、熱電変換装置6に必要な圧縮圧力が負荷されている。なお、この時に高温側部材33が変形して各部材の接触を可能にしている。このような熱電変換装置6は、高温側部材33を変形させる構造であるので、高温側部材33を薄くして熱抵抗を減少することで発電効率を向上させることができる。
【0062】
また、実施例3では図8において高温側電極部材16とP型熱電半導体チップ14およびN型熱電半導体チップ15との間に弾性構造体27を介挿したが、弾性構造体27は導電性材料からなっているので高温側電極部材16を設けることなく弾性構造体27で高温側電極部材16に代替してもよい。高温側電極部材16を弾性構造体27で代替することで部品点数を削減しながら実施例3と同様の効果を得ることができる。
【0063】
なお、本実施形態においては、熱電変換装置として、低温側板と高温側板との間の熱量の差に基づいて起電力を生じるゼーベック素子について説明したが、熱電半導体チップに電流を通電して高温側板と低温側板との間に温度差を生じさせるペルチェ素子にも本発明を採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明の熱電変換装置は、従来の熱電変換装置のように各部材をハンダなどで接合する剛体構造ではなく、加圧力により各部材の相対位置を保持すると同時に電気の導通を確保する自由度の高い接触構造になっている。従って、熱膨張に対する自由度が大きく、熱膨張量差による熱電半導体の変形を吸収することができる。例えば、高温側は600℃で、低温側が100℃といった温度差の大きな熱電変換装置であっても熱電半導体やその電極部材との接触部が損傷しにくく、長期間にわたって高い信頼性を維持することができる。
【0065】
このような特性を有する本発明の熱電変換装置は、工場などの廃熱回収装置として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】実施例1の熱電変換装置1の主要構成を示す断面概要図である。
【図2】熱電変換装置1を製造する第1工程を説明する断面概要図である。
【図3】熱電変換装置1を製造する第2工程を説明する断面概要図である。
【図4】熱電変換装置1を製造する第3工程を説明する断面概要図である。
【図5】熱電変換装置1を製造する第4工程を説明する断面概要図である。
【図6】熱電変換装置1を製造する第5工程を説明する断面概要図である。
【図7】実施例2の熱電変換装置2の主要構成を示す断面概要図である。
【図8】実施例3の熱電変換装置3の主要構成を示す断面概要図である。
【図9】実施例4の熱電変換装置4の主要構成を示す断面概要図である。
【図10】実施例5の熱電変換装置5の主要構成を示す断面概要図である。
【図11】その他の例の熱電変換装置6の主要構成を示す断面概要図である。
【図12】熱電変換装置6を高温廃熱管の所定の部位に介装した状態を示す断面概要図である。
【符号の説明】
【0067】
1:熱電変換装置 12:低温側板 13:低温側電極部材 14:P型熱電半導体チップ 15:N型熱電半導体チップ 16:高温側電極部材 17:高温側板 18:枠(結合部材)24:導電性板 25:絶縁材 27:弾性構造体31:絶縁部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低温側板と、該低温側板に対向する高温側板と、
前記低温側板および前記高温側板の各対向面に接触するように配置される複数の低温側電極部材および高温側電極部材と、
前記低温側電極部材と前記高温側電極部材との間に設けられ一端側を前記低温側電極部材に接触するとともに他端側を前記高温側電極部材に接触して電気的に直列配列される複数の熱電半導体チップと、
前記低温側板と前記高温側板の相対位置を保持する結合部材とを備え、
前記低温側板と前記高温側板との間には前記熱電半導体チップの軸方向に圧縮圧力が加えられており、該圧縮圧力が前記結合部材によって保持されていることを特徴とする熱電変換装置。
【請求項2】
前記低温側板および前記高温側板の少なくとも一方は、前記低温側電極部材および前記高温側電極部材の位置を規制する位置規制部位を有する請求項1に記載の熱電変換装置。
【請求項3】
前記低温側板および前記高温側板の少なくとも一方は、前記低温側電極部材および前記高温側電極部材の位置と前記熱電半導体チップの位置とを規制する位置規制部位を有する請求項1に記載の熱電変換装置。
【請求項4】
前記低温側電極部材及び前記高温側電極部材の少なくとも一方は、前記熱電半導体チップの位置を規制する位置規制部位を有する請求項1に記載の熱電変換装置。
【請求項5】
前記熱電半導体チップと前記低温側電極部材との間および前記熱電半導体チップと前記高温側電極部材との間の少なくとも一方に、導電性の変形可能な弾性構造部材を有する請求項1に記載の熱電変換装置。
【請求項6】
前記低温側電極部材および前記高温側電極部材の少なくとも一方は、導電性の変形可能な弾性構造部材である請求項1に記載の熱電変換装置。
【請求項7】
前記低温側板と前記低温側電極部材との間および前記高温側板と前記高温側電極部材との間の少なくとも一方に、熱伝導性のよい変形可能な弾性構造部材を有する請求項1に記載の熱電変換装置。
【請求項8】
前記結合部材と前記低温側板および前記高温側板とは溶接またはろう材によって結合されて前記熱電半導体チップおよび前記電極部材を収容する密閉容器を形成する請求項1に記載の熱電変換装置。
【請求項9】
前記密閉容器内の雰囲気は減圧雰囲気、窒素雰囲気および不活性ガス雰囲気の少なくとも1つから選ばれる請求項8に記載の熱電変換装置。
【請求項1】
低温側板と、該低温側板に対向する高温側板と、
前記低温側板および前記高温側板の各対向面に接触するように配置される複数の低温側電極部材および高温側電極部材と、
前記低温側電極部材と前記高温側電極部材との間に設けられ一端側を前記低温側電極部材に接触するとともに他端側を前記高温側電極部材に接触して電気的に直列配列される複数の熱電半導体チップと、
前記低温側板と前記高温側板の相対位置を保持する結合部材とを備え、
前記低温側板と前記高温側板との間には前記熱電半導体チップの軸方向に圧縮圧力が加えられており、該圧縮圧力が前記結合部材によって保持されていることを特徴とする熱電変換装置。
【請求項2】
前記低温側板および前記高温側板の少なくとも一方は、前記低温側電極部材および前記高温側電極部材の位置を規制する位置規制部位を有する請求項1に記載の熱電変換装置。
【請求項3】
前記低温側板および前記高温側板の少なくとも一方は、前記低温側電極部材および前記高温側電極部材の位置と前記熱電半導体チップの位置とを規制する位置規制部位を有する請求項1に記載の熱電変換装置。
【請求項4】
前記低温側電極部材及び前記高温側電極部材の少なくとも一方は、前記熱電半導体チップの位置を規制する位置規制部位を有する請求項1に記載の熱電変換装置。
【請求項5】
前記熱電半導体チップと前記低温側電極部材との間および前記熱電半導体チップと前記高温側電極部材との間の少なくとも一方に、導電性の変形可能な弾性構造部材を有する請求項1に記載の熱電変換装置。
【請求項6】
前記低温側電極部材および前記高温側電極部材の少なくとも一方は、導電性の変形可能な弾性構造部材である請求項1に記載の熱電変換装置。
【請求項7】
前記低温側板と前記低温側電極部材との間および前記高温側板と前記高温側電極部材との間の少なくとも一方に、熱伝導性のよい変形可能な弾性構造部材を有する請求項1に記載の熱電変換装置。
【請求項8】
前記結合部材と前記低温側板および前記高温側板とは溶接またはろう材によって結合されて前記熱電半導体チップおよび前記電極部材を収容する密閉容器を形成する請求項1に記載の熱電変換装置。
【請求項9】
前記密閉容器内の雰囲気は減圧雰囲気、窒素雰囲気および不活性ガス雰囲気の少なくとも1つから選ばれる請求項8に記載の熱電変換装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−35974(P2007−35974A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−218028(P2005−218028)
【出願日】平成17年7月27日(2005.7.27)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月27日(2005.7.27)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
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