説明

燃料噴射弁

【課題】可動コアと弁部材が相対変位可能な構成であって、可動コアのアンダーシュートを抑制することができる燃料噴射弁を提供する。
【解決手段】ノズルボディ24には、弁座29が形成され、閉弁方向に位置するニードル14の端部は、弁座29に着座可能に設けられる。インジェクタ10は、可動コア36とニードル14とが相対変位可能に構成される。可動コア36の穴部41は、ニードル14の外周面部42と接触する。また可動コア36の外周面部43は、筒部材11の内周面部44と接触する。これらの接触形態により、開弁方向に位置する可動コア36の端部は、筒部材11とニードル14との間に挟まれている。したがって、可動コア36が軸方向Zに沿って変位する場合、筒部材11とニードル14とに接触しながら変位する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関に燃料を噴射供給する燃料噴射弁に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の燃料噴射装置として、燃料の流れる通路に設けたニードルの開閉を電磁石で制御する燃料噴射弁がある。従来技術の燃料噴射弁は、ニードルに電磁力を作用させて、ニードルが固定コアに当接することで開弁状態における停止位置を決定しているが、ニードルが固定コアへ衝突するとニードルが固定コアから跳ね返る(バウンスする)。このようにニードルが固定コアから跳ね返ったタイミングで電磁力の作用を停止すると、跳ね返りの慣性力が作用しているので、閉弁時間が短くなる。したがって電磁石の駆動時間が短いと、ニードルに跳ね返りの慣性力が作用しているので、噴射量が駆動時間に対して比例しないという問題がある。
【0003】
この問題を解決する従来技術として、可動コアとニードルとが相対運動可能となるような構造(二体化構造)の燃料噴射弁が開示されている(たとえば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平6−4367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図4は、前述の特許文献1に開示される従来技術の構成における電磁石の通電時間と、可動コアの位置と関係を示すタイミングチャートである。図4(1)に示すように、電磁石に時刻t11で通電すると、図4(2)に示すように、時刻t12に可動コアに磁気吸引力が作用し、可動コアとニードルが一体となって変位を開始し、開弁する。
【0006】
時刻t13に電磁石への通電を停止すると、時刻t14にてニードルを閉弁方向に付勢する閉弁用スプリングによって、可動コアとニードルが一体となって閉弁方向に変位する。ニードルが時刻t15にて着座すると、ニードルに対して相対変位可能な可動コアは、閉弁方向への慣性力によって、可動コアを開弁方向に付勢する開弁用スプリングの押圧力に打ち勝ち、さらに閉弁方向に変位、すなわちアンダーシュートする。このようなアンダーシュートにより可動コアの動きが時刻t15から時刻t16まで安定しない。可動コアの位置が不安定な状態で電磁石を制御すると、開弁時間を高精度に制御することができないので、可動コアの位置が基準位置に戻るまで電磁石を駆動することができない。したがって噴射周期T1を短くすることができないという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は前述の問題点を鑑みてなされたものであり、可動コアと弁部材が相対変位可能な構成であって、可動コアのアンダーシュートを抑制することができる燃料噴射弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は前述の目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。
【0009】
請求項1に記載の発明では、燃料が噴射される噴孔が形成される筒状のハウジングと、
ハウジング内に設けられ、往復変位することによって噴孔を開閉して、噴孔からの燃料の噴射を断続する弁部材と、
ハウジング内に設けられ、弁部材に対して相対変位する可動コアと、
ハウジング内の予め定める位置に固定される固定コアと、
通電されることによって固定コアに可動コアを吸引する磁力を発生するコイルと、
噴孔を開弁状態から閉弁状態にする場合に、弁部材が変位する閉弁方向に向かって弁部材を押し付ける第1弾性部材と、
第1弾性部材の押し付け力より小さい押し付け力によって、噴孔を閉弁状態から開弁状態にする場合に、弁部材が変位する開弁方向に向かって可動コアを押し付ける第2弾性部材と、を含み、
ハウジングには、弁座が形成され、
閉弁方向に位置する弁部材の端部は、弁座に着座可能に設けられ、
可動コアには、弁部材が貫通するように配置される挿通孔が形成され、
開弁方向に位置する弁部材の端部には、開弁方向への可動コアの変位を規制するストッパが設けられ、
可動コアの外周面部とハウジングの内周面部とは、接触し、且つ挿通孔が形成される可動コアの内周面部と弁部材の挿通孔に貫通している外周面部とは、接触していることにより、開弁方向に位置する可動コアの端部は、ハウジングと弁部材との間に挟まれていることを特徴とする燃料噴射弁である。
【0010】
請求項1に記載の発明に従えば、可動コアと弁部材とが相対変位可能な構成であり、可動コアはハウジングの内周面部と弁部材の外周面部とに接触するように設けられる。したがって可動コアに主に作用する3つの力、すなわちコイルによる磁気吸引力、第1弾性部材による押し付け力、および第2弾性部材による押し付け力の大小関係によって、開弁方向および閉弁方向に沿って可動コアが変位するとき、可動コアはハウジングおよび弁部材と接触しながら変位する。したがって可動コアが変位する場合、ハウジングおよび弁部材との間に摺動抵抗(摩擦力)が発生する。
【0011】
可動コアは、弁部材と相対変位可能であるが、可動コアが変位する際に前述のように摺動抵抗が発生するので、可動コアと弁部材およびハウジングとの間に隙間がある従来技術の構成に比べて、可動コアの自由な挙動は抑制される。したがって可動コアがアンダーシュートする場合に、摺動抵抗によって挙動が抑制されるのでアンダーシュート量を小さくすることができる。これによってコイルへの通電を停止してから、可動コアが所定の位置に停止するまでの時間を短くすることができるので、噴射周期を短くすることができる。
【0012】
また請求項2に記載の発明では、固定コアは、筒状に形成され、ストッパは、開弁方向に位置する可動コアの端面部よりも開弁方向の位置において、固定コア内に固定コアの内周面部とは離間して位置することを特徴とする。請求項2に記載の発明に従えば、ストッパは可動コアの端面部よりも開弁方向の位置において、固定コア内に固定コアの内周面部とは離間して位置するので、可動コアにストッパを収容する収容部を形成するような構成に比べて、挿通孔が延びる方向における長さ寸法を大きくすることができる。これによって挿通孔の内周面部と弁部材の外周面部とが接触する領域を大きくすることができるので、摺動抵抗を大きくすることができる。したがって可動コアのアンダーシュート量をより小さくすることができる。
【0013】
さらに請求項3に記載の発明では、閉弁時に弁座に着座した弁部材に対して可動コアが閉弁方向に相対変位することを、アンダーシュートと定義し、アンダーシュート時に可動コアは、ハウジングとの間及び弁部材との間に、摺動抵抗を発生させる。
【0014】
さらに請求項4に記載の発明では、弁部材には、内部に燃料が流通する供給通路が形成され、供給通路の上流端は、開弁方向に位置する弁部材の端部に形成される開口部であり、供給通路の下流端は、往復変位に伴う弁部材の変位位置に係わらず、閉弁方向に位置する可動コアの端部よりも噴孔側となる部位に形成される開口部であることを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の発明に従えば、弁部材には、内部に燃料が流通する供給通路が形成されるので、弁部材の一端部に設けられる開口部から燃料が流入し、可動コアの端部よりも噴孔側の部位に設けられる開口部から燃料が流出する。したがって燃料は、可動コアと弁部材とが接触する部位、および可動コアとハウジングとが接触する部位には流れることなく、いわば接触部位を迂回するように燃料が流下する。これによって可動コアと弁部材およびハウジングとが接触する部位に燃料が供給されることによって燃料が潤滑剤として機能し、摺動抵抗が小さくなることを防止することができ、摺動抵抗を確実に発生させることができる。したがって可動コアのアンダーシュート量を確実に小さくすることができる。
【0016】
さらに請求項5に記載の発明では、ハウジングのうち、可動コアの外周面部と接触する部分は、磁性が残余の部位より小さい非磁性部であることを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載の発明に従えば、ハウジングのうち、可動コアの外周面部と接触する部分は非磁性部であるため、ハウジングと可動コアとの間に発生する磁気吸引力を小さくすることができる。これによって可動コアと固定コアとの間の磁気吸引力を発生させて可動コアを開弁方向に変位させることがで、可動コアの開弁方向の変位に不所望な磁気吸引力が発生することを防止することができる。したがって可動コアを開弁方向に沿って安定して変位させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態のインジェクタ10を示す断面図である。
【図2】ニードル14が着座している閉弁状態にあるインジェクタ10の一部を拡大して示す断面図である。
【図3】コイル34の通電時間と、可動コア36の位置と関係を示すタイミングチャートである。
【図4】従来技術における電磁石の通電時間と、可動コアの位置と関係を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に関して、図1〜図3を用いて説明する。図1は、第1実施形態のインジェクタ10を示す断面図である。インジェクタ10は、燃料噴射弁であって、たとえば直噴式のガソリンエンジンに適用される。直噴式のガソリンエンジンにインジェクタ10を適用する場合、インジェクタ10はエンジンヘッド(図示せず)に搭載される。
【0020】
インジェクタ10は、予め定める軸方向Z(開閉方向)に延びる筒部材11、筒部材11の軸方向Z一端部(図1における上端部)に設けられる入口部材12、筒部材11の軸方向Z他端部(図1における下端部)に設けられるノズルホルダ13、インジェクタ10内部に軸方向Zへ往復変位可能に収容されるニードル14、およびニードル14を駆動する駆動部15を有している。
【0021】
以下、インジェクタ10の方向として、筒部材11が延びる方向を軸方向Z(図1における上下方向)と称し、軸方向Zの一方を開弁方向Z1(図1における上方)と称し、軸方向Zの他方を閉弁方向Z2(図1における下方)と称することがある。
【0022】
筒部材11は、軸方向Zへ概ね内径が同一の筒状に形成されている。筒部材11は、磁性を有する磁性部16および磁性を有しない非磁性部17を有している。磁性部16は、非磁性部17よりも開弁方向Z1に位置する。したがって閉弁方向Z2に位置する筒部材11の端部は、非磁性部17となる。このような非磁性部17は、磁性部16とノズルホルダ13との磁気的な短絡を防止する。磁性部16および非磁性部17は、たとえばレーザ溶接などにより一体に接続されている。また筒部材11は、たとえば一体に成形した後、熱加工などにより一部を磁性化または非磁性化してもよい。
【0023】
入口部材12は、開弁方向Z1に位置する筒部材11の端部に設けられる。入口部材12は、筒部材11の内周側に圧入されている。入口部材12は軸方向Zに貫通する燃料入口18を有する。燃料入口18には、燃料ポンプ(図示せず)から燃料が供給される。燃料入口18には、燃料フィルタ19が設けられる。燃料フィルタ19は、燃料に含まれる異物を除去する。したがって燃料入口18に供給された燃料は、燃料フィルタ19を経由して筒部材11の内周側に流入する。
【0024】
ノズルホルダ13は、閉弁方向Z2に位置する筒部材11の端部に設けられる。したがって筒部材11とノズルホルダ13は、協働して筒状のハウジングを構成する。またノズルホルダ13は、磁性を有する。したがって筒部材11の非磁性部17は、軸方向Zに関して、磁性部16と磁性を有するノズルホルダ13との間に位置する。ノズルホルダ13は、筒状に形成される。ノズルホルダ13は、略同軸であり内径が互いに異なる大径部20、中径部21、小径部22および取付部23を有している。3つの径部20〜22のうち、大径部20は、最も内径が大きく、次に中径部21の内径が大きく、小径部22は最も内径が小さい。また3つの径部20〜22の位置関係は、大径部20が開弁方向Z1の端部に位置し、小径部22が閉弁方向Z2の端部に位置し、中径部21が軸方向Zの中央、すなわち大径部20と小径部22との間に位置する。大径部20の内径は、筒部材11の内径と略等しく、筒部材11と略同軸となるように配置される。取付部23は、閉弁方向Z2に位置する小径部22の端部に設けられる。したがってノズルホルダ13の閉弁方向Z2の端部は、取付部23となる。取付部23には、ノズルボディ24が設けられる。
【0025】
ノズルボディ24は、筒状に形成され、例えば圧入あるいは溶接などによりノズルホルダ13の取付部23に固定されている。ノズルボディ24の内壁面は、閉弁方向Z2に向かうにつれて内径が小さくなるように傾斜し、いわゆる尖鋭状に形成される。このようなノズルボディ24の先端部には、ノズルボディ24を軸方向Zに貫いて内壁面と外壁面とを連通する噴孔25が形成される。噴孔25が形成される内壁面は、弁座29として機能する。
【0026】
ニードル14は、弁部材であって、筒部材11、ノズルホルダ13およびノズルボディ24の内周側に軸方向Zへ往復変位可能に収容されている。ニードル14は、軸方向Zへ往復変位することによって噴孔25を開閉して、噴孔25からの燃料の噴射を断続する。ニードル14は、ノズルボディ24と概ね同軸上に配置されている。ニードル14は、軸部26、ストッパ27およびシール部28を有している。ニードル14は、軸部26の一方の端部側すなわち燃料入口18側の端部にストッパ27を有している。また、ニードル14は、軸部26の他方の端部側すなわち燃料入口18とは反対側の端部にシール部28を有している。シール部28は、ノズルボディ24に形成されている弁座29に着座可能である。
【0027】
またニードル14には、内部に燃料が流通する供給通路が形成される。供給通路は、具体的には、互いに連通する流入孔30と連通孔31とから形成される通路である。流入孔30は、ストッパ27から軸方向Zに沿って延びるように形成される。したがって開弁方向Z1に位置する流入孔30の上端部、すなわち供給通路の上流端は、開弁方向Z1に開口する開口部となる。また閉弁方向Z2に位置する流入孔30の下端部は、閉塞している。流入孔30の下端部の内壁には、ニードル14の径方向に延び、流入孔30と外方空間とを連通する連通孔31が形成される。連通孔31の下流端は、往復変位に伴うニードル14の変位位置に係わらず、閉弁方向Z2に位置する可動コア36の端部48(以下、「可動コア36の下端面部48」ということがある)よりも噴孔25側となる部位に開口する。したがって連通口31は、供給通路の下流端の開口部である。
【0028】
これにより、燃料フィルタ19を経由して筒部材11の内周側に流下した燃料は、ニードル14に形成される流入孔30に流入し、さらに流入孔30の下端部に形成される連通孔31から、ニードル14の外方に導かれる。その後、燃料は、ニードル14とノズルホルダ13との間に形成される燃料通路32を流下し、噴孔25側へ流入する。
【0029】
次に、ニードル14を駆動する駆動部15に関して説明する。図2は、ニードル14が着座している閉弁状態にあるインジェクタ10の一部を拡大して示す断面図である。駆動部15は、ニードル14を軸方向Zに沿って駆動する。駆動部15は、スプール33、コイル34、固定コア35、磁性プレート50、可動コア36、コネクタ37、第1スプリング39および第2スプリング46を有している。スプール33は、筒部材11の外周側に設置されている。スプール33は、樹脂で筒状に形成され、外周側にコイル34が巻かれている。
【0030】
コイル34は、通電されることによって固定コア35に可動コア36を吸引する磁力を発生する。コイル34は、コネクタ37の端子部38に電気的に接続している。端子部38は、コネクタ37に装着される外部電気回路(図示せず)と電気的に接続され、外部電気回路によってコイル34への通電状態が制御される。閉弁方向Z2に位置するコイル34の端部は、軸方向Zに関して、非磁性部17よりも閉弁方向Z2に位置する。したがって閉弁方向Z2に位置するコイル34の端部は、軸方向Zに関して、ノズルホルダ13が存在する位置に配置される。また開弁方向Z1に位置するコイル34の端部は、軸方向Zに関して、磁性部16が存在する位置に配置される。したがってコイル34は、軸方向Zに関して、磁性部16と非磁性部17とにわたって位置するように設けられる。
【0031】
固定コア35は、筒部材11を挟んでコイル34の内周側であって、予め定める位置に固定される。固定コア35は、例えば鉄などの磁性材料により筒状に形成され、筒部材11の内周側に例えば圧入などにより固定されている。閉弁方向Z2に位置する固定コア35の端部49(以下、「固定コア35の下端面部49」ということがある)は、軸方向Zに関して、非磁性部17が存在する位置に配置される。換言すると、開弁方向Z1に位置する非磁性部17の端部は、軸方向Zに関して、固定コア35の下端面部49よりも開弁方向Z1に位置し、閉弁方向Z2に位置する非磁性部17の端部は、軸方向Zに関して、固定コア35の下端面部49よりも閉弁方向Z2に位置する。固定コア35の下端面部49は、軸方向Zに関して、閉弁方向Z2に位置するコイル34の端部よりも開弁方向Z1に位置する。また固定コア35の下端面部49は、可動コア36に対向するように露出している。
【0032】
磁性プレート50は、磁性材料から形成され、コイル34の外周側を覆っている。開弁方向Z1に位置する磁性プレート50の端部は、軸方向Zに関して、開弁方向Z1に位置するコイル34の端部よりも開弁方向Z1に位置する。また閉弁方向Z2に位置する磁性プレート50の端部は、軸方向Zに関して、閉弁方向Z2に位置するコイル34の端部よりも閉弁方向Z2に位置する。またまた閉弁方向Z2に位置する磁性プレート50の端部は、軸方向Zに関して、可動コア36の下端面部48と略同位置である。
【0033】
可動コア36は、筒部材11の内周側、およびノズルホルダ13の大径部20の内周側に軸方向Zへ往復変位可能に設置されている。可動コア36は、例えば鉄などの磁性材料によって筒状に形成されている。可動コア36の下端面部48は、軸方向Zに関して、非磁性部17よりも閉弁方向Z2に位置する。詳細は後述するが、開弁方向Z1に位置する可動コア36の端面部45(以下、「可動コア36の上端面部45」ということがある)と固定コア35の下端面部49とが接触している状態は、開弁状態である。
【0034】
第1弾性部材としての第1スプリング39は、一方の端部がニードル14のストッパ27に接しており、他方の端部がアジャスティングパイプ40と接している。第1スプリング39は、軸方向Zへ伸長する力を有している。そのためニードル14は、第1スプリング39により弁座29に着座する閉弁方向Z2へ押し付けられる。アジャスティングパイプ40は、固定コア35の内周側に圧入されている。これにより、第1スプリング39の荷重は、アジャスティングパイプ40の圧入量を調整することにより調整される。コイル34に通電していないとき、可動コア36およびニードル14は、閉弁方向Z2へ押し付けられ、シール部28は弁座29に着座する。
【0035】
このように駆動部15は、固定コア35および可動コア36を有している。可動コア36には、ニードル14が挿入されている。可動コア36は、径方向の中央部に軸方向Zへ貫く挿通孔が形成される。挿通孔の内周面部41(以下、「穴部41」ということがある)は、内径がニードル14の軸部26の外径よりもやや大きく、ニードル14の軸部26が挿通された状態(貫通している状態)で、軸部26の外周面部42と接触するように形成されている。ニードル14は、穴部41の内周側を軸方向Zへ移動可能である。したがってニードル14は、可動コア36と接触した状態で軸方向Zに変位するので、ニードル14と可動コア36とは摺動する。これにより、ニードル14は、可動コア36との接触によって常に摺動抵抗(摩擦力)が生じた状態で、可動コア36によって軸方向Zの移動が案内される。
【0036】
また可動コア36の径方向外側の外周面部の一部43は、筒部材11の内周面部44と接触している。本実施の形態では、筒部材11の内周面部44と接触する可動コア36の外周面部の一部43は、残余の面部よりも径方向外方に突出する凸部43である。凸部43は、開弁方向Z1に位置する可動コア36の端部に設けられる。また凸部43が筒部材11と接触部分は、非磁性部17から成る部位である。
【0037】
したがって可動コア36の凸部43は、非磁性部17の内周面部44と接触した状態で軸方向Zに変位するので、可動コア36と非磁性部17とは摺動する。これにより、可動コア36は、常に摺動抵抗(摩擦力)が生じた状態で、非磁性部17によって軸方向Zの移動が案内される。
【0038】
ニードル14に設けられるストッパ27は、開弁方向Z1への可動コア36の変位を規制する。ストッパ27の外径は、穴部41の内径よりも大きい。そのため、ニードル14のストッパ27は、可動コア36の上端面部45と接する。可動コア36の上端面部45は、平坦状である。ストッパ27と可動コア36の上端面部45とが接することにより、可動コア36とニードル14との間におけるニードル14の弁座29側(閉弁方向Z2)への移動および可動コア36の固定コア35側への相対的な移動は制限される。またストッパ27は、筒状の固定コア35の内方側にて軸方向Zに沿って往復変位する。したがってストッパ27の外径は、固定コア35の内径よりも小さい。
【0039】
また可動コア36の下端面部48は、第2弾性部材としての第2スプリング46と接している。第2スプリング46は、軸方向Zへ伸長する力を有している。第2スプリング46は、開弁方向Z1に位置する端部が可動コア36と接し、閉弁方向Z2に位置する端部がノズルホルダ13と接している。第2スプリング46は、ノズルホルダ13の中径部21に収容されている。中径部21と小径部22との接続部分には、内径が互いに異なる段差があるので、閉弁方向Z2に位置する第2スプリング46の端部が当接する段差面部47が形成される。中径部21の内径は、第2スプリング46の外径よりもやや大きくなるように選択される。このような中径部21によって、第2スプリング46の傾きおよび曲がりが低減される。したがって、第2スプリング46の押し付け力を精密に維持することができる。
【0040】
第2スプリング46は、軸方向Zへ伸長する力を有しているので、可動コア36は固定コア35側(開弁方向Z1)へ押し付けられている。したがって可動コア36がストッパ27と当接している状態では、図2に示すように、第1スプリング39からニードル14を経由して閉弁方向Z2への閉弁力f1が加わり、第2スプリング46から開弁方向Z1への開弁力f2が加わる。図2では、理解を容易にするため、実際に閉弁力f1および開弁力f2が作用する部位には図示せず、閉弁力f1および開弁力f2が作用する方向を図示する。
【0041】
第1スプリング39の押し付け力である閉弁力f1は、第2スプリング46の押し付け力である開弁力f2よりも大きく設定される。そのため、コイル34への通電が停止されている閉弁状態では、第1スプリング39に接するニードル14は、ストッパ27に接する可動コア36とともに第2スプリング46の開弁力f2に抗して噴孔25側(閉弁方向Z2)へ移動している。その結果、コイル34への通電が停止されている閉弁状態では、ニードル14のシール部28は弁座29に着座している。
【0042】
次に、上記の構成によりインジェクタ10の作動について説明する。図3は、コイル34の通電時間と、可動コア36の位置と関係を示すタイミングチャートである。図3(1)は、コイル34の通電状態を示し、図3(2)は、可動コア36の位置を示す。
【0043】
先ず、開弁時の動作に関して説明する。コイル34への通電が停止されているとき、固定コア35と可動コア36との間には磁気吸引力は発生しない。したがってニードル14は、第1スプリング39の押し付け力f1によって、可動コア36は固定コア35と離れている。このとき、ニードル14のストッパ27は、可動コア36の上端面部45に接している。そのため、可動コア36は、第1スプリング39の押し付け力f1によってニードル14とともに開弁状態のときよりも閉弁方向Z2へ移動している。このようにニードル14が開弁状態のときよりも閉弁方向Z2へ移動することにより、ニードル14のシール部28は弁座29に着座している。したがって、燃料は噴孔25から噴射されない。また閉弁状態では、可動コア36の下端面部48は、段差面部47とは離間した基準位置P0に停止している状態である。
【0044】
図3(1)に示すように、閉弁状態からコイル34に時刻t1で通電すると、コイル34に発生した磁界により磁性プレート50、磁性部16、可動コア36、固定コア35およびノズルホルダ13には磁束が流れ、磁気回路が形成される。これにより、固定コア35と可動コア36との間には磁気吸引力が発生する。固定コア35と可動コア36との間に発生する磁気吸引力と第2スプリング46の開弁力f2との和が第1スプリング39の閉弁力f1よりも大きくなると、図3(2)に示すように、時刻t2にて可動コア36は開弁方向Z1への移動を開始する。このとき、可動コア36の上端面部45にストッパ27が接しているニードル14は、可動コア36とともに開弁方向Z1へ移動する。その結果、ニードル14のシール部28は、弁座29から離れる。
【0045】
燃料入口18からインジェクタ10の内部へ流入した燃料は、前述したように燃料フィルタ19、入口部材12の内周側、アジャスティングパイプ40の内周側、固定コア35の内周側、流入孔30、連通孔31、中径部21の内周側、小径部22の内周側を順次経由して、ノズルボディ24の内周側に流入する。ノズルボディ24に流入した燃料は、弁座29から離れたニードル14とノズルボディ24との間を経由して噴孔25へ流入する。これにより、噴孔25から燃料が噴射される。
【0046】
このように、可動コア36には、磁気吸引力だけでなく第2スプリング46の開弁力f2も加わっている。そのため、コイル34へ通電すると、発生した磁気吸引力により可動コア36およびニードル14は迅速に開弁方向Z1へ移動する。したがって、コイル34の通電に対するニードル14の作動応答性を高めることができる。また、可動コア36およびニードル14を駆動するために必要な電磁吸引力は低減される。したがって、コイル34など駆動部15の小型化を図ることができる。
【0047】
このように閉弁状態から磁気吸引力が作用すると、可動コア36およびニードル14は、可動コア36の上端面部45とストッパ27とが接することによって一体となって開弁方向Z1へ移動する。可動コア36は、可動コア36の上端面部45が固定コア35の下端面部49と衝突する時刻t3まで開弁方向Z1へ移動する。可動コア36が固定コア35に時刻t3にて衝突すると、可動コア36とニードル14とは軸方向Zへ相対移動可能であるので、ニードル14は開弁方向Z1への慣性力によって、ストッパ27が可動コア36の上端面部45から離間して、さらに開弁方向Z1への移動を継続する。このようにストッパ27が離間しても、ストッパ27は第1スプリング39と接触している状態が維持されるので、なんら他の部材にストッパ27が衝突することはない。したがってニードル14がバウンドすることなく、噴孔25からの不規則な燃料の噴射は低減される。
【0048】
また、ニードル14は開弁方向Z1への慣性力によって開弁方向Z1への移動を継続して、可動コア36とストッパ27とが離れると、ニードル14には可動コア36を経由した第2スプリング46の開弁力f2が加わらない。そのため、ニードル14には、第1スプリング39の押し付け閉弁力f1のみが加わる。すなわち可動コア36とニードル14とが離れると、ニードル14に対し閉弁方向Z2へ加わる力が大きくなる。したがって、ニードル14の開弁方向Z1への過剰な移動が制限され、いわゆるオーバーシュートは低減される。
【0049】
同様に、ニードル14は開弁方向Z1への慣性力によって開弁方向Z1への移動を継続して、可動コア36とニードル14とが離れると、可動コア36には第2スプリング46の開弁力f2および磁気吸引力が加わり、第1スプリング39の閉弁力f1が加わらない。すなわち可動コア36とストッパ27とが離れると、可動コア36に対し開弁方向Z1へ加わる力が大きくなる。したがって、可動コア36が固定コア35に衝突すると、その衝撃により可動コア36は閉弁方向Z2へ跳ね返ることなく、図3(2)に示すように、時刻t3から少なくともコイル34が通電されている期間は固定コア35に接触した状態が維持される。
【0050】
さらに、ニードル14がオーバーシュートして、ニードル14に加わる力が第1スプリング39の閉弁力f1のみとなると、ニードル14は開弁方向Z1への移動速度が減少し、停止し、次は閉弁力f1によって閉弁方向Z2へ移動を開始する。一方、可動コア36は、磁気吸引力および第2スプリング46の開弁力f2によって固定コア35に接触した状態であるので、ニードル14が閉弁方向Z2へ移動するとき、固定コア35と接触している可動コア36によって閉弁方向Z2への移動が規制される。その結果、ニードル14には再び磁気吸引力および第2スプリング46の開弁力f2が加わるので、ニードル14は開弁状態を維持することができる。このように、可動コア36とニードル14とは相対的に移動可能であるため、ニードル14のバウンドにともなう噴孔25からの不規則な燃料の噴射は低減される。したがって、コイル34の通電時間が短期間でも、噴孔25から噴射される燃料の噴射量を精密に制御することができる。
【0051】
次に閉弁時の動作に関して説明する。図3(1)に示すように、開弁状態からコイル34への通電を時刻t4で停止すると、固定コア35と可動コア36との間の磁気吸引力は消滅する。これにより、ニードル14は、第1スプリング39の閉弁力f1によって可動コア36とともに時刻t5から閉弁方向Z2へ移動を開始する。したがってニードル14のシール部28は再び弁座29に着座し、燃料通路32と噴孔25との間の燃料の流れは遮断される。したがって、燃料の噴射は終了する。
【0052】
時刻t4にてコイル34への通電を停止したとき、可動コア36およびニードル14は第1スプリング39の閉弁力f1によって第2スプリング46の開弁力f2に抗して閉弁方向Z2へ移動する。ニードル14のシール部28が弁座29に着座すると、ニードル14は衝突の衝撃によって開弁方向Z1へ跳ね返ろうとする。ここで、可動コア36とニードル14とは相対移動可能であるため、ニードル14のシール部28が弁座29に着座しても、可動コア36は閉弁方向Z2へ向かう慣性力によって、そのまま閉弁方向Z2への移動を継続し、可動コア36とニードル14とは離れる。
【0053】
そのため、ニードル14には第1スプリング39の閉弁力f1のみが加わり、可動コア36には第2スプリング46の開弁力f2のみが加わる。したがって可動コア36とニードル14とが離れることによって、ニードル14に作用する合力が閉弁力f1のみになり、ニードル14の開弁方向Z1への跳ね返りが防止される。これにより、コイル34への通電を停止すると、噴孔25からの燃料の噴射は迅速に停止される。したがって、不規則な燃料の噴射が低減され、噴孔25から噴射される燃料の噴射量を精密に制御することができる。
【0054】
また図3に示すようにニードル14が時刻t6にて着座すると、ニードル14の相対変位可能な可動コア36は、閉弁方向Z2への慣性力によって、可動コア36を開弁方向Z1に付勢する第2スプリング46の開弁力f2に打ち勝ち、さらに閉弁方向Z2に変位、すなわちアンダーシュートする。このようなアンダーシュート時に本実施の形態では、接触部位があるので、接触部位に摺動抵抗(摩擦力)が発生する。
【0055】
可動コア36は、ニードル14と相対変位可能であるが、可動コア36が変位する際に前述のように摺動抵抗が発生するので、可動コア36とニードル14およびハウジングとの間に隙間がある従来技術の構成に比べて、可動コア36の自由な挙動は抑制される。したがって図3(2)に示すように、摺動抵抗によって可動コア36のアンダーシュート量を小さくすることができる。これによって可動コア36の基準位置P0にて安定する時刻t7までの時間を、従来技術に比べて短くすることができる。したがって噴射周期Tを短くすることができる。
【0056】
以上説明したように、本実施の形態のインジェクタ10では、可動コア36の穴部41とニードル14の外周面部42とは接触し、可動コア36の凸部43と非磁性部17とは接触している。したがってニードル14の外周面部42は穴部41でガイドされる構造であり、可動コア36の凸部43はニードル14の傾きを受けて、可動コア36が傾いた状態になったとき、姿勢を正すように非磁性部17でガイドされる構造である。したがって可動コア36はニードル14と非磁性部17に挟まれた位置関係となる。
【0057】
可動コア36はこれらの接触部位に挟まれた構成であるので、可動コア36がニードル14に対して相対変位するとき、特にアンダーシュートするときには、接触部位が摺動抵抗となって、ニードル14に対する過度な変位を抑制することができる。また本実施の形態では、可動コア36はニードル14と非磁性部17に挟まれた位置関係にあるので、いずれか一方だけと接触している構成に比べて、接触領域が大きい。これによって確実に摺動抵抗を発生させつつ、可動コア36を軸方向Zに沿ってガイドすることができる。
【0058】
接触領域の面積は、各インジェクタ10の動作環境によって個別に設定され、開閉動作を実行でき、かつ可動コア36のアンダーシュート量が最も小さくなるように設定される。したがって摺動抵抗が大きすぎて、可動コア36とニードル14と常に一体に変位して、相対変位しないような場合には、接触領域が小さくなるように設定される。また穴部41と軸部26との寸法関係(はめあい)が適宜設定される。さらに凸部43の軸方向Zの長さ寸法を調整することによって、非磁性部17との接触面積を調整することができる。また接触部位の両者の表面形状、たとえば表面粗さを変更することによって、接触面積を調整してもよい。
【0059】
また本実施の形態では、ストッパ27は、可動コア36の上端面部45よりも開弁方向Z1の位置であって、固定コア35内に位置するので、可動コア36にストッパ27を収容する収容部を形成するような構成に比べて、挿通孔の軸方向Zにおける長さ寸法を大きくすることができる。これによって穴部41とニードル14の外周面部42とが接触する領域を大きくすることができるので、摺動抵抗を大きくすることができる。したがって可動コア36のアンダーシュート量をより小さくすることができる。
【0060】
さらに本実施の形態では、ニードル14には、内部に燃料が流通する供給通路が形成されるので、燃料フィルタ19を経由して筒部材11の内周側に流下した燃料は、ニードル14に形成される流入孔30に流入し、さらに流入孔30の下端部に形成される連通孔31から、ニードル14の外方に導かれる。したがって燃料は、可動コア36とニードル14とが接触する部位、および可動コア36と非磁性部17とが接触する部位には流れることなく、いわば接触部位を迂回するように燃料が流下する。このような供給通路の構成とすることにより、可動コア36とニードル14および非磁性部17とが接触する部位に燃料が供給されることによって燃料が潤滑剤として機能し、摺動抵抗が小さくなることを防止することができ、摺動抵抗を確実に発生させることができる。したがって可動コア36のアンダーシュート量を確実に小さくすることができる。
【0061】
また本実施の形態では、筒部材11のうち、可動コア36の外周面部43と接触する部分は非磁性部17であるので、筒部材11と可動コア36との間に発生する磁気吸引力を小さくすることができる。これによって可動コア36と固定コア35との間の磁気吸引力を発生させて可動コア36を軸方向Zに変位させることができ、可動コア36の軸方向Zの変位に不所望な磁気吸引力が発生することを防止することができる。したがって可動コア36を軸方向Zに沿って安定して変位させることができる。
【0062】
(その他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
【0063】
前述の実施の形態では、インジェクタ10は、直噴式のガソリンエンジンに適用されているが、直噴式のガソリンエンジンに限るものではなく、ポート噴射式のガソリンエンジン、またはディーゼルエンジンなどに適用してもよい。
【符号の説明】
【0064】
10…インジェクタ(燃料供給装置)
11…筒部材(ハウジング)
13…ノズルホルダ(ハウジング)
14…ニードル(弁部材)
16…磁性部
17…非磁性部
25…噴孔
27…ストッパ
30…流入孔
31…連通孔
34…コイル
35…固定コア
36…可動コア
39…第1スプリング(第1弾性部材)
41…穴部(挿通孔の内周面部)
42…軸部の外周面部(弁部材の挿通孔に貫通している外周面部)
43…凸部(可動コアの外周面部)
46…第2スプリング(第2弾性部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料が噴射される噴孔が形成される筒状のハウジングと、
前記ハウジング内に設けられ、往復変位することによって前記噴孔を開閉して、前記噴孔からの燃料の噴射を断続する弁部材と、
前記ハウジング内に設けられ、前記弁部材に対して相対変位する可動コアと、
前記ハウジング内の予め定める位置に固定される固定コアと、
通電されることによって前記固定コアに前記可動コアを吸引する磁力を発生するコイルと、
前記噴孔を開弁状態から閉弁状態にする場合に、前記弁部材が変位する閉弁方向に向かって前記弁部材を押し付ける第1弾性部材と、
前記第1弾性部材の押し付け力より小さい押し付け力によって、前記噴孔を前記閉弁状態から前記開弁状態にする場合に、前記弁部材が変位する開弁方向に向かって前記可動コアを押し付ける第2弾性部材と、を含み、
前記ハウジングには、弁座が形成され、
前記閉弁方向に位置する前記弁部材の端部は、前記弁座に着座可能に設けられ、
前記可動コアには、前記弁部材が貫通するように配置される挿通孔が形成され、
前記開弁方向に位置する前記弁部材の端部には、前記開弁方向への前記可動コアの変位を規制するストッパが設けられ、
前記可動コアの外周面部と前記ハウジングの内周面部とは、接触し、且つ前記挿通孔が形成される前記可動コアの内周面部と前記弁部材の前記挿通孔に貫通している外周面部とは、接触していることにより、前記開弁方向に位置する前記可動コアの端部は、前記ハウジングと前記弁部材との間に挟まれていることを特徴とする燃料噴射弁。
【請求項2】
前記固定コアは、筒状に形成され、
前記ストッパは、前記開弁方向に位置する前記可動コアの端面部よりも前記開弁方向の位置において、前記固定コア内に前記固定コアの内周面部とは離間して位置することを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射弁。
【請求項3】
閉弁時に前記弁座に着座した前記弁部材に対して前記可動コアが前記閉弁方向に相対変位することを、アンダーシュートと定義し、
前記アンダーシュート時に前記可動コアは、前記ハウジングとの間及び前記弁部材との間に、摺動抵抗を発生させることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料噴射弁。
【請求項4】
前記弁部材には、内部に燃料が流通する供給通路が形成され、
前記供給通路の上流端は、前記開弁方向に位置する前記弁部材の端部に形成される開口部であり、
前記供給通路の下流端は、往復変位に伴う前記弁部材の変位位置に係わらず、前記閉弁方向に位置する前記可動コアの端部よりも前記噴孔側となる部位に形成される開口部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の燃料噴射弁。
【請求項5】
前記ハウジングのうち、前記可動コアの外周面部と接触する部分は、磁性が残余の部位より小さい非磁性部であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の燃料噴射弁。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−64414(P2013−64414A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−7541(P2013−7541)
【出願日】平成25年1月18日(2013.1.18)
【分割の表示】特願2008−318800(P2008−318800)の分割
【原出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【Fターム(参考)】