説明

燃料電池へのガス供給システム

【課題】漏洩検知機能を有するガスメーターを備えていても、燃料電池へのガスの供給が長時間に亘って停止されることなく、燃料電池へガスを供給することが可能なシステムを提供する。
【解決手段】燃料電池ユニット1と、ガスの供給源から燃料電池ユニット1に至るガスの流路2と、流路2の途中に設けられる漏洩検知機能を有するガスメーター3と、燃料電池ユニット1の制御部10とガスメーター3のメーター制御部34とを接続する通信回線5と、を備え、漏洩検知機能は、タイマーが第1所定時間(例えば30日)に達すると、漏洩の疑い有りと判定するものである。制御部10は第1所定時間より短い第2所定時間(例えば27日)毎に燃料電池ユニット1を停止し、メーター制御部34が漏洩無し状態を確認すると、通信回線5を介して制御部10に信号を送信し、制御部10は燃料電池ユニット1の動作を再開する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漏洩検知機能を備えたガスメーターを介してガスを燃料電池へ供給するシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来ガスの需要家等において、供給源からガスメーターを介して都市ガス等の燃料ガス(単にガスという)が供給されており、このガスを使用してガス機器を利用している。
【0003】
ガスメーターは通常、漏洩検知機能を備えており、本発明におけるガスメーターも漏洩検知機能を備えたものが対象となる。
【0004】
漏洩検知機能は、一般的に、所定計測期間(例えば30日等)において、流量が所定流量(例えば3L/h)を下回り「漏洩無し状態」と判定できない場合に、「漏洩の疑い有り」と判定して漏洩を検知するものである。なおガスメーターは、超音波式メーターや膜式メーター等、計測方式は特に限定されない。
【0005】
膜式メーターであれば、約1Lの単位体積毎に流量信号がメーターからコントローラへ伝達される。このため、1時間流量信号がこないことを確認すれば、余裕をもって所定流量以下であると判断でき、「漏洩無し状態」と判定できる。
【0006】
超音波メーターは、たとえば2秒のような所定時間間隔で瞬時流量を計測するものであるが、この瞬時流量には電磁ノイズや配管内の圧力の揺らぎにより誤差を生じる。この誤差を鑑みて、120秒毎に流量の平均値を算出し、すなわち2秒間隔であれば60個の瞬時流量の平均値を算出し、この値が所定の値(例えば1.5L/h)以下であるとき、カウンタを1つインクリメントする。
【0007】
カウンタが10回のような所定回数に達したとき、「漏洩無し状態」と判定する。
所定計測期間(例えば30日等)内にカウンタが10回のような所定回数に達しないとき、「漏洩の疑い有り」と判定することで、誤差の影響を排除するような技術が提案されている。
【0008】
このような従来のガスメーターは、ガス機器として、ガスコンロや湯沸し器等のようにガスを継続的に(例えば数日に亘っては)使用しないものを想定して設計されている。この想定下では、所定計測期間(例えば30日等)中にガスが所定流量(例えば3L/h)を下回ることが無いのは漏洩以外に有り得ないため、この場合に「漏洩の疑い有り」と判定することで漏洩を精度よく検知することができるものであった。
【0009】
ところで近年、ガスを継続的に使用する燃料電池を用いた発電システムが普及してきている。ガスを継続的に使用する燃料電池を使用する場合、ガスの漏洩が無い場合でも、所定計測期間中にガスの流量が所定流量を下回ることが無くなるため、「漏洩の疑い有り」と判定されて漏洩が誤検知されてしまうものであった。
【0010】
そこで、ガスメーターによる漏洩の誤検知を回避する方法として、所定計測期間中に燃料電池を、例えばまる一日等の長時間に亘って停止し、ガスの流量を一時的に所定流量未満にまで下げることで、「漏洩の疑い有り」と判定されるのを回避することが行われている(例えば特許文献1参照)。
上述のように、膜式メーターであれば1時間、超音波メーターであれば、120秒×10回=20分の停止があれば最短で所定流量(例えば3L/h)を下回ることが確認できるが、燃料電池の停止期間中に他のガス機器が使用されていたとき、この確認はできない。このため、まる一日等の長時間に亘って停止させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2004−258767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、燃料電池の動作をまる一日止めてしまうという動作は、この期間内に発電できないため、省エネ性が低下してしまう、という問題があるものであった。
【0013】
また、燃料電池は、長時間に亘って停止すると温度が大きく低下してしまい、温度が大きく低下した状態から起動を行うと温度の変化幅が大きくなって劣化が促進されてしまうという問題も懸念される。
【0014】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、漏洩検知機能を有するガスメーターを備えていても、燃料電池の動作を長時間に亘って停止させることを回避することが可能なシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に係る燃料電池へのガス供給システムは、
燃料電池ユニット1と、
ガスの供給源から前記燃料電池ユニット1に至るガスの流路2と、
前記流路2の途中に設けられる漏洩検知機能を有するガスメーター3と、
前記燃料電池ユニット1の制御部10と前記ガスメーター3のメーター制御部34とを接続する通信回線5と、を備え、
前記メーター制御部34は、漏洩判定部と、タイマーと、漏洩無し確認部と、を備え、
前記漏洩無し確認部は、漏洩無しを確認すると、前記タイマーをリセットし、
前記漏洩判定部は、前記タイマーが第1所定時間(例えば30日)に達すると、漏洩ありと判定し、
前記燃料電池ユニット1の制御部10は前記第1所定時間より短い第2所定時間(例えば27日)毎に前記燃料電池ユニット1の動作を停止するものであって、
前記メーター制御部34は、前記漏洩無し確認部が漏洩無し状態を確認すると、前記通信回線5を介して制御部10に「漏洩無し状態確認完了」の信号を送信し、
制御部10は前記「前記漏洩無し状態確認完了」の信号を受信すると、燃料電池ユニット1の動作を再開することを特徴とする。
【0016】
これにより、燃料電池ユニット1の動作をまる1日とめることなく、短時間で再開することができる。
【0017】
本発明の請求項2に係る燃料電池へのガス供給システムは、
燃料電池ユニット1と、
ガスの供給源から前記燃料電池ユニット1に至るガスの流路2と、
前記流路2の途中に設けられる漏洩検知機能を有するガスメーター3と、
前記燃料電池ユニット1の制御部10と前記ガスメーター3のメーター制御部34とを接続する通信回線5と、を備え、
前記メーター制御部は、漏洩判定部と、タイマーと、漏洩無し確認部と、を備え、
前記漏洩無し確認部は漏洩無しを確認すると、前記タイマーをリセットし、
前記漏洩判定部は、前記タイマーが第1所定時間(例えば30日)に達すると、漏洩ありと判定するものであって、
前記メーター制御部34は、前記タイマーが前記第3所定時間(たとえば27日)に達した後に、前記制御部10へ「漏洩無し状態確認要求」の信号を送信し、
前記制御部10は、前記「漏洩無し状態確認要求」の信号を受信すると、前記燃料電池ユニット1の動作を停止させ、
前記メーター制御部34は、前記漏洩無し確認部が漏洩無し状態を確認すると、前記通信回線5を介して前記制御部10に「漏洩無し状態確認完了」の信号を送信し、
前記制御部10は前記「漏洩無し状態確認完了」の信号を受信すると、前記燃料電池ユニット1の動作を再開することを特徴とする。
【0018】
これにより、燃料電池ユニット1の動作をまる1日とめることなく、短時間で再開することができる。
本発明の請求項3に係る燃料電池へのガス供給システムは、
請求項2に係る燃料電池へのガス供給システムにおいて、
前記メーター制御部34は、前記タイマーが前記第3所定時間(たとえば27日)に達した後、ガスメーター3が計測する流量が第1所定流量値(例えば400L/h)以下となったときに、前記制御部10へ「漏洩無し状態確認要求」の信号を送信し、
前記制御部10は、前記「漏洩無し状態確認要求」の信号を受信すると、前記燃料電池ユニット1の動作を停止させ、
前記メーター制御部34は、前記漏洩無し確認部が漏洩無し状態を確認すると、前記通信回線5を介して前記制御部10に「漏洩無し状態確認完了」の信号を送信し、
前記制御部10は前記「漏洩無し状態確認完了」の信号を受信すると、前記燃料電池ユニット1の動作を再開することを特徴とする。
【0019】
燃料電池ユニット1の制御部10が第1所定時間より短い第2所定時間(例えば27日)毎に前記燃料電池ユニット1の動作を停止しても、燃料電池ユニット1以外の他のガス器具が動作してた場合、漏洩無しは確認できないため、他のガス器具の動作が停止するまでの時間はロスとなる。
【0020】
ガスメーター3が計測する流量が第1所定流量値以下であるときは、燃料電池ユニット1のみが動作している可能性が高いと考えられる。
【0021】
このタイミングでガスメーター3から燃料電池ユニット1へ「漏洩無し状態確認要求」を送信して停止させることで、他のガス器具が停止しているタイミングで燃料電池ユニット1の動作を停止させることができ、メーターで漏洩無し確認が速やかにできるため、燃料電池ユニット1の停止時間をより短くすることができる。
【0022】
本発明の請求項4に係る燃料電池へのガス供給システムは、
前記ガスメーター3は通常計測モードと高精度計測モードを備える電子式メーターであって、
前記メーター制御部34は、前記ガスメーター3が計測する流量が第2所定流量値(5L/h等)以下となったときに、前記ガスメーター3の計測モードを高精度計測モードに切り替えるとともに、高精度計測モードに切り替えた後、漏洩無しを確認したとき、通常計測モードへ切り替えることを特徴とする。
【0023】
超音波メーターは通常2秒に1回計測しており、120秒毎、すなわち60個の瞬時流量の平均値が所定の値以下であるとき、カウンタを1つインクリメントし、カウンタが10回のような所定回数に達したとき漏洩無しと判定してタイマーをリセットする。
【0024】
これを高精度計測モードでは1秒に1回計測するものとすれば、60秒で60個の瞬時流量値が得られるため、漏洩無しと判定するまでの時間は半分に短縮できる。
【0025】
ただし、その分消費電力は増加するため、必要なタイミングでのみ、この高精度計測モードを適用する必要がある。
【0026】
これにより、ガスメーター3の消費電力の増加を最小限に留めつつ、燃料電池ユニット1の停止時間をより短くすることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明においては、漏洩検知機能を有するガスメーターを備えていても、燃料電池へのガスの供給が長時間に亘って停止されるのを回避して、燃料電池の劣化の抑制と省エネ性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の燃料電池へのガス供給システムの一実施形態の概略構成図である。
【図2】同上における燃料電池ユニットの概略構成図である。
【図3】同上におけるガスメーターの概略構成図である。
【図4】同上におけるガスメーターの漏洩検知のフロー図である。
【図5】同上における、制御部が漏洩無し状態確認完了の信号を受信して燃料電池ユニットの動作を再開するまでのフロー図である。
【図6】他の実施形態における、制御部が漏洩無し状態確認完了の信号を受信して燃料電池ユニットの動作を再開するまでのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の一実施形態について図1乃至図5に基いて説明する。本発明は漏洩検知機能を有するガスメーターを介してガスを燃料電池へ供給するシステムに関し、図1に示すように、燃料電池ユニット1と、燃料電池ユニット1にガスを供給するための流路2と、流路2の途中に設けられるガスメーター3と燃料電池ユニット1とガスメーター3とを結ぶ後述する通信回線5と、を備えている。
【0030】
ガスの供給源は、ガスボンベやその他でもよく特に限定されない。本実施形態では、ガスは都市ガスであり、ガスの供給源から燃料電池ユニット1に至るガスの流路2は、本実施形態ではガスの外管から分岐する内管とする。燃料電池ユニット1は所謂コジェネレーションシステムでよく用いられる発電装置であり、後述する。ガスメーター3は、漏洩検知機能を有するもので、流路2の途中に設けられる。また、ガスメーター3の流量計測方式は、超音波式の他、膜式等、特に限定されない。本実施形態におけるガスメーター3は、超音波式のガスメーター3であり、後述する。
【0031】
燃料電池ユニット1について概略説明するが、燃料電池ユニット1は特に下記の形態に限定されないものである。
【0032】
燃料電池ユニット1は、図2に示すように、燃料改質部1aと燃料電池部1bとで主体が構成される。
【0033】
燃料改質部1aは、ガスから水素を製造するためのもので、上流側から順に脱硫器11、改質器12、CO変成器13、CO除去器14を備えている。脱硫器11はガスを脱硫するためのもので、脱硫器11で脱硫されたガスには、水蒸気を混合するようになっており、脱硫され且つ水蒸気が混合されたガスは改質器12に送られる。改質器12は、バーナ12aを有しており、バーナ12aを燃焼させることで、改質触媒を加熱しながら水蒸気が混合されたガスを水蒸気改質反応により改質するようになっている。そして、改質器12で改質されたガスはCO変成器13でCO変成を行い、CO変成器13でCO変成を行ったCO変成ガスはCO除去器14に送られ、CO除去器14でCO選択酸化を行って一酸化炭素を除去してCO濃度の低い水素リッチの改質ガスを製造するようになっている。
【0034】
燃料電池部1bは、アノード(燃料極)15と電解質16とカソード(空気極)17が層となって構成されるセルを、セパレータを介して多数積層して構成してある。そして、燃料改質部1bで製造した水素リッチの改質ガスをアノード15に供給し、カソード17にブロアから空気(酸素)を供給することで、水素と酸素が電気化学的反応をして発電される。また、この発電の際の発熱を回収する熱交換部が燃料電池部1bに設けられている。また、発電により生じた直流を交流にするインバーターが設けられている。
【0035】
また、脱硫器11内の温度を検出する温度センサと、CO変成器13内の温度を検出する温度センサが設けられており、これらの温度センサによる脱硫器11内の検出温度又は/及びCO変成器13内の検出温度の情報に基づいて、マイクロコンピュータからなる制御部10がバーナ12aを制御して、改質器12の温度を制御するようになっている。また、脱硫器11とバーナ12aへのガスの供給路の流量を調整する流量調整部18としての調整弁18a,18bと設けられており、制御部10が調整弁18a,18bを調整することでガスの流量を調整し、発電量を調整するようになっている。また、その上流側にはバルブ4があり、停止時には制御部10がバルブ4を閉止する。
【0036】
次に、本実施形態におけるガスメーター3について説明する。
【0037】
ガスメーター3は、図3に示すように、ガスの流路31の適宜箇所に配置され、遮断弁32と流量計測部33とを備えている。流量計測部33は、流路31の上流側と下流側とにそれぞれ超音波の送受波を行う超音波センサ33a,33bを配置した構成を有する。2個の超音波センサ33a,33bは、互いに対向するとともに、超音波センサ33a,33bの間で送受される超音波の進行方向とガスが流路31を通過する方向とが角度θをなして交差するように配置される。両超音波センサ33a,33bは、メーター制御部34に接続される。メーター制御部34は、マイクロコンピュータからなり、レジスタやタイマー機能を備え、流量計測部33の動作の制御、流量計測部33の出力によるガスの流量の計測、流量計測部33の出力に基づく遮断弁2の制御などを行う。ガスの使用量は流量計測部33でのガスの流量の計測結果に基づいてメーター制御部34で求められ、メーター制御部34に接続した液晶表示器からなる表示部35に表示される。
【0038】
メーター制御部34にはEEPROMのような書換可能な不揮発性のメモリ36が接続される。また、メーター制御部34には制御信号によって遮断弁32を動作する遮断弁動作回路37、超音波センサ33a,33bの各一方を動作して超音波パルスを送波させるとともに他方で受波した超音波パルスの波形整形を行う超音波センサ動作回路38も接続される。メーター制御部34では超音波センサ動作回路8を介して超音波センサ33a,33bの送波タイミングを制御しており、送波を指示してから超音波センサ動作回路38により受波に対応する出力が得られるまでの時間を超音波の伝播時間として求める。
【0039】
図3に示すガスメーター3を用いて流量を計測するには、上流側の超音波センサ33aから下流側の超音波センサ33bに向かって超音波を送波したときの超音波の伝播時間t1と、下流側の超音波センサ33bから上流側の超音波センサ33aに向かって超音波を送波したときの超音波の伝播時間t2とを用いる。いま、両超音波センサ33a,33bの間の距離をd、ガスの流速をv、音速をcとすると、以下の関係が得られる。
(c+v・cosθ)t1=d
(c−v・cosθ)t2=d
従って、流速vは、
v=(d/2cosθ){(1/t1)−(1/t2)}
のように表すことができる。ここで、一般に超音波センサ33a,33bの間の距離dは8〜10cm程度に設定され、流路31内での音速cは約400m/secであるから、伝播時間t1,t2は200〜250μsec程度になる。
【0040】
このように求めた流速vに流路31の断面積Sを乗じた値が瞬時流量qになる。つまり、瞬時流量qは次式で表される。
q=v・S
ガスメーター3では各超音波センサ33a,33bをそれぞれ送波側として超音波パルスを1回ずつ送受波する動作が1組の動作になり、少なくとも1組の動作を行えば瞬時流量qを求めることができる。また、瞬時流量qは間欠的に計測され、瞬時流量qを求めた時間間隔(例えば2〜3秒)を瞬時流量qに乗じることによって積算流量Qが求められる。このようにして求めた各時間間隔毎の積算流量Qを積算した値は流路31を通過したガスの総量(ガスの使用量)に相当する。
【0041】
ここで、上記のように1個の超音波パルスのみで流速vを決定すると十分な計測精度が得られないため、計測精度を高めるためにシングアラウンド法と称される方法により計測処理が行われる場合がある。すなわち、シングアラウンド法においては、受信したらすぐに送信する回路を備え、両超音波センサ33a,33bのうちの一方から前述の回路を通して複数個の超音波パルスを繰り返して発生させて、複数回分の伝播時間を計測した後、他方から複数個の超音波パルスを繰り返して発生させ、複数回分の伝播時間を計測するものである。例えば、一方の超音波センサ33aから100個の超音波パルスを繰り返して発生させて計測した合計伝播時間を個数の100で除した値が、平均された伝播時間t1となり、その後に他方の超音波センサ3bから100個の超音波パルスを繰り返して発生させて計測した合計伝播時間を個数の100で除した値が、平均された伝播時間t2となる。各合計伝播時間は200〜250〔μsec〕×100=20〜25〔msec〕程度であり、両合計伝播時間を合わせても40〜50〔msec〕程度であり、瞬時流量qを求めるための上記時間間隔(例えば2〜3〔sec〕)内に充分に収まるものである。計測していない時間帯は、マイコンを低消費電力なスリープ状態にすることで消費電力を抑制している。
【0042】
本実施形態におけるガスメーター3の漏洩検知機能について図4に示すフロー図に基いて説明する。
【0043】
メーターの計測を開始すると(S1)、メーターは上述のような所定の時間間隔(本実施形態では2秒)を開始し、積算機能を働かせるとともに、メーター制御部34は、タイマー機能にて時間Tの計測を開始する(S2)。
【0044】
所定計測時間(本実施形態では2分)毎に、該所定計測時間の間に計測された複数個(本実施形態では60個)の瞬時流量qの平均値qave,最大値qmax,最小値qminを求めて記憶する(S3)。
【0045】
次に、求めた平均値qave,最大値qmax,最小値qminから漏洩判定を行う(S4)。漏洩判定は、「所定計測時間における流量の平均値qave<所定流量(本実施形態では1.5L/h)、かつ、所定計測時間における流量のばらつき(最大値qmax−最小値qmin)<所定範囲(本実施形態では10L/h)」という条件を満たすか否かを判定するもので、前記条件を満たす場合に「漏洩無し(暫定)」と判定され(S5)、「漏洩無し(暫定)」と判定された回数nを1カウント増加する。ガスの漏洩時には平均値qave,最大値qmax,最小値qminは(S4)の漏洩判定の条件を満たさないため、「漏洩無し(暫定)」と判定されることはない。
【0046】
次に、「漏洩無し(暫定)」と判定された回数nが所定回数(本実施形態では10回)に達したか否かが判定され(S6)、所定回数に達している場合には、「漏洩無し」と判定されて、表示部35において「漏洩の疑い有り」の旨の表示がある場合には表示をリセットし(S7)、タイマー機能の時間Tおよび「漏洩無し(暫定)」の判定回数nをリセットして(S8)、(S1)へ移行する。
【0047】
(S4)の漏洩判定の条件を満たさない場合、または(S6)において判定回数nが所定回数に達していない場合には、(S9)において開始からの時間Tが第1所定時間(本実施形態では30日)に達したか否かが判定され、時間Tが第1所定時間に達していない場合には(S3)に戻って計測を繰り返し、時間Tが第1所定時間に達している場合には、「漏洩の疑い有り」と判定され(S10)、表示部35において「漏洩の疑い有り」の旨の表示を行い、タイマー機能の時間Tおよび「漏洩無し(暫定)」の判定回数nをリセットして(S8)、(S2)へ移行する。
【0048】
すなわち、「漏洩の疑い有り」と判定され「漏洩の疑い有り」の旨の表示を行った後にも判定は継続し、「漏洩無し」と判定された場合には自動的に「漏洩の疑い有り」の表示はリセットされる。
【0049】
なお、上述した所定計測時間、所定流量、所定範囲、第1所定時間、所定回数の数値は特に限定されないものである。
【0050】
燃料電池ユニット1の制御部10は第1所定時間(本実施形態では30日)より短い第2所定時間(本実施形態では27日)毎に燃料電池ユニット1の動作を停止してバルブ4を閉止するもので、これにより、他のガス器具の使用がなく、かつ、漏れもない状況では、流量はゼロとなり、ガスメーター3の漏洩検知機能が「漏洩無し」と判定可能となる。
【0051】
しかしながら、燃料電池ユニット1の動作を停止してバルブ4を閉止するにあたり、従来は燃料電池ユニット1をまる一日停止していた。この場合、燃料電池へのガスの供給が長時間に亘って停止されるため、燃料電池にとって好ましくないものであった。すなわち、燃料電池は、長時間に亘って停止すると温度が大きく低下してしまい、温度が大きく低下した状態から起動を行うと温度の変化幅が大きくなって劣化が促進されてしまい、また、温度が大きく低下した状態から運転に適した温度に上昇させるのに大きなエネルギーが必要となり、省エネ性が低下してしまう、という問題があるものであった。
【0052】
そこで本発明においては、燃料電池ユニット1の制御部10とガスメーター3のメーター制御部34とを接続する通信回線5と、を備え、メーター制御部34は、漏洩無し確認部が漏洩無し状態を確認したら通信回線5を介して制御部10に「漏洩無し状態確認完了」の信号を送信し、制御部10は前記「前記漏洩無し状態確認完了」の信号を受信したら、燃料電池ユニット1の動作を再開するもので、図5にフローを示す。
【0053】
漏れがある場合等で漏洩無し確認部が漏洩無し状態を確認できない場合がありえる。このため、燃料電池ユニット1の制御部10は、停止からまる1日経過したら自動的に動作を燃料電池ユニット1の動作を再開する。
【0054】
なお、この通信回線5の送受信部、インターフェース等については、既存の技術が適用される。
【0055】
これにより、燃料電池の動作をまる1日停止することなく、メーターが漏洩無しを確認した時点で再開できるため、停止時間を短時間に抑制することができる。
【0056】
次に、他の実施形態について図6に基いて説明する。本実施形態は、構成については図1乃至図3に示す上記実施形態の構成と同じであるため説明を省略し、主に異なる動作について説明する。
【0057】
本実施形態では、燃料電池ユニット1の制御部10は第1所定時間(本実施形態では30日)より短い第2所定時間(前実施形態では27日)毎に、燃料電池の動作を停止することはしない。
【0058】
これに替えて、メーター制御部34は、前記タイマーが第3所定時間(たとえば27日)に達した後、ガスメーター3が計測する流量が第1所定流量値(例えば400L/h)以下となったときに、前記制御部10へ「漏洩無し状態確認要求」の信号を送信し、
制御部10は、前記「漏洩無し状態確認要求」の信号を受信したら、燃料電池ユニット1の動作を停止させる。
【0059】
燃料電池ユニット1の制御部10が第1所定時間より短い第3所定時間(例えば27日)毎に前記燃料電池の動作を停止しても、燃料電池ユニット1以外の他のガス器具が動作してた場合、漏洩無しは確認できないため、他のガス器具の動作が停止するまでの時間はロスとなる。
【0060】
ガスメーター3が計測する流量が第1所定流量値以下であるときは、燃料電池のみが動作している可能性が高いと考えられる。
【0061】
このタイミングでガスメーター3から燃料電池へ「漏洩無し状態確認要求」を送信して停止させることで、他のガス器具が停止しているタイミングで燃料電池ユニット1の動作を停止させることができ、ガスメーター3で漏洩無し確認が速やかにできるため、燃料電池の停止時間をより短くすることができる。
【0062】
前記第1所定流量は、燃料電池ユニット1以外の一つのガス機器と燃料電池ユニット1におけるガスの単位時間当たりの消費量(流量)を合計した値よりも小さく、燃料電池ユニット1におけるガスの単位時間当たりの消費量(流量)以上の値とする。つまり、燃料電池ユニット1以外のガス機器を使用している場合に、燃料電池の動作を停止させることを意図している。
【0063】
本実施例では、(S24)において、瞬時流量qが第1所定流量値(この例では400L/h)以下か否かを判定しているが、これに加えて時刻が所定の時刻範囲(例えば午後11時〜午前6時)内に収まっているか否かを判定する条件を加えてもよい。
【0064】
所定の時刻範囲は、燃料電池ユニット1以外のガス機器の使用が開始されない可能性が高い時刻範囲が設定されるもので、数値は特に限定されない。これにより、燃料電池の動作を停止しても、他のガス機器使用が開始することで、ガスメーター3で漏洩無し確認ができないという可能性が低減する。
【0065】
また、瞬時流量qが第1所定流量値(この例では400L/h)以下か否かを判定しているが、この代わりに燃料電池ユニット1の流量計測部19で計測された瞬時流量qと、ガスメーター3の流量計測部34で計測された瞬時流量qとが一致しているか否かを判定するものであってもよい。なお、両瞬時流量qは厳密に一致する必要はなく、適宜設定される誤差範囲内で収まればよい。
【0066】
このようにすることで、意に反して燃料電池ユニット1以外のガス機器が停止していることを確実に検知できる。
【0067】
また、本実施形態では、燃料電池ユニット1の制御部10は所定時間毎に、燃料電池の動作を停止することはしないとしたが、通信回線5の故障によりメーター制御部34と制御部10の通信ができない場合に備え、第3所定時間(本実施形態では27日)より長く、第1所定時間(本実施形態では30日)より短い第4所定時間毎に燃料電池を停止する構成であってもよい。
【0068】
次に、第3の実施形態について説明する。本実施形態は、ガスメーター3以外の構成、動作については同じであるため説明を省略し、主にガスメーター3の動作について異なる部分を説明する。
【0069】
本実施形態において、ガスメーター3は超音波メーター等電子式メーターのものに限定され、通常計測モードと高精度計測モードを備える。
【0070】
超音波メーターの計測間隔は、通常計測モードにおいては2秒に1回程度が設定される。
【0071】
これは、許容できる消費電力量と必要とされる応答性のバランスにより設定されている。
【0072】
この計測間隔を1秒に1回とすることで、単位時間あたりに得られる平均値の精度が高い、高精度計測モードが実現できる。
【0073】
メーター制御部34は、ガスメーター3が計測する流量が第2所定流量値(例えば5L/h)以下となったとき、すなわち漏洩無し判定ができる可能性がある流量になったとき、ガスメーター3の計測モードを高精度計測モードに切り替える。
【0074】
超音波メーターは通常2秒に1回計測しており、120秒毎、すなわち60個の瞬時流量の平均値をもとに漏洩無しを判定する。
【0075】
これを高精度計測モードでは1秒に1回計測するものとすれば、60秒で60個の瞬時流量値が得られ、同じ精度で漏洩無しと判定するまでの時間は半分に短縮できる。
【0076】
メーター制御部34は、高精度計測モードに切り替えた後、漏洩無しを確認したとき、通常計測モードへ切り替える。
【0077】
これは、漏洩無しが確認できたら、単位時間あたりの消費電力の高い高精度計測モードからすみやかに通常計測モードへ切り替えることで、消費電力量の増加を抑制するためである。
【0078】
高精度計測モードに切り替えたあと、燃料電池以外の他ガス機器の使用開始により、ガスメーター3が計測する流量が第2所定流量値を越した場合は、いったん通常計測モードに戻し、再び、流量が第2所定流量値以下となったとき高精度計測モードに切り替える。
【0079】
これは、第2所定流量値以上の流量を高精度計測で計測しても意味がないからである。
【0080】
また、高精度計測モードに切り替えたあと、所定時間経過しても漏洩無しを確認できないときも、通常計測モードに戻す。
【0081】
これは、実際に漏洩があったとき、高精度計測モードが継続し、消費電力量が大幅に増加してしまうためである。
【0082】
ただし、その分消費電力は増加するため、必要なタイミングでのみ、この高精度計測モードを適用する必要がある。
【0083】
これにより、ガスメーター3の消費電力の増加を最小限に留めつつ、燃料電池の停止時間をより短くすることができる。
【符号の説明】
【0084】
1 燃料電池ユニット
1a 燃料改質部
1b 燃料電池部
10 制御部
2 流路
3 ガスメーター
34 メーター制御部
4 バルブ
5 通信回線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池ユニットと、
ガスの供給源から前記燃料電池ユニットに至るガスの流路と、
前記流路の途中に設けられる漏洩検知機能を有するガスメーターと、
前記燃料電池ユニットの制御部と前記ガスメーターのメーター制御部とを接続する通信回線と、を備え、
前記メーター制御部は、漏洩判定部と、タイマーと、漏洩無し確認部と、を備え、
前記漏洩無し確認部は、漏洩無しを確認すると、前記タイマーをリセットし、
前記漏洩判定部は、前記タイマーが第1所定時間に達すると、漏洩ありと判定し、
前記燃料電池ユニットの制御部は前記第1所定時間より短い第2所定時間毎に前記燃料電池ユニットの動作を停止するものであって、
前記メーター制御部は、前記漏洩無し確認部が漏洩無し状態を確認すると、前記通信回線を介して制御部に漏洩無し状態確認完了の信号を送信し、
前記制御部は前記漏洩無し状態確認完了の信号を受信すると、燃料電池ユニットの動作を再開することを特徴とする燃料電池へのガス供給システム。
【請求項2】
燃料電池ユニットと、
ガスの供給源から前記燃料電池ユニットに至るガスの流路と、
前記流路の途中に設けられる漏洩検知機能を有するガスメーターと、
前記燃料電池ユニットの制御部と前記ガスメーターのメーター制御部とを接続する通信回線と、を備え、
前記メーター制御部は、漏洩判定部と、タイマーと、漏洩無し確認部と、を備え、
前記漏洩無し確認部は漏洩無しを確認すると、前記タイマーをリセットし、
前記漏洩判定部は、前記タイマーが第1所定時間に達すると、漏洩ありと判定するものであって、
前記メーター制御部は、前記タイマーが前記第1所定時間より短い第3所定時間に達した後に、前記制御部へ漏洩無し状態確認要求の信号を送信し、
前記制御部は、前記漏洩無し状態確認要求の信号を受信すると、前記燃料電池ユニットの動作を停止させ、
前記メーター制御部は、前記漏洩無し確認部が漏洩無し状態を確認すると、前記通信回線を介して前記制御部に漏洩無し状態確認完了の信号を送信し、
前記制御部は前記前記漏洩無し状態確認完了の信号を受信すると、前記燃料電池ユニットの動作を再開することを特徴とする燃料電池へのガス供給システム。
【請求項3】
前記メーター制御部は、前記タイマーが前記第1所定時間より短い第3所定時間に達した後に、前記ガスメーターが計測する流量が第1所定流量値以下となったときに、前記制御部へ漏洩無し状態確認要求の信号を送信することを特徴とする請求項2に記載の燃料電池へのガス供給システム。
【請求項4】
前記ガスメーターは通常計測モードと高精度計測モードを備える電子式メーターであって、
前記メーター制御部は、前記ガスメーターが計測する流量が第2所定流量値以下となったときに、前記ガスメーターの計測モードを高精度計測モードに切り替えるとともに、高精度計測モードに切り替えた後、漏洩無しを確認したとき、通常計測モードへ切り替えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の燃料電池へのガス供給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−216412(P2012−216412A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−80766(P2011−80766)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】