説明

燃料電池コージェネレーションシステム。

【課題】設置が容易で放熱ロスが少なく、しかも電装品の焼損を配置を改良することで確実に防止した燃料電池コージェネレーションシステムを提供する。
【解決手段】一つの枠体30内に、燃料電池スタック15を有する改質ユニット25と、熱回収用の貯湯タンク26と、これらを制御する電装基板等の電装品31とを備え、前記改質ユニット25と電装品31は貯湯タンク26を挟んで反対側に配置したので、現場での施工が容易であると共に、配管からの放熱の心配もなく、しかも寒冷地での使用でも凍結する危険がなく安心して使用出来るものであり、更に改質ユニット25からの高温の熱は、貯湯タンク26に遮られて反対側に備えられた電装品31に及ぶことはなく、熱に弱い電装品31の焼損を確実に防止し、長期に渡って安心して使用出来るものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、各家庭で個別に使用される家庭用の燃料電池コージェネレーションシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種のものに於いては、改質ユニット等の発電装置と、この発電装置からの熱を回収する貯湯タンクと、前記発電装置の制御基板等の電装品は、それぞれ別枠に備えられ構成されるものであった。(例えば、特許文献1参照。)
【特許文献1】特開平5−126402号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところでこの従来のものでは、それぞれが別の枠体に収納されているので、現場での施工に手間がかかると共に、配管からの放熱で熱のロスにもつながるものであり、又寒冷地の使用では凍結等も考えられるので、凍結対策も必要で大変面倒なものであった。
又これらを解決するには、改質ユニット、貯湯タンク、電装品を一つの枠体内に収納するようにすれば良いのであるが、単に収納したのでは、改質ユニットから発生する高温の熱によって、熱に弱い電装品が焼損したり故障の原因になると言う問題点を有するものであった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明はこの点に着目し上記課題を解決する為、特にその構成を、一つの枠体内に、燃料電池スタックを有する改質ユニットと、熱回収用の貯湯タンクと、これらを制御する電装基板等の電装品とを備え、前記改質ユニットと電装品は貯湯タンクを挟んで反対側に配置したものである。
【0005】
又請求項2では、前記貯湯タンクを断熱材で覆ったものである。
【発明の効果】
【0006】
この発明によれば、現場での施工が容易であると共に、配管からの放熱の心配もなく、しかも寒冷地での使用でも凍結する危険がなく安心して使用出来るものであり、更に改質ユニットからの高温の熱は、貯湯タンクに遮られて反対側に備えられた電装品に及ぶことはなく、熱に弱い電装品の焼損を確実に防止し、長期に渡って安心して使用出来るものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
次にこの発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
1は水蒸気改質工程を行う水蒸気改質部で、内部にはニッケル系又は貴金属系等の水蒸気改質触媒2が充填されており、燃焼部3からの熱供給を受けて650℃〜850℃に加熱され、ここに脱硫した炭化水素燃料ここでは灯油が供給されると共に、高温の水蒸気が供給されて、水蒸気改質して主にH2、CO、CO2、H2O、CH4の各生成ガスを得る。
【0008】
4はシフト反応工程を行うシフト反応部で、第1冷却部5で200℃〜300℃まで温度低下された生成ガスを高圧のまま流入させ、内部にはCu−Zu系、又はFe−Cr系等のシフト反応触媒6が充填され、一酸化炭素と水を二酸化炭素と水素に転換させるシフト反応するものである。
【0009】
7は第2冷却部8で生成ガスを100℃〜150℃にした後、COを酸化させるCO除去工程を構成するCO除去部で、内方には貴金属系のパラジュウム合金触媒9を有し、ここを通すことでCOを酸化させてCO2に変換させるものである。
【0010】
10はCO2除去工程を構成するCO2除去部で、内方中央部に多孔質体11の細孔12にアルカノールアミン等のCO2吸収液13を含浸させて成るCO2分離膜14を備え、その一側に前記CO除去部7を通過したCO2とH2の生成ガスを流通させ、他側にフレッシュエアー、水蒸気等のCO2分圧の低い流体を流通させることで、CO2を可能な限り除去し、H2のみを燃料電池スタック15へ供給するものである。
【0011】
前記燃料電池スタック15には、固体高分子型で水を多量に含んだ電極膜に、外部から前記の水素ガスH2を供給する水素管16、湿気を含んだ空気を供給する空気管17、冷却用及びイオン交換用の純水を供給する純水管18がそれぞれ接続されており、又発生した電力を充電器19で一旦蓄電したりDC−ACインバータ20を介して負荷へ供給する電線21も接続されている。
【0012】
22は前記純水を貯える純水タンクで、この純水タンク22内の純水を純水循環ポンプ23で燃料電池スタック15に流通させた後、高温に昇温した純水を熱交換器24で熱交換して温度低下させて再び純水タンク22に戻す循環を行わせるものである。
【0013】
そして、この水蒸気改質部1と燃焼部3、シフト反応部4、CO除去部7、CO2除去部10、燃料電池スタック15とで、改質ユニット25を構成するものである。
【0014】
26は燃料電池システムである改質ユニット25で発生する熱を利用する150L程度の貯湯タンクで、該貯湯タンク26内の給水を加熱循環ポンプ27の駆動で、熱交換器24に給水を循環させて高温の純水と熱交換して、高温水として順次戻して、これを繰り返すことにより貯湯タンク26内には高温水を貯湯して、底部に接続した給水管28の給水圧で上部の給湯管29より順次家庭の給湯として供給するものである。
【0015】
更に上記した改質ユニット25と貯湯タンク26とは、一つの枠体30内に備えられており、貯湯タンク26を中心にその一側に改質ユニット25を備え、その反対側には改質ユニット25の各部や貯湯タンク26の貯湯部を制御する制御基板やインバータ20等の電装部品からなる電装品31が備えられ、改質ユニット25からの熱が貯湯タンク26で遮られて電装品31の焼損が防止されるものである。
【0016】
次にこの発明一実施形態の作動について説明する。
脱硫した灯油及び水蒸気を水蒸気改質部1に供給し水蒸気改質が行われることで、主にH2、CO、CO2、H2O、CH4の各ガスが生成され、そしてこの生成ガスは第1冷却部5で200℃〜300℃付近に温度低下されてシフト反応部4に供給される。
【0017】
更にシフト反応部4では、シフト反応触媒6の下で、COとH2OをH2とCO2に変換した後、第2冷却部8で所定温度に冷却してから、CO除去部7で残ったCOをCO2に変換して、CO2とH2の生成ガスをCO2除去部10に流通させるものである。
【0018】
そしてCO2除去部10では、生成ガス中のCO2が多孔質体11の細孔12に表面張力で含浸しているCO2吸収液13に一旦吸収されてから、他側を流通するフレッシュエアー、水蒸気等のCO2分圧の低い流体を放出されて生成ガスからCO2のみを除去するものであり、CO2分離膜14表裏(または内外)の圧力差は生成ガス中のCO2分圧とスイートガス(フレッシュエアーまたは水蒸気)中のCO2分圧と差があれば十分であり、圧力差で飛ばされる心配もなく、構造が簡単で済むものである。
【0019】
CO除去後にCO2分離膜によるCO2の除去が行われるので、水素分圧が高くない燃料電池スタック15における水素利用率を向上させることが出来るものであり、この燃料電池スタック15では、この生成された水素ガスH2と湿気を含んだ空気、冷却用及びイオン交換用の純水が供給されて発電が行われ、発生した電力を充電器19で一旦蓄電したりDC−ACインバータ20を介して負荷へ供給されるものである。
【0020】
更に燃料電池スタック15で温度上昇した純水は、熱交換器24で加熱循環ポンプ27の駆動で循環している貯湯タンク26内の給水と順次熱交換し、該貯湯タンク26内に高温水を貯湯して随時家庭用の給湯として、無駄がなく効率の良い燃料電池コージェネレーションシステムを構築するものである。
【0021】
又この燃料電池コージェネレーションシステムでは、燃料電池の改質ユニット25と貯湯タンク26が一つの枠体30内に収納され、しかもこれらを制御する電装品31を貯湯タンク26を介して改質ユニット25とは反対側に備えたことで、現場での施工が容易であると共に、配管からの放熱の心配もなく、しかも寒冷地での使用でも枠体30内は高温を維持され凍結する危険がなく安心して使用出来るものであり、更に改質ユニット25からの高温の熱は、貯湯タンク26に遮られて反対側に備えられた電装品25に及ぶことはなく、熱に弱い電装品31の焼損を確実に防止し、長期に渡って安心して使用出来るものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の一実施形態を示す燃料電池コージェネレーションシステムの概略構成図。
【図2】同改質ユニットの概略構成図。
【図3】同CO2除去部の説明図。
【図4】同燃料電池スタックと貯湯タンクの構成説明図。
【符号の説明】
【0023】
15 燃料電池スタック
25 改質ユニット
26 貯湯タンク
30 枠体
31 電装品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つの枠体内に、燃料電池スタックを有する改質ユニットと、熱回収用の貯湯タンクと、これらを制御する電装基板等の電装品とを備え、前記改質ユニットと電装品は貯湯タンクを挟んで反対側に配置した事を特徴とする燃料電池コージェネレーションシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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