説明

燃料電池コージェネレーションシステム

【課題】満蓄状態となった貯湯槽の湯水を湯水循環通路に循環させずに、上水を利用して燃料電池セルスタックからの排気ガス中に含まれる水蒸気から水を回収することができる燃料電池コージェネレーションシステムを提供すること。
【解決手段】上記システム1は、発電を行なう発電ユニット2と、熱交換後の湯水を貯湯する貯湯槽31を有する貯湯ユニット3と、ユニット2,3間に湯水を循環させる湯水循環通路4等を備え、湯水循環通路4のうちの熱交換器11の熱交換通路部11aより下流側且つ貯湯槽31より上流側において、湯水循環通路4から外部へ分岐する分岐通路部45を設け、貯湯槽31内の湯温が所定の温度以上且つ貯留タンク21の水位低下時には、貯湯槽31への湯水の循環を停止して分岐通路部45を開放することによって、湯水循環通路4から湯水を排水するとともに、湯水循環通路4に接続された入水通路32から低温の上水を導入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃料電池コージェネレーションシステムに関し、燃料電池セルスタックから発生する排気ガス中に含まれる水蒸気から改質用の水を回収する構成において、特に貯湯槽内の湯水を循環させて改質用の水を回収するようにした燃料電池コージェネレーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気と改質燃料ガス(水素含有ガス)とを燃料電池セルスタックに供給することで電力を発生させ、この発電の際に副次的に発生する熱を湯水として回収する燃料電池コージェネレーションシステムが実用に供されている。従来の燃料電池コージェネレーションシステムは、発電を行なう発電ユニットと、熱交換後の湯水を貯湯する貯湯槽を有する貯湯ユニットと、発電ユニットと貯湯ユニットとの間に湯水を循環させる湯水循環通路であって湯水を冷却する為のラジエータが設けられた湯水循環通路等を備えている。
【0003】
ここで、上記の発電ユニットは、一般に、空気と改質燃料ガスとで発電を行なう燃料電池セルスタックと、この燃料電池セルスタックに供給する改質燃料ガスを水と天然ガス等の燃料ガスから生成する改質器と、前記燃料電池セルスタックからの排気ガスと貯湯槽の湯水との間で熱交換する熱交換器と、前記改質器に供給する水を貯留する貯留タンク等を備えている。
【0004】
ところで、燃料電池コージェネレーションシステムにおいて、上記の改質器に供給される改質用の水を供給する手段として、熱交換器で排気ガスと貯湯槽の湯水との間で熱交換を行ない、その際に発生する凝縮水を回収して改質用の水として再利用する方法が採用されている。この方法を採用することで、改質用の水を外部から供給する必要のない、所謂水自立システムが成立する。
【0005】
しかし、貯湯槽から湯水循環通路を介して熱交換器へ流れる湯水の温度は、貯湯槽の蓄熱状況により上昇し、やがて、貯湯槽が満蓄状態となり、湯水循環通路を循環する湯水が熱交換器における露点以上の温度に達する。すると、熱交換器で発生する凝縮水の量が減少して十分な量の凝縮水を回収できなくなり、改質用の水の供給が不足する。
【0006】
このような場合には、通常、前記ラジエータを作動することによって、熱交換器へ供給される湯水の温度を低下させて凝縮水を回収している。
特許文献1には、満蓄状態になった場合に、満蓄状態の貯湯槽の湯水の一部を排出して低温の上水を貯湯槽に補給することで貯湯槽内の湯水の温度を低下させ、この低下させた湯水を、湯水循環通路に循環させて凝縮水を回収することにより、ラジエータを省略可能にした構成も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−277973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記特許文献1における、満蓄状態となった貯湯槽内の湯水の一部を外部に排出し、低温の上水を補給して湯水の温度を低下させる技術は、貯湯槽から湯水を急に出湯する場合に対応できない虞がある。つまり、出湯時に湯水の温度が不足している場合、補助給湯器等で再度加熱する必要があり、無駄なコストが発生してしまう。
【0009】
一方、前記ラジエータを備えている場合には、上記のような問題は生じない。しかし、一般にラジエータは複雑な構造で高価なものであるから、湯水循環通路にラジエータを設けることは、製作コストの低減及び装置の小型化を図る上で不利である。
【0010】
さらに、燃料電池コージェネレーションシステムにおいて、発電ユニット(又は貯湯ユニット)内に湯水循環通路内の湯水を循環させる循環ポンプが設けられるが、一般に湯水循環通路は閉回路に構成されるので、前記循環ポンプへの呼び水を行う場合や運転開始時の水張りを行なう場合、マニュアル操作でバルブ等の開閉操作を手順通り実行しなければならず、運転開始時に非常に手間がかかるという問題がある。
【0011】
本発明の目的は、満蓄状態となった貯湯槽の湯水を湯水循環通路に循環させずに、上水を利用して燃料電池セルスタックからの排気ガス中に含まれる水蒸気から水を回収することができる燃料電池コージェネレーションシステムを提供すること、湯水循環通路の循環ポンプへの呼び水や運転開始時の水張りを容易に行え且つ製作コストや運転コストを低減可能な燃料電池コージェネレーションシステムを提供すること等である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の燃料電池コージェネレーションシステムは、燃料電池発電部から排出される排気ガス中に含まれる水蒸気を凝縮して回収する水回収手段と、この水回収手段が回収した凝縮水の不純物を取り除く水処理手段と、この水処理手段により処理された水を貯留する貯留タンクと、この貯留タンク内の水を燃料電池発電部へ供給する水供給手段と、湯水を貯湯する貯湯槽と、前記水回収手段の熱交換通路部を含む排熱回収用の湯水循環通路であって前記貯湯槽内の湯水を循環させて前記水蒸気の凝縮を行う湯水循環通路とを備えた燃料電池コージェネレーションシステムにおいて、前記湯水循環通路のうちの前記水回収手段の熱交換通路部より下流側且つ前記貯湯槽より上流側において、前記湯水循環通路から外部へ分岐する分岐通路部を設け、前記貯湯槽内の湯温が所定の設定温度以上且つ前記貯留タンク内の水が所定の設定水位に低下時には、前記貯湯槽への湯水の循環を停止して前記分岐通路部を開放することによって、前記湯水循環通路から湯水を排水するとともに、前記湯水循環通路に接続された入水通路から低温の上水を導入することを特徴としている。
【0013】
請求項2の燃料電池コージェネレーションシステムは、請求項1の発明において、前記湯水循環通路から前記分岐通路部が分岐する分岐部に三方弁が設けられ、前記貯湯槽内の湯水を前記湯水循環通路に循環させる場合には、前記三方弁を介して前記分岐通路部を閉止して前記湯水循環通路を循環状態にし、前記分岐通路部を開放する場合には、前記三方弁を介して前記分岐通路部を開放し且つ前記貯湯槽への湯水の循環を停止することを特徴としている。
【0014】
請求項3の燃料電池コージェネレーションシステムは、請求項2の発明において、前記分岐通路部に開閉弁が設けられ、前記三方弁と前記開閉弁との間において前記分岐通路部から分岐して前記湯水循環通路の熱交換通路部より上流側に接続されたバイパス通路が設けられ、前記分岐通路部を開放する場合には、前記開閉弁を開弁状態にし、前記湯水循環通路内の湯水と前記入水通路からの上水を前記バイパス通路を介して混合して排水することを特徴としている。
【0015】
請求項4の燃料電池コージェネレーションシステムは、請求項3の発明において、前記分岐通路部の開放後に、前記湯水循環通路内の湯水が所定の設定温度以下になった場合、前記開閉弁を閉弁状態にするとともに前記入水通路からの上水の導入を停止して、前記バイパス通路を介して湯水を前記熱交換通路部に循環させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、湯水循環通路のうちの水回収手段の熱交換通路部より下流側且つ貯湯槽より上流側において、湯水循環通路から外部へ分岐する分岐通路部を設け、前記貯湯槽内の湯温が所定の設定温度以上且つ前記貯留タンク内の水が所定の設定水位に低下時には、貯湯槽への湯水の循環を停止して分岐通路部を開放することによって、湯水循環通路から湯水を排水するとともに、湯水循環通路に接続された入水通路から低温の上水を導入するので、貯湯槽が満蓄状態になった場合でも貯湯槽内の湯水を排水せずに維持したまま、熱交換器において低温の上水と排気ガスとの間で熱交換することで、排気ガスから凝縮水を容易に回収することができる。従って、高価なラジエータを設ける必要もなく、出湯時に貯湯槽内の湯水を再加熱する必要もないので、燃料電池コージェネレーションシステムの小型化を図り、製作コストや運転コストを低減することができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、三方弁を介して分岐通路部を開放すると、給水から導入される上水は、湯水循環通路の上流側を流れ、熱交換器の熱交換通路部を経て湯水循環通路の下流側を流れ、分岐通路部から外部に排出されるので、湯水循環通路の循環ポンプへの呼び水を容易に行なえ、運転初期の操作を簡略化できる。また、ユーザーの都合により長期不在時の水抜き後の運転開始時の水張りを、システム起動が専用のメンテナンス員がいなくても、ユーザー自身が容易に行える。
【0018】
請求項3の発明によれば、バイパス通路を介して湯水と上水を混合させて排出することができるので、湯水循環通路内から高温の湯水を直接外部に排出することを防止し、高温の湯水を排出することに伴う危険を回避することができる。また、高温の湯水の直接排水を防止するので、耐久性の高い排水配管を必要とせず、製作コストを低減することができる。
【0019】
請求項4の発明によれば、分岐通路部の開放後に、湯水循環通路内の湯水が所定の温度以下になった場合、開閉弁を閉弁状態にするとともに入水通路からの上水の導入を停止して、バイパス通路を介して湯水を熱交換通路部に循環させるので、低温の上水を有効に活用して上水の無駄をなくし、運転コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施例1に係る燃料電池コージェネレーションシステムの発電ユニットの概略構成図である。
【図2】水処理装置の概略構成図である。
【図3】貯湯ユニットの概略構成図である。
【図4】三方弁の制御パターンを示す図表である。
【図5】実施例2に係る貯湯ユニットの概略構成図である。
【図6】第1,第2開閉弁の制御パターンを示す図表である。
【図7】実施例3に係る貯湯ユニットの概略構成図である。
【図8】三方弁と開閉弁の制御パターンを示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0022】
先ず、燃料電池コージェネレーションシステム1の全体構成について説明する。
図1〜図3に示すように、燃料電池コージェネレーションシステム1は、発電を行なう発電ユニット2と、熱交換後の湯水を貯湯する貯湯槽31を有する貯湯ユニット3と、これらのユニット2,3間に湯水を循環させる為の湯水循環配管4等から構成されている。
【0023】
次に、発電ユニット2について説明する。
図1に示すように、発電ユニット2は、発電モジュール5と、カソード空気ブロア6と、燃料ガス昇圧ブロア7と、燃料改質空気ブロア8と、排気ガス排出通路9と、熱交換器11と、水処理装置12と、インバータ13等から構成されている。発電モジュール5にて発電された直流電力は、インバータ13を介して交流電力に変換されて外部に出力される。
【0024】
次に、発電モジュール5について説明する。
発電モジュール5(燃料電池発電部に相当する)は、燃料電池セルスタック14と、蒸発器15と、燃料改質器16と、オフガス燃焼室17等を備え、燃料改質器16によって改質された改質燃料ガス及び酸化剤としての空気を燃料電池セルスタック14で化学反応させることで発電を行うものでる。
【0025】
蒸発器15は、燃料ガスに混合する為の水蒸気を生成して燃料改質器16に供給するものである。蒸発器15には、燃料ガス昇圧ブロア7によって取り込まれて昇圧された燃料ガス(天然ガス、都市ガスやプロパン等)と、燃料改質空気ブロア8によって取り込まれた燃料改質用の空気とが、共通供給通路18aを介して供給され、水処理装置12から水供給通路28を介して水が供給され、これらを混合して気化させて、燃料ガスと水蒸気を生成する。
【0026】
燃料改質器16は、その内部に白金等の改質触媒を備え、蒸発器15から混合供給通路18bを介して供給される燃料ガスと水蒸気とを混合して反応(所謂、水蒸気改質)させて、水素含有ガスを含む改質燃料ガスを生成し、この改質燃料ガスを、改質燃料ガス供給路18cを介して燃料電池セルスタック14の燃料電極側に供給する。
【0027】
燃料電池セルスタック14は、複数の燃料電池セルを多層に積層して構成されている。各燃料電池セルは、ジルコニア等の固定電解質と燃料電極と酸素電極から夫々形成されている。燃料電池セルスタック14の燃料電極側には、燃料改質器16から改質燃料ガスが供給され、燃料電池セルスタック14の酸素電極側には、カソード空気ブロア6から空気供給通路18dを介して空気が供給され、これらを高温下の環境で電気化学反応させて直流電力を生成する。
【0028】
オフガス燃焼室17は、燃料電池セルスタック14の発電に伴い生じる残余燃料ガスを処理する為のものであり、燃料電池セルスタック14の燃料電極側及び酸素電極側の各排出側と接続されている。このオフガス燃焼室17には、燃料電極側から排出された残余燃料ガスを含む反応燃料ガスと、酸素電極側から排出された酸素を含む空気とが供給され、これらを公知の燃焼触媒を用いて燃焼させることによって高温の排気ガスを生成し、この排気ガスの中の水蒸気を熱交換器11で凝縮させてから、排気ガス排出通路9を介して外部に排出する。
【0029】
次に、熱交換器11について説明する。
図1に示すように、熱交換器11(水回収手段に相当する)は、排気ガス排出通路9の内部に設けられ、湯水循環通路4の一部を構成する熱交換通路部11aを備えている。この熱交換器11において、発電モジュール5から排出される排気ガスを、熱交換通路部11aを流れる湯水との間で熱交換させて、排気ガス中に含まれる水蒸気は冷却され凝縮されて凝縮水となる。
【0030】
次に、水処理装置12について説明する。
図2に示すように、水処理装置12は、水処理手段19と、貯留タンク21と、水供給手段22等を備え、熱交換器11にて凝縮された凝縮水を、回収通路23を介して回収し、水処理手段19により不純物を取り除いた水を、水供給通路28を介して発電モジュール5の蒸発器15に供給するものである。
【0031】
水処理手段19は、熱交換器11から回収した凝縮水の不純物を取り除く為のものであり、処理タンク24を備えている。処理タンク24には、凝縮水に含まれる不純物をイオン交換により除去するイオン交換樹脂が設けられている。処理タンク24の下部に回収通路23が接続される。
【0032】
貯留タンク21は、水処理手段19により処理された水を一時的に貯留する為のものである。貯留タンク21の上部には、処理タンク24の上部と接続するタンク連結通路25と、貯留タンク21内が水で満杯になった場合に外部のドレン排出部27に排出する為の排出通路26とが接続されている。貯留タンク21内には、例えば、貯留タンク21内の1/5程度の高さ位置(所定の設定水位に相当する)に低下した水を検知する水位センサ21aが設けられ、この水位センサ21aが貯留された水の液面を検知すると、通常運転モードから上水導入運転モードに切り換えられる。通常運転モードは、貯湯槽31内の湯水を湯水循環通路4に循環させて熱交換器11で排気ガスと熱交換する運転状態であり、上水導入運転モードは、上水源から低温の上水を導入して熱交換器11で排気ガスと熱交換する運転状態である。
【0033】
水供給手段22は、貯留タンク21内の浄化された水を発電モジュール5の蒸発器15へ供給する為のものであり、貯留タンク21の下端部に接続された水供給通路28と、この水供給通路28の途中部に介装された送水ポンプ29とを備え、送水ポンプ29の駆動により、貯留タンク21内の水を、水供給通路28を介して蒸発器15に供給する。
【0034】
次に、貯湯ユニット3について説明する。
図3に示すように、貯湯ユニット3は、排気ガスの熱を湯水として蓄熱する為の貯湯槽31、入水通路32、出湯通路33、湯水循環通路4、三方弁35、混合弁36、補助給湯器37等を有する。貯湯槽31は湯水を貯留可能な上下方向に比較的長い断熱性の密閉タンクであり、貯湯槽31内の複数の貯留層の湯水の温度が複数のタンク湯水温度センサ38a〜38dにより検出される。
【0035】
貯湯槽31の下部には、入水通路32の下流端と湯水循環通路4の上流端とが接続される下部通路部41が接続されている。その貯湯槽31から循環ポンプ39を介して湯水が下部通路部41、湯水循環通路4の往き通路部4aを通り熱交換器11の熱交換通路部11aに送られる。熱交換器11で加熱された温水は上流側戻り通路部4bと下流側戻り通路部4cへ流れる。貯湯槽31の上部には、下流側戻り通路部4cと出湯通路33とが接続されている。貯湯槽31内に貯留された高温の湯水(例えば、80〜90℃)を出湯通路33に供給することができる。
【0036】
入水通路32は、共通通路部32a、上側通路部32b、下側通路部32cを有する。上側通路部32bの下流端が混合弁36に接続され、下側通路部32cの下流端が下部通路部41に接続されている。共通通路部32aの上流端に上水源(図示略)が接続されている。共通通路部32aに減圧弁42が設けられている。減圧弁42の入口付近の共通通路部32a内の上水の温度が入水温度センサ43により検出される。
【0037】
湯水循環通路4は、熱交換器11の熱交換通路部11aにより水蒸気と熱交換される湯水が流れる流路であり、往き通路部4a、上流側戻り通路部4b,下流側戻り通路部4cを有する。往き通路部4aの上流端が下部通路部41に接続され、往き通路部4aの下流端が熱交換通路部11aに接続されている。上流側戻り通路部4bの上流端が熱交換通路部11aに接続され、下流端が三方弁35に接続されている。下流側戻り通路部4cの上流端が三方弁35に接続され、下流端が貯湯槽31の上部に接続されている。
【0038】
湯水循環通路4のうちの熱交換器11の熱交換通路部11aより下流側且つ貯湯槽31より上流側において、湯水循環通路4から外部へ分岐する分岐通路部45が設けられている。この分岐通路部45が分岐する分岐部46に三方弁35が設けられている。分岐通路部45の下流端には、ドレン放出部47が設けられている。
【0039】
上流側戻り通路部4bの下流端が三方弁35(ポートA)に接続され、分岐通路部45の上流端が三方弁35(ポートB)に接続され、下流側戻り通路部4cの上流端が三方弁35(ポートC)に接続され、この三方弁35により上流側戻り通路部4bが下流側戻り通路部4cと分岐通路部45の何れかに択一的に接続される。
【0040】
通常運転モードにおいて、貯湯槽31内の湯水を湯水循環通路4に循環させる場合には、三方弁35を介して分岐通路部45を閉止して湯水循環通路4を循環状態にする。つまり、三方弁35のポートA−ポートC間を開弁状態にして、上流側戻り通路部4bと下流側戻り通路部4cとを接続する。上水導入運転モードにおいて、分岐通路部45を開放する場合には、三方弁35を介して分岐通路部45を開放し且つ貯湯槽31への湯水の循環を停止する。つまり、三方弁35のポートA−ポートB間を開弁状態にして、上流側戻り通路部4bと分岐通路部45とを接続する。
【0041】
循環ポンプ39は、湯水循環通路4に湯水を循環させる為のポンプであり、往き通路部4aの発電ユニット2側に設けられている(図1参照)。尚、循環ポンプ39は貯湯ユニット3側に配置しても良い。
【0042】
貯湯ユニット3の出口付近(発電ユニット2の入口付近)の往き通路部4a内の湯水の温度が、入口湯水温度センサ49aにより検出され、貯湯ユニット3の入口付近(発電ユニット2の出口付近)の上流側戻り通路部4b内の湯水の温度が、出口湯水温度センサ49bにより検出される。
【0043】
出湯通路33は、高温の湯水が流れる上流側通路部33a、水と高温の湯水が混合された混合湯水が流れる下流側通路部33bを有する。上流側通路部33aの上流端が貯湯槽31の上部に接続され、上流側通路部33aの下流端が混合弁36に接続されている。下流側通路部33bの上流端が混合弁36に接続され、下流側通路部33bの下流端に給湯栓51が接続されている。上流側通路部33aの途中部から分岐して外部のドレン放出部47に接続される排出通路部52が設けられ、この排出通路部52に圧力リリーフ弁53が設けられている。
【0044】
混合弁36は、出湯温度が指令温度になるように、混合される水と高温の湯水の流量比が制御される。混合弁36の入口付近の上流側通路部33a内の湯水の流量と温度が、上流側流量センサ54aと上流側出湯温度センサ54bにより夫々検出され、混合弁36の出口付近の下流側通路部33b内の湯水の流量と温度が、下流側流量センサ55aと下流側出湯温度センサ55bにより夫々検出される。
【0045】
入水通路32の共通通路部32aと出湯通路33の下流側通路部33bがバイパス通路57により接続され、このバイパス通路57に高温出湯回避用の安全弁58が設けられている。出湯通路33の下流側通路部33bの途中部には、湯水の熱量が不足している場合に湯水を加熱する為の補助給湯器37が設けられている。
【0046】
複数のタンク湯水温度センサ38a〜38d、入水温度センサ43,入口湯水温度センサ49a、出口湯水温度センサ49b、上流側流量センサ54a、下流側流量センサ55a、上流側出湯温度センサ54b、下流側出湯温度センサ55b、水位センサ21aからの信号を制御装置(図示略)に送信し、この信号に基づいて、三方弁35、混合弁36、循環ポンプ39等を制御し、各種運転(通常の排熱回収運転、水回収運転、呼び水運転、出湯運転、給湯加熱運転等)を実行する。
【0047】
次に、燃料電池コージェネレーションシステム1の作用について説明する。
図4に示すように、燃料電池コージェネレーションシステム1は、貯留タンク21内の水の貯留状態と貯湯槽31の湯水の貯湯状態等に応じて、貯湯槽31内の湯水を湯水循環通路4に循環させて熱交換器11で排気ガスと熱交換する通常運転モード(a)と、貯湯槽31内の湯水を使用せずに上水源から低温の上水を導入して熱交換器11で排気ガスと熱交換する上水導入運転モード(b)と、循環ポンプ39への呼び水を実行する呼び水運転モード(c)との3つの運転パターンを有する。
【0048】
図4に示すように、この通常運転モード(a)においては、三方弁35をポートA−ポートC間を接続する開弁状態に設定する。つまり、三方弁35は、分岐通路部45を閉止して湯水循環通路4を循環状態になるように制御される。循環ポンプ39の駆動により貯湯槽31の下端部から下部通路部41と湯水循環通路4の往き通路部4aとを経て熱交換通路部11aに流入した湯水は、オフガス燃焼室17から排出された排気ガスと熱交換し、この湯水を暖め、加熱された湯水が上流側戻り通路部4bと下流側戻り通路部4cを通って貯湯槽31に貯留され、この運転を繰り返すことで貯湯槽31に高温の湯水が貯留される。
【0049】
一方、発電ユニット2においては、熱交換器11で排気ガスに含まれる水蒸気が冷却されて凝縮水を発生し、この凝縮水は、回収通路23を介して水処理手段19の処理タンク24に送られ、処理タンク24内で凝縮水の不純物を除去し、この浄化された水を貯留タンク21に送り一時的に貯留する。その後、この貯留タンク21に貯留された水は、水供給手段22によって発電モジュール5の蒸発器15に送られ、改質用の水として再利用される。
【0050】
しかし、貯湯槽31から往き通路部4aを介して熱交換器11へ流れる湯水の温度は、貯湯槽31の蓄熱状況により上昇し、やがて、貯湯槽31が満蓄状態となり、湯水循環通路4を循環する湯水が熱交換器11における露点近傍の温度に達する。すると、排気ガスの温度低下が小さくなり、熱交換器11で発生する凝縮水の量が低減して十分な量の凝縮水を回収できなくなり、改質用の水の供給が不足する。この場合、貯湯槽31の複数のタンク湯水温度センサ38a〜38dが満蓄状態を検知し、貯留タンク21の水位センサ21aが低下した水の液面を検知した場合に、これら検知信号に基づいて運転モードを、以下に説明する上水導入運転モード(b)に切り換える。尚、満畜状態とは、貯湯槽31内が、例えば90℃度(所定の設定温度に相当する)の高温の湯水で満たされた状態である。
【0051】
図4に示すように、この上水導入運転モード(b)においては、貯湯ユニット3の三方弁35のポートA−ポートB間を接続する開弁状態に設定する。上記のように貯湯槽31内の湯水の温度が所定の設定温度以上且つ貯留タンク21内の水が所定の設定水位に低下時には、三方弁35を介して貯湯槽31への湯水の循環を停止して分岐通路部45を開放することによって、湯水循環通路4から湯水を排水するとともに、湯水循環通路4に接続された入水通路32から低温の上水を往き通路部4aへ導入する。このとき排水する温水は、往き通路部4aと熱交換通路部11aと上流側戻り通路部4b内の比較的少量の温水である。
【0052】
次に、入水通路32と湯水循環通路4の往き通路部4aとを経て熱交換通路部11aに流入した低温の上水は、オフガス燃焼室17から排出された排気ガスに含まれる水蒸気と熱交換し、この上水を暖め、加熱された上水が上流側戻り通路部4bと分岐通路部45を通って貯湯ユニット3の外部(ドレン放出部47)に排出される。
【0053】
一方、発電ユニット2においては、低温の上水が導入されることで、熱交換器11の冷却能力が増すので、通常運転モード(a)の場合と比較して多めの凝縮水が発生し、この凝縮水を、回収通路23を介して水処理手段19の処理タンク24に送られ、処理タンク24内で処理した後に貯留タンク21に貯留する。
【0054】
このように、満蓄状態となった貯湯槽31内の湯水に代えて低温の上水を熱交換に利用する事で、水蒸気との間の熱交換を促進し、十分な量の凝縮水を回収することができ、改質用の水不足による異常運転を回避することができる。その後、貯留タンク21の水位が設定水位以上に回復した場合や貯湯槽31内の湯水の温度が所定の設定温度より低下した場合は、上水源からの上水の導入を停止して、通常運転モード(a)に切り換えても良い。
【0055】
ところで、発電ユニット2内に湯水循環通路4内の湯水を循環させる循環ポンプ39が設けられているが、燃料電池コージェネレーションシステム1の施工後における、運転初期の循環ポンプ39への呼び水を行う場合や運転開始時の水張りを行なう場合、以下に説明する呼び水運転モード(c)で制御される。
【0056】
図4に示すように、この呼び水運転モード(c)においては、貯湯ユニット3の三方弁35のポートA−ポートB間を接続する開弁状態に設定する。つまり、三方弁35は、下流側戻り通路部4cを閉止して分岐通路部45を開放するように制御される。この状態で、上水源から低温の上水が入水通路32に供給されると、湯水循環通路4の往き通路部4aを経て熱交換通路部11aに流入し、上流側戻り通路部4b、分岐通路部45を通って貯湯槽31の外部に排出されるので、運転初期の循環ポンプ39への呼び水や運転開始時の水張りを行うことができる。
【0057】
次に、本発明の燃料電池コージェネレーションシステム1の効果について説明する。
上記の構成によれば、湯水循環通路4のうちの熱交換器11(水回収手段)の熱交換通路部11aより下流側且つ貯湯槽31より上流側において、湯水循環通路4から外部へ分岐する分岐通路部45を設け、貯湯槽31内の湯温が所定の設定温度以上且つ貯留タンク21内の水が設定水位に低下時には、貯湯槽31への湯水の循環を停止して分岐通路部45を開放することによって、湯水循環通路4から湯水を排水するとともに、湯水循環通路4に接続された入水通路32から低温の上水を導入するので、貯湯槽31が満蓄状態になった場合でも貯湯槽31内の湯水を排水せずに維持したまま、熱交換器11において低温の上水と排気ガスとの間で熱交換することで、排気ガスから凝縮水を容易に回収することができる。
【0058】
従って、高価なラジエータを設ける必要もなく、貯湯槽31内の湯水を再加熱する必要もないので、燃料電池コージェネレーションシステム1の小型化を図り、製作コストや運転コストを低下することができる。
【0059】
また、三方弁35を介して分岐通路部45を開放すると、給水から導入される上水は、湯水循環通路4の上流側を流れ、熱交換器11の熱交換通路部11aを経て湯水循環通路4の下流側を流れ、分岐通路部45から外部に排出されるので、湯水循環通路4の循環ポンプ39への呼び水を容易に行なえ、運転初期の操作を簡略化できる。
さらに、ユーザーの都合により長期不在時の水抜き後の運転開始時の水張りを、システム起動が専用のメンテナンス員がいなくても、ユーザー自身が容易に行える。
【実施例2】
【0060】
次に、実施例1の貯湯ユニット3を部分的に変更した実施例2について説明するが、前記実施例1と同様の構成要素には同様の参照符号を付して説明を省略し、異なる構成要素についてのみ説明する。図5に示すように、この貯湯ユニット3Aは、実施例1の三方弁35の代わりに第1,第2開閉弁61,62が設けられている。
【0061】
図5に示すように、貯湯ユニット3Aにおいて、湯水循環通路4のうちの熱交換器11の熱交換通路部11aより下流側且つ貯湯槽31より上流側において、湯水循環通路4から分岐部46において外部へ分岐する分岐通路部45が設けられ、この分岐通路部45に第1開閉弁61が設けられている。下流側戻り通路部4cに第2開閉弁62が設けられている。第1,第2開閉弁61,62により上流側戻り通路部4bが下流側戻り通路部4cと分岐通路部45の何れかに択一的に接続される。
【0062】
通常運転モードにおいて、貯湯槽31内の湯水を湯水循環通路4に循環させる場合には、第1開閉弁61を閉弁状態にして分岐通路部45を閉止して、第2開閉弁62を開弁状態にして上流側戻り通路部4bと下流側戻り通路部4cとを接続して湯水循環通路4を循環状態にする。上水導入運転モードにおいて、分岐通路部45を開放する場合には、第1開閉弁61を開弁状態にして分岐通路部45を開放し、第2開閉弁62を閉弁状態にして上流側戻り通路部4bと分岐通路部45とを接続して貯湯槽31への湯水の循環を停止する。
【0063】
次に、燃料電池コージェネレーションシステム1Aの作用について説明する。
図6に示すように、燃料電池コージェネレーションシステム1Aは、前記実施例1と同様の通常運転モード(a)と、上水導入運転モード(b)と、循環ポンプ39への呼び水を実行する呼び水運転モード(c)との3つの運転パターンを有する。
【0064】
図6に示すように、通常運転モード(a)においては、貯湯ユニット3Aの第1開閉弁61を閉弁状態に設定し、第2開閉弁62を開弁状態に設定する。つまり、第1,第2開閉弁61,62は、分岐通路部45を閉止して湯水循環通路4を循環状態になるように制御される。この通常運転モード(a)による熱交換器11における作用は、貯湯ユニット3A側と発電ユニット2側の両方とも、前記実施例1と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0065】
図6に示すように、上水導入運転モード(b)においては、貯湯ユニット3Aの第1開閉弁61を開弁状態に設定し、第2開閉弁62を閉弁状態に設定する。貯湯槽31内の湯温が所定の設定温度以上且つ貯留タンク21内の水が所定の設定水位に低下時には、貯湯槽31への湯水の循環を停止して分岐通路部45を開放することによって、湯水循環通路4から湯水を排水するとともに、湯水循環通路4に接続された入水通路32から低温の上水を導入する。このとき排水する温水は、往き通路部4aと熱交換通路部11aと上流側戻り通路部4b内の比較的少量の温水である。この上水導入運転モード(b)による熱交換器11における作用は、貯湯ユニット3A側と発電ユニット2側の両方とも、前記実施例1と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0066】
図6に示すように、呼び水運転モード(c)においては、貯湯ユニット3Aの第1開閉弁61を開弁状態に設定し、第2開閉弁62を閉弁状態に設定する。つまり、第1,第2開閉弁61,62は、下流側戻り通路部4cを閉止して分岐通路部45を開放するように制御される。この状態で、上水源から低温の上水が入水通路32に供給されると、湯水循環通路4の往き通路部4aを経て熱交換通路部11aに流入し、上流側戻り通路部4b、分岐通路部45を通って貯湯槽31の外部に排出されるので、運転初期の循環ポンプ39への呼び水や運転開始時の水張りを行うことができる。
その他の構成及び作用は前記実施例1と同様であるので説明は省略する。
【実施例3】
【0067】
次に、実施例1の貯湯ユニット3を部分的に変更した実施例3について説明するが、前記実施例1と同様の構成要素には同様の参照符号を付して説明を省略し、異なる構成要素についてのみ説明する。図7に示すように、この貯湯ユニット3Bは、実施例1の主要な構成に加えて、分岐通路部45Bから分岐するバイパス通路65と、分岐通路部45Bに設けられた開閉弁66を備えている。
【0068】
図7に示すように、貯湯ユニット3Bにおいて、湯水循環通路4Bのうちの熱交換器11の熱交換通路部11aより下流側且つ貯湯槽31より上流側において、湯水循環通路4Bから分岐部46Bにおいて外部へ分岐する分岐通路部45Bが設けられ、この分岐通路部45Bが分岐する分岐部46Bに三方弁35Bが設けられている。
【0069】
上流側戻り通路部4bの下流端が三方弁35B(ポートA)に接続され、分岐通路部45Bの上流端が三方弁35B(ポートB)に接続され、下流側戻り通路部4cの上流端が三方弁35B(ポートC)に接続され、この三方弁35Bにより上流側戻り通路部4bが下流側戻り通路部4cと分岐通路部45Bの何れかに択一的に接続される。
【0070】
さらに、分岐通路部45Bに開閉弁66が設けられ、三方弁35Bと開閉弁66との間において分岐通路部45Bから分岐して湯水循環通路4Bの熱交換通路部11aより上流側の往き通路部4aに接続されたバイパス通路65が設けられている。
【0071】
通常運転モードにおいて、貯湯槽31内の湯水を湯水循環通路4Bに循環させる場合には、三方弁35BのポートA−ポートC間を開弁状態にし、開閉弁66を閉弁状態にして、上流側戻り通路部4bと下流側戻り通路部4cとを接続することで、湯水循環通路4Bを循環状態にする。上水導入運転モードにおいて、分岐通路部45Bを開放する場合には、三方弁35BのポートA−ポートB間を開弁状態にし、開閉弁66を開弁状態にして、上流側戻り通路部4bと分岐通路部45Bとを接続することで、三方弁35Bを介して分岐通路部45Bを開放し且つ貯湯槽31への湯水の循環を停止する。
【0072】
次に、燃料電池コージェネレーションシステム1Bの作用について説明する。
図8に示すように、燃料電池コージェネレーションシステム1Bは、前記実施例1と同様の通常運転モード(a)と上水導入運転モード(b)と循環ポンプ39への呼び水を実行する呼び水運転モード(c)に加えて、低温の上水を湯水循環通路4Bに循環させる上水導入循環運転モード(b’)の4つの運転パターンを有する。
【0073】
図8に示すように、通常運転モード(a)においては、貯湯ユニット3Bの三方弁35BをポートA−ポートC間を接続する開弁状態に設定し、開閉弁66を閉弁状態に設定する。つまり、三方弁35Bと開閉弁66は、分岐通路部45Bを閉止して湯水循環通路4Bを循環状態になるように制御される。この通常運転モード(a)による熱交換器11における作用は、貯湯ユニット3B側と発電ユニット2側の両方とも、前記実施例1と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0074】
図8に示すように、上水導入運転モード(b)においては、貯湯ユニット3Bの三方弁35BをポートA−ポートB間を接続する開弁状態に設定し、開閉弁66を開弁状態に設定する。貯湯槽31内の湯温が所定の設定温度以上且つ貯留タンク21内の水が所定の設定水位に低下時には、貯湯槽31への湯水の循環を停止して分岐通路部45Bを開放することによって、湯水循環通路4Bから湯水を排水するとともに、湯水循環通路4Bに接続された入水通路32から低温の上水を導入する。このとき排水する温水は、往き通路部4aと熱交換通路部11aと上流側戻り通路部4b内の比較的少量の温水であり、これら湯水と入水通路32からの上水を、バイパス通路65を介して混合して排水することができる。この上水導入運転モード(b)による熱交換器11における作用は、貯湯ユニット3B側と発電ユニット2側の両方とも、前記実施例1と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0075】
ここで、貯湯槽31への湯水の循環を停止して分岐通路部45Bの開放後に、入口湯水温度センサ49a(又は出口湯水温度センサ49b)によって、湯水循環通路4B内の湯水が所定の設定温度以下(例えば、50度以下)になったと検知した場合、この入口湯水温度センサ49aからの検知信号に基づいて、運転モードを、以下に説明する上水導入循環運転モード(b’)に切り換える。
【0076】
図8に示すように、上水導入循環運転モード(b’)においては、上水導入運転モード(b)の設定状態から、開閉弁66を閉弁状態に切り換え、入水通路32からの低温の上水の導入を停止する。すると、低温の上水を供給されたことによって低下した湯水循環通路4B内の湯水は、循環ポンプ39の駆動により、上流側戻り通路部4bから分岐通路部45Bの分岐部46Bの近傍部とバイパス通路65を介して往き通路部4aに流れて、湯水を熱交換通路部11aに循環させ、排気ガスとの間で熱交換させる。
【0077】
その後、入口湯水温度センサ49a(又は出口湯水温度センサ49b)によって、湯水循環通路4B内の湯水が所定の設定温度以上(例えば、90度以上)になったと検知した場合、上水導入運転モード(b)に切り換え、開閉弁66を開弁状態に切り換え、湯水循環通路4B内の湯水を、分岐通路部45Bを介して排出するとともに、上水源から低温の上水を導入する。このときも、湯水循環通路4B内の湯水と入水通路32からの上水を、バイパス通路65を介して混合して分岐通路部45Bから排水することができる。一方、前記実施例1と同様に、発電ユニット2の貯留タンク21の水位が設定水位以上に回復した場合や貯湯槽31内の湯水の温度が所定の設定温度より低下した場合は、上水源からの上水の導入を停止して、通常運転モード(a)に切り換えても良い。
【0078】
図8に示すように、呼び水運転モード(c)においては、貯湯ユニット3Bの三方弁35BのポートA−ポートB間を接続する開弁状態に設定し、開閉弁66を開弁状態に設定する。つまり、三方弁35Bと開閉弁66は、下流側戻り通路部4cを閉止して分岐通路部45Bを開放するように制御される。この状態で、上水源から低温の上水が入水通路32から供給されると、上水の一部はバイパス通路65を介して分岐通路部45Bを通って貯湯ユニット3Bの外部に排出されるが、上水の残りは、湯水循環通路4Bの往き通路部4aを経て熱交換通路部11aに流入し、上流側戻り通路部4b、分岐通路部45Bを通って貯湯ユニット3Bの外部に排出されるので、運転初期の循環ポンプ39への呼び水や運転開始時の水張りを行うことができる。
【0079】
次に、本発明の燃料電池コージェネレーションシステム1Bの効果について説明する。
上記の構成によれば、バイパス通路65を介して湯水と上水を混合させて排出することができるので、湯水循環通路4B内から高温の湯水を直接外部に排出することを防止し、高温の湯水を排出することに伴う危険を回避することができる。また、高温の湯水の直接排水を防止するので、耐久性の高い排水配管を必要とせず、製作コストを低減することができる。
【0080】
さらに、分岐通路部45Bの開放後に、湯水循環通路4B内の湯水が所定の温度以下になった場合、開閉弁66を閉弁状態にするとともに入水通路32からの上水の導入を停止して、バイパス通路65を介して湯水を熱交換通路部11aに循環させるので、低温の上水を有効に活用して上水の無駄をなくし、運転コストを低減することができる。
その他の構成及び作用は前記実施例1と同様であるので説明は省略する。
【0081】
次に、前記実施例を部分的に変更した形態について説明する。
[1]前記実施例1〜3において、三方弁35,35B,開閉弁61,62,66に流量調整機能を設け、湯水循環通路4,4B内からの湯水の排出量を調整可能に構成しても良い。この構成によれば、熱交換通路部11a内を流れる上水の流量を調整することができ、上水と水蒸気との間で熱交換を効率よく行い上水の無駄を無くすことができる。
【0082】
[2]前記実施例1〜3において、水位センサ21aが検知する所定の設定水位は、貯留タンク21の1/5程度の高さ位置に設定されているが、特にこの位置に限定する必要はなく、他の高さ位置に設定しても良い。また、水位センサ21aが検知するのは、貯留された水の液面に限定する必要はなく液面近傍部であっても良い。
【0083】
[3]その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例の種々の変更を付加した形態で実施可能で、本発明はそのような変更形態を包含するものである。
【符号の説明】
【0084】
1,1A,1B 燃料電池コージェネレーションシステム
2 発電ユニット
3,3A,3B 貯湯ユニット
4,4B 湯水循環通路
5 発電モジュール(燃料電池発電部)
11 熱交換器(水回収手段)
11a 熱交換通路部
19 水処理手段
21 貯留タンク
22 水供給手段
31 貯湯槽
32 入水通路
35,35B 三方弁
45,45B 分岐通路部
46,46B 分岐部
61,62 第1,第2開閉弁
65 バイパス通路
66 開閉弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池発電部から排出される排気ガス中に含まれる水蒸気を凝縮して回収する水回収手段と、この水回収手段が回収した凝縮水の不純物を取り除く水処理手段と、この水処理手段により処理された水を貯留する貯留タンクと、この貯留タンク内の水を燃料電池発電部へ供給する水供給手段と、湯水を貯湯する貯湯槽と、前記水回収手段の熱交換通路部を含む排熱回収用の湯水循環通路であって前記貯湯槽内の湯水を循環させて前記水蒸気の凝縮を行う湯水循環通路とを備えた燃料電池コージェネレーションシステムにおいて、
前記湯水循環通路のうちの前記水回収手段の熱交換通路部より下流側且つ前記貯湯槽より上流側において、前記湯水循環通路から外部へ分岐する分岐通路部を設け、
前記貯湯槽内の湯温が所定の設定温度以上且つ前記貯留タンク内の水が所定の設定水位に低下時には、前記貯湯槽への湯水の循環を停止して前記分岐通路部を開放することによって、前記湯水循環通路から湯水を排水するとともに、前記湯水循環通路に接続された入水通路から低温の上水を導入することを特徴とする燃料電池コージェネレーションシステム。
【請求項2】
前記湯水循環通路から前記分岐通路部が分岐する分岐部に三方弁が設けられ、
前記貯湯槽内の湯水を前記湯水循環通路に循環させる場合には、前記三方弁を介して前記分岐通路部を閉止して前記湯水循環通路を循環状態にし、
前記分岐通路部を開放する場合には、前記三方弁を介して前記分岐通路部を開放し且つ前記貯湯槽への湯水の循環を停止することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池コージェネレーションシステム。
【請求項3】
前記分岐通路部に開閉弁が設けられ、
前記三方弁と前記開閉弁との間において前記分岐通路部から分岐して前記湯水循環通路の熱交換通路部より上流側に接続されたバイパス通路が設けられ、
前記分岐通路部を開放する場合には、前記開閉弁を開弁状態にし、
前記湯水循環通路内の湯水と前記入水通路からの上水を前記バイパス通路を介して混合して排水することを特徴とする請求項2に記載の燃料電池コージェネレーションシステム。
【請求項4】
前記分岐通路部の開放後に、前記湯水循環通路内の湯水が所定の設定温度以下になった場合、前記開閉弁を閉弁状態にするとともに前記入水通路からの上水の導入を停止して、前記バイパス通路を介して湯水を前記熱交換通路部に循環させることを特徴とする請求項3に記載の燃料電池コージェネレーションシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−12381(P2013−12381A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143988(P2011−143988)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】