説明

燃料電池システム

【課題】改質ガスに含まれる一酸化炭素を適切に選択酸化して除去するための空気が設計値を上回ることで、発電効率の低下や触媒の早期劣化を抑制できる燃料電池システムを提供する。
【解決手段】燃料極20aと酸素極20bとを備えた燃料電池20と、燃料ガスFを改質した改質ガスFから一酸化炭素を選択酸化して除去するCO除去器14と、CO除去器14へ酸素を含有する空気Aを供給する第1空気供給路L1と、CO除去器14から燃料電池20の燃料極20aへ導かれる改質ガスに空気Aを供給する第2空気供給路L2とを備え、第1空気供給路L1と第2空気供給路L2との両方に、空気Aを供給する空気供給手段31が設けられ、流路内を流れる空気Aを所定流量以下に制限する過流量防止機構35を、第1空気供給路L1及び第2空気供給路L2に対して独立に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料極と酸素極とを備えた燃料電池と、燃料ガスを改質した改質ガスから一酸化炭素を選択酸化して除去するCO除去器と、前記CO除去器へ導かれる改質ガスに酸素を含有する空気を供給する第1空気供給路と、前記CO除去器から前記燃料電池の前記燃料極へ導かれる改質ガスに前記空気を供給する第2空気供給路とを備えた燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、燃料電池システムでは、燃料極に燃料ガスとして改質ガスを供給するとともに、酸素極に酸素を含有する空気を供給することで発電を行う。このときに、燃料極に含まれる改質ガスに一酸化炭素が含まれていると、燃料極を形成する電極触媒が一酸化炭素により被毒して、発電効率が低下し、電極触媒の耐久性も低下する。一酸化炭素によって、発電性能が低下するのは、燃料極を形成する電極触媒に一酸化炭素分子が吸着することで、発電反応が阻害され、本来の発電ができなくなるためである。
これを回避するために、改質ガスから一酸化炭素を選択酸化して除去するCO除去器と、当該CO除去器へ導かれる改質ガスに選択酸化用の酸素を含有する空気を供給する第1空気供給流路とを備えるとともに、CO除去器を出た改質ガスに微量に含まれる一酸化炭素をさらに酸化除去すべく、CO除去器から燃料電池へ導かれる改質ガスに酸素を含有する空気(ブリードエアー)を導く第2空気供給路とを備えた燃料電池システムが知られている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−301868号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示の技術においては、空気供給手段により、第1空気供給路にてCO除去器へ導かれる改質ガスに供給される空気の流量、及び第2空気供給路にてCO除去器から燃料電池へ導かれる改質ガスに供給される空気の流量を、厳密に管理する必要がある。この様な管理が必要な理由は、空気供給手段から多量の空気が供給された場合、当該空気に含まれる酸素によって、改質ガスに含まれる一酸化炭素のみならず、燃料電池の発電に寄与する水素をも酸化することとなり、燃料電池の発電効率が低下する他、過多量に供給すると、触媒反応の発熱によって、CO除去触媒や燃料電池の触媒の劣化を早めることになるからである。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、改質ガスに供給する空気量と燃料電池に供給する空気量に詰まりなどによる片流れなど異常が無いかを判定することで、発電効率の低下と触媒の早期劣化を抑制できる燃料電池システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の燃料電池は、燃料極と酸素極とを備えた燃料電池と、燃料ガスを改質した改質ガスから一酸化炭素を選択酸化して除去するCO除去器と、前記CO除去器へ酸素を含有する空気を供給する第1空気供給路と、前記CO除去器から前記燃料電池の前記燃料極へ導かれる改質ガスに前記空気を供給する第2空気供給路とを備えた燃料電池システムであって、その特徴構成は、
前記第1空気供給路と前記第2空気供給路との両方に、空気供給装置が働いて共通空気供給路から前記空気を供給する空気供給手段が設けられ、
流路内を流れる前記空気を所定流量以下に制限する過流量防止機構を、前記第1空気供給路及び前記第2空気供給路に対して独立に設けた点にある。
【0007】
上記特徴構成によれば、過流量防止機構を、第1空気供給路及び第2空気供給路に独立に設け、空気供給手段を構成する空気供給装置が働いて、共通空気供給路から第1空気供給路と第2空気供給路との両方に空気を供給することができる。さらに、これら両空気供給路にそれぞれ過流量防止機構を設けることにより、所望量以上の空気が、それぞれの空気供給部位に供給されるのを防止することができる。
そして、この構成を採用する場合に、共通空気供給路に於ける空気圧力、空気供給装置の負荷、もしくは、共通空気供給路に設けられる流量制御弁の開度の何れか一つ以上の情報によって、過流量防止機構が正常状態であるか否かを判定することができる。
【0008】
即ち、第1空気供給路、第2空気供給路の何れか一方若しくはそれらの両方に設けられる過流量防止機構が、充分空気が流通できない等、異状な状態となっている場合は、系は燃料ガス量に対応する分の空気を供給しようとするため、共通空気供給路の圧力が上昇したり、空気供給装置の負荷が上昇したり、流量制御弁の開度が開側に制御されたりする等、空気供給手段の作動状態に、正常状態からの乖離が生じる。そこで、このような乖離状態を判定することで、第1空気供給路、第2空気供給路の何れか一方若しくはそれらの両方に設けられる過流量防止機構の状態を知ることができる。結果、2つの過流量防止機構の少なくとも一方が、例えば、目詰まり等によって正常に働くことができない状態で、他方に多量に空気が供給されることを、確実に検知して対策することで、発電効率の低下や触媒の早期劣化を防止できる。
【0009】
本発明の燃料電池システムの更なる特徴構成は、
前記空気供給手段から供給される前記空気を貯留するチャンバーを備え、
前記第1空気供給路が前記過流量防止機構を介する状態で前記チャンバーに接続されるとともに、前記第2空気供給路が前記過流量防止機構を介する状態で前記チャンバーに接続される点にある。
【0010】
上記特徴構成によれば、空気供給手段から供給される空気は、チャンバーに貯留された後に、過流量防止機構を介する状態で、第1空気供給路及び第2空気供給路へ夫々導かれる。これにより、空気は、チャンバーにてその動圧が抑制されるとともに、過流量防止機構にて所定量以下の流量とされた状態で、第1空気供給路及び第2空気供給路へ導くことができる。
【0011】
本発明の燃料電池システムは、過流量防止機構を設けることによって、第1空気供給路及び第2空気供給路へそれぞれ導かれる空気の流量が、過流量となることを抑制して、燃料電池の発電効率の低下や触媒の早期劣化を防止するものである。
燃料電池システムにあっては、当該過流量防止機構は、触媒や加工時に発生した粉塵等や凝縮した水が詰まる状態(以下、詰まり状態と記す)となることにより、下流側に導かれる空気の流量が減少したり、下流側に空気が導かれなくなったりする場合がある。そこで、本発明は、過流量防止機構が、上述したような目詰まり状態にあるか否か等を判定すべく、以下のような構成を採用している。
【0012】
この判定に際しては、本願に係る燃料電池システムでは、負荷変動に対して燃料電池に供給する燃料ガス量が変化した場合に、第1空気供給路、第2空気供給路を介して供給する空気の総流量が所定の正常な範囲内で変化することを利用する。ここで、燃料電池の負荷−燃料ガスの流量−総空気量は正の相関関係にある。この関係の制御は、後に実施形態で示すように本願にいう制御手段により行われる。具体的には、燃料電池の負荷の増大に対して、燃料ガスの流量が増加されるとともに、空気の総流量も増加される。このような空気の総流量の増加は、空気供給手段を構成する共通空気供給路に備えられる空気供給装置の回転数に対応する電流量の増大、流量制御弁の開度の増大等により、達成できる。
本願が問題とする過流量防止機構に流通異常が発生した場合、この制御手段の制御が実行されることにより、正常状態に対応する目標空気流量を流そうとするため、先に示したように、共通空気供給路に於ける空気圧力、空気供給装置の負荷、もしくは、共通空気供給路に設けられる流量制御弁の開度が、正常範囲から外れることとなる。
【0013】
このような判定を行う構成は以下のとおりとなる。
〔共通空気供給路における空気の流量もしくは圧力による判定〕
本発明の燃料電池システムの更なる特徴構成は、
前記空気供給手段にて前記第1空気供給路と前記第2空気供給路との双方に導かれる総空気量を測定する空気流量測定手段及び圧力を測定する圧力測定手段のいずれか一方又はそれらの両方を備えている点にある。
【0014】
上記特徴構成によれば、空気流量測定手段又は/及び圧力測定手段により、第1空気供給路と第2空気供給路との双方に導かれる前の総空気量又は/及び圧力を測定することができる。
これにより、例えば、当該空気の総空気量又は/及び圧力を確認することにより、CO除去器へ導かれる改質ガスとCO除去器から燃料電池の燃料極へ導かれる改質ガスとに供給される空気の総空気量又は/及び圧力が燃料電池の負荷に対応した正常な範囲から外れる異常がないか否かを、共通空気供給路に設ける夫々1つの空気流量測定手段(流量計)又は/及び圧力測定手段(圧力計)で確認することができる。
【0015】
〔共通空気供給路における流量制御弁の弁開度による判定〕
本発明の燃料電池システムの更なる特徴構成は、
前記共通空気供給路にて前記空気の流量を制御する流量制御弁を備え、
前記燃料電池の負荷に対応して前記共通空気供給路を通流する前記空気の流量の目標流量に対する前記流量制御弁の目標開度範囲を記憶する記憶部を備え、
現在の前記燃料電池の負荷に対応する前記空気の前記目標開度範囲を前記記憶部から読み出し、前記流量制御弁の開度が前記記憶部から読み出した前記目標開度範囲であるかどうかによって異常か正常かを判定する判定手段を備えている点にある。
【0016】
上記特徴構成によれば、共通空気供給路に、現在の燃料電池の負荷に対応する流量制御弁の目標開度範囲を記憶部から読み出し、流量制御弁の開度が、記憶部に記憶されている目標開度範囲を逸脱している場合、双方に導かれる空気量、特に一方だけ過流となるような異常が生じていることを知ることができる。
【0017】
〔共通空気供給路における流量制御弁の弁開度による判定〕
本発明の燃料電池システムの更なる特徴構成は、
前記記憶部が、前記燃料電池の負荷に対応する前記流量制御弁の開度の想定範囲である第1想定範囲を記憶するとともに、前記燃料電池の負荷に対応して前記共通空気供給路を通流する前記空気の流量の目標流量範囲を記憶する記憶部を備え、
前記判定手段は、前記共通空気供給路を通流する前記空気の流量が前記記憶部から読み出した前記目標流量範囲となるように前記流量制御弁の開度を制御した状態で、前記流量制御弁の開度が前記第1想定範囲に含まれるか否かを判定する点にある。
【0018】
上記特徴構成によれば、下流側に導かれる空気の流量を制御可能な流量制御弁の開度が、適正か否かを判定することにより、何れか一方又は両方の過流量防止機構が目詰まり状態にあるか否かを判定する。
具体的には、燃料電池の負荷に対応する流量制御弁の開度の想定範囲である第1想定範囲を記憶部に記憶しておき、共通空気供給路を通流する空気の流量を記憶部から読み出した目標流量範囲となるように流量制御弁の開度を制御した状態で、判定手段が、流量制御弁の開度が第1想定範囲に含まれるか否かを判定することで、燃料電池の負荷に対応して設定された流量制御弁の開度が適正な想定範囲に含まれるか否かを判定する。
この場合、過流量防止機構が詰まり状態にあるときは、共通空気供給路を通流する空気の流量を目標流量範囲となるように流量制御弁の開度を制御すると、流量制御弁の開度が通常よりも開き側の開度となり、第1想定範囲から外れる。一方、過流量防止機構が詰まり状態にないときは、流量制御弁の開度は所定の開度となり、第1想定範囲に含まれる。
従って、流量制御弁の開度が第1想定範囲に含まれる場合には、過流量防止機構が目詰まり状態にないと判定でき、流量制御弁の開度が第1想定範囲に含まれない場合には、過流量防止機構が目詰まり状態にあると判定できる。
【0019】
〔共通空気供給路における空気供給装置の負荷による判定〕
本発明の燃料電池システムの更なる特徴構成は、
前記燃料電池の負荷に対応して前記共通空気供給路を通流する前記空気の流量を目標流量に対する前記空気供給装置の目標空気供給負荷範囲を記憶する記憶部を備え、
現在の前記燃料電池の負荷に対応する前記空気の前記目標空気供給負荷範囲を前記記憶部から読み出し、前記空気供給装置の負荷が前記記憶部から読み出した前記目標空気供給負荷範囲であるかどうかによって異常か正常かを判定する判定手段を備えている点にある。
【0020】
上記特徴構成によれば、現在の燃料電池の負荷に対応する空気供給装置の目標空気供給負荷範囲を記憶部から読み出し、空気供給装置の負荷が、記憶部に記憶されている目標空気供給負荷範囲を逸脱している場合に、双方に導かれる空気量から、特に一方だけ過流となるような異常が生じていることを知ることができる。一方、空気供給装置の負荷が、目標空気供給負荷範囲内である場合は、双方の過流量防止機構は正常であり、空気が両方の空気供給部位に供給されていることを知ることができる。
【0021】
本発明の燃料電池システムの更なる特徴構成は、
前記記憶部が、前記燃料電池の負荷に対応する前記空気供給装置の負荷(例えば電流や周波数など)の想定範囲である第2想定範囲を記憶するとともに、前記燃料電池の負荷に対応して前記共通空気供給路を通流する前記空気の流量の目標流量範囲を記憶する記憶部を備え、
前記判定手段は、前記共通空気供給路を通流する前記空気の流量が前記記憶部から読み出した前記目標流量範囲となるように前記空気供給装置を制御したときに、前記空気供給装置の負荷が前記第2想定範囲に含まれるか否かを判定する点にある。
【0022】
上記特徴構成によれば、下流側に導かれる空気の流量を制御可能な空気供給装置の負荷が、適正か否かを判定することにより、過流量防止機構が目詰まり状態にあるか否かを判定する。
具体的には、燃料電池の負荷に対応する空気供給装置の負荷の想定判定である第2想定範囲を記憶部に記憶しておき、判定手段が、空気供給装置の負荷が第2想定範囲に含まれる否かを判定することで、燃料電池の負荷に対応して設定された空気供給装置の負荷が適正な想定範囲に含まれるか否かを判定できる。
この場合、過流量防止機構が詰まり状態にあるときには、共通空気供給路を通流する空気の流量を記憶部から読み出した目標流量範囲となるように空気供給装置の負荷を制御したときに、空気供給装置の負荷が通常の負荷よりも高くなり、第2想定範囲から外れる。一方、過流量防止機構が詰まり状態にないときには、空気供給装置の負荷は通常の負荷となり、第2想定範囲に含まれる。
結果、空気供給装置の開度が第2想定範囲に含まれる場合には、過流量防止機構が目詰まり状態にあり、流量制御弁の開度が第2想定範囲に含まれない場合には、過流量防止機構が目詰まり状態にあると判定できる。
【0023】
本発明の燃料電池システムの更なる特徴構成は、
前記空気供給手段と前記過流量防止機構との間で前記空気を通流する共通空気供給路にて前記空気の圧力を測定する空気圧測定手段を備え、
前記燃料電池の負荷に対応して前記共通空気供給路を通流する前記空気の流量の目標流量値を記憶するとともに、前記空気の前記目標流量値に対応する前記空気圧測定手段にて測定される圧力の範囲である相関範囲を記憶する記憶部と、
現状の燃料電池の負荷に対応する前記空気の前記目標流量値を前記記憶部から読み出し、前記共通空気供給路を通流する前記空気の流量が記記憶部から読み出した前記目標流量値となるように前記空気供給手段を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段が前記共通空気供給路を通流する前記空気の流量が前記記憶部から読み出した前記目標流量値となるように前記空気供給装置を制御した状態で、前記空気圧測定手段にて測定される圧力が前記相関範囲に含まれるか否かを判定する判定手段を備えている点にある。
【0024】
上記特徴構成によれば、空気供給手段と過流量防止機構との間を通流する空気の圧力が適正か否かを判定することにより、過流量防止機構が目詰まり状態にあるか否かを判定する。
上記特徴構成によれば、記憶部に燃料電池の負荷に対応して共通空気供給路を通流する空気の流量の目標流量値と、空気の目標流量値に対応する空気圧測定手段にて測定される圧力の範囲である相関範囲とを記憶させ、制御手段が共通空気供給路を通流する空気の流量が記憶部から読み出した目標流量値となるように空気供給装置を制御した状態で、判定手段が空気圧測定手段にて測定される圧力が前記相関範囲に含まれるか否かを判定することで、空気の目標流量値に対応して制御された共通空気供給路における空気の圧力が適正な値か否かを判定できる。
この場合、過流量防止機構が詰まり状態にあるときには、制御手段が共通空気供給路を通流する空気の流量が記憶部から読み出した目標流量値となるように空気供給装置を制御した状態において、空気圧測定手段にて測定される圧力が通常の圧力よりも高くなり、相関範囲から外れる。一方、過流量防止弁が詰まり状態にないときは、空気圧力測定手段にて測定される圧力は通常の圧力となり、相関範囲に含まれる。
結果的に、空気圧測定手段にて測定される圧力が相関範囲に含まれると判定される場合には、過流量防止機構が目詰まり状態にないと判定でき、空気圧測定手段にて測定される圧力が相関範囲に含まれないと判定された場合には、過流量防止機構が目詰まり状態にあると判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の燃料電池システムの概略構成図である。
【図2】過流量防止機構(オリフィス)を備えたチャンバーの斜視図である。
【図3】空気の目標流量範囲及び目標流量値を示すグラフ図である。
【図4】(a)は燃料ガスの流量に対応する流量制御弁の開度の第1想定範囲を示すグラフ図であり、(b)は燃料ガスの流量に対応する空気供給手段の第2想定範囲を示すグラフ図である。
【図5】空気の目標流量値に対応する空気圧測定手段にて測定される圧力の相関範囲を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の燃料電池システムは、CO除去器14に導かれる改質ガス、及びCO除去器14から燃料電池20の燃料極20aに導かれる改質ガスに対し、当該改質ガスに含まれる一酸化炭素を選択酸化する酸素を含む空気を供給する構成に特徴がある。
そこで、以下では、まず、燃料電池システムの基本構成について説明した後、本発明に特徴的な構成を説明する。
燃料電池システムは、図1に示すように、燃料改質装置15と燃料電池20と制御装置40とを備えている。制御装置40は、燃料改質装置15及び燃料電池20の動作を制御する。
【0027】
燃料改質装置15は、脱硫器11と改質器12とCO変成器13とCO除去器14とを有する。
脱硫器11は、供給される燃料ガスF(例えば、都市ガス)に含まれる硫黄化合物を脱硫処理する脱硫触媒(図示せず)を有する。脱硫器11へ供給される燃料ガスFの流量は、脱硫器11の上流側に設けられたバルブ(図示せず)の開度を制御装置40が制御することにより調整自在となっている。当該脱硫器11にて脱硫された燃料ガスFは、改質器12へ供給される。従って、制御装置40が、脱硫器11へ供給する燃料ガスFの流量を調整することで、その後に改質器12で生成される改質ガスの量が調整され、最終的には、燃料電池20の燃料極20aに供給される水素量が調整される。つまり、制御装置40は、燃料電池20の発電出力を上昇させるのであれば、バルブの開度を大きくして脱硫器11へ導かれる燃料ガスFの流量を増加させる制御を行う。
尚、脱硫器11の上流側には、燃料ガスFの流量を測定する第2流量計36が設けられており、第2流量計36にて測定される燃料ガスFの流量は、燃料電池20の負荷として制御手段41が監視している。
【0028】
改質器12には、脱硫器11にて脱硫された燃料ガスFと、外部にて水を加熱することで生成した水蒸気とを混合し、燃料ガスFを水蒸気改質して改質ガスを生成する。例えば、燃料ガスFが、メタンを主成分とする天然ガスである場合、改質器12では、600℃〜750℃程度に加熱されている状態で、メタンと水蒸気とが下記の反応式にて改質反応して、水素と一酸化炭素と二酸化炭素とを含むガスに改質処理される。
【0029】
〔化1〕
CH4+H2O→CO+3H2
〔化2〕
CH4+2H2O→CO2+4H2
【0030】
CO変成器13は、改質器12にて生成された改質ガスに含まれる一酸化炭素を低減するように処理する。具体的には、CO変成器13では、銅-亜鉛系、鉄-クロム系などの一酸化炭素変成触媒(図示せず)の触媒作用によって、以下の反応式に示すように、一酸化炭素が二酸化炭素に変成処理される。
〔化3〕
CO+H20→CO2+H2
【0031】
CO除去器14は、CO変成器13から排出される変性処理済の改質ガスに残留している一酸化炭素を除去する。CO除去器14に導かれる改質ガスには、酸素を含有する空気Aを導く第1空気供給路L1にて空気Aが供給されるように構成されており、CO除去器14は、ルテニウムや白金、パラジウム、ロジウム等の一酸化炭素除去触媒(図示せず)の触媒作用により、改質ガス中の一酸化炭素を空気Aに含まれる酸素にてなるべく選択的に酸化する。これにより、CO除去器14から排出された改質ガスは、一酸化炭素濃度が1ppm〜100ppm程度に低下された状態で、燃料電池20へ供給される。このとき、空気Aは、燃料電池の燃料である水素も一部酸化する。
【0032】
以上のように、燃料改質装置15にて生成された水素を主成分とする改質ガスは、固体高分子形燃料電池である燃料電池20の燃料極20aへ供給される。また、燃料電池20の酸素極20bには、酸素を含む空気Aが供給される。燃料電池20にて発電された直流電力は、パワーコンディショナー(図示せず)にて所定の電力に変換された後、電力負荷へ供給される。
【0033】
本発明の燃料電池システムでは、上述したように、CO除去器14に導かれる改質ガスに酸素を含む空気Aを導く第1空気供給路L1を備えていると共に、CO除去器14から燃料電池20へ導かれる改質ガスへ空気A(ブリードエアー)を導く第2空気供給路L2を備えている。第1空気供給路L1及び第2空気供給路L2の上流側には、接続点P第1空気供給路L1と第2空気供給路L2との双方に接続される共通空気供給路L4が設けられている。当該共通空気供給路L4には、モーター(図示せず)にて駆動される状態で空気Aを下流側へ圧送するポンプ31(空気供給装置の一例)と、ポンプ31にて下流側に圧送された空気Aの流量制御可能な流量制御弁32とが設けられており、第1空気供給路L1及び第2空気供給路L2の夫々には、流路内を流れる空気Aを所定流量以下に制御する過流量防止機構35を独立に備えている。
【0034】
本実施形態では、過流量防止機構35は、第1空気供給路L1の途中に設けられた第1オリフィス35aと、第2空気供給路L2の途中に設けられた第2オリフィス35bとから構成されている。図示は省略するが、第1オリフィス35a及び第2オリフィス35bは、第1空気供給路L1及び第2空気供給路L2の流路を閉止する状態で設けられた板状体に形成された貫通孔から成る。
尚、過流量防止機構35としては、オリフィスの代わりに、キャピラリーチューブを過流量防止機構として使用しても良い。
【0035】
ポンプ31により空気Aが下流側に供給されると、第1オリフィス35aにて所定流量以下に制限された空気Aが第1空気供給路L1の下流側へ導かれると共に、第2オリフィス35bにて所定流量以下に制限された空気Aが第2空気供給路L2の下流側へ導かれることとなる。
そして、第1空気供給路L1は、その下流側にて、CO除去器14に導かれる改質ガスを通流する流路に接続されており、第2空気供給路L2は、その下流側にて、CO除去器14から燃料電池20の燃料極20aへ導かれる改質ガスを通流する流路に接続されている。
これにより、第1空気供給路L1の下流側でCO除去器14に導かれる改質ガスには、第1オリフィス35aにて所定流量以下に調整された空気Aが供給され、当該空気Aに含まれる酸素にて、改質ガスに含まれる一酸化炭素を適切に選択酸化できる。
一方、第2空気供給路L2の下流側で燃料電池20の燃料極20aに導かれる改質ガスには、第2オリフィス35bにて所定流量以下に調整された空気Aが供給され、当該空気Aに含まれる酸素にて、燃料電池20の燃料極20aに導かれる改質ガスに含まれる微量の一酸化炭素を適切に除去できる。
【0036】
次に、CO除去器14に導かれる改質ガス、及びCO除去器14から燃料電池20の燃料極20aへ導かれる改質ガスに供給される空気Aの流量を、目標流量に設定する構成について説明する。
制御装置40は、燃料ガスFの流量(燃料電池の負荷の一例)に対応して共通空気供給路L4を通流する空気Aの流量の目標流量範囲M1を記憶する記憶部44を備えている。当該目標流範囲M1は、図3に示すように、燃料ガスFの流量(燃料電池の負荷)に対し、共通空気供給路L4を通流する空気Aの流量が正の相関を持つ範囲である。
制御装置40は、現在の燃料ガスFの流量に対応する空気Aの目標流量範囲M1を記憶部44から読み出し、共通空気供給路L4を通流する空気Aの流量が記憶部44から読み出した目標流量範囲M1に含まれるように、ポンプ31及び流量制御弁32を制御する制御手段として働く。具体的には、制御装置40は、図3に示すように、燃料ガスFの流量がm1のときには、空気Aの流量を、目標流量範囲M1の上限値m1から下限値m2までの間の値となるように、ポンプ31及び流量制御弁32を制御する。
これにより、空気Aの流量は、燃料ガスFの流量(燃料電池の負荷)に対応した適切なものとなる。
【0037】
このように、本発明によれば、燃料電池20の燃料極20aに導かれる一酸化炭素の濃度を十分に抑制することができる。しかしながら、例えば、上記第1オリフィス35a及び第2オリフィス35bに触媒の粉塵や加工時に発生した異物や凝縮した水等が目詰まりしたときには、CO除去器14に導かれる改質ガス、及び燃料電池20の燃料極20aに導かれる改質ガスに、空気Aを供給することができず、改質ガスに含まれる一酸化炭素を選択酸化できなくなる場合がある。
そこで、本発明の燃料電池システムでは、第1オリフィス35a及び第2オリフィス35bの詰まり状態を判定すべく、以下のように構成されている。
【0038】
共通空気供給路L4で、ポンプ31の下流側で第1オリフィス35a及び第2オリフィス35bの上流側の部位において、上流側に流量制御弁32が設けられ、その下流側に、共通空気供給路L4を通流する空気Aの圧力を測定する圧力計33(空気圧測定手段の一例)、共通空気供給路L4を通流する空気Aの流量を計測する第1流量計34(空気流量測定手段の一例)が設けられている。
制御装置40は、これらの計器の計測結果に基づいて、第1オリフィス35a及び第2オリフィス35bの詰まり状態の判定を、以下に示す判定方法を状況に応じて択一的に切り替えて実行するように構成されている。
尚、本発明にて、以下に示す判定方法に基づいて、第1オリフィス35a又は第2オリフィス35bの詰まり状態を判定した場合には、警報装置(図示せず)等によって、外部に報知するように構成することが好ましい。
【0039】
〔共通空気供給路を通流する空気流量に基づく詰まり状態の判定〕
制御装置40は、ポンプ31を駆動するとともに流量制御弁32を開状態として、所定流量の空気Aを共通空気供給路L4へ通流させるように制御している状態で、計測される空気Aの流量制御弁32が所定開度より大きいものであるときには、簡易的に総流量過多として第1オリフィス35a又は第2オリフィス35bの何れかが詰まり状態であると判定する。
【0040】
第1オリフィス35a及び第2オリフィス35bが正常な状態で、且つ、空気Aの流量がそれらの上限値以下である場合には、ポンプ31の下流側で第1オリフィス35a及び第2オリフィス35bの上流側での空気Aの圧力はその流量に正の相関があるものとなる。
そこで、記憶部44は、当該空気Aの圧力と流量の関係を記憶しておく。制御装置40は、ポンプ31を働かせると共に流量制御弁32を総流量を負荷に応じた流量に制御し、このとき、制御装置40は、圧力計33にて計測される圧力を記憶部44から読み出して、当該読み出した圧力が、上記所定圧力よりも大きい値であるときには、簡易的に第1オリフィス35a及び第2オリフィス35bの何れかが詰まり状態であると判定する。
【0041】
〔流量制御弁の開度に基づく詰まり状態の判定〕
当該判定にあっては、共通空気供給路L4を通流する空気Aの流量を制御する流量制御弁32の開度が、適正か否かを判定することにより、第1オリフィス35a及び第2オリフィス35bが詰まり状態か否かを判定する。
尚、共通空気供給路L4から下流側へ送られる空気Aの流量は、第1オリフィス35a及び第2オリフィス35bが詰まり状態にない場合にあっては、ポンプ31のモーターの回転数(空気供給装置の負荷の一例)、及び流量制御弁32の開度によって決定される。当該判定では、流量制御弁32の開度に依存する。ポンプ31のモーターの回転数は一定に設定する。
当該判定においては、記憶部44が、図4(a)に示すように、ポンプ31のモーターの回転数が一定の状態において燃料ガスFの流量(燃料電池の負荷の一例)に対応する流量制御弁32の開度の想定範囲である第1想定範囲M2を記憶している。第1想定範囲M2は、図4(a)に示すように、燃料ガスFの流量に対し、流量制御弁32の開度が正の相関を持つ範囲である。
そして、ポンプ31のモーターの回転数が一定の状態において、制御装置40は共通空気供給路L4を通流する空気Aの流量が記憶部44から読み出した目標流量範囲M1となるように流量制御弁32の開度を制御している状態で、流量制御弁32の開度が第1想定範囲M2に含まれるか否かを判定する判定手段として働く。
具体的な例を図4(a)に基づいて説明すると、燃料ガスFの流量に対応する実際の流量制御弁32の開度が直線K1に沿うように変化している場合を考える。この場合、例えば、燃料ガスFの流量がm4の状態では、実際の流量制御弁32の開度O2は、第1想定範囲M2の上限O1を超えているので、流量制御弁32の開度O2は第1想定範囲M2に含まれていないと判定できる。即ち、この場合、流量制御弁32の開度O2は適正な範囲でないと判定でき、第1オリフィス35a及び第2オリフィス35bの少なくとも何れかが詰まり状態にあると判定する。
【0042】
以上説明した構成は以下の判定を行っていることとなる。
燃料電池の負荷に対応して共通空気供給路L4を通流する空気の流量の目標流量に対する流量制御弁32の目標開度範囲を記憶部44に記憶しておき、現在の燃料電池の負荷に対応する空気の目標開度範囲を記憶部44から読み出し、共通空気供給路L4を通流する空気の流量制御弁32の開度が記憶部44から読み出した目標開度範囲であるかどうかによって異常か正常かを判定している。
【0043】
〔ポンプのモーターの回転数に基づく詰まり状態の判定〕
当該判定にあっては、共通空気供給路L4に空気Aを供給するポンプ31のモーターの回転数(空気供給装置の負荷の一例)が、適正か否かを判定することにより、第1オリフィス35a及び第2オリフィス35bが詰まり状態か否かを判定する。
尚、当該判定では、ポンプ31のモーターの回転数をパラメータとする判定であるので、流量制御弁32の開度を一定に設定するか、又は省略する。空気の流量を測定する第1流量計34は設置する。
当該判定においては、記憶部44が、図4(b)に示すように、燃料ガスFの流量(燃料電池の負荷の一例)に対応する総流量と相関するポンプ31のモーターの回転数の想定範囲である第2想定範囲M3を記憶している。
第3想定範囲M3は、図4(b)に示すように、空気Aの流量に相関がある燃料ガスFの流量(燃料電池の負荷の一例)とポンプ31のモーターの回転数の第1想定範囲が正の相関を持つ状態で、記憶されている。
そして、制御装置40は、共通空気供給路L4を通流する空気Aの流量が記憶部44から読み出した目標流量範囲M1となるようにポンプ31のモーターの回転数を制御している状態で、ポンプ31のモーターの回転数が第2想定範囲M3に含まれるか否かを判定する判定手段として働く。
具体的な例を図4(b)に基づいて説明すると、空気Aの流量に相関がある燃料ガスFの流量に対応する実際のポンプ31のモーターの回転数が直線K2に沿うように変化している場合を考える。この場合、例えば、空気Aの流量に相関がある燃料ガスFの流量がm4の状態では、実際のポンプ31のモーターの回転数N2は、第2想定範囲M3の上限N1を超えているので、ポンプ31のモーターの回転数N2が第2想定範囲M3に含まれていないと判定できる。即ち、この場合、ポンプ31のモーターの回転数N2は適正な範囲でないと判定でき、第1オリフィス35a及び第2オリフィス35bの少なくとも何れかが詰まり状態にあると判定する。
【0044】
以上の判定では、燃料電池の負荷に対応して共通空気供給路L4を通流する空気の流量の目標流量に対する空気供給装置31の目標空気供給負荷範囲を記憶部44に記憶しておき、現在の燃料電池の負荷に対応する空気の目標空気供給負荷範囲を記憶部44から読み出し、空気供給装置31の負荷が記憶部44から読み出した目標空気供給負荷範囲であるかどうかによって異常か正常かを判定していることとなる。
【0045】
〔圧力計の圧力に基づく詰まり状態の判定〕
当該判定にあっては、共通空気供給路L4でポンプ31と第1オリフィス35a及び第2オリフィス35bとの間における圧力計33の圧力が、適正か否かを判定することにより、第1オリフィス35a及び第2オリフィス35bが詰まり状態にあるか否かを判定する。当該判定においては、記憶部44が、図5に示すように、空気Aの目標流量値(図3の直線Hに沿う値)に対応する圧力計33にて測定される圧力の範囲である相関範囲M4を記憶している。
相関範囲M4は、図5に示すように、空気Aの目標流量値に対して、圧力計33にて測定される圧力が正の相関を持つ範囲である。
そして、制御装置40は、共通空気供給路L4を通流する空気Aの流量が記憶部44から読み出した目標流量値となるようにポンプ31のモーターの回転数及び又は流量制御弁32の開度を制御した状態で、圧力計にて測定される圧力が相関範囲M4に含まれるか否かを判定する判定手段として働く。
具体的な例を図5に基づいて説明すると、空気Aの目標流量値に対応する実際の圧力計33にて測定された圧力が直線K3に沿うように変化している場合を考える。この場合、例えば、空気Aの目標流量値がm5の状態では、実際の圧力計33にて測定された圧力P2は、相関範囲M4の上限のP1を超えているので、圧力計33にて計測された圧力P2が相関範囲M4に含まれていないと判定できる。即ち、この場合、圧力計33にて測定された圧力P2は適正な範囲にないと判定でき、第1オリフィス35a及び第2オリフィス35bの少なくとも何れかが詰まり状態にあると判定できる。
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態において、過流量防止機構35は、第1空気供給路L1の流路中に第1オリフィス35aを、第2空気供給路L2の流路中に第2オリフィス35bを独立に設けるように構成した例を示した。
しかしながら、当該過流量防止機構35は、共通空気供給路L4と第1空気供給路L1と第2空気供給路L2との接続点Pにおいて、図2示すような状態で、過流量防止機構35(第1オリフィス35a、第2オリフィス35b)を設けても構わない。
即ち、接続点Pにおいて、プラスチック製(金属製でもよい)のケーシングからなるチャンバー50を設け、当該チャンバー50の壁部には、空気Aが流入する空気流入口51と、第1オリフィス35aと、第2オリフィス35bとを設ける。空気Aが流入する空気流入口51、第1オリフィス35a、及び第2オリフィス35bは、空気流入口51から流入する空気Aの流入方向(図2で矢印Xに沿う方向)と第1オリフィス35aから空気Aが流出する流出方向(図2で矢印Yに沿う方向)と第2オリフィス35bから空気Aが流出する流出方向〔図2で矢印Zに沿う方向〕とが互いに直交する状態で、設けられている。
空気流入口51には共通空気供給路L4が接続され、第1オリフィス35aには第1空気供給路L1が接続され、第2オリフィス35bには第2空気供給路L2が接続されている。即ち、当該別実施形態においても、過流量防止機構35は、第1空気供給路L1及び第2空気供給路L2に対して独立に空気Aを供給可能に設けられている。
これにより、空気Aは、空気流入口51からチャンバー50の内部に流入して保持される状態で、その動圧が適切に抑制される。そして、空気Aは、第1オリフィス35a及び第2オリフィス35bから流出して、流入方向と直交する方向へ流出する状態で、さらにその動圧が抑制される。
【0046】
(2)上記実施形態では、過流量防止機構35の詰まり状態の判定において、燃料電池20の負荷の一例として、燃料改質装置15に供給される燃料ガスFの流量を用いて説明した。当該燃料電池20の負荷の別の例としては、燃料電池20の発電電力量等がある。
また、上記実施形態では、空気供給手段の負荷の一例として、ポンプ31のモーターの回転数を用いて説明した。当該空気供給手段の負荷の別の例としては、ポンプ31のモーターを通流する電流値、周波数等がある。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の燃料電池システムは、改質ガスに含まれる一酸化炭素を適切に選択酸化して、発電効率の低下を抑制できる燃料電池システムとして、有効に利用可能である。
【符号の説明】
【0048】
14 :CO除去器
20 :燃料電池
20a :燃料極
20b :酸素極
31 :ポンプ
32 :流量制御弁
33 :圧力計
34 :第1流量計
35 :過流量防止機構
35a :第1オリフィス
35b :第2オリフィス
36 :第2流量計
40 :制御装置
41 :制御手段
44 :記憶部
50 :チャンバー
A :空気
F :燃料ガス
L1 :第1空気供給路
L2 :第2空気供給路
L4 :共通空気供給路
M1 :目標流量範囲
M2 :第1想定範囲
M3 :第2想定範囲
M4 :相関範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料極と酸素極とを備えた燃料電池と、
燃料ガスを改質した改質ガスから一酸化炭素を選択酸化して除去するCO除去器と、前記CO除去器へ酸素を含有する空気を供給する第1空気供給路と、前記CO除去器から前記燃料電池の前記燃料極へ導かれる改質ガスに前記空気を供給する第2空気供給路とを備えた燃料電池システムにおいて、
前記第1空気供給路と前記第2空気供給路との両方に、空気供給装置が働いて共通空気供給路から前記空気を供給する空気供給手段が設けられ、
流路内を流れる前記空気を所定流量以下に制限する過流量防止機構を、前記第1空気供給路及び前記第2空気供給路に対して独立に設けた燃料電池システム。
【請求項2】
前記空気供給手段から供給される前記空気を保持するチャンバーを備え、
前記チャンバーには前記過流量防止機構が設けられており、
前記第1空気供給手段が前記過流量防止機構を介する状態で前記チャンバーに接続されるとともに、前記第2空気供給手段が前記過流量防止機構を介する状態で前記チャンバーに接続される請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記空気供給手段にて前記第1空気供給路と前記第2空気供給路との双方に導かれる前記空気の総流量を測定する空気流量測定手段及び前記空気の圧力を測定する圧力測定手段の一方又はそれらの両方を備えている請求項1又は2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記共通空気供給路にて前記空気の流量を制御する流量制御弁を備え、
前記燃料電池の負荷に対応して前記共通空気供給路を通流する前記空気の流量の目標流量に対する前記流量制御弁の目標開度範囲を記憶する記憶部を備え、
現在の前記燃料電池の負荷に対応する前記空気の前記目標開度範囲を前記記憶部から読み出し、前記流量制御弁の開度が前記記憶部から読み出した前記目標開度範囲であるかどうかによって異常か正常かを判定する判定手段を備えている請求項1乃至3の何れか一項に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記記憶部が、前記燃料電池の負荷に対応する前記流量制御弁の開度の想定範囲である第1想定範囲を記憶するとともに、前記燃料電池の負荷に対応して前記共通空気供給路を通流する前記空気の流量の目標流量範囲を記憶する記憶部を備え、
前記判定手段は、前記共通空気供給路を通流する前記空気の流量が前記記憶部から読み出した前記目標流量範囲となるように前記流量制御弁の開度を制御したときに、前記流量制御弁の開度が前記第1想定範囲に含まれるか否かを判定する請求項4に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記燃料電池の負荷に対応して前記共通空気供給路を通流する前記空気の流量の目標流量に対する前記空気供給装置の目標空気供給負荷範囲を記憶する記憶部を備え、
現在の前記燃料電池の負荷に対応する前記空気の前記目標空気供給負荷範囲を前記記憶部から読み出し、前記空気供給装置の負荷が前記記憶部から読み出した前記目標空気供給負荷範囲であるかどうかによって異常か正常かを判定する判定手段を備えている請求項1乃至3の何れか一項に記載の燃料電池システム。
【請求項7】
前記記憶部が、前記燃料電池の負荷に対応する前記空気供給手段の負荷の想定範囲である第2想定範囲を記憶するとともに、前記燃料電池の負荷に対応して前記共通空気供給路を通流する前記空気の流量の目標流量範囲を記憶する記憶部を備え、
前記判定手段は、前記共通空気供給路を通流する前記空気の流量が前記記憶部から読み出した前記目標流量範囲となるように前記空気供給手段を制御したときに、前記空気供給手段の負荷が前記第2想定範囲に含まれるか否かを判定する請求項6に記載の燃料電池システム。
【請求項8】
前記空気供給手段と前記過流量防止機構との間で前記空気を通流する共通空気供給路にて前記空気の圧力を測定する空気圧測定手段を備え、
前記燃料電池の負荷に対応して前記共通空気供給路を通流する前記空気の総流量の目標流量値を記憶するとともに、前記空気の前記目標流量値に対応する前記空気圧測定手段にて測定される圧力の範囲である相関範囲を記憶する記憶部と、
現状の燃料電池の負荷に対応する前記空気の前記目標流量値を前記記憶部から読み出し、前記共通空気供給路を通流する前記空気の流量が前記記憶部から読み出した前記目標流量値となるように前記空気供給手段を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段が前記共通空気供給路を通流する前記空気の流量が前記記憶部から読み出した前記目標流量値となるように前記空気供給手段を制御したときに、前記空気圧測定手段にて測定される圧力が前記相関範囲に含まれるか否かを判定する判定手段を備えている請求項1乃至3の何れか一項に記載の燃料電池システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−216421(P2012−216421A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−80980(P2011−80980)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】