説明

燃焼装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、バーナに燃焼用空気を通風し、且つ、燃焼ガスを排気路を通じて室外に排出する通風手段と、前記バーナの不完全燃焼を検出する不完全燃焼検出手段と、前記バーナに対する燃料供給量を変更調節自在な燃料供給量調節手段と、その燃料供給量調節手段を制御して前記バーナへの燃料供給量を調節する制御手段とが備えられ、前記制御手段は、前記不完全燃焼検出手段が不完全燃焼を検出しない正常燃焼状態において、前記燃料供給量を正常燃焼用の目標量に制御するとともに、前記不完全燃焼検出手段が不完全燃焼を検出すると前記バーナへの燃料供給を停止させるように構成してある燃焼装置に関する。
【0002】
【従来の技術】上記燃焼装置は、例えば、通風手段による排気路が塵埃等により詰まり、バーナに対する通風量が減少したような場合、燃料供給量に対して燃焼用空気が不足してバーナの燃焼が不完全燃焼状態となるが、このような不完全燃焼が検出されるとバーナへの燃料供給を停止させて、不完全燃焼状態が長く続くのを未然に防止するようにしたものであるが、不完全燃焼が検出された場合に、すぐにバーナの燃焼を停止させると燃焼装置が使用不可能になるので、このような欠点を解消するものとして、例えば特開昭62−252821号公報に開示されるように、前記不完全燃焼が検出されると、通風手段としてのファンによる通風量を変更制御させて、装置の継続使用を可能にするようにしたものがあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来構成によるときは、通風量の変更制御によって不完全燃焼状態を回避する構成であるから、次のような不具合があった。つまり、正常燃焼状態における通風手段による通風量が、例えば、通風量変更調節範囲の最大値に近い通風量であるとき、不完全燃焼が検出された場合には、通風手段の増大変更調節が不可能となり、結果的にバーナの燃焼を停止させねばならない欠点がある。しかも、通風手段による通風量を増大変更させる構成であるから、大きな風量が通風されることにより風切り音等の騒音が大きくなる弊害がある。又、燃焼装置の一例として給湯器である場合を考えると、不完全燃焼状態が一旦検出された後においても、バーナの燃焼状態は変化せず給湯温に変化が生じないから、給湯器使用者はバーナの燃焼が停止して始めて不完全燃焼状態となっていることが判別できることになり、排気路中の塵埃の除去等のメンテンス処理が遅れてしまう等の欠点があった。本発明の第1の目的は、不完全燃焼が検出された場合に騒音の増大を抑制して装置の継続使用を可能にする燃焼装置を提供する点にある。本発明の第2の目的は、不完全燃焼が検出された場合におけるメンテンス処理を迅速に行うことが可能となる燃焼装置を提供する点にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】第1発明の特徴構成は、バーナに燃焼用空気を通風し、且つ、燃焼ガスを排気路を通じて室外に排出する通風手段と、前記バーナの不完全燃焼を検出する不完全燃焼検出手段と、前記バーナに対する燃料供給量を変更調節自在な燃料供給量調節手段と、その燃料供給量調節手段を制御して前記バーナへの燃料供給量を調節する制御手段とが備えられ、前記制御手段は、前記不完全燃焼検出手段が不完全燃焼を検出しない正常燃焼状態において、前記燃料供給量を正常燃焼用の目標量に制御するとともに、前記不完全燃焼検出手段が不完全燃焼を検出すると前記バーナへの燃料供給を停止させるように構成してある燃焼装置において、前記制御手段は、前記不完全燃焼検出手段が不完全燃焼を検出するに伴って前記燃料供給量を前記正常燃焼用の目標量から減少変更させるよう制御し、且つ、このような燃料供給量減少変更制御の後、設定時間経過しても前記不完全燃焼検出手段が不完全燃焼を検出すると、前記バーナへの燃料供給を停止させるよう構成されている点にある。
【0005】第2発明の特徴構成は、前記制御手段による前記燃料供給量減少変更制御は、前記燃料供給量を所定量減少変更したのち所定時間待機する所定量減少制御が複数回に亘って行われるよう構成されている点にある。
【0006】第3発明の特徴構成は、前記制御手段は、前記燃料供給量の調節許容範囲における供給量大側の範囲においてのみ、前記燃料供給量減少変更制御を行うよう構成されている点にある。
【0007】第4発明の特徴構成は、前記制御手段は、前記通風手段を制御して前記燃焼用空気を調節するように構成され、そして、前記不完全燃焼検出手段が不完全燃焼を検出しない正常燃焼状態において、前記通風手段による前記バーナに対する燃焼用空気通風量を正常燃焼用の目標量に制御するよう構成され、且つ、前記燃料供給量が、前記燃料減少変更制御が行われない小側の範囲にある状態において、前記不完全燃焼検出手段が不完全燃焼を検出すると、前記通風手段の通風量を前記定常燃焼用の目標量から増大変更するよう構成されている点にある。
【0008】第5発明の特徴構成は、前記バーナが、給湯用の水に対する熱交換器を加熱するものである点にある。
【0009】
【作用】第1発明の特徴構成によれば、不完全燃焼検出手段が不完全燃焼を検出しない正常燃焼状態においては、バーナに対する燃料供給量が正常燃焼用の目標量に制御されることで、常に正常な燃焼状態が維持される。そして、不完全燃焼検出手段により不完全燃焼が検出されると、バーナに対する燃料供給量が上記正常燃焼用の目標量から減少変更される。従って、不完全燃焼が生じるのは燃料供給量に対して燃焼用空気の通風量が少ない状態であるから、燃料供給量を減少変更させることにより、不完全燃焼状態を解消することが可能となる。そして、このような燃料供給量の減少変更制御にもかかわらず、燃料供給量減少に伴うバーナの燃焼状態が安定化するための待機用設定時間が経過した後においてもなお不完全燃焼が検出される場合は、燃料供給を停止してバーナの燃焼を停止させることで、不完全燃焼状態が長く続くことを阻止できる。
【0010】第2発明の特徴構成によれば、不完全燃焼検出手段が不完全燃焼を検出すると、バーナに対する燃料供給量を所定量だけ減少変更したのち、設定時間待機して不完全燃焼検出手段の検出状態を判別する。そして、このような所定量減少制御が、不完全燃焼が検出されない状態になるまで複数回繰り返して実行される。そして、このような所定量減少制御が複数回に亘って行われた後においてもなお、不完全燃焼が検出されるときは、バーナに対する燃料供給が停止されるのである。従って、バーナの燃焼状態が大きく変化しない程度で所定量づつ燃料供給量を減少させることで、不完全燃焼の検出に伴って燃料供給量を大きく減少変更させることによって、バーナの燃焼状態が急激に変化して不安定になり、その変化の途中で炎が通風によって立ち消えになったりするのを未然に防止できる。
【0011】第3発明の特徴構成によれば、不完全燃焼検出手段の検出に伴って実行される前記燃料供給量減少変更制御が、燃料供給量の調節許容範囲における供給量大側の範囲においてのみ行われ、バーナに対する燃料供給量が調節許容範囲における供給量小側にあるときは、供給量大側にある場合に較べて、燃料供給量を減少させるとバーナの燃焼状態が不安定になったり炎が立ち消えになったりするおそれが大であるから、上記したような減少変更制御が実行されないのである。その結果、バーナの燃焼状態が不安定になったり、炎が立ち消えになったりするのを未然に防止できる。
【0012】第4発明の特徴構成によれば、燃料供給量が調節許容範囲における供給量大側にあるときは、通風手段によるバーナに対する燃焼用空気通風量が正常燃焼用の目標量に制御され、バーナの燃焼状態が安定状態に維持される。そして、不完全燃焼検出手段が不完全燃焼を検出すると、前記燃料供給量減少変更制御が実行されるが、バーナに対する燃料供給量が調節許容範囲における供給量小側にあるときは、前記燃料供給量の減少変更制御は行われず、通風手段の通風量を前記定常燃焼用の目標量から増大変更させて通風量不足を補うことにより不完全燃焼が解消される。従って、バーナの燃焼状態が不安定になり易い燃料供給量小側の範囲においては、燃料供給量を減少させずに通風手段による通風量を前記目標量から増大変更させることで、バーナの燃焼状態が不安定になったり、炎が立ち消えになったりするのを未然に防止しながら、不完全燃焼を解消することができる。
【0013】第5発明の特徴構成によれば、不完全燃焼検出手段が不完全燃焼を検出した場合には、バーナへの燃料供給量が減少変更されるから、熱交換器に対してバーナから与えられる熱量が低下して、給湯温が所望の温度から低下することになり、給湯器の使用者が、不完全燃焼が検出されたことを即座に判断でき、その後のメンテンス処理を迅速に行えることになる。
【0014】
【発明の効果】第1発明の特徴構成によれば、不完全燃焼が長く続くのを防止して安全性を確保できるものでありながら、不完全燃焼が検出された場合に、通風手段の通風量を増大させる場合のように騒音を増大させることなく、又、通風量が調節範囲の最大値に近い状態で燃焼作動が行われているような場合であっても、不完全燃焼状態を有効に回避して、装置の継続使用が可能となる燃焼装置を提供できるに至った。
【0015】第2発明の特徴構成によれば、前記第1発明の特徴構成による効果に加えて、燃料供給量の減少作動において、バーナの燃焼状態を安定的な状態に維持させることで、炎の立ち消えによる燃料の流出を未然に防止できる。
【0016】第3発明の特徴構成によれば、前記第1又は第2発明の特徴構成による効果に加えて、バーナの燃焼が不安定的になり易い燃料供給量小側においては上記燃料供給量減少制御が行われず、バーナの燃焼状態を安定的な状態に維持させることで、炎の立ち消えによる燃料の流出を防止できる。
【0017】第4発明の特徴構成によれば、上記第3発明の特徴構成による効果に加えて、燃料供給量が少ない状態でバーナの燃焼が行われているとき、不完全燃焼が検出された場合であっても、通風量不足を補って不完全燃焼状態を有効に回避できる。
【0018】第5発明の特徴構成によれば、不完全燃焼検出手段により不完全燃焼が検出された場合、湯温が低下することによって、不完全燃焼が検出されたことが即座に判断でき、その後のメンテナンス処理を迅速に実行することが可能となり、不完全燃焼状態であることが判断できないまま長い時間経過する等の弊害を防止できる。
【0019】
【実施例】以下、実施例を図面に基いて説明する。本発明に係る燃焼装置(給湯装置)は、図1に示すように、給湯器Aと、給湯器Aの動作を制御する制御手段としての制御部Hと、操作部Rとから構成されている。給湯器Aは、燃焼室1と、燃焼室1の内部に備えられているバーナ2と、水加熱用の熱交換器3と、燃焼室1の上部に接続され、バーナ2での燃焼ガスを室外に排出する排気路5と、バーナ2へ燃焼用空気を供給するとともに、バーナ2での燃焼ガスを前記排気路5を介して室外に通風させる通風手段としてのファン4と、熱交換器3に加熱用の水を供給する給水路6と、熱交換器3において加熱された湯を給湯栓(図示せず)に供給する給湯路7と、バーナ2に対して燃料(ガス)を供給する燃料供給路8とから構成されている。尚、図中、30は点火用のイグナイタであり、図中31はバーナ2が着火したか否かを検出するフレームロッドである。
【0020】給水路6には、熱交換器3への給水量Qi を検出する給水量センサ9が備えられ、給湯路7には、給湯栓に対する給湯温度Tx を検出する給湯温センサ10が備えられている。燃料供給路8は、一般家庭用のガス供給管に接続され、この燃料供給路8には、バーナ2への燃料供給量Ipを調節する燃料供給量調節手段としての電磁比例弁11と、燃料の供給を断続する断続弁12とが備えられている。
【0021】操作部Rは、有線又は無線によって制御部Hと接続され、給湯装置の運転の開始及び停止を指示する運転スイッチ13や、設定目標給湯温度Ts を設定する温度設定スイッチ14や、種々の情報を表示するLEDランプ15,16などが備えられている。尚、LEDランプ15は、給湯装置が運転されているか否かを表示し、LEDランプ16は、不完全燃焼状態が発生したか否かを表示するように構成されている。
【0022】排気路5には、バーナ2の燃焼ガス中に含まれる未燃成分の濃度値COを検出する不完全燃焼検出手段の一例であるCOセンサSが備えられている。図2は、このCOセンサSの構成を示したものである。COセンサSは、ステンレス製の保護枠21の内側の台座22にセンサ素子23と温度補償用リファレンス素子24を装備している。このセンサ素子23、温度補償用リファレンス素子24は、それぞれ触媒を担持した白金線で構成されており、電流が流れることで、約200℃に加熱され、その表面に接触する燃焼ガス中の未燃成分が触媒作用によって燃焼する。この時、センサ素子23に担持された触媒には、COに対する選択性があるため、それぞれの素子温度に差が生じる。白金線は、温度により抵抗値が変化するので、燃焼ガス中のCO濃度が大となると、センサ素子23と温度補償用リファレンス素子24の抵抗値の差が大となる。従って、燃焼ガス中のCO濃度を抵抗値の差(センサ出力V)として検出できるように構成されている。尚、図中25は、制御部Hと接続しているリード線とのコネクター部である。図3に、燃焼ガス中CO濃度に対するCOセンサSの出力Vを示す。
【0023】制御部Hには、給湯器Aの燃焼動作を制御する燃焼制御手段101と、COセンサSの検出濃度値COに基づいて不完全燃焼状態を判別する不完全燃焼判別手段102と、バーナ2の燃焼開始後設定時間の間、不完全燃焼判別手段102の作動を牽制する時限牽制手段103と、不完全燃焼判別手段102により不完全燃焼状態が判別された後に操作部Rによる操作指令を不能にさせる操作ロック手段104とが設けられている。
【0024】燃焼制御手段101は、給湯栓によって調節され給水量センサ9により検出される給水量Qi が設定水量になると、次に述べる給湯運転を実行し、給水量Qiが設定水量未満になると、給湯運転を停止する。給湯運転は、基本的には、給湯温センサ10により検出される給湯温度Tx が設定目標給湯温度Ts になるように電磁比例弁11を調整してバーナ2の燃料供給量Ipを、バーナ2が正常燃焼を行うための目標量に調節すると共に、ファン4の回転数が燃料供給量Ipに対して、例えば、図8に特性線L1で示されるような予め設定されている特性に基づいて、定まる目標回転数Fとなるように、ファン4の回転数を制御する。尚、以下の説明において、この給湯運転での基本的な制御を比例制御と呼称する。
【0025】不完全燃焼判別手段102は、COセンサSの検出濃度値COが設定濃度値COCHK 以上の場合において、単位時間ごとに、COセンサSの検出濃度値COに応じて、その検出濃度値COが大きいほど大きな重みづけをした重みづけ係数Nを検出濃度値COに乗算した重みづけ値Fを求めて(F=N×CO)、その重みづけ値Fを積算し、その積算値Mが予め設定された設定値MCHK 以上になるに伴って不完全燃焼と判別するように構成されている。重みづけ係数Nは、検出濃度値COが大きいほど大きな値となるように、検出濃度値COに対応して予め設定されている。
【0026】尚、図4には、一般にバーナ2の燃焼を開始させたときにおける、COセンサSの出力Vの変化が示されている。図中において、バーナ2の燃焼開始時点は、時刻t1で示されている。センサ出力Vは、最初、燃焼が停止されている状態(時刻t1以前)においては、センサS固有の出力値V1を示している。燃焼開始直後(時刻t1直後)は、バーナ2の燃焼に過渡的な不完全燃焼状態が生じ、排気ガス中の未燃成分の濃度(CO)が一時的に非常に高くなるので、出力値Vは、一旦、非常に高くなる。そして、バーナ2の燃焼が安定してくると、未燃成分の濃度(CO)が減少するので、出力値Vは低くなって、定常の燃焼状態を示す出力値V2に収束する。
【0027】従って、時限牽制手段103は、不完全燃焼判別手段102が、燃焼開始直後の過渡的な不完全燃焼状態を異常と判別しないように、バーナ2の燃焼開始後設定時間T(例えば60秒)経過したのちに、不完全燃焼判別手段102を作動させるように構成されている。つまり、不完全燃焼判別手段102は、バーナ2の燃焼開始後設定時間Tの間、作動を牽制されることになる。
【0028】燃焼制御手段101は、COセンサSの検出結果より不完全燃焼が検出されるに伴って前記燃料供給量を前記正常燃焼用の目標量から減少変更させるよう制御し、且つ、このような燃料供給量減少変更制御の後、設定時間経過しても不完全燃焼が検出されると、前記バーナ2への燃料供給を停止させるよう構成されている。
【0029】以下、本実施例の給湯装置における制御動作を、図5に示すフローチャートに基づいて説明する。先ず、給湯栓の開栓が給水量センサ9によって検知されると、センサ電源25がONされ、時限牽制手段103による不完全燃焼判別手段102の時限牽制のための時限タイマがリセットされ計時が開始される〔ステップ1〜3〕。そして、ファン4の送風(プリパージ)が開始され、バーナ2の燃焼が開始される〔ステップ4、5〕。つまり、イグナイタ30によるスパークを開始し、電磁比例弁11及び断続弁12を開いて燃焼が開始される。バーナ2に対する火移りが完了したか否かはフレームロッド31により検知するようにしてある。
【0030】次に、給湯温センサ10により検出される給湯温度Tx と操作部において設定される設定目標給湯温度Ts とを読み込み〔ステップ6〕、給湯温度Tx が設定目標給湯温度Ts になるように燃料供給量Ipの目標量が設定されるとともに、ファン4の回転数が燃料供給量Ipに対して、例えば、図7に特性線L1で示されるような予め設定されている特性に基づいて、ファンの目標回転数Fが設定される〔ステップ7〕。そして、前記目標燃料供給量になるように電磁比例弁11を作動させ、目標回転数Fになるようにファン4を作動させる〔ステップ8〕。時限牽制手段103による時限タイマがタイムアップして設定時間(約60秒)が経過すると〔ステップ9〕、不完全燃焼判別手段102の判別結果を読み込み、不完全燃焼が検出されなければ、給湯栓が閉じられたことが給水量センサ9の検出結果より判断されるまで、上記比例制御を実行する〔ステップ6〜9〕。従って、時限牽制手段103が作動中は、不完全燃焼判別手段102が作動しないようにしている。
【0031】不完全燃焼が検出されると、バーナ2に対する燃料供給量を前記目標量より所定量ΔIpだけ減少変更させ、電磁比例弁11をその変更された値になるように作動させ〔ステップ11〜13〕、バーナ2の燃焼が安定化するための設定時間〔例えば、60秒〕が経過した後においても不完全燃焼が検出されると〔ステップ15〕、上述したような燃料供給量の所定量減少制御を複数回(N1回)繰り返して〔ステップ14、17〕、その後もなお不完全燃焼が検出されるときは〔ステップ18〕、異常表示(LEDランプ16を点滅)を行うとともに、操作ロック手段104を作動させ、電磁比例弁11と断続弁12とを閉じてバーナ2の燃焼を停止して、ポストパージを行い、センサ電源25をOFFする〔ステップ19〜23〕。尚、ステップ6〜9における時限牽制中の燃焼制御作動において、給湯栓の閉栓が給水量センサ9により検出されると、燃焼停止の制御動作に移行して、電磁比例弁11と断続弁12とを閉じてバーナ2の燃焼を停止して、ポストパージを行い、センサ電源25をOFFする〔ステップ10、ステップ21〜23〕。
【0032】尚、前記ステップ15において設定時間経過する間は、ステップ12において所定量ΔIpだけ減少変更された後の燃料供給量目標量に基づいて、上記比例制御が実行されるとともに、前記設定時間経過する間に給湯栓が閉じられると、燃焼停止の制御動作に移行する〔ステップ16、ステップ21〜23〕。
【0033】次に、不完全燃焼判別手段102による不完全燃焼の判別制御について説明する。図6に示すように、先ず、積算値Mの初期化(M=0)が行われ、更に、カウンタAをリセットしてカウンタAによるカウントを開始(たとえば3分間)する〔ステップ24、25〕。そして、COセンサSの検出濃度値COの読み込みが行われ、そのときの検出濃度値COが設定濃度値COCHK 以上であるか否かが判別される〔ステップ26、27〕。
【0034】カウンタAのカウントアップが行われる間〔ステップ28〕、つまりカウンタAのカウント開始後3分間、COセンサSの検出濃度値COの読み込みが行われるが、その間の検出濃度値COが設定濃度値COCHK 未満であれば、ステップ26へ戻る。カウンタAがカウントアップすると積算値Mの初期化(M=0)を行って、ステップ25へ戻る〔ステップ29〕。
【0035】検出濃度値COが設定濃度値COCHK 以上になると、予め設定された重みづけ係数Nを検出濃度値COに乗算して重みづけ値Fを求め、その重みづけ値Fを積算して積算値Mを求め、積算値Mが設定値MCHK を越えると、不完全燃焼状態であると判断して、燃焼制御手段101に不完全燃焼判別結果を出力する〔ステップ30〜33〕。
【0036】〔別実施例〕
(1)上記実施例では、前記ステップ15における設定時間経過する間において、燃料供給量Ipの目標量から所定量ΔIpだけ減少変更された後の燃料供給量目標量に基づいて、上記比例制御が実行されるように構成したが、前記設定時間経過する間において設定目標給湯温度Ts が変更された場合には、それに伴って前記減少変更目標量を変更するようにしてもよい。
(2)上記実施例では、COセンサの検出値に重みつけをした値を積算して、その積算値が設定値を越えると、不完全燃焼と判別したが、COセンサによるCO濃度が設定値を越えると、上記燃料供給量減少変更制御を実行するよう構成してもよい。
(3)不完全燃焼検出手段としては、COセンサに代えて、酸素センサにより排ガス中の酸素濃度を検出して、その検出情報から不完全燃焼状態を検出してもよく、排気路中の通風量を検出する風量センサや風速センサを用いて、目標通風量に対する実風量や実風速を検出して、その検出情報から不完全燃焼状態を検出してもよい。
(4)上記実施例においては、バーナ2への燃料供給量が変更調節範囲のどの領域であっても、燃料供給量減少変更を行うように構成したが、燃料供給量の調節許容範囲における供給量大側の範囲においてのみ、前記燃料供給量減少変更制御を行うよう構成してもよい。つまり、上記実施例における図5に示される制御フローチャートに図8に示すような制御を追加して、図5の制御フローチャートにおけるステップ12において不完全燃焼であると判断されると、燃料供給量の設定目標量が、図7に示す中間設定値IpN 以下であれば、図5の制御フローチャートにおけるステップ19〜23に示される異常燃焼停止制御を行うよう構成してもよい。
(5)又、バーナ2への燃料供給量が調節許容範囲における供給量大側の範囲においてのみ前記燃料供給量減少変更制御を行うとともに、前記燃料減少変更制御が行われない小側の範囲にある状態において、不完全燃焼が検出されると、前記ファン4の通風量を前記定常燃焼用の目標量から増大変更するよう構成してもよい。つまり、上記実施例における図5に示される制御フローチャートに図9に示すような制御を追加して、ステップ12において不完全燃焼であると判断されると、燃料供給量の設定目標量が、図7に示す中間設定値IpN 以下であれば、ファン4の目標回転数を、図7に特性線L2で示すように、現在設定値から所定量ΔFだけ増大変更させて通風量不足を補うよう構成し、不完全燃焼判別手段102による判別処理時間とバーナ2の燃焼が安定化するための設定時間が経過した後においてもなお不完全燃焼が検出されたときは、図5の制御フローチャートにおけるステップ19〜23に示される異常燃焼停止制御を行うよう構成してもよい。
(6)上記実施例では、燃料供給量の減少制御を所定量づつ複数回に亘って行ったが、その所定量よりも大きな減少量で1回だけ減少変更させる構成であってもよい。
(7)本発明に係る燃焼装置は、給湯用の水に対する熱交換器を備えた給湯器に適用するものに限らず、コンロやヒータ等各種の燃焼装置に適用できる。
【0037】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にするために符号を記すが、該入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】燃焼装置の全体構成を示す構成図
【図2】COセンサの全体構成を示す概略図
【図3】COセンサの出力値のCO濃度に対する変化を示すグラフ
【図4】COセンサの出力値の時間変化を示すグラフ
【図5】制御動作のフローチャート
【図6】制御動作のフローチャート
【図7】燃料供給量と目標回転数の変化特性を示すグラフ
【図8】別実施例の制御動作のフローチャートの一部を示す図
【図9】別実施例の制御動作のフローチャートの一部を示す図
【符号の説明】
2 バーナ
3 熱交換器
4 通風手段
5 排気路
11 燃料供給量調節手段
H 制御手段
S 不完全燃焼検出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】 バーナ(2)に燃焼用空気を通風し、且つ、燃焼ガスを排気路(5)を通じて室外に排出する通風手段(4)と、前記バーナ(2)の不完全燃焼を検出する不完全燃焼検出手段(S)と、前記バーナ(2)に対する燃料供給量を変更調節自在な燃料供給量調節手段(11)と、その燃料供給量調節手段(11)を制御して前記バーナ(2)への燃料供給量を調節する制御手段(H)とが備えられ、前記制御手段(H)は、前記不完全燃焼検出手段(S)が不完全燃焼を検出しない正常燃焼状態において、前記燃料供給量を正常燃焼用の目標量に制御するとともに、前記不完全燃焼検出手段(S)が不完全燃焼を検出すると前記バーナ(2)への燃料供給を停止させるように構成してある燃焼装置であって、前記制御手段(H)は、前記不完全燃焼検出手段(S)が不完全燃焼を検出するに伴って前記燃料供給量を前記正常燃焼用の目標量から減少変更させるよう制御し、且つ、このような燃料供給量減少変更制御の後、設定時間経過しても前記不完全燃焼検出手段(S)が不完全燃焼を検出すると、前記バーナ(2)への燃料供給を停止させるよう構成されている燃焼装置。
【請求項2】 前記制御手段(H)による前記燃料供給量減少変更制御は、前記燃料供給量を所定量減少変更したのち所定時間待機する所定量減少制御が複数回に亘って行われるよう構成されている請求項1記載の燃焼装置。
【請求項3】 前記制御手段(H)は、前記燃料供給量の調節許容範囲における供給量大側の範囲においてのみ、前記燃料供給量減少変更制御を行うよう構成されている請求項1又は2記載の燃焼装置。
【請求項4】 前記制御手段(H)は、前記通風手段(4)を制御して前記燃焼用空気を調節するように構成され、そして、前記不完全燃焼検出手段(S)が不完全燃焼を検出しない正常燃焼状態において、前記通風手段(4)による前記バーナ(2)に対する燃焼用空気通風量を正常燃焼用の目標量に制御するよう構成され、且つ、前記燃料供給量が、前記燃料減少変更制御が行われない小側の範囲にある状態において、前記不完全燃焼検出手段(S)が不完全燃焼を検出すると、前記通風手段(4)の通風量を前記定常燃焼用の目標量から増大変更するよう構成されている請求項3に記載の燃焼装置。
【請求項5】 前記バーナ(2)が、給湯用の水に対する熱交換器(3)を加熱するものである請求項1〜4のいずれかに記載の燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図6】
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【図5】
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【図8】
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【図9】
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【特許番号】第2851235号
【登録日】平成10年(1998)11月13日
【発行日】平成11年(1999)1月27日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−19045
【出願日】平成6年(1994)2月16日
【公開番号】特開平7−225021
【公開日】平成7年(1995)8月22日
【審査請求日】平成8年(1996)8月21日
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(000135416)株式会社ハーマン (3)