説明

物体色判定の照明強度補正方法

【構成】 照明強度を調整しつつ、カラーテレビジョンカメラにて撮像した物体色の色要素の強度値のデータ列を採取し、メモリ素子21、22、23、24に格納し、このデータ列を用いて、輝度値Iから逆に調整量Pを導出し、導出された調整量Pから逆に他の色要素の推定強度値r、g、bを導出する。
【効果】 対象物の撮像時の照明強度の変化に対して、カラーテレビジョンカメラを構成する光電変換素子およびビデオ信号処理回路の特性を含めた測定系総体の非線形性の影響を無視しえる補正ができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カラーテレビジョンカメラの色要素の強度値、例えば、受像三原色の色要素の強度値を処理し、物体色を抽出し同定する装置の、輝度の測定特性の補正に関するもので、被写体となる物体への照明強度の変動を補正する事により、容易に同一物体の色として抽出し認識できる物体色判定の照明強度補正方法に関する。
【0002】
【従来の技術】色の同定において、照明強度の影響を補正するために照明強度の指標となる値を測定し算出したり、照明強度の影響を補正した色度値を測定し算出したりする従来の方法としては、例えば、以下に示されているいくつかの方法がある。
【0003】カラーテレビジョンカメラからの受像三原色の色要素である赤、緑、青の強度値R、G、Bから撮像対象物の物体色の同定をおこなうには、赤、緑、青の色要素の強度値R、G、Bが各々が同時に一致するかにより決定できる。しかし、この強度値の絶対値の比較による方法では、対象物への照明強度の変動に対しても物体の色そのものの変動として判定されてしまう。照明強度の変動によるこの影響を除くために、なんらかの強度変換を行い、変換された量により、ある物体色が同一であるか異なるかを判定する必要がある。
【0004】この変換演算としては、能率的に行なうために線形演算が利用される。カラーテレビジョン技術上の色変換としてカラーテレビジョンカメラからの受像三原色の色要素の強度値R、G、Bに、ある係数を剰じて積算する線形変換の方法がある。この様な、線形演算は、例えば、デジタルデータの積和算のように能率よく行なう手段が知られており実施されている。例えば、下記の様な変換が知られている。
【0005】
【数1】


【0006】この場合、Yは輝度因子、UとVは色差因子と呼ばれている。これらの因子は、画像信号伝送時の要素としての便宜を目的としており、逆変換も線形であるため、元の強度値R、G、Bの再生が容易である。また、変換で用いる比例係数の設定により、視感度の特性を考慮して、伝送精度を設定することにより効率的な信号伝送が可能である。しかしながら、輝度因子Yを撮像対象物への照明強度の指標としたり、色差因子U、Vを色要素の強度値の指標として同定に利用しても、実用上有効な精度とはならない。
【0007】赤、緑、青の受像三原色の色要素の強度値R、G、Bをスペクトル三刺激値X、Y、Zに変換する例は以下の様になる。
【0008】
【数2】


【0009】この三刺激値X、Y、Zは色要素の強度としての指標にはなるが、輝度因子Y、色差因子U、Vと同様に、撮像対象物への照明強度と直線的な関係にはならない。
【0010】これらの強度変換が照明強度と直線的な関係にならない理由は、測定系になんらかの非線形性があるからと考えられており、良く知られているものとして、カラーテレビジョンカメラの光電変換素子の受光強度と出力強度との間の非直線性がある。カラーテレビジョンカメラの光電変換素子の受光強度と出力強度との間の非直線性を補正する方法として、べき関数で表わした感度補正方法(ガンマ補正)が知られており、入力感度Iinに対して出力値Ioutを次のように補正する。ここでのγは例えば、2.2である。
【0011】
【数3】


【0012】しかしながら、ガンマ補正を行なっても、照明強度と色要素の強度値とは直線的な関係にならず、例えば、照明強度が大きくなっても、色要素の強度値にはビデオ信号処理回路としての上限があるという飽和特性等を含めて、測定系の中にさらに非線形な要素が残っているものと考えられ、照明強度の変動に対する影響を除くための前述の様な強度変換を行っても、変換された量を用いて、ある物体色が他の物体色と同一であるか異なるかを判定する充分な効果はえられなかった。
【0013】受像三原色の強度値R、G、Bを、測色学的色空間への近似変換、すなわち、ある数式モデルにより明度、彩度、色相などの因子へ数値変換することも行なわれている(文献;「カラー動画像処理システム FIVIS/VIP」富士通技報 39,3(06,1988))。この様な数式モデルと実験数値を比較すると、照明強度等の明るさは明度に関係するが色相へも依存性があることがわかり、照明強度補正に対しての数式モデルの効果や精度が悪いという問題がある。他方、かかる数式モデルの計算を用いて全画像データについて逐次計算することは工業上の実用的な処理時間を考慮すると困難である。このため、変換数値テーブルを用いることも考えられるが、必要となる変換数値テーブルのためのメモリの大きさは、例えば、各色要素の強度値が8ビットデータで表現されるとすれば、組み合せで24ビットデータが必要となり、変換数値テーブルによる一括変換をする回路規模は非常に大きなものとなる。また、照明強度の変化を考慮した場合を含めて問題とすると、全ての状況における判定条件を無原則に入力することは困難である。
【0014】また、現実の画像における色要素の強度値をすべての条件について教示し格納するような変換数値テーブルを用いる場合であっても、その組み合せにより必要となる変換数値テーブルのためのメモリの大きさは、前述した例と同様、組み合せで24ビットデータが必要となり、前述した例と同様の問題が発生する。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】前述した従来の方法では、以下の様な課題があった。
【0016】(1)カラーテレビジョンカメラの感度特性やビデオ信号処理や伝送系を含めた測定系において、対象物の照明強度に対して色要素の強度値が直線的な特性を持たないために、線形変換により補正を行っても、あるいは、一部の素子の非線形特性を考慮にいれて補正を行なっても、照明強度の変化に対して色要素の強度値を補正することが出来ない。
【0017】(2)受像三原色の色要素の強度値R、G、Bを、測色学的色空間への近似変換、すなわち、ある数式モデルにより明度、彩度、色相などの因子へ数値変換する場合、この様な数式モデルと実験数値を比較すると、照明強度は明度に関係するが、色相へも依存性があることがわかり、数式モデルの、照明強度の補正に対しての効果や精度が悪いという問題がある。また、かかる数式モデルの計算を、全画像データについて逐次計算を行い、なおかつ、工業上の実用的な時間で処理できるような装置を安価に提供することは困難である。
【0018】(3)数式モデルを変換数値テーブルを用いて判定を行う場合、あるいは、現実の画像により強度値をすべての条件について教示し格納するための変換数値テーブルを用いて判定を行なう場合、その組み合せにより必要となる変換数値テーブルのためのメモリの大きさは、各色要素の強度値が8ビットデータで表現されるとすれば、組み合せで24ビットとなり、変換数値テーブルによる一括変換のための回路規模は非常に大きなものとなり、安価な装置として提供することは困難である。また、照明強度の変化を考慮した場合を含めて問題とすると、全ての状況における判定条件を無原則に入力することは、現実には困難である。
【0019】この様な問題の要因として、対象物の撮像時の照明強度の変化に対して、カラーテレビジョンカメラを構成する光電変換素子およびビデオ信号処理回路の特性を含めた測定系全体が非線形の特性を示すことがあげられる。そこで本発明の目的は、測定系の非線形性の影響を考慮した適正な補正方法を提供することが本発明の目的である。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成させるために、本発明は、照明強度または撮像系の透過光量を調整しつつ、カラーテレビジョンカメラにて撮像した物体色の色要素の強度値のデータ列を採取し、該データ列を基にして、ひとつの色要素の強度値から逆に調整量を導出し、導出された調整量を基にして、他の色要素の強度値を補正する。
【0021】
【実施例】
(実施例1)以下、本発明による実施例を図面を基に説明する。図1は、カラーテレビジョンカメラ1からの画像強度信号から、色要素の強度をデジタルデータ(強度値)として出力する装置の構成を示している。カラーテレビジョンカメラ1は受像三原色の画像強度信号を出力し、カラーテレビジョンカメラ1から出力された受像三原色の画像強度信号をビデオ増幅器2、3、4は信号増幅およびレベル調整し、ビデオ増幅器2、3、4からの信号をアナログ−デジタル変換器5、6、7がアナログ−デジタル変換し、色要素の強度のデジタルデータとして強度値R、G、Bを出力する。8は強度値R、G、Bとある係数値を積和算し輝度値Iを算出する積和算回路を示している。カラーテレビジョンカメラ1からの輝度信号が利用出来ない場合、積和算回路8からの出力を輝度値Iとして用いる。9は輝度信号用のビデオ増幅器を示しており、10は、ビデオ増幅器9からの輝度信号をデジタルデータ(輝度値)に変換するためのアナログ−デジタル変換器を示している。積和算回路8またはアナログ−デジタル変換器10からの出力(輝度値)のどちらか一方を選択回路14で選択して輝度値Iとする。11は、カラーテレビジョンカメラに前置された透過率の調整可能な光学フィルターを示しているが、光学フィルター11の代わりに虹彩絞りを用いても良い。12は照明強度を調整できる照明装置を示している。光学フィルター11の透過光量の調整量または照明装置12の照明強度の調整量は調整量Pとして入力される。どちらの調整量を用いるかは、被写体を取りまく環境等により適当に判断される。前述したように、照明強度または透過光量は、意図的に調整でき、この可変調整の結果、調整量Pが確定する。以後の説明では照明装置12の照明強度の調整量を調整量Pとして用いた場合について説明する。13は、カラーテレビジョンカメラで撮像し、物体色を検出する対象となる被写体を示している。以上、これらの構成により、照明強度の調整量Pを調整し、照明強度の調整量Pの変化に伴う色要素の強度値R、G、B、および輝度値Iが測定できる。
【0022】輝度値Iは、カラーテレビジョンカメラ1自体からの輝度信号をビデオ増幅器9を介してアナログ−デジタル変換器10が出力した輝度値を利用しても良いし、カラーテレビジョンカメラ1からの受像三原色の画像強度信号をビデオ増幅器2、3、4を介してアナログ−デジタル変換器5、6、7が出力した色要素の強度値R、G、Bとある係数値とを積和算回路8にて積和算して得た輝度値を利用しても良い。本発明の実施例では、カラーテレビジョンカメラ1からの受像三原色の画像強度信号をビデオ増幅器2、3、4を介してアナログ−デジタル変換器5、6、7が出力した色要素の強度値R、G、Bとある係数値とを積和算回路8にて積和算して得た輝度値Iとして用いる。
【0023】図2は、図1に示した装置により測定された照明装置12の照明強度の調整量Pの変化に伴う積和算回路8にて積和算して得た輝度値Iの測定例の曲線を示している。なお、アナログ−デジタル変換器10が出力した輝度値を輝度値Iとして利用してもほぼ同様な結果が得られる。図2から照明強度の調整量Pと輝度値Iとは直線的な関係にないことが分かる。前述したように、カラーテレビジョンカメラの光電変換素子の受光強度と出力強度の間の関係、および、ビデオ信号処理の電気回路系の特性に由来する入力値と出力データの間の関係等の非直線性がこの非直線性の原因となっている。
【0024】本発明の物体色判定の照明強度補正方法では、まず、対象となる物体色の被写体について、照明装置12の照明強度の調整量Pを可変調整しつつ、照明装置12の照明強度の調整量Pと積和算回路8から出力される輝度値Iとの関係を表すデータ列を採取しておく。照明強度の調整量PがP0のときの輝度値IはI0となるが、照明強度が変化して調整量PがP1になったとすれば、色要素の強度値はI1を示す。照明強度が外乱等で変化した場合、照明強度の調整量Pの相当値を推定出来れば、あらかじめ採取したデータ列から照明強度の調整量Pに対する輝度値Iを導出することができる。
【0025】図4は、照明強度の調整量Pと輝度値Iとの関係のデータ列を保持するためのメモリ素子を示している。前述した照明強度の調整量Pを可変調整して採取した輝度値Iと照明強度の調整量Pとを用いて、輝度値Iをメモリのアドレスとして照明強度の調整量Pのデータをメモリ素子21に書き込むことにより、輝度値Iと照明強度の調整量Pとの関係を表すデータ列がテーブル化される。カラーテレビジョンカメラからの色要素をデジタルデータ(強度値。この場合は、輝度値。)として処理する場合、輝度値Iの分解能として6〜16ビット程度要求され、通常は、前述した従来例の様に、8ビットデータの分解能が利用される。照明強度の調整量Pのデータ幅を輝度値Iのアドレス幅と等しい程度とすれば、強度値Iが8ビットデータである場合、メモリ素子21に要求されるアドレス幅は8ビットとなる。このように、照明強度の調整量Pと輝度値Iとの関係を表す測定値のデータ列のためのメモリ量は非常に少ない規模である。アドレス幅を16ビットとしても充分実用的な規模であることは言うまでもない。なお、メモリ素子21は、データを保持した後は、照明強度の調整量Pの入力があれば輝度値Iを出力し、輝度値Iの入力があればメモリ素子21により推定された照明強度の調整量Pが出力される構成になっている。
【0026】続いて、照明強度の調整量Pと色要素の強度値R、G、Bとの関係のデータ列を保持するためのメモリ素子を色要素毎に作成するために、輝度値Iについてと同様に、対象となる物体色の被写体について、照明装置12の照明強度の調整量Pを可変調整しつつ、照明装置12の照明強度の調整量Pとアナログ−デジタル変換器5、6、7から出力される色要素の強度値R、G、Bとの関係を表すデータ列を採取しておく。
【0027】図3は、図1に示した装置により測定された照明装置12の照明強度の調整量Pの変化に伴うアナログ−デジタル変換器5、6、7から出力される強度値R、G、Bの測定例の曲線である。図2と同様、調整量Pと強度値R、G、Bとは直線的な関係にない。ここでの特性は、図2の説明において述べた原因と基本的には同じものであるが、さらには、受像三原色の各々の分光特性による相互依存性にもとずく特性の影響も含まれる。
【0028】照明強度の調整量値PがP0のときの色要素の強度値R、G、BはそれぞれR0、G0、B0となるが、照明強度が変化して照明強度の調整量P1になったとすれば、色要素の強度値はR1、G1、B1を示す。照明強度が外乱等で変化した場合、照明強度の調整量Pの相当値を推定出来れば、あらかじめ採取したデータ列から照明強度の調整量Pに対応する色要素の強度値R、G、Bの値を導出することができる。
【0029】図5は、照明強度の調整量Pと赤の強度値Rとの関係のデータ列を保持するためのメモリ素子を示している。前述した照明強度の調整量Pを可変調整して採取した強度値Rと照明強度の調整量Pとを用いて、強度値Rをメモリのアドレスとして照明強度の調整量Pのデータをメモリ素子22に書き込むことにより、強度値Rと照明強度の調整量Pとの関係を表すデータ列がテーブル化される。本実施例においてメモリ素子22の分解能はメモリ素子21と同じとしている。なお、メモリ素子22は、データを保持した後は、照明強度の調整量Pの入力があれば強度値Rを出力し、強度値Rの入力があればメモリ素子22により推定された照明強度の調整量Pが出力される構成になっている。
【0030】続いて、照明強度の調整量Pと緑、青の強度値G、Bとの関係のデータ列を保持するためのメモリ素子を作成するが、赤の強度値Rと同様に作成すれば良いので説明は省略する。
【0031】図6は、本発明の第1の実施例である照明強度補正装置のブロック図である。前述した方法により採取した照明強度の調整量Pに対する輝度値Iおよび色要素の強度値R、B、Gの測定値のデータ列をテーブル化して保持するメモリを用いて、照明強度が変動しても色要素の強度値を補正できるようになっている。21は輝度値Iと照明強度の調整量Pとの関係のデータ列のテーブルを保持するメモリ素子を示している。22、23、24はそれぞれ赤、緑、青の色要素の強度値R、G、Bと照明強度の調整量Pとの関係のデータ列のテーブルを保持するメモリ素子を示している。前述の方法により、照明強度の調整量Pに対する輝度値Iおよび色要素の強度値R、B、Gの関係を示すデータ列はあらかじめ採取され、各メモリ素子にテーブル化して保持されている。
【0032】図6に示すPは、入力された輝度値Iからメモリ素子21に保持されるデータ列のテーブルにより推定された照明強度の調整量Pであり、メモリ素子21により推定された照明強度の調整量Pを各メモリ素子22、23、24に入力することにより、それぞれ、赤、緑、青についての色要素の推定強度値r、g、bが出力される。25、26、27は、それぞれ赤、緑、青の色要素の強度値について、測定時に入力されている強度値R、G、Bとメモリ素子22、23、24の推定強度値r、g、bとを比較する差演算回路を示している。差演算回路25、26、27は、一致ないし近似の量的な判定を行うものであり、例えば、差ないし差の絶対値を算出する回路である。28は、赤と緑と青の三要素の比較結果から、色の最終的な一致度Cを算出する一致度演算回路を示している。一致度演算回路28は、赤と緑と青の三要素の比較値がともに所定の範囲内に入っているならば同一の物体色であるとの判定を行うものであり、例えば、差演算回路25、26、27が差の絶対値を出力する回路であれば、差演算回路25、26、27が出力する三つの値の加算値ないし加算値が一定の範囲内にあるか否かを判定する。
【0033】(実施例2)続いて、図7を基に第2の実施例について説明する。
【0034】図7は、本発明の第2の実施例である照明強度補正装置のブロック図である。第1の実施例で説明したように、照明強度の調整量Pに対する色要素の強度値として、受像三原色の強度値R、G、Bの測定値のデータ列をテーブル化して保持するメモリ用いて、照明強度が変動しても色要素の強度値を補正できるようになっている。本実施例の特徴は輝度値を用いない点にある。15、16、17はそれぞれ赤、緑、青の色要素の強度値R、G、Bと照明強度の調整量Pとの関係のデータ列のテーブルを保持するメモリ素子を示している。第1の実施例で説明した方法と同様に、照明強度の調整量Pに対する色要素の強度値R、B、Gの関係を示すデータ列があらかじめ採取され、各メモリ素子にテーブル化して保持されている。
【0035】図7に示すPは、入力された赤の強度値Rからメモリ素子15に保持されるデータ列のテーブルにより推定された照明強度の調整量Pであり、メモリ素子15により推定された照明強度の調整量Pを各メモリ素子16、17に入力することにより、それぞれ、緑と青についての色要素の強度値の推定値g、bが出力される。18、19は、それぞれ緑、青の色要素の強度値について、測定時に入力されている強度値G、Bと推定強度値g、bとを比較する差演算回路を示している。差演算回路18、19は、一致ないし近似の量的な判定を行うものであり、例えば、差ないし差の絶対値を算出する回路である。20は、緑と青の両要素の比較結果から、色の最終的な一致度Cを算出する一致度演算回路を示している。一致度演算回路20は、緑と青の両色要素の比較値がともに所定の範囲内に入っているならば同一の物体色であるとの判定を行うものであり、例えば、差演算回路18、19が差の絶対値を出力する回路であれば、差演算回路18、19が出力する二つの値の加算値ないし加算値が一定の範囲内にあるか否かを判定する。
【0036】
【発明の効果】照明強度または撮像系の透過光量を調整しつつ、カラーテレビジョンカメラにて撮像した物体色の色要素の画像強度信号の強度値のデータ列を採取し、該データ列を用いて、外乱等により照明強度が変動しても、ひとつの色要素の強度値から逆に調整量を導出し、導出された調整量を基にして、他の色要素の強度値を補正することにより、対象物の撮像時の照明強度の変化に対して、カラーテレビジョンカメラを構成する光電変換素子およびビデオ信号処理回路の測定系全体の非線形の影響を無視しえる照明強度補正が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】画像強度信号から色要素の強度をデジタルデータとして出力する装置を示すブロック図である。
【図2】照明強度の調整量Pに対する輝度値Iの変化を示すグラフである。
【図3】照明強度の調整量Pに対する強度値R、G、Bの変化を示すグラフである。
【図4】本発明の第1の実施例である物体色判定の照明強度補正装置の照明強度の調整量Pと輝度値Iとの関係を表すデータ列を保持するメモリ素子を示す概念図である。
【図5】本発明の第1の実施例である物体色判定の照明強度補正装置の照明強度の調整量Pと強度値Rとの関係を表すデータ列を保持するメモリ素子を示す概念図である。
【図6】本発明の第1の実施例である物体色判定の照明強度補正装置のブロック図である。
【図7】本発明の第2の実施例である物体色判定の照明強度補正装置のブロック図である。
【符号の説明】
15 メモリ素子
16 メモリ素子
17 メモリ素子
18 差演算回路
19 差演算回路
20 一致度演算回路
21 メモリ素子
22 メモリ素子
23 メモリ素子
24 メモリ素子
25 差演算回路
26 差演算回路
27 差演算回路
28 一致度演算回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】 照明強度を調整しつつ、カラーテレビジョンカメラで撮像した物体色の色要素の強度値のデータ列を採取し、該データ列を用いて、ひとつの色要素の強度値から逆に照明強度の調整量を導出し、導出された調整量を基にして、他の色要素の強度値を補正することを特徴とする物体色判定の照明強度補正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図6】
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