説明

物品保持具

【課題】キッチンカウンター等の側周面にタオル等の物品保持具を取付けるに際し、被取付体の隙間を利用して簡単に着脱できる物品保持具を提供する。
【解決手段】カウンター(2)の側周面に取り付けて使用される物品保持具であって、物品を保持する掛支部(11)と、被取付体に挿入固定する腕部(12)とを備え、該腕部先端に係止片(13)を設けるとともに、少なくとも前記腕部(12)の周囲の一部に溝(14)が形成され、該溝内にバネ体(15)と該バネ体(15)の押圧力で、被取付体の隙間(16)を押圧又は/及び被取付体を挟持する、摺動体(20)とを収容するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カウンターの側周面に取り付けて使用される、布巾やタオル等の物品保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キッチンカウンターや洗面カウンターに取り付けられ、布巾やタオル等を簡単に保持でき、且つ、着脱又は移動できる物品保持具として吸盤式や磁石式のものが多く提案され、また、実用化されている。しかしながら、吸盤式や磁石式は被取付部に凹凸があったり、被取付部が非磁性体であったりすると取付できず、また、物品保持具を強く引っ張るとずれたり落下しやすい欠点があった。
また、使用する際に保持した布巾やタオル等の物品を強く引っ張っても物品取付具が簡単にずれ落ちることがない取付構造としては、移動範囲に若干の制約はあるものの、カウンター周側面に配置されるレールや引出し等のライン取手にスライド移動可能に物品保持具を取り付けるものとして、例えば、特許文献1の掛支具を有するキッチン台等の収納家具や、特許文献2の扉への補助バーツの取付構造が紹介されている。
【0003】
【特許文献1】特開2006−026251号
【特許文献2】特開2007−068557号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1や特許文献2の取付構造では、レール部の内側に係止させてレール部内をスライドさせる構造であり、レール部内形状に対応させた係止部形状とする必要があり、当該掛支具に専用のレールが不可欠であるという問題があった。また、同様に特許文献2の取付構造も、扉の上端部の取手部材の前面側が開口した断面コ字状をした取手用溝部に、補助バーツに上方に向けて突設した嵌め込み突部の前面に係止部材を取付ける構造であるため、取手溝部の断面コ字状形状と係止部材の形状が異なったり、正面板の厚みが異なった扉の取手には取付けが困難であった。
【0005】
この発明は、かかる現状に鑑み創案されたものであって、その目的とするところは、キッチンカウンター等の側周面にタオル等の物品保持具を取付けるに際し、被取付体の隙間を利用して簡単に着脱できる物品保持具を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の物品保持具は、カウンターの側周面に取り付けて使用される物品保持具であって、物品を保持する掛支部と、被取付体に挿入固定する腕部とを備え、該腕部先端に係止片を設けるとともに、少なくとも前記腕部の周囲の一部に溝が形成され、該溝内にバネ体と該バネ体の押圧力で、被取付体の隙間を押圧又は/及び被取付体を挟持する、摺動体とを収容するものである。
【0007】
この発明にあっては、カウンターの側周面にあるカウンターと幕板との隙間や、引出し前面板同士の隙間に物品保持具の腕部を挿入し、脚部先端の係止片をカウンター内に係止させて、正面側から摺動体を押圧して、被取付体である隙間を上下に押圧したり、または、挟み込むことができるため、確実強固に物品保持具をカウンターの周側面に取り付けることができる。また、特に押圧体の先端に傾斜面等を付けると高さの異なる隙間であっても取り付け対応できるとともに、バネ体で押圧挟持による取り付けであるため被取付体の色んな厚みに対応でき、取付け場所の汎用性を向上させることができる。
【0008】
また、本発明の請求項2に記載の物品保持具は、請求項1の発明に加えて、摺動体に、摺動体をバネ体の反押圧方向に引き戻すための、手掛り部を設けたものである。
この発明にあっては、請求項1の効果に加え、手掛り部に指を掛けて摺動体を引き戻すことが容易にできるため、物品保持具の着脱を容易にすることができる。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、本発明の物品保持具は、キッチンカウンター等の側周面にタオル等の保持具を取付けるに際し、被取付体の隙間を利用して簡単に着脱でき、使用者の便利な位置にタオル掛けなどの物品保持具を取付けることができるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に係る物品保持具の最良の形態を実施例に基づいて以下説明する。
【実施例1】
【0011】
本発明の実施例を図面に基づいて説明すると、先ず図1は、実施例1における物品保持具を示す斜視図であり、図2は本実施例1の物品保持具をカウンターと幕板間に取付けた状態を示す側面図であり、図3は本発明の摺動体の動きを説明するための腕部断面図であり、図4は、本発明の物品保持具を取付た状態のキッチン台を示している。以下、図1の紙面左側を物品保持具の正面側(手前側)とし、紙面右側を後面側(奥側)として説明する。なお、キッチン台の説明では、図4の紙面左下側をキッチン台の正面側(手前側)とし、紙面右上側を後面(奥側)として説明している。
【0012】
図4の符号1は、厨房に配置されるキッチン台1であり、このキッチン台1のカウンター2の面上には、加熱機器4、シンク5、蛇口6等が配設されるとともに、キッチン台1の側周面の一部である正面側には、シンク部分を前面から隠す幕板7aや収納部である開き戸扉3及び引出し9が設けられている。各引出し9の正面側には、該引出し9の収納部(図示略)をキッチン台1の本体内部から引出し自在とするための開口(図示略)を閉塞可能な正面板7や、開き戸扉3である正面板7が取り付けられており、引出し9の各正面板7の上部には、正面板7の左右方向の全幅に渡って延びる取手7bが配置されている。この取手7bは、側面視で正面側が開口された略コ字形状を成している。
【0013】
これら正面板7のうち、最上段の幕板7aにおける正面板7の上端縁部には、物品の一例であるタオル8を保持する物品保持具10が取り付けられている。このタオル8は、長手方向に4つ折り(2つ折り以上)に折り畳まれた状態で物品保持具10の開口部18に挿入させて吊下げられている。
【0014】
本実施例1の物品保持具10は、図1乃至図3に示すように、カウンター2の正面側であって、カウンター2の下面と幕板7a正面板7の上面の間には隙間16が設けられ、この隙間16を利用いて取付けられる。本実施例1の物品保持具10は、物品を保持する掛支部11と、前記隙間16に挿入して固定する腕部12とを備えている。該腕部12は、掛支部11の両端に上面視でコ字形状に延設される。両腕部12の先端には係止片13が上向きに延設され、腕部12の先端側は掛支部11側よりも薄く、掛支部11、腕部12及び係止片13は硬質合成樹脂材で一体成形されている。
【0015】
両腕部12、12は構造が同一のため、片方の腕部12について以下説明する。腕部12の幅方向中央部には、奥行方向に溝14が設けられ(図3参照)、掛支部11側は上方が腕部周面で覆われ、先端側の薄い部分では上面側に、該溝14が貫通開口しており、該溝14内に勘合する摺動体20が前後方向に摺動自在に収容されている。
摺動体20は、図3に示す如く、摺動基体21と摺動押圧体22をネジ25で連結一体化したもので、摺動基体21と摺動押圧体22との間には、バネ体15であるスプリング15が収納可能な空間が形成されている。また、摺動基体21の手前側端部は突状に形成され、摺動基体21を引き戻す時の手掛り部23となっている。
【0016】
スプリング15は、腕部12の溝14内に収納され、スプリング15の一端が溝14内の掛支部側の壁面に当接し、他端が溝14内に配置された摺動基体21と一体化された摺動押圧体22の内壁に当接する状態で嵌め込まれ、摺動体20を腕部12の先端側に押圧する方向に付勢されて収納される。
従って、摺動体20の動きを説明すると、手掛り部23に指を掛け、スプリング力に反して摺動基体21を引き戻すと図3の上側図面の如く、スプリング15が圧縮された状態となり、指を離すと図3の下側図面の如く、摺動押圧体22がスプリング力で押し出されて、腕部先端側の溝14の貫通開口端に摺動押圧体22の外側面が当接して摺動停止する機構となっている。ここで、図3のaは、摺動体20の前後移動距離を示し、bは、スプリング15の最大延び長さを示している。
【0017】
また、腕部12と摺動体20の形状は、前記の如く、腕部先端側は厚みが薄く、溝14が上部に開口しているため、摺動体20を引き戻した状態では、摺動押圧体22の先端側の傾斜面24が腕部12上面先端側に一部突き出し、指を離した状態では、摺動押圧体22の大部分が腕部12上面に露出するようになっており、該摺動押圧体22の先端傾斜面24で挿入した隙間16の下面を押し上げる構造となっている。一方、腕部12下面側は、手掛り部23と摺動基体21が腕部12下面から下方に突設して配置されており、手掛り部23を扱い易くしている。
【0018】
更に、本実施例1の物品保持具10を図2、図3を用いて、キッチン台1のカウンター2と幕板間の隙間16に取り付ける方法について説明する。
図2は、既に物品保持具10を取付けた状態を示している。取付け方法としては、両側の腕部12下面の手掛り部23に両手で指をあてがって、摺動基体21を手前に引き戻し、腕部12上面先端側に突き出した摺動押圧体22を引っ込める。腕部先端側の摺動押圧体22が退避し腕部先端側厚みが薄くなった状態で、カウンター2の斜め上方から係止片13を隙間16内に挿入し、最大押し込み位置で物品保持具10を水平状態にして、先端の係止片13をカウンター下面に係止させる。その後、指を離すとスプリング力で摺動押圧体22が前進し、摺動押圧体22の先端の傾斜面24がカウンター前面の下面に食い込む形で腕部12を押圧固定することができる。
【実施例2】
【0019】
次に、図5、図6に基づき、その他の実施例2について説明する。図5は、実施例2の物品保持具の斜視図であり、図6は、その物品保持具をカウンター2と幕板7a間の隙間16に取り付けた状態を示す断面模式図である。尚、前記実施例1と同一構造で重複する構成は説明を省略する。実施例1との相違点としては、腕部先端の係止片13と摺動押圧体22の先端下側形状である。
本実施例2の腕部先端形状は下側に向けて延設された形状の係止片13である。係止片13の手前側の面は平坦に形成される。また、摺動押圧体22は実施例1と同様に先端には上部に傾斜面24を有する。そして、摺動押圧体22の下面側に摺動押圧片26が延設され、摺動押圧片26の奥側面は平坦な面で構成されている。
【0020】
このように構成された実施例2の物品保持具10の取り付けは、図6に示す如く、幕板7aの上端を下向き係止片13と下向き摺動押圧片26で挟持する状態で取付けられる。図は取り付け後の状態を示す断面模式図である。
取り付け方法は、両手の指を両腕部12下面の手掛り部23に掛け、摺動体20を引き戻した状態で、カウンター前面の下方から係止片13をカウンター2と幕板7a上端との隙間16に挿入し、幕板7a内面側に係止片13を係止させた状態で物品保持具10を水平にして指を離すことにより取り付けることができる。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0021】
例えば、前記実施例では、物品保持具10が設けられるキッチン台1を一例として、厨房の壁面に設置されるキッチンカウンター2に適用されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば側周面の一部(例えば背面)をダイニング側に面するように配置される対面キッチンカウンター2に本発明の物品保持具10を設けてもよい。さらに、厨房に設置されるキッチンカウンター2に限らず、洗面所に設置される洗面カウンター2、あるいはその他の種々の目的で使用されるカウンター2やキャビネット等の什器類に本発明の物品保持具10を設けても良い。
【0022】
また、前記実施例では、キッチンカウンター2の側周面の一例である正面に物品保持具10が設けられていたが、物品保持具10の配置位置は正面に限定されるものではなく、キッチンカウンター2の上面(天板面)及び底面以外の面である左右側面や背面の所定個所に設けても良い。
【0023】
更に、前記実施例では、カウンター2と幕板7aとの隙間16に取り付けられていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、実施例2の物品保持具10の場合は、特に図示はしないが、天板2の直下等に引き出し自在に設けられる補助テーブル等の前端に取り付けられる正面板7や、引戸或いは開き扉3等、キッチンカウンター2の側周面に対して手前側に引き出し(開放)自在に設けられた種々の板材に取り付けてもよい。
【0024】
また、前記実施例では、物品取付具10は掛支部11の両端に腕部12を設けていたが、両端に腕部を設ける必要は無く、一個の腕部12で掛支部11を図示しない棒状のものとしても本発明の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施例1における物品保持具の斜視図である。
【図2】実施例1の物品保持具をカウンターと幕板との隙間に取付けた状態を示す側面模式図である。
【図3】本発明の摺動体の動きを説明するための腕部断面図である。
【図4】本発明の物品保持具を取付た状態のキッチン台の斜視図である。
【図5】実施例2の物品保持具の斜視図である。
【図6】実施例2の物品保持具をカウンターと幕板との隙間に取付けた状態を示す側面模式図である。
【符号の説明】
【0026】
1 キッチン台
2 カウンター(天板)
3 開き戸扉
4 加熱機器
5 シンク
6 蛇口(水栓)
7 正面板(被取付体)
7a 幕板
7b 取手
8 タオル
9 引出し
10 物品保持具
11 掛支部
12 腕部
13 係止片
14 溝
15 バネ体(スプリング)
16 隙間(被取付体)
18 開口部
20 摺動体
21 摺動基体
22 摺動押圧体
23 手掛り部
24 傾斜面
25 ネジ
26 摺動押圧片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カウンター(2)の側周面に取り付けて使用される物品保持具であって、物品を保持する掛支部(11)と、被取付体に挿入固定する腕部(12)とを備え、該腕部先端に係止片(13)を設けるとともに、少なくとも前記腕部(12)の周囲の一部に溝(14)が形成され、該溝内にバネ体(15)と該バネ体(15)の押圧力で、被取付体の隙間(16)を押圧又は/及び被取付体を挟持する、摺動体(20)とを収容することを特徴とする物品保持具。
【請求項2】
前記摺動体(20)には、摺動体(20)を前記バネ体(15)の反押圧方向に引き戻すための、手掛り部(23)を設けたことを特徴とする請求項1に記載の物品保持具。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−213678(P2009−213678A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−60543(P2008−60543)
【出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【出願人】(000002222)サンウエーブ工業株式会社 (196)
【Fターム(参考)】