説明

玄関構造

【課題】玄関に上階に至る階段を配置した玄関構造において、玄関ホールより奥側に階段配置用のスペースを確保しなくてもよい玄関構造を提供する。
【解決手段】玄関2に上階に至る階段15を配置し、この階段15の少なくとも一部は、中桁20aとこの中桁20aの長手方向に所定間隔で設けられた複数の段板20bとを備えたストリップ階段20であり、このストリップ階段20の少なくとも一部が、玄関土間6の上方に配置されているので、その分、玄関ホール5より奥側に階段15を配置するためのスペースを確保する必要がない。したがって、従来に比して、玄関以外の部屋等のレイアウトが制限されることがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玄関にストリップ階段を配置してなる玄関構造に関する。
【背景技術】
【0002】
玄関ホールに2階に至る階段を配置した玄関構造の一例として、特許文献1および特許文献2に記載のものが知られている。
これら文献に記載されている玄関構造では、玄関ホールに設けられた2階に至る階段は直階段であり、2階に上るにつれて玄関ホールから遠ざかるようになっている。
【特許文献1】特開平7−189506号公報
【特許文献2】特開平7−139193号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記従来の玄関構造では、階段が上階(2階)に上るにつれて玄関ホールから遠ざかるようになっているので、玄関ホールより奥側に階段配置用のスペースを確保する必要があり、その分、1階の玄関以外の部屋等のレイアウトが制限されることになる。
特に、アパートのように、床面積が比較的狭い住宅では、階段によって部屋等のレイアウトをなるべく制限されないようにしたいという要望がある。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、玄関に上階に至る階段を配置した玄関構造において、玄関ホールより奥側に階段配置用のスペースを確保しなくてもよい玄関構造を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、例えば図1〜図3に示すように、玄関2に上階に至る階段15を配置した玄関構造において、
前記階段15の少なくとも一部は、中桁20aとこの中桁20aの長手方向に所定間隔で設けられた複数の段板20bとを備えたストリップ階段20であり、
前記ストリップ階段20の少なくとも一部が、玄関土間6の上方に配置されていることを特徴とする。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、玄関2に配置されたストリップ階段20の少なくとも一部が、玄関土間6の上方に配置されているので、その分、玄関ホール5より奥側に階段15を配置するためのスペースを確保する必要がない。したがって、従来に比して、玄関以外の部屋等のレイアウトが制限されることがない。
また、階段15の少なくとも一部が、中桁20aとこの中桁20aの長手方向に所定間隔で設けられた複数の段板20bとを備えたストリップ階段20であるので、ストリップ階段20の少なくとも一部が、玄関土間6の上方に配置されていても、段板20b,20b間から玄関土間6に採光を確保できるので、玄関土間6が暗くなるのを防止できる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の玄関構造において、
前記ストリップ階段20の上端部が前記玄関土間6の上方に配置されており、残りの部分が前記玄関ホール5の上方に配置されていることを特徴とする
【0008】
請求項2に記載の発明によれば、ストリップ階段20の上端部が玄関土間6の上方に配置されているので、玄関土間6の床面とストリップ階段20の上端部との間が、比較的高さの高い空間となり、この空間を物置等として利用できる。
また、ストリップ階段20の残りの部分が玄関ホール5の上方に配置されているが、この玄関ホール5の上方でかつストリップ階段下の空間は、玄関土間6の床面とストリップ階段20の上端部との間の高さの高い空間と連続するので、使い勝手がよい。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の玄関構造において、
前記ストリップ階段20は、前記玄関2の一方の側壁2aに沿って配置されており、
前記玄関ホール5には、一方の側壁2a側から玄関ホール5側に曲がる曲り階段21aを有するユニット階段21が設置されており、このユニット階段21の曲り階段21aに、前記ストリップ階段20の下端部が接続されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、ストリップ階段20が玄関の一方の側壁2aに沿って配置されているので、ストリップ階段20によって玄関2がさほど圧迫されることがない。また、ストリップ階段20の下端部が、ユニット階段21の曲り階段21aに接続されているので、玄関ホール5の中央部から曲り階段21aを介してストリップ階段20を容易に使用できる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の玄関構造において、
前記玄関2の正面に設けられた出入口24を開閉する戸が引戸25となっており、この引戸25は玄関2の他方の側壁1c側に引かれることにより、前記出入口25を開放することを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、玄関2の正面に設けられた引戸25が、玄関2の他方の側壁2c側に引かれることにより、玄関2の出入口24を開放するので、この玄関2の出入口24からストリップ階段20の上端部と玄関土間6の床面との間のスペースに、容易に物品を出し入れできる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の玄関構造において、
前記玄関土間6の上方には、玄関上の階の天井まで吹き抜ける吹抜け部26が設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明によれば、玄関土間6の上方に、玄関上の階の天井まで吹き抜ける吹抜け部26が設けられているので、この吹抜け部26から玄関土間6に採光を確保でき、玄関2に、ストリップ階段20をその少なくとも一部が、玄関土間6の上方に位置するように配置しても、玄関土間6を明るくすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、玄関に配置された上階に至る階段の少なくとも一部が中桁とこの中桁の長手方向に所定間隔で設けられた段板とを備えたストリップ階段であり、このストリップ階段の少なくとも一部が、玄関土間の上方に配置されているので、玄関ホールより奥側に階段を配置するためのスペースを確保する必要がない。したがって、従来に比して、玄関以外の部屋等のレイアウトが制限されることがない。
また、階段が、中桁とこの中桁の長手方向に所定間隔で設けられた段板とを備えたストリップ階段であるので、ストリップ階段の少なくとも一部が、玄関土間の上方に配置されていても、段板間から玄関土間に採光を確保できるので、玄関土間が暗くなるのを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明に係る玄関構造を備えた住宅の1階の平面図、図2は同2階の平面図、図3は玄関構造を示す斜視図である。
まず、本発明に係る玄関構造を説明する前に、この玄関構造を備えた住宅の概要について、簡単に説明する。
図1および図2に示すように、住宅は、メゾネットタイプのアパートであり、2つの住戸1,1が左右に隣接して配置されている。
2つの住戸1,1は左右対称的であるので、以下では左側(西側)の住戸1やその玄関構造について説明し、右側の住戸1やその玄関構造について、左側のものと同一構成部分には、同一符号を付してその説明を省略する。
【0017】
図1に示すように、住戸1の1階には、北側に玄関2、南側に寝室3が配置されており、玄関2と寝室3との間に廊下4が配置されている。
玄関2は、玄関土間5と玄関ホール6とを備えており、玄関土間5は玄関ホール6より1段低くなっている。玄関土間5は玄関ホール6より広く形成されており、玄関土間5には、靴入れ収納部7や収納部8が配置されている。
また、玄関ホール6には、トイレ9や洗面台10が配置されている。廊下4の一方の側には浴室11が配置されており、他方の側には収納部12が配置されている。
玄関2には、階段15が配置されており、この階段15によって1階と2階との間を行き来するようになっている。
【0018】
2階には、図2に示すように、北側にキッチン16が配置されており、南側に居間17が配置されている。キッチン16には、階段15の下り口15aが隣接配置されており、この下り口15aに面して収納部18が配置されている。また、キッチン16の南側の一部と居間17の北側の一部の上方には、ロフト19が配置されており、このロフト19と居間17の床との間には図示しない梯子が設けられている。
【0019】
次に、本発明に係る玄関構造について、図1および図3を参照して説明する。
まず、前記階段15は、ストリップ階段20と、このストリップ階段20の下端部側に配置されたユニット階段21とから構成されている。
ストリップ階段20は、図3に示すように、中桁20aとこの中桁20aの長手方向に所定間隔で設けられた段板20bとを備えている。中桁20aは2本の四角筒状の金属製の桁材を平行に所定の隙間をもって配置することによって構成されており、この中桁20aに、複数の段板20bが所定間隔で複数取り付けられている。また、中桁20aの上端部は、2階の床に固定されており、下端部はユニット階段21内に挿入されたうえで、1階の床(玄関ホール5の床)に固定されている。
また、ストリップ階段20は玄関2の一方の側壁2aに沿って配置されており、この側壁2aには、手摺22が取り付けられている。また、ストリップ階段20の各段板20bの、前記側壁2aと反対側の端部には、上下に延在する複数の手摺子23がそれぞれ固定されており、これら手摺子23は2階の天井まで延出されて該天井に固定されている。
【0020】
前記ストリップ階段20の上端部は、玄関土間6の上方に配置されており、残りの部分は玄関ホール5の上方に配置されている。
玄関ホール5には、前記ユニット階段21が前記側壁2aに当接して配置されている。ユニット階段21は、略箱状に形成され、かつ下面が開口しているものであり、前記側壁2a側から玄関ホール2側に向けて曲がる曲り階段21aを有している。曲り階段21aは3段の段板21b・・・を備えており、最上段の段板21bにストリップ階段20が接続されている。つまり、ストリップ階段20の中桁20aの下端部は、ユニット階段21の最上段の段板21bの縁部を貫通して、ユニット階段21内に挿入されたうえで、このユニット階段21の内において玄関ホール5の床に固定されている。そして、ストリップ階段20の最下段の段板20bの斜め下方に、ユニット階段21の最上段の段板21bが位置している。これによって、ユニット階段21とストリップ階段20とが連続した階段15となっている。
【0021】
また、玄関2の正面の壁2bには、出入口24が形成されており、この出入口24は引戸25によって開閉されるようになっている。つまり、引戸25は壁2bの内側(玄関ホ土間5側)の壁面に沿って左右にスライド可能に配置されており、玄関2の他方の側壁2c側に引かれることによって、出入口24を開放するようになっている。
【0022】
また、玄関土間6の上方には、玄関上の2階の天井まで吹き抜ける吹抜け部26が設けられている。この吹抜け部26は、玄関2の正面の壁2bに沿って上方に吹き抜けており、2階においては、図2に示すように、壁2bに窓27が形成されている。また、2階において、吹抜け部26とキッチン16とを仕切る壁28の一部は、腰壁28aとなっており、その上から玄関土間6の様子を知ることができるようになっている。
【0023】
本実施の形態の玄関構造によれば、玄関2に配置されたストリップ階段20の上端部が、玄関土間6の上方に配置されているので、その分、玄関ホール5より奥側に階段15を配置するためのスペースを確保する必要がない。したがって、従来に比して、玄関以外の部屋等のレイアウトが制限されることがない。
また、階段15の一部が、中桁20aとこの中桁20aの長手方向に所定間隔で設けられた複数の段板20bとを備えたストリップ階段20であるので、ストリップ階段20の上端部が、玄関土間6の上方に配置されていても、段板20b,20b間から玄関土間6に採光を確保できるので、玄関土間6が暗くなるのを防止できる。
【0024】
また、ストリップ階段20の上端部が玄関土間6の上方に配置されているので、玄関土間6の床面とストリップ階段20の上端部との間が、比較的高さの高い空間となり、この空間を物置等として利用できる。
また、ストリップ階段20の上端部より下の部分が玄関ホール5の上方に配置されているが、この玄関ホール5の上方でかつストリップ階段下の空間は、玄関土間6の床面とストリップ階段20の上端部との間の高さの高い空間と連続するので、使い勝手がよい。
さらに、ストリップ階段20が玄関2の一方の側壁2aに沿って配置されているので、ストリップ階段20によって玄関2がさほど圧迫されることがない。また、ストリップ階段20の下端部が、ユニット階段21の曲り階段21aに接続されているので、玄関ホール5の中央部から曲り階段21aを介してストリップ階段20を容易に使用できる。
【0025】
また、玄関2の正面に設けられた引戸25が、玄関2の他方の側壁2c側に引かれることにより、玄関2の出入口24を開放するので、この玄関2の出入口24からストリップ階段20の上端部と玄関土間6の床面との間のスペースに、容易に物品を出し入れできる。
また、玄関土間6の上方に、玄関2上の2階の天井まで吹き抜ける吹抜け部26が設けられているので、この吹抜け部26から玄関土間6に採光を確保でき、玄関2に、ストリップ階段20をその上端部が、玄関土間6の上方に位置するよう配置しても、玄関土間6を明るくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る玄関構造を備えた住宅の一例を示すもので、住宅の1階の平面図である。
【図2】同、住宅の2階の平面図である。
【図3】同、玄関構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0027】
2 玄関
2a 一方の側壁
2b 他方の側壁
5 玄関ホール
6 玄関土間
15 階段
20 ストリップ階段
20a 中桁
20b 段板
21 ユニット階段
21a 曲り階段
24 出入口
25 引戸
26 吹抜け部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
玄関に上階に至る階段を配置した玄関構造において、
前記階段の少なくとも一部は、中桁とこの中桁の長手方向に所定間隔で設けられた複数の段板とを備えたストリップ階段であり、
前記ストリップ階段の少なくとも一部が、玄関土間の上方に配置されていることを特徴とする玄関構造。
【請求項2】
請求項1に記載の玄関構造において、
前記ストリップ階段の上端部が前記玄関土間の上方に配置されており、残りの部分が前記玄関ホールの上方に配置されていることを特徴とする玄関構造。
【請求項3】
請求項2に記載の玄関構造において、
前記ストリップ階段は、前記玄関の一方の側壁に沿って配置されており、
前記玄関ホールには、一方の側壁側から玄関ホール側に曲がる曲り階段を有するユニット階段が設置されており、このユニット階段の曲り階段に、前記ストリップ階段の下端部が接続されていることを特徴とする玄関構造。
【請求項4】
請求項3に記載の玄関構造において、
前記玄関の正面に設けられた出入口を開閉する戸が引戸となっており、この引戸は玄関の他方の側壁側に引かれることにより、前記出入口を開放することを特徴とする玄関構造。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の玄関構造において、
前記玄関土間の上方には、玄関上の階の天井まで吹き抜ける吹抜け部が設けられていることを特徴とする玄関構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−235688(P2009−235688A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−80654(P2008−80654)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(307042385)ミサワホーム株式会社 (569)
【Fターム(参考)】