説明

珊瑚幼生捕獲育成装置

【課題】捕獲した活着を促進させること。
【解決手段】この珊瑚幼生捕獲育成装置1は、珊瑚から放出される珊瑚幼生や卵を捕獲して成長させるものである。珊瑚幼生捕獲育成装置1は、捕獲器10と、ブイ2と、アンカー5とを備える。捕獲器10は、陰極と、陽極と、陰極の近傍に配置されてプラヌラ幼生や卵を捕獲するシートとを含んでいる。捕獲器10とブイ2とはブイ側係留索3で接続され、捕獲器10とアンカー5とはアンカー側係留索4で接続されており、海底Bと海面Wとの間かつ海域中の所定範囲内に保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、珊瑚の人工増殖に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、埋め立てや地球の温暖化に起因する海水温度の上昇等によって、珊瑚群集の白化や珊瑚の死滅といった珊瑚礁の衰退が問題となっている。このため、近年においては、珊瑚を人工的に増殖させて、珊瑚礁を回復させる試みが提案されている。特許文献1には、次のような珊瑚の増殖方法が開示されている。これは、プラヌラ幼生が着生し得る着生基盤を海底に有する海域に、底部が開放されてプラヌラ幼生が着生基盤に着生するのを妨げず、かつプラヌラ幼生が拡散するのを防止ないし抑制する拡散防止手段を配置する。そして、プラヌラ幼生、あるいはこれらが浮遊する海水を、拡散防止手段により取り囲まれた領域に投入する。
【0003】
【特許文献1】特開2003−219751号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示された技術では、プラヌラ幼生(珊瑚幼生)や珊瑚の卵を拡散防止手段により取り囲まれた領域に投入する際に、珊瑚幼生や珊瑚の卵に対してダメージを与え、活着率の低下を招くおそれがある。また、珊瑚の生殖において、親珊瑚から放出される卵や精子、あるいは珊瑚幼生の量は大量であるが、適当な着底基盤を見つけて付着することができる珊瑚幼生の数は非常に少ない。このため、珊瑚幼生を基盤に捕獲して成長させる人工増殖においては、捕獲した珊瑚幼生を基盤に確実に活着させ、幼生期における生存率を向上させることが重要である。
【0005】
そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、珊瑚幼生や卵に与えるダメージを最小限に抑えつつ、捕獲した珊瑚幼生の活着を促進させることのできる珊瑚幼生捕獲育成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る珊瑚幼生捕獲育成装置は、海水中に配置される陰極と、海水中に配置されるとともに前記陰極と電気的に接続される陽極と、海水中かつ前記陰極側に配置されて、珊瑚の幼生又は卵の少なくとも一方を着底させて捕獲する着底手段とを含んで構成される珊瑚幼生捕獲手段と、前記珊瑚幼生捕獲手段を海底と海面との間に保持する浮力発生手段と、前記珊瑚幼生捕獲手段を海域中の所定範囲内に保持する係留手段と、を含むことを特徴とする。
【0007】
この珊瑚幼生捕獲育成装置は、陰極と、陽極と、陰極の近傍に配置されてプラヌラ幼生や卵を捕獲する着底手段とを含む珊瑚幼生捕獲手段を、浮力発生手段及び係留手段を用いて、海底と海面との間かつ海域中の所定範囲内に保持する。これによって、海中に放出された珊瑚幼生や卵は着底手段に付着するのみなので、珊瑚幼生や卵に与えるダメージを最小限に抑えることができる。また、陰極に電着鉱物を析出させることができるので、捕獲した珊瑚幼生の活着を促進させることができる。
【0008】
次の本発明に係る珊瑚幼生捕獲育成装置は、前記珊瑚幼生捕獲育成装置において、前記陽極は、前記陰極よりも自然電位が卑であることを特徴とする。
【0009】
この珊瑚幼生捕獲育成装置は、前記珊瑚幼生捕獲育成装置と同様の構成を備えるので、前記珊瑚幼生捕獲育成装置と同様の作用、効果を奏する。さらに、この珊瑚幼生捕獲育成装置は、陰極よりも自然電位が卑の陽極を用い、いわゆる流電陽極法により陰極に電着鉱物を析出させる。これによって、外部電源が不要になるので、装置を簡略化できるとともに、保守、点検の手間も軽減できる。
【0010】
次の本発明に係る珊瑚幼生捕獲育成装置は、前記珊瑚幼生捕獲育成装置において、前記陰極と前記陽極との間には、電流制限手段が設けられることを特徴とする。
【0011】
この珊瑚幼生捕獲育成装置は、前記珊瑚幼生捕獲育成装置と同様の構成を備えるので、前記珊瑚幼生捕獲育成装置と同様の作用、効果を奏する。さらに、この珊瑚幼生捕獲育成装置は、抵抗やダイオード等の電流制限手段が設けられる。これによって、珊瑚を成育させる海域の流速や塩分濃度等といった海象状況に応じて陽極−陰極間を流れる電流を調整できるので、海象状況に応じて陰極の周辺を珊瑚の成育に最適な環境とすることができる。
【0012】
次の本発明に係る珊瑚幼生捕獲育成装置は、前記珊瑚幼生捕獲育成装置において、前記陰極と前記陽極との間には、前記陽極から前記陰極へ電流を流す電源が設けられることを特徴とする。
【0013】
この珊瑚幼生捕獲育成装置は、前記珊瑚幼生捕獲育成装置と同様の構成を備えるので、前記珊瑚幼生捕獲育成装置と同様の作用、効果を奏する。さらに、この珊瑚幼生捕獲育成装置は、電源を用意して陽極から陰極へ電流を流すので、電流の調整が容易になる。
【0014】
次の本発明に係る珊瑚幼生捕獲育成装置は、前記珊瑚幼生捕獲育成装置において、前記着底手段は、前記陽極と前記陰極との間に配置されることを特徴とする。
【0015】
この珊瑚幼生捕獲育成装置は、前記珊瑚幼生捕獲育成装置と同様の構成を備えるので、前記珊瑚幼生捕獲育成装置と同様の作用、効果を奏する。さらに、この珊瑚幼生捕獲育成装置は、着底手段を陽極と陰極との間に配置する。これによって、電着鉱物をより効率よく着底手段に堆積させることができるので、ポリプの成長をより促進させることができる。
【0016】
次の本発明に係る珊瑚幼生捕獲育成装置は、前記珊瑚幼生捕獲育成装置において、前記着底手段は、波状のシートであることを特徴とする。
【0017】
この珊瑚幼生捕獲育成装置は、前記珊瑚幼生捕獲育成装置と同様の構成を備えるので、前記珊瑚幼生捕獲育成装置と同様の作用、効果を奏する。さらに、この珊瑚幼生捕獲育成装置は、着底手段を波状のシートとする。これによって、波状のシートの谷部に珊瑚幼生が集まるので、珊瑚幼生を効率的に捕獲できるとともに、波状のシートの山部によって魚類からの食害から珊瑚幼生を保護することもできる。なお、波状には、山部及び谷部が直線状や曲面状に形成されるものの他、山部及び谷部が平面状に形成される場合も含まれるものとする。
【0018】
次の本発明に係る珊瑚幼生捕獲育成装置は、前記珊瑚幼生捕獲育成装置において、前記陰極は、前記波状のシートが前記陽極と対向する面の反対側における前記波状のシートの谷部に配置されることを特徴とする。
【0019】
この珊瑚幼生捕獲育成装置は、前記珊瑚幼生捕獲育成装置と同様の構成を備えるので、前記珊瑚幼生捕獲育成装置と同様の作用、効果を奏する。さらに、この珊瑚幼生捕獲育成装置は、陽極と対向する山部の反対側に陰極を配置する。これによって、陰極をシートと一体で構成できるので、珊瑚幼生捕獲手段全体の寸法をコンパクトにすることができる。
【0020】
ここで、次の本発明に係る珊瑚幼生捕獲育成装置のように、前記着底手段は、網状のシートとしてもよい。
【0021】
次の本発明に係る珊瑚幼生捕獲育成装置は、前記珊瑚幼生捕獲育成装置において、着底手段は導体で構成されるとともに前記陽極と電気的に接続されて、前記陰極となることを特徴とする。
【0022】
この珊瑚幼生捕獲育成装置は、前記珊瑚幼生捕獲育成装置と同様の構成を備えるので、前記珊瑚幼生捕獲育成装置と同様の作用、効果を奏する。さらに、この珊瑚幼生捕獲育成装置は、着底手段に陰極の機能を持たせるので、珊瑚幼生捕獲手段全体の寸法をコンパクトにすることができる。
【0023】
ここで、次の本発明に係る珊瑚幼生捕獲育成装置のように、前記着底手段を、網状の金属としてもよい。
【0024】
次の本発明に係る珊瑚幼生捕獲育成装置は、前記珊瑚幼生捕獲育成装置において、前記着底手段は、表面に多孔質の被覆層が設けられることを特徴とする。
【0025】
この珊瑚幼生捕獲育成装置は、前記珊瑚幼生捕獲育成装置と同様の構成を備えるので、前記珊瑚幼生捕獲育成装置と同様の作用、効果を奏する。さらに、この珊瑚幼生捕獲育成装置は、着底手段の表面に多孔質の被覆層を設ける。これによって、珊瑚の骨格と被覆層とがなじみやすくなるため、珊瑚が着底手段に活着しやすくなる。
【0026】
次の本発明に係る珊瑚幼生捕獲育成装置は、珊瑚の幼生又は卵の少なくとも一方を着底させる波状のシートを備える珊瑚幼生捕獲手段と、前記珊瑚幼生捕獲手段を海底と海面との間に保持する浮力発生手段と、前記珊瑚幼生捕獲手段を海域中の所定範囲内に保持する係留手段と、を含むことを特徴とする。
【0027】
この珊瑚幼生捕獲育成装置は、着底手段を波状のシートとする。これによって、海中に放出された珊瑚幼生や卵はシートに付着するのみなので、珊瑚幼生や卵に与えるダメージを最小限に抑えることができる。また、波状のシートの谷部に珊瑚幼生が集まるので、珊瑚幼生を効率的に捕獲できる。そして、波状のシートの山部によって、魚類からの食害から珊瑚幼生を保護することもできる。
【0028】
次の本発明に係る珊瑚幼生捕獲育成装置は、前記珊瑚幼生捕獲育成装置において、前記波状のシートは、表面に多孔質の被覆層が設けられることを特徴とする。
【0029】
この珊瑚幼生捕獲育成装置は、前記珊瑚幼生捕獲育成装置と同様の構成を備えるので、前記珊瑚幼生捕獲育成装置と同様の作用、効果を奏する。さらに、この珊瑚幼生捕獲育成装置は、着底手段の表面に多孔質の被覆層を設ける。これによって、珊瑚の骨格と被覆層とがなじみやすくなるため、珊瑚が着底手段に活着しやすくなる。
【発明の効果】
【0030】
この発明に係る珊瑚幼生捕獲育成装置は、珊瑚幼生や卵に与えるダメージを最小限に抑えつつ、捕獲した珊瑚幼生の活着を促進させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この発明を実施するための最良の形態(以下実施形態という)によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0032】
この実施形態は、珊瑚から放出される珊瑚幼生(プラヌラ幼生)や卵を捕獲して成長させるものであり、陰極と、陽極と、陰極の近傍に配置されてプラヌラ幼生や卵を捕獲する着底手段とを含む珊瑚幼生捕獲手段を、浮力発生手段と係留手段とによって、海底と海面との間かつ海域中の所定範囲内に保持する点に特徴がある。
【0033】
図1は、この実施形態に係る珊瑚幼生捕獲育成装置の使用例を示す概念図である。珊瑚Cの生殖は、珊瑚Cから卵と精子の塊が放出され海中で受精したり、珊瑚体内で受精した珊瑚幼生(プラヌラ幼生)Cpが放出されたりすることにより開始される。プラヌラ幼生Cpは、体表の繊毛運動によって水中を泳いで適当な底質を見つけるとそこに付着して変態し、幼ポリプとなる。群体性の珊瑚Cでは、幼ポリプが成長してポリプとなった後に無性生殖により子ポリプを作り始め、それらが分離することなく結合し合って群体を形成する。
【0034】
この珊瑚幼生捕獲育成装置1は、珊瑚幼生捕獲手段である捕獲器10と、浮力発生手段であるブイ2と、係留手段であるアンカー5とを含んで構成される。捕獲器10は、海中の所定深度に配置されて珊瑚Cから放出されたプラヌラ幼生Cpを主に捕獲し、着底させる。捕獲器10は、ブイ側係留索3を介してブイ2と接続され、また、アンカー側係留索4を介してアンカー5と接続される。ここで、ブイ側係留索3やアンカー側係留索4をゴムやスプリングのような弾性体で構成したり、ブイ側係留索3等の途中にゴムのような弾性体を介在させたりしてもよい。これによって、海が荒れたような場合に、捕獲器10に伝わるブイ2の動きを緩和することができる。
【0035】
海中における捕獲器10の位置は、ブイ2の浮力によって海底Bと海面Wとの間の所定深度(海面Wから1m〜5m程度)に保たれ、また、アンカー5によって、海域中の所定範囲内に保持される。後述するように、この実施形態に係る捕獲器10は、流電陽極法や外部電源によって電着鉱物を析出させてプラヌラ幼生から変態したポリプの成長を促進するが、電着鉱物の析出が進むにつれて捕獲器10の質量は増加する。このとき、ブイ2は、捕獲器10を海面Wから所定の深度に保つ役割を果たす。なお、流電陽極法では流電陽極が消耗するため、全体としては大きな質量変化はないが、外部電源を用いる場合には質量変化が表れる。さらに、ブイ2は、珊瑚幼生捕獲育成装置1が投入されている海域であることを警告し、珊瑚幼生捕獲育成装置1が投入されている海域に船舶が侵入するおそれを低減する。
【0036】
ここで、ブイ2には、ICタグを取り付けて投入した捕獲器10を識別したり、発信機や発光装置を取り付けて、夜間においても珊瑚幼生捕獲育成装置1が投入されている海域であることを識別できるようにしたりしてもよい。また、アンカー5には、例えば人工のライブロックを用いてもよい。
【0037】
この実施形態に係る珊瑚幼生捕獲育成装置1は、ブイ2と捕獲器10とアンカー5とで構成されるのでコンパクトかつ質量が小さく、持ち運びが容易である。このため、珊瑚の放卵放精期(5月、6月の満月の夜)における潮流を予測し、容易にこの実施形態に係る珊瑚幼生捕獲育成装置1を設置することができる。また、アンカー5が係留するのはブイ2及び捕獲器10であり、総質量は小さいため、アンカー5の負荷も小さくて済む。これによって、海底Bに対する影響を最小限に抑えることができる。さらに、捕獲器10で捕獲したプラヌラ幼生Cpが変態したポリプが捕獲器10に活着した後は、当該捕獲器10を養殖水槽や珊瑚造礁区域へ移動させ、そこで生育させることもできる。
【0038】
この実施形態では、海中において、プラヌラ幼生Cp等を捕獲する捕獲器10の捕獲面は、海面Wと略直交するようになっている。しかし、海中における捕獲器10の姿勢はこれに限られるものではなく、捕獲器10の捕獲面が海面Wと略平行になるようにしてもよい。次に、この実施形態に係る捕獲器10について説明する。
【0039】
図2は、この実施形態に係る捕獲器を示す平面図である。図3は、この実施形態に係る捕獲器を示す側面図である。図4は、図2のA−A矢視図である。図5は、この実施形態に係る捕獲器が備える陰極の構成例を示す説明図である。この実施形態に係る捕獲器10は、陽極11から陰極12に向かって電流を流すことにより、プラヌラ幼生から変態したポリプの成長及び活着を促進するものである。
【0040】
この捕獲器10は、陰極12と着底手段であるシート16と陽極11とを備える。陰極12は、図5に示すように、線状の陰極材料を格子状に組み合わせた網N_mとして構成されており、図2〜図4に示すように、枠体14に固定される。枠体14は、例えば、樹脂や木材を用いることができる。また、例えば、枠体14をパイプで構成し、当該パイプの内部に海水を入れて、捕獲器10全体の浮力を調整できるようにしてもよい。
【0041】
シート16は、シート取付具15を介して枠体14に取り付けられる。そして、陽極11は、陽極支持体13を介して枠体14に取り付けられる。ここで、シート16は、例えば、繊維材料や金属線で構成した網の表面をセラミックの粉末で被覆し、多孔質の被覆層を形成したセラミックシートを用いる。これによって、珊瑚の骨格と被覆層とがなじみやすくなるため、珊瑚が着底陰極20に活着しやすくなる。また、セラミックは硬度が高いため、藻類や貝類等の付着を抑制できる。
【0042】
陽極支持体13は導体であり、後述するように流電陽極法を実現するにあたっては、陽極11と陰極12とを電気的に接続する。なお、図4では、陽極11と陰極12とを電気的に接続する概念を示すため、陰極12と、導体で構成されて陽極11と電気的に接続される陽極支持体13とを導線lで電気的に接続した状態としてある。しかし、導線lを用いず、陽極支持体13と陰極12とを直接電気的に接続してもよい。
【0043】
図6は、この実施形態に係る捕獲器の原理を説明するための概念図である。この実施形態に係る捕獲器10では、いわゆる流電陽極法を利用して、捕獲したプラヌラ幼生が変態したポリプの成長を促進する。図6に示すように、プラヌラ幼生Cpが着底したシート16を金属性の陰極12側へ配置するとともに、陰極12よりも自然電位が卑な金属を陽極(流電陽極)11として配置する。そして、陽極11と陰極12とを導体(この例では陽極支持体13)で接続し、陽極11、陰極12、及び陽極11と陰極12との間に介在する電解質(海水)の電池作用を利用して、陽極11−陰極12間に電流を流す。これによって、陰極12にはCaCO3、Mg(OH)2、MgCO3等の石灰質(電着鉱物)を析出させるとともに、陰極12の周辺環境のアルカリ化を促進する。
【0044】
陰極12に析出した石灰質は、ポリプが活着する基盤となる。また、陰極12の周辺環境のアルカリ化が促進される(すなわち陰極12の周辺における海水のpHが上昇する)と、ポリプの石灰化に必要なエネルギーが小さくなるため、ポリプの成長速度及び耐性を向上させる。これらの作用によって、この実施形態に係る珊瑚養殖装置では、ポリプの成長を促進させるとともに、シート16への活着をより確実なものとすることができる。なお、シート16は、陰極12側に配置すればよく、シート16と陽極11との間に陰極12を配置してもよい。しかし、図6に示すように、陽極11と陰極12との間にシート16を配置すれば、より効率よく電着鉱物をシート16に堆積させることができるので、ポリプの成長をより促進させることができる。
【0045】
流電陽極法を用いる場合において、陰極12への石灰質の析出及び陰極12周辺環境のアルカリ化を促進させるためには、陽極(流電陽極)11の種類が重要になる。陰極電位が約−1000mV(飽和かんこう電極基準、以下省略)より貴側(電位が高い)であれば、陰極12における反応は、おおむね式(1)で表される酸素還元反応で、電流密度の大きさは100mA/m2程度である。この反応に対応する流電陽極は、アルミニウム系の材料で構成するが、上記電流密度では石灰質の析出は遅くなる。一方、流電陽極の消耗は比較的小さいため、陽極11の寿命は長くなる。
2+H2O+4e-→4OH-・・・(1)
【0046】
一方、陰極電位が−1100mVより卑側(電位が低い)であれば、陰極12における反応は、おおむね式(2)で表される水素発生反応で、電流密度の大きさは1000mA/m2以上も可能となる。この反応に対応する流電陽極は、マグネシウム系の材料で構成する。上記電流密度では、石灰質の析出は早くなるが、流電陽極の消耗が大きく、流電陽極の寿命は短くなる。
2H2O+2e-→H2+2OH-・・・(2)
この実施形態においては、石灰質の析出や流電陽極の消耗、あるいは藻や貝類等の付着抑制等を考慮して、流電陽極の材料を選択したり、流電陽極の形状や配置等を変更したりする。
【0047】
ポリプの成長を促進させるためには、少なくとも通常の電気防食における電流密度(100mA/m2以下)よりも大きいことが好ましい。好ましくは、通常の電気防食における電流密度の2倍以上10倍以下である。これを実現するためには、陰極電位を−1000mVよりも低くすればよい。そして、ポリプの成長を促進させるにあたっては、前記電流密度を実現できるような陽極11の材料や配置等を選択する。
【0048】
また、ポリプの成長を促進させるにあたっては、ポリプを養殖する海域の流速に応じて、前記電流密度を変更することが好ましい。より具体的には、ポリプを養殖する海域の流速が大きくなるにしたがって前記電流を大きくする。これによって、より確実に陰極12への石灰質の析出及び陰極12周辺における環境のアルカリ化を促進させることができる。
【0049】
また、藻や貝類はポリプの成長を阻害するため、ポリプの近傍では、藻や貝類の付着や成長を抑える必要がある。ポリプの成長には、周囲の海水がアルカリ性であることが好ましいが、かかる環境は藻や貝類の成長にとって好ましくない。したがって、藻や貝類の付着や成長を抑制するため、ポリプを配置する陰極12周辺における海水の環境をアルカリ性とするように、陰極12を選択する。陰極12周辺における海水の環境をアルカリ性とするには、電流が大きい方が好ましい。式(1)の反応と式(2)の反応とでは、式(2)の反応の方が電流は大きくなるので、式(2)の反応となるように陽極11を構成する材料を選択する。
【0050】
ここで、陰極12の材料は、陽極11よりも貴側の金属であればよいが、海水中で用いることを考慮して、ステンレス鋼、あるいはチタン(Ti)やチタン化合物等の耐食性が高い金属を用いることが好ましい。また、陽極11は、上述したように、陰極12よりも卑側(電位が低い)の金属を用いる。このような金属の中から、陽極11を構成する材料としては、適用される電流の大きさや寿命を考慮して、例えば、亜鉛、亜鉛合金(亜鉛系)、アルミニウム、アルミニウム合金(アルミニウム系)、マグネシウム、マグネシウム合金(マグネシウム系)の中から少なくとも一つを用いる。
【0051】
大きな電流を流すためにはマグネシウム系を用い、これよりも電流が小さくてよい場合には亜鉛系又はアルミニウム系を適用する。ただし、電流の大きいマグネシウム系では寿命が短く、また、電流の小さな亜鉛系及びアルミニウム系では長寿命となるので、適宜使い分ける。初期に大電流、後半の中電流を維持する目的で、マグネシウム系と亜鉛系との組み合わせ、あるいはマグネシウム系とアルミニウム系の組み合わせとしてもよい。
【0052】
図7は、この実施形態に係る捕獲器の他の構成例を示す概念図である。図7に示す捕獲器10’のように、陰極12と陽極11との間に、陽極11−陰極12間を流れる電流の大きさを制御可能な電流制御手段(例えばダイオードや抵抗)17を設けてもよい。例えば、陽極11と陰極12とに対して直列にダイオードを挿入する。これによって、ポリプを養殖する海域の流速や塩分濃度等といった海象状況に応じて陽極11−陰極12間を流れる電流を調整できるので、海象状況に応じて陰極の周辺をポリプの育成に最適な環境とすることができる。
【0053】
図8は、この実施形態に係る捕獲器において外部電源を用いた構成例を示す概念図である。図8に示す捕獲器10aのように、電源である電源装置(直流電源)18によって陽極11aと陰極12との間に電流を流す。この場合、耐久性が高く取り扱い易い貴金属系コーティングの電極が好ましい。陽極11aには、陽極として用いた場合に、塩素、酸素、活性酸素を生成する材料を用いる。このような材料としては、例えば、炭素系、チタン系の材料があげられる。これによって、陽極11aから陰極12へ流れる電流の調整が容易になるとともに、長期間使用できる。
【0054】
図9−1、図9−2は、この実施形態に係る捕獲器が備える着底手段の第1変形例を示す説明図である。図10は、プラヌラ幼生が着底した状態の捕獲器を示す説明図である。図2、図3等に示した捕獲器10は、着底手段として平面状のシート16を備えるが、この変形例に係る捕獲器10bは、波状に折り曲げて、山部Mと谷部Vとが交互に形成されるシート16bを着底手段として用いる。図9−1に示すシート16bは、山部M及び谷部Vが曲面状に形成されており、また図9−2に示すシート16b'は、山部M及び谷部Vが直線状に形成されている。
【0055】
このシート16b、16b'は、谷部Vにプラヌラ幼生が集まりやすくなるので、プラヌラ幼生の捕獲効率が向上する。また、谷部Vに着底したプラヌラ幼生Cpは、ここでポリプに変態し、成長するが、図10に示すように、プラヌラ幼生やポリプを食べる魚類に対しては、山部Mが防護部となって魚類からプラヌラ幼生Cpを保護することができる。このとき、谷部Vの開口寸法H(隣接する山部M同士の距離に相当する)は、プラヌラ幼生Cpやポリプ等を食べる魚類の大きさを想定して決定する。
【0056】
図11は、この実施形態に係る捕獲器が備える着底手段の第1変形例における陰極の配置例を示す説明図である。図11に示す捕獲器10b'のように、波状に折り曲げたシート16bが陽極11と対向する側とは反対側における谷部Vr、すなわち、陽極11と対向する山部Mの反対面に、前記谷部Vrあるいは前記山部Mに沿って、棒状あるいは線状の陰極12を配置する。このようにすれば、陰極12をシート16bと一体で構成できるので、捕獲器10b'全体の寸法をコンパクトにすることができる。また、シート16bにより陰極12を保護することもできる。
【0057】
図12は、この実施形態に係る捕獲器が備える着底手段の第2変形例を示す説明図である。この変形例に係る捕獲器10b_1は、上記捕獲器10b(図9−1参照)と同様に、波状に折り曲げて、山部Mと谷部Vとが交互に形成されるシート16b_1を用いるが、シート16b_1の断面形状が、上記シート16bと若干異なる。すなわち、上記捕獲器10bは、略Z形状を連続させた断面であるが、シート16b_1は略U字形状を連続させた形状である。このようにしても、上記捕獲器10b、10b'と同様の作用、効果が得られる。
【0058】
図13、図14は、この実施形態に係る捕獲器が備える着底手段の第3変形例を示す説明図である。第3変形例に係る捕獲器10b_2、10b_2'は、複数のシート16b_2を所定間隔でブラインド状に配置して、着底手段とする。図13に示す捕獲器10b_2は、シート16b_2の端部が陽極11に向かって枠体14から突出し、また、図14に示す捕獲器10b_2'は、シート16b_2の端部が陰極12に向かって枠体14から突出している。この変形例に係る捕獲器10b_2、捕獲器10b_2'では、複数のシート16b_2が所定の間隔で配置されるので、プラヌラ幼生やポリプを食べる魚類に対しては、枠体14から突出するシート16b_2が防護部となって、魚類からプラヌラ幼生やポリプを保護することができる。
【0059】
図15は、この実施形態に係る捕獲器が備える着底手段の第4変形例を示す説明図である。この変形例に係る捕獲器10b_2''は、図9−1や図9−2に示すシート16b、16b'と同様に、シート16_2''を波状に折り曲げて、山部Mと谷部Vとを交互に形成して着底手段とする。そして、この変形例に係るシート16_2''は、略コの字形状を連続させた断面形状としてある。これによって、この変形例に係る捕獲器10b_2''が備えるシート16_2''は、山部M及び谷部Vが平面状に形成される。このように、山部M及び谷部Vが平面状に形成される場合も、波状の概念に含まれるものとする。
【0060】
このシート16_2''は、谷部Vにプラヌラ幼生が集まりやすくなるので、プラヌラ幼生の捕獲効率が向上する。また、谷部Vに着底したプラヌラ幼生は、ここでポリプに変態し、成長するが、上記シート16b、16b'と同様にプラヌラ幼生やポリプを食べる魚類に対しては、山部Mが防護部となって魚類からプラヌラ幼生を保護することができる。このとき、谷部Vの開口寸法H(隣接する山部Mの中心間距離に相当する)は、ポリプ等を食べる魚類の大きさを想定して決定する。
【0061】
図16は、この実施形態に係る捕獲器が備える着底手段の第5変形例を示す説明図である。この変形例に係る捕獲器10b_3は、金属で構成される筒状の網16b_3を着底手段とする。そして、網16b_3と陽極11とを導線lで電気的に接続して、網16b_3に着底手段と陰極との機能を持たせる。このようにすれば、着底手段と陰極とを別個に用意する必要はないので、捕獲器10b_3の構成を簡略化できる。
【0062】
図17は、この実施形態に係る捕獲器が備える着底手段の第6変形例を示す側面図である。図18は、この実施形態に係る捕獲器が備える着底手段の第6変形例を示す正面図である。この捕獲器10b_4は、陽極側でプラヌラ幼生を捕獲する。この捕獲器10b_4は、金属棒や金属の線材を格子状に組み合わせて、プラヌラ幼生を捕獲し、着底させる網状の着底手段である着底網(陰極)11Aを構成する。また、着底網11Aには、鋼材で構成される陽極11Bが取り付けてあり、着底網11Aと陽極11Bとは電気的に接続される。そして、陽極11Bと陰極12とが導線lによって電気的に接続される。
【0063】
着底網11Aは、例えばステンレスで構成される。また、陰極12は、ステンレスやカーボン等の、鋼よりも貴な電位の金属で構成される。陽極11Bから着底網11Aへ流れる電流密度が大きすぎると、陽極11Bが過剰に溶解するので着底網11Aの面積に対する陽極11Bの面積の比で電流密度を調整する。このような構成により、プラヌラ幼生を捕獲し、着底させてもよい。
【0064】
例えば、海中に鋼材で製造した構造物を設置する際に鋼材をハンマー等で打ち付けた部分は活性化して腐食しやすくなる。このような部分は、周囲の黒皮を陰極としたマイクロセルが形成されて、鋼材の腐食が促進される。そして、このような、鋼材が腐食した部分には珊瑚が良く定着し、成長するという現象が確認されている。したがって、鋼材で陽極11Bを構成し、かつ鋼よりも貴な電位の金属で陰極12を構成すれば、陽極11Bの腐食が促進されることにより、陽極11Bに定着したプラヌラ幼生の成長が促進されるという利点がある。
【0065】
図19は、この実施形態に係る捕獲器が備える着底手段の第7変形例を示す説明図である。この変形例に係る着底手段である着底陰極20は、陰極の機能と、プラヌラ幼生を捕獲し、着底させる機能とを備える。着底陰極20は、金属の線材や棒材を格子状に組み合わせた陰極12の表面を、例えばセラミック粉や発泡コンクリートのような多孔質コンクリート等によって被覆し、陰極12の表面に多孔質の被覆層19を形成して構成される。
【0066】
これによって、珊瑚の骨格と被覆層19とがなじみやすくなるため、珊瑚が着底陰極20に活着しやすくなる。また、着底手段と陰極とを別個に用意する必要はないので、捕獲器をコンパクトに構成することができる。この変形例では、格子間隔La=Lbとしてあるが、La≠Lbとしてもよい。また、格子間隔は1cm〜10cmとしてある。この変形例では、格子の形状を正方形としてあるが、格子の形状はこれに限られるものではなく、三角形、五角形、六角形等としてもよい。
【0067】
図20は、この実施形態に係る珊瑚幼生捕獲育成装置において、外部電源を用いた場合の使用例を示す概念図である。捕獲器に外部電源を用いる場合(図8)、電源装置はブイ2に組み込むことが好ましい。ここで説明する珊瑚幼生捕獲育成装置1'では、太陽電池18gとバッテリーやコンデンサ等の蓄電手段18bとで電源装置18を構成する。そして、ブイ2に搭載した太陽電池18gを用いて電気を発生させ、発生した電気は蓄電手段18bに蓄え、太陽電池18gによる発電が期待できない夜間等では、蓄電手段18bによって陽極11aと陰極12との間に電流を流す。このように、外部電源方式においては、電源装置18の格納や設置にブイ2を利用することができる。
【0068】
図21は、この実施形態に係る珊瑚幼生捕獲育成装置の他の使用例を示す概念図である。図1で説明した珊瑚幼生捕獲育成装置1の使用例では、1本のアンカー側係留索4及び1個のアンカー5によって捕獲器10を係留する。この例では、複数(具体的には2個)のアンカー側係留索4及びアンカー5によって捕獲器10を係留する。このようにすると、海中における捕獲器10を所定の姿勢に維持しやすくなる。
【0069】
以上、この実施形態及びその変形例では、珊瑚から放出される珊瑚幼生や卵を捕獲して成長させるにあたり、陰極と、陽極と、陰極の近傍に配置されてプラヌラ幼生や卵を捕獲する着底手段とを含む珊瑚幼生捕獲手段を、浮力発生手段と係留手段とによって、海底と海面との間かつ海域中の所定範囲内に保持する。これによって、珊瑚幼生や卵は着底手段に付着するのみなので、珊瑚幼生や卵に与えるダメージを最小限に抑えることができる。また、陰極に電着鉱物を析出させることができるので、捕獲した珊瑚幼生の活着を促進させることができる。なお、この実施形態及びその変形例と同様の構成を備えるものは、この実施形態及びその変形例と同様の作用、効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0070】
以上のように、本発明に係る珊瑚幼生捕獲育成装置は、珊瑚の人工増殖に有用であり、特に、捕獲した活着を促進させることに適している。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】この実施形態に係る珊瑚幼生捕獲育成装置の使用例を示す概念図である。
【図2】この実施形態に係る捕獲器を示す平面図である。
【図3】この実施形態に係る捕獲器を示す側面図である。
【図4】図2のA−A矢視図である。
【図5】この実施形態に係る捕獲器が備える陰極の構成例を示す説明図である。
【図6】この実施形態に係る捕獲器の原理を説明するための概念図である。
【図7】この実施形態に係る捕獲器の他の構成例を示す概念図である。
【図8】この実施形態に係る捕獲器において外部電源を用いた構成例を示す概念図である。
【図9−1】この実施形態に係る捕獲器が備える着底手段の第1変形例を示す説明図である。
【図9−2】この実施形態に係る捕獲器が備える着底手段の第1変形例を示す説明図である。
【図10】プラヌラ幼生が着底した状態の捕獲器を示す説明図である。
【図11】この実施形態に係る捕獲器が備える着底手段の第1変形例における陰極の配置例を示す説明図である。
【図12】この実施形態に係る捕獲器が備える着底手段の第2変形例を示す説明図である。
【図13】この実施形態に係る捕獲器が備える着底手段の第3変形例を示す説明図である。
【図14】この実施形態に係る捕獲器が備える着底手段の第3変形例を示す説明図である。
【図15】この実施形態に係る捕獲器が備える着底手段の第4変形例を示す説明図である。
【図16】この実施形態に係る捕獲器が備える着底手段の第5変形例を示す説明図である。
【図17】この実施形態に係る捕獲器が備える着底手段の第6変形例を示す側面図である。
【図18】この実施形態に係る捕獲器が備える着底手段の第6変形例を示す正面図である。
【図19】この実施形態に係る捕獲器が備える着底手段の第7変形例を示す説明図である。
【図20】この実施形態に係る珊瑚幼生捕獲育成装置において、外部電源を用いた場合の使用例を示す概念図である。
【図21】この実施形態に係る珊瑚幼生捕獲育成装置の他の使用例を示す概念図である。
【符号の説明】
【0072】
1、1' 珊瑚幼生捕獲育成装置
2 ブイ
3 ブイ側係留索
4 アンカー側係留索
5 アンカー
10 捕獲器
10a、10b、10b_1、10b_2、10b_3、10b_4 捕獲器
11A 着底網
11、11a、11B 陽極
12 陰極
13 陽極支持体
14 枠体
15 シート取付具
16、16'、16''、16b、16b_1、16b_2、16b_2'' シート
16b_3 網
18 電源装置
19 着底層
20 着底陰極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
海水中に配置される陰極と、海水中に配置されるとともに前記陰極と電気的に接続される陽極と、海水中かつ前記陰極側に配置されて、珊瑚の幼生又は卵の少なくとも一方を着底させて捕獲する着底手段とを含んで構成される珊瑚幼生捕獲手段と、
前記珊瑚幼生捕獲手段を海底と海面との間に保持する浮力発生手段と、
前記珊瑚幼生捕獲手段を海域中の所定範囲内に保持する係留手段と、
を含むことを特徴とする珊瑚幼生捕獲育成装置。
【請求項2】
前記陽極は、前記陰極よりも自然電位が卑であることを特徴とする請求項1に記載の珊瑚幼生捕獲育成装置。
【請求項3】
前記陰極と前記陽極との間には、電流制限手段が設けられることを特徴とする請求項2に記載の珊瑚幼生捕獲育成装置。
【請求項4】
前記陰極と前記陽極との間には、前記陽極から前記陰極へ電流を流す電源が設けられることを特徴とする請求項1に記載の珊瑚幼生捕獲育成装置。
【請求項5】
前記着底手段は、前記陽極と前記陰極との間に配置されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の珊瑚幼生捕獲育成装置。
【請求項6】
前記着底手段は、波状のシートであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の珊瑚幼生捕獲育成装置。
【請求項7】
前記陰極は、前記波状のシートが前記陽極と対向する面の反対側における前記波状のシートの谷部に配置されることを特徴とする請求項6に記載の珊瑚幼生捕獲育成装置。
【請求項8】
前記着底手段は、網状のシートであることを特徴とする請求項6又は7に記載の珊瑚幼生捕獲育成装置。
【請求項9】
前記着底手段は導体で構成されるとともに前記陽極と電気的に接続されて、前記陰極となることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の珊瑚幼生捕獲育成装置。
【請求項10】
前記着底手段は、網状の金属であることを特徴とする請求項9に記載の珊瑚幼生捕獲育成装置。
【請求項11】
前記着底手段は、表面に多孔質の被覆層が設けられることを特徴とする請求項6〜10のいずれか1項に記載の珊瑚幼生捕獲育成装置。
【請求項12】
珊瑚の幼生又は卵の少なくとも一方を着底させる波状のシートを備える珊瑚幼生捕獲手段と、
前記珊瑚幼生捕獲手段を海底と海面との間に保持する浮力発生手段と、
前記珊瑚幼生捕獲手段を海域中の所定範囲内に保持する係留手段と、
を含むことを特徴とする珊瑚幼生捕獲育成装置。
【請求項13】
前記波状のシートは、表面に多孔質の被覆層が設けられることを特徴とする請求項12に記載の珊瑚幼生捕獲育成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2008−22783(P2008−22783A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−199599(P2006−199599)
【出願日】平成18年7月21日(2006.7.21)
【出願人】(506122246)三菱重工橋梁エンジニアリング株式会社 (111)
【出願人】(000232759)日本防蝕工業株式会社 (21)
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【出願人】(504089758)株式会社シーピーファーム (10)
【Fターム(参考)】