説明

現像装置および現像方法

【課題】コストの増大を抑制しつつ現像不良の発生を防止することが可能な現像装置および現像方法を提供する。
【解決手段】液層形成工程の時点t1〜t4の期間において、基板上に現像液の液層が形成される。その後、基板の回転速度を一時的に低速の50rpmに保持し、その後、基板の回転を停止する。このように、基板の回転の停止前に基板Wの回転速度を極めて低い状態で一時的に保持することにより、基板上に現像液の液層が薄く引き延ばされた状態を安定に維持しつつ基板の回転を停止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の現像処理を行う現像装置および現像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板上に形成されたレジスト膜の現像処理を行うために現像装置が用いられる。例えば現像装置は、基板を水平に保持して鉛直軸の周りで回転させるスピンチャックと、基板に現像液を供給するノズルとを備える。現像処理時には、スピンチャックにより基板が回転する状態で、ノズルが現像液を吐出しつつ基板の外側から基板の中心部上方に移動する(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この場合、基板上の全体に現像液が供給され、基板上のレジスト膜を覆うように現像液の液層が形成される。その状態で、基板上のレジスト膜の溶解反応が進行する。その後、基板上の現像液および溶解したレジスト膜が除去され、現像処理が終了する。
【特許文献1】特開2005−210059号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようにして現像処理を行う場合、レジスト膜の撥水性が高いと、現像液がレジスト膜上で弾かれる。そのため、現像液の液層を良好に形成することが困難となる。それにより、レジスト膜の所望の部分を確実に溶解させることができず、現像不良が発生する。
【0005】
なお、形成現像液の吐出流量を多くすることにより液層を形成することが可能になるが、コストが増大するとともに、現像ムラが生じやすくなる。
【0006】
本発明の目的は、コストの増大を抑制しつつ現像不良の発生を防止することが可能な現像装置および現像方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)第1の発明に係る現像装置は、基板を略水平に保持しつつその基板に垂直な軸の周りで回転させる回転保持手段と、回転保持手段により回転する基板上に現像液の液層を形成する液層形成手段とを備え、回転保持手段は、液層形成手段による現像液の液層の形成時に基板を第1の回転速度で回転させ、現像液の液層の形成後に基板の回転速度を第1の回転速度から段階的に下降させるものである。
【0008】
この現像装置においては、回転保持手段により基板が略水平に保持されつつ回転する。基板が第1の回転速度で回転する状態で、液層形成手段により基板上に現像液の液層が形成される。この場合、基板を回転させた状態で現像液の液層を形成することにより、遠心力によって現像液の液層を薄く引き延ばすことができる。
【0009】
現像液の液層が形成された後、基板の回転速度が第1の回転速度から段階的に下降する。この場合、基板上に現像液の液層が薄く引き延ばされた状態を安定に維持しつつ基板の回転速度を下降させることができる。基板の回転速度が下降することにより、遠心力によって振り切られる現像液の量が減少し、現像液の供給量を少なくするまたは現像液の供給を停止することができる。それにより、コストの増大を抑制しつつ現像不良の発生を防止することができる。
【0010】
(2)液層形成手段は、基板の中心部から周縁部に連続的に現像液を供給した後、基板の周縁部から中心部に連続的に現像液を供給してもよい。
【0011】
この場合、基板の中心部から周縁部に連続的に現像液が供給されることにより、基板上の全体に現像液が供給され、基板の表面が十分に湿潤した状態になる。続いて、現像液供給手段により基板の周縁部から中心部に連続的に現像液が供給されることにより、基板上に現像液の液層が形成される。
【0012】
このように、現像液の液層の形成前に、基板の表面を現像液で十分に湿潤させることにより、基板の表面の撥水性が高い場合でも、基板上で現像液が弾かれにくくなる。それにより、少ない量の現像液で確実に現像液の液層を形成することができる。したがって、コストの増大をさらに抑制することが可能になるとともに、より確実に現像不良の発生を防止することができる。
【0013】
また、現像液の供給位置が基板の中心部と周縁部との間で移動するので、基板上の特定の領域に継続的に現像液が供給される場合に比べて、レジスト膜の反応が偏って進行することが防止される。それにより、現像ムラの発生が抑制され、線幅均一性が向上する。
【0014】
(3)回転保持手段は、液層形成手段により基板の中心部から周縁部に連続的に現像液が供給される期間に基板を第1の回転速度よりも高い第2の回転速度で回転させ、液層形成手段により基板の周縁部から中心部に連続的に現像液が供給される期間に基板を第1の回転速度で回転させてもよい。
【0015】
この場合、基板の回転速度が比較的高い状態で基板の中心部から周縁部に連続的に現像液を供給することにより、迅速に基板の表面を現像液で湿潤させることができる。また、基板の回転速度が比較的低い状態で基板の周縁部から中心部に連続的に現像液を供給することにより、遠心力の作用が小さい状態で基板上に現像液の液層を確実に形成することができる。
【0016】
(4)回転保持手段は、液層形成手段による現像液の液層の形成前に基板を第1の回転速度よりも低い第3の回転速度から第1の回転速度以上の第4の回転速度に上昇させ、液層形成手段は、基板が第3の回転速度で回転する状態で基板の中心部に現像液を供給してもよい。
【0017】
この場合、基板が第3の回転速度で回転する状態では、基板上に供給された現像液に大きな遠心力が働かない。そのため、現像液が基板の中心部付近の領域内で保持される。基板の回転速度が第3の回転速度から第4の回転速度に上昇する際に、基板の中心部に保持された現像液が遠心力によって基板上の全体に瞬間的に拡がる。
【0018】
これにより、基板の表面を現像液で湿潤させることができ、少ない量の現像液で確実に現像液の液層を形成することが可能になる。したがって、コストの増大をさらに抑制することが可能になるとともに、より確実に現像不良の発生を防止することができる。
【0019】
(5)第2の発明に係る現像方法は、基板を略水平に保持しつつ基板に垂直な軸の周りで回転させる工程と、第1の回転速度で回転する基板上に現像液の液層を形成する工程と、現像液の液層の形成後に基板の回転速度を第1の回転速度から段階的に下降させる工程とを備えるものである。
【0020】
この現像方法においては、基板が略水平に保持されつつ第1の回転速度で回転する状態で、基板上に現像液の液層が形成される。この場合、基板を回転させた状態で現像液の液層を形成することにより、遠心力によって現像液の液層を薄く引き延ばすことができる。
【0021】
現像液の液層が形成された後、基板の回転速度が第1の回転速度から段階的に下降する。この場合、基板上に現像液の液層が薄く引き延ばされた状態を安定に維持しつつ基板の回転速度を下降させることができる。基板の回転速度が下降することにより、遠心力によって振り切られる現像液の量が減少し、現像液の供給量を少なくするまたは現像液の供給を停止することができる。それにより、コストの増大を抑制しつつ現像不良の発生を防止することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、基板上に現像液の液層が薄く引き延ばされた状態を安定に維持しつつ基板の回転速度を下降させることができる。それにより、現像不良の発生を防止することができるとともに、現像液の使用量を低減させることができ、コストの増大を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の一実施の形態に係る現像装置および現像方法について図面を用いて説明する。以下の説明において、基板とは、半導体基板、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板等をいう。
【0024】
(1)現像装置の構成
図1は、現像装置の構成を示す平面図であり、図2は図1の現像装置のQ−Q線断面図である。
【0025】
図1および図2に示すように、現像装置100は、基板Wを水平姿勢で吸着保持するスピンチャック10を備える。スピンチャック10は、モータ11(図2)の回転軸12の先端部に固定され、鉛直方向の軸の周りで回転可能に構成されている。スピンチャック10の周囲には、基板Wを取り囲むように円形の内側カップ13が上下動自在に設けられている。また、内側カップ13の周囲には、正方形の外側カップ14が設けられている。
【0026】
図1に示すように、外側カップ14の側方には、待機ポッド15が設けられている。また、外側カップ14および待機ポッド15に並行して延びるようにガイドレール16が設けられている。ガイドレール16に沿って移動可能にアーム駆動部17が設けられている。アーム駆動部17には、水平面内でガイドレール16に垂直な方向に延びるノズルアーム18が取り付けられている。ノズルアーム18はアーム駆動部17により駆動され、ガイドレール16に沿った方向に移動するとともに、上下方向に昇降する。
【0027】
スピンチャック10に関してガイドレール16と反対側の領域には、洗浄用リンス液として純水を吐出するリンス液吐出ノズル19が矢印R1の方向に回動可能に設けられている。
【0028】
図2に示すように、ノズルアーム18の先端部には、複数(本例では5つ)の現像液吐出口22を有する現像液ノズル21が設けられている。基板Wの現像処理時には、ノズルアーム18が駆動されることにより、現像液ノズル21が待機ポッド15から基板Wの上方に移動する。
【0029】
現像液ノズル21は、供給管31を介して現像液供給源G1に接続されている。供給管31には、バルブV1が介挿されている。バルブV1を開くことにより、現像液供給源G1から現像液ノズル21に現像液が供給される。
【0030】
リンス液吐出ノズル19は、供給管35を介してリンス液供給源G2に接続されている。供給管35には、バルブV2が介挿されている。バルブV2を開くことにより、リンス液供給源G2からリンス液吐出ノズル19にリンス液が供給される。
【0031】
図3は、現像液ノズル21の概略斜視図である。図3に示すように、現像液ノズル21には、鉛直下方に向けられた5つの現像液吐出口22が幅方向(図1のガイドレール16に平行な方向)に沿って等間隔で設けられている。現像液ノズル21に供給された現像液は現像液吐出口22から吐出される。各現像液吐出口22は、現像液ノズル21の移動に伴いスピンチャック10に保持された基板Wの中心部の上方を通過するように配置されている。
【0032】
図4は、現像装置100の制御系を示すブロック図である。図4に示すように、現像装置100は制御部50を備える。スピンチャック10、モータ11、アーム駆動部17、リンス液吐出ノズル19およびバルブV1,V2の動作は、制御部50により制御される。
【0033】
(2)現像装置の動作
次に、現像装置100の動作について説明する。図5は、基板Wの現像処理時における基板Wの回転速度、現像液の流量およびリンス液の流量の変化を示すタイミング図である。本実施の形態では、現像処理の工程が、液層形成工程、現像工程および洗浄工程に分けられる。なお、以下に説明する現像処理は、基板W上に形成されたレジスト膜に露光処理が施された後に行われる。
【0034】
図5に示すように、液層形成工程の時点t1で、スピンチャック10により基板Wの回転が開始される。続く時点t2で、現像液ノズル21からの現像液の吐出が開始される。時点t1〜t3の期間において、基板Wの回転速度が例えば1000rpmに維持される。
【0035】
時点t3で基板Wの回転速度が例えば200rpmに下降し、時点t4で基板Wの回転速度が例えば50rpmに下降する。そして、時点t5で、基板Wの回転が停止される。また、時点t6で、現像液ノズル21からの現像液の吐出が停止される。なお、時点t2〜時点t6の期間において、現像液ノズル21は、現像液を吐出しながら基板Wの中心部の上方と周縁部の上方との間を移動する。現像液の吐出流量は、例えば400ml/minで維持される。
【0036】
この液層形成工程においては、基板W上のレジスト膜を覆うように現像液の液層が形成される。液層形成工程の詳細については後述する。
【0037】
現像工程の時点t6〜t7の期間には、現像液の吐出および基板Wの回転が停止した状態で維持される。この期間に、基板W上に保持された現像液によりレジスト膜のパターン部を除く部分の溶解反応が進行する。
【0038】
洗浄工程の時点t7〜t8の期間に、スピンチャック10により基板Wが例えば700rpmで回転するとともに、リンス液吐出ノズル19から基板Wにリンス液が吐出される。それにより、基板W上の現像液および溶解したレジストが洗い流される。続いて、時点t8〜t9の期間に、基板Wが高速の例えば2000rpmで回転する。その回転に伴う遠心力により、基板Wに付着するリンス液が振り切られ、基板Wが乾燥される。これにより、基板Wの現像処理が終了する。
【0039】
(3)液層形成工程
次に、図5および図6を参照しながら液層形成工程における現像装置100の動作の詳細について説明する。図6は、液層形成工程における現像装置100の動作について説明するための模式的平面図および側面図である。
【0040】
図5の時点t2において、図6(a)および図6(b)に示すように、現像液ノズル21が基板Wの中心部の上方に位置する状態で現像液の吐出を開始する。そして、図5の時点t2〜時点t3の期間に、図6(c)および図6(d)に示すように、現像液ノズル21が現像液を吐出しつつ基板Wの中心部の上方から周縁部の上方まで移動する。これにより、基板W上の全体に現像液が供給される。
【0041】
図5の時点t3〜t4の期間には、基板Wの回転速度が下降するとともに、図6(e)および図6(f)に示すように、現像液ノズル21が現像液を吐出しつつ基板Wの周縁部の上方から中心部の上方まで移動する。この場合、基板Wの外方に振り切られる現像液の量が減少し、供給された現像液が基板W上で保持される。それにより、基板W上に現像液の液層が形成される。
【0042】
ここで、時点t2〜時点t4の期間において、現像液ノズル21は、現像液吐出口22が基板Wの上方の領域から外側にはみ出ないように移動する。この場合、基板Wの外周端部を横切るように現像液が供給されることがない。それにより、現像液の飛散を抑制することができる。したがって、現像装置100内の各部に現像液が付着することを防止することができる。
【0043】
なお、現像液ノズル21は、例えば基板Wの直径が300mmである場合に、基板Wの中心部の上方から周縁部の上方までを例えば1〜3秒で移動し、基板Wの周縁部の上方から中心部の上方までを例えば1〜5秒で移動する。
【0044】
現像液ノズル21の移動速度は、一定であってもよく、移動方向または位置に応じて変化してもよい。例えば、基板Wの周縁部の上方付近における現像液ノズル21の移動速度が、基板Wの中心部の上方付近における現像液ノズル21の移動速度よりも低くてもよい。この場合、面積が大きい基板Wの周縁部の領域にも十分に現像液を供給することができる。
【0045】
図7は、現像液の液層の形成過程を示す斜視図および側面図である。図7(a)および図7(b)に示すように、基板Wが回転する状態で現像液ノズル21が現像液を吐出しつつ基板Wの周縁部の上方から基板Wの中心部の上方に向かって移動することにより、基板Wの周縁部から中心部に向かって渦巻き状に現像液が供給される。それにより、基板Wの周縁部から中心部に向けて現像液の液層が形成されていく。
【0046】
この場合、基板Wを回転させた状態で現像液の液層を形成することにより、遠心力によって現像液の液層を薄く引き延ばすことができる。そのため、基板Wを固定した状態で現像液の液層を形成する場合に比べて、現像液の使用量を抑制することができる。
【0047】
基板W上に現像液の液層が形成された後、図5の時点t4で基板Wの回転速度が50rpmに下降する。そして、図5の時点t5で基板Wの回転が停止し、時点t6で現像液ノズル21からの現像液の吐出が停止する。
【0048】
本実施の形態では、現像液の液層を形成した後、基板Wの回転速度を一時的に低速の50rpmに保持し、その後、基板Wの回転を停止する。このように、基板Wの回転の停止前に基板Wの回転速度を極めて低い状態で一時的に保持することにより、基板W上に現像液の液層が薄く引き延ばされた状態を安定に維持しつつ基板Wの回転を停止することができる。それにより、基板Wへの現像液の供給を停止した状態で、レジスト膜の現像を確実に進行させることができる。したがって、現像液の使用量を抑制してコストを削減することがすることができるとともに、現像不良の発生を確実に防止することができる。
【0049】
また、本実施の形態では、液層を形成する前の時点t2〜t3の期間に、基板Wの表面の全体に現像液が供給される。それにより、基板Wの表面の全体が現像液で湿潤した状態になり、基板Wの表面の濡れ性が良くなる。そのため、基板Wの表面(レジスト膜の表面)の撥水性が高い場合でも、基板W上で現像液が弾かれにくくなる。それにより、少ない量の現像液で確実に液層を形成することができる。したがって、さらなるコストの削減が可能になるとともに、現像不良の発生をより確実に防止することができる。
【0050】
また、現像液ノズル21が移動しながら基板Wに現像液を供給することにより、基板W上の特定の領域においてレジスト膜の反応が偏って進行することが防止される。それにより、現像ムラの発生が抑制され、CD(線幅)均一性が向上する。
【0051】
なお、基板Wの回転速度および現像液の流量は、上記の例に限定されず、基板Wの大きさまたは撥水性等の種々の条件に応じて適宜変更してもよい。
【0052】
例えば、時点t1〜t3の期間においては、基板Wの回転速度を500rpm以上2000rpm以下の範囲で調整することが好ましい。時点t1〜t3の期間における基板Wの回転速度は、請求項における第2または第4の回転速度に相当する。基板Wの回転速度が高すぎると、基板Wに供給された現像液の大部分が遠心力によって基板Wの外方に振り切られ、基板Wの表面を十分に現像液で湿潤させることができない。一方、基板Wの回転速度が低すぎると、現像液を基板W上で適度に拡げることができない。
【0053】
また、時点t3〜t4の期間においては、基板Wの回転速度を100rpm以上500rpm以下の範囲で調整することが好ましい。時点t3〜t4の期間における基板Wの回転速度は、請求項における第1の回転速度に相当する。基板Wの回転速度が高すぎると、基板W上で現像液を保持することができない。一方、基板Wの回転速度が低すぎると、時間効率が悪化する。
【0054】
また、時点t4〜t5の期間においては、基板Wの回転速度を10rpm以上100rpm以下の範囲で調整することが好ましい。基板Wの回転速度が高すぎると、基板W上に現像液の液層を安定に保持しつつ基板Wの回転を停止させることができない。一方、基板Wの回転速度が低すぎると、現像液の液層を薄く引き延ばした状態で維持することができず、表面張力によって現像液が基板W上の一部の領域に集まる可能性がある。
【0055】
また、現像液の流量は、300ml/min以上600ml/minの範囲で調整することが好ましい。また、現像液ノズル21の移動方向または位置に応じて現像液の流量を変化させてもよい。
【0056】
なお、上記実施の形態においては、時点t5において基板Wの回転速度を50rpmから0rpmに下降させているが、基板W上に形成されたレジスト膜の膜質等に応じて、時点t5以降に基板Wの回転速度を一旦50〜200rpmの範囲で上昇させ、その後、0rpmに下降させてもよい。
【0057】
(4)液層形成工程における他の動作例
次に、液層形成工程における現像装置100の他の動作例について説明する。図8は、本例の液層形成工程における基板Wの回転速度、現像液の流量およびリンス液の流量の変化を示すタイミング図である。
【0058】
本例が図5に示した例と異なるのは以下の点である。図8に示すように、本例では、まず時点t11で基板Wが低速の20rpmで回転を開始するとともに、現像液ノズル21が基板Wの中心部の上方において現像液の吐出を開始する。その後、基板Wの回転速度が1000rpmに上昇するとともに現像液ノズル21が現像液を吐出しつつ移動を開始する。そして、上記の例と同様の動作が行われる。なお、時点t11〜t1の期間における基板Wの回転速度は、請求項における第3の回転速度に相当する。
【0059】
図9は、基板W上に供給された現像液の状態を示す平面図および側面図である。図8の時点t11〜t1の期間には、基板Wの回転速度が低いので、基板Wに供給された現像液に遠心力が働かない。そのため、図9(a)および図9(b)に示すように、基板Wの中心部に供給された現像液が、基板Wの周縁部へと拡がらずに表面張力によってほぼ一定の領域内で保持される。
【0060】
図8の時点t1で基板Wの回転速度が上昇すると、図9(c)および図9(d)に示すように、基板Wの中心部上に保持された現像液が遠心力によって基板W上の全体に瞬間的に拡がる。
【0061】
このように、時点t1において予め基板Wの表面の全体に現像液を拡げることができるので、効率よく確実に基板Wの表面の全体を現像液で湿潤させることができる。したがって、少ない量の現像液でより確実に液層を形成することが可能になる。
【0062】
なお、本例では、時点t11〜t6の期間において現像液が継続して吐出されるが、時点t11から所定量の現像液が吐出された後、現像液の吐出が一旦停止されてもよい。
【0063】
(5)さらに他の動作例
上記の例では、液層形成工程において現像液ノズル21が現像液を吐出しつつ基板Wの中心部の上方と周縁部の上方との間を移動するが、これに限らず、現像液ノズル21が基板Wの中心部の上方で継続的に現像液を吐出してもよい。
【0064】
また、現像処理工程において、基板Wの回転を停止させずに、例えば200rpm未満の低速で基板Wの回転を維持してもよい。その場合にも、基板Wの回転速度を段階的に下降させることにより、基板W上に現像液の液層が薄く引き延ばされた状態を安定に維持することができる。
【0065】
(6)請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
【0066】
上記実施の形態では、スピンチャック10およびモータ11が回転保持手段の例であり、現像液ノズル21が現像液供給手段の例である。
【0067】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、種々の基板の処理に有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】現像装置の構成を示す平面図である。
【図2】図1の現像装置のQ−Q線断面図である。
【図3】現像液ノズルの概略斜視図である。
【図4】現像装置の制御系を示すブロック図である。
【図5】基板の現像処理時における基板の回転速度、現像液の流量およびリンス液の流量の変化を示すタイミング図である。
【図6】液層形成工程における現像装置の動作について説明するための模式的平面図および側面図である。
【図7】現像液の液層の形成過程を示す斜視図および側面図である。
【図8】液層形成工程の他の例における基板の回転速度、現像液の流量およびリンス液の流量の変化を示すタイミング図である。
【図9】基板上に供給された現像液の状態を示す平面図および側面図である。
【符号の説明】
【0070】
10 スピンチャック
11 モータ
16 ガイドレール
17 アーム駆動部
18 ノズルアーム
19 リンス液吐出ノズル
21 現像液ノズル
22 現像液吐出口
100 現像装置
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を略水平に保持しつつその基板に垂直な軸の周りで回転させる回転保持手段と、
前記回転保持手段により回転する基板上に現像液の液層を形成する液層形成手段とを備え、
前記回転保持手段は、前記液層形成手段による現像液の液層の形成時に基板を第1の回転速度で回転させ、現像液の液層の形成後に基板の回転速度を前記第1の回転速度から段階的に下降させることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記液層形成手段は、基板の中心部から周縁部に連続的に現像液を供給した後、基板の周縁部から中心部に連続的に現像液を供給することを特徴とする請求項1記載の現像装置。
【請求項3】
前記回転保持手段は、前記液層形成手段により基板の中心部から周縁部に連続的に現像液が供給される期間に基板を前記第1の回転速度よりも高い第2の回転速度で回転させ、前記液層形成手段により基板の周縁部から中心部に連続的に現像液が供給される期間に基板を前記第1の回転速度で回転させることを特徴とする請求項2記載の現像装置。
【請求項4】
前記回転保持手段は、前記液層形成手段による現像液の液層の形成前に基板を前記第1の回転速度よりも低い第3の回転速度から第1の回転速度以上の第4の回転速度に上昇させ、
前記液層形成手段は、基板が前記第3の回転速度で回転する状態で基板の中心部に現像液を供給することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の現像装置。
【請求項5】
基板を略水平に保持しつつ基板に垂直な軸の周りで回転させる工程と、
第1の回転速度で回転する基板上に現像液の液層を形成する工程と、
現像液の液層の形成後に基板の回転速度を前記第1の回転速度から段階的に下降させる工程とを備えることを特徴とする現像方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−231618(P2009−231618A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−76565(P2008−76565)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(506322684)株式会社SOKUDO (158)
【Fターム(参考)】