説明

現像装置及び画像形成装置

【課題】リーク現象の発生の抑制しつつ、良好な画像濃度を達成することができる、タッチダウン方式の現像装置を提供することを目的とする。
【解決手段】像担持体の表面に形成された静電潜像をトナー像として顕像化させる現像装置であって、トナーとキャリアとを含む2成分現像剤を表面上に担持して、担持した2成分現像剤を搬送する磁気ローラと、前記像担持体及び前記磁気ローラのそれぞれに対向して配置され、前記磁気ローラによって搬送された2成分現像剤と接触又は近接して、前記2成分現像剤中のトナーを表面上に担持して、担持したトナーを前記像担持体の近傍まで搬送する現像ローラとを備え、前記現像ローラとして、少なくとも表面部が酸化チタン粒子と樹脂とを含有する樹脂層で構成されるローラを用いる現像装置を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置及び前記現像装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ、及びこれらの複合機等の電子写真方式を利用した画像形成装置に用いられる現像装置としては、種々の現像方式の現像装置があるが、例えば、いわゆる、タッチダウン現像方式の現像装置が、高画質な画像が形成できる点等から好適に用いられている。タッチダウン現像方式の現像装置は、現像剤として、トナーとキャリアとを含む2成分現像剤を用いる現像装置であって、2成分現像剤を担持して搬送する磁気ローラ(現像剤担持体)と、像担持体及び前記磁気ローラのそれぞれに対向して配置され、2成分現像剤中のトナーを担持して搬送する現像ローラ(トナー担持体)とを備える現像装置である。すなわち、2成分現像剤を磁気ローラの表面上に担持させて搬送し、搬送された2成分現像剤を、現像ローラと接触又は近接させることによって、前記2成分現像剤中のトナーを現像ローラの表面上に移行させ、移行されたトナーを現像ローラに担持して前記像担持体の近傍まで搬送し、搬送されたトナーを前記像担持体の表面に向かって飛翔させて現像する現像装置である。このような現像装置を備えた画像形成装置は、前記現像装置によって形成されたトナー像を用紙等の記録媒体に転写し、その後、そのトナー像を記録媒体に定着させることによって、画像を記録媒体上に形成する。
【0003】
そして、前記現像装置は、現像ローラと感光体ドラムとが離間しており、現像ローラによって搬送されたトナーを感光体ドラムに飛翔させる際、感光体ドラム(D)と現像ローラの現像スリーブ(S)との間(DS間)に電圧を印加して、DS間に電界を形成させる。
【0004】
また、前記現像ローラとしては、例えば、表面部が樹脂層で構成されるローラ等が用いられる。そして、前記樹脂層に、抵抗調整剤として導電材を添加して、前記樹脂層の、表面抵抗率等の抵抗値を調整している。また、前記導電材としては、コスト等の関係から、通常、カーボンブラックが用いられている。そして、カーボンブラックは、導電性が高く、樹脂層の抵抗率を低くする性能が高い導電材料であるので、樹脂層を比較的高い抵抗値、すなわち中程度の抵抗値に安定して調整することが困難であった。そこで、導電材としてカーボンブラックを用い、比較的低い抵抗値になるように、樹脂層の抵抗値を調整した現像ローラ等が用いられている。
【0005】
一方、現像装置は、画像形成速度の高速化のために、現像時間の短時間化が求められている。この要求を満たすためには、例えば、DS間に印加する電圧を高電圧化し、DS間に電界強度の強い電界を形成させることが考えられる。しかしながら、強い電界強度を形成させた場合、離間している現像ローラと感光体ドラムとの間にリーク電流が流れる、いわゆるリーク現象が発生しやすくなってしまう傾向があった。このリーク現象の発生を抑制するためには、上述したような樹脂層を備える現像ローラの場合、樹脂層に添加させるカーボンブラックの量を少なくして、樹脂層の抵抗値を高めることが考えられる。
【0006】
しかしながら、カーボンブラックの添加量を少なくして、樹脂層の抵抗値を高めた場合、画像濃度が低下するという問題があった。このことは、DS間に電圧を印加すると、前記現像ローラの表面に電荷が蓄積されやすく、その表面に蓄積された電荷によって、現像ローラによって搬送されるトナー量が低下するためであると考えられる。
【0007】
したがって、カーボンブラックの添加量を調整して、リーク現象の発生を抑制しつつ、良好な画像濃度の画像を得ることは、困難であった。また、アモルファスシリコン感光体の絶縁破壊電圧は、1.6kV程度であり、有機感光体の絶縁破壊電圧は、6.0kV程度であるので、像担持体として、アモルファスシリコン感光体を用いた場合、アモルファスシリコン感光体が有機感光体と比較してリーク現象の発生しやすいものである。よって、像担持体として、アモルファスシリコン感光体を用いた場合、リーク現象の発生の抑制しつつ、良好な画像濃度を達成することは、特に困難であった。
【0008】
また、表面部が樹脂層で構成される現像ローラを備えた他の現像方式の現像装置としては、例えば、下記特許文献1に記載の現像装置が挙げられる。特許文献1には、基体と、前記基体上に形成された、被覆層用結着樹脂及び正帯電性物質を含有する樹脂層とを有する現像ローラを備え、現像剤として、結着樹脂及び着色剤を含有し、所定の円形度を有するトナー粒子と導電性微粒子とを有する現像剤を用いる2成分現像装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−162145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したように、タッチダウン方式の現像装置において、2成分現像剤中のトナーを搬送する現像ローラの表面部を構成する樹脂層の抵抗値をカーボンブラックで調整することによって、リーク現象の発生を抑制しつつ、良好な画像濃度を有する画像を得ることは、困難であった。
【0011】
また、特許文献1においては、現像ローラの表面に被覆される樹脂層に、正帯電性物質とともに、導電性物質を含有しているが、この導電性物質は、現像ローラで搬送する、トナーとキャリアとを含む2成分現像剤の過剰帯電を防止するために添加している。そして、2成分現像剤を搬送する現像ローラは、2成分現像剤に含まれるトナーのみを搬送するものとは異なるものであり、表面に被覆された樹脂層に求められる性能が異なる。すなわち、導電性物質の種類や添加量を調整して、リーク現象の発生を抑制しつつ、良好な画像濃度を達成することを目指すものではなかった。したがって、現像ローラの表面に被覆される樹脂層に、正帯電性物質とともに、2成分現像剤の過剰帯電を防止するために導電性物質が添加された現像ローラを、タッチダウン方式の現像装置にそのまま適用しても、リーク現象の発生の抑制しつつ、良好な画像濃度を達成することができなかった。なお、特許文献1には、導電性物質として、カーボンブラック等のカーボン系の材料とともに、酸化チタンが例示されている。しかしながら、実施例で実際に検討しているのがカーボン系の材料であることから、特許文献1においては、酸化チタンが、タッチダウン方式の現像装置に用いられる現像ローラの樹脂層に添加して、リーク現象の抑制と画像濃度の向上の両立を図ることができるものとは、全く認識されていなかったことがわかる。
【0012】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、タッチダウン方式の現像装置であって、リーク現象の発生の抑制しつつ、良好な画像濃度を達成することができる現像装置を提供することを目的とする。また、前記現像装置を備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者等は、詳細に検討した結果、現像ローラの表面部を構成する樹脂層に一般的に含有される導電材、例えば、カーボンブラックを用いた場合、リーク現象の発生を抑制するために、導電材の添加量を減らすと、良好な画像濃度を達成することが困難な理由として、DS間に電圧を印加すると、前記現像ローラの表面に電荷が蓄積されやすくなるためであると考えた。そして、その表面に蓄積された電荷によって、現像ローラによって搬送されるトナー量が低下すると考えた。さらに、電荷が蓄積されやすい理由としては、導電材の添加量を減らしたために、各導電材間の距離が長くなったためであると考えた。これらのことから、現像ローラの表面部を構成する樹脂層に一般的に含有される導電材、例えば、カーボンブラックより抵抗値が高い粒子を用い、その添加量を高めればよいと考えられる。
【0014】
しかしながら、抵抗値が単に高い粒子を多く添加して用いただけでは、長期間にわたって画像形成を行うと、画像濃度が低下し、良好な画像濃度を達成することができない場合があった。このことは、DS間に電圧を印加した際、現像ローラ表面の電位の上昇が緩やかな場合があるためと考えられる。
【0015】
そこで、本発明者等は、導電材の種類を鋭意検討した結果、以下のような本発明に想到するに到った。
【0016】
本発明の一態様に係る現像装置は、像担持体の表面に形成された静電潜像をトナー像として顕像化させる現像装置であって、トナーとキャリアとを含む2成分現像剤を表面上に担持して、担持した2成分現像剤を搬送する磁気ローラと、前記像担持体及び前記磁気ローラのそれぞれに対向して配置され、前記磁気ローラによって搬送された2成分現像剤と接触又は近接して、前記2成分現像剤中のトナーを表面上に担持して、担持したトナーを前記像担持体の近傍まで搬送する現像ローラとを備え、前記現像ローラとして、少なくとも表面部が酸化チタン粒子と樹脂とを含有する樹脂層で構成されるローラを用いることを特徴とする。
【0017】
上記の構成によれば、タッチダウン方式の現像装置であって、リーク現象の発生の抑制しつつ、良好な画像濃度を達成することができる現像装置を提供することができる。
【0018】
このことは、以下のことによると考えられる。
【0019】
まず、酸化チタン粒子は、現像ローラの表面部を構成する樹脂層に一般的に含有される導電材、例えば、カーボンブラックより抵抗値が高いだけではなく、比誘電率が30以上と高いものである。
【0020】
そして、酸化チタン粒子は、上述したように、抵抗値が比較的高い粒子であるので、樹脂層中に比較的多く含有させて、導電材である各酸化チタン粒子間の距離が短くすることによって、現像ローラの樹脂層における電荷の蓄積を抑制することができる。さらに、酸化チタン粒子が、抵抗値の比較的高い粒子であるので、酸化チタン粒子を比較的高充填にしても、前記現像ローラの樹脂層の抵抗値を高く維持することができ、リーク現象の発生を抑制することができると考えられる。よって、電荷の蓄積による画像濃度の低下を抑制しつつ、リーク現象の発生を抑制することができると考えられる。
【0021】
さらに、酸化チタン粒子は、比誘電率が高いので、樹脂層の静電容量を充分に高めることができると考えられる。そのために、低い電圧で電荷を蓄積させることが可能となり、現像ローラの電位上昇を低く抑えることができると考えられる。
【0022】
現像ローラの電位上昇を低く抑えることができるので、経時的な電位上昇も抑制されると考えられる。よって、長期間にわたって画像形成を行っても、画像濃度の低下が抑制させると考えられる。
【0023】
したがって、リーク現象の発生の抑制しつつ、良好な画像濃度を達成することができると考えられる。
【0024】
また、前記現像装置において、前記現像ローラの表面抵抗率が、1×1012Ω/□未満であることが好ましい。このような構成によれば、リーク現象の発生のより抑制しつつ、より良好な画像濃度を達成することができる。特に、長期間にわたって画像形成を行った際の画像濃度の低下をより抑制できる。このことは、前記現像ローラの表面抵抗率が、1×1012Ω/□未満となるように、前記現像ローラの樹脂層に、上述したような、抵抗値が高く、さらに比誘電率の高い酸化チタン粒子を含有させることによって、前記樹脂層の静電容量をより高められるためと考えられる。
【0025】
また、前記現像装置において、前記酸化チタン粒子の含有量が、前記樹脂100質量部に対して、70〜300質量部であることが好ましい。このような構成によれば、リーク現象の発生のより抑制しつつ、より良好な画像濃度を達成することができる。このことは、酸化チタン粒子の脱落を抑制でき、さらに、リーク現象の発生の抑制と、良好な画像濃度との両立を図る効果を充分に発揮できる好適な含有量であるためであると考えられる。
【0026】
また、前記現像装置において、前記酸化チタン粒子の平均一次粒子径が、10〜50nmであることが好ましい。このような構成によれば、リーク現象の発生のより抑制しつつ、より良好な画像濃度を達成することができる。このことは、酸化チタン粒子を樹脂に比較的高充填させた場合、樹脂中に酸化チタン粒子が比較的均一に分散するためであると考えられる。よって、酸化チタン粒子を比較的高充填にしても、前記現像ローラの樹脂層の抵抗値を高く維持することができ、リーク現象の発生を抑制することができると考えられる。
【0027】
また、本発明の他の一態様に係る画像形成装置は、前記現像装置と像担持体とを備えることを特徴とする。
【0028】
上記の構成によれば、リーク現象の発生の抑制しつつ、良好な画像濃度を、長期間にわたって画像形成を行っても維持できる、高画質な画像を形成することができる画像形成装置を提供することができる。
【0029】
また、前記画像形成装置において、前記像担持体が、アモルファスシリコン感光体であることが好ましい。
【0030】
アモルファスシリコン感光体は、一般的に、有機感光体と比較して、表面が摩耗しにくく、耐久性が高いが、リーク現象が発生しやすいことが知られている。このようなアモルファスシリコン感光体を用いた場合であっても、前記現像装置と組み合わせて用いることによって、リーク現象を抑制することができ、高画質な画像を形成することができる画像形成装置を提供することができる。すなわち、得られた画像形成装置は、像担持体の耐久性を高めつつ、リーク現象の発生を抑制することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、タッチダウン方式の現像装置であって、リーク現象の発生の抑制しつつ、良好な画像濃度を達成することができる現像装置を提供することができる。また、前記現像装置を備える画像形成装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施形態に係る現像装置が適用された画像形成装置(複写機)の構成を示す概略図である。
【図2】図1に示す複写機の画像形成部周辺を示す模式図である。
【図3】本発明の実施形態に係る現像装置が適用された、他の画像形成装置の構成を示す概略図である。
【図4】本発明の実施形態に係る現像装置を示す概略断面図である。
【図5】現像ローラの構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明に係る実施形態について説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0034】
本発明の実施形態に係る現像装置が適用された画像形成装置として、図1に示す複写機60を例に挙げて説明する。なお、図1は、本発明の実施形態に係る現像装置が適用された画像形成装置(複写機)の構成を示す概略図である。この複写機60は、複写機本体の下部に配設された給紙部200と、この給紙部200の上方に配設された画像形成部300と、この画像形成部300よりも排出側に配設された定着部400と、複写機本体の上部に配設された画像読取部500と、複写機本体と画像読取部500との間に配置された排紙部600とを含む、いわゆる胴内排紙型の複写機である。なお、複写機本体には、前記給紙部200、前記画像形成部300、前記定着部400、及び前記排紙部600を繋ぐ用紙搬送部100が備えられている。
【0035】
前記画像形成部300は、電子写真方式によって用紙に所定のトナー像を形成するものであり、回転可能に軸支された感光体ドラム301と、この感光体ドラム301の周囲にその回転方向Aに沿って、帯電ユニット302と、露光ユニット303と、現像ユニット(現像装置)20と、転写ユニット305と、クリーナー306とを備えている。現像ユニット20は、静電潜像をトナーにより現像して、感光体ドラム301の表面にトナー像を形成するものである。
【0036】
前記定着部400は、前記画像形成部300の用紙搬送方向の下流側に配置され、前記画像形成部300においてトナー像が転写された用紙を、一対のローラ(加熱ローラ401及び加圧ローラ402)によって挟んで加熱し、用紙上にトナー像を定着させるものである。
【0037】
前記画像読取部500は、不図示のコンタクトガラス上に載置された原稿に、露光ランプから光を照射し、その反射光を反射鏡を介して光電変換部に導くことにより、原稿の画像情報を読み取るものである。
【0038】
前記給紙部200は、複数の給紙カセット201,202,221を備える。このうちの給紙カセット221は、複写機側面から用紙を補充するバイパストレイとなっており、蓋部222により閉じることができる。
【0039】
それぞれの給紙カセット201,202,221には用紙搬送路110が接続され、この用紙搬送路110は、画像形成部300に向かい、さらに定着部400を経て排紙部600に向かっている。これらの用紙搬送路110により前記用紙搬送部100が構成されている。また複写が完了した用紙は、排紙部600の排出ローラ対605から排出トレイ610上に排出される。
【0040】
図2は、前記複写機60の画像形成部300周辺を示す模式図である。前記画像形成部300は、電子写真プロセスによって記録紙115に所定のトナー像を形成する部分であり、感光性を有する感光体ドラム301の周囲に、感光体ドラム301の回転方向Aに沿って順に、帯電ユニット302、露光ユニット303、現像ユニット20、転写ユニット305、除電ユニット307、及びクリーニングユニット306を備えている。なお、前記除電ユニット307と前記クリーニングユニット306とが逆の配置であっても良い。
【0041】
前記帯電ユニット302は、コロナ放電を発生させることによって感光体ドラム301の表面に所定電位を与えるものである。前記露光ユニット303は、所望の画像に対応する光を照射することにより感光体ドラム301の表面電位を選択的に減衰させて静電潜像を形成するものである。前記現像ユニット20は、感光体ドラム301の表面に形成された静電潜像をトナーにより現像して、トナー像を形成するものであって、後述する、いわゆるタッチダウン方式の現像装置である。前記転写ユニット305は、感光体ドラム301上に形成されたトナー像を記録紙115上に転写するものである。前記除電ユニット307は、感光体ドラム301の残留表面電荷をランプ光によって除電するものである。前記クリーニングユニット306は、ファーブラシ316とゴムブレード326とにより構成されており、感光体ドラム301の表面に残留したトナーやその添加剤等を除去するものである。なお、図示例のクリーニングユニット306は、ファーブラシ316とゴムブレード326との両方を有するが、一方のみを有するクリーニングユニット306の場合もある。
【0042】
前記画像形成部300でトナー像が転写された記録紙115は、定着部400(加熱ローラ401及び加圧ローラ402)により熱と圧力とが加えられてトナー像が定着され、その後排紙ローラ(図示せず)によって排紙トレイ上に排出されるようになっている。
【0043】
なお、本実施形態に係る画像形成装置は、後述する現像装置を備えるものであれば、特に限定されない。
【0044】
具体的には、前記画像形成装置として、複写機を例に挙げて説明したが、これに限定するものではなく、電子写真方式を利用した画像形成装置であれば、ファクシミリ装置、及びプリンタ等であってもよい。
【0045】
また、像担持体として、ドラム状の感光体である感光体ドラムを例に挙げて説明したが、これに限定するものではなく、ベルト状の感光体、及びシート状の感光体等に対しても適用できる。
【0046】
さらに、前記画像形成装置は、用紙に直接トナー像を転写する装置であったが、このような画像形成装置に限定されない。例えば、図3に示すような、複数色のトナー像を中間転写ベルトに、一旦転写して、その中間転写ベルトに転写された複数色のトナー像を用紙に転写する、いわゆるタンデム方式のカラー画像形成装置であってもよい。
【0047】
図3は、本発明の実施形態に係る現像装置が適用された、他の画像形成装置の構成を示す概略図である。
【0048】
この画像形成装置1は、図3に示すように、箱型の機器本体1aを有している。この機器本体1a内には、用紙Pを給紙する給紙部2と、この給紙部2から給紙された用紙Pを搬送しながら当該用紙Pに画像データ等に基づくトナー像を転写する画像形成部3と、この画像形成部3で用紙P上に転写された未定着トナー像を用紙Pに定着する定着処理を施す定着部4とが設けられている。さらに、前記機器本体1aの上面には、前記定着部4で定着処理の施された用紙Pが排紙される排紙部5が設けられている。
【0049】
前記給紙部2は、給紙カセット121、ピックアップローラ122、給紙ローラ123,124,125、及びレジストローラ対126を備えている。給紙カセット121は、機器本体1aから挿脱可能に設けられ、各サイズの用紙Pを貯留する。ピックアップローラ122は、給紙カセット121の図1に示す左上方位置に設けられ、給紙カセット121に貯留されている用紙Pを1枚ずつ取り出す。給紙ローラ123,124,125は、ピックアップローラ122によって取り出された用紙Pを用紙搬送路に送り出す。レジストローラ対126は、給紙ローラ123,124,125によって用紙搬送路に送り出された用紙Pを一時待機させた後、所定のタイミングで2次転写ローラ32とバックアップローラ35との間の2次転写ニップに供給する。
【0050】
また、給紙部2は、機器本体1aの図1に示す左側面に取り付けられる不図示の手差しトレイとピックアップローラ127とをさらに備えている。このピックアップローラ127は、手差しトレイに載置された用紙Pを取り出す。ピックアップローラ127によって取り出された用紙Pは、給紙ローラ123,125によって用紙搬送路に送り出され、レジストローラ対126によって、所定のタイミングで2次転写ローラ32とバックアップローラ35との間の2次転写ニップに供給される。
【0051】
前記画像形成部3は、画像形成ユニット7と、この画像形成ユニット7によってその表面(接触面)にコンピュータ等から電送された画像データに基づくトナー像が1次転写される中間転写ベルト31と、この中間転写ベルト31上のトナー像を給紙カセット21から送り込まれた用紙Pに2次転写させるための2次転写ローラ32とを備えている。
【0052】
前記画像形成ユニット7は、上流側(図3では右側)から下流側に向けて順次配設されたブラック用ユニット7Kと、イエロー用ユニット7Yと、シアン用ユニット7Cと、マゼンタ用ユニット7Mとを備えている。各ユニット7K,7Y,7C及び7Mは、それぞれの中央位置に像担持体としての感光体ドラム301が矢符(時計回り)方向に回転可能に配置されている。そして、各感光体ドラム301の周囲には、帯電器39、露光装置38、現像装置(現像ユニット)20、不図示のクリーニング装置及び除電器等が、感光体ドラム301の回転方向上流側から順に各々配置されている。
【0053】
帯電器39は、矢符方向に回転されている感光体ドラム37の周面を均一に帯電させる。帯電器39としては、例えば、非接触型放電方式のコロトロン型およびスコロトロン型の帯電器、接触方式の帯電ローラおよび帯電ブラシ等が挙げられる。露光装置38は、いわゆるレーザ走査ユニットであり、帯電器39によって均一に帯電された感光体ドラム301の周面に、画像読取装置等から入力された画像データに基づくレーザ光を照射し、感光体ドラム301上に画像データに基づく静電潜像を形成する。前記現像ユニット20は、感光体ドラム301の表面に形成された静電潜像をトナーにより現像して、トナー像を形成するものであって、後述する、いわゆるタッチダウン方式の現像装置である。そして、このトナー像が中間転写ベルト31に1次転写される。クリーニング装置は、中間転写ベルト31へのトナー像の1次転写が終了した後、感光体ドラム37の周面に残留しているトナーを清掃する。除電器は、1次転写が終了した後、感光体ドラム37の周面を除電する。クリーニング装置及び除電器によって清浄化処理された感光体ドラム37の周面は、新たな帯電処理のために帯電器へ向かい、新たな1次転写が行われる。
【0054】
中間転写ベルト31は、無端状のベルト状回転体であって、表面(接触面)側が各感光体ドラム301の周面にそれぞれ当接するように駆動ローラ33、従動ローラ34、バックアップローラ35、及び一次転写ローラ36等の複数のローラに架け渡されている。また、中間転写ベルト31は、各感光体ドラム301と対向配置された一次転写ローラ36によって感光体ドラム301に押圧された状態で、前記駆動ローラ33によって無端回転するように構成されている。駆動ローラ33は、ステッピングモータ等の駆動源によって回転駆動し、中間転写ベルト31を無端回転させるための駆動力を与える。従動ローラ34、バックアップローラ35、及び一次転写ローラ36は、回転自在に設けられ、駆動ローラ33による中間転写ベルト31の無端回転に伴って従動回転する。これらのローラ34,35,36は、駆動ローラ33の主動回転に応じて中間転写ベルト31を介して従動回転するとともに、中間転写ベルト31を支持する。
【0055】
1次転写ローラ36は、1次転写バイアス(トナーの帯電極性とは逆極性)を中間転写ベルト31に印加する。そうすることによって、各感光体ドラム37上に形成されたトナー像は、各感光体ドラム37と1次転写ローラ36との間で、駆動ローラ33の駆動により矢符(反時計回り)方向に周回する中間転写ベルト31に重ね塗り状態で順次転写(1次転写)される。
【0056】
2次転写ローラ32は、トナー像と逆極性の2次転写バイアスを用紙Pに印加する。そうすることによって、中間転写ベルト31上に1次転写されたトナー像は、2次転写ローラ32とバックアップローラ35との間の2次転写ニップで用紙Pに転写され、これによって、用紙Pにカラーの転写画像(未定着トナー像)が転写される。
【0057】
前記定着部4は、2次転写ニップで用紙Pに転写された転写画像に定着処理を施すものであり、通電発熱体により加熱される加熱ローラ41と、この加熱ローラ41に対向配置され、周面が加熱ローラ41の周面に押圧当接される加圧ローラ42とを備えている。
【0058】
そして、前記2次転写ニップで2次転写ローラ32により用紙Pに転写された転写画像は、当該用紙Pが加熱ローラ41と加圧ローラ42との間を通過する際の加熱による定着処理で用紙Pに定着される。そして、定着処理の施された用紙Pは、排紙部5へ排紙されるようになっている。また、本実施形態の画像形成装置1では、定着部4と排紙部5との間に適所に搬送ローラ対6が配設されている。
【0059】
排紙部5は、画像形成装置1の機器本体1aの頂部が凹没されることによって形成され、この凹没した凹部の底部に排紙された用紙Pを受ける排紙トレイ51が形成されている。
【0060】
以下、前記画像形成装置に用いられる、本発明の実施形態に係る現像ユニット(現像装置)20について説明する。本発明の実施形態に係る現像装置は、図4に示すような、いわゆるタッチダウン方式の現像装置である。すなわち、像担持体の表面に形成された静電潜像をトナー像として顕像化させる現像装置であって、トナーとキャリアとを含む2成分現像剤を表面上に担持して、担持した2成分現像剤を搬送する磁気ローラと、前記像担持体及び前記磁気ローラのそれぞれに対向して配置され、前記磁気ローラによって搬送された2成分現像剤と接触又は近接して、前記2成分現像剤中のトナーを表面上に担持して、担持したトナーを前記像担持体の近傍まで搬送する現像ローラとを備える現像装置である。そして、前記現像ローラとして、少なくとも表面部が酸化チタン粒子と樹脂とを含有する樹脂層で構成されるローラを用いることを特徴とするものである。
【0061】
図4は、前記現像装置20を示す概略断面図であり、感光体ドラム301とともに図示している。
【0062】
前記現像装置20は、タッチダウン現像方式の現像装置であり、現像ローラ61、磁気ローラ62、撹拌ローラ63,64、及びブレード65等を備える。
【0063】
撹拌ローラ63,64は、らせん状羽根を有しており、互いに逆方向に2成分現像剤を搬送しながら攪拌して、2成分現像剤のトナーを帯電させる。さらに、撹拌ローラ63は、帯電させたトナーとキャリアとを含む2成分現像剤を磁気ローラ62に供給する。
【0064】
磁気ローラ62は、内部に固定配置された磁石によって2成分現像剤を吸着させて、2成分現像剤を搬送する。その際、2成分現像剤は、磁気ローラ62の内部の磁石によって磁気ブラシとなっており、ブレード65と磁気ローラ62との間を磁気ブラシが通過する際に、磁気ブラシの厚さが規制される。そして、現像ローラ61の近傍まで搬送された2成分現像剤中のトナーが、現像ローラ61と磁気ローラ62との間に印加した電圧によって、現像ローラ61に移行する。
【0065】
現像ローラ61は、磁気ローラ62から移行されたトナーを、表面に担持して搬送する。そして、感光体ドラム301の近傍まで搬送されたトナーが、感光体ドラム301と現像ローラ61との間の電位差が所定条件を満たした時、感光体ドラム301に移行する。
【0066】
以上の動作によって、現像装置20は、感光体ドラム301上に形成されている静電潜像に基づく現像を行う。
【0067】
次に、タッチダウン現像方式の現像装置20に備えられる現像ローラ61について説明する。図5は、タッチダウン現像方式の現像装置20に備えられる現像ローラ61の構成を示す概略図である。図5(a)は、現像ローラ61の一例の断面図であり、図5(b)は、図5(a)に示す現像ローラ61の斜視図であり、図5(c)は、現像ローラ61の他の一例の断面図であり、図5(d)は、図5(c)に示す現像ローラ61の斜視図である。
【0068】
まず、図5(a)に示す現像ローラ61について説明する。
【0069】
前記現像ローラ61は、図5(a)及び図5(b)に示すように、円筒状の回転スリーブ13と、この回転スリーブ13に内包される固定軸15とからなり、この固定軸15の位置が固定された状態でその周囲を前記回転スリーブ13が回転する構成となっている。
【0070】
前記回転スリーブ13は、図5(a)及び図5(b)に示すように、基材19上に樹脂層18が被覆されている。基材19は、例えば、アルミニウムやスレンレス鋼等によって構成された円筒状部材である。また、前記固定軸15は、現像ユニット20に軸支されるシャフト22に、複数個のリブ28によって連結されている。
【0071】
樹脂層18は、酸化チタン粒子と樹脂とを含有していれば、特に限定されない。前記樹脂としては、具体的には、例えば、ポリアミド樹脂等のポリアミド系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン変性ウレタン樹脂やポリアミドウレタン樹脂等が挙げられる。
【0072】
また、酸化チタン粒子としては、特に限定されないが、平均一次粒子径が、10〜50nmであるものが好ましい。酸化チタン粒子が小さすぎると、再凝集が発生し、分散が困難であるという傾向がある。また、酸化チタン粒子が大きすぎると、樹脂に保持する事が困難であり、樹脂から離脱してしまうという傾向がある。また、膜表面の粗さが粗くなり、樹脂層18表面にトナー等が付着するという傾向がある。
【0073】
なお、酸化チタンの平均一次粒子径は、製品の規格値や一般的な粒度計等を用いての測定等からわかる。具体的には、例えば、CBC株式会社製の振動式粘度計を用いて測定することができる。
【0074】
また、現像ローラ61の表面抵抗率、すなわち、樹脂層18の表面抵抗率が、1×1012Ω/□未満であることが好ましく、1×10〜1×1011Ω/□であることがより好ましい。現像ローラ61の表面抵抗率が小さすぎると、感光体ドラム(D)と現像ローラの現像スリーブ(S)との間(DS間)にリークが発生するという傾向がある。また、現像ローラ61の表面抵抗率が大きすぎると、画像濃度が低下するという傾向がある。
【0075】
なお、現像ローラ61の表面抵抗率は、例えば、JIS K 6911に準拠の方法により測定した。より具体的には、例えば、株式会社三菱化学アナリテック製のハイレスタUP MCP−HT450型等を用いて測定することができる。
【0076】
また、酸化チタン粒子の含有量としては、特に限定されない。具体的には、例えば、現像ローラの表面抵抗率が上記範囲内になるような含有量が好ましく、前記樹脂100質量部に対して、70〜300質量部であることがより好ましい。酸化チタン粒子の含有量が少なすぎると、ローラ内に電荷が溜り、連続通紙時に急激な濃度ダウンが発生するという傾向がある。また、酸化チタン粒子の含有量が多すぎると、酸化チタンと樹脂との結着性が弱まり、寿命評価において、樹脂層18の膜削れが発生するという傾向がある。
【0077】
前記樹脂層18の厚みは、2〜15μmであることが好ましい。
【0078】
次に、図5(c)に示す現像ローラ61について説明する。
【0079】
前記現像ローラ61は、図5(c)及び図5(d)に示すように、ローラ本体24と、ローラ本体24の表面上に被覆された樹脂層23とを含む。ローラ本体24は、ローラ本体24の両端に勘合されたフランジ(ベアリング入り)によって、シャフト25に対して回転自在に軸支されている。そして、一端側のフランジにはギアが設けられていて外部からの駆動力を受ける。ローラ本体24は、例えば、アルミニウム製やステンレス鋼製のいわゆる三ツ矢管等である。樹脂層23は、前記樹脂層18と同様のものを使用できる。
【0080】
また、前記現像ローラ61の製造方法としては、特に限定されない。具体的には、図5(a)に示す現像ローラ61の場合、例えば、前記樹脂と酸化チタン粒子とを含む樹脂組成物を基材19上に塗布し、加熱する。そうすることによって、基材19上に樹脂層18が形成され、前記現像ローラ61が製造される。また、図5(c)に示す現像ローラ61の場合、例えば、前記樹脂と酸化チタン粒子とを含む樹脂組成物をローラ本体24上に塗布し、加熱する。そうすることによって、ローラ本体24上に樹脂層23が形成され、前記現像ローラ61が製造される。そして、前記樹脂組成物は、前記樹脂と酸化チタン粒子とを含んでいればよく、例えば、基材19上に均一に塗布するために、溶媒を添加して、酸化チタン粒子が分散した状態の樹脂溶液としてもよい。その際、固形分濃度70〜200質量%となるように調整することが好ましい。また、溶媒としては、例えば、シクロヘキサンやメチルエチルケトン等が挙げられる。また、加熱温度としては、例えば、100〜150℃であることが好ましく、加熱時間としては、例えば、10〜50分間であることが好ましい。
【0081】
タッチダウン方式の現像装置の現像ローラとして、前記現像ローラ61を用いることによって、リーク現象の発生を抑制しつつ、良好な画像濃度を達成することができる現像装置が得られる。
【実施例】
【0082】
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。
【0083】
実施例及び比較例に係る画像形成装置は、複写機(京セラミタ株式会社製のTASKalfa 400ci)の現像装置の現像ローラを、以下の現像ローラに交換したものである。なお、交換する現像ローラは、後述するような、表面に樹脂層を設けた現像ローラである。
【0084】
[実施例1]
まず、実施例1に係る現像ローラの製造方法を以下に示す。
【0085】
現像ローラとしては、図5(a)及び図5(b)に示すような、表面に樹脂層を備えた現像ローラを作製した。
【0086】
具体的には、まず、ポリアミドウレタン樹脂(信越化学工業株式会社製)100質量部と、平均一次粒子径20nmの酸化チタン粒子200質量部とを、固形分濃度20質量%となるように、メチルエチルケトンに混合した。混合して得られた樹脂組成物を、最終的に得られる樹脂層の層厚が2μmとなるように、直径300mmのアルミニウム製のスリーブをローラの表面に、スプレー法で塗布した。その後、80℃で0.5時間加熱乾燥させた。そうすることによって、実施例1に係る現像ローラが得られた。得られた現像ローラは、表面部が樹脂層で構成され、表面抵抗率が3×1011Ω/□であった。なお、現像ローラの表面抵抗率は、株式会社三菱化学アナリテック製のハイレスタUP MCP−HT450型を用いて測定した。また、酸化チタン粒子の平均一次粒子径は、製品の規格値に基づくものである。
【0087】
また、前記画像形成装置の他の構成、及び詳細な現像条件等は、以下に示す通りである。
【0088】
感光体ドラムとしては、直径30mmのアモルファスシリコン感光体(a−Si感光体)を用い、周速(ドラム線速)270mm/秒で回転させ、表面電位を230Vとした。
【0089】
現像ローラとしては、前記現像ローラを用い、周速400mm/秒で回転させた。
【0090】
磁気ローラとしては、直径20mmの、ローレット加工を施した磁気ローラを用い、周速600mm/秒で回転させた。
【0091】
感光体ドラムと現像ローラとの間のギャップ(DSギャップ)は、100μmであり、現像ローラと磁気ローラとの間のギャップ(MSギャップ)は、300μmであった。
【0092】
現像ローラには、ピーク・ツウ・ピーク値Vpp(slv)が1800V、バイアス電圧Vdc(slv)が50V、デューティ比Vduty(slv)が45%、周波数f(slv)が4.7kHzとなるような、交流成分を直流成分に重畳した重畳電圧を印加した。
【0093】
磁気ローラには、ピーク・ツウ・ピーク値Vpp(mag)が2300V、バイアス電圧Vdc(mag)が350V、デューティ比Vduty(mag)が70%、周波数f(mag)が4.7kHzとなるような、交流成分を直流成分に重畳した重畳電圧を印加した。
【0094】
そして、トナー及び現像剤としては、上記複写機(京セラミタ株式会社製のTASKalfa 400ci)に用いられるトナー及び現像剤を用いた。
【0095】
[評価]
(リークの発生)
上記の現像条件で、温度20〜23℃、相対湿度50〜65%RHの、常温常湿度環境下で画像形成を行った。そして、リークの発生が確認されなければ、「○」と評価し、リークの発生が確認されれば、「×」と評価した。
【0096】
(画像濃度)
リークの発生の評価と同様、上記の現像条件で、温度20〜23℃、相対湿度50〜65%RHの、常温常湿度環境下で画像形成を行い、以下の基準で評価した。
【0097】
具体的には、まず、前記現像剤を、画像形成装置の現像剤収容部にセットし、前記画像形成装置の電源を入れて安定させた。その後、常温常湿環境下で、100%ソリッド部を含むサンプル画像を出力した。なお、この画像を初期画像とした。その後、常温常湿環境下で、前記サンプル画像を100枚印刷した。この100枚目に印刷した際に得られた画像を、100枚印刷後画像とした。
【0098】
前記初期画像と前記100枚印刷後画像の100%ソリッド部の画像濃度(反射濃度ID)を、反射濃度計(グレタグマクベス社製の分光光度計 SpectroEyeLT)を用いて測定した。それぞれを、画像濃度ID(初期)と画像濃度ID(100枚後)とした。
【0099】
測定した画像濃度IDがともに1.35以上であれば、「○」と評価し、1.25以上1.35未満であれば、「△」と評価し、1.25未満であれば、「×」と評価した。
【0100】
(研磨性)
まず、前記現像ローラの表面部を構成する樹脂層を形成させるために用いた樹脂組成物を、円板状のアルミ板上に、バーコーダ法を用いて塗布した。その後、80℃で0.5時間加熱乾燥させた。そうすることによって、前記現像ローラの表面部を構成する樹脂層と同組成の樹脂層を、前記アルミ板上に形成させたものが得られた。このアルミ板上に形成された樹脂層を、テーバ摩耗試験機(株式会社東洋精機製作所製の摩耗損量測定装置)を使用し、JIS−K−7204に準拠の方法により、研磨性を評価した。具体的には、前記テーバ摩耗試験機に、砥石としてCS−10を用い、前記樹脂層に、前記砥石を接触させ、さらに、前記砥石1個あたり40gの荷重を加えた状態で、砥石を60rpmで回転させた。前記砥石を1000回転させた後、前記樹脂層の、前記砥石が接触していた領域と接触していなかった領域との高さの差を、削れ量として測定した。そして、その削れ量が0.1μm以下の場合、「○」と評価し、0.1μmを超える場合、「×」と評価した。
【0101】
なお、ここでの削れ量は、現像ローラの表面部を構成する樹脂層と同組成の樹脂層の削れ量であるので、削れ量が小さいほど、現像ローラの樹脂層が摩耗しにくいことを示すことができる。
【0102】
以上の結果を表2に示す。
【0103】
[実施例2]
平均一次粒子径20nmの酸化チタン粒子の代わりに、平均一次粒子径100nmの酸化チタン粒子を用いたこと以外、実施例1と同様である。なお、実施例2で得られた現像ローラは、表面部が樹脂層で構成され、表面抵抗率が3×1011Ω/□であった。そして、実施例1と同様の評価を行った。
【0104】
[実施例3]
平均一次粒子径20nmの酸化チタン粒子を200質量部用いる代わりに、275質量部用いること以外、実施例1と同様である。なお、実施例3で得られた現像ローラは、表面部が樹脂層で構成され、表面抵抗率が1×1011Ω/□であった。そして、実施例1と同様の評価を行った。
【0105】
[実施例4]
平均一次粒子径20nmの酸化チタン粒子を200質量部用いる代わりに、100質量部用いること以外、実施例1と同様である。なお、実施例4で得られた現像ローラは、表面部が樹脂層で構成され、表面抵抗率が1×1012Ω/□であった。そして、実施例1と同様の評価を行った。
【0106】
[実施例5]
平均一次粒子径20nmの酸化チタン粒子を200質量部用いる代わりに、350質量部用いること以外、実施例1と同様である。なお、実施例5で得られた現像ローラは、表面部が樹脂層で構成され、表面抵抗率が5×1010Ω/□であった。そして、実施例1と同様の評価を行った。
【0107】
[実施例6]
平均一次粒子径20nmの酸化チタン粒子の代わりに、平均一次粒子径250nmの酸化チタン粒子を用いたこと以外、実施例1と同様である。なお、実施例6で得られた現像ローラは、表面部が樹脂層で構成され、表面抵抗率が3×1011Ω/□であった。そして、実施例1と同様の評価を行った。
【0108】
[比較例1]
平均一次粒子径20nmの酸化チタン粒子を200質量部用いる代わりに、平均一次粒子径48nmのカーボンブラックを20質量部を用いたこと以外、実施例1と同様である。なお、比較例1で得られた現像ローラは、表面部が樹脂層で構成され、表面抵抗率が5×10Ω/□であった。そして、実施例1と同様の評価を行った。
【0109】
上記の各条件を表1に示し、各実施例及び比較例の評価を表2に示す。
【0110】
【表1】

【0111】
【表2】


表2からわかるように、現像ローラとして、少なくとも表面部が酸化チタン粒子と樹脂とを含有する樹脂層で構成されるローラを用いた場合(実施例1〜6)は、リークの発生を抑制できた。これに対して、酸化チタン粒子の代わりにカーボンブラックを用いた場合(比較例1)は、リークの発生を抑制できなかった。
【0112】
さらに、現像ローラの表面抵抗率が1×1012Ω/□未満の場合(実施例1〜3、実施例5、及び実施例6)は、現像ローラの表面抵抗率が1×1012Ω/□以上の場合(実施例4)と比較して、100枚印刷後であっても、高い画像濃度が保持できた。このことから、現像ローラの表面抵抗率が1×1012Ω/□未満であることが好ましいことがわかった。
【0113】
また、酸化チタン粒子の含有量が、樹脂100質量部に対して、70〜300質量部である場合(実施例1〜4、及び実施例6)は、酸化チタン粒子の含有量が300質量部を超える場合(実施例5)より研磨性の評価が好ましかった。このことから、酸化チタン粒子の含有量が、樹脂100質量部に対して、70〜300質量部であることが好ましいことがわかった。
【符号の説明】
【0114】
13 回転スリーブ
15 固定軸
18,23 樹脂層
19 基材
20 現像装置(現像ユニット)
22,25 シャフト
24 ローラ本体
28 リブ
60 複写機
61 現像ローラ
62 磁気ローラ
63 撹拌ローラ
65 ブレード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体の表面に形成された静電潜像をトナー像として顕像化させる現像装置であって、
トナーとキャリアとを含む2成分現像剤を表面上に担持して、担持した2成分現像剤を搬送する磁気ローラと、
前記像担持体及び前記磁気ローラのそれぞれに対向して配置され、前記磁気ローラによって搬送された2成分現像剤と接触又は近接して、前記2成分現像剤中のトナーを表面上に担持して、担持したトナーを前記像担持体の近傍まで搬送する現像ローラとを備え、
前記現像ローラとして、少なくとも表面部が酸化チタン粒子と樹脂とを含有する樹脂層で構成されるローラを用いることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記現像ローラの表面抵抗率が、1×1012Ω/□未満である請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記酸化チタン粒子の含有量が、前記樹脂100質量部に対して、70〜300質量部である請求項1又は請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記酸化チタン粒子の平均一次粒子径が、10〜50nmである請求項1〜3のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の現像装置と像担持体とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記像担持体が、アモルファスシリコン感光体である請求項5に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−164125(P2011−164125A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−23162(P2010−23162)
【出願日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】