説明

生コンクリートの製造装置

【課題】投入口と排出口とを兼用させることにより、排出口を密閉する開閉蓋を不要として構造を簡単にし、コストの低減を図るとともに、生コンクリートの使用現場で生コンクリートを容易に製造して、使用することができる生コンクリートの製造装置を提供する。
【解決手段】トラックの荷台4に固定された一対の軸受部材9に支持された回転軸11に取付けられた投入口兼用の排出口19を設けた円筒状のコンクリートミキサードラム16と、この投入口兼用の排出口19を投入口部位と排出口部位に固定できるようにコンクリートミキサードラムを回転させることができるコンクリートミキサードラム回動手段と、投入口兼用の排出口19より排出される生コンクリートを受けることができるように、荷台4に設けられたホッパー6とで構成している生コンクリートの製造装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は使用現場で生コンクリートを製造することができる生コンクリートの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の生コンクリートの製造装置はコンクリートミキサードラムに投入口と排出口を設けるとともに、生コンクリートの排出を効率よく行なえるように排出口側を下方へ回動できるコンクリートミキサードラム回動装置が設けられている。
【0003】
このため、構造が複雑で、コスト高になるという欠点があった。
【特許文献1】特開2007−277843
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、投入口と排出口とを兼用させることにより、排出口を密閉する開閉蓋を不要として構造を簡単にし、コストの低減を図るとともに、生コンクリートの使用現場で生コンクリートを容易に製造して、使用することができる生コンクリートの製造装置を提供することを目的としている。
【0005】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明はトラックの荷台に所定間隔離間されて固定された一対の軸受部材、この一対の軸受部材の軸受に回転可能に支持された回転軸、この回転軸を回転駆動させる、前記荷台に固定された回転軸駆動装置、前記一対の軸受部材間で前記回転軸がほぼ中央部を貫通するように回転可能に取付けられた円筒状のコンクリートミキサードラム、このコンクリートミキサードラム内の前記回転軸に固定された撹拌バー、前記コンクリートミキサードラムに形成された投入口兼用の排出口、この投入口兼用の排出口を投入口部位と排出口部位に固定できるように前記コンクリートミキサードラムを回転させることができるコンクリートミキサードラム回動手段とからなるコンクリートミキサーと、前記投入口兼用の排出口より排出される生コンクリートを受けることができるように、前記荷台に設けられたホッパーとで生コンクリートの製造装置を構成している。
【発明の効果】
【0007】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
【0008】
(1)コンクリートミキサードラムを回転可能に回転軸に取付けるとともに、コンクリートミキサードラム回動手段で投入口兼用の排出口を投入口部位に位置させ、セメントや砂等のコンクリート骨材および水を投入し、回転軸駆動装置で回転軸を回転させることにより、撹拌バーがコンクリートミキサードラム内を回転し、コンクリートミキサードラム内のセメント、コンクリート骨材および水を撹拌し、生コンクリートを製造することができる。コンクリートミキサードラム内で生コンクリートが製造されると、コンクリートミキサードラム回動手段で、投入口兼用の排出口が下部に位置するようにコンクリートミキサードラムを回動させることにより、投入口兼用の排出口より生コンクリートをホッパーへ排出することができる。
したがって、投入口兼用の排出口には従来のように水漏れを防止できる開閉蓋が不要で、構造が簡単で、安価に製造することができる。
【0009】
(2)コンクリートミキサードラム回動手段でコンクリートミキサードラムの投入口兼用の排出口を投入口部位から排出口部位へ回動させるだけであるので、従来のコンクリートミキサードラムの反排出口側を持ち上げるものに比べ、比較的に小さなエネルギーでよく、装置の小型化やコストの低減を図ることができる。
【0010】
(3)前記(1)によって、コンクリートミキサードラムを、回転軸を支点に回転させるだけであるので、該回転によって外方へ突出することなく、安全に使用することができる。
【0011】
(4)前記(2)によって、従来のように排出時にコンクリートミキサードラムの反排出口側を上方へ回動させることがないので、安全で、かつ楽にコンクリートミキサードラム内の生コンクリートを排出させることができる。
【0012】
(5)請求項2も前記(1)〜(4)と同様な効果が得られるとともに、効率よく生コンクリートを製造することができる。
【0013】
(6)請求項3も前記(1) 〜(4)と同様な効果が得られるとともに、コンクリートミキサードラム内の生コンクリートを投入口兼用の排出口より、傾斜面を利用して効率よくホッパーへ排出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面に示す本発明を実施するための最良の形態により、本発明を詳細に説明する。
【0015】
図1ないし図6に示す本発明を実施するための最良の第1の形態において、1は使用現場まで走行して移動し、該使用現場で生コンクリートを製造することができる本発明の生コンクリートの製造装置で、この生コンクリートの製造装置1は公道を走行することができる4トントラック等のクレーン2が取付けられたトラック3と、このトラック3の荷台4に軸心方向が該トラック3の前後方向となるように並列配置された2個のコンクリートミキサー5、5と、この2個のコンクリートミキサー5、5で製造された生コンクリートを受けて、前記荷台4外へ導くホッパー6と、このホッパー6へ導かれた生コンクリートを使用場所へ送る前記荷台4に取付けられた圧送ホース7を備えるスクイズ式コンクリートポンプ8とで構成されている。
【0016】
前記2個のコンクリートミキサー5、5は前記荷台4の前後部に固定された二対の軸受部材9、9、9、9と、この二対の軸受部材9、9、9、9の軸受10、10、10、10に回転可能に支持された回転軸11、11と、この回転軸11、11を減速機12、12を介して回転駆動させる、前記荷台4に固定された前方の軸受部材9、9に取付けられた支持台13、13に固定された電動モーター14、14を用いた回転軸駆動装置15、15と、前記二対の軸受部材9、9、9、9間で前記回転軸11、11がほぼ中央部を貫通するように回転可能に取付けられた円筒状のコンクリートミキサードラム16、16と、このコンクリートミキサードラム16、16内の前記回転軸11、11に固定された螺旋状の撹拌バー17、17と、前記コンクリートミキサードラム16、16に形成された前後方向の開口部が長い長方形状の口部が形成された投入口兼用の排出口19、19と、この投入口兼用の排出口19、19を投入口部位と排出口部位で固定できるように前記コンクリートミキサードラム16、16を回転させることができるコンクリートミキサードラムの回動手段20、20と、前記コンクリートミキサードラム16、16の上部に位置するように、前記荷台4に取付けられた作業台21と、この作業台21に前記投入口兼用の排出口19、19の投入部位と対応する部位に形成された上部ホッパー18,18とで構成されている。
【0017】
前記コンクリートミキサードラム回動手段20はコンクリートミキサードラム16の投入口兼用の排出口19が投入部位に位置した所で、コンクリートミキサードラム16の側面に形成された後方の二対の軸受部材9、9に取付けられた電磁ソレノイド22、22のロック片23、23が入り込む投入部位の係合凹部24、24と、コンクリートミキサードラム16の投入口兼用の排出口19が排出部位に位置した所で、コンクリートミキサードラム16の側面に形成された前記電磁ソレノイド22、22のロック片23、23が入り込む排出部位の係合凹部25、25と、前記コンクリートミキサードラム16の外周壁16aに取付けられた、該コンクリートミキサードラム16を投入口部位へ回動させるための複数個の取っ手26、26、26とで構成され、コンクリートミキサードラム16で生コンクリートができ上がると、回転軸11を回転させながら電磁ソレノイド22、22のロック片23、23を所定時間ONすると、投入部位の係合凹部24、24とロック片23、23が解除して、撹拌バー17、17の回転によりコンクリートミキサードラム16、16も回転し、投入口兼用の排出口19が下部に位置すると排出部位の係合凹部25、25内へロック片23、23が入り込み、ロックされ、コンクリートミキサードラム16、16内の生コンクリートがホッパー6へ排出される。
生コンクリートがコンクリートミキサードラム16、16より排出されると、電磁ソレノイド22、22を所定時間ONすると排出部位の係合凹部25、25とロック片23、23が解除するので、複数個の取っ手26、26、26でコンクリートミキサードラム16、16を逆回転させ、ロック片23、23と投入部位の係合凹部24、24と係合させることにより、投入口兼用の排出口19を投入部位に固定することができる。
【0018】
上記構成の生コンクリートの製造装置1は生コンクリートを使用する現場へトラック3で移動し、使用する現場で、工場で計測されて袋詰めされたセメントや砂等のコンクリート骨材を上部に位置している投入口兼用の排出口19よりコンクリートミキサードラム16内へ投入するとともに、計量した水を入れ、回転軸駆動装置15の電動モーター14を駆動させると、回転軸11が回転するので撹拌バー17も回転し、セメント、コンクリート骨材および水をコンクリートミキサードラム16内で所定時間撹拌されることで生コンクリートが製造される。
コンクリートミキサードラム16内で生コンクリートが製造されると、コンクリートミキサードラム回動手段20の電磁ソレノイド22を所定時間ONすると投入部位の係合凹部24と係合していたロック片23が解除され、撹拌バー17の回転によってコンクリートミキサードラム16が回転し、投入口兼用の排出口19が下部に位置し、排出部位の係合凹部25とロック片23が係合してコンクリートミキサードラム16の回転を停止させる。
この時、コンクリートミキサードラム16内の生コンクリートは投入口兼用の排出口19よりホッパー6へ落下排出される。この時、コンクリートミキサードラム16内より生コンクリートを効率よくホッパー6へ排出するため、回転軸11、すなわち撹拌バー17を正・逆回転させるとよい。
コンクリートミキサードラム16内より生コンクリートが排出されると、コンクリートミキサードラム16の投入口兼用の排出口19を投入部位へ戻して、前述と同様な操作で生コンクリートを製造する。
【0019】
なお、2個のコンクリートミキサー5、5を効率よく稼動させるには、一方のコンクリートミキサー5が生コンクリートを排出している時に他方のコンクリートミキサー5が撹拌作業を行ない、一方のコンクリートミキサー5が生コンクリートの排出作業が完了すると、他方のコンクリートミキサー5で生コンクリートができ上がるように、時間をずらして稼動させるとよい。
[発明を実施するための異なる形態]
【0020】
次に、図7ないし図16に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0021】
図7ないし図9に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と主に異なる点は、コンクリートミキサードラム16、16の側面に回転軸11、11の中心と同じ中心となるウオーム歯車27、27を固定するとともに、このウオーム歯車27、27と噛み合うウオーム28、28を軸受部材9、9に固定されたモーター29、29でウオーム歯車27、27を180度回動できるようにしたコンクリートミキサードラム回動手段20A、20Aを用いた点で、このようなコンクリートミキサードラム回動手段20A、20Aを使用したコンクリートミキサー5A、5Aを用いて構成した生コンクリートの製造装置1Aにしても、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0022】
図10ないし図12に示す本発明を実施するための第3の形態において、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と主に異なる点は、トラック3Aの荷台4Aに1個のコンクリートミキサー5を配置した点で、このように構成した生コンクリートの製造装置1Bにしても、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0023】
図13ないし図16に示す本発明を実施するための第4の形態において、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と主に異なる点は、コンクリートミキサードラム16Aの投入口兼用の排出口19を排出部位に位置させた時に、コンクリートミキサードラム16内の生コンクリートが投入口兼用の排出口19へ導かれるような傾斜面30、31を形成した点で、このように形成されたコンクリートミキサードラム16A、16Aを用いて構成した生コンクリートの製造装置1Cにしても、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0024】
なお、前記本発明を実施するための各形態では回転軸11を電動モーター14で駆動させる回転軸駆動装置15を用いるものについて説明したが、本発明はこれに限らず、油圧モーターを用いて駆動させてもよい。
また、トラック3、3Aの荷台4、4Aの前後方向にコンクリートミキサー5、5の軸心方向が位置するように配置したものについて説明したが、本発明はこれに限らず、荷台4、4Aのどのような位置にコンクリートミキサー5、5Aを配置してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は生コンクリートの製造装置を製造する産業で利用される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明を実施するための最良の第1の形態の側面図。
【図2】本発明を実施するための最良の第1の形態の平面図。
【図3】本発明を実施するための最良の第1の形態の背面図。
【図4】図2の4−4線に沿う断面図。
【図5】コンクリートミキサードラム回動手段の説明図。
【図6】投入口兼用の排出口を排出部位に位置させた状態の説明図。
【図7】本発明を実施するための第2の形態の側面図。
【図8】本発明を実施するための第2の形態の平面図。
【図9】コンクリートミキサードラム回動機構の説明図。
【図10】本発明を実施するための第3の形態の側面図。
【図11】本発明を実施するための第3の形態の平面図。
【図12】本発明を実施するための第3の形態の背面図。
【図13】本発明を実施するための第4の形態の側面図。
【図14】本発明を実施するための第4の形態の平面図。
【図15】図14の15−15線に沿う断面図。
【図16】投入口兼用の排出口を排出部位に位置させた状態の説明図。
【符号の説明】
【0027】
1、1A、1B、1C:生コンクリートの製造装置、
2:クレーン、 3、3A:トラック、
4、4A:荷台、 5、5A:コンクリートミキサー、
6:ホッパー、 7:圧送ホース、
8:コンクリートポンプ、 9:軸受部材、
10:軸受、 11:回転軸、
12:減速機、 13:支持台、
14:電動モーター、 15:回転軸駆動装置、
16、16A:コンクリートミキサードラム、
17:撹拌バー、 18:上部ホッパー、
19:投入口兼用の排出口、
20、20A:コンクリートミキサードラム回動手段、
21:作業台、 22:電磁ソレノイド、
23:ロック片、 24:投入部位の係合凹部、
25:排出部位の係合凹部、 26:取っ手、
27:ウオーム歯車、 28:ウオーム、
29:モーター、 30、31:傾斜面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラックの荷台に所定間隔離間されて固定された一対の軸受部材、この一対の軸受部材の軸受に回転可能に支持された回転軸、この回転軸を回転駆動させる、前記荷台に固定された回転軸駆動装置、前記一対の軸受部材間で前記回転軸がほぼ中央部を貫通するように回転可能に取付けられた円筒状のコンクリートミキサードラム、このコンクリートミキサードラム内の前記回転軸に固定された撹拌バー、前記コンクリートミキサードラムに形成された投入口兼用の排出口、この投入口兼用の排出口を投入口部位と排出口部位に固定できるように前記コンクリートミキサードラムを回転させることができるコンクリートミキサードラム回動手段とからなるコンクリートミキサーと、前記投入口兼用の排出口より排出される生コンクリートを受けることができるように、前記荷台に設けられたホッパーとからなることを特徴とする生コンクリートの製造装置。
【請求項2】
コンクリートミキサーはトラックの荷台に軸心方向が前後方向に位置するように2台並列させるとともに、該2台のコンクリートミキサーのコンクリートミキサードラムの投入口兼用の排出口より排出される生コンクリートを受けることができる1個のホッパーが荷台に設けられていることを特徴とする請求項1記載の生コンクリートの製造装置。
【請求項3】
コンクリートミキサードラムの投入口兼用の排出口が形成された部位は生コンクリートを排出する時に、該投入口兼用の排出口へ生コンクリートが集まるように傾斜面に形成されていることを特徴とする請求項1、2いずれかに記載の生コンクリートの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−42530(P2010−42530A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−206534(P2008−206534)
【出願日】平成20年8月11日(2008.8.11)
【出願人】(508144462)
【Fターム(参考)】