説明

生体情報検出装置

【課題】良好なメンテナンス性を確保しつつ、検出不良の発生を防止できる生体情報検出装置を提供する。
【解決手段】本体部2と、この本体部2と一体的に設けられ、生体表面に接触する電極6a,6bを有する心拍検出部3と、本体部2に対して着脱自在に設けられ、この本体部2、及び心拍検出部3を使用者Uに装着するための固定バンド4とを備え、本体部2と、心拍検出部3の電極6a,6bとを電気的に接続する電気的接続部44の周囲に、この電気的接続部44のシール性を確保するためのシール部51を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、身体の生体表面に電極を取り付け、生体信号を検出する生体情報検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の生体情報検出装置の中には、例えば、心臓の鼓動に伴って発生する心電信号を検出し、生体表面から心拍数を計測するものがある。このような生体情報検出装置としては、例えば、検出回路基板等が内蔵された本体部と、この本体部を身体に装着するためのストラップとを有し、このストラップに一対の電極が設けられているものがある。そして、本体部、及びストラップには、それぞれ本体部の検出回路基板と、ストラップの電極とを電気的に接続するための電気的接続部が設けられている。
【0003】
このような構成のもと、一対の電極を身体の胸部(生体表面)に接触させることにより、心臓の鼓動に伴って発生する心電信号を検出し、この検出した心電信号に基づいて本体部が心拍数を導き出す。
さらに、生体情報検出装置の中には、例えば、ストラップの洗浄等のメンテナンス性の観点から、ストラップに本体部が着脱自在に設けられているものがある。そして、ストラップに本体部を装着すると、ストラップに設けられている電気的接続部と、本体部に設けられている電気的接続部とが機械的に接続され、検出回路基板と電極とが電気的に接続される(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0096556号明細書
【特許文献2】米国意匠登録第603521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の従来技術にあっては、ストラップに設けられている電気的接続部と、本体部に設けられている電気的接続部とを着脱自在に構成するために、これら電気的接続部を外部に露出させる必要がある。このため、各電気的接続部が汗等の外部環境に曝され、電気的接続部が腐食したり電気的接続部に異物が浸入したりすることにより、検出不良が生じる虞があるという課題がある。これに加え、メンテナンス時のストラップの洗浄に伴い、電極部分が洗浄液に晒され、電極や電気的接続部等の電気部品が損傷してしまう虞があるという課題がある。
【0006】
そこで、この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、良好なメンテナンス性を確保しつつ、検出不良の発生を防止できる生体情報検出装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明に係る生体情報検出装置は、装置本体と、この装置本体と一体的に設けられ、生体表面に接触する電極を有する生体信号検出部と、前記装置本体に対して着脱自在に設けられ、これら装置本体、及び生体信号検出部を身体に装着するための固定手段とを備え、前記装置本体と、前記生体信号検出部の前記電極とを電気的に接続する電気的接続部の周囲に、この電気的接続部のシール性を確保するためのシール部を設けたことを特徴とする。
このように構成することで、心拍計本体と、固定手段とを着脱自在に構成しつつ、電気的接続部が外部に露出してしまうことを防止できる。このため、良好なメンテナンス性を確保しつつ、心拍計測装置による検出不良を防止することができる。
また、装置本体に生体信号検出部を一体的に設けると共に、装置本体に対して固定手段を着脱自在に設けることにより、固定手段から生体信号検出部を切り離すことができる。このため、例えば、メンテナンス時の洗浄において、固定手段単体で洗浄を行うことが可能になり、電極や電気的接続部等の電気部品に不具合が生じることを確実に防止できる。
【0008】
本発明に係る生体情報検出装置は、前記生体信号検出部に、前記シール部を一体成形したことを特徴とする。
このように構成することで、部品点数を減少させることができ、組立性を向上させることができると共にコストを低減することができる。
【0009】
本発明に係る生体情報検出装置は、前記電気的接続部と前記シール部との間に、溝部を形成したことを特徴とする。
このように構成することで、電気的接続部を弾性変形し易くさせ、この電気的接続部の装置本体に対する接触抵抗を減少させることができる。この結果、シール部の装置本体や生体信号検出部に対する密着性を向上させることができ、シール性を向上させることができる。
【0010】
本発明に係る生体情報検出装置は、前記生体信号検出部は導電エラストマーにより形成され、この導電エラストマーが前記電極を兼ねていることを特徴とする。
このように構成することで、生体信号検出部を弾性変形し易くすることができ、電極の生体表面に対する密着性を高めることができる。このため、生体信号を、より高精度に検出することが可能になる。
また、シール部を導電エラストマーで形成することにより、シール部を弾性変形させてシール部の密着性を高めることが可能になる。このため、より確実に電気的接続部のシール性を高めることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、心拍計本体と、固定手段とを着脱自在に構成しつつ、電気的接続部が外部に露出してしまうことを防止できる。このため、良好なメンテナンス性を確保しつつ、心拍計測装置による検出不良を防止することができる。
また、装置本体に生体信号検出部を一体的に設けると共に、装置本体に対して固定手段を着脱自在に設けることにより、固定手段から生体信号検出部を切り離すことができる。このため、例えば、メンテナンス時の洗浄において、固定手段単体で洗浄を行うことが可能になり、電極や電気的接続部等の電気部品に不具合が生じることを確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態における心拍計測装置を、使用者に取り付けた状態を示す説明図である。
【図2】本発明の第1実施形態における心拍計測装置の斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態における心拍計測装置の一部分解斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態における本体部、及び心拍検出部の分解斜視図である。
【図5】図4のA矢視図である。
【図6】図4のB部拡大図である。
【図7】本発明の第1実施形態における本体部、及び心拍検出部の部分平面図である。
【図8】図7のC−C線に沿う断面図である。
【図9】図7のD−D線に沿う断面図である。
【図10】本発明の第1実施形態における第1変形例の本体部の断面図である。
【図11】本発明の第1実施形態における第2変形例の本体部の断面図である。
【図12】本発明の第2実施形態における本体部、及び心拍検出部の斜視図である。
【図13】本発明の第2実施形態における本体部、及び心拍検出部の分解斜視図である。
【図14】図13のE矢視図である。
【図15】図13のF部拡大図である。
【図16】本発明の第2実施形態における本体部、及び心拍検出部の部分平面図である。
【図17】図16のG−G線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
(心拍計測装置)
次に、この発明の第1実施形態を図1〜図9に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る生体情報検出装置である心拍計測装置1を、使用者Uに取り付けた状態を示す説明図、図2は、心拍計測装置1の斜視図、図3は、心拍計測装置1の一部分解斜視図である。
尚、以下の説明において、使用者Uが心拍計測装置1を装着した状態で使用者Uに接する側を背面側、この背面側とは反対側であって、かつ外方に向く側の面を正面側などと表現して説明する。
【0014】
図1〜図3に示すように、心拍計測装置1は、使用者Uの生体表面である胸部に装着して心臓の鼓動に伴って発生する心電信号を検出し、この検出した心電信号を無線通信するものである。心拍計測装置1は、本体部2と、本体部2と一体的に形成されている心拍検出部3と、これら本体部2、及び心拍検出部3を使用者Uの胸部に装着するための固定バンド4とを備えている。
【0015】
固定バンド4は、使用者Uの胸部の全周に亘って装着されるように略環状に形成されている。より具体的には、固定バンド4は、略帯状に形成され伸縮性を有するストラップ8を有している。尚、ストラップ8は、伸縮性を有するものに限らず、非伸縮性のものであってもよい。
ストラップ8の長手方向略中央には、ストラップ8の長さを調整するための長さ調整具10が設けられている。また、ストラップ8の長手方向両端には、ストラップ8の端末部を折り返すようにして形成されたリング部11,11がそれぞれ設けられている。
【0016】
2つのリング部11,11には、それぞれストラップ着脱具12が設けられている。ストラップ着脱具12は、リング部11,11に挿通される環状部12aと、環状部12aの一側面に一体成形されているフック部12bとにより構成されている。これらフック部12bが、本体部2に係合されるようになっている。
【0017】
(本体部、及び心拍検出部)
図4は、本体部2、及び心拍検出部3の分解斜視図、図5は、図4のA矢視図、図6は、図4のB部拡大図、図7は、本体部2、及び心拍検出部3の部分平面図、図8は、図7のC−C線に沿う断面図、図9は、図7のD−D線に沿う断面図である。
図3〜図9に示すように、本体部2は、略円板状の下ケース21を有している。下ケース21の側部には、下ケース21の径方向中央を中心にして両側に、それぞれストラップ着脱具12と本体部2とを連結するための連結具22がそれぞれ設けられている。
【0018】
連結具22は、下ケース21の側部から立ち上がり形成され、周方向で対向する一対の支持壁23,23と、これら支持壁23,23間に跨るように設けられたシャフト24とにより構成されている。シャフト24の先端は、出没自在に構成されている一方、支持壁23,23のシャフト24に対応する箇所には、シャフト24の先端を受け入れ可能な貫通孔25が形成されている。
これにより、支持壁23,23にシャフト24が係合され、両者23,24が一体化する。そして、シャフト24にストラップ着脱具12のフック部12bが係合可能になっており、本体部2と固定バンド4とが係脱可能に構成される。
【0019】
また、下ケース21の正面側には、中央の大部分に凹部26が形成されている。この凹部26には、検出回路基板27が収納されている。検出回路基板27は、凹部26の形状に対応するように、略円板状に形成されている。また、検出回路基板27は、例えば、無線送信部、及び送信回路(何れも不図示)を有しており、心拍検出部3によって検出された信号に基づいて、無線通信するようになっている。
【0020】
さらに、下ケース21の凹部26には、この凹部26の開口を閉塞するように上ケース28が設けられている。上ケース28は、凹部26の形状に対応するように、略円板状に形成されており、その直径は、下ケース21の直径と略一致するように設定されている。
尚、下ケース21、検出回路基板27、及び上ケース28は、それぞれの形状が略円板状に限られるものではなく、さまざまな形状を採用することができる。例えば、下ケース21、検出回路基板27、及び上ケース28を、これらの外形状が平面視略矩形状となるように形成することも可能である。
【0021】
また、下ケース21の凹部26には、各連結具22寄りにそれぞれ厚さ方向に貫通する貫通孔29,29が形成されており、これら貫通孔29,29に、導通部材30が挿通されている。導通部材30は、検出回路基板27と心拍検出部3とを電気的接続するためのものであって、例えば、コイルスプリング等により形成されている。
【0022】
さらに、下ケース21の背面側には、貫通孔29に対応する部位に、位置ズレ防止凸部31が一体成形されている。この位置ズレ防止凸部31は、この位置ズレ防止凸部31に形成されている挿入凸部50(この挿入凸部50の詳細については後述する)と協働して本体部2と心拍検出部3との所定方向の位置ズレを防止するためのものであって、ストラップ8の延在方向(図5における左右方向)に沿って長くなるように、断面略矩形状に形成されている。貫通孔29は、位置ズレ防止凸部31を厚さ方向に貫通していることになる。
【0023】
また、位置ズレ防止凸部31の短手方向両側には、それぞれ下ケース21側に心拍検出部3を受け入れるための平面視略L字状の一対の第1受け入れ凹部32,32が形成されている。これら第1受け入れ凹部32には、本体部2と心拍検出部3との所定方向の位置ズレを防止するための位置ズレ防止突起33が一体的に立設されている。位置ズレ防止突起33には、雌ネジ部37が刻設されている。この雌ネジ部37には、後述のボルト36が螺入され、本体部2に心拍検出部3を締結固定できるようになっている。
【0024】
さらに、位置ズレ防止凸部31、及び第1受け入れ凹部32よりも各連結具22側には、それぞれ第1受け入れ凹部32よりも深さが浅い第2受け入れ凹部34が形成されている。第2受け入れ凹部34も、下ケース21側に心拍検出部3を受け入れるためのものであって、下ケース21の側部に至るまで形成されている。これにより、それぞれ第2受け入れ凹部34の径方向外側は、開口された状態になり、外部から心拍検出部3を下ケース21内に引き込むことが可能になる。
【0025】
このように形成された第1受け入れ凹部32、及び第2受け入れ凹部34に、心拍検出部3を載置し、この上から固定補強板35を、ボルト36を用いて下ケース21に締結固定することで、本体部2と心拍検出部3とが一体化される。固定補強板35には、それぞれ下ケース21の位置ズレ防止突起33に刻設されている雌ネジ部37に対応する位置に、ボルト挿通孔38が形成されている。そして、このボルト挿通孔38にボルト36を挿通し、固定補強板35と心拍検出部3とを共締めするようになっている。
【0026】
また、下ケース21の背面側には、固定補強板35の上からカバー39が取り付けられている。カバー39には、ボルト36の頭部との干渉を回避するための開口部39aが形成されている。また、カバー39は、この外形状が第1受け入れ凹部32、及び第2受け入れ凹部34の外形状に対応するように形成されている。このため、固定補強板35、及びボルト36がカバー39により完全に覆われると共に、カバー39の表面と下ケース21の表面とを面一に配置することができ、外観の美観性が向上する。
【0027】
本体部2と一体化される心拍検出部3は、帯状の導電エラストマーからなる一対の電極6a,6bにより構成されている。
ここで、導電エラストマーとしては、例えば、カーボンブラックを配合した導電シリコンゴム、カーボンブラックを配合した導電ゴム、カーボンブラックを配合した導電ポリウレタンゴム等を用いることができる。
【0028】
各電極6a,6bには、本体部2側の長手方向一端に、接続構造体40が一体成形されている。接続構造体40は、本体部2に各電極6a,6bを接続し、本体部2に収納されている検出回路基板27と電極6a,6bとを電気的に接続するためのものであって、電極6a,6bと同様に導電エラストマーにより形成されている。
接続構造体40は、下ケース21の各第1受け入れ凹部32,32に載置可能なように、断面略L字状に形成された一対の機械的接続凸部41,41と、これら機械的接続凸部41,41の間であって、且つ下ケース21の位置ズレ防止凸部31に対応する部位に形成された電気的接続円板部42とが一体成形されている。
【0029】
機械的接続凸部41には、下ケース21の位置ズレ防止突起33に対応する位置に、この位置ズレ防止突起33を挿通可能な挿通孔43が形成されている。
下ケース21の第1受け入れ凹部32,32に、それぞれ機械的接続凸部41,41を載置すると共に、これら機械的接続凸部41,41の挿通孔43に下ケース21の位置ズレ防止突起33が挿入されることにより、下ケース21に対する機械的接続凸部41のズレが防止される。
【0030】
一方、電気的接続円板部42は、この径方向中心が下ケース21の位置ズレ防止凸部31に形成されている貫通孔29a,29bと同軸上に位置するように配置されている。すなわち、電気的接続円板部42の径方向中央部は、貫通孔29に挿通されている導通部材30が接触し、電極6a,6bと検出回路基板27とが電気的に接続される電気的接続部44として構成される。
【0031】
また、電気的接続円板部42の本体部2側の端面42aには、電気的接続部44の周囲を取り囲むように、シール部51が一体成形されている。シール部51は、断面略三角形状に形成されたシール本体51aを、電気的接続部44の周囲を取り囲むように、平面視略円環状に形成したものである。
【0032】
さらに、電気的接続円板部42は、電気的接続部44を挟んで両側が連結部45を介して機械的接続凸部41に接続されている。連結部45は、機械的接続凸部41と電気的接続円板部42と共に一体成形されたものであって、その幅方向両側が若干切除されて括れ部46が形成されている。この連結部45の剛性は、機械的接続凸部41や電気的接続部44と比較して弱く設定されている。
また、電気的接続円板部42の厚さは、電極6a,6bの厚さよりもやや薄くなるように設定されている。さらに、電極6a,6bの接続構造体40側端には、機械的接続凸部41,41間に凹部47が形成されている。
【0033】
このように構成することにより、機械的接続凸部41と電気的接続円板部42とにより、嵌合凹部48が形成される。この嵌合凹部48には、下ケース21の位置ズレ防止凸部31が嵌まり込むようになっている。また、電極6a,6bの長手方向一端に、凹部47からなるスリット49が形成される。
下ケース21の位置ズレ防止凸部31は、嵌合凹部48に嵌まり込むように形成されていると共に、スリット49を覆うように形成されている。そして、位置ズレ防止凸部31の端面31aと、電気的接続円板部42の端面42aとが近接するようになっている。また、位置ズレ防止凸部31には、スリット49に挿入可能な挿入凸部50が形成されている。これにより、電極6a,6bと本体部2との相対位置のズレが防止される。
【0034】
このような構成のもと、下ケース21の第1受け入れ凹部32、及び第2受け入れ凹部34に、各電極6a,6bの接続構造体40を載置し、この上から固定補強板35を、ボルト36を用いて下ケース21に締結固定すると、下ケース21に設けられている導通部材30と、接続構造体40の電気的接続部44とが当接し、導通部材30と電気的接続部44とが電気的に接続される。また、電気的接続部44の周囲に形成されているシール部51が下ケース21の位置ズレ防止凸部31に押圧され、押し潰される。しかも、シール部51は導電エラストマーにより形成されているので、確実、且つ容易に押圧され、電気的接続部44の外部からのシール性が確実に確保される。
【0035】
このように、本体部2と電極6a,6bからなる心拍検出部3が一体化された後、使用者Uの胸部に巻き付けた固定バンド4のストラップ着脱具12と本体部2の連結具22とを係合させる。これにより、使用者Uの胸部への心拍計測装置1の装着が完了する。心拍計測装置1を取り付けた状態では、各電極6a,6bは、上からストラップ8で押さえつけられた状態になる。そして、一対の電極6a,6bによって心臓の鼓動に伴って発生する心電信号が検出される。本体部2の検出回路基板27は、一対の電極6a,6bによって検出された心電信号を、例えば、無線通信する。
【0036】
ここで、本体部2と電極6a,6bは、互いに別体であり、本体部2の下ケース21に、各電極6a,6bを接続構造体40を介して取り付け、本体部2と電極6a,6bとを一体化させている。このため、下ケース21と電極6a,6bとの間の隙間を皆無にすることは困難で、この隙間から人体の汗や異物が浸入する虞がある。人体の汗や異物が浸入すると、導通部材30が腐食したり、電気的接続部44と導通部材30との接続状態が悪化したりする場合がある。しかしながら、電気的接続部44の周囲には、シール部51が一体成形されており、電気的接続部44の外部からのシール性が確保されているので、人体の汗や異物の浸入が阻止される。
【0037】
したがって、上述の第1実施形態によれば、本体部2と心拍検出部3とを一体化させ、本体部2に固定バンド4のストラップ8を取り付けることにより、本体部2、及び心拍検出部3を固定バンド4に対して着脱自在に構成しつつ、電気的接続部44の周囲にシール部51を設けることにより、電気的接続部44と導通部材30との接続不良を防止できる。このため、心拍計測装置1の良好なメンテナンス性を確保しつつ、心拍計測装置1による検出不良を防止することができる。
【0038】
また、本体部2に心拍検出部3を一体的に設けると共に、本体部2に固定バンド4を着脱自在に設けることにより、本体部2と心拍検出部3とを一体にしたまま、これら本体部2、及び心拍検出部3を固定バンド4から切り離すことができる。このため、固定バンド4のみの洗浄を容易に行うことができる。よって、電極6a,6bや導通部材30、及び電気的接続部44等の電気部品に不具合が生じることを確実に防止できる。
【0039】
また、電気的接続円板部42に、シール部51を一体成形しているので、電気的接続部44の周囲のシール性を確保するための部品点数が増大することがなく、組立性を低下させることを防止できると共に、コストを低減することができる。
さらに、心拍検出部3を、帯状の導電エラストマーからなる一対の電極6a,6bにより構成することにより、各電極6a,6bの上からストラップ8で押さえつける際、電極6a,6bが弾性変形しやすい。このため、使用者Uの胸部への電極6a,6bの密着性を高めることができ、一対の電極6a,6bによる心電信号の検出精度を高めることができる。
そして、電気的接続円板部42に一体成形されているシール部51も導電エラストマーで形成することになり、シール部51を弾性変形させてシール部51の密着性を高めることが可能になる。このため、より確実に電気的接続部44のシール性を高めることができる。
【0040】
また、本体部2に固定バンド4が取り付けられた状態になっているので、固定バンド4と心拍検出部3とが切り離された状態になり、心拍検出部3の各電極6a,6bは、この上からストラップ8で使用者Uの胸部に押さえつけられた状態になる。このため、各電極6a,6bが引張られる等、外力が加わることが抑制される。
【0041】
しかしながら、このように構成しても各電極6a,6bに外力が加わることも考えられる。ここで、図6、図8に基づいて、仮に電極6a,6bに引張方向の外力が加わった場合の作用について説明する。
図6、図8に示すように、電極6a,6bに引張方向の外力Pが加わると、電極6a,6bの長手方向一端に一体成形されている接続構造体40に荷重が伝達される。より詳しくは、電極6a,6bに一体成形されている機械的接続凸部41に荷重が伝達される。このとき、機械的接続凸部41にかかる荷重の方向は、電極6a,6bの長手方向に沿う方向である。
【0042】
ここで、機械的接続凸部41に連結部45を介して接続されている電気的接続円板部42は、各機械的接続凸部41,41の間に配置されており、これら機械的接続凸部41,41と電気的接続円板部42との配列方向は、機械的接続凸部41にかかる荷重の方向に対して略直角に交差した方向になる。しかも、連結部45には括れ部46が形成されており、この連結部45の剛性が機械的接続凸部41や電気的接続部44と比較して弱く設定されている。このため、連結部45が容易に弾性変形し、機械的接続凸部41にかかる荷重が電気的接続円板部42に伝達されにくい。よって、仮に電極6a,6bに外力Pが加わった場合であっても電気的接続円板部42の電気的接続部44と、導通部材30との接続状態を安定させることができる。
【0043】
尚、上述の第1実施形態では、シール部51の形状は、断面略三角形状で、平面視略円環状に形成されたものである場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、電気的接続円板部42の本体部2側の端面42aから突設され、電気的接続部44の周囲を取り囲むように形成されていればよい。例えば、断面略半円形状で、平面視略矩形状に形成されていてもよい。
【0044】
また、上述の第1実施形態では、電気的接続円板部42にシール部51が一体成形されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、電気的接続円板部42とシール部51とを別体に形成してもよい。
さらに、電気的接続円板部42にシール部51を設けずに、下ケース21の位置ズレ防止凸部31における電気的接続部44の周囲に対応する部位に、シール部を突設してもよい。この場合、下ケース21のシール部により、電気的接続円板部42を押圧するように構成し、電気的接続円板部42を押し潰すことにより、電気的接続部44のシール性を確保することができる。
【0045】
そして、上述の第1実施形態では、使用者Uの胸部に心拍計測装置1を装着するにあたって、使用者Uの胸部に固定バンド4を巻き付け、この後、固定バンド4のストラップ着脱具12と本体部2の連結具22とを係合させる場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、例えば、固定バンド4のストラップ着脱具12と本体部2の連結具22とを係合させた後、固定バンド4を使用者Uの胸部に巻き付けることにより、心拍計測装置1を装着してもよい。
【0046】
また、上述の第1実施形態では、検出回路基板27と電気的接続部44とを電気的に接続するための導通部材30が、例えば、コイルスプリング等により形成されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、コイルスプリングに代わって、導通ピン60を用いてもよい。以下に、より具体的な態様を説明する。
【0047】
(第1実施形態の第1変形例)
図10は、第1実施形態における第1変形例の本体部2’の断面図である。尚、上述の第1実施形態と同一態様には、同一符号を付し、説明を省略する(以下の変形例、実施形態についても同様)。
同図に示すように、この第1実施形態の第1変形例において、本体部2’は、下ケース21’と上ケース28’とを有し、下ケース21’内に検出回路基板27が設けられている点、下ケース21’に心拍検出部3を構成する電極6a,6bが一体的に接続されている点等の基本的構成は、上述の第1実施形態と同様である(以下の第1実施形態の第2変形例についても同様)。
【0048】
ここで、下ケース21’の貫通孔29に対応する位置には、背面側(図10における下側)に電気的接続円板部42’を受け入れる凹部52が形成されている。さらに、凹部の底面52aには、貫通孔29に挿通される導通ピン60の頭部60aを受け入れる凹部53が形成されている。また、下ケース21’の正面側(図10における上側)の面には、貫通孔29に対応する位置に、段差により拡径された拡径部54が形成されている。この拡径部54は、貫通孔29に導通ピン60が背面側から挿入された後、導通ピン60の先端に取り付けられた止め輪55との干渉を回避するためのものである。
【0049】
また、導通ピン60には、パッキン溝56が全周に亘って形成されており、ここにパッキン57が装着されている。これにより、貫通孔29と導通ピン60との間のシール性が確保される。
一方、電気的接続円板部42’には、平面視環状に立ち上がり形成された凸部58の上に、シール部51が一体形成されている。これにより、下ケース21’に電気的接続円板部42’を取り付けた際、シール部51と共に凸部58を容易に圧縮変形させることができ、電気的接続円板部42’と下ケース21’との密着性を高めることができる。この場合、電気的接続部44’のシール性に加えて、本体部2のみでもシール性が確保されているので、心拍計測装置1としてのシール性をさらに高める事ができる。
【0050】
また、電気的接続円板部42’には、凸部58の径方向内側に、環状の溝部82が形成され、この溝部82の内側を電気的接続部44’としている。すなわち、電気的接続部44’とシール部51との間に、溝部82が形成されている。これにより、電気的接続部44’が突設された状態になり、この電気的接続部44’の突設高さは、凸部58よりも低く、且つ下ケース21’に電気的接続円板部42’を取り付けた際、導通ピン60の頭部60aにより、電気的接続部44’を押圧可能な高さに設定されている。これにより、導通ピン60と電気的接続部44’とを密接させることができると共に、両者の接触抵抗を減少させることができる。
尚、溝部82は、環状に形成されていなくてもよく、凸部58の径方向内側に、周方向に沿って断続的に形成されていてもよい。
【0051】
したがって、上述の第1実施形態の第1変形例によれば、前述の第1実施形態と同様の効果に加え、電気的接続部44’の接触抵抗を減少させる事で、シール部51の下ケース21’との密着性を損なう事なく、電気的接続部44’への人体の汗や異物の浸入をより確実に防止できる。
また、電気的接続円板部42’に溝部82が形成されることにより、仮に電極6a,6bに外力(例えば、長手方向に引張られる荷重)が加わり、シール部51が変位した場合であっても、電気的接続部44’の変位が軽減され、この電気的接続部44’と導通ピン60との接触状態を安定させることができる。
【0052】
さらに、上述の第1実施形態では、本体部2に心拍検出部3の電極6a,6bを取り付けるにあたって、これら電極6a,6bの上から固定補強板35を載置し、これら固定補強板35と、各電極6a,6bとをボルト36により共締めする場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、図11に示すように、電極6a,6bと、固定補強板35’とを一体成形し、これを本体部2’に取り付けるように構成してもよい。より具体的な態様を以下に説明する。
【0053】
(第1実施形態の第2変形例)
図11は、第1実施形態における第2変形例の本体部2’の断面図である。
同図に示すように、電極6a,6bは、前述の第1実施形態の固定補強板35に相当する分だけ厚肉に形成されている。そして、この第1実施形態の第2変形例の固定補強板35’は、電極6a,6bにインサート成型されている。
固定補強板35’は、下ケース21’の凹部34に対応する位置に配置されている第1板部61と、下ケース21’の凹部52に対応する位置に配置されている第2板部62とを有している。
【0054】
第1板部61は、電極6a,6bに埋設されている。また、第2板部62は、電極6a,6bの背面側に露出するように配置されている。さらに、第2板部62の板厚は、ボルト36の頭部36aを受け入れ可能な厚さに設定されており、ボルト36に対応する位置に、頭部36aを受け入れる凹部62aが形成されている。
このように構成することで、前述の第1実施形態の第1変形例と同様の効果に加え、部品点数を減少させることができ、組立工数を減少させてコストを削減することが可能になる。
【0055】
(第2実施形態)
(心拍計測装置)
次に、この発明の第2実施形態を図1を援用し、図12〜図17に基づいて説明する。
図12は、第2実施形態における心拍計測装置201を構成する本体部202、及び心拍検出部203の斜視図、図13は、心拍計測装置201を構成する本体部202、及び心拍検出部203の分解斜視図、図14は、図13のE矢視図、図15は、図13のF部拡大図、図16は、本体部202、及び心拍検出部203の部分平面図、図17は、図16のG−G線に沿う断面図である。
【0056】
図1、図12、図13に示すように、この第2実施形態において、心拍計測装置201は、本体部202と、本体部202と一体的に形成されている心拍検出部203と、これら本体部202、及び心拍検出部203を使用者Uの胸部に装着するための固定バンド4とを備え、この固定バンド4と本体部202とがストラップ着脱具12、及び連結具22を介して着脱自在になっており、心拍検出部203と固定バンド4とが切り離された状態である点、心拍検出部203は、一対の電極6a,6bを有している点、心拍計測装置201を装着した際、電極6a,6bが上からストラップ8により押さえつけられる点、本体部202は、下ケース221と、この下ケース221に形成されている凹部26に設けられた検出回路基板27と、凹部26を閉塞するように設けられた上ケース28とを有している点、検出回路基板27と各電極6a,6bとが電気的に接続された形になっている点等の基本的構成は、前述の第1実施形態と同様である。
【0057】
ここで、第1実施形態と第2実施形態との相違点は、第1実施形態の本体部2と心拍検出部3との接続構造と、第2実施形態の本体部202と心拍検出部203との接続構造とが異なる点にある。
より詳しくは、図12〜図17に示すように、下ケース221の凹部26には、各連結具22寄りに、それぞれ厚さ方向に貫通する貫通孔229,229が形成されている。貫通孔229には、導通ピン260が下ケース221の背面側から挿通されるようになっている。
【0058】
導通ピン260の先端には、止め輪溝71が形成されている。そして、貫通孔229に導通ピン260を挿通した後、止め輪溝71に止め輪72を装着する。これにより、貫通孔229からの導通ピン260の抜けが防止される。また、下ケース221の凹部26には、貫通孔229に対応する部位に、止め輪72を受け入れるザグリ部73が形成されており、下ケース221の凹部26から導通ピン260の先端が突出してしまうことを防止できるようになっている。
【0059】
さらに、下ケース221の背面側には、貫通孔229に対応する部位に第1受け入れ凹部232が形成されている。この第1受け入れ凹部232は、心拍検出部203を受け入れるためのものであって、心拍検出部203を構成する電極6a,6bの幅方向に長くなるように平面視略矩形状に形成されている。
また、第1受け入れ凹部232よりも各連結具22側には、それぞれ第1受け入れ凹部232よりも深さが浅い第2受け入れ凹部234が形成されている。第2受け入れ凹部234は、第1受け入れ凹部232の長手方向の幅と同一の幅で下ケース221の側部に至るまで延出形成されている。これにより、それぞれ第2受け入れ凹部234の径方向外側は、開口された状態になる。第2受け入れ凹部234には、電極6a,6bが配置される。
尚、第1受け入れ凹部232の幅と、第2受け入れ凹部234の幅は、同一に設定されていなくてもよい。
【0060】
一方、各電極6a,6bには、本体部202側の長手方向一端に接続構造体240が一体成形されている。接続構造体240は、本体部202に各電極6a,6bを接続し、本体部202に収納されている検出回路基板27と電極6a,6bとを電気的に接続するためのものである。接続構造体240は、下ケース221の第1受け入れ凹部232に対応するように、各電極6a,6bの幅方向に長くなるように断面略矩形状に形成された機械的接続凸部241を有している。この機械的接続凸部241が各電極6a,6bの長手方向一端に一体成形されており、第1受け入れ凹部232に収納されることで、本体部202と心拍検出部203とが一体化される。
【0061】
機械的接続凸部241には、本体部202側(図17における右側)の端面に、開口部74aを有する補強板収納溝74が形成されている。この補強板収納溝74に、補強板75が収納されている。
また、機械的接続凸部241には、電極6a,6bの幅方向に沿うように貫通形成された2つの凸部側貫通孔76,76が、電極6a,6bの長手方向に沿うように、並列に配置されている。さらに、各凸部側貫通孔76は、補強板収納溝74に連通するように形成されている。
【0062】
また、下ケース221には、第1受け入れ凹部232に機械的接続凸部241を収納した状態のとき、機械的接続凸部241の凸部側貫通孔76に対応する位置に、ケース側貫通孔77が形成されている。このケース側貫通孔77の内径は、凸部側貫通孔76の内径よりもやや大きくなる程度に設定されている。
これら凸部側貫通孔76、及びケース側貫通孔77には、固定ピン78が挿通されている。固定ピン78の長さは、機械的接続凸部241の長手方向の長さよりも長く、且つ下ケース221の側部から突出しない長さに設定されている。そして、固定ピン78の両端には、固定パイプ79が外嵌固定されている。
【0063】
ここで、固定ピン78の直径は、凸部側貫通孔76の内径と略一致するように設定されている。また、固定パイプ79の直径は、ケース側貫通孔77の内径と略一致するように設定されている。すなわち、下ケース221の第1受け入れ凹部232に機械的接続凸部241を収納した後、ケース側貫通孔77を介して凸部側貫通孔76に固定ピン78を挿入し、この固定ピン78の両端に、ケース側貫通孔77に挿入した固定パイプ79を外嵌固定させるようになっている。
【0064】
固定パイプ79の直径は、凸部側貫通孔76の内径よりも大きく設定されているので、固定ピン78の両端に固定パイプ79を外嵌固定することにより、固定ピン78の抜け方向への移動が規制される。また、凸部側貫通孔76、及びケース側貫通孔77に固定ピン78を挿入することにより、この固定ピン78を介して下ケース221に各電極6a,6bが固定される。
【0065】
また、凸部側貫通孔76は、補強板収納溝74に連通するように形成されているので、凸部側貫通孔76に固定ピン78を挿通した状態では、この固定ピン78上に補強板75が載置された状態になる。補強板収納溝74における機械的接続凸部241の厚さ方向の溝幅は、固定ピン78上に補強板75を載置させた状態で、この補強板75が補強板収納溝74の内壁に当接するように設定されている。これにより、機械的接続凸部241の本体部202側(図15、図17における上側)の端面241aの剛性が高められる。
【0066】
また、機械的接続凸部241の端面241aには、導通ピン260に対応する位置の周囲に環状の溝部83が形成され、この溝部83の内側を電気的接続部244としている。すなわち、機械的接続凸部241の端面241aの中央部に、電気的接続部244が設けられた形になっている。また、溝部83の周囲には、環状のシール部251が一体成形されている。すなわち、電気的接続部244の周囲を取り囲むように、シール部251が一体成形されている。シール部251は、断面略三角形状に形成されたシール本体251aを、電気的接続部44の周囲を取り囲むように、平面視略円環状に形成したものである。
【0067】
ここで、電気的接続部244、及びシール部251は、下ケース221に電極6a,6bを取り付けた状態のとき、下ケース221の第1受け入れ凹部232の底面に押圧されて押し潰されるようになっている。機械的接続凸部241の端面241aは、補強板75により剛性が高められているので、機械的接続凸部241の端面241aから突出するように形成されているシール部251は、容易に押し潰される。
【0068】
また、機械的接続凸部241の端面241aに環状の溝部83を形成し、この溝部83の内側を電気的接続部244としている。つまり、電気的接続部244とシール部251との間に、溝部83が形成されている。このため、電気的接続部244も容易に押し潰される。また、電気的接続部244の接触抵抗を減少させる事で、シール部251の下ケース221との密着性を損なう事がない。
尚、溝部83は、環状に形成されていなくてもよく、凸部58の径方向内側に、周方向に沿って断続的に形成されていてもよい。
【0069】
また、心拍計測装置201を使用者Uに装着した際、各電極6a,6bは、ストラップ8により押さえつけられる形になり、直接外力が加わる可能性が低いが、仮に電極6a,6bに引張方向の外力Pが加わると、電極6a,6bの長手方向一端に一体成形されている接続構造体240に荷重が伝達されることになる。
【0070】
このとき、接続構造体240の機械的接続凸部241と下ケース221とを連結する固定ピン78を介し、下ケース221に、径方向外側に向かう荷重が作用する。さらに、下ケース221に形成されている第1受け入れ凹部232に機械的接続凸部241が収納されているので、電極6a,6bに引張方向の外力Pが加わると、機械的接続凸部241の電極6a,6b側の端面241bが第1受け入れ凹部232の内側面232aを押圧する。これにより、下ケース221が電極6a,6bにかかる外力Pを受けることになる。
【0071】
一方、検出回路基板27と電極6a,6bとを電気的に接続するための電気的接続部244は、固定ピン78よりも正面側に位置しているので、外力Pによる荷重が伝達されにくい。つまり、電気的接続部244は、固定ピン78に対し、この固定ピン78にかかる外力Pの荷重の方向とは直交する方向にずれた位置に配置されているので、外力Pによる荷重が伝達されにくい。このため、仮に電極6a,6bに外力Pが加わった場合であっても電気的接続部244と、導通ピン260との接続状態を安定させることができる。
【0072】
したがって、上述の第2実施形態によれば、前述の第1実施形態と同様の効果を奏することができる。すなわち、本体部202と心拍検出部203とを一体化させ、これら本体部202、及び心拍検出部203を固定バンド4に対して着脱自在に構成することにより、心拍計測装置201の良好なメンテナンス性を確保することができる。
また、電気的接続部244の周囲にシール部251を設けることにより、外部から電気的接続部244への人体の汗や異物の浸入を確実に阻止でき、電気的接続部244と導通ピン260との接続不良を防止できる。
【0073】
さらに、仮に電極6a,6bに外力Pが加わった場合であっても電気的接続部244と、導通ピン260との接続状態を安定させることができるので、心拍計測装置201の検出精度を安定させることができ、信頼性の高い商品を提供できる。
【0074】
尚、上述の第2実施形態では、シール部251の形状は、断面略三角形状で、平面視略円環状に形成されたものである場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、機械的接続凸部241の端面241aから突設され、電気的接続部244の周囲を取り囲むように形成されていればよい。例えば、断面略半円形状で、平面視略矩形状に形成されていてもよい。
【0075】
また、上述の第2実施形態では、機械的接続凸部241にシール部251が一体成形されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、機械的接続凸部241とシール部251とを別体に形成してもよい。
さらに、機械的接続凸部241にシール部251を設けずに、下ケース221の第1受け入れ凹部232の底面における電気的接続部244の周囲に対応する部位に、シール部を突設してもよい。この場合、下ケース221のシール部により、機械的接続凸部241の端面241aを押圧するように構成し、機械的接続凸部241を押し潰すことにより、電気的接続部244のシール性を確保することができる。
【0076】
そして、上述の第2実施形態では、検出回路基板27と電気的接続部244とを電気的に接続するために、導通ピン260を使用した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、導電性の部材であればよい。例えば、導通ピン260に代わってコイルスプリング等を用いることも可能である。
【0077】
また、上述の第2実施形態では、機械的接続凸部241の端面241aに環状の溝部83を形成し、この溝部83の内側を電気的接続部244とした場合について説明した。この構成を上述の第1実施形態の電気的接続部44に適用することも可能である。すなわち、電気的接続円板部42の端面42aに環状の溝部を形成し、この溝部の内側を電気的接続部44としてもよい。
さらに、上述の第2実施形態では、導通ピン260に何らパッキンを装着していない状態で説明したが、第1実施形態の第1変形例のように、導通ピン260にパッキンを装着し、導通ピン260と貫通孔229との間のシール性を確保するように構成してもよい。
【0078】
また、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上述の実施形態では、生体情報検出装置として使用者Uの心拍数を計測する心拍計測装置1,201に、本体部2,202と心拍検出部3,203とを一体的に構成し、これら本体部2,202、及び心拍検出部3,203を電気的に接続する電気的接続部44,244の周囲に、シール部51,251を設けた場合について説明した。しかしながら、この構成は、心拍計測装置1,201に適用する場合に限られるものではなく、さまざまな生体情報検出装置に適用することが可能である。例えば、生体情報検出装置として、血圧、体温、筋電位等を計測する装置に上述の実施形態、及び変形例の構成を適用することが可能である。
【0079】
また、上述の実施形態では、心拍計測装置1,201は、検出した心電信号を無線通信するものである場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、有線通信を用いた通信であってもよいし、例えば、心拍計測装置1,201にLCD表示部を設けて単体計測する構成としてもよい。
【0080】
さらに、上述の実施形態では、心拍計測装置1,201を使用者Uの胸部に装着するために、固定バンド4を設け、この固定バンド4と本体部2,2’,202とを、ストラップ着脱具12、及び連結具22を介して着脱自在となるように構成した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、固定バンド4と本体部2,2’,202とが着脱自在であればよく、ストラップ着脱具12、及び連結具22以外の構成を用いてもよい。例えば、連結具22を構成する一対の支持壁23,23とシャフト24とを、下ケース21,21’,221に一体成形してもよい。
【符号の説明】
【0081】
1,201 心拍計測装置
2,2’,202 本体部(装置本体)
3,203 心拍検出部(生体信号検出部)
4 固定バンド(固定手段)
6a,6b 電極
51,251 シール部
82,83 溝部
U 使用者(身体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
この装置本体と一体的に設けられ、生体表面に接触する電極を有する生体信号検出部と、
前記装置本体に対して着脱自在に設けられ、これら装置本体、及び生体信号検出部を身体に装着するための固定手段とを備え、
前記装置本体と、前記生体信号検出部の前記電極とを電気的に接続する電気的接続部の周囲に、この電気的接続部のシール性を確保するためのシール部を設けたことを特徴とする生体情報検出装置。
【請求項2】
前記生体信号検出部に、前記シール部を一体成形したことを特徴とする請求項1に記載の生体情報検出装置。
【請求項3】
前記電気的接続部と前記シール部との間に、溝部を形成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の生体情報検出装置。
【請求項4】
前記生体信号検出部は導電エラストマーにより形成され、この導電エラストマーが前記電極を兼ねていることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の生体情報検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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