生崩壊性液状覆土代替材、並びに廃棄物,焼却灰,汚染土壌等の処理方法

【課題】廃棄物,焼却灰,汚染土壌等の被処理物の表面を短時間で覆うことができ、被処理物の飛散を防止すると共に、機械による散布が容易で、効率良く作業を行うことができる新規な液状覆土代替材を提供する。
【解決手段】生崩壊性材料としての加工澱粉:30〜40重量%、バインダーとしての水性エマルジョン樹脂:1〜8重量%、希釈水:60〜40重量%の配合の液状覆土代替材を、粘度300〜1800mPa・sになるよう希釈し、該希釈液を被処理物に散布して浸透させ、該被処理物の表面域を短時間で硬化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物処分場や工場跡地などで用いる液状の生崩壊性覆土代替材と、この覆土代替材を用いて廃棄物,焼却灰,汚染土壌等を処理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、廃棄物の最終処分場などにおいては、土壌を掘り下げて形成した凹部上に遮水シートを敷設し、この凹部内に廃棄物や焼却灰等を投棄した後、その廃棄物等を覆土と呼ばれる土で覆うことで廃棄物等の飛散を抑えている。覆土は、その日に投棄された一日分の廃棄物等を覆うよう被せられるので、前記凹部内には、廃棄物等と覆土が交互に積み重なった層が形成される。覆土は通常30〜50cm程度の厚さを必要とされるので、凹部内の容積の大部分を覆土が占めるようになり、処分場の実効容積が小さくなってしまうという問題が生じる。
【0003】
また、工場跡地などにおいて、汚染土壌の改良のために特殊な薬品を散布して浄化作業を行う場合、浄化完了前の汚染土壌の飛散を防止するために、その土壌全体をポリエチレン製のブルーシート等で覆っている。このような土壌改良現場は広大な面積であるため、ブルーシート等の敷設や浄化完了後の撤去に時間と手間がかかるという問題がある。また、汚染物質付着の可能性があるため、使用済みブルーシート等は再利用せず廃棄処分するようになっているが、近年における地球環境保護、リサイクル推進等の事情から好ましいとは言えない。
【0004】
このような問題を解決するために、近年では、エマルジョンタイプの樹脂等を主成分とする覆土代替材を用い、これを廃棄物や汚染土壌等の被処理物に散布して硬化させ、被処理物表面に樹脂皮膜を形成することで、覆土やブルーシート等を用いた場合と同様の効果を得る技術が提案されている(例えば特許文献1など参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2002−186928号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、今日知られている代替材は、廃棄物や汚染土壌等の表面に樹脂皮膜を形成可能なよう、エマルジョンタイプの樹脂等を主成分とし、これに、水に溶けると増粘しやすい天然の生崩壊性材料等を含んだ高粘度のもので、樹脂成分が多く生崩壊或いは生分解に一年以上の時間がかかるなどの問題があった。
【0007】
本発明はこのような従来事情に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、覆土やブルーシート等を不要として作業の手間を省くことができると共に、廃棄物処分場等の実効容積を拡大することができる生崩壊性覆土代替材であって、機械による散布が容易で、且つ、廃棄物、焼却灰、汚染土壌等の被処理物に短時間で浸透して硬化することで、被処理物の飛散を防止すると共に効率良く作業を行うことができる新規な生崩壊性覆土代替材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る覆土代替材は、生崩壊性材料を主成分とし、少なくともバインダーと希釈剤とを含んでなる生崩壊性の液状覆土代替材であって、前記生崩壊性材料として加工澱粉を用いたことを特徴とする。
【0009】
生崩壊性材料とは、土壌に多く見られる土壌微生物、すなわち、Mucor属、Pythium属、Mortierella属、Penicillium属、Fusarium属、Aspergillus属、Achlya属、Monosporium属などの微生物により分解されて崩壊する材料である。
従来の覆土代替材では、バインダーを主成分とし、これに、生崩壊性材料として、水に溶けて増粘しやすいコーンスターチやポテトスターチなどの天然型澱粉を含んでいたが、本発明では、生崩壊性材料として可溶性で低粘度の加工澱粉を主成分とし、バインダーの含有を少量に抑えたことを特徴とする。
【0010】
加工澱粉は、原料澱粉としての馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、タピオカ澱粉、小麦澱粉などを加工してなるもので、その加工法別に、誘導体タイプ、分解タイプ、アルファ化タイプ、その他のタイプに分類することができる。
本発明においては、これら分解澱粉、アルファ化澱粉、澱粉誘導体のいずれも用いることができるが、冷水に対する溶解性、高濃度水溶液中における長期安定性などを考慮すれば、分解澱粉を用いることが好ましい。
分解澱粉としては、原料澱粉を酸と共に加熱して分解、または酵素を使用して加水分解したデキストリンや、原料澱粉を有機酸又は無機酸で加水分解した可溶性澱粉があり、本発明では何れも使用可能であるが、前記した溶解性、長期安定性に加え、皮膜強度の面より、ゲル化力の強いデキストリンを用いることが好ましい。
デキストリンには、分解の初期に白色の外観を呈す白色デキストリンと、分解が進むにつれて黄色の外観に変化する黄色デキストリンが含まれるが、本発明ではどちらを用いても良い。
【0011】
バインダーは固着剤或いは皮膜形成剤として機能するもので、本発明では、水性エマルジョン樹脂を用いることが好ましい。水性エマルジョン樹脂としては、例えば、水性エマルジョンタイプのエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)や、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、スチレン−アクリル酸エステル、EVA−塩化ビニル共重合体、EVA−アクリル酸エステル共重合体などを用いることができる。
【0012】
希釈剤としては、乾燥促進の為などにエチルアルコールを用いることもできるが、水を用いることが好ましい。
【0013】
本発明に係る生崩壊性液状覆土代替材は、廃棄物、焼却灰、汚染土壌等の被処理物に対し散布することでその被処理物に浸透し、該浸透域(被処理物の表面域)を短時間で硬化させるものである。被処理物に対する散布は通常、機械散布によるが、散布作業時の目詰まり防止や広域への均一な散布、さらには、被処理物に対し迅速に浸透し、その浸透域(被処理物の表面域)を短時間で硬化させる乾燥固着性、長期保管時の安定性などを考慮すると、前記加工澱粉、バインダー、希釈剤の好ましい配合比は、加工澱粉:30〜40重量%、バインダー:1〜8重量%、希釈剤:60〜40重量%である。
また、長期保管時の品質安定性などの点から、その粘度(原液としての粘度)は、600〜3200mPa・s程度であることが好ましい。
前述の配合比になる液状覆土代替材を原液とし、これを、散布機による散布がし易く、且つ、被処理物に対し浸透し易い粘度、具体的には、粘度300〜1800mPa・sの範囲になるよう、水等の希釈剤で2倍程度以上に希釈して使用することが好ましい。
尚、前記した各粘度は、回転粘度計による回転数50rpm、測定温度22℃の条件で測定した粘度である。
【0014】
また、本発明に係る生崩壊性液状覆土代替材の被処理物に対する浸透の程度は、被処理物の種類や性質、処理現場における環境などの各種条件により異なるが、被処理物の飛散防止、臭気発生の防止効果を得るために、概ね、被処理物の表面から深さ5mm〜30mm程度浸透して硬化することが好ましい。この点からも、前記配合比の液状覆土代替材を前記粘度になるよう希釈して使用することが好ましい。
【0015】
また、本発明に係る生崩壊性液状覆土代替材は、前述の加工澱粉、バインダー、希釈剤以外に、必要に応じて、防腐剤、消泡剤、充填剤、着色剤、消臭剤、湿潤剤、乾燥促進剤などを、前述の特性を損なわない範囲で含むことができる。また、前述の特性を損なわない性質で水に分散するものであればどのようなものを用いても構わない。
防腐剤は、液状覆土代替材の品質の低下防止、特に容器等に保管した際のカビの発生防止に寄与する。消泡剤は、機械散布時の泡の発生を防止し、被処理物に対する浸透性を向上させる。充填剤は増量剤として機能し、液状覆土代替材の低コスト化に寄与する。
着色剤は、液状覆土代替材の外観を美的観点から向上させると共に、着色により液材の噴霧状態を視認可能とするもので、例えば白色、黄色、青色などの水性顔料を単独で若しくはこれらを混合して用いることができる。
湿潤剤は充填剤などの分散促進に寄与する。乾燥促進剤は、被処理物に散布した後の乾燥硬化を促進するもので、アルコールなどを用いることができる。
消臭剤(防臭剤)は、被処理物からの臭いの発生を抑制するもので、例えば木酢液を用いることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る覆土代替材は以上説明したように、生崩壊性の加工澱粉を主成分とし、少量のバインダーを含有した液状の生崩壊性材料であり、粘度300〜1800mPa・s程度になるよう希釈した後、廃棄物、焼却灰、汚染土壌、その他の被処理物に対して散布することでその被処理物に浸透して短時間で硬化し、これら被処理物の飛散を防止することができる。
したがって、従来の土質系覆土やブルーシート等の代替材として有用に機能し、廃棄処理場の実効容積を拡大すると共に、土質系覆土を敷設するための時間と手間、ブルーシート等を敷設、撤去するための時間と手間等を省くことが出来る。さらに、ブルーシート等の廃棄処分の問題を解消すると共に、機械散布する際の作業性を改善し、且つ短時間で乾燥固化するので、廃棄物、焼却灰、汚染土壌等の処理作業を大幅に短縮し得るなど、従来の覆土代替材では得られない多くの効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る生崩壊性液状覆土代替材を、実施例と比較例に基づきより詳細に説明する。
【0018】
(実施例)
表1に示す配合比となるよう、生崩壊性材料としての加工澱粉:100重量部に対し、バインダー:14重量部、希釈剤:130重量部、充填剤:40重量部に加え、消泡剤と防腐剤を、所定の配合用容器内で、ディスパー型攪拌機などの所定の攪拌機により攪拌を行いながら配合を行い、粘度2000mPa・sの液状覆土代替材を得た。
【0019】
【表1】

【0020】
この液状覆土代替材を密閉ビーカーに保存して、経時による粘度変化を測定した処、保存開始直後から20日後までの間で粘度の大きな変化は見られず、長期にわたり安定した状態であることが確認できた。粘度測定には、東京計器製作所社製のブルックフィールド粘度計を用い、回転数50rpm、温度22℃の条件で測定した。
【0021】
また、この液状覆土代替材を水で2倍に希釈して粘度1000mPa・sの液状覆土代替材希釈液を得、これを蓋無しシャーレに入れて室温で自然放置し、経時による状態の変化を目視測定した。その結果、1日後には表面がやや固まり薄皮の皮膜が形成され、3日後には水分が蒸発して表面がプリン状態に変化し、5日後には表面が硬化してクラックが入り、6日後には表面が硬く固まり小片に割れていることが確認できた。
【0022】
また、前記液状覆土代替材希釈液約40kgを、最終処分場に埋め立て処分された、ゴミ焼却処理施設から運び込まれた焼却灰、粉砕不燃物などの被処理物50mに対し、霧状噴霧機を用いて0.8kg/mの条件で霧状散布したところ、散布中に目詰まりなどが生ずることなく、安定して作業を行うことができた。
散布後、被処理物に対する浸透の度合いを複数箇所で測定した結果、被処理物の表面から約5〜15mm程度の深さまで浸透していることが確認できた。
また、浸透後の乾燥硬化時間を測定した結果、散布後から約2時間程度で硬化が完了し、被処理物の表面ほぼ全域において乾燥固着が見られ、被処理物の飛散を防止できることが確認できた。
また、この被処理物における表面固着域は、該固着域が形成されてから3〜4箇月後にそのほとんどが生崩壊していることが確認できた。
【0023】
(比較例)
表2に示す配合比となるよう、バインダー:100重量部に対し、生分解性材料:60重量部、木粉:10重量部、湿潤剤:12重量部、粘度安定剤:6重量部、充填剤:30重量部、希釈剤:18重量部を、所定の配合用容器内で、ディスパー型攪拌機などの所定の攪拌機により攪拌を行いながら配合を行い、粘度4000mPa・sの覆土代替材を得、これを比較試料として用いた。
【0024】
【表2】

【0025】
前記比較試料を、実施例と同条件で希釈し蓋無しシャーレに入れて室温で自然放置し、経時による状態の変化を目視測定した結果、10日間、特に変化が見られないことが確認できた。
また、この希釈液約40kgを、実施例と同条件で被処理物に対し散布したところ、被処理物に対する浸透は僅かしか見られず、被処理物の表面にゾル状層が形成された。また、乾燥硬化時間を測定した結果、散布後から約2〜3日後から徐々に固まり、約10日後に樹脂皮膜が形成されることが確認できた。
これらの結果から、本発明に係る液状覆土代替材の生崩壊性、浸透性の優位性を確認することができた。
【0026】
以上、本発明の実施形態の一例を実施例に基づき説明したが、本発明に係る生崩壊性液状覆土代替材は前記実施例に限定されるものではなく、特許請求範囲に記載された技術的思想の範疇において種々の変更が可能であることは言うまでもない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生崩壊性材料を主成分とし、少なくともバインダーと希釈剤を含んでなる生崩壊性の液状覆土代替材であって、前記生崩壊性材料として加工澱粉を用いたことを特徴とする生崩壊性液状覆土代替材。
【請求項2】
前記加工澱粉の配合比が30〜40重量%、バインダーの配合比が1〜8重量%、希釈剤の配合比が60〜40重量%であることを特徴とする請求項1記載の生崩壊性液状覆土代替材。
【請求項3】
防腐剤、消泡剤、充填剤、着色剤、消臭剤、湿潤剤、乾燥促進剤の内の一種以上をさらに含むことを特徴とする請求項1又は2記載の生崩壊性液状覆土代替材。
【請求項4】
前記加工澱粉がデキストリンであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載の生崩壊性液状覆土代替材。
【請求項5】
前記バインダーが水性エマルジョン樹脂であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項記載の生崩壊性液状覆土代替材。
【請求項6】
粘度300〜1800mPa・sになるよう希釈して使用されることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項記載の生崩壊性液状覆土代替材。
【請求項7】
請求項1〜5の何れか1項記載の生崩壊性液状覆土代替材を、被処理物に対し浸透可能な粘度になるよう希釈し、該希釈液を前記被処理物に対し散布して、該被処理物の表面域を短時間で硬化させることを特徴とする廃棄物,焼却灰,汚染土壌等の被処理物の処理方法。

【公開番号】特開2006−117861(P2006−117861A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−309188(P2004−309188)
【出願日】平成16年10月25日(2004.10.25)
【出願人】(000000550)オカモト株式会社 (118)
【出願人】(000204192)太陽工業株式会社 (174)
【出願人】(000006068)三ツ星ベルト株式会社 (730)
【Fターム(参考)】