説明

用紙処理装置、画像形成システム、用紙搬送異常検出方法、及び用紙搬送異常検出制御プログラム

【課題】手差し給紙の際、ユーザが指定した用紙サイズと、実際の用紙サイズが違った場合でも、用紙処理装置でジャムを発生することなく用紙を搬送し、排紙できるようにする。
【解決手段】手差し給紙の際、前段の装置から通知される用紙長が用紙処理装置で通排紙可能な用紙長の最長長さであり、異常検出手段による第1の滞留ジャムの検知開始タイミングが前記手差し給紙された装置から用紙が排出されたタイミングに設定され、また、異常検知手段は、用紙搬送方向最上流側に位置する用紙位置検出手段の用紙検知タイミングに基づいて第2の滞留ジャムの検知処理を開始し、第2の滞留ジャムの検知処理を前記用紙処理装置で通排紙可能な用紙長の最長長さを基準に実行する(ステップS120〜S125、S132)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬入されてきたシート状記録媒体(本明細書では、「用紙」と称す)に対して所定の処理を施す用紙処理装置、この用紙処理装置を備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ、デジタル複合機などの画像形成システム、前記用紙処理装置あるいは前記システムで実行される用紙搬送異常検出方法、及び当該用紙搬送異常検出方法をコンピュータによって実行するための用紙搬送異常検出制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置に対する要求の多様化,高機能化に伴い、画像形成装置によって印字された用紙にスティプル処理やパンチ処理を行う用紙後処理装置の開発が進んでいる。しかし、機能が増えるに従い用紙後処理装置が大型化し、装置の設置面積及び消費電力も増大するため、一方では省スペースや省電力に考慮した画像形成装置及び用紙後処理装置の要求もある。
【0003】
省スペースを考慮した用紙後処理装置では、機能を限定することはもちろん、装置を構成する部品を小さく設計し、部品間のスペースも限界までなくし、装置自体を小さくするように設計が成されている。さらには、これまでの用紙後処理装置は画像形成装置の外部に設置する形態であるものが多かったが、用紙後処理装置を原稿読取部と印字部と給紙部とによって形成されている画像形成装置内部の空間に設置する形態の、胴内フィニッシャなどの用紙後処理装置も開発されている。
【0004】
この胴内フィニッシャのように用紙後処理装置の小型化が進むにつれ、当然のことながらジャム処理作業を行う空間の確保も困難となり、ジャム処理作業が容易に実行できるように、さまざまな技術が従来から提案されている。
【0005】
例えばコピー生産性を上げるために、予めユーザによって設定された用紙サイズに基づいて次給紙タイミング計り、給紙する方式においては、前の記録紙の用紙後端がジャム検知手段で用紙後端抜けを検知する前に次給紙を開始するようにして連続給紙を行うものがある。一方、ジャム検出では一般に、設定された用紙サイズから理論上のセンサ位置用紙抜けタイミングを算定し、そのタイミングに対して例えば用紙サイズの一定倍用紙を搬送する期間、と言うように所定期間の間、用紙後端抜けを監視し、この間に用紙後端抜けとならない場合はジャムと判定して機械を停止するようになっている。
【0006】
このような方式のジャム検出の場合、前者のような搬送方式のもの、あるいは用紙サイズの設定ミスはジャムと検知されてしまい機械が停止するので、作業者はジャム紙の処理を行わなければならなかった。また、検知されるジャム要因として記録紙サイズの設定ミスによるものが大きな比重を占める。
【0007】
すなわち、オペレータが給紙段毎にそこに装備した用紙のサイズ情報を、ダイアル操作あるいはキーボード入力で設定する場合、実際に装備した用紙のサイズと、ダイアル又はキーボード入力により設定された用紙サイズ情報とが不一致になること(設定ミス)がある。記録を終えた用紙の後端が排紙センサ位置を通過してから、次の用紙の送給を開始する1枚給紙の態様では、機内には1枚以下の用紙しかないので、ジャムを生じても、それを取出して再起動する修復作業は比較的に容易である。
【0008】
しかし、連続給紙の態様では、機内に複数の記録紙があるので、修復に手間がかかるばかりでなく、用紙取出し漏れを生じやすく、残留紙の見落しにより再スタート入力をしても起動しないとか、再起動してもまた新規用紙を送り出してジャム停止して再度の手間を要するなどのトラブルを生じやすい。そこで、ユーザの不注意による用紙サイズ設定ミスの場合の、機械停止による用紙の機内残留の回避や、機内残留紙の少量化が望まれていた。
【0009】
このような状況に対処した発明として、例えば特許文献1−4に記載された発明が公知である。このうち、特許文献1(特開2004−155522号公報)には、用紙サイズ設定ミスによる機械停止での送給用紙の機内残留を少なくしかつ用紙サイズ設定が正常な場合の作像の生産性は高くするため、サイズ情報の変化を検出し、それを表わす変化情報を生成する手段、及び、前記変化情報がないときは、前記搬送手段が前給紙の作像終了用紙を排出する前に次給紙を開始する短周期送給モードで用紙を送給し、前記変化情報があるときは、短周期送給モードよりも長い周期の長周期モードで用紙を送給する給紙制御手段を備えた画像形成装置が開示されている。
【0010】
また、特許文献2(特開平6−271142号公報)には、A4サイズ不定モードにおいてA4サイズ以上の記録紙を搬送したときでも、これをジャムと判断しないで印刷を履行できるようにするため、記録紙の搬送を制御する搬送制御手段と、該記録紙のサイズの検知と該記録紙の有無の検知とを兼ねる給紙検知手段と、給紙前に上記記録紙のサイズを検知することが不可能なときで記録紙が規定サイズ以下ならば搬送を許容する記録紙不定モードで印刷動作を行うときに、上記規定のサイズよりも大きな記録紙を給紙したことを検知した上記給紙検知手段の検知に応じて、ジャム検知のタイミングを規定サイズのジャム検知タイミングにバイアスを加えたタイミングに切り替えるタイミング制御手段と、を備えた画像形成装置が開示されている。
【0011】
さらに、特許文献3(特開2001−2261号公報)には、転写紙のサイズ違いや重送の発生を検出し、若干のサイズの違いであれぱジャム停止を行わず、ジャム処理の手間を省くことができるようにするため、転写紙検知手段と時間計測手段により転写紙搬送路上の紙詰まりを検知するための第1の閾値と、第1の閾値より小さい第2の閾値とを転写紙サイズ毎に用意し、転写紙搬送時間が第1の閾値以上の場合に紙詰まりと判断し画像形成動作をただちに停止し、転写紙搬送時間が第1の閾値未満で第2の閾値以上の状態を2回以上連続で検知した場合は転写紙サイズ異常と判断し次の転写紙の給紙搬送を禁止し、画像形成途中の転写紙の排紙が完了した所で画像形成動作を停止し、転写紙搬送時間が第1の閾値未満で第2の閾値以上の状態を連続しない1回ずつ検知した場合は画像形成動作を継続する画像形成装置が開示されている。
【0012】
加えて、特許文献4(特開2001−117431号公報)には、手差し給紙部において用紙サイズが誤ってセットされた場合でも問題がなく、また用紙サイズのセットミスによるジャムが生じないようにするため、画像形成部における露光位置から転写ローラ位置までの距離より10mm以上長い位置に紙有無検知センサを設けるとともに、給紙動作時に上記認識した用紙サイズに対応する紙長さより短い位置で上記紙有無検知センサが紙なしを検知した場合、紙無検知信号から紙の長さを割り出して上記画像形成部における露光時間を短くして画像形成動作を用紙が排出されるまで継続させるようにした画像形成装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、前述の特許文献1−4記載の発明では用紙後処理の制御に関する考慮がされておらず、画像形成装置から通知される用紙サイズ情報に基づいて機内の負荷制御及び用紙搬送ジャム検知を行う用紙後処理装置を接続した際に、ユーザが指定した用紙サイズ(長さ)と、実際の用紙サイズ(長さ)が異なると、機内でジャムになってしまうことがある。
【0014】
また、用紙後処理装置が画像形成装置の胴内に配置される構成では、用紙の排紙先が用紙後処理装置しかない場合があり、画像形成装置側で用紙サイズ設定ミス、及び用紙搬送の異常を検出した場合、画像形成装置ではジャムの回避が可能であっても、用紙後処理装置でジャムとなってしまう可能性があり、画像形成システムとして考えたときにジャムが生じてしまうことになる。
【0015】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、手差し給紙の際、ユーザが指定した用紙サイズと、実際の用紙サイズが違った場合でも、用紙処理装置でジャムを発生することなく用紙を搬送し、排紙できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記課題を解決するため、第1の手段は、手差し給紙によって給紙された前段の装置からの用紙を搬送する際の用紙滞留ジャムを検出する異常検出手段を有する用紙処理装置であって、手差し給紙の際、前記前段の装置から通知される用紙長が前記用紙処理装置で通排紙可能な用紙長の最長長さであり、前記異常検出手段による第1の滞留ジャムの検知開始タイミングが前記手差し給紙された装置から用紙が排出されたタイミングであることを特徴とする。
【0017】
第2の手段は、第1の手段において、前記用紙が排出されたタイミングは、前記前段の装置からの排紙信号OFFコマンドの受信タイミングであることを特徴とする。
【0018】
第3の手段は、第1又は第2の手段において、前記用紙が排出されたタイミングをトリガとして、用紙を搬送する搬送手段は自身の搬送速度を前段の装置の搬送速度よりも速い速度に増速することを特徴とする。
【0019】
第4の手段は、第1ないし第3のいずれかの手段において、前記異常検知手段は、用紙搬送方向最上流側に位置する用紙位置検出手段の用紙検知タイミングに基づいて第2の滞留ジャムの検知処理を開始し、第2の滞留ジャムの検知処理を前記用紙処理装置で通排紙可能な用紙長の最長長さを基準に実行することを特徴とする。
【0020】
第5の手段は、第1ないし第4のいずれかの手段において、前記用紙処理装置の最上流に位置する前記用紙位置検出手段が用紙を検知した後、非検知となったタイミングで、発行されていない負荷動作開始命令があった場合は、負荷動作開始命令を発行する制御手段を備えていることを特徴とする。
【0021】
第6の手段は、第1ないし第5のいずれかの手段に係る用紙処理装置と、用紙長を前記用紙処理装置に通知する通知手段を有する前記前段の装置たる画像形成装置とを備えた画像形成システムを特徴とする。
【0022】
第7の手段は、手差し給紙によって給紙された前段の装置からの用紙を搬送する際の用紙処理装置における用紙滞留ジャムを検出する用紙搬送異常検出方法であって、手差し給紙の際、前記前段の装置から通知される用紙長が前記用紙処理装置で通排紙可能な用紙長の最長長さであり、前記手差し給紙された装置から用紙が排出されたタイミングで、第1の滞留ジャム検知を開始することを特徴とする。
【0023】
第8の手段は、第7の手段において、用紙搬送方向最上流側に位置する用紙位置検出手段の用紙検知タイミングに基づいて第2の滞留ジャムの検知処理を開始し、第2の滞留ジャムの検知処理を前記用紙処理装置で通排紙可能な用紙長の最長長さを基準に実行することを特徴とする。
【0024】
第9の手段は、手差し給紙によって給紙された前段の装置からの用紙を搬送する際の用紙処理装置における用紙滞留ジャム検出をコンピュータによって実行するための用紙搬送異常検出プログラムであって、手差し給紙の際、前記前段の装置から用紙長が前記用紙処理装置で通排紙可能な用紙長の最長長さであることを受信する手順と、前記手差し給紙された装置から用紙が排出されたタイミングで、第1の滞留ジャム検知を開始する手順と、を備えていることを特徴とする。
【0025】
第10の手段は、第9の手段において、用紙搬送方向最上流側に位置する用紙位置検出手段の用紙検知タイミングに基づいて第2の滞留ジャムの検知処理を開始する手順と、第2の滞留ジャムの検知処理を前記用紙処理装置で通排紙可能な用紙長の最長長さを基準に実行する手順と、を備えていることを特徴とする。
【0026】
なお、後述の実施形態では、異常検出手段は異常検出部406に、用紙処理装置は用紙後処理装置200に、排紙信号OFFコマンドは符号253に、搬送手段は入口ローラ対201及び排紙ローラ206に、用紙搬送方向最上流側に位置する用紙位置検出手段は入口センサ207に、制御手段はCPU401に、通知手段はシリアルI/F415に、画像形成装置は符号100に、それぞれ対応する。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、前述のように構成されているので、手差し給紙の際、ユーザが指定した用紙サイズと、実際の用紙サイズが違った場合でも、用紙処理装置でジャムを発生することなく用紙を搬送し、排紙することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成システムのシステム構成の概略を示す図である。
【図2】用紙後処理装置の概略構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像形成システムの制御構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態に係る用紙制御タイミングの一例を示すタイミングチャートである。
【図5】本発明の実施形態における用紙後処理装置制御部のCPUの用紙受入れから滞留ジャム検知完了までの処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、手差し給紙の際にユーザ入力の用紙サイズと実際に給紙される用紙サイズが齟齬したときに、搬送路における用紙の検知状態によっては滞留ジャムと判断され、用紙搬送が停止し、あるいはシステム自体が停止し、ジャム処理が実行されないと、用紙処理が不能となる事態の発生を回避できるようにしたものである。以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
【0030】
1.全体構成
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成システムのシステム構成の概略を示す図である。同図において、本実施形態に係る画像形成システムは画像形成装置100、用紙処理装置(以下、用紙後処理装置とも称す)200、及び画像読み取り装置300から構成されている。
【0031】
画像形成装置100は、間接転写方式のタンデム型カラー画像形成装置であり、図においてほぼ中央部に4色の作像ステーション111が配置された作像部110、この作像部110の下方に隣接して設けられた光書き込み部113、作像部110の下方に設けられた給紙部120、給紙部120でピックアップされた用紙を2次転写部140及び定着部150に搬送する給紙搬送路(縦搬送路)130、画像が定着された用紙を用紙後処理装置200側に搬送する排紙経路160、一面に画像が形成された用紙を反転し、他面に画像形成させるための両面搬送路170を備えている。
【0032】
また、両面搬送路170の下方には、手差し給紙搬送路181が設けられ、手差しトレイ180から手差しされた用紙を手差し給紙ローラ183及び搬送ローラ182によって手差し給紙搬送路181に沿って給紙搬送路130に搬送する。手差し給紙ローラ183及び搬送ローラ182は両面搬送路における搬送ローラと同一の駆動源で駆動される。
【0033】
作像部110は、前記作像ステーション111のYMCK各色用の感光体ドラムと、この感光体ドラムの外周に沿って配置された帯電ユニット、現像ユニット、1次転写ユニット、クリーニングユニット、及び除電ユニットと、感光体ドラムに形成された画像を1次転写ユニットによって中間転写する中間転写ベルト112と、感光体ドラムに色毎に画像を書き込む光書き込みユニット113とを備えている。光書き込みユニット113は、作像ステーション111の下側に配置され、中間転写ベルト112は作像ステーション111の上側に配置されている。
【0034】
中間転写ベルト112は複数の支持ローラによって回転可能に支持され、そのうちの1つの支持ローラ114は2次転写部140で中間転写ベルト112を介して2次転写ローラ115と対向し、中間転写ベルト112上の画像を用紙に2次転写できるようになっている。符号116は交換可能に配置されたトナー収容容器である。
【0035】
なお、間接転写方式のタンデム型カラー画像形成装置の画像形成プロセスは公知であり、本発明の要旨とは直接関係しないので、詳細な説明は省略する。
【0036】
給紙部120は給紙トレイ121、ピックアップローラ122、給紙搬送ローラ123を備え、給紙トレイ121からピックアップした用紙を縦搬送路130に沿って上方に送り出す。送り出された用紙は2次転写部140で画像が転写され、定着部150に送られる。定着部150は定着ローラ151aと加圧ローラ151bを備え、用紙が両者間のニップを通過する過程で、加熱及び加圧が行われ、トナーが用紙に定着される。
【0037】
定着部150の下流には、排紙搬送路160と両面搬送路170が設けられ、両者は分岐爪161によって2方向に分岐し、用紙後処理装置200側に搬送される場合と、両面搬送路170に搬送される場合とで搬送路が選択される。なお、分岐爪161の用紙搬送方向上流側の直近には最終搬送ローラ162が設けられ、用紙へ搬送力を付与している。
【0038】
用紙後処理装置200は、画像形成装置100の内部に配置され、画像形成装置100から搬送された画像形成済み用紙に所定の処理を施し、最下流に位置する排紙トレイ203に積載するもので、詳細については後述する。
【0039】
画像読み取り装置300は、コンタクトガラス上にセットされた原稿を光走査して原稿面の画像を読み取る公知のものである。画像読み取り装置300自体の構成及び機能は公知であり、本発明の要旨とは直接関係しないので、詳細な説明は省略する。
【0040】
大略前記のように構成された画像形成装置100では、画像読み取り装置300から読み取られた原稿データあるいは外部のPCなどから転送された印刷データに基づいて書き込みに使用する画像データを生成し、その画像データに基づいて光書き込みユニット113から各感光体ドラムに対して光書き込みが行われ、各作像ステーション111で色毎に形成された画像が順次中間転写ベルト112に転写され、中間転写ベルト112上に4色の画像が重畳されたカラー画像が形成される。
【0041】
一方、給紙トレイ121からは前記画像形成に応じて用紙が給送される。用紙は、2次転写部140の直前の図示しないレジストローラ位置で一旦停止し、中間転写ベルト112上の画像先端とタイミングを合わせて送り出され、2次転写部140で2次転写され、定着部150へと送り込まれる。
【0042】
定着部150で画像が定着された用紙は、片面印刷の場合及び両面印刷の両面印刷後の場合には、分岐爪161の切り替え動作により排紙経路160側へ搬送され、両面印刷の場合には両面搬送路170側へ搬送される。両面搬送路170に搬送された用紙は、反転後、再度、2次転写部140に送り込まれて、他側の面に画像が形成された後、排紙経路160側に返送される。
【0043】
排紙経路160側に搬送された用紙は、用紙後処理装置200に搬送され、用紙後処理装置200で所定の用紙処理を施し、あるいは、処理なしで排紙トレイ203に排紙される。
【0044】
2.用紙後処理装置(用紙処理装置)
図2は用紙後処理装置200の概略構成を示す図である。
【0045】
同図において、用紙後処理装置200は、用紙搬送方向上流側から入口ローラ対201、排紙搬送路202、シフト排紙ローラ対204、スティプルトレイ219、叩きコロ211、戻しコロ214、後端基準フェンス220、ジョガーフェンス(整合板)212、排紙ローラ206、及び排紙トレイ203から主に構成されている。
【0046】
すなわち、用紙後処理装置200の用紙受入れ部には画像形成装置100の排紙搬送路160から用紙を受け入れる入口ローラ対201、受け入れた用紙をシフト排紙ローラ対204側に搬送する排紙搬送路202、及び排紙トレイ203に用紙をシフトして排紙する機能を有するシフト処理手段としてのシフト排紙ローラ対204が設けられ、入口モータ216により入口ローラ対201及びシフト排紙ローラ対204を回転させることによって排紙搬送路202に沿って用紙を搬送する。
【0047】
また、排紙搬送路202には入口センサ207が配置され、用紙の先端と後端の検知、及び検知した用紙の先端と後端の検知タイミングとステッピングモータである入口モータ216と後述の排紙モータ217の駆動ステップ数により各用紙処理を行う際のタイミングをとっている。
【0048】
なお、排紙搬送路202に沿って設けられた入口ローラ対201及びシフト排紙ローラ対204が搬送手段として機能する。
【0049】
排紙の動作は、用紙をシフトして排紙するシフトモードと、複数の用紙を綴じて排紙するスティプルモードで異なるので、モード毎に各部構成を加えて説明する。
【0050】
2.1 シフトモード動作
シフトモードは、用紙を排紙する際に所定枚数毎に用紙搬送方向と垂直な方向に用紙の排紙位置をずらし、このずれにより用紙を仕分けするモードである。
【0051】
シフト搬送ローラ対204は、排紙搬送路202の最下流の端部に設けられ、不図示のシフトコロ駆動モータにより用紙搬送方向に対して垂直な方向に往復駆動される。すなわち、シフトモードで用紙の仕分けを行う際、所定枚数毎に用紙搬送方向と垂直な方向に移動し、用紙の搬送方向を垂直な方向に移動した分だけずらして排紙トレイ203に排紙する。これにより排紙トレイ203に積載されたとき、前記所定枚数毎に排紙位置が交互にずれ、用紙の仕分けが行われる。
【0052】
また、シフト搬送ローラ対204の下流には排紙開閉ガイド板(以下、排紙ガイド板と略称する)205と排紙ローラ206が配置されている。排紙ローラ206は排紙モータ217により駆動され、排紙ガイド板205は排紙開閉ガイド板駆動モータ(以下、排紙ガイド板駆動モータと略称する)205a(図4参照)により上下動可能であり、排紙ローラ206と排紙ガイド板205に取り付けられた従動コロにより用紙を挟持して搬送し、用紙を排紙トレイ203へと排紙し、排紙トレイ203上に積載する。
【0053】
排紙トレイ203の用紙後処理装置200本体部への取り付け部には、排紙トレイ203上に積載された用紙を押えるための用紙押え209が配置され、ソレノイド218のON/OFFにより用紙押え解除動作と用紙押え動作が行われる。すなわち、用紙の搬送にあわせてソレノイド218をONして用紙押え209の押圧動作を解除し、用紙が排紙ローラ206を通過したらソレノイド218をOFFして用紙押えを行う。
【0054】
排紙トレイ203は、搬送方向下流側の固定トレイ部208aと上流側の可動トレイ部208bを備え、可動トレイ部208bは排紙トレイモータ(DCモータ)221a及びカム・リンク機構221bにより上下動する。可動トレイ部208bは上流側の端部が回動端となって支軸221cを介して固定トレイ部208aに揺動可能に軸支され、カム・リンク機構221bの作動端がこの可動トレイ208bに連結されている。これにより、排紙トレイモータ221aが回転し、この回転に応じて可動トレイ部208bが前記支軸221cを中心に揺動する。この可動トレイ208bは、排紙された用紙枚数が一定枚数に達すると、後述の制御部からの指令により排紙トレイモータ221aが回転し、可動トレイ部208bの自由端を下降させる。
【0055】
また、用紙押え209にはトレイ紙面センサ209a(図4参照)が配置され、用紙押え209が用紙押えを行っている状態でトレイ紙面センサがOFFであれば排紙トレイ203をトレイ紙面センサ209aがONするまで上昇させ、トレイ紙面センサ209aがONしていれば、一旦紙面センサがOFFするまで排紙トレイ203を下降させ、再度ONするまで上昇させることによって用紙が積載された排紙トレイ203の高さを一定に保つようになっている。このように、排紙トレイ203の用紙積載状態に応じて可動トレイ部208の自由端を上下させ、排紙ローラ206のニップ部から可動トレイ部208の用紙積載部までの距離を一定に保つことにより、排紙ローラ206から排紙される用紙と可動トレイ部208の接触角度を一定にし、排紙トレイ203に積載される用紙の揃え品質を安定させることができ、また多枚数の積載が可能となる。
【0056】
以上の動作を繰り返すことにより排紙トレイ203上に仕分けされた用紙が積載されることになる。
【0057】
2.2 スティプルモード動作
スティプルモードは、用紙を排紙する際に所定枚数毎にスティプラによって綴じて、排紙するモードである。
【0058】
排紙搬送路202の最下流の端部に設けられたシフト搬送ローラ対204と排紙トレイ203に排紙する直前に設けられた排紙ガイド板205との間には、叩きコロ駆動モータ211a(図4参照)により上下方向に駆動される叩きコロ211が配置されている。叩きコロ211は上下動を行うレバー部分とコロ部分からなり、コロ部分は排紙モータ217により、用紙搬送方向と逆方向に回転駆動される。
【0059】
スティプルモードでは、用紙後端がシフト搬送ローラ対204を通過したタイミングで叩きコロ211を下降させ、コロ部分で用紙を積載手段としてのスティプルトレイ219に押し付け、さらにコロ部分を回転させて用紙後端が後端基準フェンス220に突き当たるまでスイッチバックさせる。ここで、叩きコロのコロ部分の回転駆動は、排紙モータ217によって行われ、排紙ローラ206と同一駆動である。後端基準フェンス220の上部には、戻しコロ214が配置されており、用紙のスイッチバックの補助を行い、また用紙搬送方向の整合を行う。この整合は、後端基準フェンス220に突き当てることにより、後端基準フェンス220を基準に行われる。
【0060】
用紙のスイッチバックが完了すると、スティプルトレイ219に配置されているジョガーフェンス212によって用紙搬送方向と垂直な方向の用紙整合が行われる。ジョガーフェンス212は、固定側と可動側が対になっており、可動側がジョガー駆動モータ212a(図4参照)により用紙搬送方向と垂直な方向に移動して用紙の端部を固定側に対して挟むように移動し、用紙の端部に当接して用紙を基準位置に揃え、整合する。
【0061】
その際、用紙の後端の一側の端面は、スティプル処理手段としてのスティプラ215の綴じ針の打ち込み位置まで挿入され、指定枚数の用紙の搬送動作、スイッチバック動作、及び整合動作が完了した後、綴じ処理される。従って、本実施形態では、後端基準フェンス220及びジョガーフェンス212が整合手段として機能する。なお、スティプラ215はスティプラモータ215a(図4参照)によってドライバ側がステッチャ側に移動し、両者間で綴じ動作が行われる。
【0062】
綴じ処理後、図2鎖線で示すように排紙ガイド板205を下降させ、排紙ローラ206と排紙ガイド板205に取り付けられた従動コロにより用紙束を挟持し、排紙モータ217を駆動することによって用紙束を排紙トレイ203に排紙する。用紙束の排紙を開始してから排紙モータ217を一定ステップ駆動した後、ソレノイド218をONして用紙押え209を解除し、さらに排紙トレイ203一定量下降させる。次いで、用紙束後端が束排紙センサ210を通過したタイミングで排紙ガイド板205を上昇させ、排紙モータ217を停止して次用紙の受入れに備える。また、同じタイミングでソレノイド218をOFFして用紙押えを行う。なお、符号213はスティプルトレイ219上の用紙の有無の検知する紙有無センサであり、電源ON時やジャム発生時の機内残紙検知に使用される。
【0063】
3.制御装置
図3は本実施形態に係るシステムの制御構成を示すブロック図である。
【0064】
同図において、画像形成装置100の制御はCPU411、ROM412、RAM413、不揮発RAM414、シリアルI/F415、タイマ416などを内蔵した画像形成装置制御部410によって実行される。制御のためのプログラムコードはROM412に格納され、CPU411はプログラムコードをRAM413に展開し、制御に必要なデータをRAM413に記憶し、当該RAMをワークエリアとして使用しながら前記プログラムコードによって定義される制御を実行する。
【0065】
画像形成装置制御部410には、感光体などの作像部110で使用されるモータ、給紙部120、給紙搬送路130、両面搬送路170における各種モータやクラッチなどの各種直流負荷450、各種交流負荷470、定着ローラの温度を検出する温度センサなどの各種センサ460が接続されている。また、画像読み取り装置300、及び操作表示部440が接続され、画像形成装置制御部410を介して各部が制御される。また、トナーなど消耗品にアクセスするためのカバー(不図示)や、ジャム処理用のドア(図4−180)の開閉を検知するSW480の情報も画像形成装置制御部410に入力されている。
【0066】
用紙後処理装置200の制御は、CPU401、ROM402、RAM403、シリアルI/F404、タイマ405などを内蔵した用紙処理装置制御部400によって実行される。制御のためのプログラムコードはROM402に格納され、CPU401はプログラムコードをRAM403に展開し、制御に必要なデータをRAM403に記憶し、当該RAMをワークエリアとして使用しながら前記プログラムコードによって定義される制御を実行し、各種直流負荷420の制御を行っている。画像形成装置100と用紙後処理装置200は、シリアルI/F415及び404を介して用紙搬送制御に必要なコマンドをやり取りし、用紙後処理装置200では該コマンド及び各種センサ430から得られる用紙位置情報により、用紙搬送制御及び後処理を行う。また、スティプラ215の綴じ針の補充を行うためのドア(図5−230)の開閉情報がドアSW490から用紙処理装置制御部400に入力されている。
【0067】
また、用紙処理装置制御部400は後述の用紙ジャムすなわち搬送中用紙の異常を検出する用紙異常検出部406や、モータエラーすなわち用紙処理手段や積載手段を駆動する負荷の異常を検出する負荷異常検出部407も備えている。
【0068】
4.用紙制御タイミング
図4は、本実施形態に係る用紙制御タイミングの一例を示すタイミングチャートであり、用紙後処理装置200のCPU401によって実行されるシフトモード動作の用紙受入れから排紙に至るまでの信号と動作のタイミングを示す。
【0069】
このタイミングチャートは、入口センサ207、入口モータ216、排紙モータ217、シフト搬送ローラ対204を用紙搬送方向に直交する方向に駆動するシフトモータ204a、排紙ガイド板205を昇降させる排紙ガイド板駆動モータ205a、叩きコロ211を昇降させる叩きコロ駆動モータ211a、ジョガーフェンス(特に可動側のジョガーフェンス)212をシート搬送方向と直交する方向に往復動させるジョガー駆動モータ212a、排紙トレイ203の用紙積載状態を検知するトレイ紙面センサ209a、排紙トレイ203の可動トレイ部208bを昇降させる排紙トレイモータ221、用紙押え209を駆動する用紙押えソレノイド218、スティプラ215を駆動して綴じ動作を行わせるスティプラモータ215aの各動作タイミングを図示している。なお、入口センサ207及びトレイ紙面センサ209aは各種センサ430に含まれ、入口モータ216、排紙モータ217、シフトモータ204a、排紙ガイド板駆動モータ205a、叩きコロ駆動モータ211a、ジョガー駆動モータ212a、排紙トレイモータ221、用紙押えソレノイド218、及びスティプラモータ215aは各種直流負荷420に相当する。
【0070】
図4において、入口センサ207は用紙なしの状態でOFF、用紙ありの状態でON、入口モータ216はCCW(半時計方向)が搬送方向回転で、搬送線速では、本体排紙線速V1と増速線速V3が設定されている。排紙モータ217もCCW(半時計方向)が搬送方向回転で、搬送線速では、本体排紙線速V1、排紙線速V2、及び増速線速V3が設定されている。シフトモータ204aは、CCW(反時計方向)回転が手前側から奥側へ移動する方向であり、CW(時計方向)が奥側から手前側へ移動する方向で、CCW方向を正転、CW方向を逆転として示している。
【0071】
排紙ガイド板駆動モータ205aは、CCW(反時計方向)が上昇方向、CW(時計方向)が下降方向であり、排紙信号ONで上昇状態もしくは上昇駆動され、排紙信号OFFで下降駆動される。叩きコロ駆動モータ221a及びジョガー駆動モータ212aは、用紙の縦及び横の整合時に使用され、図4のタイミングチャートは用紙整合動作時のものではないので、動作なしの状態である。
【0072】
トレイ紙面センサ209aは、紙面検知時にOFF、紙面非検知時にONとなる。排紙トレイモータ221は、CCW(反時計方向)が上昇方向、CW(時計方向)が下降方向を示す。用紙押えソレノイド218はOFF時に用紙を押え、ON時に用紙押えを解除する。スティプルモータ215aも、ここでは綴じ処理を行わないので、このタイミングチャートでは動作なしの状態である。
【0073】
このように各部が動作する図4のタイミングチャートでは、ユーザによるコピースタートボタン押下、もしくはプリンタからのデータ出力が開始されると、画像形成装置100から用紙後処理装置200に対し、起動コマンド251が送付される。また、起動コマンド251と同時に通紙モードや用紙搬送速度、用紙サイズを通知するコマンドが送付され、用紙後処理装置200では通紙モードに応じた受入れ準備を実施する。
【0074】
具体的には、シフト(コロ駆動)モータ204aを駆動してシフト搬送ローラ対204を用紙受入れ位置に移動させ(タイミングT1)、また、排紙ガイド板駆動モータ205aを駆動して排紙ガイド板205を用紙受入れ位置に移動させ(タイミングT2)、さらには排紙トレイモータ221aを駆動して排紙トレイ203の可動トレイ部208bを上下動させ(タイミングT3,T4)て用紙受入れ準備を行う。なお、用紙後処理装置200では起動コマンド受信にて通紙モード及び用紙搬送速度を確定する。
【0075】
画像形成装置100は、起動コマンド送付と同じくして画像読み取り及び給紙部120からの用紙搬送を行い、作像から定着を順次行って用紙を用紙後処理装置200へと搬送する。
【0076】
用紙が定着部150を通過し、用紙先端が画像形成装置100の最終搬送ローラ162に到達すると、画像形成装置100から用紙後処理装置200に対し、排紙信号ONコマンド252が送付される。用紙後処理装置200では排紙信号ONコマンド252受信により、先に受信していた用紙サイズを確定し、入口モータ216を駆動(タイミングT5)して入口ローラ対201及びシフト排紙ローラ対204を受入れ線速(V1)で回転させ、用紙の受入れが可能な状態とする。
【0077】
入口モータ216の駆動が開始されると(タイミングT5)、入口モータ216の駆動ステップ数のカウントが開始される。入口モータ216の駆動ステップ数は、用紙処理装置制御部400のCPU411で用紙の搬送距離(mm)に変換され、用紙搬送距離に応じて以降の各負荷制御が実施される。なお、以降に記載の用紙制御タイミング(搬送距離)は説明のための一例であり、これに限定されるものではない。
【0078】
用紙が搬送され、用紙先端が入口センサ207に到達し、さらに用紙先端が入口センサ207のON(タイミングT6)から40.0mmの位置まで搬送される(タイミングT7)と、排紙モータ217の駆動が開始し、排紙ローラ206を回転させる(制御A)。なお、駆動の開始には実際のモータの駆動の直前に行われるモータの励磁してからの制振時間待ち(セトリング時間待ち)も含まれる。なお、後述するが、入口センサ207のONのタイミングT6は第2の滞留ジャム(図5では滞留ジャム2と記す)のジャム検知開始のトリガである。
【0079】
用紙先端が入口センサ207のONから「用紙長さ−55.8mm」搬送される(タイミングT8)と、シフト搬送ローラ対204によるシフト動作が開始され(制御B)、さらに「用紙長さ−16.5mm」の位置に用紙先端が到達する(タイミングT9)と、排紙ガイド板駆動モータ205aを駆動し、排紙ガイド板205を下降させ、排紙ローラ206と排紙ガイド板205に取り付けられた従動コロとによる用紙の挟持が開始される(制御C)。
【0080】
ここで、搬送中の用紙後端が画像形成装置100の最終搬送ローラ162を通過したタイミングで、画像形成装置100から用紙後処理装置200に対し、排紙信号OFFコマンド253が送付され、用紙後処理装置200では排紙信号OFFコマンド253受信により、入口モータ216及び排紙モータ217の駆動スピードを増速し、用紙を搬送線速(600mm/s)に加速する(制御D)。なお、用紙後処理装置200では、用紙を加速して次用紙との間隔を空けることにより以降の後処理に掛かる時間を確保している。なお、後述するが、排紙信号OFFコマンド253が第1の滞留ジャム(図5は滞留ジャム1と記す)の検知開始のトリガである。
【0081】
さらに用紙が搬送されて用紙後端が入口センサ207を抜けて(タイミングT10)45.7mmの位置に到達すると、ソレノイド218がONされて(タイミングT11)用紙押え209の押圧動作が解除される(制御E)。
【0082】
さらに用紙が搬送されて用紙後端が入口センサ207を抜けて55.7mmの位置に到達する(タイミングT12)と、シフト搬送ローラ対204を用紙受入れ位置に戻す動作が行われ(制御F)、また、同時に入口モータ216を減速して入口ローラ対201及びシフト排紙ローラ対204の回転速度を受入れ線速V1に戻し、次用紙の受入れに備える(制御G)。
【0083】
さらに用紙が搬送されて用紙後端が入口センサ207を抜けて85.0mmの位置に到達する(タイミングT13)と、排紙モータ217を減速して排紙ローラ206を排紙線速V2(200.0もしくは300.0mm/s)で回転させ、用紙を排紙トレイ203へと排紙する(制御H)。
【0084】
次いで用紙後端が入口センサ207を抜けて119.0mmの位置に到達し(タイミングT14)、さらに250msec経過したら(タイミングT15)、ソレノイド218をOFFして用紙押え209により用紙を押圧する(制御I)。
【0085】
用紙後端が入口センサ207を抜けて129.0mmの位置に到達する(タイミングT16)と、排紙ガイド板205を上昇させて用紙受入れ位置に戻す(制御J)。さらに251msec経過後(タイミングT17)、排紙トレイ203の可動トレイ部208bを上下動させて排紙トレイ203の高さを調整する(制御K)。
【0086】
用紙後端が入口センサ207を抜けて139.0mmの位置に到達する(タイミングT18)と、排紙モータ217を停止させる(制御L)。
【0087】
上記の制御を1枚の用紙に対して実施し、次用紙以降の用紙も同じく処理される。
【0088】
最終用紙が搬送されると、画像形成装置100から用紙後処理装置200に対して停止コマンドが送付される。用紙後処理装置200では停止コマンドを受信すると、最終用紙に対する制御が全て完了した後、用紙処理に使用した負荷を待機位置に復帰させる。
【0089】
5.用紙ジャム及びモータエラー
用紙処理装置制御部400は、用紙ジャムすなわち搬送中用紙の異常を検出する用紙異常検出部406を備えている。用紙異常検出部406では、画像形成装置100から搬送された用紙が、用紙のカール、折れ、装置の異常などの原因で搬送を継続できなくなり、入口モータ216を一定ステップ以上駆動させても用紙が入口センサ207に到達しない場合(未到達ジャム)、あるいは入口センサ207に留まったままとなった場合(滞留ジャム)、用紙異常検出部406は当該異常状態を検出する。この検出結果に基づいて用紙処理装置制御部400のCPU401は用紙ジャムが発生したと認識する。
【0090】
用紙の搬送を行う入口モータ216と排紙モータ217以外のモータ、例えば叩きコロ211ではホームポジションセンサ(不図示)を備えており、ホームポジションセンサのON/OFF情報とステッピングモータのステップ数により、叩きコロ211の待機位置(ホーム位置)、及び下降/上昇動作時の待機位置からの駆動ステップ数などが管理されている。このような管理状態にあるため、部品異常などで叩きコロ211を一定ステップ数駆動してもホームポジションセンサがONしない、あるいはOFFしない状態になったら、各種センサ430からの信号状態に基づいて用紙処理装置制御部400のCPU401はモータエラーとして検出する。
【0091】
用紙ジャムもしくはモータエラーが検出されると、用紙処理装置制御部400のCPU401は、用紙の搬送及び後処理動作を停止すべく、入口モータ216の他、用紙後処理装置200内の負荷(各種直流負荷420)の停止処理を実施する。同時に、用紙ジャムもしくはモータエラーが発生した旨の情報が用紙処理装置制御部400からシリアルI/F405及び415を介して画像形成装置制御部410に送信される。
【0092】
このような異常検出時の制御は以下のようにして行われる。
図5は用紙受入れから滞留ジャム検知完了までの用紙後処理装置制御部400のCPU401の処理手順を示すフローチャートである。用紙後処理装置200では、前述の通り、画像形成装置100から送信される用紙情報コマンド、入口センサ207の状態、及び入口モータ216の駆動ステップ数すなわち搬送距離により用紙の後端及び先端位置を把握し、用紙の搬送制御及び用紙に後処理を施す各負荷の制御を行っている。
【0093】
すなわち、図5において、起動コマンドを受信すると(ステップS101−Yes)、通紙モード、用紙搬送速度確定処理が実行され(ステップS102)、シフトコロ204、排紙ガイド板205、排紙トレイ203等を用紙受入れ位置に位置させる用紙受入れ準備が行われる(ステップS103)。受入れ準備が終了し、排紙信号ONコマンド252を受信すると(ステップS104−Yes)、用紙サイズ確定処理を行って用紙サイズを確定し(ステップS105)、入口モータ216を起動し(タイミングT5)、入口モータ216の駆動ステップ数の計測を開始する(ステップS106)。
【0094】
次いで、用紙が入口センサ207位置に到着しない場合の未到着ジャム検知処理を開始する(ステップS107)。この処理では、排紙信号ONコマンド252の受信後、入口センサ207の状態がONになるのを監視し、ONになった時点(タイミングT6)で未到着ジャム検知終了処理を実行する(ステップS110)。所定時間入口センサ207がONにならない場合、未到着ジャム発生の有無を判断する(ステップS109)。この判断は、例えば、所定時間経過しても入口センサ207がONにならない場合に未到着ジャム発生と判断する(ステップS109−Yes)。未到着ジャム発生と判断されると、未到着ジャム発生時の図示しない処理に移行する(ステップS200)。
【0095】
ステップS108で入口センサ207がONとなり、未到着ジャムが発生していないことが分かった時点で、未到着ジャム検知終了処理を行い、処理終了後(ステップS110)、入口モータ216によって用紙が40.0mm搬送されると(ステップS111−Yes)、排紙モータ217の駆動処理を実行し(ステップS112)、排紙モータ217の駆動を開始する(タイミングT7)。排紙モータ217の駆動が開始された後(ステップS113−Yes)、用紙が「用紙長さ(搬送方向長さ)−55.8mm」搬送されるのを待ち、当該長さ搬送された時点(ステップS114−Yes)でシフトモータ204aの駆動処理を実行する(ステップS115)。そして、シフトモータ204aの駆動の駆動を開始し(ステップS116−Yes:タイミングT8)、用紙が「用紙長さ(搬送方向長さ)−16.5mm」搬送されるのを待つ(ステップS117)。
【0096】
ステップS117で用紙が「用紙長さ(搬送方向長さ)−16.5mm」搬送された時点で(タイミングT9)、排紙ガイド板駆動モータ205aの駆動処理を実行し(ステップS118)、排紙ガイド板駆動モータ205aが回転を開始した時点(ステップS118−Yes:タイミングT9)で用紙先端チェック処理を終了する。
【0097】
なお、ステップS112及びステップS113の処理が図4における制御Aに、ステップS115及びステップS116の処理が制御Bに、ステップS118及びステップS119の処理が制御Cにそれぞれ相当する。
【0098】
前記制御A,B,Cの実行と並行して、排紙信号OFFコマンド受信をチェックし(ステップS120)、排紙信号OFFコマンドを受信すると(ステップS120−Yes)、入口モータ216の駆動速度を本体排紙線速V1から増速線速V3に加速する制御Dを実行する。なお、ここでは、増速線速V3は600.0mm/sに設定されている。次いで、第1の滞留ジャムの検知開始処理を実行する(ステップS122)。第1の滞留ジャム1の検知は、排紙信号OFFコマンドの受信をトリガとして検知開始処理が開始され、滞留ジャム検知条件を最終搬送ローラ162から入口センサ207のレイアウト上の距離(寸法)からとする。これにより、画像形成装置100から通知される用紙サイズによらず滞留ジャムの検知が可能となる。その際、画像形成装置100から通知される用紙サイズ(用紙の搬送方向長さ)は、用紙後処理装置200にて通排紙可能な用紙長さの最長長さとしている。これにより、画像形成装置100から通知される用紙サイズ(用紙長さ)は、必ず実際に通紙される用紙長さ以上の長さとなる。
【0099】
一方、ステップS132の第2の滞留ジャム2の検知理では、用紙の先端が入口センサ207を切り、入口センサ207がONとなったタイミング(ステップS123−Yes:タイミングT6)をトリガとして滞留ジャム検知開始処理が開始され、滞留ジャム検知条件を用紙処理装置200にて通排紙可能な用紙長さの最長長さを基準にしている。
【0100】
いずれにしてもステップS122あるいはS132で第1あるいは第2の滞留ジャムの検知開始処理を実行した後、入口センサ123がOFFになったら(タイミングT10)、第1あるいは第2の滞留ジャムの検知終了処理を実行し(ステップS125)。なお、ステップS123において入口センサ207が所定時間OFFにならない場合には、第1あるいは第2の滞留ジャムが発生したかどうか判断し(ステップS124)、第1あるいは第2のいずれかの滞留ジャムが発生していたら、図示しない滞留ジャム発生時のフローチャートの処理に移行する(ステップS300)。
【0101】
第1あるいは第2の滞留ジャムの検知終了処理の実行後、発行されていない負荷動作開始命令があった場合は、負荷動作開始命令を発行する。すなわち、排紙モータ217、シフトモータ204a及び排紙ガイド板駆動モータ212aをそれぞれ駆動し(ステップS126,S127、ステップS128,S219、ステップS130,S131)、これら全ての負荷の動作が完了した後(ステップS126−Yes、S128−Yes、S130−Yes)、図示しない用紙後端チェックの処理に移行する。
【0102】
前記第1及び第2の滞留ジャム検知は手差し給紙を行う場合に実行される。すなわち、手差し給紙を行う場合、画像形成装置100側では、用紙サイズは分からないので、ユーザが用紙サイズを操作表示部440から入力し、用紙サイズを画像形成装置100に対して指定し、あるいは設定することになる。しかし、ユーザが指定あるいは設定した用紙サイズと、実際に通紙される用紙サイズが異なった場合、次のような不具合が発生する可能性がある。
【0103】
(1)指定した用紙サイズ(画像形成装置100から通知される用紙サイズ)より実際に通紙される用紙サイズの方が長い場合
(1−1)入口センサ207のON(タイミングT6)を基準に用紙先端位置でタイミングを計って制御を行う制御B及びCについて、実際の用紙に対してタイミングが早くなりすぎ、特に制御Bでは用紙が画像形成装置100の最終搬送ローラ162あるいは入口ローラ対201に挟持された状態にも拘わらずシフト搬送ローラ対204によるシフト動作が開始されてしまい(タイミングT8)、用紙にダメージを与え、あるいは、用紙ジャムを発生させる可能性がある。
【0104】
(1−2)また、滞留ジャム検知の開始タイミングを入口センサ207がONしてからとし、画像形成装置100から通知される用紙サイズに基づいて滞留ジャム検知条件を設定している場合、滞留ジャム検知条件よりも実際の用紙長さが長いと必ず滞留ジャムが発生してしまう。
【0105】
(2)指定した用紙サイズ(画像形成装置100から通知される用紙サイズ)より実際の用紙サイズの方が短い場合
実際に通紙される用紙の用紙長さによっては、入口センサ207のON(タイミングT6)を基準に用紙先端位置でタイミングを計って制御を行う制御B及びCが開始される前に入口センサ207がOFFしてしまう場合がある。このように入口センサ207がOFFしてしまうと、前記制御B及びCを実行するタイミングを失い、以降の制御を継続することができなくなってしまう可能性がある。また、制御B及びCと制御DないしLの制御順序が狂い、正常な制御ができなくなってしまう可能性がある。
【0106】
このような不具合の発生の可能性を排除するため、本実施形態では、画像形成装置100から通知される用紙サイズ(用紙長さ)を、用紙処理装置200にて通排紙可能な用紙長さの最長用紙長さとしている。これにより、画像形成装置100から通知される用紙サイズ(用紙長さ)は、必ず実際に通紙される用紙長さ以上の長さとなるため、入口センサ207のON(タイミングT6)を基準に用紙先端位置でタイミングを計って制御を行う制御B及びCについて、実際の用紙に対してタイミングが早くなりすぎることがなくなり、前記(1−1)に記載の不具合は発生しない。
【0107】
また、滞留ジャムの検知タイミングを、画像形成装置100から用紙が排出されたタイミング、すなわち用紙後端が画像形成装置100の最終搬送ローラ162を通過したタイミングとし、さらに滞留ジャム検知条件を最終搬送ローラ162から入口センサ207のレイアウト上距離(寸法)からとすることで、画像形成装置100から通知される用紙サイズによらず滞留ジャム検知が行えるようになり、前記(1−2)に記載の不具合は発生しない。用紙後端が画像形成装置100の最終搬送ローラ162を通過したタイミングは図4のタイミングチャートでは、画像形成装置100側から用紙後処理装置200に出力される排紙信号OFFコマンドを受信した時となる。このような処理が第1の滞留ジャム検知処理である。
【0108】
さらに、用紙の先端が入口センサ207をONした時を滞留ジャム検知開始タイミングとし、検知条件を用紙処理装置200にて通排紙可能な用紙長さの最長用紙長を基準に行う滞留ジャム検知を行うようにする。これにより、画像形成装置100において用紙の搬送異常が発生し、用紙後端が画像形成装置100の最終搬送ローラ162を通過しなかった場合においても、用紙処理装置200にて滞留ジャムを検知できることになる。このような処理が第2の滞留ジャム検知処理である。
【0109】
加えて、入口センサ207がOFFとなった時点で入口センサ207のONを基準に用紙先端位置においてタイミングを計って制御を行う制御B及びCが実行されていなかった場合は、制御Bと制御Cを強制的に実行するようにしている。これにより、制御B及び制御Cの発生タイミングがなくなり、あるいは、制御Dないし制御Lの順序が入れ替わることもなくなり、前記(2)に記載の不具合は発生しない。
【0110】
以上のように、本実施形態によれば、
1)ユーザが指定した用紙サイズと、実際の用紙サイズが違った場合でも、用紙後処理装置においてジャムの発生なく用紙を搬送し、排紙することができる。
2)用紙先端が用紙後処理装置に到達しているにも拘わらず、画像形成装置から用紙が排出されない場合においても、適切に滞留ジャムを検知することができる。
3)用紙の制御のうち実行されない制御の発生をなくことが可能となるとともに、制御順序が狂うことを防止することができる。
などの効果を奏する。
【0111】
なお、本発明は本実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された発明の技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。
【符号の説明】
【0112】
100 画像形成装置
200 用紙処理装置(用紙後処理装置)
201 入口ローラ対
206 排紙ローラ
207 入口センサ
253 排紙信号OFFコマンド
401 CPU
406 異常検出部
415 通知手段
【先行技術文献】
【特許文献】
【0113】
【特許文献1】特開2004−155522号公報
【特許文献2】特開平6−271142号公報
【特許文献3】特開2001−2261号公報
【特許文献4】特開2001−117431号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手差し給紙によって給紙された前段の装置からの用紙を搬送する際の用紙滞留ジャムを検出する異常検出手段を有する用紙処理装置であって、
手差し給紙の際、前記前段の装置から通知される用紙長が前記用紙処理装置で通排紙可能な用紙長の最長長さであり、
前記異常検出手段による第1の滞留ジャムの検知開始タイミングが前記手差し給紙された装置から用紙が排出されたタイミングであること
を特徴とする用紙処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の用紙処理装置であって、
前記用紙が排出されたタイミングは、前記前段の装置からの排紙信号OFFコマンドの受信タイミングであること
を特徴とする用紙処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の用紙処理装置であって、
前記用紙が排出されたタイミングをトリガとして、用紙を搬送する搬送手段は自身の搬送速度を前段の装置の搬送速度よりも速い速度に増速すること
を特徴とする用紙処理装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の用紙処理装置であって、
前記異常検知手段は、
用紙搬送方向最上流側に位置する用紙位置検出手段の用紙検知タイミングに基づいて第2の滞留ジャムの検知処理を開始し、
第2の滞留ジャムの検知処理を前記用紙処理装置で通排紙可能な用紙長の最長長さを基準に実行すること
を特徴とする用紙処理装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の用紙処理装置であって、
前記用紙処理装置の最上流に配置された前記用紙位置検出手段が用紙を検知した後、非検知となったタイミングで、発行されていない負荷動作開始命令があった場合は、負荷動作開始命令を発行する制御手段を備えていること
を特徴とする用紙処理装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の用紙処理装置と、
用紙長を前記用紙処理装置に通知する通知手段を有する前記前段の装置たる画像形成装置と、
を備えた画像形成システム。
【請求項7】
手差し給紙によって給紙された前段の装置からの用紙を搬送する際の用紙処理装置における用紙滞留ジャムを検出する用紙搬送異常検出方法であって、
手差し給紙の際、前記前段の装置から通知される用紙長が前記用紙処理装置で通排紙可能な用紙長の最長長さであり、
前記手差し給紙された装置から用紙が排出されたタイミングで、第1の滞留ジャム検知を開始すること
を特徴とする用紙搬送異常検出方法。
【請求項8】
請求項7記載の用紙搬送異常検出方法であって、
用紙搬送方向最上流側に位置する用紙位置検出手段の用紙検知タイミングに基づいて第2の滞留ジャムの検知処理を開始し、
第2の滞留ジャムの検知処理を前記用紙処理装置で通排紙可能な用紙長の最長長さを基準に実行すること
を特徴とする用紙搬送異常検出方法。
【請求項9】
手差し給紙によって給紙された前段の装置からの用紙を搬送する際の用紙処理装置における用紙滞留ジャム検出をコンピュータによって実行するための用紙搬送異常検出プログラムであって、
手差し給紙の際、前記前段の装置から用紙長が前記用紙処理装置で通排紙可能な用紙長の最長長さであることを受信する手順と、
前記手差し給紙された装置から用紙が排出されたタイミングで、第1の滞留ジャム検知を開始する手順と、
を備えていることを特徴とする用紙搬送異常検出制御プログラム。
【請求項10】
請求項9記載の用紙搬送異常検出制御プログラムであって、
用紙搬送方向最上流側に位置する用紙位置検出手段の用紙検知タイミングに基づいて第2の滞留ジャムの検知処理を開始する手順と、
第2の滞留ジャムの検知処理を前記用紙処理装置で通排紙可能な用紙長の最長長さを基準に実行する手順と、
を備えていることを特徴とする用紙搬送異常検出制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−123415(P2011−123415A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−282859(P2009−282859)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】