説明

用紙押圧処理装置における用紙の支持機構

【課題】処理時に用紙aをフラットにして処理する。
【解決手段】重ねられた複数の用紙aを載置可能なベース台1に処理部を設け、この処理部上に上記用紙aの端部をセットし、上記用紙aの上から押圧して処理する押圧処理機構を備えた用紙押圧処理装置において、上記ベース台1を、上記用紙aの端部を上記処理部上にセットしたときに用紙aの一部の縁部が載置可能な大きさに形成するとともに、上記ベース台1には、上記ベース台1からはみ出した上記用紙aの他の一部を上記ベース台1と協働して支持可能な支持アーム11を設け、支持アーム11には用紙の縁部より中央側を下面側から支持する内側支持部11cを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステープラや穴あけパンチなどの用紙押圧処理装置において、綴じ処理、穿孔処理等の押圧処理時に用紙が撓まないようにする、用紙押圧処理装置における用紙の支持機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、ステープラは、ベース台に処理部としてクリンチ溝を設け、この処理部上に重ねられた複数の用紙の端部をセットし、上記用紙の上から押圧して綴じ処理する押圧処理機構を備えた用紙押圧処理装置である。押圧処理機構は、ハンドルを下方に向けて回動させることにより、マガジンの先端下面を用紙上に押圧するとともにドライバプレートを駆動してマガジンの打ち出し部の上から下に貫通させることにより打ち出し部のステープルを下方に打ち出し、その脚部を用紙に貫通させ、これらの脚部をクリンチ溝によって折り曲げて用紙を綴じるものである。
【0003】
また、穴あけパンチも同様に、重ねられた複数の用紙を載置可能なベース台に処理部として刃受け部を設け、この処理部上に上記用紙の端部をセットし、上記用紙の上から押圧して穿孔処理する押圧処理機構を備えた用紙押圧処理装置である。この場合、ステープラと異なるのは、ドライバプレートに代えて円筒状の穿孔刃が設けられている点だけである。
【0004】
ところで、特許文献1に示されるような大量の枚数の用紙を処理するための用紙押圧処理装置は、押圧処理機構自体が大型化するので、全体もそれにつれて大きくなっているが、頻繁に使用されるものではないので、収納時などにスペースをとらないよう全体をコンパクトにせざるを得ず、ベース台の用紙載置部も十分な広さにすることができない。
【特許文献1】特許第138248公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一度に大量の用紙を処理するときは、用紙全体が重くなっており、また紙自体の剛性は非常に低く撓みやすいので、用紙を広くない用紙載置部上にセットすると、その両側は撓んで低く垂れてしまう。撓んだ状態で処理すると、ステープラの場合には、撓み状態が保持されるので、用紙をフラットにしたときに一部が膨らんだり、用紙の端面がずれてしまったりするという問題がある。穴あけパンチの場合は、穿孔位置がずれてしまい、フォルダーに綴じたときに上下の用紙が整合しないという問題がある。
【0006】
いずれの場合も、ベース台の処理部上に用紙を載置し、処理すべき部分を処理部にセットしたときに、用紙がフラットになっていることが重要である。
【0007】
本発明は上記問題点を解消し、処理時に用紙をフラットにした状態で支持することができる、用紙押圧処理装置における用紙の支持機構を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、重ねられた複数の用紙を載置可能なベース台に処理部を設け、この処理部上に上記用紙の端部をセットし、上記用紙の上から押圧して処理する押圧処理機構を備えた用紙押圧処理装置において、上記ベース台を、上記用紙の端部を上記処理部上にセットしたときに用紙の一部の縁部が載置可能な大きさに形成するとともに、上記ベース台には、上記ベース台からはみ出した上記用紙の他の一部を上記ベース台と協働して支持可能な支持アームが設けられ、上記支持アームは、上記用紙の縁部より中央側を下面側から支持する内側支持部を備えていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、上記請求項1において、上記支持アームは、上記ベース台に格納、引き出し自在に設けられるとともに、上記支持アームの上面の少なくとも一部は、格納状態において、上記ベース台と協働して上記ベース台の上面と略同一平面を形成するように設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、上記請求項2において、上記支持アームの上記内側支持部の端部には切欠き部が形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、上記請求項2又は3において、上記支持アームは、上記ベース台に回動自在に枢支された基端部と、上記基端部から延出されて上記ベース台の側縁部に沿うように延出された縁側支持部とを備え、上記内側支持部は上記縁側支持部から上記ベース台の前縁部に沿うように延出していることを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る発明は、上記請求項4において、上記ベース台の左右両側縁部には左右対称な断面が横向きの凸形の格納部を形成し、上記格納部に嵌り合って格納される上記支持アームの縁側支持部と内側支持部とを断面が横向きの凹形に形成するとともに、格納状態において上記格納部と縁側支持部と内側支持部とが上下に接する部位には互いに係合可能な係合部を形成したことを特徴とする。
【0013】
請求項6に係る発明は、上記請求項4において、上記ベース台の回動部と支持アームの基端部との間にはクリック機構を設け、回動時には上記支持アームを所定の開き角度に保持可能としたことを特徴とする。
【0014】
請求項7に係る発明は、上記請求項4において、上記支持アームには上記用紙の綴り位置の目安とする目盛りが形成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項8に係る発明は、上記請求項4において、上記ベース台の上面と格納された上記支持アームの上面との間の一部には、指先が入れられる程度の隙間が形成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項9に係る発明は、上記請求項4において、上記支持アームが中心線を挟んでその上下部が対称形となるように形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明によれば、ベース台にはベース台と協働して支持可能な支持アームが設けられているので、用紙の一部はベース台上に、またベース台からはみ出した他の一部は支持アームによって下面側から支持されるが、他の一部の縁部の用紙中央側は支持アームの内側支持部によって下面側から支持されるので、用紙は下側からフラットに支持される。そこで、押圧処理機構を作動させると、用紙は上端から下端まで均一に処理される。このため、歪みや変形が生じることがなく、処理状態の仕上りが良好となる。
【0018】
請求項2に係る発明によれば、支持アームは、上記ベース台に格納、引き出し自在に設けられ、上記支持アームの上面の少なくとも一部は、格納状態において、上記ベース台と協働して上記ベース台の上面と略同一平面を形成するように設けられているので、ベース台をコンパクトに構成することができるとともに、同一平面上に用紙を幅広く支持することができる。
【0019】
請求項3に係る発明によれば、支持アームの前端縁側の端部には切欠き部が形成されているので、切欠き部に指を掛けて支持アームを容易に引き出すことができる。
【0020】
請求項4に係る発明によれば、支持アームは、ベース台に回動自在に枢支された基端部と、上記基端部から延出されて上記ベース台の側縁部に沿うように延出された縁側支持部とを備え、上記内側支持部は上記縁側支持部から上記ベース台の前縁部に沿うように延出しているので、用紙を支持する支持アームの全長を最長にすることができる。
【0021】
請求項5に係る発明によれば、ベース台の左右両側縁部の断面横向き凸形の格納部に断面凹形支持アームを嵌めて格納する構成なので、格納状態で支持アームとベース台とは一体の外観を呈する。また、全体がほぼベース台の幅に収まるのでコンパクトにすることができる。さらに、格納状態において格納部とアーム部とが上下に接する部位には互いに係合可能な係合部を形成したので、支持アームの格納状態が良好に保持される。
【0022】
請求項6に係る発明によれば、ベース台と支持アームとの回動部にはクリック機構が設けられ、回動時には支持アームを所定の開き角度に保持可能となっているので、角綴じも可能となり、色々な綴り作動を安定して行うことができる。
【0023】
請求項7に係る発明によれば、支持アームには用紙の綴り位置の目安とする目盛りが形成されているので、綴り位置を正確に得ることができる。
【0024】
請求項8に係る発明によれば、ベース台の上面と格納された支持アームの上面との間の一部には、指先が入れられる程度の隙間が形成されているので、この隙間から指を掛けて支持アームを容易に引き出すことができる。
【0025】
請求項9に係る発明によれば、支持アームが中心線を挟んでその上下部が対称形となるように形成されているので、左右の支持アームを共用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
[実施形態1]
図1は本発明に係るステープラの斜視図である。同図において符号1はベース台を示す。このベース台1の前側には用紙aを載置する用紙載置面1aが形成され、その中央寄りにはクリンチ溝(処理部)2が設けられ、後側の端部にはハンドル3とドライバアーム4とマガジン5とが回動自在に設けられている。用紙載置面1aは上記用紙の端部を上記処理部上にセットしたときに用紙の一部の縁部が載置可能で、載置したときに用紙が用紙載置面の両側で撓む程度の大きさに形成されている。ベース台1を極力コンパクトにするためである。
【0027】
マガジン5には、多数のコ字形のステープルを連結してなる連結ステープルが装填されているとともに、ドライバアーム4の前端にはドライバプレート6が固定され、ドライバプレート6の先端は上記マガジン5の打ち出し部7を通過するように取り付けられている。
【0028】
ハンドル3とドライバアーム4との間には倍力機構(図示せず)が設けられ、小さな力でもドライバアーム4に対して大きな駆動力が得られるようになっている。そして、ハンドル3を下方に回動したときにドライバアーム4を下方に駆動してドライバプレート6をマガジン5の打ち出し部7の上から下に貫通させることにより、マガジン5の先端に送られた連結ステープルの先頭ステープルが打ち出し部7から打ち出されるようになっている。
【0029】
なお、図示しないが、マガジン5の内部には装填された連結ステープルを打ち出し部に向けて送る送り機構等が設けられている。
【0030】
また、符号8は用紙aの端部位置を位置決めする位置決め部材で、ベース台1の前後方向に沿ってスライド自在に設けられている。上記位置決め部材8には、ベース台1のクリンチ溝2に対応する部位に、用紙の角部が差込み可能な開口部10が形成されている。また、クリンチ溝2の両側には用紙を角綴じする際の目安となる目印9が形成されている。
【0031】
次に、上記ベース台1には、図2に示されるように、上記用紙aを載置したときにベース台1からはみ出した上記用紙aの他の一部を上記ベース台1と協働して上記用紙aの縁部a1を下側からフラットに支持可能な支持アーム11が着脱かつ開閉回動自在に設けられている。
【0032】
上記支持アーム11は、図3に示されるように、上記ベース台1に回動自在に枢支された基端部11aと、上記基端部11aから上記ベース台1の側縁部1cに沿うように延出された縁側支持部11bと、上記縁側支持部から上記ベース台の前縁部に沿うように延出した内側支持部11cとから構成されている。11dは縁側支持部11bと内側支持部11cの上面を示す。
【0033】
上記支持アーム11は、回動により上記ベース台1に格納、引き出し自在に設けられている。すなわち、図3〜図6に示されるように、ベース台1の用紙載置面1aの前部には、上下に対称な断面が横向きの凸形の格納部12が形成されている。そして、ベース台1のクリンチ溝2の両側に対応する格納部12の端部には、平面視において略半円状の回動部13が形成されている。回動部13の上下面の中央には軸受穴14が形成され、また回動部13の上面には複数個の係合穴15が1つの円の円周方向に沿って形成されている。さらに、回動部13の外側には案内溝16が傾斜形成されている。回動部13の下面には上記係合穴15と略同じ幅で同じ半径の環状溝17(図5参照)が形成されている。
【0034】
これに対し、支持アーム11の基端部11aには、上記回動部13に嵌まり合う大きさの上片18と下片19とが形成されている。上片18の下面と下片19の上面の中央部には突軸部20が形成され、また上片18の下面と下片19の上面の互いに対応する位置に複数の係合凸部21が1つの円の円周方向に沿って形成されている。これらの係合凸部21の数と配置されている円の径は、上記回動部13の係合穴15と配置されている円の径に対応している。また、支持アーム11の縁側支持部11bと内側支持部11cとは一体成型されており、略L字形に屈曲形成され、断面がベース台1の格納部12に嵌り合う形状の横向きの凹形に形成されている。そして、支持アーム11は全体として上下部が中心線pをはさんで対称形となるように形成されている。
【0035】
支持アーム11の基端部11aをベース台1の回動部13に枢支させるときは、支持アーム11の基端部11aを、その上片18と下片19とで回動部13を挟むようにして押し込む。このとき、図6に示されるように、支持アーム11の突軸部20は回動部13の案内溝16に沿って案内され、上下の突軸部20は円滑に回動部13の軸受穴14に係合する。これにより、支持アーム11は回動部13に突軸部20を中心に水平方向に回動可能に枢支される。なお、上片18と下片19とを広げてやれば、支持アーム11を容易にベース台1から取り外すことができる。
【0036】
このように、支持アーム11は回動により上記ベース台1に格納、引き出し自在に設けられる。そして、格納時には、上記ベース台1の側縁部1cと前縁部1dに形成された格納部12に支持アーム11の縁側支持部11bと内側支持部11cとが嵌まり合い、支持アーム11の上面11d全体は、図1に示すように上記ベース台1と協働して上記ベース台1の上面の用紙載置面1aと略同一平面を形成するようになっている。そして、格納時には、図5に示すように、支持アーム11の係合凸部21は回動部13の係合穴15に係合に係合する位置で保持されているが、支持アーム11を外方に引き出して回動させると、支持アーム11の上片18は上方に変形して係合凸部21は上記係合穴15から外れ、次の係合穴15に係合し、その位置で保持され、さらに回動させると、同様にして係合凸部21は係合穴15から外れ、この係合穴15を越えて次の係合穴15に係合する。このように、ベース台1と支持アーム11の回動部13には、係合凸部21が係合穴15を乗り越える度に抵抗が変化するクリック機構が構成されているので、係合時には支持アーム11は自由には回動できず、所定の開き角度に保持可能となる。この開き角度は、格納時の0度、中間の45度、最大角度90度とするのが好ましい。
【0037】
なお、支持アーム11の下片19の係合凸部21は上記回動部13の下面の環状溝17に係合しているので、支持アーム11が回動したときに係合凸部21は常時環状溝17に納まった状態で移動するので、下片19は、上片18のようにベース台1の下面よりも下方に撓み変形することがない。したがって、支持アーム11の回動時に設置面bからベース台1が浮き上がることはなく、滑らかに支持アーム11を回動操作することができる。
【0038】
次に、図2及び図7に示されるように、ベース台1の格納部12の中間部の上下面には係合凹部22が形成されている。下部の係合凹部には格納部12の外側に開口する誘導溝23が連続形成されている。これに対し、支持アーム11の縁側支持部11bの中間部の、上記ベース台1の係合凹部22と誘導溝23に対応する位置には、互いに係合可能な係合凸部24が形成されている。これにより、支持アーム11が格納されたときは、上記係合凸部24は係合凹部22に係合する。このとき、縁側支持部11bの下部の係合凸部24は、格納部12の誘導溝23からスムーズに誘導されて係合凹部22に係合する。格納部12と縁側支持部11bとが上下に接する部位には互いに係合可能な係合部(係合凹部22と係合凸部24)が形成されているので、支持アーム11は格納状態に保持され、みだりに回動することがない。
【0039】
さらに、両側の支持アーム11の内側支持部11cの先端部には半円形状の切欠き部25が形成されている。切欠き部25は指先が入る半分程度の大きさが好ましい。支持アーム11が格納されたときは、両側の支持アーム11の切欠き部25によって指先が入る程度の空間が形成される。このように、両側の支持アーム11の先端は、格納時には突合せ状に配置されるのが好ましい。
【0040】
なお、図1に示すように、上記ベース台1の上面1aと格納された上記支持アーム11の上面11dとの間の角部には、指先が入れられる程度の隙間26が形成されている。
【0041】
また、上記支持アーム11の縁側支持部11bには上記用紙aの綴り位置の目安とする目盛り溝27が形成されている。
【0042】
次に、上記構成のステープラを使用するときは、まず図1に示す状態のベース台1の角部に形成された隙間26に指を入れて両側の支持アーム11の内側を押すようにして支持アーム11を外側に引き出して回動させる。このとき、支持アーム11の先端の切欠き部25に指を掛けて回動させてもよい。支持アーム11を図2のように各々90度回動してその開き角度に保持させ、位置決め部材の位置を決めた後、用紙aの縁部a1を用紙載置面1aと支持アーム11の上面11d上に載置してセットする。支持アーム11はベース台1と協働して用紙載置面1aと略同一平面を形成するようになっているから、用紙aの載置面積は支持アーム11を両側に引き出した分だけ広くなり、用紙aのベース台1からはみ出した部分は支持アーム11で支持されるので、用紙aのクリンチ溝2の周囲はフラットな状態に保持される。この際、支持アーム11の縁側支持部11bは、用紙aのベース台1からはみ出した部分の縁部a1を下側から支持する。また、内側支持部11cは用紙aのベース台1からはみ出した部分の縁部の用紙中央側を下面側から支持するので、用紙aのベース台1からはみ出した縁部のみを支持する場合よりも安定したフラットな姿勢で用紙aを支持できる。
【0043】
この状態でハンドル3を押し下げてドライバプレート6を駆動してステープルを打ち出すことにより、ステープルの脚部は用紙載置面1a上に載置された用紙aを貫通し、さらにクリンチ溝2に押し当てられて折り曲がることによって用紙aを綴じることができる。綴りが終了すると、図示しないバネによりハンドル3とドライバアーム4とマガジン5とは図1の初期状態に復帰するとともに、打ち出し部7に連結ステープルがステープル1本分だけ送られ、次の綴りが準備される。用紙aはフラットな状態で綴り処理されるので、上下の用紙aが位置ずれすることなく上から下まで均一に綴じられる。このため、歪みや変形が生じることがなく、仕上りが良好となる。
【0044】
なお、2個所を綴るときは、用紙aの側端部を支持アーム11の目盛り溝27に合わせることにより、両側端からの綴り位置を正確に同じにすることができる。
【0045】
また、用紙aを角綴じするときは、図8のように支持アーム11を各々45度回動させればよい。この開き角度で支持アーム11はクリック機構により保持される。用紙aの角部を位置決め部材8の開口部10から差し込むとともに、上記角部に隣り合う縁a1、a2を支持アーム11上に載置する。支持アーム11でベース台1からはみ出した部分は支持アーム11によって支持されるので、用紙aはフラットな状態に保持される。この際も、内側支持部11cがベース台1からはみ出した用紙aの縁部の用紙中央側を下面側から支持するので、安定した姿勢で用紙aを支持できる。さらに、用紙aの角部の両縁をクリンチ溝2の両側の目印9に合わせる。この状態でハンドル3を押し下げて綴り作動をすることにより、上下の用紙aが位置ずれすることなく上から下まで均一に綴じられる。
【0046】
綴り作業終了後は、両側の支持アーム11をベース台1の格納部12に格納すればよい。このとき、支持アーム11の係合凸部24は、格納部12の係合凹部22に係合するので、支持アーム11は格納状態に保持され、みだりに回動することがない。
【0047】
上記ステープラ構成によれば、支持アーム11は、ベース台1に回動自在に枢支された基端部11aと、基端部11aから延出されてベース台1の側縁部1cに沿うように延出された縁側支持部11bと、縁側支持部11bからベース台1の前縁部1dに沿うように延出された内側支持部11cとを備えているので、用紙aを支持する支持アーム11の全長を最長にすることができる。
【0048】
また、支持アーム11は格納状態でベース台1と協働して用紙載置面1aと略同一平面を形成するようになっているから、ベース台1と一体的に見える外観を呈し、全体がほぼベース台1の幅に収まるのでコンパクトに構成することができるとともに、同一平面上に用紙aを幅広く支持することができる。
【0049】
加えて、支持アーム11は中心線pを挟んでその上下部が対称形となるように形成されているので、上下反転させて使用することにより、左右の支持アーム11の部品共用化が図れるというメリットがある。
【0050】
[実施形態2]
支持アーム11は図9に示されるように、軸状の縁側支持部11bとその先端に設けられた板状の内側支持部11cとを結合した構成であってもよい。この場合、上記縁側支持部11bを格納するベース台1の格納部12は、縁側支持部b11bが嵌まる溝状に形成されている。
【0051】
このように、内側支持部11cの上面11dがベース台1と協働してベース台1の上面の用紙載置面1aと略同一平面が形成されるようにしてもよい。
【0052】
上記構成によっても、実施形態1に示したものと同様の効果を得ることができる。
【0053】
[実施形態3]
図10は支持アーム11をベース台1に格納、引き出し可能に設けた他の形態である。同図において両側の支持アーム11は縁側支持部11bと内側支持部11cとによってL字形に形成されており、左右の支持アーム11のそれぞれ縁側支持部11bはベース台1に格納、引き出し可能に設けられている。そして、上記縁側支持部11bが左右方向にスライドすることによって支持アーム11がベース台1に格納、引き出し可能となっている。この場合も、支持アーム11の上面は、上記ベース台1と協働してベース台1の用紙載置面1aと略同一平面を形成するように構成されている。また、ベース台1の上面と格納された内側支持部11cとの間には、指先が入れられる程度の隙間26が形成されている。
【0054】
上記構成によっても、実施形態1に示したものと同様の効果を得ることができる。
【0055】
なお、上記実施形態2、3においても、上記支持アームが中心線を挟んでその上下部が対称形となるように形成されている。また、実施形態1と同じ部材は同じ符号を付し、説明は省略した。
【産業上の利用可能性】
【0056】
上記用紙の支持機構はステープラに限定されない。穴あけパンチのように、穿孔処理時に用紙をフラットに支持することが必要な用紙押圧処理装置にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に係るステープラの一実施形態の斜視図である。
【図2】支持アームを引き出した状態の斜視図である。
【図3】上記ステープラの分解斜視図である。
【図4】ベース台の前部の平面図である。
【図5】図4のX−X線上の断面図である。
【図6】図4のY−Y線上の断面図図である。
【図7】図4のZ−Z線上の断面図図である。
【図8】角綴じをする状態の斜視図である。
【図9】ステープラの他の実施形態の斜視図である。
【図10】ステープラのさらに他の実施形態の斜視図である。
【符号の説明】
【0058】
a 用紙
1 ベース台
2 クリンチ溝(処理部)
11 支持アーム
11b 縁側支持部
11c 内側支持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重ねられた複数の用紙を載置可能なベース台に処理部を設け、この処理部上に上記用紙の端部をセットし、上記用紙の上から押圧して処理する押圧処理機構を備えた用紙押圧処理装置において、
上記ベース台を、上記用紙の端部を上記処理部上にセットしたときに用紙の一部の縁部が載置可能な大きさに形成するとともに、上記ベース台には、上記ベース台からはみ出した上記用紙の他の一部を上記ベース台と協働して支持可能な支持アームが設けられ、上記支持アームは、上記用紙の縁部より中央側を下面側から支持する内側支持部を備えている
ことを特徴とする、用紙押圧処理装置における用紙の支持機構。
【請求項2】
上記請求項1において、上記支持アームは、上記ベース台に格納、引き出し自在に設けられるとともに、上記支持アームの上面の少なくとも一部は、格納状態において、上記ベース台と協働して上記ベース台の上面と略同一平面を形成するように設けられていることを特徴とする、用紙押圧処理装置における用紙の支持機構。
【請求項3】
上記請求項2において、上記支持アームの上記内側支持部の端部には切欠き部が形成されていることを特徴とする、用紙押圧処理装置における用紙の支持機構。
【請求項4】
上記請求項2又は3において、上記支持アームは、上記ベース台に回動自在に枢支された基端部と、上記基端部から延出されて上記ベース台の側縁部に沿うように延出された縁側支持部とを備え、上記内側支持部は上記縁側支持部から上記ベース台の前縁部に沿うように延出していることを特徴とする、用紙押圧処理装置における用紙の支持機構。
【請求項5】
上記請求項4において、上記ベース台の左右両側縁部には左右対称な断面が横向きの凸形の格納部を形成し、上記格納部に嵌り合って格納される上記支持アームの縁側支持部と内側支持部とを断面が横向きの凹形に形成するとともに、格納状態において上記格納部と縁側支持部と内側支持部とが上下に接する部位には互いに係合可能な係合部を形成したことを特徴とする、用紙押圧処理装置における用紙の支持機構。
【請求項6】
上記請求項4において、上記ベース台の回動部と支持アームの基端部との間にはクリック機構を設け、回動時には上記支持アームを所定の開き角度に保持可能としたことを特徴とする、用紙押圧処理装置における用紙の支持機構。
【請求項7】
上記請求項4において、上記支持アームには上記用紙の綴り位置の目安とする目盛りが形成されていることを特徴とする、用紙押圧処理装置における用紙の支持機構。
【請求項8】
上記請求項4において、上記ベース台の上面と格納された上記支持アームの上面との間の一部には、指先が入れられる程度の隙間が形成されていることを特徴とする、用紙押圧処理装置における用紙の支持機構。
【請求項9】
請求項4において、上記支持アームが中心線を挟んでその上下部が対称形となるように形成されたことを特徴とする、用紙押圧処理装置における用紙の支持機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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