説明

画像処理装置及び画像処理方法。

【課題】 透明色を用いる印刷データの確認に時間を必要とする。
【解決手段】 本発明における画像処理装置は、透明色剤または特色色剤を用いて形成する描画オブジェクトの描画領域を、特色を用いて示す印刷データを受信する受信手段と、前記受信手段により受信した印刷データに含まれ、特色を用いて描画領域が示された描画オブジェクトが、前記透明色剤を用いて形成されるか否か判定する判定手段と、前記判定手段により、前記描画オブジェクトが透明色剤を用いて形成されると判定された描画オブジェクトの描画領域を示す特色が、透明色剤を用いて形成する描画オブジェクトの描画領域を指示する特色であると決定する決定手段とを有することを特徴とする

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明トナーを用いた印刷を含むジョブを処理するための画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
透明トナーを含む複数色の色剤を使用して画像を形成する画像形成装置に対して、印刷データ上で、透明トナーを用いて描画することが指示されたオブジェクトを示すための手段が必要とされる。このような画像形成装置のために、印刷データを制作するための専用ソフトウェアが存在する。その一方で、専用ソフトウェアを必要とせずに印刷データが持つ既存の表現を代替手段として用いることで、透明トナーを用いて描画することが指示されたオブジェクト(以下、透明トナー描画オブジェクト)を示す方法も用いられている。具体的には、透明トナーにより描画すべき描画オブジェクトを所定の特色(スポットカラー)により代替させ、画像形成装置は当該特色を透明トナー版に置き換えて画像形成する方法がある。
一方、PDLの透過属性を判断し、透明トナーで描画するオブジェクトを生成する画像形成方法もある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−190179
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、透過属性を使用した描画オブジェクトは、透明トナーによる描画以外の目的で使用される可能性もある。このような場合には、透明トナーによる描画と通常の色でラスタライズする描画を区別する手段が必要となる。
【0005】
一方、特色を代替で用いて透明トナー用の描画オブジェクトを表現する場合でも、複数の特色が使用されている場合には、いずれの特色が透明トナーを用いて描画するオブジェクトを指定するためのものであるかを特定することが必要である。
【0006】
今日、デザイナーと印刷会社のように、印刷用コンテンツの制作者と印刷装置の操作者が異なるような印刷ワークフローが数多く存在する。このような印刷ワークフローにおいて、デザイナーは印刷用コンテンツ制作に汎用のDTPソフトウェアを使用する。
【0007】
ここで、デザイナーは、透明トナーによる画像形成を行う描画オブジェクトに任意の特色を指定する。特色以外に印刷コンテンツに特色を描画するために特色を指定する場合には、デザイナーは、透明トナー用描画オブジェクトを指定するために用いられる特色と異なる特色を選択する必要がある。
【0008】
一方、印刷会社は、どの特色が透明トナーを指定するため代替手段として使用された特色かデザイナーと確認しながら、印刷を進める。例えば、デザイナーが制作した印刷用コンテンツに複数の特色が含まれている場合に、どの特色が透明トナーを指定するため代替手段として使用された特色であるかを判断する。また、デザイナーが印刷会社へ透明トナーを指定するため代替手段として使用された特色の名称を伝えたとしても、タイプミスなどがある場合には、印刷会社側がそれを確認しなければならない。従って、印刷装置の操作者においては、透明トナー用描画オブジェクトを指定するために用いられる特色の確認に時間を必要とするという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明における画像処理装置は、透明色剤または特色色剤を用いて形成する描画オブジェクトの描画領域を、特色を用いて示す印刷データを受信する受信手段と、前記受信手段により受信した印刷データに含まれ、特色を用いて描画領域が示された描画オブジェクトが、前記透明色剤を用いて形成されるか否か判定する判定手段と、前記判定手段により、前記描画オブジェクトが透明色剤を用いて形成されると判定された描画オブジェクトの描画領域を示す特色が、透明色剤を用いて形成する描画オブジェクトの描画領域を指示する特色であると決定する決定手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
印刷データの制作者が印刷用コンテンツに合わせて任意の特色を選択し、この特色を透明トナーによる描画に用いるという手順において、透明トナー印刷部分の確認のための処理の簡略化が図れる。
【0011】
これにより、印刷データの制作者は、印刷用コンテンツの制作者は、透明トナー印刷に特色を指定するということ以外、透明トナー印刷に用いる画像処理装置の仕組みを意識する必要がない。また、画像処理装置の操作者は、入力された印刷データに含まれる本来の特色による画像形成と透明トナーによる画像形成を判別することが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】印刷システムの例を示すブロック図である。
【図2】透明トナーによる描画オブジェクトを含む印刷用コンテンツの例である。
【図3】透明トナーによる描画オブジェクトを含む印刷用コンテンツの例である。
【図4】透明トナー用特色を選択する処理のフローチャートである。
【図5】描画オブジェクトを評価するフローチャートである。
【図6】評価値計算のためのデータ構造例である。
【図7】印刷システムの処理手順を示すフローチャートである。
【図8】判断結果を確認するユーザーインターフェース画面である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。以下、透明トナー(クリアトナー)は、透過性がある画像を付加する特徴を有する透明色剤である。また、透明トナーを用いると、CMYKトナーのような有色色剤のみ用いて行われた印刷とは異なった光沢感やつや感を表現することができる。
【0014】
(実施例1)
図1は、本実施例における印刷システムの例を示すブロック図である。
【0015】
コンテンツ制作装置(1)は、デザイナー等が制作した印刷用コンテンツを画像処理装置(2)へ送信する。印刷用コンテンツは、PDF(Portable Document Format)等、描画オブジェクトに特色色剤を用いて画像を形成することを指定すること(特色指定)が可能な印刷データ用フォーマットで表現される。印刷用コンテンツを制作したデザイナー等が操作するコンテンツ制作装置(1)と印刷会社等が操作する画像処理装置(2)はプリフライトチェックのため、情報をやり取りする。プリフライトチェックの一つとして、印刷用コンテンツのうち、透明トナーを用いて印刷されることを指定された版(透明トナー版)の確認を行う。プリフライトチェックの後、画像処理装置(2)は印刷用コンテンツを印刷する。
【0016】
コンテンツ制作装置(1)では、ネットワークインターフェース(11)はDTPアプリ(10)で制作された印刷用コンテンツを画像処理装置(2)へ送信する。また、ネットワークインターフェース(11)は、ネットワークインターフェース(20)を介して画像処理装置(2)から送られてきた確認内容(プリフライトチェック)を校正部(12)へ渡す。校正部(12)は、画像処理装置(2)からの確認内容に従って、コンテンツ制作装置(1)から送信した印刷用コンテンツの透明トナー版が画像処理装置(2)において正しく判断されているかを確認する。校正部(12)は、その確認結果をネットワークインターフェース(11)経由で画像処理装置(2)へ送信する。本印刷の決定を指示する。確認結果によっては、DTPアプリ(10)にて、印刷用コンテンツを再編集して、再度、画像処理装置(2)へ送信する。
【0017】
画像処理装置(2)において、ネットワークインターフェース(20)はコンテンツ制作装置(1)から受信した印刷用コンテンツをジョブ受注部(21)へ渡す。ジョブ受注部(21)は、印刷用コンテンツをプリフライト部(22)へ渡す。プリフライト部(22)は受信した印刷用コンテンツに含まれる透明トナー版用の特色を判断する。プリフライト部(22)の判断結果に応じて、ネットワークインターフェース(20)はコンテンツ制作装置(1)へ確認を行うか、ジョブ受注部(21)はジョブ制御装置(23)へ印刷指示を行う。ジョブ制御装置(23)は印刷装置(24)に対して印刷データを送信することにより透明トナー版を含む印刷を指示する。コンテンツ制作装置(1)へ確認を行うために、プリフライト部(22)は、確認用コンテンツを生成する。
【0018】
図1において(11)と(20)はイーサネット(登録商標)などの通信線により接続されており、ウェブアプリケーション技術などによりデータ転送および確認操作ができるように構成されている。
【0019】
図2は、本実施例における印刷用コンテンツの例を示した図である。
【0020】
印刷用コンテンツの印刷領域(100aおよび100b)、描画オブジェクトが描画される位置関係を正面から見た様子(101aから105a)、描画オブジェクトの描画領域の関係を印刷領域の面に沿った方向から見た様子(101bから105b)を示す。描画オブジェクトの描画領域の関係は、各描画オブジェクトが他の描画オブジェクトとどのように重なっているかを示す。図において、aとbで示す同番号は同一の描画オブジェクトを正面と印刷面に沿った方向から見ていることを示している。101bから105bは描画オブジェクトの描画順も示している。図において、印刷領域(100a)に5つの描画オブジェクト(101aから105a)が配置されていることを示している。さらに、102aは103aによって一部隠されている。同様に、104aは105aによって一部隠されている。各描画オブジェクト(101aから105a)は図に示す色で描画される。特に103aは「SPOT1」、105aは「PANTONE #123」という特色が指定されている。その他の描画オブジェクトにはRGB、CMYK、Grayが指定されている。図において、これらのオブジェクトは背景(100b)から順に102b、103b、104b、105b、101bの順で描画されている。
【0021】
本実施例において、透明トナーを用いて印刷することを指定するための特色を判断する基準の一つは、その特色が指定された描画オブジェクトが他の特色で指定された描画オブジェクトよりも手前(図において上方向)に描画されていることである。これは一般的に、透明トナーはあるオブジェクトに対して上から覆うように印刷されることが多いからである。
【0022】
例えば、図2では、「SPOT1」よりも「PANTONE #123」で指定されている描画オブジェクトのほうが手前に配置されていることが見られる。よって、後述のフローチャートで示す判断処理に従って、図2に示す例において、透明トナーを用いて印刷することを指示するために代替的に使用された特色(透明トナー用の特色)は「PANTONE #123」である。
【0023】
また、本実施例において、透明トナー用の特色を判断する別の基準は、その特色で指定された描画オブジェクトがその他の描画オブジェクトをどのように隠すか、ということを示す描画領域の重なり具合である。
【0024】
図3は、印刷用コンテンツの別の例を示した図である。図2と同様に、描画オブジェクトの描画領域の関係と指定色が示されている。図3に示す例において、115a(115b)に隠されて不図示の描画オブジェクト(114b)は115aと同一の形状、同一の位置に描画されている。また、114bを同一の形状で隠している描画オブジェクト(115b)の指定色は特色の「PANTONE #123」である。本実施例において、このような状況で指定されている特色は透明トナー用に指定された可能性が非常に高いと判断する。何故ならば、下に配置された描画オブジェクト(114b)は、通常は全く見えないものであるため、描画オブジェクトとしての存在意義がない。しかし、描画オブジェクト(114b)を同一形状で隠す描画オブジェクト(115b)が透明トナーを示す特色であるとすれば、114bをその位置に描画する意味がある。図3に示す例において、115bよりも111bが前面に描画されている。しかし、当該判断基準に従って、特色「SPOT1」よりも、「PANTONE #123」のほうが透明トナー用としての可能性が高いと判断する。
【0025】
次に、フローチャートを用いて、図2および図3に示した例の判断処理を説明する。
【0026】
図4は、プリフライト部(22)において透明トナーを示す特色を選択する処理の例を示すフローチャートである。なお、以下で示すフローチャートは、プリフライト部(22)の不図示のRAMにロードされたプログラムを不図示のCPUが実行することによって実行される。
【0027】
プリフライト部(22)は、処理を印刷用コンテンツのページ単位に行う。ページに含まれる描画オブジェクトの位置、形状情報、色指定を抽出して列挙し、描画順にソートする(S1001からS1004)。次にプリフライト部(22)は、各描画オブジェクトの透明トナー用の可能性を順に求めていく。まず、評価値(透明トナーであることを示す特色である可能性の評価値)の初期値として、最背面に描画されるオブジェクトから手前に向かって順に、1からN(描画オブジェクト数)までの値を設定する(S1005)。よって、手前にある描画オブジェクトほど評価値の初期値が大きくなるため、手前にある描画オブジェクトに指定された特色ほど透明トナーを指定するため代替手段として使用された特色であると評価されやすくなる。
【0028】
図2を例に示すと、S1005までの処理の結果、最背面から順に102b、103b、104b、105b、101bの順に1から5までの初期値が設定される。また、図3を例に示すと、同様に、最背面から順に112b、113b、114b、115b、111bの順に1から5までの初期値が設定される。
【0029】
そして、各描画オブジェクトについて、評価値の更新を行った後、評価値が最大となる描画オブジェクトを選択する(S1006からS1009)。
【0030】
後述の図5に示す評価値の更新の結果、図2の例における各描画オブジェクトの評価値は、101bは0、102bは0、103bは2、104bは0、105bは4、となり、105bが選択される。また同様に図3の例における評価値は、111bは5、112bは1、113bは0、114bは0、115bは14となり、115bが選択される。
【0031】
この描画オブジェクトに指定されている特色が透明トナー用であると判定される(S1010)。また、この手順により、透明トナー用の特色を選択できると同時に、透明トナーであることを示す特色の次候補も得られる。
【0032】
図5は、図4におけるステップS1007で行う各描画オブジェクトの評価値を取得する際の詳細な処理手順例を示すフローチャートである。なお、以下で示すフローチャートは、プリフライト部(22)の不図示のRAMにロードされたプログラムを不図示のCPUが実行することによって実行される。
【0033】
まず、色の指定が特色ではない描画オブジェクトは透明トナー用の候補から外し、評価値を最低値(0)にする(S1101、S1102、S1110)。図3を例に示すと、113b(RGB)、114b(CMYK)は、この結果、評価値が0となる
次に、この処理で最背面に描画されているオブジェクトからL番目のオブジェクトであり評価対象の第1の描画オブジェクトが、他の描画オブジェクトに隠されてしまうか判断する(S1103)。第1の描画オブジェクトが他の描画オブジェクトに隠されてしまう場合(S1104でYES)にも、評価対象である第1の描画オブジェクトを透明トナー用の候補から外す(S1110)。ある描画オブジェクトが他の描画オブジェクトに隠されてしまうとは、ある描画オブジェクトの面積のほぼ全部が見えなくなってしまうということである。
【0034】
図3を例に示すと、114bがこの条件に該当するが、実際はS1102の判断で既に評価値が0となっている。
【0035】
逆に、S1105で第1の描画オブジェクトがそのオブジェクトよりも背面に描画されているオブジェクトとの重なり具合を調べる(S1105)。S1105で、評価対象である第1のオブジェクトが他の描画オブジェクトを隠すように配置されている場合(S1106でYES)には、評価値を上げるべく、評価値を加算する(S1107)。この時加算する値は、同条件を持つ描画オブジェクト間での評価値の順序関係を維持して、他の描画オブジェクトよりも評価値が上がるようにするため、評価値にページ中の描画オブジェクト数(N)とする。さらに、評価対象である第1のオブジェクトが隠す他の描画オブジェクトが評価対象オブジェクトと同一の描画位置、同一形状であるか比較する(S1108)。同一描画位置、同一形状の場合には、もう1度評価値Nを加算する(S1109)。図3を例に示すと、115bがこの条件に該当する。115bは、最背面に描画されるオブジェクトから4番目のオブジェクトであるため、初期値4である。そして、その初期値の4に加えて、上記の判断結果オブジェクト数であるN=5である評価値が2回加算され(描画オブジェクトを隠す、および、同一描画位置、形状の場合)、評価値は14となる。以上のようにして描画オブジェクト毎の評価値を取得することができる。
【0036】
図6は、プリフライト部(22)の不図示のRAMに格納されるデータ構造体を示す図である。図に示すデータ構造は、ステップS1002で列挙した結果を格納するためのものである。最初の列は列挙したオブジェクトの識別子を示す。2番目の列は、ステップS1005で初期化し、ステップS1007で更新する評価値の値である。3番目の列は、各オブジェクトの位置、形状を示す情報である。3番目の列の情報を元に、描画オブジェクトの重なりを判断する。4番目の列は、各オブジェクトに指定されている色を示す。4番目の列の情報を元に、指定色が特色であるか否かを判断する。
【0037】
図7は、本実施例における印刷システムにおいて、透明トナーを含むジョブの印刷手順例を示すフローチャートである。なお、以下で示すフローチャートにおけるS1200〜S1201は、コンテンツ制作装置(1)の不図示のRAMにロードされたプログラムを不図示のCPUが実行することによって実行される。また、S1202〜S1213は、画像処理装置(2)の不図示のRAMにロードされたプログラムを不図示のCPUが実行することによって実行される。
【0038】
コンテンツ制作装置(1)は印刷用コンテンツを制作して画像処理装置(2)へ入稿する(S1200からS1202)。プリフライト部(22)は受信した印刷用コンテンツから透明トナー印刷に対応する特色を判断する(S1203)。S1203は図4のフローチャートに対応する処理である。ジョブ受注部(21)は、印刷用コンテンツに特色が一つも含まれていない場合には、通常の印刷を行うようジョブ制御装置(23)へジョブを送信する(S1204、S1205)。また、ジョブ受注部(21)は、印刷用コンテンツに含まれる特色が一つしかない場合には、その特色で描画されるオブジェクトを透明トナー版で印刷するよう、ジョブ制御装置(23)へジョブを送信する(S1206、S1212)。プリフライト部(22)は、印刷用コンテンツに複数の特色が含まれている場合、透明トナー用と判断された特色を使用する描画オブジェクトを削除した確認用コンテンツを生成して、コンテンツ制作装置(1)へ確認を促す(S1207、S1208)。校正部(12)において透明トナー用特色の判断結果を承認する入力がされた場合には、ジョブ受注部(21)は、その特色で描画されるオブジェクトを透明トナー版で印刷する指示を出す(S1210、S1212)。また、校正部(12)において別候補の特色を透明トナー用とする入力がされた場合には、ジョブ受注部(21)は、指定された特色で描画されるオブジェクトを透明トナー版で印刷する指示を出す(S1211、S1212)。
【0039】
図8は、本実施例における画像処理装置2のUI表示部の画面の例を示す図である。図8は、図7のフローチャートに示すS1208で表示される画面に相当する。校正部(12)は、図8に示す画面を表示し、コンテンツ制作装置(1)のユーザ入力に従って、ジョブ受注部へ結果を送信する。透明トナーで描画と判断されたオブジェクトを削除した確認用コンテンツ(201)を表示して、承認ボタン(203)又は印刷のキャンセルボタン(204)を選択する。あるいは、プリフライト部(22)で自動判断された特色以外の特色が透明トナー用の場合には、他候補(202)の中から選択して、特色候補選択ボタン(205)を選択する。
【0040】
以上説明したように、本実施例によれば、印刷用コンテンツ内に指定されている特色の中から、透明トナーを用いて印刷を行う描画オブジェクトを指定するための特色を自動的に選択することが可能となる。特色の選択の際には、プリフライト部は、描画オブジェクトの描画順および重なり方から判断することにより、透明トナー印刷用としての精度が高い判断を行うことができる。
【0041】
このため、印刷用コンテンツの制作者は、透明トナー印刷に特色を指定するということ以外、透明トナー印刷に用いる画像処理装置の仕組みを意識する必要がない。また、透明トナー印刷用以外の特色が混在する印刷用コンテンツを制作することも可能である。印刷用コンテンツの制作者は透明トナー専用ではない汎用のコンテンツ制作用アプリケーションを使用してコンテンツ制作を行うことが可能である。したがって、本実施例によれば、一般的な印刷ワークフローにおいて透明トナーを用いた印刷を行う際に、透明トナーを用いた印刷を行う指示の間違いを避けるためのプリフライトチェックを容易に行うことができるようになる。
【0042】
さらに、透明トナー用の特色である可能性順に、印刷用コンテンツ中の特色を評価するため、複数の特色の中から選択された特色が透明トナー用であることをコンテンツ制作者が確認することも容易となる。また、透明トナー用特色であることが確実であると判断される場合には、コンテンツ制作者の確認なしに印刷を行うことで、さらに透明トナー印刷確認の効率を上げることが可能となる。本実施例においては、印刷用コンテンツに含まれる特色が一つの場合に確認をスキップする例を示したが、他の基準で唯一の特色を選択しても有効である。例えば、他の描画オブジェクトを隠す特色指定オブジェクトが一つの場合に、そのオブジェクトに指定している特色を唯一の透明トナー用特色と判断してもよい。
【0043】
(その他の実施例)
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施例の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明色剤または特色色剤を用いて形成する描画オブジェクトの描画領域を、特色を用いて示す印刷データを受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した印刷データに含まれ、特色を用いて描画領域が示された描画オブジェクトが、前記透明色剤を用いて形成されるか否か判定する判定手段と、
前記判定手段により、前記描画オブジェクトが透明色剤を用いて形成されると判定された描画オブジェクトの描画領域を示す特色が、透明色剤を用いて形成する描画オブジェクトの描画領域を指示する特色であると決定する決定手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記描画オブジェクトに対して、透明色剤を用いて形成するように指示された可能性の高さを示す評価値を求めることで判定を行い、
該評価値は、前記受信手段により受信した印刷データに含まれ、特色を用いて描画領域が指示された描画オブジェクトの描画順から求められることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記判定手段は、前記描画オブジェクトに対して、透明色剤によって画像を形成するように指示された可能性の高さを示す評価値を求めることで判定を行い、
該評価値は、前記受信手段により受信した印刷データに含まれ、特色を用いて描画領域が指示された第1のオブジェクトの描画領域と該オブジェクトよりも前面に描画されるオブジェクトの描画領域とが重なるか否かを判断した結果と、
前記第1のオブジェクトの描画領域と該オブジェクトよりも背面に描画されるオブジェクトの描画領域とが重なるか否かを判断した結果および該背面に描画されるオブジェクトと前記第1のオブジェクトの形状と描画位置を比較した結果から決定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記受信手段により受信した印刷データに、複数の異なる特色を用いて描画領域を指定された描画オブジェクトが存在する場合、該複数の特色を、前記透明色剤を用いて形成する描画オブジェクトの描画領域を指示する特色である可能性の高さが高いものから順に表示することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記決定手段で決定された特色が前記透明色剤を用いて形成する描画オブジェクトを指定するために用いられた特色であることを確認するための表示を行う表示手段を有することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記決定された特色が前記印刷データに含まれる唯一の特色である場合には前記表示手段を用いた確認をすることなく画像を形成することを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
透明色剤または特色色剤を用いて形成する描画オブジェクトの描画領域を、特色を用いて示す印刷データを受信する受信ステップと、
前記受信ステップにより受信した印刷データに含まれ、特色を用いて描画領域が示された描画オブジェクトが、前記透明色剤を用いて形成されるか否か判定する判定ステップと、
前記判定ステップにより、前記描画オブジェクトが透明色剤を用いて形成されると判定された描画オブジェクトの描画領域を示す特色が、透明色剤を用いて形成する描画オブジェクトの描画領域を指示する特色であると決定する決定ステップと、
を有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項8】
前記判定ステップは、前記描画オブジェクトに対して、透明色剤を用いて形成するように指示された可能性の高さを示す評価値を求めることで判定を行い、
該評価値は、前記受信ステップにより受信した印刷データに含まれ、特色を用いて描画領域が指示された描画オブジェクトの描画順から求められることを特徴とする請求項7に記載の画像処理方法。
【請求項9】
前記判定ステップは、前記描画オブジェクトに対して、透明色剤によって画像を形成するように指示された可能性の高さを示す評価値を求めることで判定を行い、
該評価値は、前記受信ステップにより受信した印刷データに含まれ、特色を用いて描画領域が指示された第1のオブジェクトの描画領域と該オブジェクトよりも前面に描画されるオブジェクトの描画領域とが重なるか否かを判断した結果と、
前記第1のオブジェクトの描画領域と該オブジェクトよりも背面に描画されるオブジェクトの描画領域とが重なるか否かを判断した結果および該背面に描画されるオブジェクトと前記第1のオブジェクトの形状と描画位置を比較した結果から決定することを特徴とする請求項7に記載の画像処理方法。
【請求項10】
前記受信ステップにより受信した印刷データに、複数の異なる特色を用いて描画領域を指定された描画オブジェクトが存在する場合、該複数の特色を、前記透明色剤を用いて形成する描画オブジェクトの描画領域を指示する特色である可能性の高さが高いものから順に表示することを特徴とする請求項7に記載の画像処理方法。
【請求項11】
前記決定ステップで決定された特色が前記透明色剤を用いて形成する描画オブジェクトを指定するために用いられた特色であることを確認するため、表示部に表示を行う表示ステップを有することを特徴とする請求項7に記載の画像処理方法。
【請求項12】
前記決定された特色が前記印刷データに含まれる唯一の特色である場合には前記表示部を用いた確認をすることなく画像を形成することを特徴とする請求項11に記載の画像処理方法。
【請求項13】
請求項7に記載の画像処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−58008(P2013−58008A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194967(P2011−194967)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】